JP4406213B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、面光源および表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、面光源および表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光層から放射される発光光を励起光源として用い、発光性材料の励起発光光を外部光として取り出す色変換方式の有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、その発光効率、とくに発光光の外部取り出し効率にすぐれる有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、またこの有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた高効率で消費電力の低い面光源および表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電極問に発光層を設け、電気的に発光を得るエレクトロルミネッセンス素子や発光ダイオードは、ディスプレイ表示装置としての利用はもちろん、平面型照明、光ファイバー用光源、液晶ディスプレイ用バックライト、液晶プロジェクタ用バックライトなどの各種光源としても、盛んに研究開発が進んでいる。とくに、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光効率、低電圧駆動、軽量、低コストという点ですぐれており、近年、注目を浴びている。これらの光源用途で最大の関心事は発光効率の向上であり、蛍光灯に匹敵する発光効率を目標として、素子構成、材料、駆動方法、製造方法などの改良が検討されている。
【0003】
しかし、有機エレクトロルミネッセンス素子のように発光層自体から発光を取り出す固体内発光素子では、発光層の屈折率と出射媒質との屈折率により決まる臨界角以上の発光光は全反射し内部に閉じ込められ、導波光として失われる。古典論的な屈折の法則(スネルの法則)による計算では、発光層の屈折率をnとすると、発生した光が外部に取り出される光取り出し効率ηは、η=1/(2n2 )で近似される。仮に発光層の屈折率が1.7であると、η≒17%程度となり、80%以上の光は導波光として素子側面方向の損失光として失われる。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子では、電極から注入された電子・正孔の再結合により生成する励起子のうち、発光に寄与するのは1重項励起子のみであり、その生成確率は1/4である。すなわち、これだけを考慮しても、効率は5%以下と極めて低いものとなる。
【0004】
近年、発光層自体の発光効率を上げる方法として、3重項励起子からの燐光からも発光が得られる発光材料の開発(特開2001−313178号公報)も進んでおり、量子効率を飛躍的に向上できる可能性も見い出されている。しかし、仮に量子効率を向上できても、取り出し効率としてはそれに乗ずる形で発光効率を低下させてしまう。言い換えると、取り出し効率を改善できれば、相乗効果として飛羅的に効率を向上できる余地が残されている。
【0005】
このように、導波光を外部に取り出すには、発光層と出射面との間に反射・屈折角を乱れさせる領域を形成し、スネルの法則を崩して、本来導波光として全反射される光の伝送角を変化させてやるか、発光自体に集光性を持たせる必要がある。しかし、導波光をすべて外部に出射させる領域を形成するのは容易でなく、このため、できるだけ多くの導波光を取り出す提案がなされている。
【0006】
たとえば、取り出し効率を改善する方法として、基板自体に集光性を持たせることで取り出し効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)や、発光層をディスコチック液晶で形成し、発光光自体の正面指向性を向上させる方法(特開平10−321371号公報)、素子自体に立体構造や傾斜面、回折格子などを形成する方法(特開平11−214162号、特開平11−214163号、特開平11−283751号公報)が提案されている。
しかしながら、これらの提案では複雑な構成になってしまったり、発光層自体の発光効率が低くなるなどの問題がある。
【0007】
また、比較的簡単な方法として、光拡散層を形成し、光の屈折角を変化させて全反射条件にある光を減らす方法も提案されている。
たとえば、内部と表面で屈折率の異なる屈折率分布構造を有する粒子を透明基材中に分散させた拡散板を使用する方法(特開平6−347617号公報)、透光性基体上に単粒子層を並べた拡散部材を使用する方法(特開2001−356207号公報)、発光層と同じ材質中に散乱粒子を分散させる方法(特開平6−151061号公報)などが、数多く提案されている。
これらの提案では、散乱粒子の特性、分散マトリックスとの屈折率差、粒子の分散形態、散乱層の形成場所などに特徴を見い出したものである。
【0008】
ところで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、電界を印加することで、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子とが再結合して励起子となり、蛍光物質(または燐光物質)が発光する原理を利用したものである。よって、量子効率を上げるためには、この再結合が効率良く行われる必要がある。その方法として一般的に行われるのが、素子を積層構造とする方法である。積層構造の例としては、正孔輸送層/電子輸送性発光層の2層型、正孔輸送層/発光層/電子輸送層の3層型などが挙げられる。また、効率を上げるために、ダブルヘテロ構造とするような積層型素子も多数提案されている。
【0009】
このような積層構造の場合、再結合はある領域で、ほぼ集中して起こる。
たとえば、前記2層型の有機エレクトロルミネッセンス素子であれば、図8に示すように、支持基板1上で反射性電極3と透明電極2とからなる一対の電極間に挟持された正孔輸送層4と電子輸送性発光層5の界面層から、約10nm程度電子輸送性発光層側の領域6で集中的に発生する(Takuya,Ogawa et al,「IEICE TRANS ELECTRON」Vol.E85−C,No.6,頁1239、2002の報告)。
また、発光領域6で発生する光は全方向に放射される。その結果、図9に示すように、透明電極2側の光取り出し面方向に放射した光と、反射性電極3側に放射し反射されて光取り出し面方向に放射される光に光路差が生じる。
【0010】
