JP4431199B2 - 表面処理剤組成物、表面処理方法、基材、および物品 - Google Patents

表面処理剤組成物、表面処理方法、基材、および物品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面に優れた撥水性、水滴転落性を付与できる表面処理剤組成物、および該表面処理剤により処理された基材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス、プラスチックス、セラミックス、金属等の基材、および、表面処理層を有する基材は種々の分野で使用されている。これらの基材においては、水やほこり等の汚れが基材表面にもたらす悪影響が問題となっている。
すなわち、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、表示機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の物品の表面は常に清浄であることが好ましい。しかし、輸送機器物品の表面に雨滴、ほこり、汚れ等が付着したり、大気中の湿度、温度の影響で水分が凝縮すると、その外観が損なわれる問題がある。また、人の目に直接触れる基材や、人が直接接する基材においては、不快感や衛生上の問題がある。また、輸送機器物品が有する本来の機能を著しく低下させることにもなる。特に、輸送機器用物品が、窓ガラスや鏡等の透明性、透視性を要求される物品である場合には、透明性、透視性の低減は問題となる。
【0003】
一方、ほこり、汚れ、水等を除去するために、拭きとりやワイパーを使用する方法は、基材表面に微細な傷を付ける問題がある。また、ほこり、汚れ、水等にともなわれる異物粒子が、傷をより深くする問題もある。また、ガラス表面に水分が付着すると、水分中にガラス成分が溶出し、表面が浸食され、「焼け」と呼ばれる現象を生じることもある。しかし、焼けを除去するために強く摩擦することは、表面に微細な凸凹を生じさせる問題がある。また、焼けが激しく生じたガラスや、表面に微細な凸凹を生じたガラスを透視部に用いると、本来の機能が低下し、表面での光の散乱が激しくなる。すなわち、視野確保の点で不都合が生じる。
【0004】
その他にも、ほこり、汚れ、および水は、輸送機器物品の表面の損傷、汚染、着色、腐食等を促進させる問題がある。また、輸送機器物品の電気特性、機械特性、光学的特性等の変化を誘発する問題もある。これらの問題は、建築・建装用物品、電気・電子機器用物品等の分野でも、同様に問題となる。
基材表面に水滴をはじき水滴のもたらす悪影響を排除する性質(以下、これらを単に撥水性という)、防汚性、低反射性等の性質を付与する目的で、基材表面に含フッ素反応性シランの部分加水分解生成物を必須とする組成物を処理する方法には、下記文献に記載される公知の方法がある。
【特許文献1】
特開昭50−126033号公報
【特許文献2】
特開昭59−115840号公報
【特許文献3】
特開昭61−40845号公報
【特許文献4】
特開昭61−241143号公報
【特許文献5】
特開昭61−215235号公報
【特許文献6】
特開平1−95181号公報
【特許文献7】
特開平2−248480号公報
【特許文献8】
特開平2−115801号公報
【特許文献9】
特開平4−341379号公報
【特許文献10】
特開平4−342444号公報
【特許文献11】
特開平4−328188号公報
【特許文献12】
特開平5−279499号公報
【特許文献13】
特開平1−170486号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献には、含フッ素反応性シランを酸により部分加水分解することが記載され、その酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、スルホン酸等が記載されている。
しかし、従来の組成物は、塗布時にムラが発生しやすい、基材への付着性が不足する、防汚性が持続しない等の問題があった。
【0006】
また、基材が物品に組み込まれている場合や、使用後または使用中の物品に撥水撥油剤を処理しようとする場合には、常温で処理する必要がある。たとえば、市販の自動車用フロントガラスに処理を行う場合に、フロントガラスをはずしてから処理することは、経済的に不利である。また、フロントガラスをはずさずに処理して、その後に自動車全体を焼成することは不可能である。また、その都度組成物を調整することはできないため、組成物の性能が長期にわたって発揮されること、保存安定性を有すること、等の必要性もある。
【0007】
しかし、従来の組成物は、保存安定性が低く、保存後の性能が安定しない等の問題があり、適用範囲が限定されていた。また、上記性能とともに、基材表面に留まる水滴を除去できる性能(以下、水滴転落性と記載する)を発揮する組成物は、従来は提供されておらず、輸送機器用物品等に処理した場合には、視野が充分に確保されない問題もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の方法における組成物における上記欠点を改善すべく検討を行った。その結果、部分加水分解時の反応条件の選択が不適当であり、低分子量または高分子量の部分加水分解物の割合が大となること、組成物中の酸や水の量が多いこと、等の理由が上記欠点を導いていることを見いだした。
そして、特定の部分加水分解生成物を含有する表面処理剤が、撥水性、防汚性、水滴の転落性、密着性(耐久性)、耐摩耗性、耐薬品性、および保存安定性、に優れることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、下式1で表される含フッ素反応性シランの部分加水分解生成物を必須成分とする表面処理剤組成物において、ゲル浸透クロマトグラフ法で測定した含フッ素反応性シランの分子量がMである場合に、下式Aから求まる分子量が2M以下である部分加水分解生成物の割合(T1)が70%未満であり、かつ、下式Bから求まる分子量が6M以上である部分加水分解生成物の割合(T2)が10%未満であることを特徴とする表面処理剤組成物を提供する。
【0010】
(Rf−Q−)a(R1bSi(X14-a-b・・・式1
式1中の記号は、以下の意味を示す。
f:炭素数1〜30の1価含フッ素有機基。
Q:単結合または2価連結基。
1:水素原子または炭素数1〜16の1価有機基。
a:1または2。
b:0または1であり、かつ(a+b)は1または2。
1:加水分解性基。
【0011】
【数
1(%)=[W2/W1]×100・・・式A
2(%)=[W3/W1]×100・・・式B
1:分子量が300〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するゲル浸透クロマトグラムのピーク総面積値。
2:分子量が300〜2Mの範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するゲル浸透クロマトグラムのピーク総面積値。
3:分子量が6M〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの部分加水分解生成物に対応するゲル浸透クロマトグラムのピーク総面積値。
【0012】
【発明の効果】
