JP4450830B2 - 光ピックアップ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、複数の波長のレーザ光を記録媒体に照射する光ピックアップに関する。
【0002】
【背景技術】
光ディスクとしてCDやDVDが知られており、これら両方に対して情報の読み書きが可能な情報記録再生装置(ドライブ装置)が普及している。CDとDVDでは記録再生に使用するレーザ光の波長が異なるため、上記のようなドライブ装置として、CD用のレーザ光の波長(約780nm、以下「赤外波長」とも呼ぶ。)と、DVD用のレーザ光の波長(約660nm、以下「赤波長」とも呼ぶ。)のレーザ光を出射可能な2波長レーザを搭載した2波長互換型の光ピックアップを用いたものが知られている。一般的に、2波長レーザは、2つの波長のレーザダイオード(LD)を1つのパッケージに搭載したものである。
【0003】
赤波長と赤外波長の2波長レーザを用いた光ピックアップでは、光ピックアップ上における各波長のLDの物理的な位置が異なる。このため、上記のような光ピックアップでは、単一の受光素子により光ディスクからの戻り光を受光するために、2つのLDの間隔を補正するための光学素子を用いている。この光学素子は、回折素子(ホログラム素子)により構成され、2つの波長のレーザ光の光軸を一致させる機能を有している。
【0004】
なお、2波長レーザを用いた光ピックアップにおいて、光検出器上における光ディスクからの戻り光の光軸を調整する機能を有するものが、例えば特許文献1及び2に記載されている。なお、特許文献2は、光源として2波長レーザを用いた場合に、レーザ光が光源から記録媒体に到るまでの往路において発生する色収差の補正及びレーザ発光点の位置ずれを補正する素子を記載している。
【0005】
しかし、近年では、さらに波長の短いレーザ光(約405nm、以下「青波長」とも呼ぶ。)を用いた光ディスクとして、いわゆるブルーレイディスク(BD)が提案されている。このため、CD、DVDに加え、BDに対しても情報の読み書きが可能な互換型ドライブ装置を実現するためには、上記のような2波長互換型の光ピックアップを使用することはできず、3波長互換型の光ピックアップが必要となる。
【0006】
また、BDにおいては、CDやDVDと比較して、開口率(NA)が大きいため、ディスクのカバー層の厚み誤差により大きな球面収差が発生するという問題がある。よって、BDの再生においては、この球面収差を検出して補正するために、光ピックアップに球面収差検出機能を搭載する必要が生じうる。なお、球面収差検出機能を搭載した光ピックアップの一例が特許文献3に記載されている。
【特許文献1】
特開2003−177226号公報
【特許文献2】
特開2002−237081号公報
【特許文献3】
特開2003−45048号公報
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、2波長レーザを用いた3波長互換型の光ピックアップにおいて、適切にレーザ光の光軸調整を行うとともに、必要に応じてBDに対する球面収差の検出を行うことが可能な光ピックアップを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、光ピックアップは、第1の波長の光を出射する光源と、第2の波長の光及び第3の波長の光を異なる発光点から出射する2波長光源と、前記第1乃至第3の波長の光を記録媒体に照射する光照射手段と、前記記録媒体による前記第1乃至第3の波長の光の反射光を受光する単一の受光素子と、前記光照射手段と前記受光素子との間であって、前記記録媒体からの戻り光のみが通過する経路に配置され、前記第1乃至第3の波長の光の各々に対して異なる回折効果を奏するホログラム素子と、を備え、前記ホログラム素子は、前記第1及び第2の波長の光の0次光を前記受光素子の中央に導くとともに、前記第3の波長の光の1次光を前記受光素子の中央に導くことにより、前記受光素子に入射する前記第1及び第2の波長の光と前記第3の波長の光との間の光軸ずれを補正し、前記ホログラム素子は、前記第1の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光の光量と等しいか又は少ない光量で前記受光素子に導き、前記ホログラム素子は、前記第2の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光量より小さい光量で前記受光素子に導き、前記ホログラム素子は、前記第3の波長の光の1次光を、当該ホログラム素子に入射する光量より小さい光量で前記受光素子に導く。
【0009】
上記の光ピックアップは、例えばBD、DVD及びCDに対する互換性を有するドライブ装置などに搭載することができ、BD用の青波長を第1の波長、DVD用の赤波長を第2の波長、CD用の赤外波長を第3の波長とすることができる。光ピックアップは、記録又は再生の対象となる記録媒体の種類に応じて、第1乃至第3の波長のレーザ光を記録媒体へ照射し、記録媒体からの反射光を受光素子により受光する。光ピックアップを小型化するために、第2及び第3の波長の光は単一の2波長光源より生成することとし、かつ、全ての波長の反射光を単一の受光素子で受光する構成とする。各波長の光に対して異なる光学的効果としての回折効果を奏するホログラム素子を、光照射手段と受光素子との間であって、記録媒体からの戻り光のみが通過する経路に配置することにより、各波長の光を利用して、適切に情報の記録及び再生が可能となる。
【0010】
前記2波長光源は、前記第2の波長の光及び前記第3の波長の光を、異なる発光点から出射する。前記ホログラム素子は、前記第1及び第2の波長の光の0次光を前記受光素子の中央に導くとともに、前記第3の波長の光の回折光を前記受光素子の中央に導くことにより、前記受光素子に入射する前記第1及び第2の波長の光と前記第3の波長の光との間の光軸ずれを補正する。
【0011】
2波長光源は、LDなどの物理的に独立な2つの発光素子を利用するので、2波長光源から出射される2つの波長の光は光軸がずれている。そこで、ホログラム素子を利用して、両者の光を単一の受光素子の中央に導く。具体的には、第2の波長の光の0次光と、第3の波長の光の回折光を受光素子の中央に導く。また、第1の波長の光と第2の波長の光が受光素子の中央に入射するように、第1の波長の光を出射する光源と2波長光源とを配置する。これにより、3波長の光を、単一の受光素子により検出することが可能となる。
【0012】
前記ホログラム素子は、前記第2の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光量より小さい光量で前記受光素子に導く。例えば記録媒体がDVDである場合などには、記録パワーが大きく、記録媒体の反射率が高く、受光素子の感度が高いので、受光素子の出力が飽和してしまうことがありうる。そこで、ホログラム素子により、受光素子に入射する第2の波長の光の光量を減少させることにより、受光素子の出力が飽和することを防止することができる。
【0013】
また、前記ホログラム素子は、前記第3の波長の光の1次光を、当該ホログラム素子に入射する光量より小さい光量で前記受光素子に導く。例えば記録媒体がCDである場合なども、記録パワーが大きく、記録媒体の反射率が高く、受光素子の感度が高いので、受光素子の出力が飽和してしまうことがありうる。そこで、ホログラム素子により、受光素子に入射する第3の波長の光の光量を減少させることにより、受光素子の出力が飽和することを防止することができる。
【0014】
また、前記ホログラム素子は、前記第1の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光の光量と等しいか又は少ない光量で前記受光素子に導く。例えば記録媒体がBDである場合などには、DVDやCDなどと比較して記録媒体の反射率が低く、受光素子の感度も低い。よって、ホログラム素子を、第1の波長の光をなるべく減衰させずに受光素子に入射されるように構成する。これにより、第1の波長の光のS/Nを確保することができる。
