JP4475180B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、このような場面で、車線逸脱防止のためにヨーモーメントを自車両に付与しても、当該先行車両(元々の追従対象車両)をACCのレーダが再び捕らえることができず、当該先行車両をACCのシステムが追従対象車両として再認識しなくなったり、また認識できても認識するまで時間を要したりする場合がある。
請求項1記載の車両の走行制御装置は、先行車両検出手段で検出した先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御する車速制御装置と、走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、自車両にヨーモーメントを付与して自車両が走行車線から逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置とを搭載する車両の走行制御装置である。
この車両の走行制御装置は、前記自車両が逸脱傾向となり、前記先行車両検出手段が自車レーンの前方を走行する先行車両を検出できなくなった場合、前記先行車両検出手段が前記自車レーンの前方を走行する先行車両を検出している期間中の当該先行車両の走行状態に基づいて、前記ヨーモーメントを付与する際の当該先行車両の走行位置を予測し、当該予測結果に基づいて自車両にヨーモーメントを付与することにより、前記先行車両検出手段が当該先行車両を検出でき、かつ自車両が走行車線から逸脱しないように、自車両にヨーモーメントを付与することを特徴とする。
実施形態は、本発明に係る車両の走行制御装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
また、この車両には、駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。駆動トルクコントロールユニット12は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比及びスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL,5RRへの駆動トルクを制御する。駆動トルクコントロールユニット12は、燃料噴射量や点火時期を制御したり、同時にスロットル開度を制御したりすることで、エンジン9の運転状態を制御する。この駆動トルクコントロールユニット12は、制御に使用した駆動トルクTwの値を制駆動力コントロールユニット8に出力する。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の自車両の位置を検出するために備えられている。例えば、撮像部13は、CCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。この撮像部13は車両前部に設置されている。
また、本発明は走行車線を白線に基づいて決定する構成に限定されるものではない。すなわち、走行車線を認識させるための白線(レーンマーカ)が走路上にない場合、画像処理や各種センサによって得られる道路形状や周囲環境等の情報から、自車両が走行に適した走路範囲や、運転者が自車両を走行させるべき走路範囲を推測し、走行車線として決定しても良い。例えば、走路上に白線がなく、道路の両側ががけになっている場合には、走路のアスファルト部分を走行車線として決定する。また、ガードレールや縁石等がある場合は、その情報を考慮して走行車線を決定すればよい。
また、この車両には、ナビゲーション装置14が設けられている。ナビゲーション装置14は、自車両に発生する前後加速度Yg或いは横加速度Xg、又は自車両に発生するヨーレイトφ´を検出する。このナビゲーション装置14は、検出した前後加速度Yg、横加速度Xg及びヨーレイトφ´を、道路情報とともに、制駆動力コントロールユニット8に出力する。ここで、道路情報としては、車線数や一般道路か高速道路かを示す道路種別情報がある。
また、この車両には、先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御するACC(adaptive cruise control)が搭載されている。車両には、このACC用として、レーザ光を前方に掃射して先行障害物からの反射光を受光することで、自車両と前方障害物との間の距離等を計測するためのレーダ16が設けられている。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う車線逸脱防止制御(車線逸脱防止装置として)の演算処理手順について、図2を用いて説明する。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、この図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
続いてステップS3において、車線逸脱傾向の判定を行う。この判定処理の処理手順は具体的には図3に示すようになる。また、図4には、この処理で用いる値の定義を図示している。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(2)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。
続いてステップS22において、逸脱判定をする。具体的には、推定横変位Xsと所定の逸脱傾向判定用しきい値XLとを比較する。
ここで、逸脱傾向判定用しきい値XLは、一般的に車両が車線逸脱傾向にあると把握できる値であり、実験等で得る。例えば、逸脱傾向判定用しきい値XLは、走行路の境界線の位置を示す値であり、下記(3)式により算出する。
XL=(L−H)/2 ・・・(3)
このステップS22において、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値XL以上の場合(|Xs|≧XL)、車線逸脱傾向ありと判定し、推定横変位Xsが逸脱傾向判定用しきい値XL未満の場合(|Xs|<XL)、車線逸脱傾向なしと判定する。
以上のようにステップS3において車線逸脱傾向を判定する。
方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS3で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、車線逸脱傾向なしとの判定結果に変更する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意思を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δとその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδとの両方が設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
このように、逸脱判断フラグFoutをONである場合において運転者が意識的に車線変更していないときには、逸脱判断フラグFoutをONに維持している。
続いてステップS5において、前記ステップS4の処理の結果、逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱防止のための警報として、音出力又は表示出力をする。
続いてステップS6において、車線逸脱防止制御として自車両を減速させる減速制御を行うか否かを判定する。具体的には、前記ステップS3で算出した推定横変位Xsから横変位限界距離XLを減じて得た減算値(|Xs|−XL)が減速制御判定用しきい値Xβ以上か否かを判定する。
先ずステップS31において、先行車両の走行状態情報を取得する。先行の走行状態情報として、ACC下でレーダ16により検出している先行車両との横方向の相対距離及び横方向の相対速度を取得する。
なお、追従対象車両が切り換わる直前の自車レーン先行車両について取得している横方向相対距離及び横方向相対速度は、それら各値について、追従対象車両が切り換わる直前の所定時間内の平均値であっても良い。
続いてステップS8において、車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントMsを算出する。
具体的には、前記ステップS3で得た推定横変位Xs及び横変位限界距離XL並びに前記ステップS7で得たヨーモーメント補正用ゲインKccに基づいて下記(4)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=Kcc・K1・K2・(|Xs|−XL) ・・・(4)