本発明の表面処理剤組成物は、基材表面に優れた撥水性、防汚性、水滴転落性、耐薬品性、氷結防止性、水滴解氷性を付与しうる。また、該組成物は保存安定性にも優れる。さらに、組成物を処理された処理基板においては、下記の優れた効果が認められる。
【0013】
(1)撥水性、水滴転落性に優れることから、水のもたらす悪影響を排除し、、洗浄の簡略化が図れる。
(2)性能の効果が持続するため、半永久的に使用可能である。
(3)耐薬品性にも優れることから、海水等が付着する船舶の透視野部にも使用しうる。
(4)特殊な前処理をしなくても性能を発揮する。
(5)常温処理でその特性を発現するため、使用中や使用後の基材にも適用可能である。よって環境上、経済性の点においても有利である。
【0014】
【発明の実施の形態】
含フッ素反応性シラン(以下、化合物1と記す。)における、R1は水素原子または炭素数1〜16の1価有機基である。有機基とは、炭素を含む基をいい、1価有機基の炭素数は1〜8が好ましい。
炭素数1〜16の1価有機基としては、ハロゲン原子、官能基、連結基等を含む有機基であってもよく、好ましくは1価炭化水素基、ハロゲン原子を含有する1価有機基である。また、1価炭化水素基およびハロゲン原子を含有する1価有機基は、それぞれ官能基や連結基を有していてもよい。
【0015】
1価炭化水素基としては、1価脂肪族炭化水素基であっても、1価芳香族炭化水素基であってもよく、好ましくは脂肪族炭化水素基である。1価脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、またはシクロアルキル基等が好ましく、特にアルキル基が好ましく、とりわけ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数4以下のアルキル基が好ましい。芳香族炭化水素基としてはアリール基等が好ましい。
【0016】
1価ハロゲン化有機基とは、1価有機基の水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基をいう。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。1価ハロゲン化有機基としては、1価ハロゲン化炭化水素基が好ましく、特にハロゲン化アルキル基が好ましい。ハロゲン化アルキル基としては、クロロアルキル基、フルオロアルキル基、クロロフルオロアルキル基等が挙げられる。
1価ハロゲン化有機基としては、有機基の水素原子の2個以上がフッ素に置換された1価ポリフルオロ有機基が特に好ましい。
【0017】
化合物1におけるRfは、炭素数1〜16の1価含フッ素有機基を示す。
1価含フッ素有機基とは、上述の1価有機基中の水素原子の1個以上がフッ素原子で置換された基をいう。Rfはフッ素以外のハロゲン原子、官能基を含む基、または炭素−炭素結合間に連結基が挿入された基であってもよい。Rf基の炭素数は3〜18が好ましく、特に4〜16が好ましい。
1価ポリフルオロ有機基としては、1価ポリフルオロ炭化水素基が好ましく、特にポリフルオロアルキル基が好ましい。ポリフルオロアルキル基はアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。なお、以下においてポリフルオロアルキル基を「RF基」と記す。
【0018】
F基は直鎖構造であっても、分岐構造であってもよく、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分の炭素数が4以下であることが好ましい。RF基中のフッ素原子の割合としては(RF基中のフッ素原子数)/(RF基に対応する同一炭素数のアルキル基中の水素原子数)×100%で表現したときに、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
【0019】
また、RF基はエーテル性の酸素原子(−O−)やチオエーテル性のイオウ原子(−S−)を含んでいてもよい。たとえば、ポリフルオロオキサアルキル基、ポリフルオロチオアルキル基、またはこれらの基を含有する基等が挙げられる。ポリフルオロオキサアルキル基としては、ポリフルオロエチレンオキシ部分やポリフルオロプロピレンオキシ部分を含む基、ポリフルオロエチルオキシ部分やポリフルオロプロピルオキシ部分等を含む基等が挙げられる。また、ポリフルオロチオアルキル基としては、ポリフルオロエチレンチオ部分やポリフルオロプロピレンチオ部分を含む基、ポリフルオロエチルチオ部分やポリフルオロプロピルチオ部分等を含む基等が挙げられる。また、RF基は官能基を有していてもよい。
【0020】
F基としては上記のRF基の水素原子の全部がフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基、または該ペルフルオロアルキル基を部分構造として含む基、またはペルフルオロアルキレン基を部分構造として含む基が好ましい。RF基中に含まれるペルフルオロアルキル基の炭素数は3〜18が好ましく、ペルフルオロアルキレン基の炭素数は2〜18が好ましい。さらにRF基は、ペルフルオロアルキル基が好ましい。
【0021】
また、Qは単結合または2価連結基を示し、2価連結基が好ましい。Qが単結合である場合、式1のRfはSiに直接結合していることを意味する。2価連結基と結合するRf基の炭素原子には、1個以上のフッ素原子が結合しているのが好ましい。2価連結基としてのQとしては、公知ないしは周知の2価連結基から採用され、後述する化合物1の具体例中のものが挙げられる。Qとしては、アルキレン基が好ましく、特に−(CH2e−(eは1〜6の整数であり、2または3が好ましい)が好ましい。式1におけるRf−Q−としては、CF3(CF2d(CH2e−(ここで、dは2〜17の整数。eは前記と同じ意味。)で表される1価の有機基が好ましい。
【0022】
また、化合物1におけるX1は、加水分解性基を表す。加水分解性基としては、−OR3(R3は炭素数1〜6のアルキル基)、アシルオキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、アミノキシ基、アミド基、酸アミド基、ケトキシメート基、水酸基、メルカプト基、エポキシ基、グリシジル基等が挙げられる。なお、イソシアネート基は本発明においては加水分解性基に含めるものとする。−OR3におけるR3としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0023】
化合物1におけるX1は、−OR3またはハロゲン原子が好ましく、特に−OR3が好ましい。ハロゲン原子である場合のX1としては、塩素原子が好ましく、アルコキシ基である場合のX1としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。化合物1中のX1の個数は2個または3個であり、3個が好ましい。すなわち、(a+b)は1または2であり、1が好ましい。aは1が好ましく、bは0が好ましい。
本発明における化合物1としては、下記化合物が挙げられる。ただし、下式中のRf、Q、R1、X1は、それぞれ上記と同じ意味を示し、mは1以上の整数を示す。
【0024】
【化
Figure 0004431199
【0025】
