JP4482972B2 - 光学薄膜製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は光学薄膜製造装置及びその構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学薄膜素子は、光の干渉効果を用いるため誘電体の光学薄膜厚:n×d(n:屈折率、d:物理膜厚)を観測制御して所望する特性を得る事が必要である。一般的な応用製品としては、メガネやCDピックアップ等の各種レンズ、及びOA機器のフロントパネル等に施される反射防止膜、更に液晶ビジョン用のダイクロイック(2色分解)ミラーや、照明用のコールドミラー、及び建材用窓ガラス等に施される熱反射膜などがある。
又、産業用としては、最近特に伸張著しい移動体通信と共に、今後大きく伸張すると期待されるLAN等の光通信、又超LSIデバイスの微細パターン形成の要であるステッパ光源の極狭帯域フィルターとして用いられるバンドパスフィルター(BPF)、DVD用偏向分離膜フィルター(PBS)等が代表的光学薄膜素子として上げられる。
このような光学薄膜業界、電子部品関連業界においては、ガラス、半導体、金属、セラミックス等の基板材料上に、高充填密度の光学薄膜を短時間で効率良く成膜する技術が強く望まれている。
【0003】
従来この種の薄膜は、蒸発源として10-4Pa程度まで排気させた高真空容器内の下部に設置した2電極間を短絡させる様に配置されたモリブデンやタングステンの板上に蒸発物質を置き、2電極間に交流電力(直流電圧でも可能)を印加し加熱させ蒸発させる抵抗加熱蒸発源や、電子銃を用い熱電子を蒸発物質に収束させて加熱させ蒸発させる電子銃加熱蒸発源を使用し、これら蒸発源に対向した場所に配置した基板に成膜する真空蒸着法、又は、10-4Pa程度まで排気させた高真空容器内の下部にイオンを発生させるイオン生成装置(イオンガン)やプラズマを発生させるプラズマ生成装置(プラズマガン)を配置し、イオンガンやプラズマガンからイオンやプラズマを生成させながら真空蒸着法と併用する成膜法によって製造されるのが一般的であった。
【0004】
図1は、イオンやプラズマを生成しながらの成膜法の概略図を示したもので、真空排気口(2)とガス導入口(3)を備えた真空槽(1)の内部には、基板(4)を取付けた基板ドーム(5)と、対向する位置に蒸発源(6)及びイオンガン(7)、熱電子放出機構(8)が設けられ、絶縁体(9)中を通る導線で設置されている該基板ドーム(5)は、加熱ヒータドーム(23)により加熱され、又、図示しない外部の基板ドーム回転用モータから基板ドーム回転機構を介して回転する。又、該基板ドーム(5)と蒸発源(6)の間には可動自在にシャッター(10)が設けられ、更にモニタ筒(17)に設置されたモニタリング基板(11)に堆積する光学薄膜を外部の光学式膜厚計(12)で観測制御しながら所望の光学薄膜を得ようとするものである。
【0005】
あらかじめ真空槽(1)を高真空領域(10-4Pa程度)まで真空排気口(2)を介してクライオポンプ等のポンプ(図示していない)により排気する。その後ガス導入口(3)からArや酸素等の放電用ガスを20sccm程度イオンガン(7)へ導入する。更に真空槽(1)へ酸素ガスなどを所望圧力(8×10-3〜3×10-2Pa程度)まで導入する。この状態で蒸発源(図示しない)から電力(600W〜3600W)を供給し、更にイオンガン(7)へ電力を供給して放電させる。前記イオンガンから出射されたイオン電流を基板上に適宜制御して照射する。ここで蒸発源シャッター(10)を解放しモニタリング基板(11)に堆積する光学薄膜を光学式膜厚計(12)で観測制御しながら成膜し、所望の膜厚で蒸発源シャッター(10)を閉じて成膜を完了する。
