JP4459212B2 - 単層カーボンナノチューブ含有組成物 - Google Patents

単層カーボンナノチューブ含有組成物 Download PDF

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Description

本発明は単層カーボンナノチューブ含有組成物に関し、さらに詳しくは、欠陥が少なく高品質の単層カーボンナノチューブ含有組成物に関する。
近年、カーボンナノチューブ(以下、単に「CNT」と略称する場合がある)の研究開発が盛んに行われている。このCNTのうち、特に単層CNTは、その特性、例えば形状、電子物性、吸着特性、機械的特性等を多方面にわたる用途に応用可能であることから、その開発が強く望まれている。
従来、CNTの代表的な製造法として、アーク放電法、レーザ蒸発法、及びCVD法などが知られている。
これらのうちアーク放電法は、大気圧よりやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒間にアーク放電を行うことにより、陰極堆積物中に多層CNTを生成するという方法である。この場合、炭素棒中にNi/Yなどの触媒を混ぜてアーク放電を行うと、容器内側に単層CNTを生成させることができる。このアーク放電法は、欠陥が少なく比較的品質の良いCNTを生成することができる利点があるが、その反面、i)アモルファス炭素が同時に生成される、ii)コストが高い、iii)大量合成には不向きであるなどの問題がある。
レーザ蒸発法は、900〜1300℃の高温雰囲気下で、Ni/Coなどの触媒を混ぜた炭素にYAGレーザなどの強いパルス光を照射することによりCNTを生成する方法である。比較的高い純度のCNTを得ることができ、また条件変更によりチューブ径の制御が可能という利点があるが、収量が少なく、工業的規模で実施することは難しいと言われている。
また、CVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)は、炭素源となる炭素化合物を500〜1200℃で触媒金属微粒子と接触させることによりCNTを生成する方法である。触媒金属の種類およびその配置の仕方、炭素化合物の種類などに種々のバリエーションがあり、条件の変更により多層CNTと単層CNTの何れも合成することができる。また、触媒を基板上に配置することにより、基板面に垂直に配向した多層CNTを得ることも可能である。
ダイらは、このCVD法として、一酸化炭素を原料に鉄カルボニルを触媒にして単層CNTを得る方法を開示している(Chemical Physiscs Letters,260(1996),471−475)。この方法は、原料をガスとして供給できるために大量合成に最も向いており、比較的単層CNTの比率も高いと言われているが、合成された単層CNTは一般に欠陥が多いという欠点を有している。また、単層CNTを生成するには、900℃以上の高温が必要である。また毒性の高い一酸化炭素、鉄カルボニルを使うため安全上の問題がある。CVD法による単層CNTの製造方法はその他多数提案されているが、いずれも実際に試してみるとCNT中の単層CNTの比率が20%以下と少ないという問題があった。
本発明の目的は、多層カーボンナノチューブ、アモルファス炭素、炭素ナノパーティクルなどの異物混入が少なく、或いは殆ど混入していない高品質で欠陥の少ない単層カーボンナノチューブを含有する単層カーボンナノチューブ含有組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、下記条件a)〜c)を満たす化学気相成長法で得られた単層カーボンナノチューブ含有組成物であることを特徴とするものである。
a)該単層カーボンナノチューブ含有組成物を昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が500℃以上であり、該ピークの半値幅が100℃以下であること。
b)透過型電子顕微鏡で100万倍以上で観察した時に単層カーボンナノチューブが観察されること。
c)該単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、
(1)1590cm-1付近にG bandが観察され及び該G bandが***していること、及び
(2)1350cm-1(D band)付近のピーク高さが1590cm-1付近のピーク高さの1/3以下であること。
また、本発明は、下記の条件a)及びb)を満たすことが好ましい
a)単層カーボンナノチューブ含有組成物を昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が570℃以上であり、該ピークの半値幅が80℃より小さいこと。
b)透過型電子顕微鏡で100万倍以上の写真に撮影したしたとき、100nm四方の視野面積の少なくとも10%がカーボンナノチューブであり、該カーボンナノチューブの70%以上が単層カーボンナノチューブであること。
さらに、下記するような構成をそれぞれ満たすことが好ましい
共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを258±5cm-1に有する、単層カーボンナノチューブ含有組成物。
共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の一番大きいピークと2番目に大きいピークとが、それぞれ201±5cm-1、258±5cm-1の位置にある、単層カーボンナノチューブ含有組成物。
共鳴ラマン散乱測定法(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを193±5cm-1に有する、単層カーボンナノチューブ含有組成物。
単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを280±5cm-1に有する、単層カーボンナノチューブ含有組成物。
上述した構成の本発明によれば、多層カーボンナノチューブ、アモルファス炭素、炭素ナノパーティクルなどの異物混入が少なく、或いは殆ど混入していない高品質で欠陥の少ない単層カーボンナノチューブを含有する組成物を得ることができる。
本発明の単層カーボンナノチューブ含有組成物は、酸素を有する化合物からなる炭素源又は酸素を有する化合物と炭素を有する化合物の混合物の雰囲気を、加熱温度下に減圧条件で触媒と接触させることにより生成される。このような工程を経て生成された単層カーボンナノチューブ含有組成物は、欠陥が少なく品質の良い単層カーボンナノチューブを含有させることができる。
本発明の単層カーボンナノチューブ含有組成物の製造において、原料としては、酸素を有する化合物からなる炭素源を使用するか、或いは酸素を有する化合物と炭素を有する化合物の混合物を使用する。前者の原料は、酸素と炭素の両方を有する単一分子からなる化合物であるのに対して、後者の原料は、酸素を有する化合物と炭素を有する化合物の2分子以上の混合物である。しかし、好ましくは前者の酸素と炭素を有する単一分子からなる化合物を使用するとよく、更に好ましくは、酸素を有する有機物を使用するのがよい。
一酸化炭素は酸素と炭素を一分子内に有する化合物ではあるが有機物でないので、分子内に酸素を有する有機物には含まない。また、一酸化炭素は、安全性に問題があるため、本発明に使用する原料として適さない。ただし、中間生成物で一酸化炭素(CO)が生成するのはかまわない。
分子内に酸素を有する有機物としては種類は特に限定されないが、好ましくはアルコール類及び/又はエーテル類を使用するとよい。アルコール類の種類は特に限定されないが、好ましくは、炭素数が1〜10個のアルコールがガス化しやすいのでよい。また、アルコール類はOH基が1個であるものに限られず、2個又はそれ以上であってもよい。また、エーテル類も特に種類は限定されないが、好ましくは、炭素数が1〜10個のエーテルがガス化しやすいのでよい。また、エーテル類は−O−基が1個であるものに限定されず、2個又はそれ以上であってもよい。
使用可能なアルコール類として、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、n−アミルアルコール、iso−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、及びn−デカノールなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、エーテル類として、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