【0015】
上記の光ピックアップの一態様では、前記ホログラム素子は格子構造を有し、当該グレーティングのピッチにより前記光軸ずれを補正し、当該格子の深さにより前記異なる回折効果を奏する。
【0016】
上記の光ピックアップの他の一態様では、前記ホログラム素子は、円形の内側領域と、前記内側領域の外周に前記内側領域と同心円状に形成された外側領域と、を備え、前記ホログラムに入射する光を、前記内側領域を通過する光と前記外側領域を通過する光とに分離する。
【0017】
BDなどの場合、開口率(NA)が大きいために、記録媒体のカバー層の厚み誤差によって大きな球面収差が発生するので、球面収差を検出し、補正する必要がある。そこで、ホログラム素子に同心円状の内側領域と外側領域とを形成し、内側領域を透過した光を利用して球面収差を検出することが可能となる。好適な例では、前記内側領域の半径は、前記第1乃至第3の波長のうち最も短い波長の光が前記ホログラム素子に入射して形成する光束径の略70%である。
【0018】
上記の光ピックアップの他の一態様は、前記受光素子とは別個に設けられた球面収差検出用受光素子を備え、前記ホログラム素子の前記内側領域は、前記第1乃至第3の波長のうち、最も短い波長の光を回折し、回折光を前記球面収差補正用受光素子へ導く。これにより、最も短い波長の光についての球面収差を検出することができる。
【0019】
好適な例では、前記ホログラム素子の前記内側領域と前記外側領域は、深さが同一でピッチが異なるグレーティングにより構成される。
【0020】
上記の光ピックアップの他の一態様では、前記ホログラム素子は、前記第2の波長の光に対してレンズ作用と偏向作用を有し、前記第2の波長の光の±1次光を発生させるとともに前記第2の波長の光の0次光の光量を減少させる。さらに、前記ホログラム素子は、前記受光素子に入射する前記第1及び第2の波長の光と前記第3の波長の光との間の光軸ずれを補正するとともに、前記第3の波長の光に発生する色収差を補正する。これにより、受光素子に入射する第2の波長の光の光量を減少させることにより、受光素子の出力が飽和することを防止することができる。また、第2の波長のレーザ光を使用する際には、ホログラム素子のレンズ作用により、±1次光を用いて差動スポットサイズ法によるフォーカスエラー検出を行うことができる。さらに、第3の波長のレーザ光を使用する際には、ホログラム素子のレンズ作用により色収差を補正することができる。
【0021】
好適な例では、前記ホログラム素子は、複数の同心円の円弧状に形成された回折格子の一部分であって、前記光軸ずれの補正量に応じた量だけ前記同心円の中心から偏心した部分により構成される。
【0022】
また、前記第1の波長は前記第2の波長より短く、前記第2の波長は前記第3の波長より短いように設定する。
【0023】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
[光ピックアップの構成]
図1に、本発明の実施例に係る光ピックアップの構成を模式的に示す。図1において、光ピックアップ10は、BD用、DVD用及びCD用のレーザ光を光ディスクに照射可能な3波長互換型の光ピックアップである。光源としては、BD用レーザ光を出射する青色LD(レーザダイオード)11と、DVD用及びCD用レーザ光を出射する赤/赤外の2波長LD12とを備える。
【0024】
青色LD11から出射した波長405nmのレーザ光は、偏光ビームスプリッタ(PBS)13及びダイクロ/PBSプリズム14を通過し、コリメータレンズ15により平行光とされ、ミラー16によりディスク1の方向へ向けられる。そして、収差補正用の液晶パネル17、3波長対応の1/4波長板18、互換素子19を介して光照射手段としての対物レンズ20によりディスク1の記録面に照射される。液晶パネル17は外部から与えられるバイアス電圧及び補正電圧により、レーザ光に適切な位相差を与える。1/4波長板18は、液晶パネル17からのレーザ光を直線偏光から円偏光へ変換する。互換素子19は、BD用、DVD用及びCD用のレーザ光の波長の相違、及び、BD、DVD及びC
Dの各ディスクの厚さの相違に応じて、開口率の調整や収差の補正などを行うものであり、例えばホログラムレンズなどにより構成される。
【0025】
また、2波長レーザ12から出射されたDVD用又はCD用のレーザ光は、ダイクロ/PBSプリズム14によりコリメータレンズ15方向へ反射され、その後はBD用のレーザ光と同様の経路で光ディスク1へ照射される。
【0026】
一方、光ディスク1で反射されたレーザ光は、互換素子19、1/4波長板18、液晶パネル17を通過し、ミラー16で方向を変えられる。そして、コリメータレンズ15及びダイクロ/PBSプリズム14を透過した後、PBS13により、ディテクタ22方向へ向けられる。PBS13からのレーザ光は、ホログラム素子30により光軸の調整などがなされた後、集光レンズ21を介してディテクタ22上に集光される。ディテクタ22上に照射された光は電気信号に光電変換され、その電気信号から再生信号やサーボエラー信号などが生成される。なお、本発明は、ホログラム素子30の構成及び機能に特徴を有する。
【0027】
[3波長型光ピックアップ]
本発明では、3つの異なる波長を光源に用いる光ピックアップにおいて、各々の記録メディアからの反射光を1つの受光素子を用いて受光する構成とし、対物レンズと受光素子の間に各波長で異なる光学的効果を示すホログラム素子30を配置した。図1に示すように、3つの波長のレーザ光のうち2つは、2つのレーザ光源を1つのパッケージにマウントした、いわゆる2波長レーザから出射される。この2波長レーザは発光点の位置が異なっているのが一般的で、DVD/CD用の2波長レーザの場合は、発光点間に約110μmの間隔がある。
【0028】
本発明では、BD用の光源に405nm近傍の波長を有する半導体レーザを用い、DVDとCDの光源に660nm近傍の波長を有する半導体レーザと780nm近傍の波長を有する半導体レーザからなる2波長レーザを用いる。
【0029】
次に、本発明による3波長型光ピックアップにおける要求事項について説明する。3波長型光ピックアップでは、BD用の青波長レーザ光、DVD用の赤波長レーザ光、及びCD用の赤外波長レーザ光の全てを正しくディスク上に照射するとともに、ディスクからの戻り光を正しくディテクタの受光面上に集光する必要がある。従って、以下のような、BD、DVD及びCDのそれぞれの性質の相違を考慮したホログラム素子30を設計する必要がある。
【0030】
使用するレーザ光波長としては、前述のように、BDは約405nmの青波長(「第1の波長」とも呼ぶ。)λ1を使用し、DVDは約660nmの赤波長(「第2の波長」とも呼ぶ。)λ2を使用し、CDは約780nmの赤外波長(「第3の波長」とも呼ぶ。)λ3を使用する。即ち、レーザ波長としては、
λ1(BD) < λ2(DVD)<λ3(CD)
の関係がある。
【0031】
次に、ディスクの開口率NAとしては、BDの開口率NA1は約0.85、DVDの開口率NA2は約0.65、CDの開口率NA3は約0.45である。即ち、開口率としては、
NA1(BD)>NA2(DVD)>NA3(CD)
という関係がある。
【0032】
また、ディスクからの戻り光を受光素子(ディテクタ)により受光したときのディテクタ上での各レーザ光の開口径は、BDの開口径をr1、DVDの開口径をr2、CDの開口径をr3とすると、
r1>r2>r3
の関係がある。
【0033】
このような各レーザ光の性質を考慮すると、ホログラム素子30の設計上の要求事項は以下のようになる。
(要求事項1)
光ピックアップ全体の小型化のために赤波長λ2を発振する半導体レーザと赤外波長λ3を発振する半導体レーザとを一体的にマウントした2波長レーザを使用する必要がある。2波長レーザを使用すると、2つの波長のレーザ光の発光点が離れているため、ディテクタ上において各レーザ光の光軸のずれを補正する必要がある。
