JP3207452B2 - 建築・建装用物品 - Google Patents

建築・建装用物品

Info

Publication number
JP3207452B2
JP3207452B2 JP14141491A JP14141491A JP3207452B2 JP 3207452 B2 JP3207452 B2 JP 3207452B2 JP 14141491 A JP14141491 A JP 14141491A JP 14141491 A JP14141491 A JP 14141491A JP 3207452 B2 JP3207452 B2 JP 3207452B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
layer
building
organic group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14141491A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04342443A (ja
Inventor
貴重 米田
常生 若林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP14141491A priority Critical patent/JP3207452B2/ja
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to EP19920107814 priority patent/EP0513690B1/en
Priority to EP19960111612 priority patent/EP0759413B1/en
Priority to DE69217574T priority patent/DE69217574T2/de
Priority to DE69229924T priority patent/DE69229924T2/de
Priority to US07/883,391 priority patent/US5314731A/en
Publication of JPH04342443A publication Critical patent/JPH04342443A/ja
Priority to US08/183,299 priority patent/US5464704A/en
Priority to US08/457,537 priority patent/US5645939A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3207452B2 publication Critical patent/JP3207452B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水滴の付着が少ない、
または付着した水滴の除去が容易な表面を有する建築・
建装用物品、および該建築・建装用物品の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】家屋、ビルディング、その他の建築物の
外装部材や内装部材、建築物のインテリアやエクステリ
ア、家具、什器等の建築・建装用物品、または建築・建
装用物品の構成要素である基材、の表面は常に清浄であ
ることが好ましい。建築・建装用物品の表面に、雨滴、
ほこり、汚れ等が付着したり、大気中の温度や湿度の影
響によって水分が凝縮すると、その外観が損なわれる問
題がある。建築・建装用物品の表面が人目に直接触れる
表面であったり、人が接触する表面であると、不快感や
衛生上の問題も生じる。
【0003】さらに、建築・建装用物品表面が有する本
来の機能を著しく低下させる問題もあり、該建築・建装
用物品が透明性、透視野性を要求される物品(例えば、
窓ガラスや鏡等)である場合には、物品の本来の目的が
達成できないことに通じる。
【0004】水滴等を除去するための手段(例えば、ふ
き取りやワイパーによる除去)は、表面に微細な傷を付
けることがある。また、水滴等に伴われる異物粒子によ
って、損傷が著しくなる問題もある。さらに、ガラス表
面に水分が付着した場合には、水分中にガラス成分が溶
出し、表面が浸食されていわゆる焼けを生じることはよ
く知られている。この焼けを除去するために強く摩擦す
ると微細な凸凹を生じやすい。焼けが激しく生じたガラ
スや、表面に微細な凸凹を生じたガラスからなる透視野
部は、本来の機能が低下し、また、その表面で光の散乱
が激しく視野確保の点で不都合が生じる。
【0005】その他、水分は、建築・建装用物品の表面
に有害な影響を与えて損傷、汚染、着色、腐食等を促進
させ、また、建築・建装用物品の電気的特性、機械的特
性、光学的特性等の変化を誘発することもある。
【0006】このような問題を解決するために、建築・
建装用物品表面への水滴の付着を少なくする性質または
付着した水滴の除去を容易にする性質(以下これらを単
に水滴除去性という)の付与が求められている。そして
従来より表面を水滴除去性にする表面処理剤として、シ
リコーン系ワックスやオルガノポリシロキサンからなる
シリコーン油、または界面活性剤等が提案されている。
【0007】しかし、従来の表面処理剤は、塗布に伴う
前処理を必要とし、かつ塗布時に塗布ムラが発生しやす
い問題があった。また、基材に対する表面処理剤の付着
性が低いことから、水滴除去性を長期に持続できず、し
かも表面処理剤の適用範囲が限定されていた。
【0008】また、水分の悪影響を考慮した際には、今
後製作される建築・建装用物品だけでなく、既に使用さ
れている建築・建装用物品に対しても対策を講じる必要
がある。既に使用されている建築・建装用物品には、常
温で直接処理するだけで水滴除去性を付与する必要があ
る。例えば、既に建築物に取りけられている窓ガラス
に処理を行う場合、窓ガラスを入れ替えることは経済的
に不利であり、また、塗布後その部分を焼成することも
現実的には不可能である。この観点からも従来の表面処
理剤では対応が困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑みなされたものである。すなわち、本発明者は、
従来の表面処理剤が有する欠点を解消し得る処理剤の研
究、検討の過程において、多種類の基材に応用が可能で
あり、優れた水滴除去性を発現する処理剤を見い出し、
しかも、該処理剤で処理した各種基材は水滴除去性を有
する基材として、特に建築・建装用物品として極めて好
適であることを確認し、本発明を完成するに至った。本
発明は、水滴除去性を有し、耐摩耗性、耐薬品性、耐候
性に優れることで、その効果が半永久的に持続する建築
・建装用物品、および該建築・建装用物品の製造方法の
提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材表面に少
なくとも2層の表面処理層を有する処理基材からなる、
または該処理基材を構成要素とする、建築・建装用物品
であって、表面処理層の最外層である第1層が下記式
(A)または下記式(B)で表わされるイソシアネート
シラン化合物(I)を含む処理剤で処理して得られる層