【0006】
一方、金属薄膜製造装置において、プラスチック、ガラス、セラミックス等の絶縁物材料の上に、付着性の良い金属被膜を生成する装置として、特公昭51−23376号に示される様に、蒸発源から蒸発した粒子を、高密度のプラズマ中を通過させる事により正イオン化し、高周波電圧(13MHz程度)を基板に印加する事により基板上に誘起される直流負電界により加速させ、基板表面に突入せしめ薄膜を生成するようにした構成で、粒子のイオンを基板表面の数原子層まで侵入させる事が出来、金属被膜の付着性を著しく改善したという事例が紹介されている。
【0007】
光学薄膜素子は一般に、真空蒸着法により高/低屈折率の誘電体膜が交互にガラス等の基板上に積層されており、素子によっては50層以上に及ぶ場合がある。このため、薄膜の充填密度(Packing density)が低いと湿度(H2O)の影響により経時変化が生じやすく安定な性能は得られにくい。真空蒸着法で20〜30層程度を成膜した近赤外域BPFの場合、温度湿度の環境変化(例:25℃50%→80℃95%)により、分光特性が長波長側へ50nm程度移動する(波長シフト)。例えば光通信の分野で使用する光学薄膜素子が波長シフトする事によって通信に支障を与えたり、通信不可能になる等の問題がある。
【0008】
光学薄膜の充填密度の向上を図る手段として、前述のようなイオンガンやプラズマガンからのイオンやプラズマを基板に照射させながら真空蒸着法と併用する方式がある。装置内部にイオン生成装置(イオンガン)やプラズマ生成装置(プラズマガン)を設置し、イオンやプラズマを併用しながら成膜する事によって、波長シフト量の少ない(1nm程度のシフト量)光学薄膜を得る事ができる。しかし、イオンガンやプラズマガンを使用するとイオンやプラズマの放出分布に指向性が生じるので、イオンガンやプラズマガン生成装置に対向配置された基板ドーム上で成膜された薄膜の屈折率に不均一な分布が生じる。イオンガンやプラズマガンを使用した場合、屈折率が実用上均一となるエリアは、基板ドーム中心部のみ(基板ドーム全面積の10〜20%)でしか所望する特性の薄膜を得る事が出来ない。
【0009】
又成膜処理時間も真空蒸着法よりかなり長時間を要し、例えば30層程度のBPSフィルター成膜時には、真空蒸着法では蒸発速度が高屈折率物質:0.5nm/s、低屈折率物質:1.0nm/s程度で成膜し1工程2時間くらいの時間で済むのに対し、イオンガンやプラズマガンを使用した場合の成膜速度は、高屈折率物質:0.1nm/s、低屈折率物質:0.5nmn/s程度で成膜するために1工程10時間と真空蒸着法と比較して約5倍の時間を要するため、所望の光学薄膜素子を生産効率良く形成する事は非常に困難であった。特公昭51−23376号に示される装置では基板ドーム上部にシールドが設けられている。基板ヒータドームがシールド上部にある場合、基板を300℃程度に加熱して生成を実施すると、板上のシールドが熱遮蔽し基板温度上昇を防げる問題がある。
【0010】
又、基板を300℃程度に加熱すると回転する基板ドームへ高周波を印加するコンタクト(リン青銅のバネ材等)が熱を受けて歪む。熱歪を受けたコンタクトはスプリング効果がなくなり基板ドームに対して接触抵抗が増大し、高周波電力を供給できなくなるという問題がある。光学用の成膜装置は、膜厚を観測制御する光学式膜厚計とモニタリング基板が装備される。この場合モニタリング基板には高周波電力が印加されていないので基板ドーム上の基板と屈折率の違いが生じるという問題がある。
【0011】
【発明の概要】
本発明は上記のような問題点を解決しようとするもので、高充填密度で所望する特性を持つ光学薄膜素子を短時間で効率良く生産する事の出来る光学薄膜製造装置を提供する事を目的とするものである。
【0012】
