JP4423103B2 - 有機エレクトロルミネッセンス発光装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス発光装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス発光装置に関し、またこの発光装置を備えた照明装置および表示装置に関するものである。
電極間に発光層を設け、電気的に発光を得るエレクトロルミネッセンス(以下、ELという)素子は、ディスプレイ表示装置としての利用はもちろん、平面型照明、光ファイバー用光源、液晶ディスプレイ用バックライト、液晶プロジェクタ用バックライトなどの各種光源としても、注目されており、盛んに研究開発が進んでいる。とくに、有機EL素子は、発光効率、低電圧駆動、高速応答性、高視野角、軽量、低コストという点で、すぐれており、近年、非常に注目を浴びている。
有機EL素子は、陽極より注入される正孔と陰極より注入される電子とが再結合することによって励起子を形成し、その励起子が基底状態に戻るときにエネルギーを放出し発光すると言われている。ここで、生成する励起子のうち、発光に寄与するのは1重項励起子のみであり、その生成確率は1/4であったが、近年、発光層自体の発光効率を上げる方法として、3重項励起子からの燐光からも発光が得られる発光材料の開発(特許文献1参照)も進んでおり、飛躍的に量子効率が向上できる可能性も見出されている。
しかしながら、有機EL素子のように発光層自体から発光を取り出す固体内発光素子においては、発光層の屈折率と出射媒質の屈折率により決まる臨界角以上の発光光は全反射し内部に閉じ込められ、導波光として失われる。

古典論的な屈折の法則(スネルの法則)による計算では、発光層の屈折率をnとすると、発生した光が外部に取り出される光取り出し効率ηは、η=1/2n2 で近似される。仮に発光層の屈折率が1.7である場合、η≒17%程度となり、80%以上の光は導波光として素子側面方向の損失光として失われていることになる。前述したような3重項励起子を利用したとしても20%程度しか取り出すことができない。言い換えると、取り出し効率が改善されれば、飛躍的に効率を向上できる余地があることになる。
導波光を外部に取り出すには、発光層と出射面との間に、反射・屈折角を乱れさせる領域を形成し、スネルの法則を崩し、本来、導波光として全反射される光の伝送角を変化させてやる必要がある。このような構造を有機EL素子に形成し、取り出し効率を向上させる方法については、既に多数案出されている。

たとえば、基板表面に凹凸構造を設けたもの(特許文献2参照)、基板における光取り出し側をレンズ構造としたもの(特許文献3参照)、EL素子自体に立体構造や傾斜面を形成したもの(特許文献4参照)、EL素子内に回析格子を形成したもの(特許文献5参照)がそれぞれ開示されている。このほかにも、基板の形状を物理的に変化させ、EL素子内部に閉じ込まれた導波光を取り出す試みは、多数なされている。
しかし、これらの導波光をすべて外部に出射させることができるような領域を形成することは容易ではなく、今なお、多くの検討がなされている。

そのような中で、導波光を用いて光の取り出し効率を上げるものが開示されている(特許文献6参照)。また、導波光を発光装置におけるアプリケーションについて説明したものもある(特許文献7参照)。
有機EL素子において、光の取り出し効率が20%程度であるというのは、屈折率の高い物質から低い物質へ光が通過しようとする際、ある入射角以上で発現する全反射の現象に由来するものである。つまり、発生した光のうちの残り80%は、理論的にはITOからなる透明電極と基板との界面、または基板と素子外部との界面において全反射し、閉じ込められて損失光となっている。この損失光を用いることで従来に比べ外部への取り出し効率が高い、つまり発光効率の高い有機EL素子を作製することが可能となる。

さらに、線光源および点光源として様々な用途が示されている導波光を活用できる発光装置の可能性や応用例が案出されている(特許文献6、7参照)。
発光領域で発生する光は全方向に放射される。たとえば、図5に示すように発光層3における電子輸送発光層4と正孔輸送層5との界面近傍の発光領域Pから発生する光は全方向に放射され、その結果、透明電極1側の光取り出し面方向に放射した光と、反射性電極2側に放射し反射されて光取り出し面方向に放射される光とに光路差が生じる。