であり、最外層に接する下層である第2層が加水分解性
シラン化合物(II)またはその部分加水分解生成物を
含む処理剤で処理して得られる層である、建築・建装用
物品、および該建築・建装用物品の製造方法を提供す
る。(A)(OCN) 3-a-b (R 1 ) a (R 2 ) b Si-Y-Si(R 3 ) c (R 4 ) d (NCO)
3-c-d ここで、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は独立に、水素原子ま
たは炭素数1〜16の有機基であり、aおよびbは独立
に、0、1または2でありかつ0≦a+b≦2であり、
cおよびdは独立に、0、1または2でありかつ0≦c
+d≦2であり、Yは2価有機基である。ただし、Yが
2個以上のフッ素原子を有する2価有機基であるか、ま
たは、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の少なくとも1つがポリ
フルオロアルキル基を有する有機基である。 (B)(R 5 ) e (R 6 ) g (R 7 ) h Si(NCO) 4-e-g-h ここで、R 5 、R 6 およびR 7 は独立に、水素原子または
炭素数1〜16の有機基であり、e、gおよびhは独立
に、0、1、2または3でありかつ0≦e+g+h≦3
であり、Yは2価有機基である。ただし、R 5 、R 6 およ
びR 7 の少なくとも1つがポリフルオロアルキル基を有
する有機基である。
【0011】本発明において、イソシアネートシラン化
合物(I)とは、少なくとも1つのイソシアネート基が
ケイ素原子に直接結合した構造を有する化合物をいう。
この化合物は少なくとも1つの有機基を有しており、
イ素原子に結合した少なくとも1つの有機基(有機基と
ケイ素原子は、炭素原子とケイ素原子との結合で結合し
ている)を有するオルガノイソシアネートシラン化合物
である。
【0012】イソシアネートシラン化合物(I)で処理
された表面とは、イソシアネートシラン化合物(I)が
化学的にまたは物理的に結合した第1層の表面をいう。
イソシアネート基が反応性であるので、イソシアネート
シラン化合物(I)は主として化学的反応により第2層
の表面に結合するものと考えられる。すなわち、結合状
態においてはイソシアネート基は変化しているものと考
えられる。例えば、イソシアネート基はガラス表面のシ
ラノール基と反応すると考えられ、また、イソシアネー
ト基が脱離して生成するシラノール基が反応するとも考
えられる。
【0013】本発明において、処理された表面の水滴除
去性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの性能の少なく
とも一部はこのイソシアネート基の反応性によるもので
あり、他の一部はこのイソシアネート基と直接結合した
ケイ素原子によるものであると考えられる。また後述の
ように、イソシアネートシラン化合物(I)の有機基を
選択することにより、これらの性能をさらに向上させう
る。また、第2層表面に対する結合性の面で、1個のケ
イ素原子に結合したイソシアネート基は2以上である
ことがより好ましい。
【0014】本発明における建築・建装用物品とは、前
記のように建築物に取り付けられる物品、すでに建築物
に取り付けられている物品、もしくは建築物に直接取り
付けられていなくともそれとともに使用される建築用物
品、家具や什器などの建装用物品、またはそれら物品の
構成要素である基材(ガラス板など)をいう。具体的に
は、窓用ガラス板や窓ガラス、屋根用ガラス板やガラス
屋根、ドア用ガラス板やそれがはめ込まれたドア、間仕
切り用ガラス板、温室用ガラス板や温室、ガラスの代わ
りに使用される透明プラスチック板やそれを有する上記
のような建築用物品(窓材や屋根材など)、セラミック
ス、セメント、金属その他の材料からなる壁材、鏡やそ
れを有する家具、または陳列棚やショーケース用のガラ
スなどがある。
【0015】物品は、表面処理された処理基材のみから
なっていてもよく、表面処理された処理基材が組み込ま
れたものであってもよい。例えば、前者として窓用ガラ
ス板があり、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具が
ある。
【0016】建築・建装用物品の基材の種類は特に限定
されない。例えば、金属、プラスチック、ガラス、セラ
ミックス、その他の無機質材料や有機質材料、またはそ
れらの組み合わせ(複合材料、積層材料等)がある。ま
た基材の表面は、基材そのものの表面であっても、塗装
金属板等の塗膜表面や表面処理ガラスの表面処理層の表
面等の基材表面に存在する基材とは異なる材質からなる
表面であってもよい。また、基材の形状としては平板、
全面または部分的に曲率を有するものなど目的に応じた
任意の形状が挙げられる。
【0017】本発明における基材としては、ガラスや透
明プラスチック等の透明材料からなる基材が好ましい。
本発明における建築・建装用物品としては、透明材料の
透明性を利用した物品が好ましく、例えば、ガラスや透
明プラスチック等からなる窓材、屋根材、鏡、等が挙げ
られる。これらは、雨滴、ほこり、汚れ等の付着によ
り、透視野性が低下しやすく、それにより問題が発生す
るおそれがある。基材としては特にガラスが好ましい。
第2層はガラスのシラノール基と反応してその表面に強
固に結合するのが好ましい。
【0018】第2層表面に対する表面処理は、通常イソ
シアネートシラン化合物(I)を含む処理剤を第2層表
面に塗布し、イソシアネートシラン化合物(I)を第2
層表面に結合させることによって行うのが好ましい。イ
ソシアネートシラン化合物(I)を含む処理剤としては
溶剤を含む溶液であることが好ましい。この溶液にはさ
らに他の成分を存在させることができる。他の成分とし
ては、例えば、後述のようなオルガノポリシロキサンや
酸類が挙げられる。第2層表面への第1層形成用の処理
剤の塗布またはその後の溶剤の揮散により、イソシアネ
ートシラン化合物(I)は第2層表面に接触し結合が起
こると考えられる。
【0019】この表面処理によって生成する第1層の厚
さは特に限定されないが、きわめて薄いものであること
が好ましい。好ましい第1層の層厚は、2μm以下であ
る。またその下限は単分子層厚である。本発明の1つの
特徴は第2層の表面を処理する際に特に高温を必要とし
ないことである。すなわち常温下で処理を行うことがで
き、溶剤の除去の際にもそれに必要な温度以上にする必
要はない。もちろん、必要により、処理の効果が失われ
ない限り高温にしてもよい。
【0020】イソシアネートシラン化合物(I)とは
イソシアネート基が結合したケイ素原子を1〜2個有す
る化合物である。本発明におけるイソシアネートシラン
化合物(I)は、下記式(A’)または下記式(B’
で表わされる化合物に含まれる。なお、以下において式
A’)で表わされる化合物を化合物(A’)ともい
い、式(B’)で表わされる化合物を化合物(B’)と
もいう。また、式(A)で表わされる化合物または式
(B)で表わされる化合物についても同様に記す。
【0021】(A’)(OCN)3-a-b(R1)a(R2)bSi-Y-Si
