JP4493870B2 - 多気筒4サイクル内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉されたクランク室内の潤滑油およびブローバイガスを吸入するスカベンジポンプを備えた多気筒4サイクル内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術として、特公平8−23285号公報に開示された潤滑油ポンプを備えた多気筒エンジンが知られている。自動車に搭載されるこのエンジンにおいて、潤滑油ポンプは、第1,第2スカベンジポンプとフィードポンプとから構成され、第1,第2スカベンジポンプが、第1,第2回収油路を介して内燃機関のクランクケースの底部に設けられた2条のオイルサンプにそれぞれ連通され、フィードポンプが、供給油路を介してエンジン本体の一側部に配置された潤滑油タンク内の潤滑油に連通する。そして、エンジンの各潤滑部を潤滑してクランクケースの壁面を流下した潤滑油は、両オイルサンプに集まり、該両オイルサンプから第1,第2回収油路を経て第1,第2スカベンジポンプに吸入されて潤滑油タンクに回収される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、第1,第2回収油路は、クランクケースの底部に左右両側で前後方向に延びて設けられた前記2条のオイルサンプの後端部にそれぞれ接続されるため、車両が下り坂を走行するとき、あるいは減速または旋回走行により慣性力が発生するときなど、エンジン(内燃機関)の使用形態によっては、クランク室内の潤滑油が流動して、第1,第2回収油路の一方または両方のオイルサンプへの接続口が油面上に露出し、第1,第2スカベンジポンプによる潤滑油の吸入が効率よく行われず、クランク室内に残った潤滑油をクランク軸が撹拌して出力損失が発生することがある。また、全体が一室となったクランク室内において、クランク室内のブローバイガスは、クランク軸のアームおよびクランクピンから構成されるクランクスローにより、隣接するクランクスロー間の円滑な流動が阻害されて、第1,第2スカベンジポンプによりクランク室から効率よく吸入されず、さらにピストンの往復動により生じる前記クランクスロー間のブローバイガスの流動は、ピストンのポンピングロスを発生させる難点があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、多気筒4サイクル内燃機関において、クランク室内の潤滑油およびブローバイガスをスカベンジポンプにより効率よく吸入すること、およびスカベンジポンプを備えた内燃機関を小型化することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
求項1記載の発明は、ピストンが往復動自在に嵌合された複数の気筒と、密閉されたクランク室内に収容されると共に複数のクランクピンを有するクランク軸とを備え、該クランク軸の両端部寄りの両端部ジャーナル部が前記クランク室の2つの端部支持壁にそれぞれ回転自在に支持される多気筒4サイクル内燃機関において、前記クランク軸には、隣接する2つの前記クランクピンの間に位置する中間ジャーナル部が前記両端部ジャーナル部の間に設けられ、前記クランク室は、前記中間ジャーナル部を回転自在に支持する中間支持壁により相互にほぼ密閉状態で分離される複数の独立クランク室に軸方向に分割され、前記各独立クランク室内の潤滑油およびブローバイガスを吸入するスカベンジポンプが前記独立クランク室毎に設けられ、前記クランク室の底部を形成する室壁には、前記複数の独立クランク室にそれぞれ対応する複数の潤滑油孔およびブローバイガスの流出孔が設けられ、該各流出孔に対応して接続される吸入ポートを有する前記各スカベンジポンプが、前記室壁に取り付けられ、複数の独立クランク室のうち、隣り合う2つの独立クランク室の流出孔が、それらの間の中間支持壁を挟んで互いに近接する側に偏倚して配置され、隣り合う2つの独立クランク室の何れか一方に隣接して、他の独立クランク室が設けられ、前記他の独立クランク室の流出孔が、隣り合う2つの独立クランク室の前記一方の独立クランク室の側に偏倚して配置され、前記流出孔の配置に合わせて前記スカベンジポンプが前記クランク軸に沿う方向に配置され、前記他の独立クランク室に接続されるスカベンジポンプと、該他の独立クランク室に隣接する独立クランク室に接続されるスカベンジポンプとの間に、内燃機関に潤滑油を供給するフィードポンプが配置されることを特徴とする多気筒4サイクル内燃機関である。
【0006】
この請求項1記載の発明によれば、密閉されたクランク室は、中間支持壁によりクランク軸の軸方向に複数の独立クランク室に分割されるため、内燃機関の傾斜や慣性力による各独立クランク室内での潤滑油の流動範囲が狭い範囲に制限され、また隣接する独立クランク室間でのガスの流出入が殆どない。
【0007】
その結果、次の効果が奏される。すなわち、クランク室は、中間支持壁により複数の独立クランク室に分割されるため、内燃機関の傾斜や慣性力による各独立クランク室内での潤滑油の流動範囲が狭い範囲に制限されるので、独立クランク室毎に設けられたスカベンジポンプは、対応する独立クランク室内の潤滑油を効率よく吸入することができる。また、隣接する独立クランク室間でのブローバイガスの流出入が殆どないうえ、独立クランク室毎にスカベンジポンプが設けられているので、クランク室が分離されていない前記従来技術に比べて、各独立クランク室においてブローバイガスの吸入が効率よく行われ、しかもピストンのポンピングロスを低減できる。