通常、発光層3における電子輸送性発光層4の厚さは、数十〜百数十nmであり、可視光波長のオーダーである。このため、最終的に外部に出射する光は干渉を起こし、発光領域Pと反射性電極2との距離dにより強め合ったり弱め合ったりする。
ここでは、正面方向の放射光のみを記述したが、実際には斜め方向の光も存在し、距離dと発光波長λによっては、放射光の角度により干渉条件が異なる。その結果、正面方向の光は強め合い、広角度方向の光は弱め合う場合や、その反対の場合が起こり得る。つまり、発光輝度が視角度により変化する。もちろん、角度により顕著に光の強度が変化することになる。よって、通常は正面方向の光が互いに強め合うように、距離dが発光波長のおよそ1/4波長の長さとなるように膜厚が設定される。
また、通常金属が用いられる反射性電極2では、光の吸収が存在し、発光強度の低下が見られ、距離dが、たとえば50nm程度より薄くなると、多重反射により反射性電極での光の吸収が顕著になり、発光強度の大幅な低下と強度分布にも影響が現れる。つまり、有機EL素子では、発光領域Pと反射性電極2との間の距離dにより、放射光分布が顕著に変化し、前述した導波光成分もそれに伴い大きく変化する。
以上の理由より、発光光のうち約80%は導波光として素子内部に閉じ込められているという古典論的な計算では、導波光成分の素子構成における変化や、反射性電極での吸収などを考慮しておらず、正しく見積もれないことになる。たとえば、M.H.Luらの報告(J.Appl.Phys.,Vol.91,No.2,p.595,2002)によれば、マイクロキヤビティー効果を考慮した量子論的計算手法により、素子構成に基づく導波光成分の変化について、詳細な研究がなされている。
加えて、有機EL素子のように、有機薄膜層からなる発光層を電極で挟持してなる発光素子は、発光層自体から発光を取り出す固体内発光素子のため、出射までに各層で屈折率差が生じ、その屈折率差より全反射が生じる。

発光光が外部に出射されるまでの様子を、図6を用いて、説明する。発光層3の屈折率を1.7、ITOからなる透明電極1の屈折率を1.9、支持基板6としてのガラス基板の屈折率を1.52、空気層の屈折率を1と仮定して、説明する。
発光層3で発生した発光光は、全空間に放射される。発光層3から透明電極1へ光が伝わるときは、発光層3より透明電極1の屈折率の方が高いため、全反射は起こらず、表面反射する光を除いたすべての光は透明電極1に入る。

しかし、透明電極1に入射した光は、発光層3の屈折率が支持基板6(ガラス基板)の屈折率よりも高いため、臨界角が存在する。よって、臨界角以上の伝送角を持つ光は、透明電極1と支持基板6の界面で全反射され、素子内部に閉じ込められる。さらに、支持基板6に入った光は、空気との界面で全反射され、素子内部に閉じ込まれる。これらの割合を立体角を考慮して計算すると、支持基板6/空気界面で反射される光が約35%で、透明電極1と支持基板6との界面で反射される光が約45%となる。

ここで、一般的に、発光層3は、支持基板6に比べて厚さが著しく小さいことから、透明電極1と支持基板6との界面で反射される光は、導波光として厚さ方向と直交する方向の端面10aに取り出されるまでの反射回数が多くなり、反射性電極2での吸収により発光強度が大きく減衰してしまうという問題がある。
以上説明したように、これまで、導波光を利用して取り出し効率を向上させる検討はなされてきたが、素子構成による導波光成分の変化などについて詳しく研究し、その上で、素子端面での外部取り出し効率を向上させるという検討については、ほとんどなされていない。すなわち、導波光を有効に取り出す改善方法は、未だ不十分であり、したがって、高効率な光取り出し機能を持つ有機EL素子の開発が切望されている。
特開2001−313178号公報 特開平9−63767号公報 特開平9−171892号公報 特開平11−214163号公報 特開平11−283751号公報 特開2002−50467号公報 特開2002−83677号公報
本発明は、このような実情に鑑み、なされたものであり、素子内部に閉じ込まれて損失光となっていた導波光を効率良く取り出して、素子の厚さ方向と直交する方向の端面から出射光として発光させうる有機EL発光装置を提供すること、またこの発光装置を備えた照明装置および表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、有機EL表示装置の導波光の取り出しに関し、以下の作用に着目した。

図6に示すように、屈折率が高い物質から低い物質へ光が透過しようとするときに、ある入射角以上(臨界角)で全反射が生じる現象である。実際には、反射性電極2に向かう発光光も存在するが、図6では、省略している。
透明電極1が通常用いられるITOとすると、これと支持基板6に通常用いられるガラス基板との屈折率差により決まる臨界角は約50度である。発光光は全方位に放射されるため、立体角の関係から、より広角度の成分になるほどその光量は大きくなる。よって、発光層3・ITO層5には45%の光が閉じ込められる。さらに、55%の光が支持基板6側と空気層の屈折率差によりさらに臨界角が約40度で存在し、その結果、上述の古典論的計算で、導波光として80%が閉じ込められ損失光として存在するとされている。
ここで、実際の有機EL素子においては、光の干渉が存在し、通常は、外部である空気層に出射できる正面方向に光が強めあうように素子構成を決定するようにしている。この場合、導波光は逆に弱め合うように干渉する。