本発明は、前記特公昭51−23376号に示されるような高周波(RF)電力を基板へ印加して付着性の良い金属薄膜を得るという考え方を、光学(誘電体)薄膜を製造する装置にも摘要しようとするものである。高充填密度の光学薄膜を得る際、イオンやプラズマを併用しながら成膜する方式の装置を大型化しようとする場合、設置するイオンガンまたはプラズマガンを複数台必要とするため、価格的にも実用的ではない。そこで、基板ドームに直接高周波(周波数13MHz帯)を印加する方式(直接RF基板印加方式)に着目した。直接RF基板印加方式の原理は、グロー放電中の電子とイオンの易動度の差等から生ずる基板に誘起される負の自己バイアスにより加速されたイオンを膜表面上に射突させ、膜の充填密度を向上させようとするものである。
【0013】
具体的には、回転する基板ドームへ高周波電力を印加すると共に、本発明装置が従来の真空蒸着法としても使用可能とするために基板を加熱する機構を装備しているが、該基板ドームが高温状態でも効率良く高周波電力を印加する為に、自己潤滑材の2硫化タングステン(WS2)や2硫化モリブデン(MoS2)から成るコンタクトを介して高周波電力給電機構を備えている。基板ドームへ印加する高周波電力と同じ電力をモニタリング基板へ供給する際に、異常放電を抑制する為に、絶縁部材を使用してモニタ筒及びモニタセットプレートを真空槽から絶縁する構造としている。又、基板ドームと基板加熱ヒータドーム間での異常放電を抑制する為に、両者の間に取付けたシールドをメッシュ構造としている。使用するメッシュは基板温度を効率良く上昇させるためにメッシュの目の開きを大きくしたいが、メッシュの目の開きを大きくし過ぎると放電に対するシールド効果がなくなる不具合が発生する。これらの理由から、使用するメッシュは#9メッシュ(目の開き:約2mm)から#2.5メッシュ(目の開き:約9mm)で、このメッシュを使用した事により効率良く基板加熱ができる。更に、基板ドーム外周部におけるプラズマ密度の違いによる基板ドーム外周部の屈折率を改善する為に、基板ドームと外周のシールドとの間隔を可変する機構を設けた。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施例の構成の説明
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、図1の前記従来構成と同一、もしくは均等なものは同一符号を付すものとする。
【0015】
図2は、本発明の光学薄膜製造装置の概略構成図を示す。同図において符号(1)は真空排気口(2)とガス導入口(3)を備えた真空槽を示し、該真空槽(1)の内部には、基板(4)を取付けた基板ドーム(5)及びメッシュ構造としたシールド(13)と、対向する位置に蒸発源(6)及び熱電子放出機構(8)が設けられる。該基板ドーム(5)と蒸発源(6)の間には可動自在にシャッター(10)が設けられ、該基板ドーム(5)へは、外部の高周波電源(14)からマッチングボックス(15)を介して高周波電力給電機構(16)から高周波電力が供給される。この時、該基板ドーム(5)は、図示しない外部の基板ドーム回転用モータから基板ドーム回転機構を介して回転する。該基板ドーム(5)の近傍に設けられたモニタリング基板(11)に堆積する光学薄膜を外部の光学式膜厚計(12)で観測制御しながら所望の光学薄膜を得ようとするものである。
【0016】
図3は、高周波電力給電機構(16)の詳細図である。同図において符号(17)はモニタ筒を示し、モニタ筒(17)の内部にはモニタリング基板(11)をセットする構造である、モニタ筒(17)はモニタセットプレート(22)から絶縁部材(18)を使用し電気的に絶縁する機構とした。図3の斜線部分は高周波が印加される部分を示した。高周波は自己潤滑材の2硫化タングステン(WS2)コンタクト(21)を使用して、スプリングSで基板ドーム(5)へWS2コンタクト(21)を圧接する事で、回転する基板ドーム(5)へ効率よく印加できる構造となっている。