さらに、各スカベンジポンプの吸入ポートは、各独立クランク室内で潤滑油が集まる底部を形成する室壁に設けられた流出孔に接続され、しかも各スカベンジポンプ自体も該室壁に取り付けられるため、流出孔および吸入ポートから構成される吸入油路の通路長を極力短くすることができる。
その結果、次の効果が奏される。すなわち、各スカベンジポンプの吸入ポートは、各独立クランク室内で潤滑油が集まる底部を形成する室壁の流出孔に接続され、しかも各スカベンジポンプ自体も該室壁に取り付けられるため、流出孔および吸入ポートから構成される吸入油路の通路長を極力短くすることができるので、各スカベンジポンプは、潤滑油が集まる底部から圧力損失の少ない吸入油路を介して効率よく各独立クランク室内の潤滑油を吸入できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の多気筒4サイクル内燃機関において、前記クランク室の下方に該クランク室に対して密閉されるオイルパンが配置され、前記各スカベンジポンプは、前記室壁が形成されるクランクケースのオイルパンとの合わせ面を含む仮想平面と前記室壁の外面との間でかつ前記合わせ面の内側に形成される凹部に配置されるものである。
この請求項2記載の発明によれば、各スカベンジポンプは、クランクケースのオイルパンとの合わせ面を含む仮想平面と室壁との間に形成される凹部に、しかも該合わせ面の内側に配置される。その結果、次の効果が奏される。すなわち、各スカベンジポンプが上下方向と直交する方向にオイルパンよりも突出することがなく、またスカベンジポンプが合わせ面よりも上方に位置することで、オイルパンの上下方向の寸法を小さくできて、内燃機関を小型化できる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の多気筒4サイクル内燃機関において、前記スカベンジポンプと前記フィードポンプとが同軸に配置されるとともに、これらポンプの駆動軸が単一の共通軸とされたことを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1、2、3のいずれかに記載の多気筒4サイクル内燃機関において、前記複数の独立クランク室に隣接してミッション室が設けられ、前記スカベンジポンプの吐出ポ−トが前記ミッション室に接続されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3、4のいずれかに記載の多気筒4サイクル内燃機関において、前記複数の独立クランク室は、関係するピストンの数が多い独立クランク室と、関係するピストンの数が少ない独立クランク室とを含み、関係するピストンの数が多い前記独立クランク室に接続されるスカベンジポンプが、関係するピストンの数が少ない前記独立クランク室に接続されるスカベンジポンプより軸方向に厚く形成され、軸方向に厚く形成されたスカベンジポンプと軸方向にそれより薄いスカベンジポンプとの間に前記フィードポンプが配置されたことを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の多気筒4サイクル内燃機関において、関係するピストンの数が多い前記独立クランク室に接続されるスカベンジポンプが軸方向の両端に配置され、関係するピストンの数が少ない前記独立クランク室に接続されるスカベンジポンプと前記フィードポンプとが、前記両端のスカベンジポンプの間に配置されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の多気筒4サイクル内燃機関において、前記内燃機関は、気筒数が異なる2つのバンクを有するV型内燃機関であり、関係するピストンの数が多い前記独立クランク室が前記クランク軸方向の両端に配置されるとともに、2つのバンクのピストンに関係し、両端の前記独立クランク室の間に、一方のバンクのピストンにのみ関係する独立クランク室が配置されたことを特徴とする。
【0012】
なお、この明細書において、「前後左右」は、車体を基準としたときの前後左右を意味し、「軸方向」とは、特に断らない限り、クランク軸の回転軸線の方向を意味し、「径方向」とは、特に断らない限り、クランク軸の回転軸線を中心線とした放射方向を意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1〜図12を参照して説明する。
図1〜図3を参照すると、本発明が適用される内燃機関Eは、DOHC型で水冷式のV型5気筒4サイクル内燃機関であり、その動力を後輪に伝達する伝動装置と共に自動二輪車に搭載される動力装置を構成する。内燃機関Eは、図1に示されるように、前後方向に、ほぼ75°の角度のVバンクを形成する前側バンク4Fおよび後側バンク4Rを有するシリンダブロック1と、各バンク4F,4Rにおいてシリンダブロック1の上端面4Fa,4Raに締結される前側シリンダヘッド2Fおよび後側シリンダヘッド2Rと、両シリンダヘッド2F,2Rにぞれぞれ締結される前側ヘッドカバー3Fおよび後側ヘッドカバー3Rとを備える。さらに、シリンダブロック1は、その下部が上クランクケース5を、その上部が両バンク4F,4Rをそれぞれ形成し、上クランクケース5の下端面5aに、下クランクケース6の上端面6aが合わされて、シリンダブロック1および下クランクケース6が締結される。そして、車体の左右方向を指向するように横置き配置とされるクランク軸7は、上クランクケース5の下端面5aと下クランクケース6の上端面6aとの合わせ面上にその回転軸線Lが位置した状態で、上クランクケース5および下クランクケース6からなるクランクケースに回転自在に支持される。
【0014】
