JP4434376B2 - 顕微鏡画像転送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は顕微鏡による観察像を静止画として伝送する顕微鏡画像転送システムに関わり、特に病理標本を遠隔で観察するテレパソロジーシステムで利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、顕微鏡静止画像伝送システムは、例えば病理医の顕微鏡TV画像を用いた遠隔病理診断に利用されている。そして、顕微鏡静止画像観察システムにより、病理診断や生物学における組織標本の観察を行う場合には、まずスライドガラス上のどの位置にどのような大きさ、形状、色彩の観察対象が載っているかを把握することが、見落としの無い効率の良い観察を行うために重要であるとされている。
【0003】
このようにスライドガラス上の標本全体像を把握するためには、検鏡に入る前に肉眼又は拡大鏡で観察するのが一般的であり、顕微鏡最低対物で観察できないような標本においては、巨視的映像撮影手段を用いたりする。
【0004】
特開平6−3597では、病理医(観察者)の顕微鏡下での観察手法をTV観察システムに組込む提案であり、標本全体像を撮影する巨視的映像撮影手段と、画像領域の指定を行うポインティング手段により、巨視的映像撮影手段で撮影された標本の全体像をポインティング手段で画像領域をブロック化し、顕微鏡の電動ステージを設定し、順次撮影する顕微鏡静止画像観察システムが考案されている。
【0005】
特開平6―222281では、標本全体像に顕微鏡低倍率の視野に相当するフレーム(ブロック)を複数箇所指定し、フレーム(ブロック)により指定された箇所(ステージ位置)の顕微鏡画像を取り込むよう制御する。この画像撮り込み指定位置を遠隔地の観察者側(病理医側)で指示できる提案がされている。観察者側(病理医側)は、スライドガラス上の標本全体像(マクロ像)を依頼者側端末から静止画で受信した後、このマクロ像を均等に分割して拡大指定フレームを指示することも提案されている。このマクロ像を均等に分割して拡大指定フレームを指示することをここでは、メッシュ分割指定と呼ぶ。また、依頼者の手作業をなくすために、オートフォーカス機能を有する顕微鏡を使用することも提案されている。本提案において単一のフレームで拡大指定枠を示すものを「スポット」、マクロ像を均等に分割して拡大指定フレームを複数指示するものを「メッシュ」として表現する。
【0006】
すなわち、従来の顕微鏡静止画像伝送システムは、顕微鏡ステージ上の標本像をTVカメラに取り込んだ後、コンピュータの画像をキャプチャボードで撮り込み、画像をデジタル化し、ISDNなどの公衆回線を通じて、遠隔のコンピュータにデータ転送し、画像表示する顕微鏡画像転送システムが知られている。遠隔のコンピュータからも顕微鏡を操作し、倍率の変更やステージの移動も可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明で注目した点は、スライドガラスの標本全体像(マクロ像)から顕微鏡低倍率の視野に相当する拡大指定フレームを複数箇所指定するメッシュ指定を行ない、所望の顕微鏡画像を取得する時の改善にある。
【0008】
上述した従来技術では、いずれも巨視的画像を撮影する手段でスライドガラス上の標本全体像(マクロ像)を撮影し、ポインティング手段により矩形枠(フレーム(ブロック))を所望の位置に複数設定(メッシュ分割指定)し、矩形枠(フレーム)により指定された箇所の顕微鏡画像を制御し、依頼者の手作業をなくすために、オートフォーカスを用いること等が記載されている。しかしながら、メッシュ指定画像を全て撮り込むまでの時間や撮り込んだ画像に対してフォーカス位置の正しさまでは触れていない。
【0009】
遠隔病理診断、特に手術中診断においては、観察者(病理医)が診断できるレベルの画像を最短の時間で依頼者側(病理医のいない施設)から観察者側(病理医側)に転送しなければならない。従って複数のメッシュ画像について個々に合焦位置を手作業で得るのは手術中診断では時間がかかり過ぎるという問題がある。また、複数のメッシュ画像のうちのいずれか1つの画像についてオートフォーカスを実行し、残りのすべての画像についてその最初に得られた合焦位置を用いて撮像することも考えられるが、光軸に対するZステージの変位や標本の厚み等の違いにより合焦位置の正しい画像を取得することは困難であった。
【0010】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遠隔地の観察者側(病理医側)が、スライドガラスの標本全体像(マクロ画像)上からメッシュ分割指定を行ない、このメッシュ指定のフレーム位置の顕微鏡画像を撮り込むよう依頼者側(病理医のいない方)に指示したときに、全てのメッシュ指定画像が短時間で合焦位置の正しい画像を取得することのできる顕微鏡画像転送システムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の静止画像上で所望の倍率で拡大画像撮り込みが指定可能な顕微鏡画像転送システムにおいて、静止画像上で拡大指定枠領域の輝度情報を記憶する輝度情報記憶手段と、顕微鏡XYステージの変位に伴うZ方向の位置を補正するZ方向位置補正手段と、静止画像上で拡大画像撮り込み前に、オートフォーカス実行可能か否かを判断するオートフォーカス実行可否判断手段と、前記オートフォーカス実行可否判断手段によりオートフォーカス実行可能と判断したとき、顕微鏡XYステージのXY位置と顕微鏡XYステージのZ位置を記憶するXYZ位置記憶手段と、前記オートフォーカス実行可否判断手段によりオートフォーカス実行不可と判断したとき、前記XYZ位置記憶手段に記憶された前回の顕微鏡XYステージのZ位置を復元するZ位置復元手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の静止画像上で所望の倍率で拡大画像撮り込みが指定可能な顕微鏡画像転送システムにおいて、オートフォーカス可能な位置に顕微鏡XYステージをXYに移動する手段と、前記顕微鏡XYステージのXY移動後にオートフォーカスを実行制御する手段と、オートフォーカス実行後に前記XYステージの位置を移動前の位置に復元する手段と、前の顕微鏡XYステージの位置を移動前の位置に復元後に画像撮り込みを制御する手段とを有する。
【0013】