図9において、通常、有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送性発光層の厚さは数十〜百数十nmであり、可視光波長のオーダーである。したがって、最終的に外部に出射する光は干渉を起こし、発光領域と反射電極との距離dにより強め合ったり弱め合ったりする。
また、図9では正面方向の放射光のみを記述しているが、実際には斜め方向の光も存在し、距離dと発光波長λによっては、放射光の角度により干渉条件が異なる。その結果、正面方向の光は強め合い、広角度方向の光は弱め合う場合や、その反対の場合が起こりうる。すなわち、発光輝度が視角度により変化する。もちろん、距離dが大きくなると、角度により顕著に光の強度が変化することになる。よって、通常は正面方向の光が互いに強め合うように、距離dが発光波長のおよそ1/4波長の長さとなるように膜厚が設定される。
【0011】
また、距離dが、たとえば50nm程度より薄くなると、通常金属が用いられる反射性電極では、光の吸収が顕著になり、発光強度の低下と強度分布にも影響が現れる。すなわち、有機エレクトロルミネッセンス素子では、発光領域と反射性電極との間の距離dにより、放射光分布が顕著に変化し、前述した導波光成分もそれに伴い大きく変化する。
さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルは、比較的広い波長にわたってブロードな特性をもっている。したがって、距離dにより強め合う波長域が変化する結果、発光ピーク波長が変化する。また、距離dによっては、発光スペクトルも視角度により変化する。
【0012】
これらの問題を解決するため、視角により発光色が異なる現象を抑制するように、膜厚を選定する提案がなされている(特許文献1参照)。しかしながら、導波光に関する記述はなく、この提案で発光色の視角依存性が抑制できる膜厚は、後述する本発明の範囲とは明らかに異なるものである。
【0013】
以上の理由より、発光光のうち約80%は導波光として素子内部に閉じ込められているという古典論的な計算では、積層型の有機エレクトロルミネッセンス素子の外部取り出し効率は正しく見積もれないことになる。すなわち、導波光成分も、素子構成により顕著に変化しているのである。たとえば、M.H.Luらの報告(J.Appl.Phys.,Vol.91,No.2,p.595,2002)によれば、マイクロキヤビティー効果を考慮した量子論的計算手法により素子構成による導波光成分の変化について詳細な研究がなされている。よって、全反射条件を崩すべく光拡散層などを形成しても、古典論から期待されるほどの大きな効果は得られていないのが実情である。
【0014】
一方で、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光光を吸収して、可視光域の蛍光を発する発光性材料をフィルタに用いる色変換方式が提案されている(特許文献2,3参照)。この方式は、発光性材料の種類や添加量、材料の混合比などを調整することで、白色発光をはじめとする任意の可視発光光を取り出すことができる。また、ディスプレイ表示装置においてフルカラー表示を行う場合、通常は画素ごとにそれぞれ赤色、緑色、青色の有機エレクトロルミネッセンス層を形成する必要があるが、上記方式では、画素はすべて同一の有機エレクトロルミネッセンス層として形成し、別途、赤色、緑色、青色の発光性材料を塗り分けたカラーフィルタを用いることで、フルカラー表示が可能となる。カラーフィルタの製造方法は、従来の液晶表示装置用のカラーフィルタで培われた製造技術をそのまま応用でき、製造コストの低減も可能となる。
【0015】
しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス素子の励起光を吸収し、発光性材料が発光する場合、その変換効率による効率低下はもちろんのこと、固体内での発光であるため、その発光光の大部分は導波光として内部に閉じ込められてしまうという状況は同じである。これに対して、発光性材料を分散させた領域にそのマトリックスとは屈折率の異なる粒子を分散させたり、発光性材料の上部に光拡散層やレンズシートを形成するという従来の技術を用いることで、ある程度、導波光を外部に取り出すことは可能である。
【0016】
このように、従来技術では色変換方式により任意の可視光発光が得られるという特徴を生かしつつ、素子構成による導波光成分の変化について詳しく研究し、その上で外部取り出し効率の向上に注目して詳細に検討した報告は、これまでになされておらず、上記検討に基づいた高効率の有機エレクトロルミネッセンス素子の出現が強く切望されているのが現状である。
【0017】
【特許文献1】
特開平5−3081号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開平3−152897号公報(第1〜3頁)
【特許文献3】
特開平5−258860号公報(第1〜3頁)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に照らし、有機エレクトロルミネッセンス素子において、従来、素子内部に導波光として閉じ込められていた損失光を効率良く取り出し、かつ色変換方式により任意の発光光を取り出すことのできる高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的としている。また、本発明は、この有機エレクトロルミネッセンス素子を使用した高効率で消費電力の低い面光源および表示装置を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、まず、以下のような知見を得た。この知見について、図7を用いて説明する。
図7は、前記の図8に示した2層型の有機エレクトロルミネッセンス素子に関して、その発光領域6からの発光光が外部に出射される場合の模式図を、上半球面のみについて、示したものである.実際には、反射性電極3方向の発光光も存在するが、ここでは省略している。
この図7において、支持基板(ガラス基板)1の屈折率と空気層の屈折率差により決まる臨界角は約40度である。すなわち、40度より大きな角度の光は、ガラス/空気界面で全反射し、導波光として素子内部に閉じ込められる。紙面上では40度/90度、すなわち、45%近くの光は、外部に出射するように見えるが、実際の発光は全方位に放射される。したがって、立体角の関係から、より広角度の成分になるほどその光量は大きくなる。上述の古典論的計算で発光効率が20%以下と算出されるのはそのためである。
【0020】