本発明の組成物は、化合物1の部分加水分解生成物を必須成分とする。化合物1の部分加水分解生成物とは、化合物1を部分加水分解反応に付すことにより得られる生成物であり、該生成物中に完全加水分解物が含まれていたとしても、化合物1の部分加水分解生成物に含まれるものとする。なお、化合物1は部分加水分解生成物には該当しない。
【0026】
化合物1の部分加水分解生成物としては、化合物1の1種以上を部分加水分解した生成物が挙げられる。また、本発明の化合物1の部分加水分解生成物は、化合物の1種以上と下記化合物2の1種以上とを共加水分解した生成物であってもよい。ただし、下式2中のRf、Q、R1、X1は上記と同じ意味を示し、R2は水素原子または炭素数1〜16の有機基を示し、その好ましい態様はR1と同じである。
(Rf−Q−)(R1)(R2)Si(X1)・・・式2
【0027】
本発明の部分加水分解生成物は化合物1の1種以上を加水分解した生成物が好ましい。該生成物は、通常の場合、2種以上の生成物の混合物である。本発明の部分加水分解生成物を含む組成物を処理して得られる被膜は、優れた水滴除去性と耐久性を有し、かつ良好な作業性を有する。
本発明においては、部分加水分解反応で得た反応粗液をそのまま本発明の組成物とするのが好ましい。また、該反応粗液に必要に応じて添加物を加えたものを本発明の組成物としてもよい。
【0028】
化合物1の部分加水分解生成物の合成方法としては、基本的には公知の部分加水分解の方法が適用されうる。しかし、本発明の部分加水分解生成物においては、分子量範囲が特定の範囲にあることが特徴であり、そのためには、反応条件を厳密に制御する必要がある。分子量範囲を制御する反応条件としては、化合物1の種類や量、水の量、その他の反応試薬の量や種類、反応操作、反応時間、温度等の条件が挙げられる。
【0029】
化合物1としては、部分加水分解生成物の分子量制御のしやすさの点からX1が−OR3基である場合の化合物が好ましい。X1が−OR3基である場合の化合物1は、下式1’で表されうる。
(Rf−Q−)a(R1bSi(−OR34-a-b・・・式1’
式1’中のRf、Q、R1、a、b、R3は上記と同じ意味を示し、好ましい態様も同じである。これらのうち、本発明においてはaが2であり、かつbが0である場合の化合物が好ましい。
【0030】
式1’で表される化合物[以下、化合物1’と記す]は、化合物1におけるX1がハロゲン原子である化合物等に比べて加水分解速度が遅い性質がある。したがって、加水分解時に急激な反応による沈殿生成等がなく、分子量の制御が容易であるため、好ましい。
さらに加水分解時の水の量(モル)は、下式Cから求まるH値が2〜7となるような量に調節するのが好ましい。
【0031】
【数
H=[加水分解に用いる水のモル数]
/[加水分解反応に用いた化合物1のXの総モル数]・・・式C
H値が2未満では充分に加水分解が進行せず、分子量が小さい部分加水分解生成物の比率が大きくなり、水滴転落性、膜の耐久性が不足するおそれがある。一方、H値が7超であると、加水分解の進行が著しく速くなり、分子量が大である部分加水分解生成物の比率が大きくなり、作業性、膜の耐久性が不足するおそれがある。
【0032】
本発明の化合物1を部分加水分解する基本的な方法としては、下記のa法〜c法を採用するのが好ましい。
[a法]化合物1と水とを混合する方法。
[b法]化合物1と水とを酸の存在下で混合する方法。
[c法]化合物1と水とをアルカリの存在下で混合する方法。
【0033】
本発明においては、分子量の制御しやすさの観点から、b法が好ましい。b法における酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸、酢酸等が好ましい。さらにb法の酸としては、作業性、取扱いしやすさ、被膜の物性等の点から、硝酸が特に好ましい。硝酸以外の酸には、以下の欠点が考えられる。塩酸および硫酸は、被処理物表面に影響を及ぼす可能性や、組成物の取扱いに不都合があるおそれがある。また、硫酸においては、部分加水分解生成物を分解させるおそれがある。メタンスルホン酸、リン酸、酢酸は、酸としての強度が弱いため、部分加水分解生成物の生成効率が悪いおそれがある。
加水分解時に硝酸を用いる場合、硝酸量は化合物1に対して0.001〜0.1倍モルが好ましい。硝酸量が少ないと反応速度が遅くなり、多すぎると、反応速度が速すぎて分子量の調節が困難になるおそれがある。
【0034】
さらに加水分解反応は、a法〜c法のいずれにおいても、有機溶剤の存在下に実施するのが好ましい。有機溶剤を用いる場合には、まず、化合物1を有機溶剤に溶解させるのが好ましい。加水分解時の有機溶剤量は、経済性、被膜の厚さ、加水分解の制御、作業性等の点から、組成物とした場合の化合物1の量が0.1重量%〜10重量%となるように調節するのが好ましい。
【0035】
有機溶剤の具体例としては、アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤、酢酸エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤等が例示され、アルコール系溶剤が好ましく、特にエタノール、またはイソプロピルアルコール等の低級アルコール溶剤が好ましい。有機溶剤は1種または2種以上を用いうる。有機溶剤は、基材の耐溶剤性、基材の大きさ、有機溶剤の蒸発速度、経済性等の観点から適宜選択すればよい。
また、部分加水分解反応の時間は3〜250時間が好ましい。また、反応温度は15〜80℃が好ましい。
【0036】
b法の酸として硝酸を用いる場合の具体的な方法としてはb1法またはb2法が挙げられ、特にb2法が好ましい。
[b1法]化合物1に硝酸と水を、それぞれ所定量添加する方法。
[b2法]硝酸水溶液を調合し、これを化合物1に添加する方法。
2法においては、硝酸水溶液を、化合物1に一度に添加する方法、徐々に添加する方法が挙げられるが、徐々に添加する方法が好ましく、硝酸水溶液を滴下する方法を採用するのが特に好ましい。
【0037】
本発明における部分加水分解生成物は、分子量範囲が特定範囲にあることが重要である。該分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(以下GPCと記す)で、300〜100000の分子量範囲を測定することにより得られた値である。GPCにより求まる分子量は、厳密には各元素の原子量の合計から求められる分子量とは異なる。
GPC測定おける分子量は、既知の物質(標品)に換算された値である。本発明でいう分子量は、ポリスチレンに換算された値である。本発明における分子量は、つぎの方法で求めたものが好ましい。すなわち、300〜100000の分子量範囲にある分子量既知のポリスチレンのGPCクロマトグラムを測定する。つぎに、GPCクロマトグラムにおけるポリスチレンの検出時間と分子量との相関関係から検量線を作成する。該検量線をもとに、化合物1の部分加水分解生成物の検出時間から分子量値を求める。
【0038】
なお、本発明の表面処理剤組成物は、分子量が100000を越える部分加分分解生成物を実質的に含まない。なぜなら、分子量が100000を越える部分加分分解生成物を含むと、組成物中に沈殿物が発生したり、組成物がゲル状となり、表面処理剤としての性能を発揮しえないからである。
【0039】