また、請求項3に記載の静止画像上で所望の顕微鏡倍率で拡大画像撮り込み指定可能な顕微鏡画像転送システムにおいて、複数の各画像撮り込み指定枠から最初にオートフォーカスを実行する箇所を自動的に選択する手段を有することを特徴とする。
【0014】
この発明の顕微鏡画像転送システムによれば、顕微鏡XYステージの変位に伴うZ方向位置補正手段により顕微鏡XYステージをXYZの方向で制御を行ない、顕微鏡XYステージの位置と顕微鏡XYステージのZ位置をXYZ位置記憶手段により記憶する。次いで、顕微鏡XYステージのZ位置を復元する手段により、前回位置情報の呼出し、顕微鏡XYステージのXYZ移動を行う。静止画像上で拡大指定枠領域の輝度情報を記憶する輝度情報記憶手段は静止画像上で拡大指定枠領域の輝度情報を記憶する。静止画像上で拡大画像撮り込み前に、オートフォーカス実行可否判断手段でオートフォーカス実行可能か否か判断し、オートフォーカス実行可能と判断したとき、最適な箇所でオートフォーカスを実行する。また、オートフォーカス実行可否判断手段でオートフォーカス実行不可と判断したとき前記XYZ位置記憶手段に記憶された前回の顕微鏡XYステージのZ位置をZ位置記憶手段で復元し、エラー復帰を自動で行ない、オートフォーカスエラーの発生する確率を削減する。
【0015】
さらに、標本が存在する位置に顕微鏡XYステージを移動した後光軸上に標本がなくてもオートフォーカス実行後に顕微鏡XYステージの位置を移動前の位置に復元する手段により顕微鏡XYステージをXY移動してオートフォーカスを実行制御する手段により最適なZ位置での画像取得を可能にすることで、いかなるメッシュ拡大指定画像であっても最適なZ位置での画像を取得可能にしている。
【0016】
複数の拡大画像撮り込み指定枠(メッシュ指定枠)から最初にオートフォーカスを実行する箇所を自動的に選択する手段により、観察者側(病理医)の操作を簡単にすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1はこの発明に関わる顕微鏡画像転送システムの概略図である。顕微鏡907には、電動ステージ909と電動レボルバ908を備え、さらにビデオカメラ906を備えている。また、同顕微鏡907には、図示しないオートフォーカスユニット、調光機能、電動絞り機能等を備えることも可能である。図1に示す例では、顕微鏡操作ユニット913とパーソナルコンピュータ等で実現される依頼側端末905を接続し、依頼側端末905から顕微鏡操作ユニット913に操作データを転送することにより、顕微鏡の電動部位である対物制御、オートフォーカス(AF:Auto Focus)制御、Z方向微動、調光制御、電動絞り機能等を可能にする。なお、電動機能を有しない手作業による顕微鏡であってもよい。依頼側端末905内には、図示しないビデオキャプチャ機能を有しており、前記ビデオカメラ906の画像出力と接続する端子も備えている。依頼側端末905およびパーソナルコンピュータ等で構成される観察側端末901内には画像等の情報を記憶する記憶媒体を備える。依頼側端末905あるいは観察側端末901の周辺機器としてMO等の記録装置を備えても良い。依頼側端末905にはモニタ904が接続され、このモニタ上で顕微鏡画像やマクロ撮影装置画像が観察可能である。
【0019】
さらに、画像情報等の情報を公衆回線で伝送するための回線接続装置910a、910bを備え、この回線接続装置910a、910bはそれぞれ観察側端末901および依頼側端末905とのインターフェース回路を有する。依頼側端末905と観察側端末901は回線接続装置910a、910bとISDN等の公衆回線903を介して接続される。なお、公衆回線の代わりにローカルエリアネットワーク(LAN)を用いてもよい。
【0020】
病理診断を遠隔で行うテレパソロジーシステムにおいては、病理医(観察者)のいない施設の端末を依頼側端末905とし、病理医(観察者)のいる施設の端末を観察側端末901とする。通常依頼者側には、スライドガラス上の標本全体像を撮影するマクロ撮影装置911や標本全体像から拡大観察する顕微鏡907を備える。観察者側にはマクロ撮影装置や顕微鏡等は通常不要であるが、これらを観察側端末901に接続していてもよい。
【0021】
図2はテレパソロジーシステムにおける操作シーケンスをフローチャートで示したものである。まず、顕微鏡のある依頼者側が観察者側に検査してほしいスライドガラス上の標本の全体像(以下マクロ像と呼ぶ)をマクロ撮影装置911を用いて撮り込む(S1001)。その際、観察者側は依頼者側から送信されたマクロ像を受信できるように観察側端末901を立ち上げておく(S1009)。マクロ像が顕微鏡の低倍対物により観察できるようであれば、マクロ撮影装置を使うまでもなく、顕微鏡下にスライドガラスを置き、最適な顕微鏡対物倍率で画像を撮り込んでも構わない。また、顕微鏡下で顕微鏡対物を最低倍率に設定し、視野を考慮したステージ移動を行ったのち順次画像を撮り込み、これらの画像を貼り合わせることでマクロ像を作成することも可能である。
【0022】
マクロ撮影装置911のビデオカメラ914で撮像したマクロ像は、依頼側端末905内のビデオキャプチャボード(図示しない)を介して、フレームメモリに順次記憶し、依頼側端末905のモニタ904上に表示する。マクロ像を取り込むトリガは任意のスイッチ(SW)により行われ、依頼側端末905のモニタ904上に表示したアプリケーションソフト上に設けられた操作用のSWボタンをマウスクリック等のイベントで認識したり、図示しない外部操作パネルのSWで選択することで行う。依頼側端末905はマクロ像を取り込むと観察側端末901に回線接続要求を出す(S1002)。この回線接続要求は、回線接続装置910a、910bを介してISDNなどの公衆回線903経由でデジタルデータを観察側端末901に転送する。観察側端末901は回線接続要求を受信すると、接続要求処理を行う(S1010)。この接続処理は、接続先相手を認識し、問題なければ接続許可を接続先相手に返す。回線接続処理が確立すると、依頼側端末905は、マクロ像と初期設定データを観察側端末901に送信する(S1003)。初期設定ファイルには、依頼側端末905に接続しているハードウエア情報(顕微鏡、マクロ装置、TVカメラ種別等)が含まれる。これらのデータを観察側端末901が受信した後(S1011)、操作権を依頼側端末905から観察側端末901に渡す(S1004、S1012)。操作権とは、顕微鏡やステージの制御や画像撮り込み指定などの操作をする権利のことを示す。なお、この操作権の変更は、自動的に回線接続が確立したところで行っても良いし、また端末のモニタ上に表示したアプリケーションソフト上の操作用のボタンを依頼者が任意のタイミングでマウスクリック等により切り替えてもよい。図1の例では、マクロ像を依頼側端末905が撮り込んだ後に操作権を観察側端末901に渡している。