このように放射される発光光に対し、支持基板(ガラス基板)1上に発光性材料を含ませた色変換層を設けて、この層に入射させるようにすると、発光性材料は、上記の発光光を励起光源として吸収し、蛍光発光または燐光発光する。この蛍光発光または燐光発光の発光色は、使用する発光性材料の種類を変えることにより任意に選択することができ、複数の発光性材料を用いて、その添加量を調整することにより、白色発光を得ることも可能である。
ここで、発光性材料を含ませた色変換層が光の反射・屈折角に乱れを生じさせることのない通常の領域からなる場合、その発光光が空気層界面で全反射を受け導波光として失われるという状況はなんら変わらない。
【0021】
しかしながら、本発明者らは、上記の色変換層を、とくに光散乱性色変換層で構成して、光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域としたときに、励起発光光が外部に出射するまでの過程で光散乱を受け、光の伝送角が変化し、本来は素子内部に閉じ込められる広角度の光も全反射条件を外れ、外部に出射できるようになり、また全反射条件となるように散乱を受けた光は、空気界面で全反射して、素子内部に戻され、再度散乱を受けるうちに、その伝送角が全反射条件を外れ、最終的に外部に出射されるようになることを見い出した。
【0022】
一方、実際の有機エレクトロルミネッセンス素子では光の干渉効果が起こる。これに対して、従来技術では、外部に出射できる正面方向の光が強め合うように素子構成を決定するのが普通であり、この場合、導波光は逆に弱め合うように干渉する。しかしながら、本発明者らは、上記従来とは異なり、わざと正面方向の光は弱めあい、通常は導波光として素子内部に閉じ込められる広角度成分の光を強め合うように素子構成を決定し、立体角の関係上、大部分の光量が分布する広角度の光を増幅し、この光を上記した光散乱性色変換層に入射させるようにすると、その発光効率が著しく高められることがわかった。
【0023】
このように、通常の有機エレクトロルミネッセンス素子では発光効率がかえって低下する素子構成を形成した上で、光散乱性色変換層を設けるようにすると、励起光である有機エレクトロルミネッセンス発光を最大限に利用して、その励起発光光を効率良く外部に取り出すことができ、最終的に高効率の有機エレクトロルミネッセンス素子が得られることを見い出した。
また、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子では、その最大の欠点として微量の湿気や酸素により素子が劣化し、発光効率の低下はもちろん、微小な欠陥を起点にダークスポットが発生する問題があった。しかし、この問題も、上記本発明者らの素子構成により、回避できることがわかった。
【0024】
ダークスポットに関しては、たとえば、J.McElvainらによる報告(J.Appl.Phys.,Vol.80,No.10,p.6002,1996)などに詳細に記載されており、これを防止するため、通常は、素子を完全に封止するようにしているが、これでもダークスポットの発生を完全に防止することは容易でなかった。このダークスポットは、面光源としての外観、視認性を著しく低下させる原因となる。しかるに、本発明者らによる上記の素子構成では、多少のダークスポットが発生しても、最終的に観測者側に出射する光は、光散乱性色変換層内に分散された発光性材料の励起発光光が大部分であり、しかもこれらは幾度も散乱されて外部に出射するため、ダークスポットの発生による視認性の低下はほとんど気にならなくなるという効果も奏される。
【0025】
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。

すなわち、本発明は、発光層を含む少なくとも1層の有機層とこれを挟持する反射性電極と透明電極とからなる一対の電極が、光取り出し面から観測者側に放射される発光光の正面輝度値と50度〜70度方向の輝度値が、式(1);正面輝度値<50度〜70度方向の輝度値、の関係を満たすように形成されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光光が発光層から透明電極を介して観測者側に出射するまでの間に空気層を介することなく光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設け、この領域内またはこの領域と発光層との間に、発光層から放射される発光光を励起光源として吸収し、蛍光発光または燐光発光する少なくとも1種の発光性材料を含ませてなり、かつ上記の光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域は、透明材料中にこれとは屈折率の異なる透明材料または不透明材料を分散分布させた光拡散性部位からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に有機EL素子という)に係るものである。

また、本発明は、上記有機EL素子のとくに好ましい態様として、正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との距離をd(nm)、発光層に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ(nm)、発光層と反射性電極との問の有機層の屈折率をnとしたときに、式(2);(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係を満たす有機EL素子に係るものである。
【0026】
また、本発明は上記各構成の有機EL素子を具備することを特徴とする面光源に係るものであり、また上記各構成の有機EL素子を具備することを特徴とする表示装置に係るものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参考にして、説明する。
図1は、本発明の2層型の有機EL素子の一例を示したものである。この素子は、基本構成として、支持基板1上に透明電極2、正孔輸送層4、電子輸送性発光層5および反射性電極3が順次積層された構成を有している。つまり、正孔輸送層4および電子輸送性発光層5からなる有機層が透明電極2と反射性電極3とからなる一対の電極間に挟持された構成を有しており、動作時には正孔輸送層4と電子輸送性発光層5の界面層から約10nm程度電子輸送性発光層側の領域で再結合が生じ、図示される発光領域6で集中して発光が生じる。
なお、この2層型とは異なる、たとえば正孔輸送層/発光層/電子輸送層の3層型の有機EL素子では、電極間に電圧を印加すると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が注入され、これらがそれぞれのキャリア輸送層を移動し発光層にて再結合して励起子が発生し、上記同様にEL発光が生じる。