これに対して、本発明者らは、通常は導波光として素子内部に閉じ込められる広角度成分の光を強め合うように素子構成を決定し、大部分の光量が導波光として増幅した上で、素子の厚さ方向と直交する方向の面での端面発光をさせるようにすると、従来の方法に比べ、発光効率を大幅に高められることを見出した。
また、有機EL素子において、一般に用いられている発光層3および透明電極5の厚さは、支持基板6の厚さに比べて大変小さい。その結果、古典論的な計算において発光層3および透明電極5に45%も閉じ込められた導波光が存在するにも関わらず、これら層の厚さが極端に小さいため、発光層3・透明電極5内での多重反射おける反射性電極2での吸収により減衰され、実際には導波光のほとんどは支持基板6内まで出てこられた光のみが端面10aにおいて取り出されている。
そこで、本発明者らは、透明電極5に接触する支持基板6自体を屈折率が1.6以上の高屈折率層とするか、このような高屈折率層を別途設けると、発光層3・透明電極1における導波光のうちの一部が上記高屈折率層まで出てくることができ、発光層3・透明電極1内で起きていた多重反射での光の減衰分を減らせ、導波光の取り出し効率を大幅に高められることがわかった。とくに、上記高屈折率層を発光層3以上の屈折率とすることで、古典論的計算における透明電極1と上記高屈折率層での全反射光が無くなり、すべての光が高屈折率層まで出てくることができ、多重反射による反射性電極2での光の吸収を大きく低減でき、導波光の取り出し効率を大幅に高められることがわかった。

また、本発明者らは、さらに検討を加え、有機EL素子を上記のように構成して端面発光を取り出すにあたり、透明電極の表面側に光反射面を設けたり、発光層からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けることで、導波光の取り出し効率をより一段と高められることもわかった。
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。

すなわち、本発明は、少なくとも1層の有機薄膜層からなる発光層を透明電極と反射性電極とで挟持した有機EL素子を備えた有機EL発光装置において、発光層における正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との間の距離をd〔nm〕、発光層に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ〔nm〕、発光層における上記中心部と反射性電極との間の屈折率をnとした場合、式(2):(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係式を満足し、発光層からの光が透明電極を経て出射する際に、透明電極から素子の厚さ方向に放射される光の輝度分布が、式(1):正面輝度<50〜70度方向の輝度値、の関係を満足するように前記素子を形成し、この素子の厚さ方向と直交する方向の端面を出射発光面として設定したことを特徴とする有機EL発光装置に係るものである

また、本発明は、前記素子における透明電極の表面側に屈折率が1.6以上の高屈折率層を備えてなる上記構成の有機EL発光装置、上記高屈折率層の屈折率が発光層の屈折率以上に設定されている上記構成の有機EL発光装置、前記素子における透明電極の表面側に光反射面を設けてなる上記構成の有機EL発光装置、発光層からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けてなる上記構成の有機EL発光装置に係るものである。

さらに、本発明は、上記各構成の有機EL発光装置を備えたことを特徴とする照明装置と、同様に、上記各構成の有機EL発光装置を備えたことを特徴とする表示装置を、それぞれ、提供できるものである。
本発明の有機EL発光装置によれば、素子の厚さ方向における輝度分布条件を特定して透明電極を経た光の導波光の成分を増幅させて、輝度を損なうことなく素子の厚さ方向と直交する方向の端面に向かわせるようにしたことから、前記素子端面において、導波光による高輝度の発光出力を得ることができる。

また、透明電極側に、屈折率が非常に高い、とくに発光層の屈折率より高い高屈折率層を設けたり、光反射面を設けることにより、さらには光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けることにより、端面発光を一層効率的に行わせることができる。

さらに、これらの有機EL発光装置を使用することにより、低電力消費で発光効率にすぐれた照明装置や表示装置を容易に提供できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて、説明する。

図1は、本発明の実施形態に係る有機EL発光装置を示す概略構成図である。
図1において、有機EL発光装置Mは、有機EL素子10のほか、支持基板6を備えている。もちろん、支持基板6を備えない構成も可能である。
有機EL素子10は、陽極として支持基板6における入光面(裏面)側に設けられたITOからなる透明電極1と、透明電極1に対向配設された陰極としての反射性電極2と、これら両電極1,2で挟持された発光層3とからなる。この発光層3は、たとえば、前記の図5で示したような電子輸送発光層4および正孔輸送層5などからなる少なくとも一層の有機薄膜層から構成されている。

透明電極1と反射性電極2との間に電源Eを接続すれば、発光層3が発光し、その発光した光は、透明電極1と支持基板6との界面または支持基板6と空気層との界面で全反射し、また反射性電極2で反射することにより、導波光として素子の厚さ方向と直交する方向の両方の端面10aから取り出されるようになっている。すなわち、上記端面10aを出射発光面として設定してある。
端面10aから発光光を取り出すための条件を、図2を用いて、説明する。

図2は、透明電極1から素子10の厚さ方向に放射される発光光の輝度の角度分布を、正面0度から80度まで、10度毎に測定した結果を示す特性である。点線aで示す特性は、本発明にしたがって作製した有機EL素子10の測定結果であり、また、実線bで示す特性は、従来の有機EL素子10の測定結果である。

なお、有機EL素子10の構成としては、本発明品も従来品も、透明電極1の厚さを100nm、正孔輸送層5の厚さを50nmにそれぞれ統一し、電子輸送性発光層4の厚さについては、従来品では50nm、本発明品では140nmとした。また、本発明品も従来品も、駆動のための通電電流値は同じである。
図2からわかるように、正面0度方向の輝度は、従来品の有機EL素子の方が高く、しかも広い範囲にわたり輝度値が略一定であり、完全拡散型の好ましい輝度分布を示している。これに対し、本発明品は、正面輝度が低く広角度になるほど輝度が高くなっている。すなわち、この輝度の角度依存性において、式(1):正面輝度値<50〜70度方向に輝度値、の関係を満足するように設定されている。