【0023】
観察者(病理医)は、マクロ像で送られた画像から注目したい位置を見つけるために、顕微鏡の低倍対物で観察する(S1013、S1014)。通常、マクロ像画像の全領域をくまなく観察するために、拡大指定枠方法として、メッシュ撮り込み指定を選択する(S1015)。メッシュ撮り込み指定とは、図13に示すように標本を格子上に分割して拡大位置を指定することである。図3の例ではM0乃至M8がメッシュ撮り込み指定であり、ステージ移動精度も考慮し撮り込んだ画像が重複するように指定している。倍率指定とメッシュ撮り込み指定は、観察側端末901の任意のキーボード(図示せず)に割り当ててもよい。
【0024】
メッシュ撮り込み指定は、観察側端末901のモニタ902上で静止画像を確認しつつ、マウス操作でメッシュ撮り込み始点指定と終点指定を行うことによりメッシュ指定エリアを決め、このエリアの中に拡大指定枠を自動的に位置決定し静止画上にオーバーレイ表示する。または、自動的に標本が存在する位置を認識し、効率的にメッシュ撮り込み指定枠を静止画上にオーバレイしても構わない。ここで、拡大指定枠方法選択でメッシュを選択すると、メッシュ撮り込み指定処理が行われるとともに(S1017)、この拡大指定枠情報を依頼側端末905が受信すると、この情報に基づき依頼側端末905のモニタ904に表示している静止画像(マクロ画像)上にメッシュ撮り込み指定枠をオーバレイ表示する(S1018、S1005)。観察側端末901のモニタ902と依頼側端末905のモニタ904上には同一の拡大指定枠を表示し、同じ画面を共有することができる。
【0025】
また、(S1015)の拡大指定枠方法選択でメッシュが選択されなかった場合、(S1016)に示すようなスポット撮り込み指定が行われる(図3中S0参照)。観察側端末901のモニタ902上でスポット撮り込み指定処理を行う(S1017)と、この拡大指定情報を観察側端末901より依頼側端末905に回線接続装置910aとISDN903と回線接続装置910bを介して送信する(S1018)。依頼側端末905は、この拡大指定枠情報を受信すると、この情報に基づき、依頼側端末905のモニタ904の静止画像上にスポット撮り込み指定枠をオーバーレイ表示する(S1005)。スポット指定は、任意の位置を中心に一箇所拡大指定するものである。スポット処理もメッシュ処理と同様に観察端末901のモニタ902上で静止画像を確認しつつ、マウス操作で拡大位置を指定する。また、このスポット指定とメッシュ指定の拡大指定フレーム枠は、図4に示すように移動可能である。図4では、一度設定した拡大指定フレーム枠を(S0a)から(S0b)の位置に移動する例を示している。この拡大枠指定位置情報は、依頼側端末905と観察側端末901の記録媒体に記録する。
【0026】
拡大指定枠は追加することも可能であり(S1019)、もし追加するようであればフローを戻り、(S1013)から(S1015)までの処理を繰り返し、その位置を決め、拡大指定率も指定変更し、さらに、拡大指定枠方法選択を行う。
【0027】
観察者(病理医)は次に拡大したい位置と倍率が決定し、拡大指定枠を追加する必要が無ければ(S1019)、画像撮り込み要求を観察側端末901から依頼側端末905に画像取り込み要求を送信する(S1020)。
【0028】
画像撮り込み要求を受信した依頼側端末905は顕微鏡操作として、ステージ移動、対物変更、AF実行等を行う(S1006)。ステージ移動は、メッシュあるいはスポットで指定した依頼側端末905のモニタ904上の位置座標をステージ座標位置に変換し、XYステージ制御ユニット912に制御データを観察側端末901から依頼側端末905を介して転送することにより電動ステージ909を移動させる。同様に、対物変更並びにAF実行は、観察側端末901から依頼側端末905を介して顕微鏡操作ユニット913に制御データを送ることにより動作を実行する。
【0029】
電動ステージ909の移動および対物レンズの倍率を電動レボルバ908を制御して変更すると、標本画像情報をビデオカメラ906で撮り込み、さらにこの画像情報を依頼側端末905内のビデオキャプチャボードに入力し、画像を静止画にする。静止画にした画像は、このまま記録媒体に記録しても良いが、画像情報を転送するためにJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)などの形式で画像を圧縮する。圧縮した画像情報は記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、依頼側端末905から回線接続装置910bに転送し、公衆回線903、回線接続装置910aを介して観察側端末901にデータ転送する(S1007)。
【0030】
依頼側端末905から転送された画像情報を観察端末901が受信すると(S1021)、観察側端末901は受信した画像情報を観察側端末901のモニタ902上に表示する。画像情報がJPEGなどの形式で画像圧縮している場合には、伸張して画像表示する。
【0031】
依頼側端末905は1枚の画像を観察側端末901に転送し終わると、次なる画像撮り込み指定位置が残っているかの判断を行う(S1008)。もし残っていれば、依頼側端末905は、再び顕微鏡操作を行い(S1006)、画像を撮り込み観察側端末901に画像データを送信する。この作業はすべての画像指定位置が無くなるまで行う。観察側端末901は全ての画像を受信し終わると、観察者(病理医)は観察側端末901のモニタ902に表示される画像を見て遠隔観察を行ない診断する(S1022)。このとき画像の連携とマウス位置情報等を操作権のある観察側端末901から依頼側端末905に回線接続装置910aおよび公衆回線903、回線接続装置910bを介して送信する。画像連携情報やマウス位置情報を受信した依頼側端末905は、情報に基づき画像を依頼側端末905のモニタ904に表示し、マウス位置等の情報も連携する(S1024)。診断を終了し観察側端末901から回線切断をする場合、回線切断要求を依頼側端末905に送信する(S1025)。回線切断要求を受信した依頼側端末905は、回線切断処理をする(S1026)。観察側端末901は遠隔観察の後終了の判断を行う(S1023)。さらに、高倍に拡大し、診断を続けたい場合にはロジックはS1013のシーケンスに戻り、倍率指定(S1014)から再度繰り返される。