(R3)c(R4)d(NCO)3-c-d ただし、R1、R2 3 よびR4は独立に、水素原子ま
たは炭素数1〜16の有機基であり、aおよびbは独立
に、0、1または2でありかつ0≦a+b≦2であり
cおよびdは独立に、0、1または2でありかつ0≦c
+d≦2であり、Yは2価有機基である
【0022】(B’)(R5)e(R6)g(R7)hSi(NCO)4-e-g-h ただし、R5 6 よびR7は独立に、水素原子または
炭素数1〜16の有機基であり、e、gおよびhは独立
に、0、1、2または3でありかつ0≦e+g+h≦3
である
【0023】化合物(A’)はイソシアネート基が結合
したケイ素原子を2個有する化合物であり、化合物
B’)はイソシアネート基が結合したケイ素原子を1
個有する化合物である。化合物(A’)はYが有機基で
あることからオルガノイソシアネートシラン化合物の1
種であり、化合物(B’)は少なくとも1つの有機基を
有することからオルガノイソシアネートシラン化合物の
1種である。R1〜R7は有機基であるのが好ましく、特
に、存在するすべてのR1〜R7は有機基であるのが好ま
しい。
【0024】化合物(A’)および化合物(B’)にお
いて、ケイ素原子に結合したイソシアネート基はケイ素
原子あたり2以上が好ましい。イソシアネート基が多
いほど基材表面に対する結合が強固となると考えられる
からである。
【0025】化合物(A’)および化合物(B’)にお
いて、1〜R7が有機基である場合、その有機基として
は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ま
たはアリール基等の炭化水素基、クロロアルキル基、ま
たはポリフルオロアルキル基等のハロゲン化炭化水素
基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ま
たはカルボキシル基等の官能基を有する(ハロゲン化)
炭化水素基、炭素鎖の中間にエステル結合、エーテル結
合、チオエーテル結合、イミノ結合、またはアミド結合
等の連結結合を有する(ハロゲン化)炭化水素基が好ま
しい。特に好ましくは、炭化水素基、または、ポリフル
オロアルキル基を有する有機基である。
【0026】好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜
16のアルキル基とアリール基が挙げられる。特に、R
1〜R7においては、すべてが炭素数4以下のアルキル基
(以下、低級アルキル基という)である場合、1つのケ
イ素原子に結合するR1〜R2、R3〜R4、またはR5
7が存在する場合にはその1つが低級アルキル基以外
のアルキル基でありかつ他が低級アルキル基である場合
が好ましい。特に好ましい低級アルキル基はメチル基で
ある。
【0027】本発明における化合物(A)および化合物
(B)は、2以上のフッ素原子を有するオルガノイソ
シアネートシランである。すなわち、化合物(A)は、
Yが2以上のフッ素原子を有する2価有機基である化
合物、Yが2以上のフッ素原子を有する2価有機基以
外の2価有機基でありかつR1〜R4の少なくとも1つが
ポリフルオロアルキル基を有する1価有機基である化合
物、または、R1〜R4の少なくとも1つがポリフルオロ
アルキル基でありかつYが2個以上のフッ原子を有する
2価有機基である化合物である。化合物(B)、R5
〜R7の少なくとも1つがポリフルオロアルキル基を有
する1価有機基である化合物である。
【0028】化合物(A’)および化合物(B’)にお
いて、フッ素原子を有しない有機基が存在する場合に
は、前記の炭化水素基が好ましい。なお、化合物(A)
および化合物(B)における以上のフッ素原子を有
する有機基またはポリフルオロアルキル基は、フッ素原
子を有しない炭素原子(例えば、メチレン基)でケイ素
原子に結合することが好ましい。
【0029】化合物(A)において、Yが2以上のフ
ッ素原子を有する2価有機基である場合、該基としては
ポリフルオロアルキレン基、ポリフルオロオキサアルキ
レン基(アルキレン基の炭素鎖の中間に少なくとも1つ
のエーテル結合が存在するもの)、およびポリフルオロ
チアアルキレン基(アルキレン基の炭素鎖の中間に少な
くとも1つのチオエーテル結合が存在するもの)が好ま
しい。特に、両末端のケイ素原子に結合する部分がポリ
メチレン基(特にジメチレン基)であり、それらの中間
部分がパーフルオロアルキレン基、パーフルオロオキサ
アルキレン基、またはパーフルオロチアアルキレン基で
ある2価有機基が好ましい。これらYの炭素数は6〜3
0が好ましく、特に6〜16が好ましい。
【0030】化合物(A)において、Yが2以上のフ
ッ素原子を有する2価有機基以外の基である場合、該基
としてはアルキレン基、オキサアルキレン基、またはチ
アアルキレン基が好ましい。その炭素数は2〜30が好
ましく、特に2〜16が好ましい。
【0031】化合物(A)および化合物(B)におい
て、1〜R7のいずれかがポリフルオロアルキル基を有
する1価有機基である場合、該基としてはポリフルオロ
アルキル基、ポリフルオロオキサアルキル基、ポリフル
オロチアアルキル基、またはこれらのいずれかの基とア
ルキレン基等の炭化水素基とがエステル結合もしくは前
記の連結結合で結合した有機基(ただし、炭化水素基の
他端でケイ素原子と結合する)が好ましい。ポリフルオ
ロアルキル基、ポリフルオロオキサアルキル基、および
ポリフルオロチアアルキル基は、ケイ素原子と結合する
端部またはその周辺がアルキレン基(特に、ジメチレン
基が好ましい)でありかつ他の部分がパーフルオロのそ
れらの基、である基が好ましい。
【0032】1価有機基がパーフルオロ部分を有する場
合、該部分としては炭素数3以上のパーフルオロアルキ
ル基、パーフルオロオキサアルキル基、またはパーフル
オロチアアルキル基が好ましく、特に炭素数3〜16の
パーフルオロアルキル基が好ましい。
【0033】これらYやR1〜R7の具体例については、
下記の化合物(A’)および化合物(B’)の具体例中
の例が挙げられる。下記具体例中のRfとしては、特
に、Cn2n+1m2m−(ただし、この化学式におい
て、nは3〜16の整数、mは2〜4の整数。)で表わ
されるパーフルオロアルキル基部分を有するポリフルオ
ロアルキル基が好ましく、下記具体例中のRFとして
は、Cn2n+1−(ただし、この化学式において、nは
3〜16の整数。)が好ましい。
【0034】化合物(A’)および化合物(B’)の具
体例を下記に示す。しかし、化合物(A’)および化合
物(B’)はこれら具体例に限定されない。なお、下記
化学式においてx、n、mはそれぞれ1以上の整数を、
Rはアルキル基等を、Rfはポリフルオロアルキル基
を、RFはパーフルオロアルキル基を示し、xは2〜8
が、Rは低級アルキル基が、Rfはパーフルオロアルキ
ル基を有するジメチレン基が好ましい。本発明における
化合物(A)および化合物(B)としては、下記具体例
の中か ら化合物(A’)におけるYが2個以上のフッ素
原子を有する2価有機基である化合物、化合物(A’)
におけるR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の少なくとも1つがポ
リフルオロアルキル基を有する有機基である化合物、ま