【0034】
(要求事項2)
青波長λ1のレーザ光を使用するBDでは、DVDやCDと比較してディスクの反射率が低く、ディテクタの感度も小さい。このため、ディテクタへ入射する光量をできるだけ大きくすることが望ましい。
【0035】
(要求事項3)
赤波長λ2のレーザ光を使用するDVDでは、記録パワーが大きく、ディスクの反射率も高く、さらにディテクタの感度が高いため、ディテクタの出力が飽和してしまうことがある。このため、ディテクタへ入射する光量をある程度減少させることが望ましい。
【0036】
(要求事項4)
赤外波長λ3のレーザ光を使用するCDでは、記録パワーが大きく、ディスクの反射率も高く、さらにディテクタの感度が高いため、ディテクタの出力が大きく飽和してしまう。このため、ディテクタへ入射する光量を減少させることが望ましい。
【0037】
(要求事項5)
青波長λ1のレーザ光を使用するBDは開口率NA1が大きいため、ディスクのカバー層の厚み誤差によって大きな球面収差が発生する。よって、この球面収差を検出し、補正する必要がある。
【0038】
以下、これらの要求事項を満足するホログラム素子の実施例を説明する。
[第1実施例]
図2は第1実施例による3波長用ホログラム素子30aの平面図であり、図4(a)は図2の線X1−X2によるホログラム素子30aの断面図である。なお、図4(a)に示すホログラム素子30aは2レベルを有する2レベルホログラムである。図4(a)において、ホログラム素子30aの格子(グレーティング)のピッチpは、青波長及び赤波長のレーザ光と、赤外波長のレーザ光とのディテクタ22上における光軸ずれを補正する大きさに決定されている。また、格子深さdは、青波長では回折光が発生せず(即ち、0次光のみが発生する)、赤波長では0次光の効率を減少させ、赤外波長では±1次光の効率を高くするように決定されている。
【0039】
各波長におけるホログラム素子30aの動作について、図3を参照して説明する。
(1)青波長λ1(BD、405nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図3(a)は、第1実施例のホログラム素子30aにより青波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。図示のように、青波長レーザ光は、ホログラム素子30aを通過し、集光レンズ21によりディテクタ22上へ集光される。図3(a)の左側に示すように、ディテクタ22の受光面は4分割されており、そのほぼ中心に青波長レーザ光のスポットが形成される。なお、ディテクタ22は、RF信号及びサーボ信号検出用のディテクタ(以下、単に「RF信号用ディテクタ」と呼ぶ。)である。
【0040】
青波長に関してはディテクタの感度が原理的に低いため、S/Nを重視する必要がある。そのため、検出系の効率を高め、ディテクタに入射する光量をできるだけ大きくする必要がある。そこで、青波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30aは何の作用もしないように、又は回折光の発生をできるだけ抑えるように構成される。
【0041】
(2)赤波長λ2(DVD、660nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図3(b)は、第1実施例のホログラム素子30aにより赤波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。図示のように、ホログラム素子30aは赤波長レーザ光に対して±1次光を発生させる。赤波長では、ディテクタの感度が高く、記録再生時の光量も多いため、ディテクタ22の受光素子の飽和を防止するために、検出系の効率を低下させ、ディテクタに入射する光量を少なくする必要がある。そこで、ホログラム素子30aにより±1次光を発生させ、その分、ディテクタ22に入射する0次光の光量を減少させる。
【0042】
(3)赤外波長λ3(CD、780nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図3(c)は、第1実施例のホログラム素子30aにより赤外波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。図示のように、ホログラム素子30aは、赤外波長レーザ光に対して±1次光のみを発生させ、+1次光又は−1次光のいずれか一方をディテクタ22に入射させる。これにより、2波長レーザを用いる場合の光軸ずれを補正することができる。
【0043】
図4(a)に、上記の機能を実現するホログラム素子30aの構成例を示す。このホログラム素子30aは、単一の格子深さdを有する2レベルホログラムである。図4(b)には、当該ホログラム素子30aの格子深さdと回折効率との関係を示す。図4(b)において、格子深さdを1970nmに設定することにより、上記の機能を実現することができる。格子深さd=1970nmのとき、各波長のレーザ光に対するホログラム素子30aの回折効率、及び、各波長のレーザ光に対する格子深さD(格子深さdが、当該波長の何波長分に相当するかに換算したもの)を図3(a)〜(c)及び図4(a)に示している。なお、各波長のレーザ光に対する格子深さDは、以下の式により得られる。
D=格子深さ(d)×(屈折率(n)−1)/レーザ光の波長
例えば、青波長レーザ光の場合は、
D = 1970(nm)×(1.619−1)/405(nm) =約3λ
となる。
【0044】
図示のように、青波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30aの格子深さd(=1970nm)は3波長分(3λ)に相当するので、青波長レーザ光に±1次光(回折光)は発生せず、0次光が100%となる。よって、ディテクタ22へ入射する青波長レーザ光を最大とすることができる。これにより要求事項2が満足される。
【0045】
赤波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30aの格子深さdは1.89波長分に相当し、約41%の0次光と約26パーセントの±1次光を発生させる。よって、ディテクタ22へ入射する赤波長レーザ光を41%に減少させることができ、ディテクタの飽和を防止することができる。これにより要求事項3が満足される。
【0046】
赤外波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30aの格子深さdは1.60波長分に相当し、3%の0次光と、41%の±1次光を発生させる。つまり、ほぼ±1次光のみを発生してディテクタ22へ入射させることができる。これにより、2波長レーザを使用することにより起因する赤外波長レーザの光軸のずれを補正することができ、要求事項1が満足される。また、ディテクタ22へ入射する光量を減少させることができ、要求事項4が満足される。
【0047】
[第2実施例]
次に、第2実施例によるホログラム素子について説明する。なお、第2実施例においても、光ピックアップ自体の構成は図1に示したものと同様である。
【0048】
第2実施例は、球面収差の検出に関する上記の要求事項5を満足するものである。まず、球面収差の検出原理について説明する。
【0049】
光ディスクにおいてはディスクのカバー層の厚み誤差などによって球面収差が発生する。この球面収差の波面収差分布形状は図5に示すようにM字形状を示す。開口を通過する光線の内、収差が最も大きい輪帯収差より内側の光線は本来の集光位置よりも内側に集光する。外側の光線は本来の集光位置よりも外側に集光する。ディスクのカバー層が対物レンズの設定値よりも薄いか厚いかによって、この光線の挙動が逆になる。
【0050】