このように、本発明品では、輝度の角度依存性として、上記式(1)の関係を満足するように設定することにより、正面方向の発光光は弱め合うが、本来、有機EL素子10内に閉じ込まれようとする導波光は強め合うような発光特性を持つことになる。従来品は、上記本発明の関係を満足せず、上記のような発光特性を示さない。
また、本発明の有機EL素子10は、図6に示すように、正孔と電子の再結合発光領域の中心部Pと反射性電極2との距離をd、発光層3に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ、発光層3における上記中心部Pと反射性電極2との間の屈折率をnとした場合、式(2):(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係式を満足するような素子構成にすることで、導波光の閉じ込め効果を一層高めることができる。

たとえば、図5において、再結合が電子輸送性発光層4と正孔輸送層5とのほぼ界面付近で起こる場合、電子輸送性発光層4の蛍光発光のピーク波長が540nmの緑色光であり、その屈折率が1.65であれば、本発明にいう上記距離dは、98.2〜163.6nmの範囲となる。つまり、電子輸送性発光層4の膜厚を略この範囲で形成すると、本発明の効果がより良く発揮される有機EL発光装置Mが得られる。
有機EL素子10は、上記のような輝度特性として、端面発光とするほかは、従来のものと同様の構成を有することができる。

有機EL素子10の具体的な構成としては、陽極/発光層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極などが挙げられるが、とくに制限されるものではなく、ほかに陽極の界面に正孔注入層や陰極の界面に電子注入層を設けたり、再結合効率を高めるための電子ブロック層、正孔ブロック層を挿入した構成としてもよい。

本発明にいう「発光層」とは、発光層単独のほか、正孔輸送層、電子輸送層、電子輸送性発光層、正孔注入層、電子注入層、電子ブロック層、正孔ブロック層などを含む各種の有機薄膜層を、総称して表現したものである。
また、有機薄膜層4,5間およびこれらと電極1,2間に、電荷注入特性の向上や絶縁破壊を抑制、あるいは発光効率を向上させる目的で、弗化リチウム、弗化マグネシウム、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などの無機の誘電体、絶縁体からなる薄膜層、または有機層と電極材料もしくは金属との混合層、あるいはポリアニリン、ポリアセチレン誘導体、ポリジアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などの有機高分子薄膜を挿入してもよい。

基本的には、発光効率がより高くなる構成、材料、形成方法を選択すると、少ない消費電力で強度のEL発光が得られ、本発明の効果を一層高めることができる。
有機EL素子10に用いられる有機材料、電極材料、層構成や各層の膜厚に関しては、とくに限定はなく、従来技術による有機EL素子を適用できる。

発光層3には、低分子系の材料を真空蒸着して形成してもよいし、高分子系の材料を塗布法などにより形成してもよく、とくに制限はない。たとえば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq3)、ビスジフェニルビニルビフェニル(BDPVBi)、1,3−ビス(p−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾールイル)フェニル(OXD−7)、N,N′−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(BPPC)、1,4−ビス〔N−p−トリル−N−4−(4−メチルスチリル)フェニルアミノ〕ナフタレンなどの低分子発光材料や、ポリフェニレンビニレン系ポリマーなどの高分子系発光材料などを利用することができる。
反射性電極2には、導電性および可視光反射性の観点から、種々の金属薄膜を用いることができる。たとえば、マグネシウム、銀、リチウム、アルミニウム、白金、銅、ニッケルなどが挙げられ、仕事関数による効率向上のため、マグネシウムと銀をおよそ10:1の原子比で共蒸着したものや、カルシウム電極、リチウムを微量トープしたアルミニウム電極などが応用されているが、とくに限定されるものではなく、最適なものを適宜選択することができる。
透明電極1の材料は、可視光域に十分な透明性があり、かつ電極として必要な電気伝導性を持ち合わせていれば、とくに制限はないが、通常は酸化インジウム錫(ITO)が用いられる。その他、酸化インジウムに酸化亜鉛をドープしたものや、酸化錫、酸化錫にアンチモンやフッ素などをドープしたもの、酸化亜鉛にガリウムをドープしたものなどが挙げられる。また、発光層界面から厚さ数nm〜十数nmの透光性を維持できる薄さの金属電極を形成し、その後、ITOを形成するなどして、透明電極としてもよい。
支持基板6は、透明性の有無に関わらず一般的なものが使用できる。ガラス基板を用いて、発光を透明電極を介してガラス基板側に取り出し、端面発光させる方法のほかに、不透明な支持基板を用いて、発光層内に閉じ込められた導波光の略全部を端面発光させる方法を用いてもよい。また、金属支持基板のような不透明基板の上に発光層を形成し、これを両電極で挟持し、反対の面に透明層を形成して導波光を取り出してもよい。もちろん、ポリマーフィルムのように可撓性のある材料を基板に用いてもよい。
また、本発明において、支持基板6自体を屈折率が1.6以上の高屈折率層とするか、または支持基板と透明電極1との間に別の透明層として屈折率が1.6以上の高屈折率層を設けるようにすると、古典論的に発光層3・透明電極1内で閉じ込められた導波光を上記の高屈折率層まで積極的に取り出すことができ、反射性電極2で吸収される導波光を減らすことで、本発明の効果がより良く発揮される。とくに、上記高屈折率層を発光層3の屈折率以上とすると、透明電極1と上記高屈折率層での全反射光が無くなり、すべての光を高屈折率層に出すことができ、導波光の取り出し効率が大幅に高められる。
上記の高屈折率層としては、可視光領域に十分な透明性があれば、とくに制限はない。具体的には、酸化チタン、窒化シリコン、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、高屈折率ガラスといった十分な透過性を維持できる各種無機物や、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、エポキシ、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリカーボネートや、これらの主構造にフルオレン、ナフタレン、ビフェニルなどの芳香族構造や塩素、臭素のハロゲンや硫黄を導入した比較的屈折率の高いエンジニアリングプラスチック、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂などの放射線硬化樹脂といった各種樹脂が挙げられる。また、無機超微粒子などを樹脂中に分散させて、屈折率を調整した材料なども用いることができる。
さらに、本発明においては、透明電極1の表面側に光反射面を設けることができる。
図3は、この例を示したものであり、図1に示す有機EL表示装置Mにおいて、支持基板6上に光反射面20を形成してある。こうすることにより、支持基板6を介して素子の厚さ方向に放出する光を支持基板6内部に閉じ込めて、素子の端面10aからの導波光の取り出し効率をより一段と高めることができる。