【0017】
図4は、モニタ筒(17)を絶縁部材(18)、絶縁部材(19)、及び絶縁部材(20)でモニタセットプレート(22)に取付ける詳細図である。同図において符号(17)はモニタ筒を示し、モニタ筒の内部にモニタリング基板(11)をセットする。モニタ筒(17)はモニタセットプレート(22)から絶縁部材(18)を使用し電気的に絶縁する機構とし、更に異常放電を防止するため、絶縁部材(19)絶縁部材(20)を使用し真空槽からも電気的に絶縁する機構とした。図4の斜線部分は絶縁部材を示した。
【0018】
図5は、基板ドーム(5)とメッシュ構造のシールド(13)との間隔を可変する詳細図を示す。シールド(13)は板状の構造物をネジで基板加熱ヒータドーム(23)及び真空槽(1)に固定している。基板ドーム(5)との間隔を変更する場合は、シールド(13)の板に開けられた長穴(a)の固定位置を変えて止め直す事で、縦方向に間隔を可変でき真空槽(1)の長穴(b)の固定位置を止め直す事で左右方向に可変できる構造としている。
【0019】
実施例の作用・動作の説明
図2の構成において、真空槽(1)の内部をあらかじめ高真空領域(5×10-4Pa程度)まで真空排気口(2)により排気する。その後ガス導入口(3)から放電用ガス(この場合は酸素)を圧力で8×10-3〜3×10-2Pa程度導入する。基板ドーム(5)に2硫化タングステン(WS2 )コンタクト(21)によって高周波電力を印加(50W〜3KW)すると、基板ドーム(陰極電極)と蒸発源(6)との空間にグロー放電が発生しプラズマ状態になる。該基板ドーム(5)に取付けられた基板(4)の表面には自己誘起された負の直流電界が生ずる。プラズマ化された放電用ガスは、基板表面に自己誘起された負の直流電界によって加速され、基板表面に突入する。この状態で蒸発源(6)に電力(600W〜3600W)を供給し、蒸発源シャッター(10)を解放すると、蒸発源(6)から蒸発した蒸発粒子は、このプラズマ中を通過して基板に到達する。モニタリング基板(11)に堆積する薄膜を光学式膜厚計(12)で観測制御し、所望の膜厚になったところで蒸発源シャッター(10)を閉じる。プラズマ放電空間の中に多くの高速粒子が存在する。この高速粒子が基板ドーム(5)や基板(4)に薄膜形成中に衝突し、運動エネルギーを与える効果や、原子拡散と化合促進などによる効果が高充填密度の薄膜を得られる理由と考えられる。
【0020】
図6は、従来のイオンやプラズマを併用しながらイオンガンを使用した成膜法と、本発明の直接RF基板印加の光学薄膜製造装置を用いて成膜した場合の屈折率の比較データを表すものである。
基板ドーム直径600mmを用いて直径76.2mmの基板上に厚さ200nmの5酸化タンタル(Ta25)を酸素雰囲気による圧力1.3×10-2Pa、高周波電力1KW、蒸発速度0.5nm/sの条件で成膜した場合を示す。屈折率分布は小数点以下3桁目の屈折率が判定できるようにエリプソメータ(観測波長:632.8nm)により測定した。図6の横軸は基板ドーム中心からの距離を、縦軸は屈折率を示す。従来のイオンやプラズマを併用しながらの成膜法の場合、基板全体にわたっての屈折率分布は約0.1で有ったものが、本発明の光学薄膜製造装置の場合、屈折率分布は0.003と大きく改善された。
【0021】
図7は、絶縁部材を使用してモニタ筒(17)及びモニタセットプレート(22)を真空槽(1)から絶縁する事で、高周波電力を安定に供給できる事を表したものである。