この現象をディテクタで検知するためには、輪帯収差の位置を境に、内側を透過する光線と外側を透過する光線を分離して検出すればよい。例えばホログラム素子を用いて外周の光線と内側の光線の偏向状態を変えて、別々のディテクタに入射させる。図6は、球面収差の検出が可能なホログラム素子の構成例を示す平面図である。ホログラムは同心円形状の2領域、即ち、内側のホログラム領域Bと、外側のホログラム領域Aから構成される。ホログラム領域AとBの分離半径は、透過する光線の光束径の約70%(輪帯収差の位置)に設定する。
【0051】
サーボエラーの検出光学系は一般的なものを用いることができる。例えば非点収差法であればシリンドリカルレンズと集光レンズを組み合わせ、4分割ディテクタを用いることによりサーボエラーを得ることができる。図7に、球面収差を検出可能なディテクタの構成例を示す。ディテクタは球面収差検出に用いるディテクタ22b(「球面収差用ディテクタ」とも呼ぶ。)と、RF信号の再生やフォーカス、トラッキングエラーの生成に用いるディテクタ22a(以下、「RF信号用ディテクタ」とも呼ぶ。)とを用意する。各種エラー信号の演算は、図7中の各式に示す通りである。
【0052】
ディスクのカバー層の厚みと、球面収差エラーとの関係の一例を図8に示す。なお、図8のグラフでは、球面収差エラーはそのピークを「1」に正規化してある。図示のように、ディスクのカバー層の厚みが大きくなるにつれ、球面収差エラーが大きくなる。
【0053】
なお、図7ではホログラム領域AとBの境界より外周部の光線を受光するディテクタは設けていないが、これは単純化のためであり、もちろん設けても良い。ホログラムの回折効率を操作することによって、球面収差検出に用いる光線の光量をコントロールすることができる。球面収差検出に用いない0次回折光(回折作用を受けない光、以下、「0次光」と呼ぶ。)の光量を大きく設定すれば、RF信号を得るためのディテクタ22aに入射する光量が多くなるため、再生信号のS/Nを確保することができる。一般的に、ディスクのカバー層の厚み誤差は低い周波数成分であるため、球面収差補正のサーボ帯域は低くてもかまわない。従って、ディテクタでの増幅を大きくとることができるので、球面収差検出信号はわずかな光量でも十分である。
【0054】
次に、第2実施例において用いるホログラム素子30bの構成を説明する。図9は、第2実施例によるホログラム素子30bの平面図であり、図11は図9の線Y1−Y2によるホログラム素子30bの部分断面図である。
【0055】
図9に示すように、ホログラム素子30bは、2つの同心円形状の領域、即ち、内側のホログラム領域Bと、外側のホログラム領域Aとからなる。ホログラム素子30bは、それを透過する光束を、内側の円形のホログラム領域Bと、外側のドーナツ形状のホログラム領域Aを透過する光束に分離する作用を有する。この同心円の半径は、光ピックアップに使用する青波長λ1(BD用、405nm付近)が、ホログラム素子30bを透過する場所での光束径の約70%の大きさになるように設定されている。なお、ホログラム素子30bは、ホログラム領域A及びBの両方とも図11に示す断面構造を有するが、ホログラム領域AとBとでピッチpが異なるように構成される。
【0056】
次に、各波長におけるホログラム素子30bの動作について図10を参照して説明する。
(1)青波長λ1(BD、405nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図10(a)は、第2実施例のホログラム素子30bにより青波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。なお、ディテクタはRF信号用ディテクタ22aと、球面収差検出用ディテクタ22bを含む。ディスクからの反射光はホログラム素子30bにより3つの光束に分離される。一つはホログラム領域Aを透過する1次回折光(「1次光」とも呼ぶ。)、一つはホログラム領域Bを透過する1次回折光、もう一つは全領域を透過する0次光である。ホログラム素子30bに入射する光線のうち、ホログラム領域AとBを透過する1次回折光は、それぞれホログラム素子30bにより偏向される。ホログラム素子の格子深さdは、青波長レーザ光に対して、1次回折光が5%、0次光が90%となるように設定されている。ホログラム領域Bを透過し、偏向作用を受けた1次回折光は球面収差検出用ディテクタ22bに入射する。一方、ホログラム領域Aを透過し偏向作用を受けた1次回折光はどのディテクタにも入射しない。偏向作用を受けない0次光は、RF信号用ディテクタ22aに入射する。
【0057】
ディスクカバー層に厚み誤差があり球面収差が生じた場合、球面収差検出用ディテクタ22bが受光するレーザ光がひずむ。これを、図7に示した式により演算することで、球面収差エラーを得ることができる。こうして上述の要求事項5が満足される。
【0058】
また、青波長λ1におけるホログラム素子30bの回折効率を約5%と低く設定しているため、RF信号を再生するディテクタ22aへの入射する0次光は約90%と大きくなる。これにより要求事項2が満足され、再生信号のS/Nが確保できる。
【0059】
(2)赤波長λ2(DVD、660nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図10(b)は、第2実施例のホログラム素子30bにより赤波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。赤波長λ2を用いるDVDを記録再生する場合、ホログラム素子30bは、ディスクからの反射光に何の作用もしないようにその格子深さdが設定されている。赤波長レーザ光は、あらかじめ半導体レーザの位置を調整することによって、青波長レーザ光の光軸と一致させておく。
【0060】
ホログラム素子30bは、赤波長レーザ光における回折効率がほぼ0に設定されているため、赤波長のレーザ光はホログラム素子30bにより回折作用も受けずRF信号用ディテクタ22aに入射される。なお、2波長レーザを用いる場合、赤波長のレーザ光の光軸がディテクタ22aの中央に一致するように2波長レーザの位置を調整するので、赤波長レーザ光に関しては光軸ずれの問題はない。
【0061】
(3)赤外波長λ3(CD、780nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図10(c)は、第2実施例のホログラム素子30bにより赤外波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。赤外波長を用いるCDを記録再生する場合、ディスクからの反射光の、ホログラム素子30bが存在する場所での光束は、ホログラム領域Bの内側になる。これは、赤外波長はCDで使用するため、BDでの開口に対して約53%となるためである。なお、これは、BDの開口率NA1が0.85、CDの開口率NA3が0.45の場合である。
【0062】
ホログラム領域Bにおけるホログラム素子の格子深さdは、赤外波長において1次回折光が大きくなるように設定されている。そのため、ホログラム領域Bを透過する赤外波長の光束(赤外波長のすべての光束)は偏向作用を受ける。2波長レーザであるため、赤波長のレーザ光と赤外波長レーザ光の光軸はもともと発光点間隔だけずれているが、ホログラム素子30bの偏向作用によってその光軸ずれが補正され、赤外波長レーザ光の1次光がRF信号用ディテクタ22aに入射する。これにより、要求事項1が満足される。また、赤外波長レーザ光は、ホログラム素子30bに入射するレーザ光のうち1次光のみがRF信号用ディテクタ22aに入射するので、ディテクタへ入射する光量を減少させることができ、要求事項4が満足される。
【0063】
次に、第2実施例によるホログラム素子30bの具体的な設計例について説明する。ホログラム領域Aにおける格子のピッチpは、青波長レーザ光がディテクタ22a及び22bのいずれにも入射しないように設定される。ホログラム領域Bにおける溝のピッチpは、赤外波長において赤波長と赤外波長の光軸ずれを補正し、両波長のレーザ光を一つのRF用ディテクタ22aに集光するように、かつ、青波長の0次光がRF信号用ディテクタ22aに、1次光が球面収差検出用ディテクタ22bに集光するように設定される。なお、この点については、RF信号用ディテクタ22aと球面収差用ディテクタ22bの間隔を調整してもよい。