図3のV−V線での断面図である図5を参照すると、上クランクケース5の前部と下クランクケース6の前部とにより、クランク軸7を収容するクランク室8が形成され、上クランクケース5の後部と下クランクケース6の後部とにより、伝動装置を構成する湿式の多板摩擦クラッチ(図示されず)と常時噛み合い式の歯車変速機Mとを収容するミッション室9が形成される。下クランクケース6の下端面6bには、クランク室8の下方に配置されるオイルパン10の上端面10aが油密に合わされて、オイルパン10がボルト(図示されず)により締結される。したがって、下クランクケース6の下端面6bは、オイルパン10との合わせ面を形成する。
【0015】
そして、図2,図4〜図7を併せて参照すると、クランク室8とミッション室9とは、上クランクケース5および下クランクケース6の左側壁の一部を構成する2つの支持壁半体D1a,D1bからなる端部支持壁D1および右側壁の一部を構成する2つの支持壁半体D4a,D4bからなる端部支持壁D4と、シリンダブロック1に形成されて軸方向に延びる上隔壁Sおよび下クランクケース6に形成されて軸方向に延びる下隔壁Tからなる隔壁とにより分離されて、相互に独立した室とされ、これによってクランク室8は、ミッション室9およびミッション室9に開放するオイルパン10の内部空間に対して密閉される。そして、両端部支持壁D1,D4、上隔壁S、下隔壁Tおよび下クランクケース6の前壁6cは、クランク室8の室壁を構成する。
【0016】
主として図2,図3を参照すると、前側バンク4Fは、軸方向に配列されて一体に結合された3つの気筒C1,C3,C5を有し、各気筒C1,C3,C5に形成されたシリンダボアB1,B3,B5の中心線N1,N3,N5が回転軸線Lから前方斜め上方を指向するように、各気筒C1,C3,C5が前傾している。また、後側バンク4Rは、軸方向に配列されて一体に結合された2つの気筒C2,C4を有し、各気筒C2,C4に形成されたシリンダボアB2,B4の中心線N2,N4が回転軸線Lから後方斜め上方を指向するように、各気筒C2,C4が後傾している。各気筒C1〜C5のシリンダボアB1〜B5にはピストンP1〜P5が摺動自在に嵌合し、各ピストンP1〜P5とシリンダヘッド2F,2Rとの間に形成される燃焼室A1〜A5の燃焼圧力により往復動するピストンP1〜P5が、コンロッドR1〜R5を介してクランク軸7を回転駆動する。
【0017】
クランク軸7は3つのクランクピンK1〜K3を有し、そのうち、クランク軸7の両端部寄りに位置する2つの端部クランクピンK1,K3は、2つのピストンP1,P2に連結されたコンロッドR1,R2、および2つのピストンP4,P5が連結されたコンロッドR4,R5が、それぞれ共に連結される共用クランクピンであり、両端部クランクピンK1,K3の間に位置する中間クランクピンK2は、ピストンP3に連結されたコンロッドR3のみが連結される単独クランクピンである。そして、各クランクピンK1〜K3の両端にはクランクアームとバランスウエイトとからなるクランクウェブW1〜W6が設けられる。
【0018】
また、クランク軸7は、そのジャーナル部J1〜J4にて、シリンダブロック1および下クランクケース6に軸方向に所定の間隔をおいて形成された4つの支持壁に主軸受11を介して支持される。すなわち、クランク軸7の両端部寄りに位置する両端部ジャーナル部J1,J4は、前記両端部支持壁D1,D4にそれぞれ回転自在に支持され、軸方向に隣接する端部クランクピンK1と中間クランクピンK2との間に位置する中間ジャーナル部J2は、シリンダブロック1および下クランクケース6の支持壁半体D2a,D2bから構成される中間支持壁D2に回転自在に支持され、同様に、軸方向に隣接する中間クランクピンK2と端部クランクピンK3との間に位置する中間ジャーナル部J3は、シリンダブロック1および下クランクケース6の支持壁半体D3a,D3bから構成される中間支持壁D3に回転自在に支持される。なお、図6,図7に示されるように、各支持壁D1〜D4を形成する支持壁半体D1a,D1b;D2a,D2b;D3a,D3b;D4a,D4bの部分で、支持壁半体D1b,D2b,D3b,D4bには、シリンダブロック1と下クランクケース6とを締結するボルト(図示されず)が下方から挿入される貫通孔F1が形成され、支持壁半体D1a,D2a,D3a,D4aには、該ボルトが螺合するねじ孔F2が形成される。
【0019】
そして、回転軸線Lに直交する平面に沿って延びる両端部支持壁D1,D4をクランク室8の左右両側部の室壁とするクランク室8は、両端部支持壁D1,D4の間に位置して回転軸線Lに直交する平面に沿って延びる両中間支持壁D2,D3を仕切壁として、相互にほぼ密閉状態で分離される3つの独立クランク室8a,8b,8cに軸方向に分割される。ここで、ほぼ密閉状態とは、クランク軸7と各支持壁D1〜D4との間隙からの潤滑油およびブローバイガスの僅かな流出入を除いて、各独立クランク室8a,8b,8cの可動室壁を構成するピストンP1〜P5の往復動に基づく独立クランク室8a,8b,8cの容積変化により、該独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑油およびブローバイガスが、隣接する独立クランク室8a,8b間および隣接する独立クランク室8b,8c間で流出入しない状態を意味する。
【0020】
図1を参照すると、各シリンダヘッド2F,2Rには、燃焼室A1〜A5毎に、該燃焼室A1〜A5に開口する1対の吸気口を有する吸気ポート12および1対の排気口を有する排気ポート13が形成され、さらに1対の吸気口をそれぞれ開閉する1対の吸気弁14と、1対の排気口を開閉する1対の排気弁15が設けられ、また燃焼室A1〜A5内に臨む点火栓47が設けられる。そして、前側および後側シリンダヘッド2F,2Rにおいて、吸気カム軸16および排気カム軸17が回転自在に支持され、2組の両カム軸16,17は、それぞれ、クランク軸7の右端部に設けられた駆動ギヤ18と噛合するから、前側および後側タイミングギヤ列(図示されず)を介して伝達されるクランク軸7の動力により、クランク軸7の1/2の回転数で回転駆動され、両カム軸16,17を含んで構成される前側および後側動弁装置VF,VRにより駆動される各吸気弁14および各排気弁15が、前記吸気口および前記排気口を所定のタイミングで開閉する。