アルコール類及びエーテル類は、本発明の製造方法で用いる触媒にも依存するが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及びiso−プロパノールの少なくとも1種を用いるのが好ましい。
本発明において「酸素を有する化合物と炭素を有する化合物の混合物」のうち酸素を有する化合物とは前述の通りであり、また炭素を有する化合物とは、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、ヘキサン、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの炭化水素を例示することができる。ピリジンやアミンのように炭素以外の原子が入っていてもかまわない。混合物の例としては、水とアセチレンなどの炭化水素、NOX、SOXとアセチレンなどの炭化水素の混合物等である。
上述した酸素を有する化合物からなる炭素源や、酸素を有する化合物と炭素を有する化合物の混合物は、原料として反応領域に供給するとき、ガス状の雰囲気として供給する。このような雰囲気は、液体の化合物においては、その蒸気を用いて作り出すことができ、また流れは真空ポンプなどで排気したり、キャリアガスを使うことにより作ることが可能である。
本発明において、触媒は加熱温度下の反応領域で上記原料の雰囲気と接触するように配置される。触媒の配置は、反応領域に静置するようにしてもよく、或いは流動させて原料の雰囲気ガスと接触するようにしてもよい。静置の場合は、単層カーボンナノチューブをバッチ式で製造する場合に使用される。また、単層カーボンナノチューブを連続的に製造する場合は、触媒を流動させることが好ましい。ここで流動とは、反応領域に触媒を供給し、単層カーボンナノチューブを生成させた後、その反応領域から単層カーボンナノチューブが生成した触媒を除去させること、即ち反応領域内で触媒を移動させるように存在することを言う。
原料ガスの雰囲気は、加熱温度下に触媒と接触させて単層カーボンナノチューブを生成するが、その加熱温度の下限値としては、上記雰囲気及び触媒に依存するが、500℃、好ましくは550℃、より好ましくは650℃にするのがよい。すなわち、加熱温度は500℃以上、好ましくは550℃以上、より好ましくは650℃以上にするのがよい。本発明の製造方法では、このように比較的低温で単層カーボンナノチューブを合成することができる。そのため耐熱性が比較的低い材料、例えば配線済みのシリコン基板であっても、その基板に単層カーボンナノチューブの合成及び単層カーボンナノチューブによる配線を行うことができる。
加熱温度の上限値は、上記原料ガスの雰囲気及び触媒に依存するが、1500℃であること、好ましくは1000℃、より好ましくは900℃であるのがよい。すなわち、加熱温度は1500℃以下、好ましくは1000℃以下、より好ましくは900℃以下にするのがよい。
また、加熱温度を制御することにより、生成する単層カーボンナノチューブの径を制御することができる。使用する触媒等にも依存するが、一般に加熱温度を低くすると、得られる単層カーボンナノチューブの径を小にすることができ、逆に加熱温度を高くすると、径を大にすることができる。直径が小さい単層カーボンナノチューブほど電子放出材料特性に優れ、コンポジット材料にした場合の添加効果が得られやすくする。従来公知の方法は、高温でしか単層カーボンナノチューブを生成することができなかったので、触媒粒子が凝集して大きくなり、結果的に細い単層カーボンナノチューブが得られなかった。
本発明の単層カーボンナノチューブ含有組成物を生成するための製造方法によれば、原料を酸素を有する化合物からなる炭素源、好ましくはアルコール類及び/又はエーテル類などの酸素を有する有機物にすることにより、比較的低温で単層カーボンナノチューブを合成することができる。特に、径の小さい単層カーボンナノチューブを合成することができる。また、本発明の製造方法によれば、太いカーボンナノチューブが生成しないように抑制することができる効果がある。
本発明に使用する触媒としては、従来からカーボンナノチューブの合成に使用されている公知の触媒をいずれも用いることができる。例えば、カーボンナノチューブの代表的な製造法である(1)アーク放電法、(2)レーザ蒸発法、及び(3)CVD法などに従来から用いられている触媒を用いることができる。より具体的には、担持体に金属触媒を担持させたものなどを用いることができる。
これら金属触媒を例示すれば、例えば、Fe、Co、Ni、Mo、Pt、Pd、Rh、Ir、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びLuなどである。好ましくは、Fe、Co、Ni、Mo、Pt、Pd、Rh、Ir、Y、及びCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びLuなどを挙げることができる。また、これらのうちの組合せ、例えばFe/Co、Ni/Co、Fe/Mo、Co/Moなど;並びに上記金属の酸化物と上記金属の組合せ;並びに上記金属の酸化物同士の組合せなどを用いることができる。
金属触媒の担持体としては、例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライト、MgO、ジルコニア、チタニアなどの金属触媒担持体に用いることができる。勿論、担持体としては、上記材料以外も用いることができる。例えば、担持体として、配線済みのシリコン基板を用い、適切な金属触媒を、該シリコン基板の所望の箇所に担持させることにより、該基板に単層カーボンナノチューブの合成及び単層カーボンナノチューブによる配線を行うことができる。
担持体に金属を担持する方法としては、特に限定されないが、水、アルコールなどの溶媒に金属塩を溶かし、担持体を含浸させ、場合によって撹拌などの混合操作を加え、乾燥させることによって得ることができる。該乾燥体は、加熱することによって担持した塩が分解し、本発明で使用する触媒となる。加熱する条件は、特に限定されないが、温度は金属塩の分解温度以上である。加熱の雰囲気も、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス下、還元性ガス下、還元性ガスを含む不活性ガス下、真空下で行う。好ましくは、不活性ガス下又は還元性ガスを含む不活性ガス下がよい。
担持体としては、反応温度に耐えられるものであれば特に限定されないが、MgO及びゼオライトが好ましい。MgOは後の分解が容易であり、酸で触媒担体を容易に除去できるので好ましい。また、ゼオライトは、理由は明らかではないが、単層カーボンナノチューブの収率が高いため好ましい。特にゼオライトは、他の担体に比べてカーボンナノチューブの収率を高くすることができる。
本発明においてゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有する結晶性無機酸化物からなるものである。ここに分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2nmから2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。
結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートとしては、特に種類は制限されるものではないが、例えば、アトラスオブゼオライトストラクチュアタイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W.M.Meier,D.H.Olson,Ch.Baerlocher,Zeolites,17(1/2),1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質を挙げることができる。
また、本発明におけるゼオライトは、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含まれる。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型、LTL型、LTA型、FER型であるが、これに限定されない。入手の容易さから、結晶性アルミノシリケートでFAU型、MFI型、MOR型、BEA型、LTL型、LTA型、FER型である方が好ましい。
ゼオライトを触媒担体として金属を担持し、炭化水素と高温で接触させて多層カーボンナノチューブを作ることは知られている(Chemical Physics Letters 303,117−124(1999))。また、800℃を越える温度でアセチレンと金属を担持したゼオライトを接触させることにより、ごく一部ではあるが単層カーボンナノチューブが得られ、800℃より低い温度では単層カーボンナノチューブが得られないことが知られていた(第21回フラーレン総合シンポジウム講演要旨集、H13年7月)。