たは化合物(B’)におけるおけるR 5 、R 6 およびR 7
の少なくとも1つがポリフルオロアルキル基を有する有
機基である化合物が選ばれる。
【0035】化合物(A’)の例示。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
【化7】
【0043】
【化8】
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】化合物(B’)の例示。
【0047】
【化11】
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】さらに、本発明において、イソシアネート
シラン化合物(I)による表面処理の効果を高めるため
に、イソシアネートシラン化合物(I)とともにオルガ
ノポリシロキサンを含む処理剤を使用することが好まし
い。オルガノポリシロキサンとしては、シリコーンオイ
ルまたは変性シリコーンオイルと呼ばれているものが適
当である。以下このオルガノポリシロキサンを化合物
(D)ともいう。この化合物(D)は下記式(D)で表
わされる重合単位を有するものが好ましい。
【0051】(D)[-SiR11(CH3)-O-] なお、この式において、R11は炭素数1〜16の有機基
を表わす。この有機基は前記のR1〜R7と同様の有機基
(ただし、フッ素原子を有しないものが好ましい)が好
ましく、特に、アルキル基、アリール基、アリールアル
キル基、アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ま
たはポリオキシアルキレン鎖を有する炭化水素基が好ま
しく、とりわけ低級アルキル基が好ましい。
【0052】化合物(D)は、前記イソシアネートシラ
ン化合物(I)の処理による被膜の水滴除去性や耐摩耗
性を向上させる効果を有する。この化合物(D)は、加
水分解性基を有しないことが好ましい。化合物(D)は
そのまま処理剤に使用してもよいし、また、硫酸、塩
酸、酢酸等の酸で分解してから処理剤に添加することも
できる。また、化合物(D)の粘度は化合物(A)、化
合物(B)との組み合せを考慮して決定することが好ま
しく、特に25℃における動粘度が0.5〜500セン
チストークス(cSt)のものが好適である。
【0053】化合物(D)の具体例を下記に例示する
が、化合物(D)はこれらに限定されない。
【0054】
【化14】
【0055】
【化15】
【0056】本発明において、第2層表面を処理するた
めの第1層形成用の処理剤は、化合物(A)または化合
物(B)のどちらか一方の化合物を必須とする。もちろ
ん、両化合物が含有されていても問題はなく、その割合
は任意でよい。また、化合物(D)を添加する場合には
化合物(D)と化合物(A)および/または化合物
(B)との割合は目的に応じて任意にすることができ
。好ましくは、化合物(A)、(B)、(D)の合計
に対して化合物(D)またはその分解物の存在量を1〜
40重量%とするのが好ましい。化合物(D)が少なす
ぎると耐摩耗性、作業性が低下しやすく、また、多すぎ
ると耐摩耗性が低下するばかりでなく、表面に触れた際
にべた付き感が残るおそれがある。
【0057】また、化合物(D)は、化合物(A)およ
び/または化合物(B)との相互作用で被膜の水滴除去
性の向上および膜の耐久性を向上するのに寄与する。こ
の詳細な機構は不明であるが、化合物(D)の分子鎖
が、化合物(A)や化合物(B)と複雑に絡み合い、表
面に存在する各種有機基、特に極性基およびイオン性結
合のミクロな分布を結果的に制御し、水滴の除去に最適
な表面構造が達成されるためであると考えられる。ま
た、この選ばれた各化合物間での分子の絡み合いは耐久
性を一段と高めるのに大きく寄与していると考えられ
る。
【0058】また、化合物(A)、(B)、(D)は、
いずれも表面自由エネルギーが低い物質であり、被膜中
に一部存在する遊離状態の化合物が極表面層を移動する
ことによって表面での摩擦抵抗を低減させることも耐摩
耗性が良好となる原因のひとつと考えられる。
【0059】本発明における処理剤には、目的に応じて
他の化合物や添加剤などが添加される。添加剤は各成分
との反応性、相溶性を考慮して選択すればよく、後述の
ような各種金属酸化物の超微粒子、各種樹脂などの添加
もできる。また、着色が必要であれば染料、顔料等を添
加してもよい。これらの添加剤は化合物(A)、
(B)、(D)の合計100重量部に対して0.01〜
20重量部が好ましく、特に0.1〜5重量部が好適で
ある。過剰な添加は、水滴除去性、耐摩耗性等を低下さ
せるので望ましくない。
【0060】上記組成物は被覆対象の第2層上に直接手
拭き等の方法で塗布してもよいし、また、有機溶剤によ
って、溶解または希釈して溶液状の形態に調製し使用す
ることもできる。この有機溶剤による溶液において、含
まれる化合物(A)、(B)、(D)の合計量は被膜の
形成性(作業性)、安定性、被膜厚さ、経済性を考慮し
て決定されるが0.1〜30重量%であるのが好まし
い。
【0061】有機溶剤としては酢酸エステル類、芳香族
炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エーテ
ル類等各種溶剤適用できるが、反応性官能基(水酸基
など)を有しているものは化合物(A)や化合物(B)
成分が有しているイソシアネート基と反応するため望ま
しくない。ただし、イソプロピロアルコールなどの反応
性の低い官能基を有する有機溶剤は使用できる。希釈溶
剤は1種に限定されることなく、2種以上の混合溶剤を
使用することもできる
【0062】第2層表面の処理にあたっては特別な前処
理は必要としない。被膜の形成は調製された組成物を含
む有機溶剤よりなる液状物を通常の処理方法によって表
面に塗布、例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗り、浸
漬塗り、スプレー塗布等の各種方法によって行い、大気
中または窒素中、常温で乾燥させればよい。特に、乾燥
速度を高める、耐久性を高めるなどの目的で加熱するこ
とが好ましい。加熱温度は50〜250℃程度が好まし
く、加熱時間は5〜60分が適当である。加熱する場合
には第2層の材質や基材の耐熱性を加味して温度、時間
を設定すればよい。
【0063】本発明において、第2層を形成するための
材料としてイソシアネートシラン化合物(I)以外の加
水分解性シラン化合物(II)またはその部分加水分解
生成物が使用される。第1層の下層の第2層は第1層の
耐久性を向上させ、また基材との密着性を高める効果も
ある。この第2層は通常基材表面に形成される。
【0064】加水分解性シラン化合物(II)とは、少
なくとも1つの加水分解性基がケイ素原子に結合した構
造を有する化合物をいう。この化合物は、ケイ素原子に
加水分解性基のみが結合している化合物(例えば、テト
ラアルコキシシラン)であってもよく、ケイ素原子に少
なくとも1つの有機基が結合している化合物であっても
よい。ただし、この場合の有機基は、フッ素原子を有す
る有機基以外の有機基が好ましい。
【0065】加水分解性シラン化合物(II)における