また、組成物中の部分加水分解生成物の割合は、以下のように求められる。すなわち、GPCクロマトグラムから化合物1の分子量を求め、Mとする。本発明の化合物1の分子量(M)は300〜1000であるのが好ましく、特に400〜800であるのが好ましい。なお、化合物1を2種以上用いて部分加水分解をする場合には、分子量が一番大である化合物1のGPCから求まる分子量をMと定義する。
さらに、部分加水分解生成物のGPCクロマトグラムのピーク面積から、分子量が300〜2Mである部分加水分解生成物の割合(T1値)を求める。T1値は下式Aにより求められる。
【0040】
【数
1(%)=[W2/W1]×100・・・式A
1:分子量が300〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するGPCクロマトグラムのピーク総面積値。
2:分子量が300〜2Mの範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するGPCクロマトグラムのピーク総面積値。
本発明においては、T1値が70%未満であり、10〜60%が好ましい。T1値を70%未満とすることにより、良好な水滴転落性および優れた耐久性が発現しうる。
【0041】
また、組成物中に分子量が大である部分加水分解生成物が多く存在するのは、好ましくない。特に分子量が6M以上であるものの割合が増加すると、組成物がゲル化する原因となることから好ましくない。分子量が6M〜100000である部分加水分解生成物の割合(T2値)は、下式Bから求められる。
【0042】
【数
2(%)=[W3/W1]×100・・・式B
1:分子量が300〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するGPCクロマトグラムのピーク総面積値。
3:分子量が6M〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの部分加水分解生成物に対応するGPCクロマトグラムのピーク総面積値。
2値は10%未満であるのが好ましく、特に0〜5%であるのが好ましい。
2値が10%以上、すなわち、分子量が6M以上である含フッ素反応性シラン化合物の部分加水分解生成物の比率が高まると、処理時の作業性が著しく低下し、得られる被膜の耐久性も低下するおそれがある。
【0043】
さらに、化合物1の部分加水分解生成物における分子量が2〜6Mであるものの割合は、上記W1に対する分子量が2〜6Mである加水分解生成物に対応するGPCクロマトグラムのピーク総面積値として表現した場合に30〜100%が好ましく、特に40〜90%が好ましい。この割合を制御することが優れた水滴転落性、良好な作業性および被膜の耐久性を確保するうえで好ましい。また、組成物中に含まれる化合物1の量は、組成物中に10重量%以下とするのが好ましい。
【0044】
さらに、化合物1の部分加水分解生成物の重量平均分子量は1.6M〜3.5Mが好ましく、特に1.8M〜2.8Mが好ましい。本発明の組成物は、通常は化合物1の部分加水分解生成物および有機溶剤を含む組成物であるのが好ましい。該有機溶剤としては、通常は加水分解時に用いたものであり、必要に応じて、加水分解に用いた有機溶剤以外の有機溶剤を添加してもよい。以下、本発明の組成物が有機溶剤を含む場合について記載する。
【0045】
組成物中に含まれる化合物1の部分加水分解生成物は、0.1〜10重量%とするのが好ましい。また、有機溶剤量は化合物1の濃度が最終的に0.1〜10重量%となるような量とするのが好ましい。さらに、本発明の組成物の処理条件を考慮した場合、有機溶剤の沸点は処理面積に応じて適宜変更するのが好ましく、該沸点は60〜200℃であるのが好ましく、特に70〜150℃であるのが好ましい。
【0046】
さらに、本発明の撥水撥油剤組成物中には、通常は、加水分解に用いた水が含まれる。水の量は、組成物の保存安定性の因子として重要であり、組成物中に水の量を0.5〜3重量%とするのが好ましい。水の量が3重量%超となると、保存時に液組成が変化して安定性が低下するおそれがある。また、組成物の乾燥速度が遅くなり、作業性が低下するおそれもある。
また、組成物中の硝酸イオン量も保存安定性の点で重要であり、0.005〜0.1重量%とするのが好ましい。硝酸イオン量が0.1重量%超となると、保存時に液組成が変化して安定性が低下するおそれがある。
【0047】
本発明の撥水撥油剤組成物中には、目的に応じた添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、金属、金属酸化物の超微粒子、樹脂、酸化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、導電材料等が挙げられる。添加剤の種類は、他の成分との相溶性、反応性等を考えて選択するのが好ましい。添加剤量は組成物中に20重量%未満とするのが好ましい。添加剤量が20重量%以上となると、水滴転落性、耐久性、作業性を低下させるおそれがある。
【0048】
本発明の組成物は、基材表面に処理することにより、該表面に優れた撥水性、防汚性、水滴転落性等の性能を付与しうる。基材としては、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス、その他の無機質材料からなる基材、有機質材料からなる基材、または、無機質材料および有機質材料から選ばれる2種以上の組み合わせ(複合材料、積層材料)からなる基材が挙げられる。
さらに、基材は、その表面が他の材質になっていてもよく、たとえば、塗装金属板等の塗装表面を有する基材、表面処理ガラス等の表面処理層を有する基材等が挙げられる。さらに、基材の形状は、平板であっても、全面または一部に曲率を有するものであってもよい。
【0049】
さらに、本発明の組成物の処理方法としては、汎用の方法が採用されうる。特に、本発明の組成物は常温処理であっても優れた性能を発現しうる。したがって、他の物品に組み込まれている基材や、使用中または使用後の基材に対しても処理ができる。
基材としては、X1と反応しうる官能基を表面に有する基材が好ましい。官能基を表面に有する基材は、組成物に由来する性能の耐久性を向上させうる。官能基としては、水酸基、イソシアネート基、スルホン酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられ、水酸基が好ましい。水酸基を表面に有する基材としては、多数の水酸基を表面に有する基材が好ましく、ガラス基材が特に好ましい。
【0050】
一方、基材表面に官能基が存在しない場合、または、基材表面の官能基数を増加させたい場合には、前処理をするのが好ましい。
前処理方法としては、サンドブラスト処理、酸化セリウム粒子等による研磨処理、フッ酸等による酸処理、水酸化ナトリウム等によるアルカリ処理、コロナ放電等による放電処理、または、官能基を有する被膜を形成させる方法等が例示できる。官能基を有する被膜を形成させる方法としては、ゾルゲル法によるガラス質被膜を形成させる方法が挙げられる。
【0051】
上記の前処理方法は、それらが重視する目的により、基材表面の汚れを除去することにより官能基数を実質的に増加させる方法(d1法)、または、基材表面の水酸基量を実際に増大させる方法(d2法)に分類できる。
1法としては、研磨剤粒子を用いた研磨洗浄が好ましい。研磨剤粒子としては、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ダイヤモンド、または炭酸カルシウムからなる粒子が好ましい。