しかし、本発明では、エタノール等の含酸素有機物と金属触媒を担持したゼオライトを接触させることにより、単層カーボンナノチューブが高純度、高選択率、高収率で得られることを見出したものである。従来のゼオライトを用いる単層カーボンナノチューブとの違いは、(1)原料ガスが含酸素有機物であること、(2)反応温度が800℃以下で単層カーボンナノチューブができること、(3)生成したカーボンナノチューブは主成分が単層カーボンナノチューブであり、その品質、純度が著しく高いことである。
製造手法自体は、従来公知の技術の組み合わせではあるが、その効果は予想外に高い意外性を有していることが注目に値する。本発明では、800℃以下の低温で単層カーボンナノチューブを製造することができるため、耐熱性のゼオライトを使う必要がない。たとえば、あらゆる範囲の結晶性アルミノシリケートが使用可能である。
たとえば、結晶性アルミノシリケートゼオライトの中には、耐熱性が低いものもあるが、本発明の製造方法であれば問題なく使用することができる。ゼオライト上に金属を担持した触媒を用いた場合、最も収率が高くなる理由は現時点では明らかではないが、ゼオライトが有する均一な細孔を利用してうまく金属が分散されているためであると考えられる。従って、収率を重んじる場合、外表面に細孔が多い方が好ましい。すなわち、2次元、3次元の細孔構造を有しているものが好ましい。結晶サイズも小さい方が好ましいが、小さすぎると扱いが困難になることが予想されるので、一般に市販されていたり、研究で使用、合成されているゼオライトの範囲内であれば大きく限定されること無く使用することができる。
結晶性アルミノシリケートゼオライトのシリカアルミナ比は、特に限定されないが、2〜500の範囲であるものが好ましい。反応温度の制約を受けないため、従来単層カーボンナノチューブを作るために必要とされていた高耐熱性は必要としない。そのため、一般に耐熱性が低いとされる(1)結晶性アルミノフォスフェートや(2)結晶性アルミノシリケートゼオライト、(3)結晶性アルミノシリケートから、アルミニウムを除去した脱アルミニウムゼオライト(脱アルミニウム処理されたハイシリカ型結晶性アルミノシリケート)を利用することができる。これらのゼオライトは、耐熱性が低い、構造欠陥が多いなど、高温でのカーボンナノチューブの製造にとって好ましくないと推定できるが、本発明の製造方法は低温で単層カーボンナノチューブが合成できるため、充分に使用することができる。これらのゼオライトは、アルミノフォスフェートの極性部分、アルミノシリケートの極性部分、脱アルミニウム処理されたハイシリカ型結晶性アルミノシリケートのアルミニウムが抜けた後の欠陥サイトが金属塩との親和性が高く好ましく用いることができる。
また、担持体を利用せずに金属触媒のみであっても良い。例えば、金属塩及び/又は有機金属化合物をアルコール等に溶かして反応管上部から噴霧させ、反応領域を通過させて触媒を反応領域に存在させることができる。有機金属化合物とは、具体的にはフェロセン、コバルトセンなどである。
しかし、触媒粒子の凝集を避ける意味から、担持体に触媒を担持するようにしたものが好ましい。
本発明では、酸素を有する化合物からなる炭素源(原料ガス)を触媒と接触させるが、そのガスの雰囲気としては、圧力又は分圧が0.1〜200Torr(0.01〜27kPa)、好ましくは0.2〜50Torr(0.02〜6.7kPa)、より好ましくは1〜20Torr(0.13〜2.7kPa)である。より好ましくは、1〜10Torr(0.13〜1.3kPa)以下である。ここで分圧が高いと、単層カーボンナノチューブへのアモルファスカーボンの付着などが多くなる。また、分圧が低すぎると単層カーボンナノチューブの収量が少なくなる。全体の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれの条件でもかまわない。また、原料ガス以外の不活性ガスなどが共存していてもかまわない。圧力は特に限定されないが、操作の容易性、単層カーボンナノチューブへのアモルファスカーボンの付着が少ないなど点で、常圧または減圧下で行うことが好ましい。
原料ガスは流れを作るようにすることが好ましい。具体的には、真空ポンプなどで酸素を有する化合物の炭素源(原料ガス)の流れを作るか、又はキャリアガスを利用するとよい。
キャリアガスとは、ガスの流れを作るためのガスである。特に限定されないが、主には無機ガスを利用するとよい。キャリアガスは無機ガスであれば、特に限定されないが、特に不活性ガスが反応に影響を与えないので好ましい。例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等を好ましく使用することができる。原料ガスを低分圧にした上で、原料ガスの流れを作る点では、特に真空ポンプなどを用い、減圧下で行うことが好ましい。ポンプの手前には、これらの原料ガスを冷却などによりトラップし、トラップされた原料ガスのもととなる液体は回収して原料として再利用または燃やすなどしてエネルギー源として使用することが好ましい。キャリアガスで原料蒸気を送るときも同様である。
本発明によれば、さらに具体的にした単層カーボンナノチューブの製造方法として、下記の方法を提供することができる。
第1番目の製造方法は、
a)反応器内に触媒を配置する工程;及び
b)前記触媒に、アルコール類及びエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸素を有する有機物を、該酸素を有する有機物の圧力又は分圧を0.1〜200Torr(0.01〜27kPa)にし、かつ温度500〜1500℃で接触させることによりカーボンナノチューブを生成する工程;
からなり、前記生成されたカーボンナノチューブは前記触媒の一端に付着するように得られると共に、該カーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブからなる、ことを特徴とする。
第2番目の製造方法は、
a)反応器内に触媒を配置する工程;及び
b)前記触媒に、アルコール類及びエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸素を有する有機物を、該酸素を有する有機物の圧力又は分圧を0.1〜200Torr(0.01〜27kPa)にし、かつ温度500〜1500℃で接触させることによりカーボンナノチューブを生成する工程;
からなり、前記生成されたカーボンナノチューブは前記触媒の一端に付着するように得られると共に、該カーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡で100万倍以上の写真に撮影したとき、100nm四方の視野面積の少なくとも30%がカーボンナノチューブであると共に、該カーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブである、ことを特徴とする。
第3番目の製造方法は、
a)反応器内に触媒を存在させる工程;
b)前記触媒に、アルコール類及びエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸素を有する有機物を温度500〜1500℃で接触させることによりカーボンナノチューブを生成する工程;及び
c)前記b)の工程を通過後の前記酸素を有する有機物を回収し、該酸素を有する有機物を前記b)の工程に再利用する工程;からなる、ことを特徴とする。
また、第4番目の製造方法は、
a)反応器内に触媒を配置する工程;
b)前記反応器内を最高温度500〜1500℃まで昇温する間、該反応器内に不活性ガス及び/又は還元性ガスを流入する工程;
c)前記最高温度に達した後、該反応器内を真空にする工程;及び
d)前記最高温度に維持した反応器内に、アルコール類及びエーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸素を有する有機物をその圧力又は分圧が0.1〜200Torr(0.01〜27kPa)になるように流入し、前記触媒と接触させてカーボンナノチューブが該触媒の一端に付着するように生成する工程;
からなり、前記触媒の一端に付着するように生成したカーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブである、ことを特徴とする。
本発明の製造方法のメカニズムは完全には解明していないが、次のようなものであると考えられる。すなわち、加熱温度下であって且つ触媒付近で、酸素を有する化合物からなる炭素源、好ましくは酸素を有する有機物、特に好ましくはアルコール類又はエタノール類エーテル類は、OHラジカル又は酸素ラジカルを生じ、このOHラジカル又は酸素ラジカルは、ダングリングボンドを有する炭素原子と反応するものと考えられる。
