JP4444342B2 - タイヤ空気圧低下検出方法における警報閾値の設定方法 - Google Patents
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Description
サスペンション部材を含む車両モデルを作成する車両モデル作成ステップと、
少なくとも正規内圧時及び減圧時におけるタイヤの前後力の特性を表すことができるタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成ステップと、
タイヤと路面との間の摩擦係数を入力するステップと、
走行中に車両に発生する空気抵抗を表現する、車両の前面投影面積、空力が作用する参照点、空気抗力係数及び空気揚力係数を含むデータを入力するステップと、
作成されたタイヤモデルが装着された車両モデルの走行シミュレーションを行うシミュレーションステップと
を含んでおり、
前記シミュレーションステップは、前記4輪車両の外部に設けられたサイト又はサーバーにて実行され、
前記サイト又はサーバーにて管理されており、且つ、前記4輪車両の車載コンピュータに装備されている入力手段から入力される車両名、装着タイヤブランド及びタイヤサイズを含む情報に基づいて選定される車両データ及びタイヤ特性データを用いて、前記車両モデル及びタイヤモデルが作成され、
前記シミュレーションステップにおいて得られる4輪各輪のタイヤの車輪回転速度に基づいて、前記サイト又はサーバーにて駆動輪タイヤの空気圧が低下しているか否かを判定するための警報閾値が設定されることを特徴としている。
車輪の回転角速度から間接的にタイヤの減圧を検出するタイヤ空気圧低下検出装置(DWS)は、車両に搭載されている制御ユニットなどの制御手段に含まれる記憶部に予め記憶されているプログラムを実行することにより、タイヤが減圧しているか否かを判定するものであるが、車両の種類やタイヤサイズなどによって当該プログラムに使用される各種パラメータを決定する作業(適合作業)が必要である。かかる適合作業で決定すべきパラメータを従来は実車テストにより得られるデータを解析することで得ていたが、本発明では、シミュレーションによりデータを得、このデータを解析することで前記パラメータを獲得している。
本発明では、シミュレーションにより仮想の実車テストを実施することで、前記パラメータのうち駆動輪タイヤが減圧したことを判定するための警報閾値を短期間で且つ短い工数で得ることができる。
DEL={(F1+F4)/2−(F2+F3)/2}/{(F1+F2+F3+F4)/4}×100(%)・・・・・・(1)
を用いることができる。ここで、F1〜F4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤ及び後右タイヤの回転角速度である。空気圧低下検出装置では、得られた判定値を所定の警報閾値(例えば、或るタイヤが30%減圧しているときのDEL)と比較して、判定値がこの閾値を超えているときにタイヤが減圧していると推定し、警報を発する。
[実施例]
車両運動解析シミュレーションソフトとして、CarSim(登録商標。株式会社バーテャルメカニクスの車両運動シミュレーションソフトウエア)を用いた。実施車両A(前輪駆動or後輪駆動or4輪駆動)に関して必要な車両データとして、表1〜3に示される車両データを入力した(データ項目については、図5〜7参照)。また、タイヤBとして225/50R17(DUNLOP社製)を用い、タイヤデータとして、表4〜7に示されるタイヤデータを入力した。また、空気抵抗に関する諸元として、以下のデータを入力した。
前面投影面積:1.8m2
空力抗力係数:0.34
空力揚力係数:0.16
空力が作用する参照点:前輪軸中心から1.44m後方且つ車幅の中心且つ地面
に対し0mの高さ
ついで、走行シミュレーションを実施し、警報性能に関するパラメータである警報閾値を算出するシミュレーションを実施した。シミュレーションの結果を表8及び図8に示す。
実施車両Aを用いて実車テストを行い、駆動輪の1輪減圧時の減圧判定値(DEL)を求めた。実車テストの結果を図8に示す。
実車テストで求められた減圧判定値に対し、シミュレーションにより得られた減圧判定値は、10%以内の範囲の精度で算出されており、空気圧低下検出方法におけるパラメータの1つである警報閾値を精度良く設定できることが分かる。車両運動解析シミュレーションを行うことで、前記警報閾値を実車テストの実施なしに算出することができ、それにかかる工数及びコストを削減することができた。