【0032】
通常、遠隔診断は観察側端末901から行うので、操作権は観察者側にあるが、この操作権を依頼側端末905に任意に切り替えることも可能である。
【0033】
図5は操作権を観察側端末901から依頼側端末905に切り替えて前記拡大指定と画像撮り込みを行う例のフローチャートである。
【0034】
すなわち、図5において、観察側端末901は操作権交代要求を依頼側端末905に送信する(S1101)。依頼側端末905はこの操作権交代要求を受信し操作権を得る(S1106)。以下、ステップS1107乃至S1113は図2のS1013乃至S1019と同様である。さらに、ステップS1114乃至S1119は図2のS1006乃至S1026と同様である。
【0035】
一方、観察側のステップS1102は図2の依頼者側のステップS1005と同様である。又、図5において、観察側のステップS1103乃至S1105は図2のS1021乃至S1025と同様である。
【0036】
以上が概略のテレパソロジーシステムのシーケンス動作である。この発明では、このシーケンス動作のうちS1017のメッシュ指定における顕微鏡操作(S1006)と画像撮り込み(S1007)の処理に関わり、メッシュ指定画像を最適なフォーカス位置で撮り込むことを目的とする。
【0037】
以下、この発明の動作を図6および図7を参照して説明する。
【0038】
図6はマクロ撮影後の静止画状態で、メッシュ指定処理(S1017)を行った時の図を示している。メッシュ指定は、通常マクロ像を取り込んだ後に、標本全領域あるいは標本部分領域を顕微鏡の低倍の対物レンズにより観察できる範囲で格子状に分割して観察する時に使用する。標本全領域をくまなく観察する場合、メッシュ指定した位置すべてにAFを実行すると全ての画像を撮り込むまでに時間を費やしてしまう。AF箇所を一箇所設け、そのZ位置ですべてのメッシュ指定位置の画像データを取得する方が画像撮り込み指定から画像撮り込み終了までの時間が短くなる。しかしながら、AF箇所が1つの場合、すべてのメッシュ指定位置での画像のフォーカスが合っているとは限らない。その原因として、ステージ面精度の問題あるいは標本の厚みによる誤差が考えられる。ここでは、スライドガラスと顕微鏡ステージとの取付けは平行であり、正確に固定されているものと仮定している。ステージの面精度によるフォーカスが合わないという問題を解決するためには以下のようにする。メッシュ撮り込み指定位置変化に応じてステージをXYに移動させるとともに、そのXY移動量に応じてZ方向微動を行う。
【0039】
Z方向微動を行うために事前にステージ移動に伴うZの変動データを顕微鏡の対物レンズ毎に取っておく。図7に示すようにスライドガラスの表面上に格子状にラインを引いた調整用部品を用意する。格子の間隔は、細かく任意に設定しても良いが、調整する顕微鏡の倍率対物視野に応じた大きさにする。初めに顕微鏡の対物レンズをデータを取得するための倍率に変更する。次に、図7のスライドガラスを顕微鏡906の電動ステージ909に載せてスライド座標上X=0、Y=0になるようにステージ移動させる。X=0、Y=0では、ガラスの端になるので、数mm程度スライドガラスの内側にラインが引かれているものとする。この位置でフォーカスが合うように顕微鏡の準焦部を手作業あるいは依頼側端末905から顕微鏡操作ユニット913を制御することによりZ方向微動を行う。フォーカス位置の確認は、ビデオカメラ906を通じて依頼側端末905内のキャプチャボード(図示せず)経由で入力した依頼側端末905のモニタ904上に動画表示した画像を基に行う。フォーカス位置の調整ができると、顕微鏡のZ位置情報を顕微鏡操作ユニット913経由で依頼側端末905に取り込む。このX=0、Y=0のスライド座標位置での顕微鏡Z位置を初期値(Z0)として、依頼側端末905内のメモリ(図示せず)にデータ格納する。
【0040】
次に、X=0、Y=1のステージ座標にステージを移動させ、スライドガラス上のラインにフォーカスを合わせる。
【0041】
フォーカス位置の確認をした後、顕微鏡Z位置情報を取得し、Z初期値Z0との比較を行ない、その比較結果データを依頼側端末905内のメモリ(図示せず)に記憶する。このようにしてスライドガラス上の座標を移動させながら、フォーカスを確認し、フォーカスの合った位置でのZ位置をZ初期値データ(Z0)と比較して各座標毎の比較データΔZを取得し、そのデータを依頼側端末905内のメモリにデータ格納する。その結果を表したのが図8に示す表である。このデータは各対物毎にデータを保持するものである。
【0042】
以上のようにしてスライドガラスを顕微鏡ステージに載せた状態でXY変動に対するZのずれデータを依頼側端末905のメモリ内に記憶する。この補正データを元にXYステージ移動に伴うZ補正を行うが、これを図9のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まずスライドガラス上の標本全体像(マクロ像)を撮影し、モニタ上に表示する(S501)。マクロ像は、通常依頼側端末905を操作してマクロ撮影装置911や顕微鏡907を用いて撮影するものである。。この撮影したマクロ像は静止画状態のRGB各々の輝度情報として依頼側端末905及び観察側端末901のメモリ内に格納する(S502)。メモリは2次元の配列にして(例えばVGAサイズの画像の場合R(iX,iY)に保管(iX=0〜639、iY=0〜479)し、後でデータを取り出しやすくする。次に、メッシュ撮り込み指定領域を指定する。メッシュ撮り込み指定は、通常回線に接続した後に、観察側端末901が行う。もちろん回線を接続していなくても依頼側端末905でメッシュ撮り込み指定もできるし、回線接続状態でも依頼側端末905でもメッシュ撮り込み指定ができる。この領域指定は、各モニタ902、904上で確認しながら静止画像にオーバーレイ表示する(S503)。メッシュ指定した例を図10に示す。マクロ静止画像上にオーバレイ表示したメッシュ位置は、その座標情報を依頼側端末905及び観察側端末901のメモリ内に格納する(S504)。この座標情報は、各メッシュ枠の中心を記憶すればよい。また中心座標のみならず、静止画像の倍率情報と、メッシュ拡大指定の倍率情報を各メッシュ拡大指定枠毎に依頼側端末905及び観察側端末901のメモリ内に格納しておけば、後で再現することもできる。