光反射面20の材料には、光を反射させるものなら、どのようなものでも使用できる。具体的には、可視光領域において反射性に富み、吸収の少ないマグネシウム、銀、リチウム、アルミニウム、金、銅、ニッケルなどの各種金属膜などが挙げられる。
また、本発明の有機EL素子では、発光層3からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けることができる。たとえば、透光性樹脂(粘着性樹脂)中に光拡散性粒子を分散させた光拡散層を、素子の端面10a側に設けておくと、端面からの導波光の取り出し効率がより一段と高められる。
本発明の有機EL発光装置は、前記の輝度特性に特徴を有した端面発光を利用した各種装置に利用できる。その際、たとえば、図4に示したように複数の発光装置Mを並置したものや、特許文献6に開示されているような各種発光装置として、利用することができる。また、図1に示す発光装置では、上記した端面発光の利用と同時に、必要により、素子の厚さ方向から出射する発光光も利用してもよい。
また、上記構成の本発明の有機EL発光装置は、これを照明装置や表示装置の発光源として適宜の手段で具備させることにより、低電力消費で発光効率にすぐれた照明装置や表示装置として、利用できるものである。

つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
厚さが1mmのガラス基板の片面側に、ITOセラミックターゲット(In2 3 :SnO2 =90重量%:10重量%)から、DCスパッタリング法にて、厚さが100nmのITO膜を形成し、透明電極(陽極)を形成した。

その後、フォトレジストを用い、ITOをエッチングして、発光面積が15mm×15mmとなるようにパターンを形成した。有機溶剤(アセトンとイソプロピルアルコール)と純水で超音波洗浄を行ったのち、低圧紫外線ランプを用いて、オゾン洗浄した。つぎに、ITO面上に、真空蒸着法により、下記のように有機薄膜層を順次形成した。
まず、正孔注入層として、下記の式(3)で表されるCuPcを、蒸着速度0.3nm/sで15nmの厚さに形成した。つぎに、正孔輸送層として、下記の式(4)で表されるα−NPDを、蒸着速度0.3nm/sで50nmの厚さに形成した。最後に、電子輸送性発光層として、下記の式(5)で表されるAlqを、蒸着速度0.3nm/sで140nmの厚さに形成した。

その後、LiFを1nmの厚さで形成したのち、Alを150nmの厚さで形成して、反射性電極(陰極)とした。真空蒸着装置から取り出したのち、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、十分にエポキシ樹脂が広がった時点で、高圧紫外線ランプによりエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。