プラズマ発生用の高周波電源(14)は、インピーダンスが50Ωのケーブルで出力する。ところが負荷(高周波電力給電機構(16)、基板ドーム(5)等)インピーダンスは50Ωではなく、ケーブルを負荷に直接接続するとインピーダンスのミスマッチングによるRF電力の反射を生じ効率よく負荷への電力供給ができなく、高周波電源内部で出力損失が増大し、異常な電圧が発生して電源を損傷する可能性がある。この反射電力を減少させる目的でインピーダンス整合を行うためにマッチングボックス(15)がある。マッチングボックス(15)は2つのバリコンの調整により真空槽内部の機構・構造変化や成膜条件の変化により負荷インピーダンスが広範囲に変動してもインピーダンスマッチングを可能にしている。本発明では、基板ドームへ印加する高周波電力と同じ高周波の電力をモニタリング基板(11)へも印加する際に、異常放電を制御する為に、絶縁部材を使用してモニタ筒(17)及びモニタセットプレート(22)を真空槽(1)から絶縁する構造とした事で効率よく高周波を基板ドーム(5)へ給電する事ができた。例として、基板ドーム直径760mmを用いて、酸素雰囲気による圧力2.7〜1.3×10-2Pa、高周波出力1.5KWを連続して印加した際、モニタ筒(17)のみ絶縁した場合は高周波印加10分後から異常放電が発生し22分で高周波放電が持続しなく(使用不可能)なった。一方モニタ筒(17)とモニタセットプレート(22)を真空槽(1)から絶縁する機構を採用した事で、高周波を30分以上連続印加しても安定して電力を供給する事ができた。図7の横軸は時間を、縦軸は高周波反射電力を示す。
【0022】
図8は、回転する基板ドーム(5)が高温状態でも効率良く高周波電力を印加する為に、自己潤滑材の2硫化タングステン(WS2)コンタクト(21)から成る高周波電力給電機構(16)を使用する事で基板ドームが高温状態でも安定に高周波電力を給電できる事を示したものである。電力の供給部材としては、銅(Cu)製の接点バネ(Cuコンタクト)がある。しかし基板温度が上昇し180℃以上でCuコンタクトの劣化が始まり、200℃以上で高周波放電が持続しなく(使用不能)になる。本発明では自己潤滑材2硫化タングステン(WS2)コンタクト(21)を採用する事により基板(4)が300℃以上の高温状態でも効率良く高周波電力を印加する事ができた。図8の横軸は基板温度を、縦軸は高周波反射電力を示す。
【0023】
図9は、基板ドーム(5)と基板加熱ヒータドーム(23)間での異常放電を制御する為に、両者の間に取付けたシールド(3)をメッシュ構造として、効率良く基板加熱できる事を示したものである。基板ドーム直径760mmを用いて、ドーム上に直径30mmのガラス基板を設置し、温度調節器に温度を設定する事で、基板加熱ヒータドーム(23)に供給する電力を自動制御しながら加熱する。基板温度測定は非接触で計測可能な放射温度計にて測定した。シールドが板状(厚さ:1〜2mm、材質:ステンレス)の場合、シールドが無い時に比較し150℃低い温度であった。本発明では、シールドをメッシュ構造とする事でシールドが無い時とほぼ同じ10℃低い温度と改善する事ができた。図9の横軸は温度調節器設定温度を、縦軸は基板温度を示す。
【0024】
図10は、従来のイオンやプラズマを併用しながらの成膜法を用いて成膜した場合の波長移動量(波長シフト量)を表すものである。基板ドーム直径600mmを用いて直径30mmの基板上にTa25 とSiO2薄膜を交互に25層堆積した。酸素雰囲気による圧力2.7〜1.3×10-2Pa、アノード出力900mA、900V、蒸発速度Ta25 0.1nm/sとSiO2 0.1nm/sの条件で成膜した。波長シフト量の測定は環境試験をする前後において分光透過率測定を実施し、その分光特性のズレ量から判断し評価した。環境試験方法は、温度85℃、湿度95%の雰囲気に1000時間成膜した基板を放置した。図10の横軸は波長を、縦軸は透過率を示す。従来のイオンやプラズマを併用しながらの成膜法の場合、波長シフト量は、1〜2nmであった。