【0044】
次に最初にAFを実行するメッシュ拡大指定枠の位置をモニタ上で指定する(S505)。このAFを実行するメッシュ拡大指定枠の位置の指定も操作権のある方の端末(依頼側端末905あるいは観察側端末901)のモニタ902あるいは904上に表示されているマクロ静止画像上のメッシュ枠をマウスクリックすることにより行う。当然、このマウスクリック情報は、依頼側端末905と観察側端末901の両者で共有するものである。マクロ像上のメッシュ拡大指定枠のうちどの枠を選択したかわかるように、拡大指定枠の線の太さあるいは、線の色を他のメッシュ拡大指定枠と変えるものとする。最初にAFを指定する位置が決定されると、画像撮り込みを開始する。この画像撮り込みの開始は、操作権のある端末から、図示しないアプリケーション上の操作用のボタンあるいは、端末のキーボードの任意キーを押すことによって行う。
【0045】
依頼側端末905が画像撮り込み開始の指示を認識すると、最初にAFを実行する指定がされているメッシュ位置にステージ移動する(S506)。このステージ移動は、依頼側端末905がXYステージ制御ユニット912に移動コマンドを送ることにより、顕微鏡907の電動ステージ909を指定位置に移動する。ステージ移動量は、モニタ上のメッシュ拡大指定枠位置から実際にステージ座標系とのデータ変換により演算する。
【0046】
最初にAF位置を実行するステージ位置に移動停止した後、AFを実行する(S507)。AF実行は、依頼側端末905が顕微鏡操作ユニット913にAF実行データを送ることにより、顕微鏡907のAFユニット(図示せず)が動作することにより実現する。ここで、AFを実行した後、正常に動作すれば良いのであるが、標本が顕微鏡対物光軸の付近(画面の中心付近)に存在しない場合、AFエラーが発生する場合がある。従ってAFエラーが発生するか否かをチェックする(S508)。このAFエラーは図示しないAFユニットから出力される。AFエラーが発生すると、顕微鏡操作ユニット913から依頼側端末905にAFエラー通知がなされる。このエラーを依頼側端末905が認識した場合、依頼側端末905のモニタ904上にAFエラーが発生したことを示すエラー表示がされる。エラー表示はエラーウインドウとして表示しても良い。また、依頼側端末905を操作している依頼者に合焦位置に顕微鏡のZステージ微動ハンドルを手作業による操作で移動するように指示をする。これで最初のフォーカス位置が決定される。このZ位置を依頼側端末905のメモリ内に記憶するとともに、Z位置を記憶したXYステージ位置座標も記憶する。ステップS508において、AFが正常に動作した場合はZ位置とXYステージ位置座標を操作することなく記憶する(S510)。
【0047】
ステージXYZの移動が終わると、この位置で静止画像の画像撮り込み(キャプチャ)をする(S511)。画像撮り込みは、依頼側端末905がXYステージ及びAF確認を行った後に依頼側端末905に装着しているキャプチャーボードを制御することにより、顕微鏡907の画像をビデオカメラ906を通じて画像撮り込みをする。画像を撮り込んだ後、任意の画像ファイルフォーマットで依頼側端末905のHDなどの記録媒体(図示せず)に画像データを保存する。撮り込まれた画像は、回線接続装置910b、910aと公衆回線903を通じて依頼側端末905から観察側端末901へ転送され、モニタ902に同画像を表示される。
【0048】
最初にAF実行する箇所のメッシュ拡大指定画像を撮り込んだ後に、次のメッシュ拡大指定枠が存在するか否かチェックする(S512)。次のメッシュ拡大指定枠がなければ終了する。次のメッシュ拡大指定枠が存在する場合、次の箇所にXYステージを移動させる(S513)。
【0049】
XYステージを移動させるとともに、XYの移動に応じてZ位置を微動させる(S514)。このZ位置の微動は、図8の表のステージ座標とΔZのデータにもとづいて行う。すなわち、前回のステージ位置が図8の表においてどの座標箇所にあたるかを確認し、その時のΔZをΔZi−1とし、同様に今回のステージ位置が図8の表においてどの座標箇所およびΔZ(ΔZi)になるかを確認する。前回のΔZi−1とΔZiの差分((ΔZi−1)−(ΔZi))がXYステージ移動に伴うZ微動量となる。Z微動制御は、依頼側端末905から顕微鏡操作ユニット913にZ微動量データを送ることにより、顕微鏡Zモータを駆動し、Z位置が変化する。
【0050】
電動ステージ909によるXY移動とZ微動制御が終了したことを依頼側端末905が確認すると、依頼側端末905は、AF動作を実行するべきか否かの判断をする(S515)。ステージだけのZのずれだけでなく、標本の厚みによるZ誤差を吸収するために、任意にAFするか否か判断する。この判断処理の詳細は図11に示すフローチャートを参照して後に説明する。AFを実行するべきだという判断(S516)があればAFを実行する(S517)。AFを実行する必要が無ければ(S516)、画像撮り込み処理に戻る(S511)。またAF実行(S517)してエラーが無い場合(S518)、そのZ位置並びにXY座標値を記憶する処理(S510)に戻る。もしAF実行してAFエラーが発生していれば(S518)、顕微鏡操作ユニット913から依頼側端末905にエラーが通知される。このエラーを依頼側端末905が認識した場合、前回画像を撮り込んだ位置のZ位置を依頼側端末905のメモリ内(図示せず)から呼出し、このZ位置データを顕微鏡操作ユニット913に転送することにより、自動的に最良なZ位置に復帰する。この時依頼側端末905にはエラー表示および手動でZ微動操作することを要求したりしない。自動的に前回Z位置に移動後(S519)、画像撮り込み処理(S511)に戻る。
【0051】
次に、AF実行すべきか否かを判断するフローチャートを図11を参照して説明する。
【0052】