【0064】
各波長における1次回折光の効率は、青波長においては約5%、赤波長においてはほぼ0%、赤外波長においては62%になるようにホログラム素子30bの格子深さdを設定する。各波長におけるホログラム材料の屈折率を、
青波長:n405=1.619
赤波長:n660=1.580 (式1)
赤外波長:n780=1.574
と設定したとする。図12(a)は、各波長の光についてのホログラム素子30bの格子深さdと回折効率との関係を示すグラフであり、図12(b)はその一部の拡大図である。図12(a)及び(b)に示すように、ホログラム素子30bの格子深さdを約9180〜9340nmの範囲内、より好ましくは9250nmに設定した3レベルのホログラム素子を用いれば良いことが、回折効率を計算することで明らかになった。
【0065】
第2実施例のホログラム素子では、図10から理解されるように、いずれのディテクタにも入射しない回折光が少ないため、不要な回折光がディテクタへ入射することを抑制することができるという利点がある。
【0066】
なお、第2実施例のホログラム素子では、赤波長レーザの0次光の多くがRF信号用ディテクタに入射することとなるが、赤波長レーザ光のみを減衰するフィルタなどを用いることにより、要求事項3に対応することも可能である。
【0067】
[第3実施例]
次に、第3実施例によるホログラム素子について説明する。第3実施例も、2波長レーザの光軸調整に加えて、青波長レーザ光の球面収差検出を可能とするものである。なお、第3実施例においても、光ピックアップ自体の構成は図1に示したものと同様である。また、第2実施例によるホログラム素子30cは、基本的な平面構造は図9に示す第2実施例のホログラム素子30bと同様であるが、図14に示すように、断面構造が第2実施例のホログラム素子30bとは異なっている。図14に示す断面構造は、図9に示すホログラム素子30bと略同一の平面構造を有するホログラム素子30cを、図9の線Y1−Y2に沿って切断したものである。なお、ディテクタ22はRF信号用ディテクタ22aと、球面収差検出用ディテクタ22bを含む。
【0068】
各波長におけるホログラム素子30cの動作について図13を参照して説明する。
(1)青波長λ1(BD、405nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図13(a)は、第3実施例のホログラム素子30cにより青波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。ディスクからの反射光はホログラム素子30cにより5つの光束に分離される。2つはホログラム領域Aを透過する±1次回折光、2つはホログラム領域Bを透過する±1次回折光、もう一つは全領域を透過する0次光である。ホログラム素子30cを透過する光線のうち、ホログラム領域AとBを透過する光線は、それぞれ光軸に対して対称に偏向される。ホログラム素子の格子深さdは、±1次回折光が10%づつ、0次光が80%となるように設定される。ホログラム領域Bを透過し、偏向作用を受けた+1次光は、球面収差検出用ディテクタ22bに入射する。ホログラム領域Bを透過し、偏向作用を受けた−1次光は、そのための球面収差検出用ディテクタを配置しない場合はどのディテクタにも入射しない。なお、−1次光用のディテクタを設けてもかまわない。ホログラム領域Aを透過し偏向作用を受けた±1次光は、いずれのディテクタにも入射しない。偏向作用を受けない0次光は、RF信号用ディテクタ22aに入射する。
【0069】
第3実施例でも、球面収差検出用ディテクタ22bを用いて、第2実施例と同様に球面収差を検出できる。よって、前述の要求事項5が満足される。但し、第3実施例では、図14に示すように、ホログラムが2レベルであるので−1次光も発生する。よって、−1次光側に球面収差検出用ディテクタを配置してもかまわない。加えて、青波長λ1におけるホログラム素子30cの回折効率を低く設定しているため、RF信号用ディテクタ22aへの入射する0次光の光量が大きくなり(80%)、再生信号のS/Nが確保できる。これにより要求事項2が満足される。
【0070】
(2)赤波長λ2(DVD、660nm)を使用するメディアを記録再生する場合
赤波長を用いるメディアを記録再生する場合、ディスクからの反射光に何の作用もしないように、ホログラム素子30cの格子深さdが設定される。赤波長のレーザ光は、あらかじめ半導体レーザの位置を調整することによって、青波長の光軸と一致させておく。これは、第2実施例の場合と同様である。
【0071】
ホログラム素子30cは、赤波長λ2における回折効率をほぼ0に設定しているため、赤波長のレーザ光は回折作用を受けずRF信号用ディテクタ22aに入射される。なお、2波長レーザを用いる場合でも、赤波長のレーザ光の光軸がRF信号用ディテクタ22aの中央に位置するように半導体レーザの位置を調整するので、赤波長のレーザ光に関して光軸ずれの問題は生じない。
【0072】
(3)赤外波長λ3(CD、780nm)を使用するメディアを記録再生する場合
赤外波長λ3を用いるメディアを記録再生する場合、第2実施例と同様に、ディスクからの反射光のうちホログラム素子30cがある場所での光束は、ホログラム領域Bの内側になる。ホログラム領域Bの格子深さdは、赤外波長において±1次回折光が大きくなるように設定されている。そのため、ホログラム領域Bを透過する赤外波長の光束(赤外波長のすべての光束)は偏向作用を受ける。2波長レーザを使用するため、赤波長のレーザ光と赤外波長のレーザ光の光軸は、もともと発光点間隔だけずれている。よって、+1次回折光はホログラム素子30cの偏向作用によって、その光軸ずれが補正され、RF信号用ディテクタ22aに入射する。−1次回折光はいずれのディテクタにも入射しない。但し、−1次光用のディテクタを設けてもかまわない。
【0073】
2波長レーザの配置は、赤波長のレーザ光がディテクタ22aの中央に集光されるように調整されるため、赤外波長のレーザ光の光軸がずれる。ホログラム素子30cは、赤外波長のレーザ光の光軸をRF信号用ディテクタ22aに集光するように偏向させる作用をもつ。ここで、ディテクタ22aに集光するレーザ光は+1次光であり、図13(c)に示すように、その光量は全光量に対して41%となる。よって、RF信号用ディテクタ22aに集光する光量を減少させることができる。これにより要求事項4が満足される。
【0074】
次に、第3実施例によるホログラム素子30cの具体的な設計例について説明する。ホログラム領域A及びBにおける溝のピッチpは、第2実施例と同様に設定される。
【0075】
各波長における±1次回折光の効率は、青波長λ1においては約10%、赤波長λ2においてはほぼ0%、赤外波長λ3においては41%になるように、ホログラム素子の格子深さdを設定する。各波長におけるホログラム材料の屈折率を、式1に示すように設定したとする。図15(a)は、各波長の光についてのホログラム素子30cの格子深さdと回折効率との関係を示すグラフであり、図15(b)はその一部の拡大図である。図15(a)及び(b)に示すように、ホログラム素子30cの格子深さdを約3280〜3400nmの範囲内、より好ましくは3380nmに設定した2レベルのホログラムを用いれば良いことが、回折効率を計算することで明らかになった。
【0076】
第3実施例のホログラム素子では、第2実施例と比較すると青波長レーザ光の回折光が多くなってしまう。しかし、ホログラム素子は2レベルでよいこと(第2実施例では3レベル)、格子深さは3380nmと浅くてよいこと(第2実施例では9250nm)などから、ホログラム素子の製作が容易であるという利点がある。
【0077】