【0025】
図11は、本発明の光学薄膜製造装置を用いて成膜した場合の波長移動量(波長シフト量)を表すものである。基板ドーム直径600mmを用いて直径30mmの基板上にTa25 とSiO2薄膜を交互に25層堆積した。酸素雰囲気による圧力2.7〜1.3×10-2Pa、高周波出力1KW、蒸発速度Ta25 0.5nm/sとSiO2 0.6nm/sの条件で成膜した。波長シフト量の測定は環境試験をする前後において分光透過率測定を実施し、その分光特性のズレ量から判断し評価した。環境試験方法は、温度85℃、湿度95%の雰囲気に1000時間成膜した基板を放置した。図11の横軸は波長を、縦軸は透過率を示す。本発明の光学薄膜製造装置で成膜した場合の波長シフト量は0.1nm以下であった。波長シフト量をイオンやプラズマを併用しながらの成膜法と本発明の光学薄膜製造装置で成膜した場合で比較すると、従来のイオンやプラズマを併用しながらの成膜法のシフト量は1〜2nmで有ったものが、本発明の光学薄膜製造装置の場合は0.1nm以下と1/10に大きく改善された。
【0026】
図12は、従来のイオンやプラズマを併用しながらの成膜法と、本発明の光学薄膜製造装置を用いて成膜した場合の成膜処理時間を比較したものである。基板ドーム直径760mmを用いて波長:λ=600nm程度のPBSフィルターをTa25 とSiO2を用い交互で20層それぞれの成膜手法で堆積した。一方イオンやプラズマを併用しながらの成膜法は、酸素雰囲気による圧力2.7〜1.3×10-2Pa、アノード出力900mA、900V、蒸発速度Ta25 0.1nm/sとSiO2 0.2nm/sの条件で成膜した。本発明の成膜条件は、酸素雰囲気による圧力2.7〜1.3×10-2Pa、高周波出力1KW、蒸発速度Ta25 0.5nm/sとSiO2 1.0nm/sの条件で成膜した。図12の横軸は成膜手法を、縦軸は時間を示す。
【0027】
イオンやプラズマを併用しながらの成膜法と本発明の光学薄膜製造装置でそれぞれ成膜した場合の成膜処理時間を比較すると、成膜準備と基板取り出し時間はほぼ同一の合計1.5時間である。成膜時間は従来のイオンやプラズマを併用しながらの成膜法の場合は10時間程度で有ったものが、本発明の光学薄膜製造装置の場合は2時間で成膜処理時間は1/5と大きく改善された。
【0028】
図13は本発明の装置で、ドームとシールド間隔を変化させて成膜した場合のドーム内屈折率分布を示したものである。基板ドーム直径1150mmを用い、酸素雰囲気による圧力2.7×10-2Pa、高周波出力3KW、蒸発速度0.3nm/s、の条件でTiO2 を200nm成膜した。図13の横軸は、基板ドーム中心からの距離を、縦軸は、屈折率を示す。基板ドームとシールドとの間隔を30mm及び60mmでそれぞれ成膜した場合のドーム内屈折率分布を比較すると、基板ドーム中心から約500mmまではほぼ同一の屈折率値2.399〜2.406を示しているが、ドームとシールドとの間隔が60mmの場合基板ドーム中心から500〜540mmでは屈折率が2.385と極端に低下している。屈折率が低下する理由は基板ドーム中心部と周辺部でのプラズマ密度の違いで発生する。今回シールドとの間隔を可変できる機構とし、ドームとシールドとの間隔を30mmとする事で屈折率2.404と基板ドーム中心から約500mmまでの屈折率値とほぼ同程度まで改善する事ができた。
【0029】