最初に前回のステージ位置と今回のステージ位置がどの位の移動差があれば、AF実行するか否かの判断基準の移動差基準データ(XYrefth)を閾値として設定する(S601)。この移動差基準データ(XYrefth)は、任意に初期設定で決められるようにしておく。また、移動差基準データ(XYrefth)は、対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)から焦点深度を求め、この焦点深度をカバーできないXY移動に伴うZ変位のときのXY移動量をプリセットデータとして持っても良い。移動差基準データ(XYrefth)は依頼側端末905内のメモリ内に格納しておく。次に今回のメッシュ拡大指定枠のステージXY座標位置と前回AFを実行したステージXY座標位置の差分を取り、その差分をXYref(S602)とする。前回AFを実行したステージXY座標は、依頼側端末905のメモリ内に格納されている。XYrefとXYrefthとの比較を行う(S603)。前回AF実行したステージXY座標位置との差分XYrefが移動差基準データ(XYrefth)より小さければ、AF実行しなくてもよい(S619)。逆に前回実行したステージ座標位置との差分XYrefが移動差基準データ(XYrefth)より大きければ、さらにAFを実行しても良いかを確認する処理へと移行する。AFを実行しても良いかのチェックは、画像の中心付近(光軸中心付近)に標本が存在するか否かの判断をする。これは、光軸の中心付近に標本が存在しない場合、AFが正常動作しない可能性があるからである。ステップS605以降のフローチャートは、次に拡大したい座標位置の光軸の中心付近に標本が存在するか否かを静止画像状態で判断する処理を表している。動画状態でも、光軸中心付近に標本が存在することは判断できるが、この発明では、拡大画像を得る前の静止画像のメッシュ拡大指定枠を決めた状態で予め拡大像を取り込む前に、光軸付近に標本が存在するか否かを予測する。
【0053】
まず、標本が存在するか否かを判断する基準として、静止画像のRGBの輝度情報を用いる。この静止画像状態でのRGB各々の輝度情報は、ステップS502ですでに依頼側端末905のメモリ内に格納されている。ステップS604では、標本として認識する輝度閾値(Gth)を決定するとともに、ステップS605で標本像認識チェック用カウンタをクリアする。この標本認識用の輝度閾値は初期データとして任意のファイルに格納しておき、使用するときにこのファイルからデータを取り出し、依頼側端末905のメモリ内に格納する。次に標本像として認識するには、1画素だけでは判断しかねるので、中心付近の画素データの範囲を決めて前記輝度閾値(Gth)と比較する必要がある。ステップS606とS607では、静止画像状態でチェックをするXY座標値の範囲を決定している。まず、X座標のチェックする範囲を決める。図10はスライドガラス上の標本全体像(マクロ像)を撮り込み後、メッシュ拡大指定枠をマクロ像静止画像の上にオーバーレイ表示している状態である。図10のImageWidthとImageHeightは、静止画像の幅、高さを示してあり、VGAサイズでは、640X480ピクセルであり、(ImgXmax, ImgYmax)=(639,479)となる。(1)から(18)のフレームは、メッシュ拡大指定枠であり、現表示倍率と次の拡大指定倍率によりその幅(FrameWidth)、高さ(FrameHeight)が決まる。
【0054】
FrameWidth=ImageWidth×(現表示倍率/次の指定倍率)
FrameHeight=ImageHeight×(現表示倍率/次の指定倍率)
図12は図10におけるメッシュ拡大指定枠のうち(10)の枠を拡大表示したものである。図12の(Xmin, Ymin)〜(Xmax, Ymax)は、AFを実行しても中心付近に標本が存在するかを評価する領域である。図12の(Xic, Yic)は、図10の画像左上を(0、0)としたときのメッシュ拡大指定枠(10)の中心座標を表す。
【0055】
X座標領域を決定するフローチャートを図13に、Y座標領域を決定するフローチャートを図14に示す。
【0056】
まず、X座標領域を決定するフローチャートを説明する。まず、図10の全体画像から見たメッシュ拡大指定枠の中心座標(Xic、Yic)を検出する(S701)。各メッシュ拡大指定枠の中心座標は、依頼側端末905のメモリ内(図示せず)から取り出す。その中心座標から標本が存在するか否かのチェックをするため以下の式に基づきX領域の指定を行う(S702)。
【0057】
Xmin=Xic-FrameWidth/n
Xmax=Xic+FrameWidth/n
nの値は初期設定において任意に変更可能である。
【0058】
同様にしてY領域においても、図10の全体画像から見たメッシュ拡大指定枠の中心座標(Xic、Yic)を検出し(S801)、標本が存在するか否かのチェックをするため以下の式に基づきY領域の指定を行う(S802)。
【0059】
Ymin=Yic-FrameHeight/m
Ymax=Yic+FrameHeight/m
mの値は初期設定において任意に変更可能である。
【0060】
以上のようにして標本が存在するか否かをチェックする領域を決定する。標本が存在するか否かは、各画素の輝度情報と前記ステップS604で決定した輝度閾値(Gth)との比較により行う。ここで各画素の輝度情報は3種類あるが、図9のフローチャートの例では、G情報だけで行う。もちろんRGB3つの輝度情報を用いて各々輝度閾値Rth、Gth、Bthを持ち、それぞれを比較し、総合的に判断してもよい。
【0061】
標本が存在するか否かを判断する領域内での各画素のGdata(X,Y)輝度情報とステップS604で決定した輝度閾値(Gth)との比較を行ない、最終的にAFを実行しても良いか否かの判断する処理のフローチャートをステップS608以降に示す。
【0062】
まず、初期座標を設定する(S608)。ここで、X、Yは変数であり、依頼者側端末905のメモリ(図示せず)に格納する。初期値は前述したチェック座標領域の初期座標であり、X=Xmin, Y=Yminとする。
【0063】
このX、Y座標におけるG輝度情報(Gdata(X、Y))を依頼側端末905のメモリ(図示せず)に格納する。初期値は前述したチェック座標領域の初期座標であり、X=Xmin、Y=Yminとする。
【0064】
このX、Y座標におけるG輝度情報(Gdata(X、Y))を依頼側端末905のメモリ(図示せず)から取り出す(S609)。この輝度情報(Gdata(X、Y))と輝度閾値(Gth)との比較を行う(S610)。
【0065】