なお、第2実施例のホログラム素子では、赤波長レーザの0次光の多くがRF信号用ディテクタに入射することとなるが、赤波長レーザ光のみを減衰するフィルタなどを用いることにより、要求事項3に対応することも可能である。
【0078】
[第4実施例]
次に、第4実施例によるホログラム素子について説明する。第4実施例も、2波長レーザの光軸調整に加えて、青波長レーザ光の球面収差検出を可能とするものである。なお、第4実施例においても、光ピックアップ自体の構成は図1に示したものと同様である。また、第4実施例によるホログラム素子30dは、基本的な平面構造及び断面構造は図14に示す第3実施例のホログラム素子30cと同様である。図17に示す断面構造は、図9に示すホログラム素子30bと略同一の平面構造を有するホログラム素子30dを、図9の線Y1−Y2に沿って切断したものである。なお、ディテクタはRF信号用ディテクタ22aと、球面収差検出用ディテクタ22bを含む。
【0079】
次に、各波長におけるホログラム素子30cの動作について図16を参照して説明する。
(1)青波長λ1(BD、405nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図16(a)は、第4実施例のホログラム素子30dにより青波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。ホログラム素子の作用に関しては、第4実施例のホログラム素子30dは第3実施例のホログラム素子30cと同様である。但し、第4実施例のホログラム素子30dの格子深さdは、±1次回折光が全光量の5%づつ、0次光が84%となるように設定されている。RF信号検出用ディテクタ22a及び球面収差検出用ディテクタ22bの構成なども第3実施例と同様である。
【0080】
第4実施例でも、第2実施例と同様に球面収差を検出できる。よって、前述の要求事項5が満足される。第4実施例でも図17に示すようにホログラムが2レベルであるので−1次光も発生する。よって、−1次光側にディテクタを配置してもかまわない。加えて、青波長λ1におけるホログラム素子30cの回折効率を低く設定しているため、RF信号用ディテクタ22aへの入射する0次光の光量が大きくなり(84%)、再生信号のS/Nが確保できる。これにより要求事項2が満足される。
【0081】
(2)赤波長λ2(DVD、660nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図16(b)は、第4実施例のホログラム素子30dにより赤波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。ディスクからの反射光は、ホログラム素子30dにより5つの光束に分離される。2つはホログラム領域Aを透過する±1次回折光、2つはホログラム領域Bを透過する±1次回折光、もう一つは全領域を透過する0次光である。ホログラム素子30dを透過する光線のうち、ホログラム領域AとBを透過する光線は、それぞれ光軸に対して対象に偏向される。ホログラム素子の格子深さdは、±1次回折光が33%づつ、0次光が21%となるように設定される。ホログラム領域Bを透過し、偏向作用を受けた+1次光は球面収差検出用ディテクタ22b近傍に入射するが、赤波長レーザ光では球面収差を検出しないため、この光線は特に使用されない。ホログラム領域Bを透過し、偏向作用を受けた−1次光は、その光のための球面収差検出用ディテクタを配置しない場合は、いずれのディテクタにも入射しない。ホログラム領域Aを透過し偏向作用を受けた±1次光は、いずれのディテクタにも入射しない。偏向作用を受けない0次光はRF信号用ディテクタ22aに入射する。赤波長λ2を使用する場合、RF信号用ディテクタ22aに入射する光量を減少させることができる。
【0082】
本実施例のホログラム素子30dは、赤波長λ2における回折効率を大きく設定してあるので、0次光の光量が21%と少なくなる。その結果、RF信号用ディテクタ22aに集光する光量を減少させることができる。これにより、RF信号用ディテクタ上で赤波長レーザ光が飽和することが防止でき、要求事項3が満足される。なお、2波長レーザを用いる場合でも、赤波長のレーザ光の光軸がRF信号用ディテクタ22aの中央に位置するように半導体レーザの位置を調整するので、赤波長のレーザ光に関して光軸ずれの問題は生じない。
【0083】
(3)赤外波長λ3(CD、780nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図16(c)は、第4実施例のホログラム素子30dにより赤波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。この場合のホログラム素子30dの作用は、第3実施例と同様である。
【0084】
2波長レーザの配置は、赤波長λ2を基準に光軸を調整したため、赤外波長λ3の光軸がずれる。ホログラム素子30dは、赤外波長λ3の光軸がRF信号用ディテクタ22aに集光するように偏向させる作用をもつ。RF信号用ディテクタに集光する光線は+1次光である。RF信号用ディテクタ22aに入射する光量は全光量に対し41%となる。このように、RF信号用ディテクタ22aに集光する光量を減少させることができるので、要求事項4が満足される。
【0085】
次に、第4実施例によるホログラム素子30dの具体的な設計例について説明する。ホログラム領域A及びBにおける溝のピッチpは、第2実施例と同様に設定される。
【0086】
各波長における±1次回折光の効率は、青波長λ1においては約5%、赤波長λ2においてはほぼ33%、赤外波長λ3においては41%になるようにホログラムの深さが設定される。各波長におけるホログラム材料の屈折率を式1に示すように設定したとする。図18(a)は、各波長の光についてのホログラム素子30dの格子深さdと回折効率との関係を示すグラフであり、図18(b)はその一部の拡大図である。図18(a)及び(b)に示すように、ホログラム素子の格子深さdを約680〜800nmの範囲内、より好ましくは750nmに設定する2レベルのホログラムを用いれば良いことが、回折効率を計算することで明らかになった。
【0087】
第4実施例のホログラム素子では、専用のフィルタなどを用いることなく、赤波長レーザを減衰させることができる。また、第2及び第3実施例と比べて、ホログラム素子の格子深さが750nmと非常に浅いので、製造が非常に容易であるという利点がある。
【0088】
[第5実施例]
次に、第5実施例によるホログラム素子について説明する。第5実施例に係るホログラム素子は、赤外波長の使用時に検出光学系において発生する色収差を補正する機能を有するとともに、青波長及び赤波長のレーザ光の光軸と赤外波長のレーザ光の光軸との間のディテクタ22上での光軸ずれを補正する機能を有する。また、赤波長のレーザ光を使用する際には、差動スポットサイズ法によるフォーカスエラー検出を可能とする。
【0089】
図19(a)は第5実施例によるホログラム素子30eの平面図であり、図21は図19の線Z1−Z2によるホログラム素子30eの部分断面図である。
【0090】
図19(a)に示すように、ホログラム素子30eは、複数の円弧状の回折格子形状を有する。円弧状の回折格子形状は、図19(b)に示すような複数の同心円の円弧状に形成された回折格子91の一部分であって、当該同心円の中心91cから所定の偏心量Lだけ偏心した部分により構成される。このように、複数の円弧状の回折格子形状の一部を利用することにより、ホログラム素子30eはレンズ作用(凸レンズ作用及び凹レンズ作用)を有し、このレンズ作用により、赤外波長λ3の使用時に検出光学系において発生する色収差を補正することができる。また、偏心量Lは、青波長λ1及び赤波長λ2のレーザ光の光軸と赤外波長λ3のレーザ光の光軸との間のディテクタ22上での光軸ずれの量に対応する。
【0091】