2法としては、ゾルゲル法、基材表面に化合物1以外の加水分解性シランに由来する被膜を形成させる方法が好ましい。加水分解性シランとしては、下式3で示される化合物(以下、化合物3と記す。)および/または化合物3の部分加水分解生成物が好ましい。
【0052】
(R4d(R5e(R6fSi(X24-d-e-f・・・・式3
ただし、式3中の記号は、以下の意味を示す。
3、R4、R5:それぞれ独立に、炭素数1〜16のフッ素を含有しない1価有機基。
d、e、f:それぞれ独立に、0、1、2または3。ただし(d+e+f)は0、1、2または3。
2:加水分解性基。
4、R5、R6としては、官能基として、ビニル基、エポキシ基、グリシジル基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、またはメルカプト基を有する有機基が好ましい。
2は化合物1の説明で例示した加水分解性基が好ましく、アルコキシ基またはイソシアネート基が好ましい。
【0053】
式3の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(sec−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキシ)シランなどのテトラアルコキシシラン類。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン。
γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン。
【0054】
グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、α−グリシドキシシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン。
【0055】
(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメチルトリメトキシエトキシシラン。
γ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類。
【0056】
メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシランなどのトリアシルオキシシラン類。
メチルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシランなどのトリフェノキシシラン類。
ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン。
【0057】
γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン。
グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン。
【0058】
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシランなどジアルコキシシラン類。
【0059】
ジメチルジアセトキシシランやγ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシランなどのジアシルオキシシラン類やジフェノキシシラン類。
化合物3としては、d+e+f=0である場合の化合物が好ましく、テトラアルコキシシラン[Si(OR)4]、テトライソシアネートシラン[Si(NCO)4]が特に好ましい。
【0060】
化合物3は、そのものを用いてもよく、部分加水分解生成物を用いてもよい。官能基が存在する基材に組成物を処理する場合には、化合物1の部分加水分解生成物と、基材表面の官能基とを化学結合させるのが好ましい。化合物1の部分加水分解生成物中には、通常は未反応のX1が残留し、このX1が室温で高い反応性を示す。したがって部分加水分解生成物は特別な処理方法を実施しなくても化学結合が形成されうる。
【0061】
本発明の撥水撥油剤組成物の処理方法としては、従来より公知の塗布方法が使用できる。たとえば、回転塗布、浸漬塗布、各種印刷塗布、スプレー塗布、ハケ塗り、流し塗り、手塗り、スキージ塗布等が例示できる。これらの方法は、前処理においても採用できる。
さらに、組成物を塗布した後に、組成物を乾燥させる。乾燥は自然乾燥であってもよい。すなわち、本発明の組成物は、0℃〜50℃程度の常温の範囲の乾燥で充分な性能を発揮する。しかし、乾燥速度を向上させたり、高度の耐久性を得たい場合には、加熱処理してもよい。加熱乾燥する場合には、50℃〜400℃が好ましく、80〜400℃が特に好ましい。乾燥時間は5〜30分が好ましい。これらの乾燥条件は、処理対象物あるいは経済性を考慮して決定すればよい。
【0062】
また、組成物の処理においては、組成物が表面に処理された基材(以下、処理基材と記す。)を、各種溶剤に接触させことも有効である。溶剤との接触は、表面に残存する未反応物が除去され、水滴転落性が向上したり、処理ムラ等による外観性の低下を防ぐことから好ましい。処理基材を接触させる溶剤としては、組成物中に含ませ得る前記有機溶剤から採用するのが好ましく、組成物が有機溶剤を含む場合には、該有機溶剤と同一の有機溶剤を採用するのが好ましい。また、有機溶剤は、作業環境、作業効率、経済性、溶解性等を考慮して適宜選択してもよい。
【0063】
処理基材と溶剤との接触方法としては、適当な布やティッシュペーパー等に溶剤を染み込ませて拭く方法、溶剤を処理基材上に滴下してティッシュペーパー等で拭く方法、溶剤槽への処理基材の浸漬、溶剤を処理基材にスプレーする方法等が例示できる。
処理より得られる被膜の膜厚は、厚すぎると傷等がついた場合に目立ちやすい、経済的でない、等の問題があるため、単分子膜厚〜0.1μmとするのが好ましい。膜厚は、処理方法、液濃度、乾燥条件等により適宜制御可能である。
【0064】
本発明の組成物を処理された処理基材としては、ガラス等の透明な材料からなる基材が好ましい。そして、該処理基材は、そのもの自体が物品となり、または他の物品中に組み込まれて、種々の用途に使用されうる。
該物品は処理基材のみからなるものでもよく、処理基材が組み込まれた物品でもよい。たとえば、表面処理されたガラス基材からなる自動車用の窓ガラス、表面処理されたガラスから形成された鏡が組み込まれた自動車用バックミラー部材等が挙げられる。
【0065】
処理基材を組み込む他の物品としては、輸送機器用物品が好ましい。輸送機器しては、電車、バス、トラック、自動車、船舶、航空機等が挙げられる。そして、該輸送機器における物品としては、輸送機器に装着された、窓ガラス、鏡、視界確保用(CCD)レンズ、表示機器表面材等の外装部材、計器盤表面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用される物品、または使用された部品、構成部材等が挙げられる。さらに詳しくは、電車のボディ、窓ガラス、パンタグラフ等、自動車、バス、トラック等のボディ、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ミラー、バンパー等、船舶、航空機等のボディ、窓ガラス等があげられる。