また、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがONの場合に算出され、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合に0に設定される。
Pgf=Kgv・Kgb・(|Xs|−XL−Xβ) ・・・(5)
このようにステップS9において、車線逸脱防止用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
続いてステップS10において、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、車線逸脱防止の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(6)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(7)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf,Pmrはそのブレーキ操作の操作量に応じた値になる。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(8)
ΔPsr=Kbr・Ms/T ・・・(9)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=Kbf・(Ms/|Ms|)・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(10)
ΔPsr=Kbr・(Ms/|Ms|)・Ms1/T ・・・(11)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、簡単のため前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(12)
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(13)
先ず、各センサ等から各種データを読み込むとともに(前記ステップS1)、車速Vを算出する(前記ステップS2)。
続いて、車線逸脱傾向の判定を行い、車線逸脱傾向があるときには、逸脱判断フラグFoutをONにして、さらに逸脱方向Doutを検出し、また、車線逸脱傾向がないときには、逸脱判断フラグFoutをOFFにする(前記ステップS3)。また、逸脱判断フラグFoutをONにした場合でも、運転者の車線変更の意思を判定し、運転者に車線変更する意思がある場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更して、運転者に車線変更する意思がない場合、逸脱判断フラグFoutをONに維持する(前記ステップS4)。
一方、車線逸脱防止制御として車両を減速させる減速制御を行うか否かを判定する(前記ステップS6)。ここで、減速制御する場合、減速制御作動判断フラグFgsをONにして、その減速制御の減速度を算出し(前記ステップS6、ステップS9)、その一方で、減速制御しない場合、減速制御作動判断フラグFgsをOFFにする(前記ステップS6)。
ACCが自車レーン先行車両101を追従対象車両と認識して自車両100を追従制御している場合において(同図(a))、自車両100の隣接車線方向へのヨー角が大きくなると、隣接車線先行車両102を自車両100のACCのレーダ16が認識するようになり、ACCによる追従対象車両が自車レーン先行車両101から隣接車線先行車両102に切り換わる(同図(b))。そして、当該切り換わりの直前に、自車両100では、自車レーン先行車両101の走行状態情報として、自車レーン先行車両101との横方向相対距離及び横方向相対速度等を取得する。そして、そのような自車レーン先行車両101の走行状態情報に基づいて、ヨーモーメント補正用ゲインKccを算出する。
これにより、車線逸脱防止制御による逸脱防止が完了した直後から、ACCによる追従制御が可能になる。例えば、車線逸脱傾向が検出された場合(車線逸脱防止制御前)に比べて、車線逸脱防止制御で逸脱防止を完了した直後における自車レーン先行車両101との車間距離が接近状態になっている場合でも、当該逸脱防止完了直後からACCによる追従制御が確実に作動することで、自車両100が減速制御されて車間距離が確保されるようになる。
例えば、図11に示すように、自車レーン先行車両101と隣接車線先行車両102とが並走している場合、すなわち、隣接車線先行車両102よりも自車レーン先行車両101の方が自車両100に対する車間距離が短かったりする場合でも本発明は作用する。
すなわち、前記実施形態では、自車レーン先行車両から隣接車線先行車両に追従対象車両が切り換わることを前提にしているが、追従対象車両である自車レーン先行車両を単に見失うロストの場合にも本発明を適用できる。
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
14 ナビゲーション装置
16 レーダ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
Claims (4)
- 先行車両検出手段で検出した先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御する車速制御装置と、走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、自車両にヨーモーメントを付与して自車両が走行車線から逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置とを搭載する車両の走行制御装置において、
前記自車両が逸脱傾向となり、前記先行車両検出手段が自車レーンの前方を走行する先行車両を検出できなくなった場合、前記先行車両検出手段が前記自車レーンの前方を走行する先行車両を検出している期間中の当該先行車両の走行状態に基づいて、前記ヨーモーメントを付与する際の当該先行車両の走行位置を予測し、当該予測結果に基づいて自車両にヨーモーメントを付与することにより、前記先行車両検出手段が当該先行車両を検出でき、かつ自車両が走行車線から逸脱しないように、自車両にヨーモーメントを付与することを特徴とする車両の走行制御装置。
-
先行車両検出手段で検出した先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御する車速制御装置と、走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、自車両にヨーモーメントを付与して自車両が走行車線から逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置とを搭載する車両の走行制御装置において、
前記先行車両検出手段が検出する自車レーンの前方を走行する先行車両の走行状態情報を記憶する走行状態情報記憶手段と、
前記先行車両検出手段が前記自車レーンの前方を走行する先行車両を検出できなくなった場合、前記走行状態情報記憶手段が記憶されている前記走行状態情報に基づいて、当該先行車両の走行状態を予測する走行状態予測手段と、
前記走行状態予測手段が予測した当該先行車両の走行状態に基づいて、前記先行車両検出手段が当該先行車両を検出できるように、前記ヨーモーメントを補正するヨーモーメント補正手段と、
を備えることを特徴とする車両の走行制御装置。
-
前記走行状態情報記憶手段は、前記走行状態情報として前記先行車両と自車両との横方向相対移動量及び横方向相対距離を記憶しており、前記走行状態予測手段は、前記横方向相対移動量及び横方向相対距離に基づいて、前記先行車両と自車両との相対位置関係を予測しており、前記ヨーモーメント補正手段は、前記相対位置関係に基づいて、前記ヨーモーメントの補正をすることを特徴とする請求項2記載の車両の走行制御装置。
-
前記先行車両検出手段が前記自車レーンの前方を走行する先行車両を検出できなくなった場合とは、前記先行車両検出手段による検出対象が前記自車レーンの前方を走行する先行車両から前記逸脱傾向を示す側の隣接車線を走行する先行車両に切り換わったことによるものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の走行制御装置。
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