【0021】
また、図2を参照すると、シリンダブロック1および両シリンダヘッド2F,2Rの右側に位置する駆動ギヤ18は、上クランクケース5および下クランクケース6の右側壁に取り付けられるカバー22により覆われ、前記前側および後側タイミングギヤ列は、シリンダブロック1の両バンク4F,4Rと両シリンダヘッド2F,2Rとの右端部に形成された空洞Y1内に配置される。それゆえ、駆動ギヤ18および前記タイミングギヤ列は、前記右側壁とカバー22とで形成される空間Y2および空洞Y1から構成されるギヤ室23内に収容されており、このギヤ室23は、その下方において下クランクケース6に形成された空洞Y3(図7参照)を介してオイルパン10内に連通する。なお、クランク軸7の左端部には、交流発電機24が設けられる。
【0022】
図1を参照すると、クランク軸7の動力は、一次駆動ギヤ25と一次被動ギヤ26とからなる一次減速機構を介して前記多板摩擦クラッチに伝達され、さらに歯車変速機Mに伝達される。歯車変速機Mのメイン軸27およびカウンタ軸28には、図示されないメインギヤ群およびカウンタギヤ群がそれぞれ設けられ、変速操作機構によりシフトドラム29が回転されると、シフトドラム29のカム溝に係合したシフトフォークが支持軸30上で左右方向に適宜移動して、変速操作に対応したメインギヤ群のギヤとカウンタギヤ群のギヤとが適宜噛み合い、クランク軸7の動力が変速されてメイン軸27からカウンタ軸28に伝達され、カウンタ軸28の動力が、チェーンを有する二次減速機構(図示されず)を介して後輪に伝達される。
【0023】
さらに、クランク軸7の動力は、メイン軸27に回転自在に支持された一次被動ギヤ26と一体に回転するポンプ駆動ギヤ31aと噛合する中間ギヤ31bを介してオイルポンプユニットUの駆動軸33に設けられたポンプギヤ32に伝達されて、オイルポンプユニットUが駆動される。さらに、駆動軸33の左端には、図示されない冷却水ポンプのインペラが設けられた回転軸が結合される。
【0024】
ここで、前記動力装置の潤滑系について説明する。図1に示されるように、オイルパン10内には、オイルストレーナ34が配置されて、オイルストレーナ34から上方に延びる油管35が、オイルポンプユニットUのフィードポンプ36の吸入ポート36aに接続される。図9を参照すると、オイルポンプユニットUは、軸方向に右から左に順次配列されたスカベンジポンプ37、フィードポンプ36、スカベンジポンプ38およびスカベンジポンプ39を備え、これらポンプ36〜39は駆動軸33を共通の駆動軸とするトロコイドポンプから構成される。各スカベンジポンプ37,28,39には、それぞれ、吸入ポート37a,38a,39aおよび吐出ポート37b,38b,39b(図5において、吐出ポート38b,39bは、吐出ポート37bの背後にある)が設けられ、さらにフィードポンプ36には、吸入ポート36a、吐出ポート36bおよびリリーフ弁が設けられたリリーフポート36cが設けられる。そして、各吐出ポート37b,38b,39bは歯車変速機Mのメイン軸27をほぼ指向して開放している。
【0025】
図5,図7,図8を参照すると、下クランクケース6の下隔壁Tは、下クランクケース6の前壁6cの後述する平壁部6c2の下部から後方にほぼ水平に延びてクランク室8の最下室壁を構成する最下隔壁T1と、該最下隔壁T1から後方斜め上方に延びると共に、平壁部6c2との間に鋭角を形成する傾斜隔壁T2と、傾斜隔壁T2の上端から上方に延びると共に、回転軸線Lにほぼ平行な鉛直平面であって平壁部6c2の内面とほぼ平行な内面を有する鉛直隔壁T3とを有する。そして、図7に示されるように、独立クランク室8cから独立クランク室8bを経て独立クランク室8aの途中まで、後述する流出孔41〜43が配置される軸方向範囲よりも広い範囲に渡って軸方向に延びるこれら平壁部6c2、最下隔壁T1および傾斜隔壁T2により、クランク軸7のクランクウェブW1〜W6の回転経路の最下部よりも下方に突出するクランク室8の底部を形成する凹部8dが軸方向に延びて形成され、この上方に開放する凹部8dが、各独立クランク室8a,8b,8cにおいて凹部8d1,8d2,8d3を形成し、各独立クランク室8a,8b,8c内で潤滑箇所を潤滑し終えた潤滑油の集合部として機能する。
【0026】
図5,図8を参照すると、オイルポンプユニットUは、下端面6bを含む仮想平面Hとクランク室8の室壁を構成する傾斜隔壁T2との間に形成されて、仮想平面Hよりも上方であるシリンダブロック1寄りに突出する空間を形成する凹部6dに、吸入ポート36aなどの一部分を除いた本体部分全体が配置されて、傾斜隔壁T2および鉛直隔壁T3の、オイルパン10側の壁面である外面に設けられたボス部からなる4つの取付部Ta,Tb,Tc,Tdに取り付けられる。そして、これら取付部Ta,Tb,Tc,Tdは、オイルパン10の上端面10aと同一形状である環状の下端面6bの内側に位置する。
【0027】