すなわち、安定な単層カーボンナノチューブの一部となった炭素原子は維持する一方、それになり損なったアモルファスカーボンはOHラジカル又は酸素ラジカルの攻撃を受けて除去される。このように、単層カーボンナノチューブの生成と精製を同時に行うため、極めて選択的に単層カーボンナノチューブを生成することができる。すなわち、本発明反応においては、酸素を有する化合物からなる炭素源が存在することにより、このメカニズムを実現することができる。アルコール類及び/又はエーテル類は、これを同時に満たすものとして好ましく用いられる。
なお、アモルファスカーボンの生成が少ない方法として、高温・高圧のCOガスを用いる手法があるが、この場合は非常に高温にする条件によりナノチューブのアニーリングを行っている。しかしながら、本発明の製造方法は、アニーリングも必要とせず、比較的低温で合成することができる。
その理由は明らかではないが、酸素を有する化合物からなる炭素源が水素を含んでいることが重要であると考えられる。触媒と酸素を有する化合物の炭素源が接触し、分解して生じた水素ガスが触媒を活性化、余分な酸素の除去などに働き、反応温度を低減させる等の効果を発しているものと推測できる。すなわち、酸素、炭素、水素を含有する原料が好ましく、好ましい原料として酸素を有する有機物が挙げられる。この上位概念として、炭素源、酸素源、水素源を別々に供給することも本発明の範囲内である。
本発明の製造方法で得られるカーボンナノチューブは、その一端に触媒が付着し、該カーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡(TEM)で100万倍以上で観察すると、100nm四方の視野の中で視野面積の少なくとも10%がカーボンナノチューブで、該カーボンナノチューブの70%以上が単層カーボンナノチューブである写真が得られる。すなわち、高純度・高収率である。
本発明においては、条件を選べば、さらに高純度の単層カーボンナノチューブが得られ、その生成したカーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡で100万倍以上で観察すると、100nm四方の視野の中で視野面積の少なくとも30%がカーボンナノチューブであり、該カーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブである写真を得ることができる(図2参照)。
従来の製造方法で生成される単層カーボンナノチューブは、アモルファスカーボンや大量の多層カーボンナノチューブとの混合物であったり、触媒金属が単層カーボンナノチューブの一端だけでなく、あらゆる場所に見られるものしかなかった。従って、上述のような透過型電子顕微鏡写真を得ることはできなかった。透過型電子顕微鏡で100万倍で観察するとは、20万倍で測定して写真を5倍に引き伸ばすような観察も意味する。該透過型顕微鏡は、高分解能透過型電子顕微鏡で観察する方が好ましい。
また、本発明の製造方法で得られる単層カーボンナノチューブは、その単層に欠陥が少ないか或いは無く、非常に高品質のものである。単層カーボンナノチューブの欠陥は、透過型電子顕微鏡で観察することができる。単層カーボンナノチューブの壁が途中で途切れて見えたりする部分を欠陥とする。
欠陥が少ないことは、次のように定義することもできる。すなわち、本発明の製造方法で得られる単層カーボンナノチューブを含む組成物を、昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が500℃以上であることである。好ましくはピーク位置は540℃以上であることである。すなわち、耐熱性や耐酸化性が高い。なお、熱分析については後述する。
従来の製造方法で得られる単層カーボンナノチューブは、酸化触媒となる触媒が多量に付着していたり、たとえ金属触媒を取り除いても欠陥が多く、空気中で熱分析すると低温で酸化燃焼する結果しか得られなかった。本発明で得られる単層カーボンナノチューブは、触媒や触媒担体がついた状態、すなわち出来たままの状態で熱分析しても上記のように耐酸化性が高い結果となる。もちろん、単層カーボンナノチューブ含有組成物中の触媒の濃度を減らしていけば、カーボンナノチューブの耐熱性は高くなる。上記ピーク位置が、550℃以上のもの、560℃以上のもの、570℃以上のもの、580℃以上のものが得られる。
このように耐熱性・耐酸化性の高い単層カーボンナノチューブは、今まで得られていなかったことである。本発明において初めて得られるようになったのである。また、上記ピークの半値幅は、100℃以下である。これもピーク位置と同様に、単層カーボンナノチューブ含有組成物中の触媒濃度を減らせば、すなわちカーボンナノチューブの含量を増やせば半値幅は小さくすることができる。本発明の製造方法によれば、半値幅が100℃以下のもの、90℃以下のもの、80℃以下のもの、70℃以下のもの、最もシャープなものとしては60℃以下のものも得られる。半値幅が小さいと言うことは、純度が高く、欠陥サイトが少なく、単層カーボンナノチューブの直径分布が均一であることを示している。
また、本発明で得られる単層カーボンナノチューブは、その主成分が単層カーボンナノチューブであり、共鳴ラマン散乱測定法によりその直径を見積もることができる。直径は、以下の式で求める。
(単層カーボンナノチューブの直径(nm))
=248/(RBMのラマンシフト(cm-1))
なお、RBMについては後述する。
本発明において、共鳴ラマン散乱測定法により得た平均径とは、共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)をしたときに得られる150−300cm-1付近(310cm-1迄も含む)のピークから求めた直径とピーク高さをかけ合わせたものを合計し、ピーク高さの合計で割ったものと定義する。共鳴ラマン散乱測定法によるピーク高さに定量性があるかどうか議論の余地があり、実際の平均径とは異なる可能性はあるが、透過型電子顕微鏡の結果では、限られた視野であること、直径を求めるのに労力がかかることから、本発明においてこのような方法で平均径を定義することとする。
本発明の製造方法によると、上述のように高品質、高純度の単層カーボンナノチューブを得ることができる。そこで、本発明の製造方法により得られた単層カーボンナノチューブを含む組成物も本発明の範囲内にする。本発明の単層カーボンナノチューブ含有組成物は、下記(1)の条件を満たす化学気相成長法で得られた単層カーボンナノチューブ含有組成物とする。好ましくは下記(2)〜(6)の構成をみたすとよい。これらは、本発明によれば条件をコントロールして作りわけることができる。
(1)a)単層カーボンナノチューブ含有組成物を昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が500℃以上であり、該ピークの半値幅が100℃以下であること。
b)透過型電子顕微鏡で100万倍以上で観察した時に単層カーボンナノチューブが観察されること
c)単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)で観察したとき、
(1)1590cm-1付近にG bandが観察され及び該G bandが***していること、
(2)1350cm-1(D band)付近のピーク高さが1590cm-1付近のピーク高さの比が1/3以下であること。
(2)以下の条件を満たす単層カーボンナノチューブ含有組成物。
a)単層カーボンナノチューブ含有組成物を昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が570℃以上であり、該ピークの半値幅が80℃より小さいこと。
b)単層カーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡で100万倍以上の写真に撮影したとき、100nm四方の視野面積の少なくとも10%がカーボンナノチューブであると共に、該カーボンナノチューブの70%以上が単層カーボンナノチューブであること。
(3)単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)で観察したとき150〜300cm-1の間の最大ピークを258±5cm-1に有する単層カーボンナノチューブ含有組成物。
(4)単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)で観察したとき150〜300cm-1の間の一番大きいピークと2番目に大きいピークが201±5cm-1、258±5cm-1の位置にある単層カーボンナノチューブ含有組成物。