Figure 0004423103
このようにして得られた有機EL発光装置Mは、これに5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流したところ、発光が観測された。素子の厚さ方向の輝度に関して、図7(A)に示すように、市販の輝度計N(トプコン社製の「品名BM9」、測定角0.2°、最小測定径0.95mm)を用い、θ方向の素子の輝度を0度〜80度方向まで、4度おきに測定したところ、表1に示すような結果となった。
表1からわかるように、この有機EL発光装置は、前記の式(1)の関係を十分に満たすものであった。また、この有機EL発光装置において、正孔と電子の再結合は、ほぼα−NPDとAlqの界面で起こるため、本発明でいう正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との距離dはおよそ140nmである。さらに、励起光源に発光波長が365nmのブラックライトを用い、ガラス基板上に蒸着したAlq薄膜に照射した際の蛍光スペクトルのピーク波長λはおよそ530nmであった。また、分光エリプソメータを用いて測定したAlq薄膜の屈折率nはおよそ1.67であった。よって、この有機EL発光装置は、前記の式(2)の関係も満足するものである。
つぎに、この有機EL発光装置Mに対し、図7(B)に示すように、前記の輝度計Nを用いて、端面輝度として、ガラス基板側面において側面から20度の輝度を測定した。ここで、ガラス基板側面にピントを合わせ測定径がガラス基板の厚さ内に入るようにして便宜上輝度測定を行った。その結果は、下記の表1に示されるとおりであった。
表1
┌─────────┬─────────┐ │ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│ ├─────────┼─────────┤ │ 0 │ 79 │ │ 4 │ 76 │ │ 8 │ 76 │ │ 12 │ 76 │ │ 16 │ 78 │ │ 20 │ 78 │ │ 24 │ 79 │ │ 28 │ 82 │ │ 32 │ 86 │ │ 36 │ 91 │ │ 40 │ 99 │ │ 44 │ 108 │ │ 48 │ 118 │ │ 52 │ 130 │ │ 56 │ 142 │ │ 60 │ 155 │ │ 64 │ 167 │ │ 68 │ 178 │ │ 72 │ 185 │ │ 76 │ 186 │ │ 80 │ 178 │ ├─────────┼─────────┤ │ 端面 │ 162 │ └─────────┴─────────┘

















実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を120nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表2に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足し、またAlq層120nmという値も前記の式(2)を満足するものであった。
表2
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 71 │
│ 4 │ 69 │
│ 8 │ 70 │
│ 12 │ 72 │
│ 16 │ 76 │
│ 20 │ 79 │
│ 24 │ 84 │
│ 28 │ 90 │
│ 32 │ 98 │
│ 36 │ 108 │
│ 40 │ 118 │
│ 44 │ 131 │
│ 48 │ 144 │
│ 52 │ 158 │
│ 56 │ 173 │
│ 60 │ 188 │
│ 64 │ 202 │
│ 68 │ 214 │
│ 72 │ 223 │
│ 76 │ 226 │
│ 80 │ 216 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 130 │
└─────────┴─────────┘










比較例1
実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を60nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表3に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層60nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
表3
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 332 │
│ 4 │ 319 │
│ 8 │ 319 │
│ 12 │ 320 │
│ 16 │ 326 │
│ 20 │ 324 │
│ 24 │ 326 │
│ 28 │ 329 │
│ 32 │ 332 │
│ 36 │ 335 │
│ 40 │ 338 │
│ 44 │ 340 │
│ 48 │ 342 │
│ 52 │ 344 │
│ 56 │ 344 │
│ 60 │ 343 │
│ 64 │ 339 │
│ 68 │ 334 │
│ 72 │ 325 │
│ 76 │ 311 │
│ 80 │ 286 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 80 │
└─────────┴─────────┘










比較例2
実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を40nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表4に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層40nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
表4
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 233 │
│ 4 │ 225 │
│ 8 │ 225 │
│ 12 │ 225 │
│ 16 │ 226 │
│ 20 │ 225 │
│ 24 │ 225 │
│ 28 │ 225 │
│ 32 │ 224 │
│ 36 │ 223 │
│ 40 │ 222 │
│ 44 │ 221 │
│ 48 │ 219 │
│ 52 │ 216 │
│ 56 │ 213 │
│ 60 │ 210 │
│ 64 │ 206 │
│ 68 │ 201 │
│ 72 │ 195 │
│ 76 │ 185 │
│ 80 │ 166 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 49 │
└─────────┴─────────┘










比較例3
実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を180nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表5に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層180nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
表5
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 201 │
│ 4 │ 194 │
│ 8 │ 193 │
│ 12 │ 191 │
│ 16 │ 189 │
│ 20 │ 183 │
│ 24 │ 177 │
│ 28 │ 171 │
│ 32 │ 163 │
│ 36 │ 155 │
│ 40 │ 146 │
│ 44 │ 136 │
│ 48 │ 127 │
│ 52 │ 118 │
│ 56 │ 110 │
│ 60 │ 103 │
│ 64 │ 97 │
│ 68 │ 92 │
│ 72 │ 87 │
│ 76 │ 82 │
│ 80 │ 75 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 87 │
└─────────┴─────────┘










上記の実施例1,2および比較例1〜3の各有機EL発光装置について、その結果を、表6にまとめて示した。また、図8は、実施例1の有機EL発光装置の端面輝度を測定する様子を示す写真であり、さらに、図9は、比較例1の有機EL発光装置の端面輝度を測定する様子を示す写真である。