また、傾斜隔壁T2には、オイルポンプユニットUが取り付けられた状態で、図7,図8に示されるように、各吸入ポート37a,38a,39aに対応して接続する流出孔41,42,43が形成される。各流出孔41〜43は、傾斜隔壁T2を、傾斜隔壁T2の内面にほぼ直交する方向に貫通する孔からなると共に、各独立クランク室8a,8b,8cに対応して形成され、しかも凹部8d1,8d2,8d3の下部で、最下隔壁T1に近接した位置に設けられる。そして、各独立クランク室8a,8b,8c内の所要の潤滑箇所を潤滑し終えた潤滑油は、各独立クランク室8a,8b,8c内で落下または各独立クランク室8a,8b,8cの壁面に沿って流下して凹部8d1,8d2,8d3に集まり、流出孔41〜43から、スカベンジポンプ37〜39にぞれぞれ吸入され、下クランクケース6に形成された空洞Y4内に位置する吐出ポート37b,38b,39bからミッション室9内に吐出される(図5参照)。
【0028】
さらに、最下隔壁T1において、下端面6bの僅かに上方の位置には、図5,図8,図12に示されるように、フィードポンプ36の吐出ポート36bの端面が接合することで、該吐出ポート36bに接続する油路G1が設けられ、油路G1はオイルフィルタ44に潤滑油を導く油路G2に接続する。図5,図10を参照すると、円筒状のオイルフィルタ44は、下クランクケース6の前壁6cに形成された取付座45に取り付けられる。具体的には、前壁6cは、クランク軸7の径方向外方に設けられて、回転軸線Lを中心線とするほぼ円筒の周壁の周方向の一部分である部分円筒状の曲壁部6c1と、該曲壁部6c1の、回転軸線Lのぼぼ直下に位置する下端部に連なって、鉛直下方に延びて下端面6bに至るほぼ平板状の平壁部6c2とを有し、取付座45は、曲壁部6c1と平壁部6c2とで形成される空間に、曲壁部6c1および平壁部6c2の前面から前方斜め下方を指向する取付面を形成するように突出している。
【0029】
また、曲壁部6c1は、クランク軸7の回転経路にほぼ沿った円柱面の周方向の一部分である部分円柱面からなる内面を有し、平壁部6c2は、回転軸線Lとほぼ平行な鉛直平面からなる内面を有する。そして、曲壁部6c1と平壁部6c2との交差部は、クランク室8の軸方向のほぼ全幅に渡って延びる鉛直隔壁T3(図5参照)の最下部とほぼ等しい高さにあるため、図5において時計方向に回転するクランク軸7に誘導されて、凹部8d1,8d2,8d3の上方をクランク軸7と同一方向に旋回する潤滑油およびブローバイガスは、交差部よりも高い位置にある鉛直隔壁T3に衝突し、潤滑油は鉛直隔壁T3の内面に付着して流下して凹部8d1,8d2,8d3に集められ、一方ブローバイガスは、凹部8d1,8d2,8d3に留まり易くなる。それゆえ、鉛直隔壁T3は、各独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑油およびブローバイガスの旋回を妨げて、各スカベンジポンプ37〜39による潤滑油およびブローバイガスの吸入を容易にするための吸入促進壁として機能する。
【0030】
さらに、図4,図10を参照して油路について説明すると、図10に図示されるように、オイルフィルタ44から延びる油路G3は、下クランクケース6の右端部で、前壁6cに形成された油路G4およびシリンダブロック1の右端部に形成された油路G5を経て、シリンダブロック1のVバンクの底壁部1aに形成されたメインギャラリG6に連通する。メインギャラリG6は、底壁部1aの右端部から回転軸線Lとほぼ平行に延びてシリンダブロック1の左端面にて開口して(図3参照)、図2に示されるように、クランク軸7の左端面に締結される発電機カバー46に形成された油路G7を介してクランク軸7の内部に形成された軸内油路G8に連通し、該軸内油路G8は、カバー22に設けられた油路G9を介してノズル51に連通する。
【0031】
さらに、各クランクピンK1〜K3における各コンロッドR1〜R5との連結部、中間支持壁D2,D3の主軸受11および端部支持壁D1,D4の主軸受11などの、各独立クランク室8a,8b,8c内の各潤滑箇所に潤滑油を供給するための油路G10,G11が、各クランクピンK1〜K3、また中間ジャーナル部J2,J3および端部ジャーナル部J1,J4に、それぞれ形成される。
【0032】
また、図3,図4を参照すると、シリンダブロック1には、メインギャラリG6から分岐してシリンダヘッド2F,2Rに向かって延びるヘッド油路G12,G13が形成され、各ヘッド油路G12,G13を通じて、前側および後側シリンダヘッド2F,2Rにより形成される前側および後側動弁室52F,52R内に配置される前側および後側動弁装置VF,VR(いずれも図1参照)の摺動部などの、両動弁室52F,52R内の潤滑箇所に潤滑油が供給される。
【0033】
さらに、図4を参照すると、シリンダブロック1には、メインギャラリG6から分岐する油路G14が形成され、下クランクケース6の上端面6aに形成された溝からなる油路G15、下クランクケース6の上端面6aに形成された溝からなる油路G16を経て、さらに下クランクケース6に形成された油路G17,G18を通って、歯車変速機Mのメイン軸27および支持軸30の摺動部などの、ミッション室9内の潤滑箇所に潤滑油が供給される。
【0034】
また、図5,図6を参照すると、メインギャラリG6に沿って、シリンダブロック1の底壁部1aの内面には、各シリンダボアB1〜B5に対応して、ノズル54(図5参照)が装着される5つの装着部53が設けられ、各装着部53に設けられてメインギャラリG6に接続する油路G18を通った潤滑油が該ノズル54から噴射されることにより、各ピストンP1〜P5と各コンロッドR1〜R5との連結部や各気筒C1〜C5と各ピストンP1〜P5との摺動部などの、各独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑箇所に潤滑油が供給される。
【0035】