【0066】
本発明の処理基材やこれが組み込まれた物品は、表面に撥水性が付与されるため、表面に水が付着した場合には水滴となる。また、水滴転落性にも優れるため、物品が輸送機器用の物品である場合には、走行することにより風圧を受け、物品表面上を急速に移動し、水滴がとどまるのを防止できる。これにより、物品表面で水が誘発する悪影響を排除できる。これにより、物品が窓ガラス等の透視野部に装着されている場合には、視野が確保され、走行時の安全性が確保されうる。処理基材表面においては、優れた水滴転落性も付与されるため、風圧を受ける程度の低い低速走行時や停止時でも、水滴が処理基材から排除される利点もある。
【0067】
さらに、本発明の処理基材は、表面の水滴が氷結するような環境下でもほとんど氷結せず、仮に氷結したとしても解凍は著しく速い利点がある。さらに、水滴の付着も防げるため、清浄作業回数を低らしうる。また、処理基材表面には防汚性も付与されているため、美観を保護の点でも有利である。
【0068】
本発明の表面処理剤が優れた性能を示す理由については、必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本発明の化合物1の部分加水分解生成物中には、通常の場合、疎水性を有するRf基と、加水分解反応において未反応であった親水性を帯びた基(X1)とが共存する。これを含む組成物を基材表面に処理して良好な水滴転落性を発現させるには、Rf基を表面に配向させ、X1は可能な限り表面に存在させないことが重要である。
【0069】
1が基材表面の基、たとえばガラス表面の水酸基、と化学結合すれば、X1が表面に配向する懸念はなくなる。しかし、表面処理剤を実際に処理した場合には、X1のすべては、基材表面の基と反応しない。X1が基材表面と反応しなかった場合、部分加水分解生成物中のRf基は若干表面に配向するが、その配向はランダムであり、充分な性揮できないと考えられる。また、未反応のX1が被膜表面に残存すると、X1の影響により水滴転落性の低下につながると考えられる。
【0070】
本発明における部分加水分解生成物は分子量が2M〜6Mの範囲に必ず存在する。部分加水分解生成物のうち分子量が相対的に大であるものは、分子内に多くのX1が含まれているが、その存在位置が分子内となる傾向があるため有利である。また、分子量が大となると、分子運動の自由度が低下する。また、Rf基が表面に配向したエネルギー的に安定な構造におちつく傾向が強まり、良好な水滴転落性が発現するものと考えられる。相対的に分子量が小である部分加水分解生成物量を少なくすることは、膜の耐久性向上にも寄与すると考えられる。
【0071】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により説明する。実施例における各種評価は、以下の方法で実施した。
1.撥水性の評価方法
水の接触角を測定した。
2.水滴転落性の評価方法
水平(角度0°)に保持したサンプル基板に50μlの水滴を滴下後、サンプル基板を傾けていき、水滴が転がり始めたときの基板と水平面との角度を読み取った。
【0072】
3.水滴残存性の評価方法
垂直に立てたサンプルに対して20cmの距離に保持したノズルから水を全面に1時間スプレーした後、サンプル表面に残存する水滴を肉眼で観察し、以下の基準で判断した。
A:サンプル表面に水滴がまったく残らない。
B:サンプル表面積の0%超〜30%に水滴が残る。
C:サンプル表面積の30%超〜70%に水滴が残る。
D:サンプル表面積の70%超に水滴が濡れ広がる。
4.耐久性の評価方法
沸騰水中に6時間浸漬した後の、撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。
【0073】
5.作業性の評価方法
研磨洗浄されたガラス基板(100cm×100cm)表面に撥水撥油剤組成物を15cc滴下し、ティッシュペーパーで自動車ワックスがけの要領で塗り広げた。塗り広げ時の作業性を以下の基準で判定した。
〇:5分以内で塗り広げた。
△:5分超15分未満で塗り広げた。
×:塗り広げるのに15分以上を要した。
【0074】
6.分子量の測定方法
測定装置:HLC8020(東ソー株式会社製)
使用カラム:分子量範囲1,000〜100,000はTSKgel G4000HXL
分子量範囲100〜10,000はTSKgel G2000HXL
展開溶剤:テトラヒドロフラン、
流量:0.8ml/min、
検出器:RI、
注入量:20μl、
inlet温度:35℃、
カラム温度:40℃、
検出器温度:35℃、
検量線:ポリスチレン換算。
【0075】
[実施例中の化合物]
化合物1a:CF3(CF27(CH22Si(OCH33
化合物1b:CF3(CF2n(CH22Si(OCH33
ただし、nが5、7、9、11の混合物であり、nの平均は8である。
化合物1c:CF3(CF27(CH23Si(OCH33
化合物1d:CF3(CF22OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CONH(CH23Si(OCH33
化合物1e:CF3(CF27(CH22OCO(CH22S(CH23Si(OCH33
化合物3a:Si(NCO)4
化合物3b:Si(OCH2CH34
【0076】
[実施例1]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に2−プロパノール94.64g、化合物1a3.41gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液1.95gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し、撥水撥油剤組成物1を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に示す。
ただし、表1中の水モル比は、加水分解反応前の化合物における−OCH3モル数の総数に対する、硝酸水溶液中に含まれる水のモル数であり、水量および硝酸量は組成物中の割合(単位:重量%)である。T1およびT2は上記と同じ意味を示すまた、Mwは重量平均分子量である。
【0077】
サイズ10cm×10cm(厚さ3.5mm)のソーダライムガラス表面に60重量%の酸化セリウム水溶液の2ccを滴下し、スポンジでよく研磨した。研磨後、酸化セリウムを除去するため、水洗洗浄し、30℃の空気で乾燥した。つぎにソーダライムガラス表面に撥水撥油剤組成物を、1cc滴下し、ティッシュペーパーで自動車ワックスがけの要領にて塗り広げ、大気中で乾燥しサンプル基板1を得た。サンプル基板1の評価結果を表2に示す。
【0078】
[実施例2]
硝酸水溶液滴下後、50℃で10昼夜撹拌を継続すること以外は実施例1と同様に反応を行い撥水撥油剤組成物2を得た。さらに、該組成物を実施例1と同様に処理してサンプル基板2を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板2の評価結果を表2に示す。
【0079】