(5)単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長633nm)で観察したとき150〜300cm-1の間の最大ピークを193±5cm-1に有する単層カーボンナノチューブ含有組成物。
(6)単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長633nm)で観察したとき150〜300cm-1の間の最大ピークを280±5cm-1に有する単層カーボンナノチューブ含有組成物。
昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が500℃以上である。ここで、熱分析とは一般にTG/DTAと呼ばれる装置による分析である。TG分析(TGA)とは加熱していったときの重量減少を測定するものであり、DTAは加熱していったときの発熱、吸熱量を測定するものである。燃焼による重量減少の一次微分曲線とは、一般にDTGと呼ばれるものである。燃焼によるかどうかは、DTAで発熱のピークがでれば燃焼と見なす。
TGAによって,生成された単層カーボンナノチューブの収率と品質が評価できることはよく知られている。本発明の製造方法で生成した試料のTGAの例を図16に示す。
本発明のTGAの測定手順は以下の通りである。約10mgの生成試料を用いて,100℃にて120分間保持して吸着水を取り除いた後に5℃/分のレートで昇温した。雰囲気としては空気を用いた。図16には、重量変化(TG)、示差熱分析(DTA)、重量変化微分(DTG)を示す。DTAのリファレンスとしては、空の白金パンを用いた。250℃から400℃におけるわずかな重量増加は主に触媒金属の酸化によるもの、400℃から500℃における重量減少はアモルファスカーボンの酸化分解反応、500℃から600℃における重量減少が単層カーボンナノチューブの酸化分解反応、800℃より高温での残留物は、ゼオライトと金属触媒である。本発明においては、500℃から700℃の間の重量減少分を単層カーボンナノチューブと見なした。すなわち、単層カーボンナノチューブの収率とは500℃〜700℃の重量減少率である。
単層カーボンナノチューブの酸化分解反応温度は、ナノチューブ直径とチューブ壁の欠陥構造に強く依存することが知られている。ナノチューブ直径が大きいほど高温となり,欠陥が少なく高品質であるほど高温となる。
すなわち、燃焼による重量減少の一次微分曲線(DTG)のピーク位置が高いほど、欠陥が少なく、耐熱性が高い。従来の製造方法で得られる単層カーボンナノチューブは、酸化触媒となる触媒が多量に付着していたり、たとえ金属触媒を取り除いても欠陥が多く、空気中で熱分析すると低温で酸化燃焼する結果しか得られなかった。本発明の製造方法で得られる単層カーボンナノチューブは、触媒がついた状態(触媒を除去していない状態)で熱分析しても上記のように耐酸化性が高い結果となる。もちろん、単層カーボンナノチューブ含有組成物中の触媒の濃度を減らしていけば、すなわち、単層カーボンナノチューブの含量を増やしていけば、カーボンナノチューブの耐熱性は高くなる。実施例からもわかるように、反応条件をコントロールすることにより、前記ピーク位置が、540℃以上のもの、550℃以上のもの、560℃以上のもの、570℃以上のもの、580℃以上のものが得られる。
このように耐熱性の高い単層カーボンナノチューブは、今まで世の中に存在しなかった。本発明において初めて得られるようになったのである。また、前記ピークの半値幅は、100℃以下である。これもピーク位置と同様、単層カーボンナノチューブ組成物中の触媒濃度を減らせば、半値幅は小さくなる。反応条件をコントロールすれば、半値幅が100℃以下のもの、90℃以下のもの、80℃以下のもの、70℃以下のもの、最もシャープなものとしては60℃以下のものも得られる。
本発明の単層カーボンナノチューブは、合成したままの状態、即ち触媒がついた状態でも、上記のように耐熱性を高くすることができる。触媒を除去したり、或いは真空中で焼き鈍しすることによって、更に耐熱性を高くできることが予想できる。
本発明の単層カーボンナノチューブ含有組成物は、共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)で観察したとき、1590cm-1付近にG bandが観察され及び該G bandが***していることが必須である。この***は欠陥の少ないカーボンナノチューブに特に得られる***である。勿論、本発明の製造方法で得られる単層カーボンナノチューブでも、この***を有さない場合もあるが、反応条件を選べば、G bandに***のある単層カーボンナノチューブを得ることができる。
本発明の単層カーボンナノチューブ含有組成物は、共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)で観察したとき、1350cm-1(D band)付近のピーク高さと1590cm-1付近のピーク高さの比が1/3以下であること必須である。前記1350cm-1(D band)付近のピーク高さが1590cm-1付近のピーク高さの比は少ない方が、得られた単層カーボンナノチューブは高品質であることを表している。その比は、好ましくは1/10以下でり、更に好ましくは1/20以下である。これも条件をコントロールすれば狙ってD/G比が小さいものを得ることができる。本発明のラマンのピーク位置において「付近」とは、±10cm-1のことを言う。
単層カーボンナノチューブの直径をコントロールできることは好ましく、本発明では温度、原料の分圧でコントロール可能であり、該単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを258±5cm-1に有する単層カーボンナノチューブ含有組成物や、カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを193±5cm-1又は280±5cm-1に有する単層カーボンナノチューブ含有組成物を得ることができる。特に、本発明の単層カーボンナノチューブは、励起波長488nmで測定したときに、RBMの中で258±5cm-1のピークが最も大きいか、2番目に大きいのが特徴である。258±5cm-1のピークが2番目に大きいときは、1番大きいピークは、201±5cm-1であることが特徴である。
共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)により得たそれらのピークから、前述のように平均径を求めると、平均径が1.2nm以下の単層カーボンナノチューブが得られている。単層カーボンナノチューブは次のような理由から細い方が好ましい。
(1)電子放出材料として用いた場合電子放出しやすい。
(2)樹脂などとの複合材料にした場合添加効果が大きい。
平均径は1.1nm以下、好ましくは1.0nm以下にコントロールして作ることができる。
本発明の単層カーボンナノチューブは、高純度であることも特徴であり、該カーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡で100万倍以上で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の少なくとも30%がカーボンナノチューブで該カーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブである写真を得ることができる。
本発明の製造方法によれば、上記のような単層カーボンナノチューブを得ることができ、また上記のような単層カーボンナノチューブを含む組成物を得ることができる。
本発明の製造方法の工程は、触媒を電気炉などに置き、その触媒の雰囲気を上記雰囲気としつつ上記加熱温度までにすることにより実施することができる他、予め雰囲気及び温度を本発明の所望の条件にして、その条件下に触媒を置いても実施することことができ、いわゆる燃焼反応的に実施することができる。
本発明によって得られた単層カーボンナノチューブは、現在実施されているか又はその可能性が示唆されている分野、例えばナノスケール配線、電界効果トランジスタ、電界放出ディスプレイ用エミッタ、リチウム二次電池負極材料などの各種電子デバイス素子、ガス吸着材、水素吸蔵材料、各種複合材料などに応用することができる。この他に、単層カーボンナノチューブの特性により、種々の分野に応用することができる。
上述したように本発明によれば、多層カーボンナノチューブ、アモルファス炭素、炭素ナノパーティクルなどが混入していない、高品質で欠陥が少ない、耐熱性・耐酸化性の高い単層カーボンナノチューブを製造することができる。また、高品質で欠陥が少ない単層カーボンナノチューブを安全に、かつ収率良く大量に生産することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例1