そして、前側および後側動弁室52F,52R内の潤滑箇所を潤滑し終えた潤滑油をオイルパンに戻すための戻り油路として、前側バンク4Fについては、シリンダブロック1の前壁6cに形成されて、一端が前側シリンダヘッド2Fに形成された油路(図示されず)に連通し、他端が油管56(図1参照)に連通する3つの油路55(図6参照)が設けられ、また後側バンク4Rについては、図3に示されるように、シリンダブロック1の後側バンク4Rの2つのシリンダボアB2,B4間に形成されて、一端が後側シリンダヘッド2Rに形成された油路(図示されず)に連通し、他端がミッション室9に連通する油路57が設けられる。
【0036】
また、後側バンク4Rの2つのシリンダボアB2,B4間には、ミッション室9と後側動弁室52Rとを連通するブリーザ通路58が形成され、さらに後側ヘッドカバー3Rには後側動弁室52Rに開口するブリーザ室59が設けられ、該ブリーザ室59は、還流管(図示されず)を介して吸気通路に連通する。
【0037】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
内燃機関Eが運転されて、オイルポンプユニットUが作動すると、オイルパン10からオイルストレーナ34を通ってフィードポンプ36に吸引された潤滑油は、吐出ポート36bから吐出されて、油路G1および油路G2を経てオイルフィルタ44に流入し、さらにオイルフィルタ44で異物などが除かれて、油路G3、油路G4および油路G5を通ってメインギャラリG6に供給される。
【0038】
メインギャラリG6から、油路G7を経て軸内油路G8に流入した潤滑油は、各独立クランク室8a,8b,8c内において、各ジャーナル部J1〜J4およびクランクピンK1〜K3に供給され、さらにノズル54から噴射されて、各独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑箇所を潤滑し、またギヤ室23内において、ノズル51から噴射されて、駆動ギヤ18や前記タイミングギヤ列の噛合部や摺動部などの、ギヤ室23内の潤滑箇所を潤滑する。一方、メインギャラリG6からヘッド油路G12,G13に流入した潤滑油は、両動弁室52F,52R内の潤滑箇所を潤滑する。
【0039】
そして、各独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑箇所を潤滑し終えた潤滑油は、独立クランク室8a,8b,8c内で落下または独立クランク室8a,8b,8cの室壁の内面に沿って流下して、前壁6cと下隔壁Tとの間に形成される各独立クランク室8a,8b,8cの凹部8d1,8d2,8d3に集合して、各独立クランク室8a,8b,8cに設けられた流出孔41〜43からスカベンジポンプ37〜39に吸引され、それらスカベンジポンプ37〜39から吐出された潤滑油が、吐出ポートからミッション室9内に吐出されて、歯車変速機Mの前記メインギヤ群およびカウンタギヤ群の各ギヤなどの潤滑箇所および前記多板摩擦クラッチの潤滑箇所などを潤滑し、その後オイルパン10に戻る。一方、ギヤ室23内の潤滑箇所を潤滑したオイルは、オイルパン10に開放するギヤ室23の下部の空洞Y3内を経てオイルパン10に戻り、また前側動弁室52F内の潤滑箇所を潤滑し終えた潤滑油は、油路55および油管56を経てオイルパン10に戻り、後側動弁室52R内の潤滑箇所を潤滑し終えた潤滑油は、油路57を経てミッション室9を経てオイルパン10に戻る。
【0040】
また、各気筒C1〜C5と各ピストンP1〜P5との摺動部から各独立クランク室8a,8b,8c内に漏れた未燃混合気を含むガスであるブローバイガスは、スカベンジポンプ37〜39によって潤滑油と共に吸入されてミッション室9内に放出され、さらにミッション室9からブリーザ通路58および後側動弁室52Rを通ってブリーザ室59に流入し、ブリーザ室59から前記還流管を経て吸気通路に還流されて、燃焼室A1〜A5に供給される。
【0041】
このように、密閉されたクランク室8は、2つの中間支持壁D2,D3によりほぼ密閉状態で分離される3つの独立クランク室8a,8b,8cに分割されるため、自動二輪車が斜面を走行したりバンク角を持って走行して内燃機関Eが傾斜したとき、また旋回走行や加速・減速を伴う走行して慣性力により、各独立クランク室8a,8b,8c内で潤滑油が流動したとしても、各独立クランク室8a,8b,8c内での潤滑油の流動範囲は、狭い範囲に制限されるので、独立クランク室8a,8b,8c毎に設けられたスカベンジポンプ37〜39により、各独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑油を効率よく吸い出すことができて、クランク軸7が潤滑油を攪拌することによる出力損失は殆ど生じない。
【0042】
また、隣接する独立クランク室8a,8b間および隣接する独立クランク室8b,8c間でのブローバイガスの流出入が殆どないうえ、独立クランク室8a,8b,8c毎にスカベンジポンプ37〜39が設けられているので、クランク室が分離されていない前記従来技術に比べて、各独立クランク室8a,8b,8c内のブローバイガスの吸入が効率的に行われ、しかもピストンP1〜P5のポンピングロスを低減できる。
【0043】
各スカベンジポンプ37〜39の吸入ポート37a〜39aは、各独立クランク室8a,8b,8c内で潤滑油が集まる凹部8d1,8d2,8d3を形成する傾斜隔壁T2に設けられた流出孔41〜43に接続され、しかも各スカベンジポンプ37〜39自体も傾斜隔壁T2に取り付けられるため、流出孔41〜43および吸入ポート37a〜39aから構成される吸入油路の通路長を極力短くすることができるので、各スカベンジポンプ37〜39は、潤滑油が集まる凹部8d1,8d2,8d3から圧力損失の少ない前記吸入油路を介して効率よく各独立クランク室8a,8b,8c内の潤滑油、さらにはブローバイガスを吸入できる。