[実施例3]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に2−プロパノール95.61g、化合物1a3.41gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液0.97gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し撥水撥油剤3を得た。該組成物3を実施例1と同様に処理してサンプル基板3を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板3の評価結果を表2に示す。
【0080】
[実施例4]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に2−プロパノール90.09g、化合物1a3.41gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液6.49gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し撥水撥油剤組成物4を得た。該組成物4を実施例1と同様に処理してサンプル基板4を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板4の評価結果を表2に示す。
【0081】
[実施例5]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に2−プロパノール95.74g、化合物1b3.38gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液0.89gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し撥水撥油剤組成物5を得た。該組成物5を実施例1と同様に処理してサンプル基板5を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板5の評価結果を表2に示す。
【0082】
[実施例6]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に2−プロパノール95.67g、化合物1c3.38gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液0.95gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し撥水撥油剤組成物6を得た。該組成物6を実施例1と同様に処理してサンプル基板6を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板6の評価結果を表2に示す。
【0083】
[実施例7]
温度計、撹拌機が装着された硝子製反応容器に2−プロパノール95.81g、化合物1d3.36gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液0.84gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し撥水撥油剤組成物7を得た。該組成物7を実施例1と同様に処理してサンプル基板7を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板7の評価結果を表2に示す。
【0084】
[実施例8]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に2−プロパノール95.92g、化合物1e3.32gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液0.76gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で10昼夜撹拌を継続し撥水撥油剤組成物8を得た。該組成物8を実施例1と同様に処理してサンプル基板8を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板8の評価結果を表2に示す。
【0085】
[実施例9]
実施例1で得られた組成物を、湿度40%、温度20度の雰囲気下に120日間放置し、組成物9を得た。該組成物9を用いて、実施例1と同様の処理を行いサンプル基板9を得た。組成物9中の生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板9の評価結果を表2に示す。
【0086】
[比較例1]
硝酸水溶液滴下後、25℃で1昼夜撹拌を継続すること以外は実施例1と同様に反応を行い撥水撥油剤組成物11を得た。該組成物11を実施例1と同様に処理してサンプル基板11を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板11の評価結果を表2に示す。
【0087】
[比較例2]
2−プロパノールを96.26g用いること、0.6重量%硝酸水溶液0.33gを滴下すること以外は実施例3と同様に反応を行い撥水撥油剤組成物12を得た。該組成物12を実施例1と同様に処理してサンプル基板12を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板12の評価結果を表2に示す。
【0088】
[比較例3]
実施例1における0.6重量%硝酸水溶液の代わりに9.4重量%硝酸水溶液1.95gを用いること以外は実施例1と同様に反応させて組成物13を得た。該組成物13を実施例1と同様に処理してサンプル基板13を得た。加水分解条件および生成物の分子量測定結果を表1に、サンプル基板13の評価結果を表2に示す。
【0089】
[比較例4]
2−プロパノールを96.26gに化合物1a3.41gを溶解させた組成物14を実施例1と同様に処理してサンプル基板14を得た。サンプル基板14の評価結果を表2に示す。
【0090】
[比較例5]
比較例3で得た組成物13を、湿度40%、温度20℃の雰囲気下に300日間放置したものを組成物15とした。組成物15中にはゲル状の沈殿が生成しており、基板への処理は不可能であった。
【0091】
【表1】
Figure 0004431199
【0092】
【表2】
Figure 0004431199
【0093】
[実施例10〜12]耐薬品性の評価
上記で得たサンプル基板1[実施例10]、サンプル基板2[実施例11]、サンプル基板5[実施例12]を表4に示す薬品中に24時間浸漬した。浸漬後のサンプル基板の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
Figure 0004431199
【0095】
[実施例13〜15]摩擦耐久性の評価
上記で得たサンプル基板1[実施例13]、サンプル基板2[実施例14]、サンプル基板5[実施例15]を荷重1kgでネル布にて1500回往復摩耗した。摩耗試験後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した結果を表4に示す。
【0096】
【表4】
Figure 0004431199
【0097】
[実施例16〜18]加熱耐久性の評価
上記で得たサンプル基板1[実施例16]、サンプル基板2[実施例17]、サンプル基板5[実施例18]を、それぞれ200℃で30分加熱した。加熱後の撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した結果を表5に示す。
【0098】