【0028】
また、本発明では、上記の基本構成として、とくに、正面方向の発光光は弱め合うが、素子内部に閉じ込められる導波光は強め合うような構成とされている。このことを、図2の特性図を用いて、説明する。
図2は、上記の基本構成のみからなる(後述する反射・屈折角に乱れを生ずる領域である光散乱性色変換層を設ける前の)有機EL素子の輝度の角度分布を、正面0度から80度まで、10度おきに測定した特性図を示したものである。図中、曲線−aは本発明のもの、曲線−bは従来のものである。なお、輝度値は、正面0度での輝度値を1とした相対値で示している。
ただし、基本構成中、透明電極2の厚さは100nm、正孔輸送層4の厚さは40nmであり、電子輸送性発光層5の厚さは、95nm(本発明のもの)および60nm(従来のもの)となっている。また、素子に流す電流は上記本発明のものと従来のものとで同じとなるように電圧を印加して測定してある。
【0029】
この図2から、従来のものは、正面輝度値つまり正面0度方向の輝度値が高く広角度になるほど輝度値が低下しているのに対し、本発明のものは、正面輝度値が低く広角度になるほど輝度値が高くなる特性を示している。つまり、本発明のものは、輝度の角度依存性において、式(1);正面輝度値<50度〜70度方向の輝度値、の関係を満たすように構成されている。
なお、この関係は、上記の例では、電子輸送性発光層5の厚さの違いにより、達成しているが、発光層5を含む有機層と一対の電極との材料や厚さなどを適宜選択することにより、任意に達成できるものである。
【0030】
また、本発明のさらに好ましい態様として、正孔と電子の再結合発光領域6の中心部と反射性電極3との距離をd(この例では、電子輸送性発光層5の厚さにほぼ近似する)、発光層(この例では、電子輸送性発光層5)に使用している材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ、発光層と反射性電極3の間の有機層(この例では、電子輸送性発光層5)の屈折率をnとしたときに、式(2);(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係を満たすように、構成されているのがとくに望ましい。
たとえば、上記の例で、電子輸送性発光層5の蛍光発光のピーク波長が450nmの青色光であり、その屈折率が1.65であれば、上記距離dは81.8〜136.4nmの範囲となるようにされているのが、望ましい。
【0031】
本発明においては、このように式(1)を満たし、また好ましくは式(2)を満たす基本構成を作製したうえで、さらに発光層と観測者側の出射媒質との間に空気層を介することなく光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域7を設け、かつこの領域7内に発光層から放射される発光光を励起光源として吸収し、蛍光発光または燐光発光する少なくとも1種の発光性材料8を含ませて、この領域7を光散乱性色変換層としたことを特徴としている。
【0032】
このように構成すると、発光層から放射される発光光のうち、紙面上半球の光は透明電極および支持基板を通過して上記の光散乱性色変換層に入射し、下半球の光は反射性電極で反射されたのち同様に光散乱性色変換層に入射する。この過程において、屈折率の低い空気層(屈折率=1)が介在しないため、発光光は、全反射を受けることなく、光散乱性色変換層に入射できる(透明電極や支持基板の屈折率によっては一部の光が全反射される場合はある)。
【0033】
このように入射した光は、この層中の発光性材料の励起光源として作用して、発光性材料に吸収される。その結果として、この発光性材料は、蛍光発光または燐光発光する。その際、励起光は全反射による光の損失が最小限に抑えられる。また、上記の蛍光発光または燐光発光の発光色は、発光性材料の種類を変えることにより、任意に選択することができ、複数の発光性材料を用いてその添加量を調整することにより、白色発光を得ることもできる。
【0034】
また、励起発光光は外部に出射するまでの過程で光散乱を受け、光の伝送角が変化し、本来は素子内部に閉じ込められる広角度の光も全反射条件を外れ、外部に出射できるようになる。また、全反射条件となるように散乱を受けた光は、空気界面で全反射して素子内部に戻され、再度散乱を受けるうちに、その伝送角が全反射条件を外れ、最終的に外部に出射される。
また、既述のとおり、有機EL素子の基本構成として、発光層から放射される正面方向の光はわざと弱めあい、通常は導波光として素子内部に閉じ込められる広角度成分の光を強め合う構成として、大部分の光量が分布する広角度の光を増幅したうえで、光散乱性色変換層に空気層を介することなく入射させるようにしているため、上記のように最終的に外部に取り出される励起発光光は、その発光効率が、従来に比べて、非常に高いものとなる。
【0035】
本発明において、光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域7は、基本的に、全反射角以上の角度にある光の伝送角を効率良く全反射角以下の伝送角に乱すことができ、素子内部に閉じ込められている導波光をより多く外部に出射できるように形成されておればよく、その形成方法について、とくに限定はない。従来より提案されているものをそのまま応用できる。
【0036】
たとえば、図1に示すように透明材料中にこれとは屈折率の異なる透明材料または不透明材料を分散分布させた光拡散性部位を形成すればよい。具体的には、ガラスやポリマー中に、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、プラスチック粒子、液晶粒子、気泡などを分散分布させたものなどがある。
これらの屈折率および屈折率差や粒子の粒径などにとくに限定はないが、光散乱を生じさせるという観点から、粒径は0.1μm〜10μm、屈折率差は0.05以上であることが好ましい。
【0037】
また、レンズ構造も好適に用いることができる。レンズ構造とは同心円状、互いに平行な複数本の線状、格子状などに配列ないし形成された複数のレンズ、プリズム、V字溝などによって、直進する光の方向を変化させる薄型板状透明物質を意味する。具体例としては、レンティキュラーレンズシート、フレネルレンズシート、コーナーキューブレンズシート、ハエの目レンズシート、猫の目レンズシート、二重ハエの目レンズシート、二重レンティキュラーレンズシート、放射状レンティキュラーレンズシート、プリズムレンズフィルム、マイクロプリズムレンズフィルムなどや、これらのレンズシートの凸面を凹面に変えてなるレンズシート、透明球または半透明球を面状に並べたものなどが挙げられる。また、V字溝などの溝を彫ることによって光の方向を変化させたものでもよい。レンズシートの材質はガラスであってもよいし、樹脂であってもよい。