【0044】
各スカベンジポンプ37〜39を含むオイルポンプユニットUは、傾斜隔壁T2が形成される下クランクケース6の、クランク室8の下方に配置されたオイルパン10との下端面6bを含む仮想平面Hと傾斜隔壁T2の外面との間にあって、オイルパン10の内部空間の上方で、かつクランク室8とミッション室9との間に形成される凹部6dに、しかも該下端面6bの内側に配置されるので、各スカベンジポンプ37〜39が上下方向と直交する方向にオイルパン10よりも突出することがなく、また各スカベンジポンプ37〜39が下端面6bよりも上方に配置されることで、オイルパン10の上下方向の寸法を小さくできて、内燃機関Eを小型化することができる。また、フィードポンプ36は、スカベンジポンプ37〜39と同軸に設けられるため、オイルストレーナ34および油管35から構成される吸入油路の全長を短くすることができて、圧力損失を低減できる。さらに、フィードポンプ36および各スカベンジポンプ37〜39をユニット化することにより、各ポンプ36〜39の組付け性およびメンテナンス性を向上させることができ、さらに内燃機関Eを小型化することができる。
【0045】
各独立クランク室8a,8b,8cの下隔壁Tには、回転するクランク軸7に誘導されて、凹部8d1,8d2,8d3の上方をクランク軸7と同一方向に旋回する潤滑油およびブローバイガスが衝突する鉛直隔壁T3が設けられるので、該鉛直隔壁T3に衝突した潤滑油は鉛直隔壁T3の内面に付着して流下して凹部8d1,8d2,8d3に集められ、一方ブローバイガスは、該鉛直隔壁T3に衝突することにより凹部8d1,8d2,8d3に留まり易くなり、潤滑油およびブローバイガスが各スカベンジポンプ37〜39により一層効率よく吸入される。
【0046】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記実施例では、3つのスカベンジポンプ37〜39は、フィードポンプ36と共にユニット化されていたが、これらポンプ36〜39をユニット化することなく、別々に設けることもできる。また、内燃機関EはV型5気筒内燃機関であったが、5気筒以外のV型内燃機関、または直列多気筒内燃機関であってもよい。
【0047】
前記実施例では、独立クランク室8aにおいては、凹部8d1が、軸方向の途中までしか形成されていなかったが、独立クランク室8aの軸方向の全幅に渡って凹部8d1を形成することもできる。
【0048】
また、各独立クランク室8a,8b,8c内で潤滑油が著しく流動する運転状態など、車両の運転状態などによって、スカベンジポンプ37〜39の排出量に差が発生する場合には、独立クランク室8a,8b,8cの間で圧力差が生じる可能性があるので、隣接する独立クランク室8a,8b;8b,8c間での圧力をバランスさせるために、中間支持壁D2,D3に圧力調整用の小孔を設けることが好ましい。したがって、このような小孔が設けられる場合には、前記「ほぼ密閉状態」は、クランク軸7と各支持壁D1〜D4との間隙からの潤滑油およびブローバイガスの流出入と、前記小孔を通じての潤滑油およびブローバイガスの僅かな流出入とを除いて、隣接する独立クランク室8a,8b;8b,8c間で潤滑油およびブローバイガスが流出入しない状態を意味する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるV型内燃機関の右側面図である。
【図2】図1の概略II−II線での断面図である。
【図3】図1のシリンダブロックの上平面図である。
【図4】図1のシリンダブロックおよび下クランクケースの右側面図である。
【図5】図3のV−V線でのシリンダブロックおよび下クランクケースの断面図である。
【図6】シリンダブロックの下平面図である。
【図7】下クランクケースの上平面図である。
【図8】下クランクケースの下平面図である。
【図9】図5のIX−IX線での断面図である。
【図10】図4のX矢視での下クランクケースの正面図である。
【図11】図7のXI−XI線での断面図である。
【図12】図10のXII−XII線での断面図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック、2F,2R…シリンダヘッド、3F,3R…ヘッドカバー、4F,4R…バンク、5…上クランクケース、6…下クランクケース、6b…下端面、6c…前壁、6c1…曲壁部、6c1a…下端部、6c2…平壁部、6c3…接触部、6d…凹部、7…クランク軸、8…クランク室、8a,8b,8c…独立クランク室、8d…凹部、9…ミッション室、10…オイルパン、11…主軸受、12…吸気ポート、13…排気ポート、14…吸気弁、15…排気弁、16…吸気カム軸、17…排気カム軸、18…駆動ギヤ、
22…カバー、23…ギヤ室、24…交流発電機、25,26…ギヤ、27…メイン軸、28…カウンタ軸、29…シフトドラム、30…支持軸、31a…ポンプ駆動ギヤ、31b…中間ギヤ、32…ポンプギヤ、33…駆動軸、34…オイルストレーナ、35…油管、36…フィードポンプ、37〜39…スカベンジポンプ、40…吐出ポート、41〜43…流出孔、44…オイルフィルタ、45…取付座、45a…取付面、46…発電機カバー、47…点火栓、
51…ノズル、52F,52R…動弁室、53…装着部、54…ノズル、55…油路、56…油管、57…油路、58…ブリーザ通路、59…ブリーザ室、