これに対し、複数あるOEタイヤ個々に最適なパラメータ値を用いる方法として、当該OEタイヤは数が限定されていることから、予め個々のOEタイヤについて最適な値を実車テストで取得しておき、それで得た最適値を車両に搭載する空気圧低下検出装置システム(DWSシステム)に入力することが考えられる。しかしながら、リプレースタイヤは、無数にあることから、それらの最適値を得るために予め実車テストを行うことは、非現実的である。
[態様A]
この態様では、車両に搭載されたコンピュータにてシミュレーションが実行される。
まず、車両に搭載されたコンピュータに、前記車両重心位置、車両慣性モーメントなどの車両情報を入力しておく。図2に示されるように、インターネットなどの情報通信手段を介して、又はICタグに内蔵された情報として、タイヤの特性データ(タイヤの前後力、アライニングモーメントなど)を車両外部から獲得する(ステップS10)。
ついで、ステップS13において、ステップS12で得られた最適なパラメータ値を車載のDWSシステムに入力すると、装着されたタイヤにとって最適なパラメータ値でDWSシステムを作動させることができる(ステップS14)。
この態様では、車両外部のサイト又はサーバーにてシミュレーションが実行される。インターネットでのASP(Application Service Provider)などの手段により、DWSシステムに必要なパラメータを解析計算し、その結果を出力することができるサイト又はサーバーにアクセスする(ステップS20)。ついで、車載コンピュータに装備されている入力手段からシミュレーションに必要な情報(車両名、装着タイヤブランド、タイヤサイズ)を入力する(ステップS21)。
入力者は、送信された最適なパラメータ値を車両に搭載されたDWSシステムに入力すると(ステップS23)、装着されたタイヤにとって最適なパラメータ値でDWSシステムを作動させることができる(ステップS24)。
この態様では、業者又は個人が所有するパソコンにインストールされたソフトウェアにてシミュレーションが実行される。
まず、ステップS30において、DWSシステムが搭載された車両とこの車両に装着されたタイヤにとって最適なパラメータ値の解析計算を行うソフトウェアを、業者又は個人のパソコンにインストールする。
ついで、アウトプットとして得られた最適なパラメータ値をDWSシステムに入力する(ステップS33)と、装着されたタイヤにとって最適なパラメータ値でDWSシステムを作動させることができる(ステップS34)。
また、タイヤ情報として必要なタイヤ特性も一般には公開されていないが、これらの特性値は、タイヤメーカー固有の内部構造や材料配合情報などではなく、タイヤを入手し、タイヤ単体の測定により得ることができる情報である。
Claims (2)
- 4輪車両に装着したタイヤから得られる車輪回転速度に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法における警報閾値の設定方法であって、
サスペンション部材を含む車両モデルを作成する車両モデル作成ステップと、
少なくとも正規内圧時及び減圧時におけるタイヤの前後力の特性を表すことができるタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成ステップと、
タイヤと路面との間の摩擦係数を入力するステップと、
走行中に車両に発生する空気抵抗を表現する、車両の前面投影面積、空力が作用する参照点、空気抗力係数及び空気揚力係数を含むデータを入力するステップと、
作成されたタイヤモデルが装着された車両モデルの走行シミュレーションを行うシミュレーションステップと
を含んでおり、
前記シミュレーションステップは、前記4輪車両の外部に設けられたサイト又はサーバーにて実行され、
前記サイト又はサーバーにて管理されており、且つ、前記4輪車両の車載コンピュータに装備されている入力手段から入力される車両名、装着タイヤブランド及びタイヤサイズを含む情報に基づいて選定される車両データ及びタイヤ特性データを用いて、前記車両モデル及びタイヤモデルが作成され、
前記シミュレーションステップにおいて得られる4輪各輪のタイヤの車輪回転速度に基づいて、前記サイト又はサーバーにて駆動輪タイヤの空気圧が低下しているか否かを判定するための警報閾値が設定されることを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法における警報閾値の設定方法。 - 前記車両モデルが、車両重心位置、車両慣性モーメント、ホイールベース長さ、車両前後輪の各トラック幅、車両重量、サスペンションのスプリングバネ特性、ダンパー減衰特性、及びロールセンター高さを含む車両の特性値により作成される請求項1に記載のタイヤ空気圧低下検出方法における警報閾値の設定方法。
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