【0038】
また、支持基板表面または各界面に物理的な凹凸面を形成してもよい。具体的には、支持基板表面を艶消し処理したり、有機層(ポリマー層)表面に周期的な凹凸構造を熱転写するなどして、形成することができる。
【0039】
本発明において、上記光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域7の形成位置についても限定はなく、任意の位置に形成できる。
たとえば、支持基板1の表面に粘着剤や接着剤を介して拡散フィルムを貼り合わせたり、支持基板1自体に光拡散性を持たせてもよく、また透明電極2と支持基板1の間に形成してもよい。発光面積が比較的大きい照明用途に用いる場合、基板表面に形成すればよいが、表示装置のように発光面積が小さくなる場合は、発光層と反射・屈折角に乱れを生じさせる領域との伝送距離による視差を低減するため、できるだけ発光層近傍に形成するのが好ましい。
【0040】
また、本発明において、発光性材料8は、図1に示すように、支持基板1上の光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域7の内部に設けて、光散乱性色変換層を構成させるほか、上記領域7と発光層との間の任意の位置に、光散乱性のない色変換層として設けることができる。発光性材料は、これらの色変換層中に均一に溶解または分散されているのが望ましい。
【0041】
図3および図4は、上記の例を示したものである。図3は、支持基板1と光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域7との間に、発光性材料8を含有する色変換層を設けたものであり、図4は、支持基板1中に発光性材料8を含有させて、この基板1自体を色変換層としたものである。両図において、他の構成は、図1と同じてあり、図1と同一番号を付して、その説明を省略する。これらの構成によっても、前記の場合と同様の効果が奏される。
【0042】
また、発光性材料は、光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域7の内部と、上記領域7と発光層との間の任意の位置との両方に、含ませてもよいし、異なる発光性材料を別々に含ませてもよい。さらに、異なる発光性材料を含ませた層を積層構成として形成するなど、その実施形態は任意である。たとえば、積層構成のものを、透明性樹脂に発光性材料を分散させたフィルムを貼り合わせて形成したり、溶剤で溶解させたものを塗布して形成してもよい。また、これらの各層は直接積層してもよいし、透明粘着剤や接着剤を介して貼り合わせてもよい。さらに、粘着剤や接着剤に発光性材料を含ませることもできる。
【0043】
本発明において、発光性材料には、紫外線または可視光線を吸収して、可視光領域の波長の光を発光する材料であれば、とくに制限はない。励起1重項からの発光である蛍光や3重項からの発光である燐光などを放射する、有機染料や無機顔料などが用いられる。発光波長として青色、緑色、赤色の材料を単独または混合して用いることが望ましい。たとえば、有機蛍光染料の例としては、下記の青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体などが挙げられる。
【0044】
青色蛍光体は、溶液状態での蛍光ピーク波長が380nm以上、480nm未満である有機化合物であれば、とくに制限はないが、たとえば、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体およびトリススチリルアリーレン誘導体の中から選ばれる、少なくとも1種を含有させるのが望ましい。その他の青色蛍光体としては、アントラセン、ベリリン、コロネンなどの多環芳香族やそのアルキル置換体が挙げられる。
【0045】
緑色蛍光体は、溶液状態での蛍光ピーク波長が480nm以上、580nm未満である有機化合物であれば、とくに制限はない。具体的には、3−(2′−ベンジミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン535)、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン540)、2,3,5,6,−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン(クマリン540A)、3−(5−クロロ−2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン34)、4−トリフルオロメチル−ピペリジノ[3,2−g]クマリン(クマリン340)、N−エチル−4−トリフルオロメチル−ピペリジノ[3,2−g]クマリン(クマリン355)、N−メチル−4−トリフルオロメチル−ピペリジノ[2,3−h]クマリン、9−シアノ−1,2,4,5−3H,6H,10H−テトラヒドロ−1−ベンゾピラノ[9,9al−gh]キノリジン−10−オン(クマリン377)などのクマリン化合物、2,7−ジクロロフルオレセンなどのキサンチン色素、テトラセン、キナクリドン化合物などが挙げられる。
【0046】
赤色蛍光体としては、溶液状態でのピーク波長が580nm以上、650nm以下である有機化合物であれば、とくに制限はない。具体的には、ヨーロッパ公開特許第281381号公報に記載されている赤色発振レーザー色素として用いられるジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、フルオレセイン誘導体、ペリレン誘導体などが挙げられる。
【0047】
これらの発光性材料は、色変換層を構成する樹脂材料などに対して、0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜5モル%の割合で含ませればよい。この量は、濃度消光を生じないための濃度範囲である。
なお、発光性材料に有機EL素子からの励起光をすべて吸収させることなく、その一部を吸収させてより長波長の色に変換させ、吸収されなかった励起光源はそのまま外部に出射させてもよい。たとえば、励起光に青色を用い、黄色に発光する有機染料を適量添加することで、また緑色と赤色に発光する有機染料を適量添加することで、いずれも、白色を得ることができる。これらの量は、励起発光の発光スペクトル、有機染料の吸収スペクトル、赤外スペクトルなどから、目的の発光色が得られるように、適宜、濃度調整すればよい。
【0048】