〔触媒の合成〕
Y型ゼオライト(HSZ−390HUA(東ソー(株)製:シリカ/アルミナ比=約400))約1g、酢酸鉄(Fe((CH3COO)2Fe)及び酢酸コバルト((CH3COO)2Co・4H2O)を準備した。鉄及びコバルトがそれぞれ2.5wt%となるように、エタノール20cm3中に溶解し、さらにY型ゼオライトを混合した。その後得られたものを10分間超音波にかけ、80℃で24時間乾燥させて、黄白色粉末の触媒を得た。
〔単層CNTの合成〕
上記黄白色粉末の触媒を石英ボートの上にのせ、電気炉内の石英チューブ内に設置した。電気炉内を所望温度(600℃、650℃、700℃、800℃、900℃)に昇温するまでの間(約30分間)、石英チューブ(内径27mm)内をAr雰囲気下にした。具体的には、Arガスを200sccmで流入させた。
所望温度に達した後、石英チューブ内を真空にし、その後約10分間、その温度を維持しつつ、エタノール雰囲気下にした。なお、この際のエタノール圧は5〜10Torr(0.67〜1.3kPa)であり、真空ポンプによって100〜300sccmの流れを作った。この流れは、時間当たりのエタノールの減量から計算できる。次いで、降温して、石英ボート上に黒粉A−1〜A−5を得た。
得られた黒粉A−1〜A−5をラマン分光分析(励起波長488nm)、SEM(図1)及びTEM(図2及び図3)で観測した結果、直径0.8〜1.5nmの品質のよい単層カーボンナノチューブであることを確認した。
表1にこれらの結果を示す。また、ラマン分光分析の結果を、図6に示す。なお、図6において、単層カーボンナノチューブ(単層CNTと略記)の直径は、以下の式より換算した。
(単層CNTの直径(nm))=248/(RBMのラマンシフト(cm-1))
なお、RBMに関しては後述する。
Figure 0004459212
表1からわかるように、温度が高いほど、径が大きい単層カーボンナノチューブを得ることができた。また、図1〜図3に示すSEM像及びTEM像から、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。
図3により一端に触媒が付着しており、図2より透過型電子顕微鏡で約110万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の少なくとも30%がカーボンナノチューブで該カーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブである写真が得られることがわかる。さらに、図5からも、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。
すなわち、1590cm-1付近にG bandが観察されたこと及び700℃以上での反応では該G bandが***していること;150〜300cm-1に単層カーボンナノチューブ由来であり、該単層カーボンナノチューブの直径と関連するピーク(RBM:radial breathing mode)が観察されたこと;並びに本発明の単層カーボンナノチューブに不所望なアモルファス炭素由来のピークが1350cm-1(D band)が観察されないか又は観察されてもそのピークが小さいことが確認された(表7)。
さらに、サンプルA−4は昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した結果、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が543℃であった。ピークの半値幅は、162℃であった(図18)。
また、サンプルA−4を、488nm、514nm、633nmの励起波長で測定したラマン分光分析の結果を図15に示した。488nmのラマン分析の結果では、最大ピークは258±5cm-1で、2番目に高いピークは201±5cm-1であることがわかる。また、633nmのラマン分析の結果では、最大ピークを193±5cm-1に有していることがわかる。
さらにその他のサンプルについて、励起波長633nmで測定したラマン分析のRBM(150−300)中の最大ピーク位置については表1に示した。励起波長488nmでのRBMピーク位置の結果は表7に示した。
実施例2
実施例1で用いたエタノールの代わりに、メタノールを用いて同様に、黒粉、即ち単層カーボンナノチューブA−6〜A−8を得た。この結果を表2に示す。また、ラマン分光分析の結果を図7及び図8に示す。ラマン分析結果のD/G比は図7から読みとり、計算結果を表7に示した。
Figure 0004459212
表2からわかるように、温度が高いほど径の大きな単層カーボンナノチューブを得ることができた。また、図示しないTEM(SEM)像(但し、図1〜図3と同様の像)から、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。さらに、ラマン分光分析の結果からも、実施例1と同様な確認ができた。
実施例3
実施例1で用いた触媒Fe/Coの代わりに、Ni/Coを用いて、同様に黒粉、即ち単層カーボンナノチューブA−9を得た。この結果を表3に示す。また、ラマン分光分析の結果を図9及び図10、表7に示す。
Figure 0004459212
図示しないTEM(SEM)像(但し、図1〜図3と同様の像)から、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。さらに、ラマン分光分析の結果からも、実施例1と同様な確認ができた。
実施例4
実施例1で触媒Fe/Coの担持体ゼオライトの代わりに、MgOを用いて、同様に黒粉、即ち単層カーボンナノチューブA−10を得た。この結果を表4に示す。
Figure 0004459212
図示しないTEM(SEM)像(但し、図3と同様の像)から、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。さらに、図示しないラマン分光分析の結果からも、実施例1と同様な確認ができた。
実施例5
実施例1で合成した単層カーボンナノチューブA−4と同様な方法により、単層カーボンナノチューブA−11及びA−13を得た。但し、単層カーボンナノチューブA−11の場合、エタノール圧を1Torr(0.013kPa)、流れを60sccmとし、A−13の場合、エタノール圧を13Torr(1.7kPa)、流れを1840sccmとした。これらの調製条件と共に、得られた単層カーボンナノチューブの平均径を表5に示す。表5において、単層カーボンナノチューブA−12は実施例1での単層カーボンナノチューブA−4に相当する。また、単層カーボンナノチューブA−11〜A−13のラマン分光分析の結果を図11に示す。さらに、該ラマン分光分析から得た単層カーボンナノチューブの直径分布を図12に示す。ラマン分光分析から解析結果は表7に示した。
Figure 0004459212
図示しないTEM(SEM)像(但し、図1〜図3と同様の像)から、単層カーボンナノチューブA−11〜A−13は、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。また、表5並びに図11及び図12から、炭素源の圧力変化及び流量変化により、次のことが考察される。
即ち、炭素源の圧力及び流量は、炭素源と触媒とが衝突する頻度を表していると考えられる。炭素源の圧力が低く、例えば6Torr(0.78kPa)以下では、衝突頻度が低く、単層カーボンナノチューブがアニールするのに十分な時間があると考えられる。そのため、炭素源の圧力が低く、例えば6Torr(0.78kPa)以下では、比較的径の大きな単層カーボンナノチューブを得ることができ、その径分布はほぼ同一になると考えられる。
一方、炭素源の圧力が比較的高い場合、例えば13Torr(1.7kPa)又はそれ以上の場合、衝突頻度が高まり、単層カーボンナノチューブがアニールするのに十分な時間が減少する傾向が生じるものと考えられる。したがって、比較的高圧の場合、例えば13Torr(1.7kPa)又はそれ以上の場合などでは、アニールに時間がかかる比較的径の大きな単層カーボンナノチューブの相対量が減少する傾向が生じるものと考えられる。
実施例6
実施例1で用いたFe/Coの代りにCo(5wt%)を用い、エタノールの代りにジエチルエーテルを用い、ジエチルエーテルの圧力を20Torr(2.7kPa)とした以外は、実施例1と同様な方法により、黒粉、即ち単層カーボンナノチューブA−14〜A−16を得た。用いた加熱温度及び結果を表6に示す。また、単層カーボンナノチューブA−14〜A−16のラマン分光分析の結果を図13に示す。さらに、該ラマン分光分析から得た単層カーボンナノチューブの直径分布を図14に示す。また、ラマン分光分析の解析結果D/G比は表7に示した。