もしG輝度情報(Gdata(X、Y))の値の方が輝度閾値Gthの値より小さければ(S611)標本像が存在すると判断し、ステップS605でクリアした標本像認識チェック用カウンタをインクリメント(S612)し、依頼側端末905のメモリ(図示せず)に格納する。もしG輝度情報(Gdata(X,Y))の値の方が輝度閾値(Gth)の値より大きければ(S611)標本像が存在しないと判断し、標本像認識チェック用カウンタ(ChkCounter)は変化しない。次に、X座標を1画素分インクリメントする(S613)。このときX座標がS606で決定した領域外になるか否かの判断をする(S614)。X座標が領域内に入っているならばS609の輝度情報と輝度閾値の比較を行う処理に戻る。X座標が領域外になる場合(S614)、X座標を初期値(X=Xmin)とし、Y座標を1画素分インクリメントする(S615)。Y座標をインクリメントした後、そのY座標が領域外になるか否かの判断をする(S616)。Y座標が領域外にならない場合には、再びS609の輝度情報と輝度閾値を比較し標本像が存在するか否かの判断する。Y座標インクリメントして、そのY座標が領域外になる場合、標本像が存在するか否かの判断をする領域すべてのチェックを終了したことになる。次に、比較用データ(ChkCounterMin)の値を以下の式に基づき設定する(S617)。
【0066】
ChkCounterMin=((Xmax-Xmin)×(Ymax-Ymin))/2
上記式では、標本が存在するか否かを判断する領域の半分とするために2で割っているが、任意の値にしても構わない。
【0067】
次に最終的中心付近に標本像が存在するか否かを判断する(S618)。標本像認識カウンタ(ChkCounter)が比較用データ(ChkCounterMin)以上であればその領域に標本像が存在すると判断できる。その比較用データ(ChkCounterMin)以上であれば、その領域に標本像が存在すると判断できる。
【0068】
標本像認識カウンタ(ChkCounter)と比較用データ(ChkCounterMin)との比較を行ない、標本像認識カウンタの方が大きければAF実行可能と判断し(S620)、小さければAF実行不可として判断する(S619)。
【0069】
以上のようにして、標本像が画像の中心付近に存在するか否かを判断し、静止画像状態でAF実行可能か否か判断することができる。
【0070】
次にこの発明の第2実施形態について説明する。
【0071】
実施形態1では、メッシュ拡大指定枠の中心付近に標本像が存在するか否かをチェックし、AFを実行しても良いかを判断していたが、図15に示すように中心付近に標本像が存在しなくても中心付近以外に全領域にわたり標本像が存在する場合がある。例えば、図15に示すように、標本1501をスライスしたときに、穴1503が空いたような場合が考えられる。このような場合において、実施形態1の図11のフローチャートの例では、AF実行不可になる(S619)。第2実施形態では、このAF実行不可と判断した後に再度AF実行チェックする処理が行われる。
【0072】
図15のAFChkAria(a)は図11のフローチャートで拡大指定枠の中心付近に標本が存在するかチェックした領域である。確かに中心付近に標本は存在しないが、AFChkAria(b)を画像の中心(光軸中心)としてAF実行すれば、AFエラーが発生しないはずである。
【0073】
図16のフローチャートを用いてS619でAF実行不可と認識した後のAF実行再チェックについて説明する。まず、標本像として認識する基準のための輝度閾値(Gth)を設定し、依頼側端末905内のメモリに格納する(S1501)。そしてチェックをする座標の初期値を設定する(S1502)。(Xic,Yic)は図10のようなマクロ像からメッシュ拡大指定枠を表示したときの任意のメッシュ拡大指定枠の中心座標である。FrameWidthとFrameHeightは、メッシュ拡大指定枠の幅と高さである。
【0074】
次に、標本像が存在するか否かを判断するためのチェック用カウンタをクリアする(S1503)。次にXY座標を変化させながら、個別画素におけるG輝度情報(Gdata(X,Y))を取得し、その輝度情報とS1501で決定した輝度閾値(Gth)との比較を行う(S1504)。もし輝度閾値(Gth)より小さければチェック用カウンタをインクリメントする(S1505)。すなわち、一般に輝度レベルは白色が一番高い。標本1501に穴1503が空いていれば、G輝度情報(Gdata(X,Y))は輝度閾値(Gth)よりも大きくなる。逆に、標本が存在すれば、G輝度情報(Gdata(X,Y))は輝度閾値(Gth)よりも小さくなる。そして、X座標をインクリメントし次の座標を準備する(S1506)。ステップS1507において、X座標がメッシュ拡大指定枠内の領域に入っていれば、ステップS1504の処理に戻る。逆に、ステップS1507において、X座標をインクリメントした後にメッシュ拡大指定枠になれば、Y座標をインクリメントし、かつX座標を初期値に戻す(S1508)。Y座標がインクリメントした後にメッシュ拡大指定枠の領域外になっていないかをチェックする(S1509)。領域内であれば、ステップS1504の処理に戻る。
【0075】
すべてのXY座標をチェックし終わるとメッシュ拡大指定枠内で標本が存在する画素数比率を以下の式に基づき算出する(S1510)。
【0076】
PicRate=(ChkCounter/FrameWidth×FrameHeight)×100
PicRateが60%以下であれば、中心付近には標本が存在しないものの、中心以外の領域で標本が存在すると判断する(S1511)。この60%という数字は任意に変更できるものとする。中心以外の領域で標本が存在することを確認後、標本が存在する位置にステージを移動させる(S1512)。
【0077】
標本が存在する位置は、中心座標を数ピクセル移動させながら、標本像が連続的に存在するか否かを探すことにより判断できる。
【0078】
ステージ移動することで、光軸の中心付近に標本画像がある位置に移動し、この位置でAFを実行する(S1513)。AFエラーが発生した場合には、Z位置を前回のメッシュ拡大指定枠撮り込みしたZ位置に戻す。Z移動が完了すると現Z位置とXY座標値を依頼側端末905のメモリ内に記憶した後(S1514)、ステージ位置を元の位置(Xic,Yic)に戻す(S1515)。
【0079】
以上のように、中心付近に標本像が無く、AF実行ができないと判断した後でも、中心付近以外の領域で標本が存在する領域が多いと判断する場合には、標本像が存在する位置にステージを移動させ、この位置でAFを実行した後、再び元のステージ位置に戻すことにより、合焦位置の正しいメッシュ撮り込み指定画像が取得できる。