本発明の有機EL素子において、基本構成となる有機材料、電極材料、層構成や各層の膜厚に関してはとくに限定はなく、従来技術をそのまま適用することができる.有機層は低分子系材料を真空蒸着して形成してもよいし、高分子系材料を塗布法などにより形成してもよく、とくに制限はない。
【0049】
具体的な構成として、前記した2層型の有機EL素子である陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/陰極のほか、3層型の有機EL素子である陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、これらの積層型素子とは異なる陽極/発光層/陰極などの種々の構成を選択でき、とくに限定はない。
陽極界面に正孔注入層や陰極界面に電子注入層を設けたり、再結合効率を高めるための電子ブロック層、正孔ブロック層を挿入した構成としてもよい。基本的には、発光効率がより高くなる構成、材料、形成方法を選択すると、少ない消費電力で強度のEL発光が得られ、本発明の効果をより高められる。
もちろん、発光層は発光性材料の励起光として効率良く機能するようにその材料が選択され、基本的には、紫外もしくは青色発光材料が用いられるが、これらは励起光と発光性材料との特性により、適宜選択すればよい。
【0050】
電極材料も、適宜最適なものを選択できる。通常の有機EL素子において、陽極には酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫などの透明導電膜が用いられ、陰極にはMgとAgをおよそ10:1の原子比で共蒸着したものや、Ca電極、Liを微量ドープしたAl電極などが陰極の低仕事関数化による電子注入効率向上の観点から応用されているが、とくに限定されるものではない。
【0051】
本発明に用いられる支持基板としては、透明性の有無に関わらず、一般的なものを使用できる。ガラス基板を用い、発光を透明電極を介してガラス基板側に取り出す方法のほかに、不透明な金属板を支持基板に用い、基板とは逆の方面から光を取り出すような構成としてもよい。
また、陽極を透明電極とする以外に、たとえば陰極として有機層界面から厚さ数nm〜十数nmの透光性を維持できる薄さの金属電極を形成し、その後、ITOを形成するなどして、陰極を透明電極としてもよい。もちろん、ポリマーフィルムのように可撓性のある材料を基板に用いてもよいし、基板自体に光の反射・屈折角に乱れを生じされる領域を形成したものであってもよい。さらに、既述のとおり、基板中に発光性材料を分散させることもできる。
【0052】
なお、図1、図3および図4においては、光の反射・屈折角に乱れを生じされる領域や色変換層を、直接、支持基板や透明電極上に形成しているが、透明な粘着剤や接着剤を介して、貼り合わせてもよい。その際、有機EL素子の発光光を極力全反射により失わないように、各層の屈折率を考慮して、これらの粘着剤や接着剤の屈折率を調整することが望ましい。
【0053】
たとえば、図1において、光の反射・屈折角に乱れを生じされる領域7に発光性材料8を含ませた光散乱性色変換層を、支持基板(ガラス基板)1上に粘着剤を用いて貼り合わせる場合、この粘着剤の屈折率は、ガラス基板の屈折率より高くかつ光散乱性色変換層の屈折率より小さくするのが望ましい。これによりガラス基板/粘着剤および粘着剤/光散乱性色変換層の界面で全反射が起こらず効率良く光拡散性色変換層に励起光を入射させることができる。ただし、必ずしも、粘着剤の屈折率が上記関係を満足していなくても、屈折率差が0.1程度かそれ以下であれば、本発明の効果を著しく低下させる心配はない。
【0054】
本発明においては、このような構成からなる有機EL素子を発光素子として具備することを特徴とする面光源と、さらに上記有機EL素子を発光素子として具備することを特徴とする表示装置を、提供できる。これらにより、発光効率が高く消費電力の低い面光源および表示装置を提供できるものである。
【0055】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。

なお、以下に記載の「実施例1,2」のうち、「実施例1」が特許請求の範囲に含まれる本発明の有機EL素子の例を示したものであり、「実施例2」は特許請求の範囲に含まれない参考例としての有機EL素子の例を示したものである。
【0056】
実施例1
<有機EL素子の基本構成の作製>
ガラス基板の片面側に、ITOセラミツクターゲット(In2 3 :SnO2 =90重量%:10重量%)から、DCスパッタリング法にて、厚さ100nmのITO膜を形成し、透明電極(陽極)を形成した。
その後、フォトレジストを用いて、ITOをエッチングすることにより、発光面積が15mm×15mmとなるようにパターンを形成した。超音波洗浄を行ったのち、低圧紫外線ランプを用いてオゾン洗浄した。
【0057】
つぎに、励起光として青色発光を用いるため、文献〔Junji.Kido et al.,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.32,Part.2,No.7A,L917〜L920(1993)〕に記載されている方法を、参考にして、ITO面上に、真空蒸着法により、有機層を順次形成した。
まず、正孔注入層として、式(3)で表されるCuPcを、蒸着速度0.3nm/sで、15nmの厚さに形成した。つぎに、正孔輸送性青色発光層として、式(4)で表されるTPDを、蒸着速度0.3nm/sで、40nmの厚さに形成した。ついで、正孔ブロック層として、式(5)で表されるTAZを、蒸着速度0.3nm/sで、15nmの厚さに形成した。最後に、電子輸送層として、式(6)で表されるAlqを、蒸着速度0.3nm/sで、90nmの厚さに形成した。
【0058】
その後、Mgを1nm/s、Agを0.1nm/sの蒸着速度にて共蒸着し、厚さ100nmのMgAgを形成後、MgAgの酸化防止の観点から、さらに、その上にAgを50nm形成して、反射性電極(陰極)とした。
真空蒸着装置から取り出したのち、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、十分にエポキシ樹脂が広がった時点で高圧紫外線ランプを用いてエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。
【0059】
【化1】
Figure 0004406213
【0060】
このように作製した反射・屈折角に乱れを生じさせる領域(光散乱性色変換層)を形成する前の有機EL素子について、13Vの直流電圧を印加したところ、13.5mA/cm2 の電流密度で素子に電流が通じ、発光が観測された。発光色は青色がかった白色をしており、ガラス基板の側面にみられる素子内に閉じ込められた導波光成分は青色であり、非常に強いものであった。