[実施例19]
上記で得たサンプル基板1に2−プロパノールを10cc滴下し、ティッシュペーパーで自動車ワックスがけの要領で軽く拭いたものについて、撥水性、水滴転落性、水滴残存性を評価した。結果を表5に示す
【0099】
【表5】
Figure 0004431199
【0100】
[実施例20]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器に酢酸ブチルの99.00g、化合物3a1.00gを入れ25℃で1昼夜撹拌を継続し前処理液20を得た。サイズ10cm×10cm(厚さ3.5mm)のソーダライムガラス表面に60重量%の酸化セリウム水溶液2ccを滴下し、スポンジでよく研磨した。研磨後、酸化セリウムを除去するため、水洗し、30℃の空気で乾燥した。
【0101】
つぎにソーダライムガラス表面に前処理液20を1cc滴下し、ティッシュペーパーで自動車ワックスがけの要領にて塗り広げた。さらに、25℃、湿度50%の環境下に1時間放置し、前処理基板20を得た。
実施例1におけるソーダライムガラスの代わりに前処理基板20を用いて、同様の処理を行い、サンプル基板20を得た。サンプル基板20の評価結果を表6に記す。
【0102】
[実施例21]
温度計、撹拌機が装着されたガラス製反応容器にエチルアルコール78.80g、化合物3b10.40gを入れ25℃で10分間撹拌した。次に0.6重量%硝酸水溶液10.80gを徐々に滴下した。滴下終了後、25℃で1昼夜撹拌を継続し前処理液21を得た。
【0103】
サイズ10cm×10cm(厚さ3.5mm)のソーダライムガラス表面に60重量%の酸化セリウム水溶液2ccを滴下し、スポンジでよく研磨した。研磨後、酸化セリウムを除去するため、水洗し、空気で乾燥した。つぎに前処理液21を1cc滴下し、スピンコート法(1000rpm×10秒)で塗布し、80℃で5分間乾燥し、前処理基板21を得た。
実施例1におけるソーダライムガラスの代わりに前処理基板21を用いて、同様の処理を行い、サンプル基板22を得た。サンプル基板21の評価結果を表6に記す。
【0104】
【表6】
Figure 0004431199
【0105】
[実施例22]
実施例1で得た撥水撥油剤組成物1を実施例1と同様の処理方法で自動車用フロント合わせガラス表面に処理した。該合わせガラスを自動車に装着した。この自動車を3ヶ月間実際に使用し、フロント表面での状態を肉眼で観察した。
【0106】
その結果、使用中に汚れ、ほこりの付着、水滴の付着による水垢の発生は見られず、まれにそれらの発生があってもティシュペーパーを用いて軽く拭けば容易に除去できた。雨天時には、表面で水滴がはじかれ、走行による風圧との相互作用により水滴はすみやかに移動し、ワイパーを使用しなくても視野が確保された。雨天時の停車時には、水滴の転がり性がよいため、水滴が自重により転落して、ワイパーを使用しなくても視野が確保された。
さらに、未処理のフロント合わせガラスに付着する水滴が氷結する環境下(−5〜0℃)で走行したところ、フロントガラスでの氷結は認められなかった。
【0107】
[実施例23]
実施例22におけるフロント合わせガラスを、サイドガラス、リアガラス、サイドミラーに変更して行ったところ、実施例22と同じ効果が確認できた。
【0108】
[実施例24]
常用して3年が経過した自動車用フロントガラスの表面を、酸化セリウム水溶液で研磨し、水洗し乾燥した。洗浄したフロント合わせガラスを実施例1と同様の方法で処理した。この自動車を用いて実施例22と同様の走行試験を実施したところ、同じ効果が確認された。

Claims (13)

  1. 下式1で表される含フッ素反応性シランの部分加水分解生成物を必須成分とする表面処理剤組成物において、ゲル浸透クロマトグラフ法で測定した含フッ素反応性シランの分子量がMである場合に、下式Aから求まる分子量が2M以下である部分加水分解生成物の割合(T1)が70%未満であり、かつ、下式Bから求まる分子量が6M以上である部分加水分解生成物の割合(T2)が10%未満であることを特徴とする表面処理剤組成物。
    (Rf−Q−)a(R1bSi(X14-a-b・・・式1
    式1中の記号は、以下の意味を示す。
    f:炭素数1〜30の1価含フッ素有機基。
    Q:単結合または2価連結基。
    1:水素原子または炭素数1〜16の1価有機基。
    a:1または2。
    b:0または1であり、かつ(a+b)は1または2。
    1:加水分解性基。
    【数1】
    1(%)=[W2/W1]×100・・・式A
    2(%)=[W3/W1]×100・・・式B
    1:分子量が300〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するゲル浸透クロマトグラムのピーク総面積値。
    2:分子量が300〜2Mの範囲にある含フッ素反応性シランの加水分解生成物に対応するゲル浸透クロマトグラムのピーク総面積値。
    3:分子量が6M〜100000の範囲にある含フッ素反応性シランの部分加水分解生成物に対応するゲル浸透クロマトグラムのピーク総面積値。
  2. 部分加水分解生成物の重量平均分子量が1.6M〜3.5Mである請求項1記載の表面処理剤組成物。
  3. 1 が−OR 3 (ただし、R 3 は炭素数1〜6のアルキル基。)である請求項1または2記載の表面処理剤組成物。
  4. 部分加水分解生成物が、式1で表される含フッ素反応性シランを水と硝酸の存在下に部分加水分解して得られた化合物である請求項1、2、または3記載の表面処理剤組成物。
  5. 表面処理剤組成物中に0.005〜0.100重量%の硝酸イオンを含む請求項4記載の表面処理剤組成物。
  6. 下式Cから求まる加水分解に用いる水の量(H)が、2〜7である請求項4または5記載の表面処理剤組成物。
    【数2】
    H=[加水分解反応に用いた水の総モル数]
    /[加水分解反応に用いた化合物1のX 1 の総モル数]・・式C
  7. 表面処理剤組成物が0.5〜3重量%の水を含む請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理剤組成物。
  8. ガラス基材表面に請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤組成物を塗布し、乾燥させることを特徴とするガラス表面処理方法。
  9. ガラス基材表面に請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤組成物を塗布し、つぎに乾燥させ、さらに、溶剤を接触させることを特徴とするガラス表面処理方法。
  10. ガラス基材表面に表面処理剤組成物を塗布した後、常温乾燥させる請求項8または9記載のガラスの表面処理方法。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤組成物を基材表面に塗布後、乾燥させることにより形成した被膜を表面に有する、処理された基材。
  12. 請求項11記載の処理された基材が装着された物品。
  13. 請求項12記載の物品が装着された輸送機器用物品。
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