これらの結果から、実施例1,2では、素子の厚さ方向における正面輝度値は大きな値が得られていないが、素子端面において導波光成分の輝度値を測定すると、比較例1〜3の端面輝度に比べ、高輝度が得られていることがわかる。
表6
┌────┬───────┬──────┬──────┬─────┐
│サンプル│Alq層の膜厚│ 正面輝度 │ 端面輝度 │端面/正面│
│ │ (nm) │(cd/m2 )│(cd/m2 )│ │
├────┼───────┼──────┼──────┼─────┤
│実施例1│ 140 │ 79 │ 162 │ 2.06│
│ │ │ │ │ │
│実施例2│ 120 │ 71 │ 130 │ 1.84│
├────┼───────┼──────┼──────┼─────┤
│比較例1│ 60 │ 332 │ 80 │ 0.24│
│ │ │ │ │ │
│比較例2│ 40 │ 233 │ 49 │ 0.21│
│ │ │ │ │ │
│比較例3│ 180 │ 201 │ 87 │ 0.43│
└────┴───────┴──────┴──────┴─────┘























実施例1において、ガラス基板を、厚さ1mmの高屈折率ガラス基板(屈折率1.71)に変更した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表7に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足し、またAlq層140nmという値も前記の式(2)を満足するものであった。
表7
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 79 │
│ 4 │ 75 │
│ 8 │ 75 │
│ 12 │ 79 │
│ 16 │ 81 │
│ 20 │ 81 │
│ 24 │ 83 │
│ 28 │ 85 │
│ 32 │ 85 │
│ 36 │ 90 │
│ 40 │ 101 │
│ 44 │ 109 │
│ 48 │ 119 │
│ 52 │ 132 │
│ 56 │ 142 │
│ 60 │ 155 │
│ 64 │ 170 │
│ 68 │ 181 │
│ 72 │ 189 │
│ 76 │ 189 │
│ 80 │ 179 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 218 │
└─────────┴─────────┘










比較例4
実施例3において、電子輸送性発光層としてのAlq層を60nmの厚さに形成した以外は、実施例3と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表8に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層60nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
表8
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 317 │
│ 4 │ 304 │
│ 8 │ 303 │
│ 12 │ 304 │
│ 16 │ 313 │
│ 20 │ 311 │
│ 24 │ 313 │
│ 28 │ 316 │
│ 32 │ 319 │
│ 36 │ 321 │
│ 40 │ 322 │
│ 44 │ 324 │
│ 48 │ 325 │
│ 52 │ 328 │
│ 56 │ 326 │
│ 60 │ 327 │
│ 64 │ 323 │
│ 68 │ 318 │
│ 72 │ 310 │
│ 76 │ 296 │
│ 80 │ 271 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 111 │
└─────────┴─────────┘
上記の実施例3および比較例4の両有機EL発光装置について、その結果を、表9にまとめて示した。なお、同表には、参考のために、それぞれ支持基板のみが異なる実施例1および比較例1の両有機EL発光装置の結果も、併記した。

この結果から明らかなように、実施例3では、高屈折率のガラス基板を使用したことにより、実施例1に比べて、端面輝度をさらに一層向上できていることがわかる。これに対して、比較例4では、高屈折率のガラス基板を使用しても、比較例1に比べて、端面輝度をあまり向上できないものであることがわかる。
表9
┌────┬──────┬─────┬──────┬──────┬─────┐
│ │Alq層の │高屈折率層│ 正面輝度 │ 端面輝度 │端面輝度/│
│ │膜厚(nm)│ │(cd/m2 )│(cd/m2 )│正面輝度 │
├────┼──────┼─────┼──────┼──────┼─────┤
│実施例1│ 140 │ なし │ 79 │ 162 │ 2.06│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例3│ 140 │ あり │ 79 │ 218 │ 2.77│
├────┼──────┼─────┼──────┼──────┼─────┤
│比較例1│ 60 │ なし │ 332 │ 80 │ 0.24│
│ │ │ │ │ │ │
│比較例4│ 60 │ あり │ 317 │ 111 │ 0.35│
└────┴──────┴─────┴──────┴──────┴─────┘
厚さが125μmのPETフィルムの片面側に、Agターゲットから、DCスパッタリング法にて、厚さが150nmのAg膜を形成し光反射面とした。Ag膜面に粘着剤を塗り、ガラス基板上に貼り付けて光反射面を形成した。

この光反射面とは反対側のガラス基板上に、実施例1と同様の手順で、透明電極(ITO層)、発光層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送性発光層)および反射性電極を、順次形成し、さらにエポキシ樹脂で封止して、有機EL発光装置を作製した。なお、上記の各層の厚さは、実施例1の場合と同一とした。
比較例5
実施例4において、電子輸送性発光層としてのAlq層を60nmの厚さに形成した以外は、実施例4と同様にして、有機EL発光装置を作製した。
上記の実施例4および比較例5の両有機EL発光装置について、実施例1と同様にしてガラス基板側面の端面輝度を測定した。結果を、表10に示した。なお、同表には、参考のため、実施例1および比較例1の両有機EL発光装置の結果も併記した。

この結果から、実施例4では、光反射面を形成したことにより、実施例1に比べて、端面輝度をさらに向上できている。これに対して、比較例5では、光反射面を形成しても、比較例1に比べて、端面輝度をほとんど向上できなかった。