図5に示すように、市販の輝度計(トプコン社製の品名「BM9」)を用い、θ方向の素子の輝度を、0度〜80度方向まで、10度おきに測定した。正面0度の輝度値が1となるように規格化し、その角度分布を調べた。
結果は、0度:1.00に対し、10度:1.03、20度:1.06、30度:1.12、40度:1.15、50度:1.18、60度:1.21、70度:1.21、80度:1.15、となった。
【0061】
この結果から、上記の有機EL素子は、本発明の式(1)の関係を十分に満たすものであった。また、この素子において、正孔と電子の再結合は、ほぼTAZとTPDの界面のTPD側で起こる。よって、本発明にいう正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との距離dはおよそ105nmであった。
また、ガラス基板上に蒸着したTPD薄膜の蛍光スペクトルのピーク波長λはおよそ450nmであった。また、分光エリプソメータを用いて測定したTPD薄膜の屈折率nはおよそ1.68であった。よって、上記の有機EL素子は、本発明の式(2)の関係も満足するものであった。
【0062】
<光散乱性色変換層(反射・屈折角に乱れを生じさせる領域に発光性材料を含ませた層)の形成>
緑色蛍光染料として、BASF社製の「LumogenF Yellow−083」をジクロロメタンに0.2重量%の濃度で溶解させた。また、赤色蛍光染料として、BASF社製の「LumogenF Red−305」をジクロロメタンに0.15重量%の濃度で溶解させた。これらの溶液を10gづつ等量混合し、その溶液中にマトリックス樹脂としてポリメタクリル酸メチルを6.5g、拡散粒子としてアルミナ微粒子(昭和電工社製の「UA−5035」、平均粒径0.9μm)を1.3g、加えて、十分に撹拌した。
この溶液を、剥離剤で処理したポリエチレンテレフタレートフィルムからなる厚さが50μmのセパレータ上に、アプリケータを用いて、キャスティングし、十分に乾燥したのち、キャストフィルムをセパレータから剥離して、厚さが55μmの光散乱性色変換層とした。
【0063】
つぎに、前記のように作製した有機EL素子のガラス基板表面上に、上記の光散乱性色変換層を、アクリル系透明粘着剤を介して貼り合わせ、目的とする有機EL素子を作製した。この素子に前記同様に13Vの電圧を印加して、13.5mA/cm2 の電流密度で素子に電流を通じたところ、白色発光が得られた。図6に、光散乱性色変換層形成前後の発光スペクトルを示した。図中、曲線−cは光散乱性色変換層形成前、曲線−dは光散乱性色変換層形成後、である。
【0064】
比較例1
電子輸送層として、式(6)で表されるAlqを45nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、基本構成としての有機EL素子と、これに光散乱性色変換層を形成した有機EL素子を作製した。
この光散乱性色変換層の形成前後の有機EL素子に対して、8.3Vの電圧を印加し、同様に10.5mA/cm2 の電流密度で素子に電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。
【0065】
光散乱性色変換層形成前の有機EL素子は、発光色および導波光ともに青色であり、実施例1に比べて、導波光成分の強度は弱かった。また、θ方向の輝度分布は、0度:1.00に対し、10度:1.00、20度:0.93、30度:0.93、40度:0.89、50度:0.89、60度:0.79、70度:0.79、80度:0.71、となった。
この結果から、光散乱性色変換層形成前のθ方向の輝度分布は、本発明の式(1)の関係を満足しなかった。また、Alq層とTAZ層の合計厚さ60nmという値も、本発明の式(2)の関係を満足しなかった。
光散乱性色変換層形成後の有機EL素子では白色発光が得られた。図10に、光散乱性色変換層形成前後の発光スペクトルを示した。図中、曲線−eは光散乱性色変換層形成前、曲線−fは光散乱性色変換層形成後、である。
【0066】
比較例2
電子輸送層として、式(6)で表されるAlqを140nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、基本構成としての有機EL素子と、これに光散乱性色変換層を形成した有機EL素子を作製した。
この光散乱性色変換層の形成前後の有機EL素子に対して、18.2Vの電圧を印加し、同様に10.5mA/cm2 の電流密度で素子に電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。
【0067】
光散乱性色変換層形成前の有機EL素子は、発光色および導波光ともに青色であり、実施例1に比べて、導波光成分の強度は弱かった。また、θ方向の輝度分布は、0度:1.00に対し、10度:0.95、20度:0.86、30度:0.77、40度:0.71、50度:0.63、60度:0.56、70度:0.52、80度:0.45、となった。
この結果から、光散乱性色変換層形成前のθ方向の輝度分布は、本発明の式(1)の関係を満足しなかった。また、Alq層とTAZ層との合計厚さ155nmという値も、本発明の式(2)の関係を満足しなかった。
光散乱性色変換層形成後の有機EL素子では、白色発光が得られた。
【0068】
つぎに、上記の実施例1および比較例1,2の各有機EL素子について、光散乱性色変換層形成後のθ方向の角度での実際の輝度値とさらに全光量を調べた。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。
【0069】
表1
Figure 0004406213
【0070】
上記の結果から明らかなように、本発明の実施例1の有機EL素子は、同じ素子電流(10.5mA/cm2 )を通じた状態において、比較例1,2の有機EL素子に比べて、輝度および全光量ともに大きく、単位電流あたりの発光効率にすぐれていることがわかる。
また、実施例1の有機EL素子は、光散乱性色変換層形成前では、比較例1,2の有機EL素子とは異なり、正面より広角度になるほど輝度が大きい傾向を示していたが、光散乱性色変換層形成後は、比較例1,2の有機EL素子とほぼ同様に、正面より広角度になるほど輝度が低下する傾向を示した。
【0071】
さらに、光散乱性色変換層形成前の発光強度は、実施例1の有機EL素子よりも、比較例1,2の有機EL素子の方が大きかったが、光散乱性色変換層形成後の発光強度は、上記と逆の結果となり、比較例1,2の有機EL素子よりも、実施例1の有機EL素子の方が大きくなった。