加水分解性基は、ケイ素原子に結合している基でありか
つ水と反応して脱離し、ケイ素原子に結合した水酸基
(シラノール基)を生じる基である。加水分解性基とし
ては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオ
キシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アミノキシ基、
酸アミド基、ケトキシメート基などがある。好ましく
は、アルコキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アシ
ルオキシ基等の酸素原子でケイ素原子と結合する加水分
解性基である。これら加水分解性基の炭素数は好ましく
は8以下、特に4以下である。好ましい加水分解性基は
炭素数4以下のアルコキシ基(以下低級アルコキシ基と
もいう)である。
【0066】加水分解性シラン化合物(II)の部分加
水分解生成物とは、水や酸性水溶液中で加水分解性シラ
ン化合物(II)を部分的に加水分解することにより生
成するシラノール基を有する化合物、またはそのシラノ
ール基の反応により2以上の分子が縮合した化合物をい
う。酸としては、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸、
硫酸、スルホン酸などを使用できる。
【0067】以下、第2層を形成するに必須の成分であ
るこの加水分解性シラン化合物(II)を化合物(C)
ともいう。この化合物(C)は下記式(C)で表わされ
る化合物が好ましい。
【0068】(C)(R8)i(R9)j(R10)kSiX4-i-j-k ただし、Xは加水分解性基、R8 9 よびR10は独立
に、水素原子または有機基であり、i、jおよびkは独
立に、0、1、2または3でありかつ0≦i+j+k≦
である
【0069】R8〜R10が有機基である場合には、前記
1〜R7と同様の有機基であるのが好ましい。有機基と
しては、炭化水素基が適当であり、炭素数1〜6の炭化
水素基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。この有
機基はフッ素原子を有しない基が好ましいが、フッ素原
子を有する基であってもよい。また、該有機基は、アミ
ノ基やエポキシ基等の官能基を有する有機基であっても
よい。また、i+j+kは0〜1が好ましい。特に好ま
しい化合物(C)はi+j+k=0の化合物であり、最
も好ましくは、テトラアルコキシシランである。
【0070】これら加水分解性基のみを有するシラン化
合物、またはその部分加水分解生成物を使用した場合
は、第1層との相溶性や密着性の点で優れている。もち
ろんこの化合物と他のシラン化合物の併用や、後述する
添加成分の添加によっても良好な第2層が形成される。
【0071】化合物(C)の具体例を下記に例示する
が、化合物(C)はこれらに限定されない。
【0072】テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプ
ロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テト
ラ(sec−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキ
シ)シランなどのテトラアルコキシシラン類。
【0073】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラ
ン、クロロメチルトリエトキシシラン、
【0074】γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエ
チルトリエトキシシラン、
【0075】グリシドキシメチルトリメトキシシラン、
グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシド
キシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチ
ルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメ
トキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシ
ラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、
【0076】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、α−グリシ
ドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブ
チルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリ
メトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリ
シドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシ
ブチルトリエトキシシラン、
【0077】(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチ
ルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポ
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリブトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエト
キシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリア
ルコキシシラン類。
【0078】メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリアセトキシシランなどのトリス
(アシルオキシ)シラン類。
【0079】メチルトリフェノキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリフェノキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン
などのトリフェノキシシラン類。
【0080】ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェ
ニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
メチルジエトキシシラン、
【0081】γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニル
ジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、
【0082】グリシドキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、α−
グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、