表10
┌────┬───────────┬────┬──────────┐
│ │Alq層の膜厚(nm)│光反射面│端面輝度(cd/m2 )│
├────┼───────────┼────┼──────────┤
│実施例1│ 140 │ なし │ 162 │
│ │ │ │ │
│実施例4│ 140 │ あり │ 175 │
├────┼───────────┼────┼──────────┤
│比較例1│ 60 │ なし │ 80 │
│ │ │ │ │
│比較例5│ 60 │ あり │ 89 │
└────┴───────────┴────┴──────────┘
トルエンを10gとり、これに屈折率1.43、粒子径4μmのシリコーン粒子を1.5g加えて、よく撹拌し、分散させた。また、屈折率が1.47であるアクリル系粘着剤を、濃度が20重量%となるようにトルエンに加えて、溶解させた。この溶液を、粘着剤に対するシリコーン粒子の濃度が15重量%になるように、シリコーン粒子を分散させたトルエン分散液に加え、さらに粘着剤のトルエンに対する濃度が20重量%になるように濃度調整を行い、よく撹拌して、光拡散性粘着剤溶液を調製した。

この光拡散性粘着剤溶液を、アプリケータを用いて、セパレータ上に塗布し、乾燥させることにより、厚さが20μmの光拡散性粘着剤を作製した。
実施例1において、ガラス基板端面に、上記のように作製した光拡散性粘着剤を10牧重ねて貼り合わせ、およそ200μmの厚さの光拡散層を形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。

この実施例5の有機EL発光装置について、実施例1と同様にして、ガラス基板側面の端面輝度を測定した。結果を、表11に示した。なお、同表には、参考のため、実施例1の有機EL発光装置の結果も併記した。

この結果から明らかなように、実施例5では、光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域として光拡散層を形成したことにより、実施例1に比べて、端面輝度をさらに一段と向上できているものであることがわかる。
表11
┌────┬───────┬──────┬──────┐
│ │Alq層の膜厚│ 光反射面 │ 端面輝度 │
│ │ (nm) │ │(cd/m2 )│
├────┼───────┼──────┼──────┤
│実施例1│ 140 │ なし │ 162 │
│ │ │ │ │
│実施例5│ 140 │ あり │ 236 │
└────┴───────┴──────┴──────┘
実施例1で得た有機EL発光装置を、発光源として具備させることにより,図1に示すように、導波光を端面10aから高効率で取り出し、かつ正面(素子の厚さ方向)からの光も有効利用できる照明装置や表示装置を作製することができた。

また、実施例4で得た有機EL発光装置を、上記同様に発光源として具備させることにより,図3に示すように、導波光を端面10aから高効率で取り出せる照明装置や表示装置を作製することができた。

さらに、上記の照明装置や表示装置の作製にあたり、実施例1(および実施例4)で得た有機EL発光装置を、図4に示すように並列させることにより、より高効率な照明装置や表示装置を作製することができた。
本発明の有機EL発光装置の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の輝度の角度分布特性図である。 本発明の有機EL発光装置の他の例を示す概略断面図である。 複数個の有機EL発光装置を並列配置した概略斜視図である。 有機EL素子の透明電極で反射された光と反射性電極で反射された光の光路差の説明図である。 有機EL素子の発光した光が外部に出るまでに各層の屈折率の差に伴って反射方向が変化する様子を示す図である。 輝度計により有機EL素子の輝度を測定する様子を示したもので、(A)は素子の厚さ方向の輝度測定、(B)は端面の輝度測定である。 実施例1の有機EL発光装置の端面輝度の測定を示す写真である。 比較例1の有機EL発光装置の端面輝度の測定を示す写真である。
符号の説明
1 透明電極(陽極)
2 反射性電極(陰極)
3 発光層
4,5 有機薄膜層
6 支持基板
10 有機EL素子
10a 端面(出射発光面)
20 光反射面
M 有機EL発光装置
N 輝度計

Claims (7)

  1. 少なくとも1層の有機薄膜層からなる発光層を透明電極と反射性電極とで挟持した有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス発光装置において、発光層における正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との間の距離をd〔nm〕、発光層に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ〔nm〕、発光層における上記中心部と反射性電極との間の屈折率をnとした場合、(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係式を満足し、発光層からの光が透明電極を経て出射する際に、透明電極から素子の厚さ方向に放射される光の輝度分布が、正面輝度<50〜70度方向の輝度値、の関係を満足するように前記素子を形成し、この素子の厚さ方向と直交する方向の端面を出射発光面として設定したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  2. 前記素子における透明電極の表面側に屈折率が1.6以上の高屈折率層を備えてなる請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  3. 高屈折率層の屈折率が発光層の屈折率以上に設定されている請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  4. 前記素子における透明電極の表面側に光反射面を設けてなる請求項1〜のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  5. 発光層からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けてなる請求項1〜のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置を備えたことを特徴とする照明装置。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置を備えたことを特徴とする表示装置。

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