E…内燃機関、L…回転軸線、M…歯車変速機、D1〜D4…軸受部、S…上隔壁、T…下隔壁、C1〜C5…気筒、B1〜B5…シリンダボア、P1〜P5…ピストン、R1〜R5…コンロッド、N1〜N5…中心線、A1〜A5…燃焼室、J1〜J4…ジャーナル、K1〜K3…クランクピン、W1〜W6…クランクウェブ、F1…貫通孔、F2…ねじ孔、Y1,Y3,Y4…空洞、Y2…空間、U…オイルポンプユニット、H…仮想平面、G1〜G7,G9〜G18…油路、G8…メインギャラリ、VF,VR…動弁装置。

Claims (7)

  1. ピストンが往復動自在に嵌合された複数の気筒(C1,C2,C3,C4,C5)と、密閉されたクランク室(8)内に収容されると共に複数のクランクピンを有するクランク軸(7)とを備え、該クランク軸(7)の両端部寄りの両端部ジャーナル部が前記クランク室(8)の2つの端部支持壁(D1,D4)にそれぞれ回転自在に支持される多気筒4サイクル内燃機関において、
    前記クランク軸(7)には、隣接する2つの前記クランクピンの間に位置する中間ジャーナル部が前記両端部ジャーナル部の間に設けられ、前記クランク室(8)は、前記中間ジャーナル部を回転自在に支持する中間支持壁(D2,D3)により相互にほぼ密閉状態で分離される複数の独立クランク室(8a,8b,8c)に軸方向に分割され、前記各独立クランク室(8a,8b,8c)内の潤滑油およびブローバイガスを吸入するスカベンジポンプ(37,38,39)が前記独立クランク室(8a,8b,8c)毎に設けられ
    前記クランク室(8)の底部を形成する室壁(T1,T2)には、前記複数の独立クランク室(8a,8b,8c)にそれぞれ対応する複数の潤滑油孔およびブローバイガスの流出孔(43,42,41)が設けられ、該各流出孔(43,42,41)に対応して接続される吸入ポート(39a,38a,37a)を有する前記各スカベンジポンプ(39,38,37)が、前記室壁に取り付けられ、
    複数の独立クランク室(8a,8b,8c)のうち、隣り合う2つの独立クランク室(8a,8b)の流出孔(43,42)が、それらの間の中間支持壁(D2)を挟んで互いに近接する側に偏倚して配置され、
    隣り合う2つの独立クランク室(8a,8b)の何れか一方に隣接して、他の独立クランク室(8c)が設けられ、
    前記他の独立クランク室(8c)の流出孔(41)が、隣り合う2つの独立クランク室(8a,8b)の前記一方の独立クランク室(8b)の側に偏倚して配置され、
    前記流出孔(43,42,41)の配置に合わせて前記スカベンジポンプ(39,38,37)が前記クランク軸(7)に沿う方向に配置され、
    前記他の独立クランク室(8c)に接続されるスカベンジポンプ(37)と、該他の独立クランク室(8c)に隣接する独立クランク室(8b)に接続されるスカベンジポンプ(38)との間に、内燃機関に潤滑油を供給するフィードポンプ(36)が配置され
    ることを特徴とする多気筒4サイクル内燃機関。
  2. 前記クランク室(8)の下方に該クランク室(8)に対して密閉されるオイルパン(10)が配置され、前記各スカベンジポンプ(39,38,37)は、前記室壁が形成されるクランクケース(6)のオイルパン(10)との合わせ面(6b)を含む仮想平面(H)と前記室壁の外面との間でかつ前記合わせ面(6b)の内側に形成される凹部(6d)に配置されることを特徴とする請求項記載の多気筒4サイクル内燃機関。
  3. 前記スカベンジポンプ(39,38,37)と前記フィードポンプ(36)とが同軸に配置されるとともに、これらポンプの駆動軸が単一の共通軸とされたことを特徴とする請求項1または2記載の多気筒4サイクル内燃機関。
  4. 前記複数の独立クランク室(8a,8b,8c)に隣接してミッション室(9)が設けられ、前記スカベンジポンプ(39,38,37)の吐出ポ−ト(39b,38b,37b)が前記ミッション室(9)に接続されたことを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の多気筒4サイクル内燃機関。
  5. 前記複数の独立クランク室(8a,8b,8c)は、関係するピストンの数が多い独立クランク室(8a,8c)と、関係するピストンの数が少ない独立クランク室(8b)とを含み、関係するピストンの数が多い前記独立クランク室(8a,8c)に接続されるスカベンジポンプ(39,37)が、関係するピストンの数が少ない前記独立クランク室(8b)に接続されるスカベンジポンプ(38)より軸方向に厚く形成され、軸方向に厚く形成されたスカベンジポンプ(37)と軸方向にそれより薄いスカベンジポンプ(38)との間に前記フィードポンプ(36)が配置されたことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の多気筒4サイクル内燃機関。
  6. 関係するピストンの数が多い前記独立クランク室(8a,8c)に接続されるスカベンジポンプ(39,37)が軸方向の両端に配置され、関係するピストンの数が少ない前記独立クランク室(8b)に接続されるスカベンジポンプ(38)と前記フィードポンプ(36)とが、前記両端のスカベンジポンプ(39,37)の間に配置されたことを特徴とする請求項5記載の多気筒4サイクル内燃機関。
  7. 前記内燃機関は、気筒数が異なる2つのバンク(4F,4R)を有するV型内燃機関であり、関係するピストンの数が多い前記独立クランク室(8a,8c)が前記クランク軸(7)方向の両端に配置されるとともに、2つのバンク(4F,4R)のピストン(P1,P2;P4,P5)に関係し、両端の前記独立クランク室(8a,8c)の間に、一方のバンク(4F)のピストン(P3)にのみ関係する独立クランク室(8b)が配置されたことを特徴とする請求項5または6記載の多気筒4サイクル内燃機関。
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