本発明の構造は高周波を基板印加する様な成膜装置全てに転用可能である。図14はスパッタリング装置へ転用した例を示したもので、図2で示した本発明の光学薄膜製造装置との大きな違いは、高周波及び直流電力を電源切替スイッチ(26)を経てスパッタリングターゲット(24)へ印加する様な構造としたスパッタリング装置である。
【0030】
【発明の効果】
本発明では、回転する基板ドームへ高周波電力を直接印加すると共に、本発明の高周波電力給電機構や、異常放電を抑制するための絶縁構造、効率良く基板加熱を行うためのシールドのメッシュ構造、更に基板ドームと外周のシールド間隔を可変する機構等を採用した事によって、基板ドーム内屈折率分布が、従来は0.1であったものが0.003へ改善され、又波長移動量(波長シフト量)も、従来は1〜2nmであったものが0.1nmへ、1/10に改善。更に成膜処理時間も、従来10時間必要としたものが2時間へ、1/5に短縮された。この様に本発明によって、高充填密度の光学(誘電体)薄膜を基板ドーム内全域で良好な屈折率を誇る光学薄膜素子を短時間で効率よく生産する事が可能となり、光学及び電子デバイス製品の生産性を著しく向上した。その工業的価値は非常に顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来構成の説明図。
【図2】本発明の光学薄膜製造装置の概要説明図。
【図3】本発明の高周波電力供給部の詳細説明図。
【図4】本発明のモニタリング基板取付部の詳細説明図。
【図5】本発明の基板ドームとシールドとの間隔可変部の詳細説明図。
【図6】従来方法と本発明との基板ドーム内屈折率分布比較データ。
【図7】絶縁個所の違いによる耐久性の効果を比較した説明図。
【図8】コンタクト部材の違いによる耐熱性を比較した説明図。
【図9】シールド形状の違いによる基板温度の上昇効果を比較した説明図。
【図10】従来方法の環境試験前後における分光特性比較図。
【図11】本発明の環境試験前後における分光特性比較図。
【図12】従来方法と本発明の成膜処理時間比較図。
【図13】本発明でドームと外周シールド間隔を可変した場合のドーム中心からの距離と屈折率の関係を示す図。
【図14】スパッタリング装置へ転用した例を示す図。
【符号の説明】
1 真空槽
2 真空排気口
3 ガス導入口
4 基板
5 基板ドーム
6 蒸発源
7 イオンガン
8 熱電子放出機構
9 基板ドーム回転機構
10 シャッター
11 モニタリング基板
12 光学式膜厚計
13 シールド
14 高周波電源
15 マッチングボックス
16 高周波電力給電機構
17 モニタ筒
18 絶縁部材(a)
19 絶縁部材(b)
20 絶縁部材(c)
21 2硫化タングステン(WS2)コンタクト
22 モニタセットプレート
23 基板加熱ヒータドーム
24 スパッタリングターゲット
25 直流電源
26 電源切替スイッチ

Claims (2)

  1. 誘電体光学薄膜製造装置であって、
    成膜材料を蒸発させる蒸発源、
    成膜用の基板を搭載する基板ドーム、
    放電用ガスを導入するガス導入口、
    高周波電力を該基板ドームに直接印加する機構であって、該基板ドームに印加された高周波電力により該放電用ガスをプラズマ化し、プラズマ化された放電用ガスを基板表面に自己誘起された負の直流電界によって加速して薄膜形成中に該基板表面に突入させる機構、及び
    真空槽の内壁を前記基板ドームの裏面から遮るシールドを備え、
    前記基板ドームと前記シールドの間隔を可変とした誘電体光学薄膜製造装置。
  2. 請求項1記載の誘電体光学薄膜製造装置であって、さらに、該基板ドームを輻射加熱する基板加熱ヒータドームを備え、前記シールドがメッシュ状である誘電体光学薄膜製造装置。
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