Figure 0004459212
表6からわかるように、温度が高いほど、平均径が大きい単層カーボンナノチューブを得ることができた。また、図示しないTEM(SEM)像(但し、図1〜図3と同様の像)から、欠陥がなく非常に品質の高い単層カーボンナノチューブであることが確認できた。さらに、ラマン分光分析の結果からも、実施例1と同様な確認ができた。
実施例7
実施例1の条件で,電気炉温度を800℃とし,エタノール圧を10Torr(1.3kPa)として,反応時間を(10分,30分,60分,120分,300分)と変えた以外は、実施例1と同様な方法により、黒粉、即ち単層カーボンナノチューブA−17〜A−21を得た.電気炉温度及び結果を表8に示す。A−17とA−4は同一サンプルである。
Figure 0004459212
また、単層カーボンナノチューブA−17〜A−21のTGの結果を図17にDTGの結果を図18に、ラマン分光分析の結果を図19に示す。さらに、該ラマン分光分析から得た単層カーボンナノチューブの直径分布を図20に示す。
図17および表8から,反応時間を増加させてもアモルファスカーボンの生成量はほとんど増えず,単層カーボンナノチューブのみが単調に増加することがわかる.また,図18より,単層カーボンナノチューブの酸化分解温度は,反応時間の増加(10,30,60,120,300分)とともに、543,557,565,563,587℃と上昇する。また、半値幅は、162,112,94,83,59℃と減少する。この理由は、図20の直径分布からわかるように,相対的に太いナノチューブ(酸化分解温度が高い)が均一に生成されているためと考えられる。
Figure 0004459212
実施例8
エタノール圧を5Torr(0.67kPa)とした以外は、実施例7と同様な方法により、黒粉、即ち単層カーボンナノチューブA−22〜A−26を得た.電気炉温度及び結果を表9に示す。
Figure 0004459212
実施例7および実施例8の単層カーボンナノチューブ収率の反応時間依存性を図21に示す。反応時間を増加させると、収率がほぼ単調に増加し、最大の収率は25wt%に達する(10Torr(1.3kPa),300分)。このとき、触媒金属に対する単層カーボンナノチューブの割合は、500%となり、現在まで知られている他の単層カーボンナノチューブの製造方法の収率を遙かに上回る。
実施例9
実施例5と同様の条件で圧力を変化させた実験を行い、TGAを測定した。TGを図22に,DTGを図23に示す。
エタノール圧力を2Torr(0.27kPa)から増加させていくと、単層カーボンナノチューブの収率は増加するが,10Torr(1.3kPa)以上ではその増加がとまり、10Torr(1.3kPa)と20Torr(2.7kPa)ではほぼ同じ収率となっている.これは,実施例5のところでも記載したが、圧力を大きくすることで単層カーボンナノチューブのアニーリング時間が不足し、これ以上の高収率にならないものと考えられる。
実施例10
実施例1で調製した黄白色粉末の触媒を石英ボートにのせ、電気炉内の石英チューブ内に設置した。電気炉内を800℃に昇温するまでの間(約30分間)、石英チューブ(内径27mm)内をAr雰囲気下にした。具体的には、Arガスを200sccmで流入させた。
温度が800℃に達した後、Arガス流量を600sccmし、Arガスをエタノール(0℃)をバブリングしながら30分間、その温度を維持しつつ流し、系内をエタノール雰囲気にした。なお、この際のエタノール分圧は、0℃の蒸気圧であって12Torr(1.6kPa)であり、約10sccmの流れを作った。次いで、降温して、石英ボート上に黒粉を得た。
得られた黒粉をラマン分光分析(励起波長488nm)、SEM及びTEMで観測した結果、直径0.8〜1.5nmの品質のよい単層CNTであることを確認した。
633nmで測定したラマンスペクトルの150〜300cm-1の中で最も高いピーク位置は193cm-1であった。
実施例11
実施例1で調製した黄白色粉末の触媒を石英ボートにのせ、電気炉内の石英チューブ内に設置した。電気炉内を800℃に昇温するまでの間(約30分間)、石英チューブ(内径27mm)内をAr雰囲気下にした。具体的には、Arガスを200sccmで流入させた。
800℃に達した後、Arガス流量を600sccmし、Arガスをエタノール(−5℃)をバブリングしながら30分間、その温度を維持しつつ流し、系内をエタノール雰囲気にした。なお、この際のエタノール分圧は、−5℃の蒸気圧であり5〜10Torr(0.67〜1.3kPa)の間であり、約5−10sccmの流れを作った。次いで、降温して、石英ボート上に黒粉を得た。
得られた黒粉をラマン分光分析(励起波長488nm)、SEM及びTEMで観測した結果、直径0.8〜1.5nmの品質のよい単層カーボンナノチューブであることを確認した。
633nmで測定したラマンスペクトルの150〜300cm-1の中で最も高いピーク位置は193cm-1であった。
実施例12
実施例1で調製した黄白色粉末の触媒を石英ボートにのせ、電気炉内の石英チューブ内に設置した。電気炉内を850℃に昇温するまでの間(約30分間)、石英チューブ(内径27mm)内をAr+水素(水素3体積%)雰囲気下にした。具体的には、Ar・水素混合ガスを200sccmで流入させた。
850℃に達した後、石英チューブ内を真空にし、その温度を維持しつつ、エタノール雰囲気下にした。エタノール雰囲気にする時間を10分、60分、120分と変更した。なお、この際のエタノール圧は10Torr(1.3kPa)であり、真空ポンプによって300sccmの流れを作った。
生成したサンプルを、昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合のTG、DTGの結果を図24に示した。燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置は590℃で、半値幅は70℃であった。実施例7と同様に、TGから収率を求めた結果、32%であった。実施例7の同じ反応時間の結果の約3倍の収率が得られていることがわかる。
比較例1
CNI社製HipCO法で生成した単層カーボンナノチューブ(触媒金属除去品)のラマンスペクトルを測定した。RBMの最大ピークは励起波長488nmで測定すると202cm-1、励起波長514nmで測定すると186cm-1、励起波長633nmでは220cm-1であった。尚、ラマンスペクトルのG bandにショルダーは見られるものの***は見られなかった。488nmで測定したスペクトルからの平均径は1.21nmであった。
産業上の利用可能性
本発明はカーボンナノチューブの生産及び応用分野に有効に利用することが出来る。
実施例1で得られた単層カーボンナノチューブのSEM像を示す写真である。 実施例1で得られた単層カーボンナノチューブのTEM像を示す写真である。 実施例1で得られた単層カーボンナノチューブのTEM像を示す写真である。 実施例1の単層カーボンナノチューブA−4のラマン分光分析(488nm)結果を示す図である。 実施例1の単層カーボンナノチューブA−1〜A−5のラマン分光分析(488nm)結果を示す図である。 実施例1の単層カーボンナノチューブA−1〜A−5のラマン分光分析(488nm)から得た、温度変化に伴う単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。 実施例2の単層カーボンナノチューブA−6〜A−8のラマン分光分析(488nm)を示す図である。 実施例2の単層カーボンナノチューブA−6〜A−8のラマン分光分析(488nm)から得た、温度変化に伴う単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。 実施例3の単層カーボンナノチューブA−9のラマン分光分析(488nm)を示す図である。 実施例3の単層カーボンナノチューブA−9のラマン分光分析(488nm)から得た、単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。 実施例5の単層カーボンナノチューブA−11〜A−13のラマン分光分析(488nm)を示す図である。 実施例5の単層カーボンナノチューブA−11〜A−13のラマン分光分析(488nm)から得た、単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。 実施例6の単層カーボンナノチューブA−14〜A−16のラマン分光分析(488nm)を示す図である。 実施例6の単層カーボンナノチューブA−14〜A−16のラマン分光分析(488nm)から得た、単層カーボンナノチューブの直径分布を示す図である。 実施例1の単層カーボンナノチューブA−4の励起波長488nm、514nm、633nmのラマン分光分析結果を示す図である。 熱分析測定結果(TG、DTA,DTG)の見方を説明する図である。 実施例7で合成した単層カーボンナノチューブのTGを示す図である。 実施例7で合成した単層カーボンナノチューブのDTGを示す図である。 実施例7で合成した単層カーボンナノチューブのラマン分光分析(488nm)結果を示す図である。 実施例7で合成した単層カーボンナノチューブのラマン分光分析(488nm)結果(RBM)を示す図である。 実施例7及び実施例8における単層カーボンナノチューブの収率の時間依存性を示す図である。 実施例9で合成した単層カーボンナノチューブのTGを示す図である。 実施例9で合成した単層カーボンナノチューブのDTGを示す図である。 実施例12で合成した単層カーボンナノチューブのTG及びDTGを示す図である。 実施例12で合成した単層カーボンナノチューブのラマン分光分析(488nm)結果を示す図である。