図21に示すホログラム素子30eのピッチは、青波長λ1及び赤波長λ2のレーザ光と、赤外波長λ3のレーザ光とのディテクタ22上における光軸ずれを補正する大きさに決定されている。また、格子深さdは、青波長λ1では回折光が発生せず(即ち、0次光のみが発生する)、赤波長λ2では0次光の効率を減少させるとともに±1次光を後述のスポットサイズ法用のディテクタに入射させ、赤外波長λ3では±1次光の効率を高くするように決定されている。
【0092】
各波長におけるホログラム素子30eの動作について図20を参照して説明する。
(1)青波長λ1(BD、405nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図20(a)は、第5実施例のホログラム素子30eにより青波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。図示のように、青波長レーザ光は、ホログラム素子30eを通過し、集光レンズ21によりディテクタ22上へ集光される。図20(a)の左側に示すように、RF信号用ディテクタ22の受光面は4分割されており、そのほぼ中心に青波長レーザ光のスポットが形成される。
【0093】
青波長に関してはディテクタの感度が原理的に低いため、S/Nを重視する必要がある。そのため、検出系の効率を高め、ディテクタに入射する光量をできるだけ大きくする必要がある。そこで、青波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30eは何の作用もしないように、又は回折光の発生をできるだけ抑えるように構成される。
【0094】
なお、青波長については、ディテクタ22を用い、非点収差法により図20(a)に示す演算式に従ってフォーカスエラー信号を得ることができる。
【0095】
(2)赤波長λ2(DVD、660nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図20(b)は、第5実施例のホログラム素子30eにより赤波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。図示のように、ホログラム素子30eは赤波長レーザ光に対して±1次光を発生させる。赤波長では、ディテクタの感度が高く、記録再生時の光量も多いため、ディテクタ22の受光素子の飽和を防止するために、検出系の効率を低下させ、ディテクタ22に入射する光量を少なくする必要がある。そこで、ホログラム素子30eにより±1次光を発生させ、その分、ディテクタ22に入射する0次光の光量を減少させる。
【0096】
また、第5実施例では、赤波長レーザ光の±1次光を利用して、差動スポットサイズ法によるフォーカスエラー検出を行う。差動スポットサイズ法は、トラックからの回折光の影響(トラッククロスノイズ)がフォーカスエラー信号に漏れ込んだ場合に、それをキャンセルすることが可能なフォーカスエラー検出方式である。トラッククロスノイズはランド/グルーブ記録構造を有するディスクにおいて顕著に発生する。このランド/グルーブ記録構造を採用するディスクの例はDVD−RAMである。よって、DVD−RAMを再生する場合にフォーカスエラー検出方式として差動スポットサイズ法を使用するのは極めて有効であり、第5実施例はそれを可能とする。
【0097】
差動スポットサイズ法では、図20(a)から(c)に示すように、一対の3分割ディテクタ22d−1及び22d−2を使用する。赤波長レーザ光の+1次光は、ホログラム素子30eの凸レンズ作用により0次光の焦点位置よりも手前に集光し、かつ、ホログラム素子30eの偏心により光軸が偏向される。また、赤波長レーザ光の−1次光はホログラム素子30eの凹レンズ作用により0次光の焦点位置より遠方に集光し、かつ、ホログラム素子30eの偏心によって光軸が偏向される。これにより、赤波長レーザの±1次光をそれぞれ差動スポットサイズ法用のディテクタ22d−1及び22d−2に入射させる。図20(a)に示すように、ディテクタ22d−1の受光面をA1〜A3、ディテクタ22d−2の受光面をC1〜C3とすると、差動スポットサイズ法によるフォーカスエラー信号は図20(b)に示す演算式により得られる。なお、RF信号及びトラッキングエラー信号の生成には、RF信号用のディテクタ22を用いる。
【0098】
(3)赤外波長λ3(CD、780nm)を使用するメディアを記録再生する場合
図20(c)は、第5実施例のホログラム素子30eにより赤外波長レーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す。図示のように、ホログラム素子30eは、赤外波長レーザ光に対して±1次光のみを発生させ、+1次光又は−1次光のいずれか一方をディテクタ22に入射させる。これにより、2波長レーザを用いる場合の光軸ずれを補正することができる。
【0099】
赤波長と赤外波長のレーザ光を出射する2波長レーザを用いる場合、通常、光ピックアップの光学系の調整は赤波長を基準としてを行われる。赤外波長のレーザ光は赤波長を基準として調整された光学系を通るため、検出光学系において色収差が発生する。第5実施例によるホログラム素子30eは、この色収差を補正するように凸レンズ又は凹レンズとして作用する。具体的には、ホログラム素子30eは、赤外波長レーザ光の±1次光のうちいずれか一方に対して凸レンズ又は凹レンズとして作用して色収差を補正し、補正後の1次光をディテクタ22に入射させる。こうして、色収差が補正される。なお、他方の1次光はホログラム素子30eにより逆に色収差が加算されるとともに本来の光軸に対して対称な方向に偏向されるが、その光線は使用されない。
【0100】
図21に、上記の機能を実現するホログラム素子30eの構成例を示す。この例は、単一の格子深さdを有する2レベルホログラムであり、図4(a)に示す第1実施例のホログラム素子30aと同一の構成を有する。
【0101】
図示のように、青波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30eの格子深さd(=1970nm)は3波長分(3λ)に相当するので、青波長レーザ光に±1次光(回折光)は発生せず、0次光が100%となる。よって、ディテクタ22へ入射する青波長レーザ光を最大とすることができる。これにより要求事項2が満足される。
【0102】
赤波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30eの格子深さdは1.89波長分に相当し、約41%の0次光と約26パーセントの±1次光を発生させる。よって、ディテクタ22へ入射する赤波長レーザ光を41%に減少させることができ、ディテクタの飽和を防止することができる。これにより要求事項3が満足される。
【0103】
赤外波長レーザ光に対しては、ホログラム素子30eの格子深さdは1.60波長分に相当し、3%の0次光と、41%の±1次光を発生させる。つまり、ほぼ±1次光のみを発生してディテクタ22へ入射させることができる。これにより、2波長レーザを使用することにより起因する赤外波長レーザの光軸のずれを補正することができ、要求事項1が満足される。また、ディテクタ22へ入射する光量を減少させることができ、要求事項4が満足される。
【0104】
さらに、前述のように、第5実施例では、ホログラム素子30eは赤外波長のレーザ光に発生する色収差を補正する機能を有する。特に本実施例のホログラム素子30eは検出光学系(ディスクからの戻り光の経路、即ち復路)に挿入されているので、検出光学系において発生する色収差を補正することができる。この点、前述の特許文献3では色収差補正機能を有する光学素子をレーザ光の往路(レーザ光源からディスクまで経路)に配置しているため、検出光学系(復路)で発生する色収差を補正することはできない。第5実施例によるホログラム素子30eによれば、赤外波長(CD)において色収差を検出光学系で補正できるので、レーザ光がディスク面上で合焦した状態でディテクタ上のレーザスポットを理想的な形状(円形)にすることができる。そのため、電気的なフォーカスオフセットを与える必要がなく、プッシュプル法などによるトラッキングエラー検出にも悪影響が生じないという利点がある。