【0083】γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラ
ンなどのジアルコキシシラン類。
【0084】ジメチルジアセトキシシランやγ−グリシ
ドキシプロピルメチルジフェノキシシランなどのビス
(アシルオキシ)シラン類やジフェノキシシラン類。
【0085】上記のような加水分解性シラン化合物(I
I)やその部分加水分解生成物で処理された表面とは、
これらの化合物が化学的に、または物理的に結合した表
面をいう。加水分解性基は水分により分解してシラノー
ル基となるので、これらの化合物は主としてこのシラノ
ール基の化学的反応により表面に結合するものと考えら
れる。すなわち、例えば、このシラノール基はガラス表
面のシラノール基と脱水縮合反応すると考えられる。ま
た、第1層も第2層表面のシラノール基等と結合すると
考えられる。
【0086】この第2層を形成するための処理剤として
は、加水分解性シラン化合物(II)またはその部分加
水分解生成物を含む処理剤であり、溶液や分散液として
使用するのが好ましい。該処理剤には溶剤や分散剤以外
に、さらに他の添加剤を添加できる。溶剤としては、前
記のような溶剤の他、さらにイソシアネート基と反応し
うる官能基を持った溶剤も使用しうる。添加剤として
は、具体的には、例えば前記の金属酸化物の微粒子等の
充填剤、バインダー成分、界面活性剤などがある。それ
らの使用割合も前記のような割合が適当である。また、
使用量も前記に準じた量であることが好ましい。なお、
この第2層を形成するための処理剤はイソシアネートシ
ラン化合物(I)を実質的に含有しない組成物であるこ
とが好ましい。
【0087】添加剤としては、シリカ、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物の微粒子が好まし
く、特にシリカゾルやアリミナゾル等のゾル中の超微粒
子が好ましく、その他の充填剤成分としては、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、
(メタ)アクリレート類等のバインダー成分等の使用が
好ましい。
【0088】基材の表面処理にあたっては特別な前処理
は必要ない。しかし、目的に応じて行うことは別段問題
なく、例えば、希釈したフッ酸、塩酸等による酸処理、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等によるアル
カリ処理、またはプラズマ照射等による放電処理を行う
ことができる。
【0089】第2層の形成は調製された処理剤を通常の
処理方法によって表面に塗布、例えば、はけ塗り、流し
塗り、回転塗り、浸漬塗り、スプレー塗布等の各種方法
によって行い、大気中または窒素中、常温でまたは加熱
して乾燥させるのが好ましい。さらに焼成を行う場合乾
燥温度下またはさらに高温に加熱するのが好ましい。加
熱する場合には基材の耐熱性を加味して温度、時間を設
定することが好ましい。
【0090】基材表面への塗布またはその後の溶剤の揮
散によりシラン化合物が基材表面に接触し加水分解−結
合の反応が起こると考えられる。この場合、塗布後の乾
燥は常温であってもよく、加熱乾燥してもよく、また、
形成された層を焼成してもよい。加熱乾燥または焼成の
温度は200℃以下が好ましく、その時間は120時間
以下が好ましい。あまりに高温の加熱、または長時間の
加熱を行うと第1層と第2層の密着性に悪影響がある。
【0091】この表面処理によって生成する第2層の厚
さは特に限定されるものではないが、きわめて薄いもの
であってもよい。好ましい層厚は、20μm以下であ
り、2μm以下が特に好ましい。またその下限は単分子
層厚である。しかし、第2層は、より厚くすることもで
きる。層厚は、処理剤中の層形成成分の濃度、塗布条
件、加熱条件等により所望の厚さに調節できる。
【0092】形成される各層の厚さは処理剤の濃度、塗
布条件、加熱条件などによって適宜制御し得る。本発明
における第1層は比較的屈折率が低く、これ故に低反射
性も付与される。かかる効果を期待する場合には第1層
の膜厚を光学干渉が生じる膜厚に制御すればよい。特
に、水滴除去性を発現するには理論的には被膜の膜厚は
単分子層以上あればよく、これに経済的効果も加味して
前記のように2μm以下であるのが望ましい。
【0093】表面処理された基材においては、水滴除去
性により表面に接触した水滴がはじかれて付着し難く、
たとえ付着してもその量は少なく、また付着した水滴の
除去が容易である。また、水滴が氷結するような環境下
においても氷結することなく、仮に、氷結したとしても
解凍は著しく速い。さらに、水滴の付着がほとんどない
ため定期的な清浄作業回数を低減でき、しかも、清浄は
極めて容易で、美観保持の点からも非常に有利である。
【0094】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが本発明は実施例のみに限定されない。実施例にお
ける各種評価は次ぎの方法で実施した。
【0095】1.水滴除去性 (1)直径2mmの大きさからなる水滴の転落角を測定
した。表面上の異なる5ヶ所にて測定を行い、その平均
値で示した。 (2)サンプル面から20cmの距離に保持したノズル
から水を全面に約1時間スプレーした後に表面に残存す
る水滴を肉眼で観察し以下の評価基準で評価した。
【0096】 A:サンプル表面に全く水が残らない。 B:サンプル表面に少し水が残る。 C:サンプル表面にかなり水滴が残る。 D:サンプル表面で水が濡れ広がる。
【0097】2.耐摩耗性 試験機:テイバー式ロータリーアブレッサー(株式会社
東洋精機製作所)。 試験条件:摩耗輪H−22、荷重1kg、摩耗回数30
0回。 上記方法で耐摩耗試験を実施し、試験後の撥水性を評価
した。
【0098】3.耐候性試験 紫外線照射を8時間(70℃)、湿潤曝露を4時間(5
0℃)とする工程を1サイクルとして、200サイクル
実施した後の水滴除去性を評価した。
【0099】4.煮沸試験 沸騰水中に1時間浸漬した後の水滴除去性を評価した。
【0100】5.使用化合物c1: Si(OCH3)4 e1: メタノール分散シリカゾル(固形分30重量%、
触媒化成(株)製)b1: C8H17Si(NCO)3 b2: C8F17CH2CH2Si(NCO)3 a1: (OCN)3SiC2H4C6F12C2H4Si(NCO)3 b3: Si(NCO)4 d1: (CH3)3SiO-[Si(CH3)2-O-]n-Si(CH3)3[動粘度5
0cSt]
【0101】[処理剤1の調製] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
c1の78.5g、メチルアルコール1020.2g、
イソプロピルアルコール2000.0gを加え、1時間
撹拌した。この溶液の温度を5℃に維持しながら、1%
塩酸水溶液37.2gを徐々に滴下した。滴下終了後、
液温を25℃に維持しながら5日間撹拌を継続し処理剤
1を得た。
【0102】[処理剤2の調製] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
c1の75.0g、e1の10.9g、メチルアルコー
ル1203.5g、イソプロピルアルコール2000.