Claims (20)

  1. 下記条件a)〜c)を満たす化学気相成長法で得られた単層カーボンナノチューブ含有組成物。
    a)該単層カーボンナノチューブ含有組成物を昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が500℃以上であり、該ピークの半値幅が100℃以下であること。
    b)透過型電子顕微鏡で100万倍以上で観察した時に単層カーボンナノチューブが観察されること。
    c)該単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、
    (1)1590cm-1付近にG bandが観察され及び該G bandが***していること、及び
    (2)1350cm-1(D band)付近のピーク高さが1590cm-1付近のピーク高さの1/3以下であること。
  2. 前記熱分析の燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が540℃以上である、請求項1に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  3. 前記熱分析の燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が550℃以上である、請求項1または2に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  4. 前記熱分析の燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が580℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  5. 前記熱分析の燃焼による重量減少の一次微分曲線のピークの半値幅が70℃以下である、請求項1〜のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  6. 前記1350cm-1(D band)付近のピーク高さが1590cm-1付近のピーク高さの1/10以下である、請求項1〜のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  7. 前記1350cm-1(D band)付近のピーク高さが1590cm-1付近のピーク高さの1/20以下である、請求項1〜のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  8. 前記カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを258±5cm-1に有する、請求項1〜のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  9. 前記カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の一番大きいピークと2番目に大きいピークとが、それぞれ201±5cm-1、258±5cm-1の位置にある、請求項1〜のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  10. 前記カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを193±5cm-1に有する、請求項1〜いずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  11. 単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを280±5cm-1に有する、請求項1〜10いずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  12. 前記カーボンナノチューブ含有組成物中の単層カーボンナノチューブを共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で測定した平均径が1.2nm以下である、請求項1〜11いずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  13. 前記カーボンナノチューブ含有組成物中の単層カーボンナノチューブを共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)により測定した平均径が1.1nm以下である、請求項1〜12のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  14. 前記カーボンナノチューブ含有組成物中の単層カーボンナノチューブを共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)により測定した平均径が1.0nm以下である、請求項1〜13いずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  15. 前記カーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡により100万倍以上の写真に撮影したとき、100nm四方の視野面積の少なくとも30%がカーボンナノチューブであり、該カーボンナノチューブの95%以上が単層カーボンナノチューブである、請求項1〜14いずれかに記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  16. 下記条件a)及びb)を満たす請求項1に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
    a)単層カーボンナノチューブ含有組成物を昇温速度5℃/分で空気中で熱分析した場合、燃焼による重量減少の一次微分曲線のピーク位置が570℃以上であり、該ピークの半値幅が80℃より小さいこと。
    b)透過型電子顕微鏡で100万倍以上の写真に撮影したしたとき、100nm四方の視野面積の少なくとも10%がカーボンナノチューブであり、該カーボンナノチューブの70%以上が単層カーボンナノチューブであること。
  17. 共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを258±5cm-1に有する、請求項16に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  18. 共鳴ラマン散乱測定法(励起波長488nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の一番大きいピークと2番目に大きいピークとが、それぞれ201±5cm-1、258±5cm-1の位置にある、請求項16に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  19. 共鳴ラマン散乱測定法(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを193±5cm-1に有する、請求項16に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
  20. 前記単層カーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン散乱測定法(励起波長633nm)で観察したとき、150〜300cm-1の間の最大ピークを280±5cm-1に有する、請求項16に記載の単層カーボンナノチューブ含有組成物。
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