【0105】
また、第5実施例のホログラム素子30eは、図20(b)に示すように、赤波長においてRF信号用のディテクタ22に入射する光量を減少させる機能と、差動スポットサイズ法を実現するために赤波長の光束を分割する機能とを同時に実現している。よって、DVD−RAMなどのランド/グルーブ記録を行うディスクにおいて、トラッククロスノイズの影響を受けない安定なフォーカスサーボが可能となる。
【0106】
【産業上の利用可能性】
本発明は、レーザ光などを照射することにより、記録媒体に情報を記録し、及び/又は、記録媒体から情報を再生する情報記録装置、情報再生装置、情報記録再生装置などに利用することができる。
【0107】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る光ピックアップの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例によるホログラム素子の平面図である。
【図3】第1実施例のホログラム素子により、各波長のレーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す図である。
【図4】第1実施例によるホログラム素子の部分断面図、及び、その格子深さと回折効率との関係を示すグラフである。
【図5】球面収差の検出原理を示す図である。
【図6】球面収差の検出に用いられるホログラム素子の平面図である。
【図7】球面収差の検出に用いられるディテクタの例を示す平面図である。
【図8】青波長レーザ光の球面収差の検出結果を示すグラフである。
【図9】第2実施例によるホログラム素子の平面図である。
【図10】第2実施例のホログラム素子により、各波長のレーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す図である。
【図11】第2実施例によるホログラム素子の部分断面図である。
【図12】第2実施例によるホログラム素子の格子深さと回折効率の関係を示すグラフである。
【図13】第3実施例のホログラム素子により、各波長のレーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す図である。
【図14】第3実施例によるホログラム素子の部分断面図である。
【図15】第3実施例によるホログラム素子の格子深さと回折効率の関係を示すグラフである。
【図16】第4実施例のホログラム素子により、各波長のレーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す図である。
【図17】第4実施例によるホログラム素子の部分断面図である。
【図18】第4実施例によるホログラム素子の格子深さと回折効率の関係を示すグラフである。
【図19】第5実施例によるホログラム素子の平面図である。
【図20】第5実施例のホログラム素子により、各波長のレーザ光がディテクタ上に集光される様子を示す図である。
【図21】第5実施例によるホログラム素子の部分断面図である。
【0108】
【符号の説明】
1 光ディスク
10 光ピックアップ
11、12 レーザ光源
17 液晶パネル
20 対物レンズ
21 集光レンズ
22 ディテクタ
22a RF信号用ディテクタ
22b 球面収差検出用ディテクタ
22d 差動スポットサイズ法用ディテクタ
30 ホログラム素子

Claims (11)

  1. 第1の波長の光を出射する光源と、
    第2の波長の光及び第3の波長の光を異なる発光点から出射する2波長光源と、
    前記第1乃至第3の波長の光を記録媒体に照射する光照射手段と、
    前記記録媒体による前記第1乃至第3の波長の光の反射光を受光する単一の受光素子と、
    前記光照射手段と前記受光素子との間であって、前記記録媒体からの戻り光のみが通過する経路に配置され、前記第1乃至第3の波長の光の各々に対して異なる回折効果を奏するホログラム素子と、を備え
    前記ホログラム素子は、前記第1及び第2の波長の光の0次光を前記受光素子の中央に導くとともに、前記第3の波長の光の1次光を前記受光素子の中央に導くことにより、前記受光素子に入射する前記第1及び第2の波長の光と前記第3の波長の光との間の光軸ずれを補正し、
    前記ホログラム素子は、前記第1の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光の光量と等しいか又は少ない光量で前記受光素子に導き、
    前記ホログラム素子は、前記第2の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光量より小さい光量で前記受光素子に導き、
    前記ホログラム素子は、前記第3の波長の光の1次光を、当該ホログラム素子に入射する光量より小さい光量で前記受光素子に導くことを特徴とする光ピックアップ。
  2. 前記ホログラム素子は、前記第1の波長の光の0次光を、当該ホログラム素子に入射する光の光量と等しい光量で前記受光素子に導くことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
  3. 前記ホログラム素子は格子構造を有し、当該グレーティングのピッチにより前記光軸ずれを補正し、当該格子の深さにより前記異なる回折効果を奏することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ。
  4. 前記ホログラム素子は、円形の内側領域と、前記内側領域の外周に前記内側領域と同心円状に形成された外側領域と、を備え、前記ホログラムに入射する光を、前記内側領域を通過する光と前記外側領域を通過する光とに分離することを特徴とする請求項記載の光ピックアップ。
  5. 前記内側領域の半径は、前記第1乃至第3の波長のうち最も短い波長の光が前記ホログラム素子に入射して形成する光束径の略70%であることを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ。
  6. 前記受光素子とは別個に設けられた球面収差検出用受光素子を備え、
    前記ホログラム素子の前記内側領域は、前記第1乃至第3の波長のうち、最も短い波長の光を回折し、回折光を前記球面収差補正用受光素子へ導くことを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ。
  7. 前記ホログラム素子の前記内側領域と前記外側領域は、深さが同一でピッチが異なるグレーティングにより構成されていることを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ。
  8. 前記ホログラム素子は、前記第2の波長の光に対してレンズ作用と偏向作用を有し、前記第2の波長の光の±1次光を発生させるとともに前記第2の波長の光の0次光の光量を減少させることを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ。
  9. 前記ホログラム素子は、前記第3の波長の光に発生する色収差を補正することを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ。
  10. 前記ホログラム素子は、複数の同心円の円弧状に形成された回折格子の一部分であって、前記光軸ずれの補正量に応じた量だけ前記同心円の中心から偏心した部分により構成されることを特徴とする請求項に記載の光ピックアップ。
  11. 前記第1の波長は前記第2の波長より短く、前記第2の波長は前記第3の波長より短いことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光ピックアップ。
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