0gを加え、1時間撹拌した。この溶液の温度を5℃に
維持しながら、1%塩酸水溶液35.5gを徐々に滴下
した。滴下終了後、液温を25℃に維持しながら5日間
撹拌を継続し処理剤2を得た。
【0103】[処理剤3の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、b1の
20.0gと酢酸ブチル1980.0gを加え、この溶
液の液温を25℃に維持しながら1昼夜撹拌を継続し処
理剤3を得た。
【0104】[処理剤4の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、b2の
19.9gとa1の10.3gを混合して加え、さらに
酢酸エチル985.3g、イソプロピルアルコール5
4.2g、トリクロロトリフルオロエタン(R−11
3)456.3gを加え、この溶液の液温を25℃に維
持しながら5日間撹拌を継続し処理剤4を得た。
【0105】[処理剤5の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、b1の
9.8g、b3の2.4g、およびb2の9.8gを混
合して加え、さらに酢酸ブチル970.0g、イソプロ
ピルアルコール35.5g、トリクロロトリフルオロエ
タン(R−113)200.0gを加え、この溶液の液
温を25℃に維持しながら1昼夜撹拌を継続し処理剤5
を得た。
【0106】[処理剤6の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、b2の
19.9gとa1の10.3gを混合して加え、さらに
酢酸エチル985.3g、イソプロピルアルコール5
4.2g、トリクロロトリフルオロエタン(R−11
3)456.3gを加え、その後さらにd1の1.8g
と硫酸0.2gを添加して、この溶液の液温を25℃に
維持しながら5日間撹拌を継続し処理剤6を得た。
【0107】[比較例1] 10cm×10cm(厚さ3mm)のガラス板を処理剤
1の溶液に浸漬させ、11cm/分の速度で引き上げ、
80℃で10分間加熱した。この試験片を室温にて30
分放置した後、処理剤3の溶液に浸漬し、11cm/分
の速度で引き上げ、150℃で30分間加熱し、サンプ
ル試験片を作成した。この試験片を評価した結果を表1
に示す。
【0108】[実施例比較 例1における処理剤3を処理剤4に変更した他は
例1と同様に試験、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0109】[実施例比較 例1における処理剤3を処理剤5に変更した他は
例1と同様に試験、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0110】[実施例比較 例1における処理剤3を処理剤6に変更した他は
例1と同様に試験、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0111】[比較比較 例1における処理剤1を処理剤2に変更した他は
例1と同様に試験、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0112】[実施例比較 例1における処理剤1を処理剤2に、処理剤3を処
理剤4に変更した他は比較例1と同様に試験、評価を行
った。結果を表1に示す。
【0113】[実施例比較 例1における処理剤1を処理剤2に、処理剤3を処
理剤5に変更した他は比較例1と同様に試験、評価を行
った。結果を表1に示す。
【0114】[実施例比較 例1における処理剤1を処理剤2に、処理剤3を処
理剤6に変更した他は比較例1と同様に試験、評価を行
った。結果を表1に示す。
【0115】[比較例比較 例1における処理剤1の浸漬後の加熱を80℃で1
0分間から300℃で30分間に変更した以外は比較
1と同様に試験、評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】[比較例] 10cm×10cm(厚さ3mm)のガラス板を処理剤
5の溶液に浸漬させ、11cm/分の速度で引き上げ、
サンプル試験片を作成した。この試験片を評価した結果
を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】[実施例] 実施例で得られた試験片を表2に示す薬品に24時間
浸漬し、取り出して直ちに洗浄した後、この試験片の外
観変化および水滴除去性を確認した。その結果を表2に
示す。
【0119】
【表2】
【0120】[実施例] 実施例の方法で建築用ガラス板の表面に処理剤を塗布
し、2層の被膜を形成した。得られた建築用ガラス板を
建築物に装着した。この窓ガラスの曝露テストを1ヶ月
間行い、毎日窓ガラス表面への汚れ、ほこりの付着状
態、また、雨天時においては水滴の付着状態を肉眼で観
察した。
【0121】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水垢の発生はまったく認められず、まれにそれ
らの発生が認められてもティッシュペーパーで軽く拭う
ことで容易に除去することができた。窓ガラスの洗浄の
手間も大幅に簡略化することができた。また、雨天時に
は表面の水滴ははじかれ、水の濡れ広がりがなく、視野
の確保が容易であった。また、雨天時でかつ風の強い日
には風圧との相互作用によって水滴が速やかに移動し、
一層視野の確保が容易であった。
【0122】さらに、未処理の窓ガラスに付着している
水滴が氷結する、または空気中の水分が凝縮して窓ガラ
スに氷結するような環境下(0℃〜−5℃)での曝露テ
ストにおいて窓ガラス表面への氷結はまったく認められ
なかった。また、さらに厳しい低温環境下(−10℃〜
−15℃)においては、窓ガラスでの氷結も認められた
が、温度上昇によるその解凍は速く、未処理の窓ガラス
に比較し著しい差があった。
【0123】[実施例] 実施例の建築用ガラス板を建築用熱線反射ガラス板
(旭硝子(株)製「サンルックスSS8」)に変更して
曝露試験を実施した。その結果、実施例と同様の効果
が確認された。
【0124】
【発明の効果】本発明の建築・建装用基材や建築・建装
用物品には実施例に記載するとおり優れた効果が認めら
れる。すなわち、 1.水滴除去性に優れており、ほこり、汚れ、水滴の付
着、またはそれによる水垢の発生などがなく、まれにそ
れらの発生があっても、容易に除去可能で水が誘発する
悪影響を遮断でき、洗浄の簡略化が図れる。 2.水滴除去性の持続性に優れ、半永久的にその状態を
維持する。
【0125】3.耐薬品性に優れ、海岸線沿いでの使
用、または海水が直接触れる船舶においても効果を発揮
する。 4.特別な前処理を必要とせず、経済的効果も高い。以
上のような効果は従来の材料では期待できないものであ
り、これまで使用不可能であった分野にまでその適用範
囲を拡大できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に少なくとも2層の表面処理層を
    有する処理基材からなる、または該処理基材を構成要素
    とする、建築・建装用物品であって、表面処理層の最外
    層である第1層が下記式(A)または下記式(B)で表
    わされるイソシアネートシラン化合物(I)を含む処理
    剤で処理して得られる層であり、最外層に接する下層で
    ある第2層が加水分解性シラン化合物(II)またはそ
    の部分加水分解生成物を含む処理剤で処理して得られる
    層である、建築・建装用物品。(A)(OCN) 3-a-b (R 1 ) a (R 2 ) b Si-Y-Si(R 3 ) c (R 4 ) d (NCO)
    3-c-d ここで、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は独立に、水素原子ま