この結果は、実施例1では、正面輝度は低下するが、本来素子内部に閉じ込められて取り出すことのできない導波光成分を強め合うような基本構成として、これに空気層を介することなく光散乱性色変換層を形成したことにより、増強された導波光が全反射されることなく光散乱性色変換層に入射し、蛍光染料の励起光源として有効に利用されたことに基づくものである。
【0072】
実施例2
実施例1において、光散乱性色変換層を形成する際に、拡散粒子を使用せず、光散乱性のない透明な蛍光フィルム(単なる色変化層)を作製した。この蛍光フィルムを、有機EL素子のガラス基板上に透明粘着剤を介して貼り合わせ、この上にさらに、反射・屈折角に乱れを生じさせる領域として、三角錐が多数配置されたコーナーキュープレンズシートを、透明粘着剤を介して貼り合せるようにした以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0073】
比較例3
電子輸送層として、式(6)で表されるAlqを45nmの厚さに形成した以外は、実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
【0074】
上記の実施例2および比較例3の有機EL素子について、それぞれ、10.5mA/cm2 の電流密度で素子に電流を通じたときの輝度の角度分布を測定し、全光量を求めた。その結果、実施例2の有機EL素子では243(lm/m2 )、比較例3の有機EL素子では159(lm/m2 )となり、本発明の素子構成とすることにより、発光効率が高められることが確認された。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明の有機EL素子は、白色LEDに応用されているように励起光源に青色、紫外光などの短波長の発光素子を用い、その励起光源を適宜の発光性材料で色変換する方式と同様に、発光性材料の添加量を調整するだけで、容易に白色をはじめとした任意の発光色を得ることができる。そればかりか、色変換層を形成する前は発光効率は低いが、本来素子内部に閉じ込められる導波光成分を増幅するように工夫しているため、空気層を介することなく色変換層を形成することで、立体角的に光量の多い増強された導波光成分がそのまま色変換層に入射し、これに分散された発光性材料の励起光源として有効に働く。
【0076】
しかも、色変換層自体またはそれより出射面側を光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域とすることにより、励起発光した発光光が空気層界面で全反射し、導波光として内部に閉じ込められるのを抑制し、光の利用効率が損なわれないように工夫されているため、発光効率にすぐれた有機EL素子を提供することができる。このように有機EL素子の発光効率が向上することで、同じ明るさを得るために必要な駆動電流を小さくでき、素子の長寿命化につながる。また、励起光源にEL発光光を用い、間接的に発光性材料を発光させ、しかも散乱させて外部に出射させるので、有機EL素子で問題となる素子劣化に伴うダークスポットの影響がほとんど現れなくなるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。
【図2】本発明および従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の基本構成についての(光散乱性色変換層を形成する前の)特性図である。
【図3】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の別の例を示す断面図である。
【図5】実施例1の有機エレクトロルミネッセンス素子の特性の説明図である。
【図6】実施例1の有機エレクトロルミネッセンス素子の光散乱性色変換層を形成する前および後の発光スペクトルを示す特性図である。
【図7】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の原理説明図である。
【図8】有機エレクトロルミネッセンス素子の発光領域を示す説明図である。
【図9】有機エレクトロルミネッセンス素子の輝度についての説明図である。
【図10】比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子の光散乱性色変換層を形成する前および後の発光スペクトルを示す特性図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 透明電極(陽極)
3 反射性電極(陰極)
4 正孔輸送層
5 電子輸送性発光層
6 発光領域
7 反射・屈折角に乱れを生じさせる領域
8 発光性材料

Claims (4)

  1. 発光層を含む少なくとも1層の有機層とこれを挟持する反射性電極と透明電極とからなる一対の電極が、光取り出し面から観測者側に放射される発光光の正面輝度値と50度〜70度方向の輝度値が、式(1);正面輝度値<50度〜70度方向の輝度値、の関係を満たすように形成されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光光が発光層から透明電極を介して観測者側に出射するまでの間に空気層を介することなく光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設け、この領域内またはこの領域と発光層との間に、発光層から放射される発光光を励起光源として吸収し、蛍光発光または燐光発光する少なくとも1種の発光性材料を含ませてなり、かつ上記の光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域は、透明材料中にこれとは屈折率の異なる透明材料または不透明材料を分散分布させた光拡散性部位からなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との距離をd(nm)、発光層に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ(nm)、発光層と反射性電極との問の有機層の屈折率をnとすると、式(2);(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係を満たす請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする面光源。
  4. 請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする表示装置。
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