【0080】
次に、この発明の第3実施形態について説明する。
【0081】
実施形態1では、図9のフローチャートのステップS506において、最初にAFを実行するメッシュ指定枠位置をモニタ902、904上で指示する例を示したが、実施形態3では、この最初にAFを実行するメッシュ指定枠位置を自動で指定する例を示す。
【0082】
図17はこの発明の第3実施形態の処理を示すフローチャートである。
【0083】
マクロ像を撮影した後に静止画像上でメッシュ拡大指定枠を指示する。この指示が終了したときに、最初にAFを実行するメッシュ拡大指定枠を自動的に決定処理する。
【0084】
まず、メッシュ拡大指定枠の個数をチェックする(S1601)。メッシュ拡大指定枠個別の標本像認識画素数データを持つために標本像チェック用カウンタを配列データとして持つとともに(S1602)、配列データの中身をクリアしておく。メッシュ拡大指定枠毎に標本像存在チェックをする(S1603)。標本像チェックは、上述したように輝度閾値データと各画素の輝度情報の比較により判断する。そして標本像として認識した画素数をChkCounter(i)に記憶する。iは任意のメッシュ拡大指定枠番号を示す(図10では、(0)〜(19)の番号)。すべてのメッシュ拡大指定枠の標本像チェックが終了したならば、標本像チェック用カウンタの値が大きいものから順に並べる(S1604)。並べた順番は、別の変数として記憶しておく。次に標本像チェック用カウンタ値の大きいものから、順に中心付近に標本が存在するか否かを判断する(S1605)。中心付近に標本が存在するか否かの判断は、中心座標に対応する、ステップS1602において記憶した配列データを調べることにより行うことができる。中心付近に標本像が存在しないと判断した場合には(S1606)、再度S1605に戻り、次に標本像チェック用カウンタ値の大きいメッシュ拡大指定枠を取り出し、中心付近に標本像が存在するか否か判断する。中心付近に標本像が存在すれば、最初にAFを実行する位置として記憶する(S1607)。
【0085】
以上のようにして、複数のメッシュ拡大指定枠の中から最も標本像として認識できる画素数を持ち、かつ中心付近に標本像が存在する箇所を最初にAFする位置として自動的に認識できる。
【0086】
【発明の効果】
この発明によれば、顕微鏡画像の遠隔観察において、初期観察画像における観察領域の指定(メッシュ分割)後の画像撮り込み時間を短縮かつ合焦位置が正しい画像観察できる顕微鏡画像転送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用される顕微鏡画像転送システムの概略図。
【図2】テレパソロジーシステムの基本操作を示すフローチャート。
【図3】メッシュ撮り込み指定枠とスポット撮り込み指定枠の説明図。
【図4】拡大指定枠の移動を説明する図。
【図5】テレパソロジーシステムの操作権が依頼側にあるときの基本操作を示すフローチャート。
【図6】この発明の実施形態において、マクロ撮影後の静止画状態において、メッシュ指定処理を行ったときの図。
【図7】この発明の実施形態において、ステージXY移動に伴うZ補正データを取得することを説明するための図。
【図8】この発明の実施形態において、フォーカスの合った位置でのZ位置をZ初期値データと比較して得られる各座標毎の比較データΔZを示す表。
【図9】この発明の実施形態において、メッシュ画像撮り込み処理を示すフローチャート。
【図10】この発明の実施形態において、標本像位置にメッシュ分割位置を設定することを表す図。
【図11】この発明の実施形態において、オートフォーカス動作実行可否のチェック処理を示すフローチャート。
【図12】この発明の実施形態において、メッシュ分割画面からAF実行を判断する領域を説明する図。
【図13】この発明の実施形態において、オートフォーカス実行判断をするX領域を決定する処理を示すフローチャート。
【図14】この発明の実施形態において、オートフォーカス実行判断をするY領域を決定する処理を示すフローチャート。
【図15】この発明の第2実施形態において、オートフォーカスチェックエリアの変更を説明する図。
【図16】この発明の第2実施形態において、オートフォーカスを再チェックするフローチャート。
【図17】この発明の第3実施形態において、オートフォーカスを実行する箇所を説明する図。
【符号の説明】
901…観察側端末
902…モニタ
903…ISDN
904…モニタ
905…依頼側端末
906…ビデオカメラ
907…顕微鏡
908…電動レボルバ
909…電動ステージ
910a、910b…回線接続装置
911…マクロ撮影装置
912…XYステージ制御ユニット
913…顕微鏡操作ユニット
Claims (3)
- 静止画像上で所望の倍率で拡大画像撮り込みが指定可能な顕微鏡画像転送システムにおいて、
静止画像上で拡大指定枠領域の輝度情報を記憶する輝度情報記憶手段と、
顕微鏡XYステージの変位に伴うZ方向の位置を補正するZ方向位置補正手段と、
静止画像上で拡大画像撮り込み前に、オートフォーカス実行可能か否かを判断するオートフォーカス実行可否判断手段と、
前記オートフォーカス実行可否判断手段によりオートフォーカス実行可能と判断したとき、顕微鏡XYステージのXY位置と顕微鏡XYステージのZ位置を記憶するXYZ位置記憶手段と、
前記オートフォーカス実行可否判断手段によりオートフォーカス実行不可と判断したとき、前記XYZ位置記憶手段に記憶された前回の顕微鏡XYステージのZ位置を復元するZ位置復元手段と、
を有することを特徴とする顕微鏡画像転送システム。 - オートフォーカス可能な位置に顕微鏡XYステージをXYに移動する手段と、
前記顕微鏡XYステージのXY移動後にオートフォーカスを実行制御する手段と、
オートフォーカス実行後に前記XYステージの位置を移動前の位置に復元する手段と、
前の顕微鏡XYステージの位置を移動前の位置に復元後に画像撮り込みを制御する手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の顕微鏡画像転送システム。 - 複数の各画像撮り込み指定枠から最初にオートフォーカスを実行する箇所を自動的に選択する手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の顕微鏡画像転送システム。
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