    たは炭素数1〜16の有機基であり、aおよびbは独立
    に、0、1または2でありかつ0≦a+b≦2であり、
    cおよびdは独立に、0、1または2でありかつ0≦c
    +d≦2であり、Yは2価有機基である。ただし、Yが
    2個以上のフッ素原子を有する2価有機基であるか、ま
    たは、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の少なくとも1つがポリ
    フルオロアルキル基を有する有機基である。 (B)(R 5 ) e (R 6 ) g (R 7 ) h Si(NCO) 4-e-g-h ここで、R 5 、R 6 およびR 7 は独立に、水素原子または
    炭素数1〜16の有機基であり、e、gおよびhは独立
    に、0、1、2または3でありかつ0≦e+g+h≦3
    である。ただし、R 5 、R 6 およびR 7 の少なくとも1つ
    がポリフルオロアルキル基を有する有機基である。
  2. 【請求項2】第1層が、イソシアネートシラン化合物
    (I)とともにオルガノポリシロキサンを含む処理剤で
    処理して得られる層である請求項1記載の建築・建装
    用物品。
  3. 【請求項3】加水分解性シラン化合物(II)が、下記
    式(C)で表わされる化合物である請求項1または
    記載の建築・建装用物品。 (C)(R8)i(R9)j(R10)kSiX4-i-j-k ただし、Xは加水分解性基、R8 9 よびR10は独立
    に、水素原子または有機基、i、jおよびkは独立に、
    0、1、2、または3でありかつ0≦i+j+k≦3
    ある
JP14141491A 1991-05-17 1991-05-17 建築・建装用物品 Expired - Fee Related JP3207452B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14141491A JP3207452B2 (ja) 1991-05-17 1991-05-17 建築・建装用物品
EP19960111612 EP0759413B1 (en) 1991-05-17 1992-05-08 Surface-treated substrate
DE69217574T DE69217574T2 (de) 1991-05-17 1992-05-08 Oberflächenbehandeltes Substrat
DE69229924T DE69229924T2 (de) 1991-05-17 1992-05-08 Oberflächenbehandeltes Substrat
EP19920107814 EP0513690B1 (en) 1991-05-17 1992-05-08 Surface-treated substrate
US07/883,391 US5314731A (en) 1991-05-17 1992-05-15 Surface-treated substrate
US08/183,299 US5464704A (en) 1991-05-17 1994-01-19 Surface-treated substrate
US08/457,537 US5645939A (en) 1991-05-17 1995-06-01 Surface-treated substrate

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14141491A JP3207452B2 (ja) 1991-05-17 1991-05-17 建築・建装用物品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04342443A JPH04342443A (ja) 1992-11-27
JP3207452B2 true JP3207452B2 (ja) 2001-09-10

Family

ID=15291451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14141491A Expired - Fee Related JP3207452B2 (ja) 1991-05-17 1991-05-17 建築・建装用物品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3207452B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6338905B1 (en) 1997-07-15 2002-01-15 Central Glass Company, Limited Glass plate with water-repellent film and method for producing same
JP5776906B2 (ja) * 2010-04-08 2015-09-09 日産化学工業株式会社 光配向性を有する熱硬化膜形成組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04342443A (ja) 1992-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5314731A (en) Surface-treated substrate
JPH0781024B2 (ja) 撥水性.防汚性を有する透明基材およびそれを装着した構造物
JP6305462B2 (ja) スルホネート官能コーティング及び方法
WO2010042672A1 (en) Silica coating for enhanced hydrophilicity
US6733892B1 (en) Surface treatment composition, method of surface treatment, substrate and article
US5075133A (en) Process for preparation of anti-fogging coating
US5576109A (en) Surface treating agent and surface-treated substrate
JP2000119634A (ja) 防汚性組成物および防汚性を有する光学物品
JP3155025B2 (ja) 表面処理された建築・建装用物品および該物品の製造方法
JPH06220428A (ja) 表面改質された防曇性被膜
JP3207452B2 (ja) 建築・建装用物品
JP3210045B2 (ja) 表面処理された基材
JP2000212480A (ja) 赤外線吸収性ハ―ドコ―ト被膜
JPS62153147A (ja) 防曇性を有する物品
JP2906472B2 (ja) 透明成形体
JP3308282B2 (ja) 建築・建装用物品
JPS63193971A (ja) 透明導電性被膜
JPH04342444A (ja) 表面処理された輸送機器用物品および該物品の製造方法
JP3212320B2 (ja) 輸送機器用物品および輸送機器用物品の製造方法
JPH0827456A (ja) 表面処理剤および表面処理された基材
JPH03137184A (ja) 防曇性コーティング組成物および防曇性被膜
JPH03181586A (ja) 防曇性被膜の製造方法
JPH03181587A (ja) 防曇性被膜の製造方法
JP2001081445A (ja) 表面処理剤組成物、および表面処理された基材
JPH0518411U (ja) コンパクト容器

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees