JP4398325B2 - 四輪駆動車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動力の主駆動輪および副駆動輪への配分を制御する四輪駆動車両の駆動力制御装置に関する。
従来の四輪駆動車両の駆動力制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この四輪駆動車両(以下、単に「車両」という)では、エンジンおよびトランスミッションなどを有するパワープラントのトルクは、その出力軸から前輪用および後輪用のプロペラシャフトを介して、前輪および後輪にそれぞれ伝達される。また、出力軸と後輪用のプロペラシャフトの間には油圧式のクラッチが設けられており、駆動力制御装置は、このクラッチの締結力を制御することにより、後輪に伝達されるトルク、すなわち前輪および後輪に伝達されるトルクの配分を制御する。
また、この駆動力制御装置では、速度差センサによって前後のプロペラシャフトの回転速度差を検出するとともに、検出された回転速度差に応じて、後輪に伝達すべきトルクの目標値を設定する。制御装置の制御ユニットには、この目標値を設定するための互いに異なる3種類の制御特性(ドライ,ウェット,スノウ)が記憶されており、これらの中から、運転者による選択スイッチの操作に応じて、いずれか1つの制御特性が選択される。制御装置は、選択されている制御特性に基づき、回転速度差に応じて、後輪へのトルクの目標値を設定し、クラッチの締結力を制御することにより、後輪への伝達トルクを設定した目標値に制御する。その際、路面抵抗のばらつきの影響により、回転速度差が、第1所定値を下回った状態、または第1所定値よりも大きな第2所定値を上回った状態が、所定時間以上、継続したときには、選択中の制御特性を他の制御特性に変更することにより、後輪への伝達トルクの目標値を変更する。それにより、後輪への伝達トルクが増減されるので、路面抵抗の大小に応じた適正なトルクが後輪に伝達され、前輪および後輪へのトルク配分を適正に行うことができる。
しかし、前述した特許文献1の駆動力制御装置では、路面状態が一様でなく、車輪ごとの路面抵抗にばらつきがある路面(以下「スプリット路」という)において、以下の理由から車両を安定して発進させることが困難な場合がある。
制御特性が水平路に適するように設定されている場合、水平路で車両を発進させる際、例えば、前輪側の路面抵抗が小さく、前輪がスリップ状態であったとしても、前後の回転速度差から後輪へのトルク配分が増大されることにより、スムーズに発進することができる。しかし、登坂路において車両を発進させる際に前輪がスリップ状態であるときには、水平路に適した制御特性では、後輪へのトルク配分量が不足することがあり、安定した発進を行えないおそれがある。
逆に、制御特性が登坂路に適するように設定されている場合、登坂路での車両の発進はスムーズに行えるものの、水平路において車両を発進させる際、前輪がスリップ状態であるときに、後輪へのトルク配分が過大になることにより、後輪が横滑りを起こすことがあり、安定した発進を行えないおそれがある。また、上記のようなスリップを伴う発進の際、選択中の制御特性が他の制御特性に変更され、それに応じて後輪へのトルク配分が変更されたとしても、制御特性が切り換わるときにトルク段差が生じることにより、やはり車両を安定して発進させることができないおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、路面の状態や傾斜の有無にかかわらず、車両を安定して発進させることができる四輪駆動車両の駆動力制御装置を提供することを目的としている。
特公平8−19981号公報 (第2〜4頁、第2,4,5図)
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、原動機(実施形態における(以下、本項において同じ)エンジン3)の駆動力を、左右の主駆動輪W1,W2に直接、伝達するとともに、左右の副駆動輪W3,W4にクラッチ(左右の電磁クラッチ10,10)を介して伝達する四輪駆動車両の駆動力制御装置1であって、主駆動輪W1,W2および副駆動輪W3,W4の各車輪の回転速度VW1〜VW4を検出する回転速度検出手段(回転速度センサ25)と、検出された主駆動輪と副駆動輪との回転速度の差(前後輪間速度最大偏差VW_ERR)に応じて、クラッチの締結力(補正前発進時LSDトルクTTLSD4)を設定する締結力設定手段(2/4WD・ECU11,図11のステップ51)と、検出された車輪の回転速度VW1〜VW4の少なくとも1つが所定の回転速度(所定速度♯VWSTN)以下のときに、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定するスリップ停車状態判定手段(2/4WD・ECU11,図15のステップ80)と、スリップ停車状態判定手段によって四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたときに、締結力設定手段により設定されたクラッチの締結力を補正することによって、発進時トルク制御を実行する締結力補正手段(2/4WD・ECU11,図11のステップ63)と、発進時トルク制御の実行中、発進時トルク制御が開始されてからの経過時間を計時する計時手段(2/4WD・ECU11,図11のステップ53,発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2)と、を備え、締結力補正手段は、四輪駆動車両2が、停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されてから、停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定されるまでの間、計時された経過時間が長いほど、クラッチの締結力をより大きくなるように補正することを特徴とする。
この駆動力制御装置によれば、原動機の駆動力は、左右の主駆動輪に直接、伝達されるとともに、左右の副駆動輪にクラッチを介して伝達される。また、回転速度検出手段によって主駆動輪および副駆動輪の各車輪の回転速度が検出され、検出された主駆動輪と副駆動輪との回転速度の差に応じて、締結力設定手段によってクラッチの締結力が設定される。それにより、主駆動輪および副駆動輪に伝達される駆動力の配分が設定される。また、検出された車輪の回転速度の少なくとも1つが所定の回転速度以下のときには、スリップ停車状態判定手段により、車両が停車状態またはスリップ停車状態、すなわち、少なくとも1つの車輪がスリップし、それ以外の車輪への駆動力が不足することによって、スムーズな発進ができない状態にあると判定され、締結力補正手段によってクラッチの締結力が補正されることにより、発進時トルク制御が実行される
以上のように、車両が停車状態またはスリップ停車状態にあるときには、クラッチの締結力を補正することにより、発進時トルク制御を実行することによって、前後の主・副駆動輪の間のトルク配分を補正するので、例えば、スリップ状態の車輪以外の車輪に伝達される駆動力を増大させることができる。それにより、路面抵抗が一様な路、およびスプリット路のいずれであっても、車両を確実に発進させることができる。
また、上述した構成によれば、発進時トルク制御の実行中、発進時トルク制御が開始されてからの経過時間が、計時手段により計時されるとともに、四輪駆動車両が、停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されてから、停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定されるまでの間、計時された経過時間が長いほど、クラッチの締結力がより大きくなるように補正される。これにより、例えば登坂路のように発進するのにより大きな駆動力を要する場合でも、トルク配分の急激な変化を防止しながら、車両をスムーズに発進させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の四輪駆動車両の駆動力制御装置1において、スリップ停車状態判定手段は、少なくとも1つの車輪の回転速度が所定の回転速度以下の状態が、第1所定時間(第1所定値KVSTP1)以上、継続したときに、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定することを特徴とする。
この駆動力制御装置によれば、少なくとも1つの車輪の回転速度が所定の回転速度以下になったときに、即座に停車状態またはスリップ停車状態と判定するのではなく、所定の回転速度以下の状態が、第1所定時間、継続したときに、スリップ停車状態判定手段によって、車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定する。
それにより、クラッチの締結力の補正を実行するタイミングが、いずれかの車輪の回転速度が所定の回転速度以下の状態になったときから、第1所定時間だけ遅延される。すなわち、第1所定時間だけ待った後、停車状態またはスリップ停車状態であるとの判定を確定することにより、車両が確実に停車状態またはスリップ停車状態になったときに、主・副駆動輪の間のトルク配分を補正するので、制御のハンチングを防止しながら、車両を安定して発進させることができる。
請求項に係る発明は、請求項1または2に記載の四輪駆動車両の駆動力制御装置1において、スリップ停車状態判定手段は、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定した後、主駆動輪W1,W2および副駆動輪W3,W4のすべての車輪の回転速度VW1〜VW4が所定の回転速度を上回った状態が、第2所定時間(第2所定値KVSTP2)以上、継続したときに、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定することを特徴とする。
この駆動力制御装置によれば、車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定された場合において、すべての車輪の回転速度がいずれも所定の回転速度を上回ったときから第2所定時間が経過するまでは、車両が停車状態またはスリップ停車状態にあるとの判定が保留される。すなわち、回転速度が所定の回転速度を上回ったときに、停車状態またはスリップ停車状態にあるとの判定を即座に解除せず、第2所定時間が経過するのを待ってから解除する。
これにより、車両が停車状態またはスリップ停車状態から確実に離脱したときに、はじめて停車状態またはスリップ停車状態から離脱したとの判定が確定することにより、制御のハンチングを防止することができる。また、停車状態またはスリップ停車状態の離脱が確定されるまでの第2所定時間の間、締結力補正手段によるクラッチの締結力の補正が継続されるので、スリップ停車状態から脱出した直後、すなわち、発進した直後の車両の走行をスムーズに行うことができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の四輪駆動車両の駆動力制御装置1において、計時手段は、カウンタ(発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2)を有し、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたときに、発進時トルク制御が開始されてから所定時間が経過するごとにカウンタをインクリメントする(図11のステップ53)ことによって、経過時間を計時するとともに、発進時トルク制御の実行中、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定されてから、所定時間が経過するごとに、カウンタをデクリメントし(図11のステップ55)、締結力補正手段は、四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたとき、および、その後に四輪駆動車両2が停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定されたときに、カウンタのカウンタ値が大きいほど、クラッチの締結力をより大きくなるように補正する(図11のステップ62,63,図13)ことを特徴とする。
この構成によれば、四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたときに、発進時トルク制御が開始されてから所定時間が経過するごとにカウンタをインクリメントすることによって、発進時トルク制御が開始されてからの経過時間が計時される。また、発進時トルク制御の実行中、一旦インクリメントされたカウンタは、四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定されてから、所定時間が経過するごとに、デクリメントされる。さらに、四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたとき、および、その後に四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態から離脱したと判定されたときに、カウンタのカウンタ値が大きいほど、クラッチの締結力がより大きくなるように補正される。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る四輪駆動車両の駆動力制御装置について詳細に説明する。図1は、本実施形態の駆動力制御装置1およびこれを適用した四輪駆動車両2の概略構成を示している。同図に示すように、四輪駆動車両(以下、単に「車両」という)2は、その前部に横置きに搭載したエンジン3(原動機)と、エンジン3と一体に設けられた自動変速機4とを備えている。
この自動変速機4は、エンジン3の出力軸3aに連結されたトルクコンバータ4aと、「1,2,3,D4,D5,N,R,P」からなる8つのシフト位置を選択可能なシフトレバー(図示せず)と、1〜5速ギヤ位置およびリバースギヤ位置からなる6種類の変速比のギヤ位置に切換え可能なギヤ機構4b(一部のみ図示)と、を有している。この自動変速機4では、シフト位置が「1」〜「D5」および「R」にあるときに、ギヤ位置が1速ギヤ位置、1〜2速ギヤ位置、1〜3速ギヤ位置、1〜4速ギヤ位置、1〜5速ギヤ位置およびリバースギヤ位置にそれぞれ切り換えられる。これらのギヤ位置では、高速ギヤ位置側のものほど、ギヤレシオが小さく設定されている。
また、自動変速機4には、ギヤ位置センサ20およびシフト位置センサ21が取り付けられている。このギヤ位置センサ20は、ギヤ位置を検出して、その検出信号であるギヤ位置信号SFTを後述するFI/AT・ECU12に送る。具体的には、ギヤ位置信号SFTの値(以下「SFT値」という)は、ギヤ位置が1〜5速ギヤ位置であるときに値1〜5であり、リバースギヤ位置であるときに値6である。
一方、シフト位置センサ21は、選択されているシフト位置を検出して、その検出信号であるシフト位置信号POSIをFI/AT・ECU12に送る。具体的には、シフト位置信号POSIの値(以下「POSI値」という)は、シフト位置が「N」または「P」、「R」および「1」〜「D5」であるときにそれぞれ、値1、値2および値3〜7であるとともに、ノーポジション状態(シフトレバーがいずれか2つのシフト位置の間にあってシフト位置を特定できない状態)であるときには値0である。
また、上記FI/AT・ECU12は、エンジン3の運転や自動変速機4の動作を制御するものであり、ROM、RAM、CPUおよびI/Oインターフェースなどからなるマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。このFI/AT・ECU12には、吸気管内絶対圧センサ23およびスロットル弁開度センサ24が接続されている。これらの吸気管内絶対圧センサ23およびスロットル弁開度センサ24は、エンジン3の吸気管内絶対圧PBA、およびスロットル弁開度THをそれぞれ検出するものである。
一方、エンジン3は、その出力軸3aが、自動変速機4、フロントディファレンシャル(以下「フロントデフ」という)5およびフロントドライブシャフト6,6を介して、主駆動輪としての左右の前輪W1,W2に連結されている。さらに、出力軸3aは、自動変速機4、フロントデフ5、トランスファ7a、プロペラシャフト7b、リヤディファレンシャル(以下「リヤデフ」という)8および左右のリヤドライブシャフト9,9を介して、副駆動輪としての左右の後輪W3,W4に連結されている。
このリヤデフ8は、左右の電磁クラッチ10,10(クラッチ)を備えている。各電磁クラッチ10は、プロペラシャフト7aとリヤドライブシャフト9の間を接続・遮断するものであり、遮断状態にあるときには、エンジン3の駆動力(以下「トルク」という)が前輪W1,W2にすべて伝達されることで、前輪駆動状態になる。一方、電磁クラッチ10が接続状態にあるときには、エンジン3のトルクが後輪W3,W4に配分されることで、四輪駆動状態になる。さらに、電磁クラッチ10の接続時の締結力は、後述する2/4WD・ECU11からの駆動信号にしたがって連続的に変化するように構成されており、これにより、左右の後輪W3,W4に配分するトルクが互いに独立して制御される。
さらに、前後の車輪W1〜W4には、ロータおよび電磁ピックアップからなる回転速度センサ25(回転速度検出手段)が取り付けられている。これら4つの回転速度センサ25は、前後の車輪W1〜W4の回転速度VW1〜VW4をそれぞれ検出し、それらの検出信号をABS・ECU13に送る。このABS・ECU13は、前後の車輪W1〜W4のアンチロック制御を行うものであり、前述したFI/AT・ECU12と同様にマイクロコンピュータで構成されている。
また、図示しないダッシュボードには、ロックスイッチ26が取り付けられている。このロックスイッチ26は、リヤデフ8をロックするロックモード制御を行わせるためのものであり、運転者により押されたときに、それを示すロックスイッチ信号を2/4WD・ECU11に送る。
一方、駆動力制御装置1は、前述した2/4WD・ECU11(締結力設定手段,スリップ停車状態判定手段,締結力補正手段,計時手段)を備えている。この2/4WD・ECU11は、FI/AT・ECU12およびABS・ECU13と同様に、マイクロコンピュータで構成され、これらのECU12,13に接続され、これらとのシリアル通信により、上記センサ20,21,23,24の検出信号が2/4WD・ECU11に入力される。2/4WD・ECU11は、これらの入力信号および上記ロックスイッチ信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムおよびRAMに記憶された後述する各フラグ値および演算値などに基づいて、以下のように、後輪W3,W4に配分するトルク(LSDトルクTLSD)、およびこれに対応する各電磁クラッチ10のコイルへの供給電流量を演算するとともに、その演算結果に基づく駆動信号を電磁クラッチ10,10に出力することによって、その締結力を制御し、後輪W3,W4に配分するトルクを制御する。
以下、2/4WD・ECU11が実行するLSD制御処理について説明する。本処理は、前後の車輪速度VW1〜VW4や後述する駆動トルクTDなどに基づき、LSDトルクTLSDを算出するものである。図2および図3は、LSD制御処理のメインルーチンを示している。両図に示すように、本処理では、まず、ステップ1(S1と図示。以下同様)において、前回の処理で算出したLSDトルクTLSDを、その前回値TLSD0として更新する。
次に、ステップ2に進み、車両速度VCARに応じ、図4に一例を示すVCAR−KVLSD1テーブルを検索することにより、テーブル値♯TBL_KVLSD1を求め、TLSD1補正係数KVLSD1として設定する。この車両速度VCARは、左右の後輪速度VW3,VW4のうちの小さい方を加速状態または減速状態に応じて補正することにより求められる。
同図に示すように、このVCAR−KVLSD1テーブルでは、テーブル値♯TBL_KVLSD1は、車両速度VCARが所定値X0以下のときに所定値Y0(例えば1.0)に、所定値X1以上のときに所定値Y0より小さな所定値Y1にそれぞれ設定され、所定値X0と所定値X1の間では、車両速度VCARが大きいほど、リニアに小さい値になるように設定されている。これは、車両速度VCARが大きいほど、主駆動輪である前輪W1,W2がスリップしにくくなることにより、後輪W3,W4を駆動するために要求されるトルクが小さくなることによる。
なお、同図において、図中の曲線がテーブル値♯TBL_KVLSD1を示しており、図2のステップ2の♯TBL_KVLSD1(VCAR)の表記は、テーブル値♯TBL_KVLSD1を、車両速度VCARに応じて求めることを示している。このようなフローチャート中の表記は、以下の各フローチャートにおいても同様とする。
次に、ステップ3に進み、車両速度VCARに応じ、図4に併記したVCAR−KVLSD2テーブルを検索することにより、テーブル値♯TBL_KVLSD2を求め、TLSD2補正係数KVLSD2として設定する。
このVCAR−KVLSD2テーブルでは、テーブル値♯TBL_KVLSD2は、車両速度VCARに対して、テーブル値♯TBL_KVLSD1と同様の傾向で、且つ異なる値に設定されている。これは、前述したように、車両速度VCARが大きいほど,主駆動輪である前輪W1,W2がスリップしにくくなることにより、後輪W3,W4を駆動するために要求されるトルクが小さくなることによる。
次いで、ステップ4に進み、車両速度VCARに応じ、図4に併記したVCAR−KVLSD4テーブルを検索することにより、テーブル値♯TBL_KVLSD4を求め、TLSD4補正係数KVLSD4として設定する。このVCAR−KVLSD4テーブルでは、テーブル値♯TBL_KVLSD4は、車両速度VCARに対して、上述したステップ2およびステップ3の場合と同じ理由により、テーブル値♯TBL_KVLSD1および#TBL_KVLSD2と同様の傾向で、且つ異なる値に設定されている。
次に、ステップ5に進み、後述するKXGFLSDを算出処理を実行し、加速度LSD補正係数KXGFLSDを算出する。
次いで、ステップ6に進み、POSI値が値2以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわちシフト位置が「1」〜「D5」,「R」のいずれかにあるときには、ステップ7に進み、駆動トルクフラグF_TDが「1」であるか否かを判別する。
この駆動トルクフラグF_TDは、後述する駆動トルクTDが値0以下であるとき、すなわち停車中または減速中であるときに「1」に、駆動トルクTDが値「0」より大きいとき、すなわち加速中であるときに「0」にそれぞれセットされるものである。
ステップ7の判別結果がNOのとき、すなわち加速中であるときには、ステップ8に進み、駆動トルクTDが所定値♯NOLSDTD未満であるか否かを判別する。
この駆動トルクTDは、エンジン3から出力されるエンジントルクに基づき、自動変速機4の出力軸に出力されているトルクとして、算出される。より具体的には、エンジントルクをトルコン増幅率、ギヤレシオおよび慣性補正トルクなどで補正した値として算出される。
ステップ8の判別結果がNOのとき、すなわちTD≧♯NOLSDTDのときには、図3のステップ9に進み、後述するTLSD1,TLSD2検索処理により、第1および第2LSDトルクTLSD1,TLSD2を求める。
次に、ステップ10に進み、後述するTLSD4算出処理により、発進時LSDトルクTLSD4を求める。
次いで、ステップ11に進み、次式(1)により、LSDトルク目標値TLSDMを算出する。
TLSDM=(TLSD1×KVLSD1+TLSD2×KVLSD2
+TLSD4×KVLSD4)×KXGFLSD ……(1)
次に、ステップ12,13において、上記のように求めたLSDトルク目標値TLSDMのリミットチェック処理を行う。すなわち、ステップ11で、LSDトルク目標値TLSDMが上限値♯LMTLSDより大きいか否かを判別し、TLSDM>♯LMTLSDのときには、ステップ13に進み、LSDトルク目標値TLSDMを、上限値♯LMTLSDに設定する。
一方、ステップ12で、TLSDM<♯LMTLSDのときには、ステップ13をスキップする。
以上のステップ12,13のリミットチェック処理に続き、ステップ14に進み、後述するTLSD加減算処理により、LSDトルクTLSDを算出して本処理を終了する。
一方、前述したステップ6の判別結果がNOのとき、すなわち、POSI=1または0であって、シフト位置が「N」または「P」にあるとき、またはノーポジション状態にあるときには、ステップ15〜18において、前述した第1LSDトルクTLSD1、第2LSDトルクTLSD2、発進時LSDトルクTLSD4およびLSDトルク目標値TLSDMをそれぞれ値0に設定する。
次いで、ステップ19〜23において、後述する偏差DTLSD、第1加減算調整係数KDTLSD、第2加減算調整係数KDVLSD、LSDトルクTLSDおよび前後輪滑り比しきい値JGLSDをそれぞれ値0に設定して、本処理を終了する。これらの偏差、係数およびしきい値については、後述する。
以下、図5を参照しながら、前述したステップ4のKXGFLSD算出処理について説明する。本処理は、以下に述べるように、POSI値、SFT値およびフィルタ後車両加速度XGF1Fに基づき、加速度LSD補正係数KXGFLSDを算出するものである。すなわち、まず、ステップ30でPOSI値が値2以上であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのとき、すなわちシフト位置が「1」から「D5」,「R」のいずれかにあるときには、ステップ31に進み、SFT値に応じ、図6に一例を示すXGF1F−KXGFLSDn(n=1〜6)テーブルから1つのテーブルを選択し、ステップ32に進み、選択したXGF1F−KXGFLSDnテーブルを検索することにより、テーブル値KXGFLSDnを求め、加速度LSD補正係数KXGFLSDとして設定し、本処理を終了する。
このフィルタ後車両加速度XGF1Fは、駆動トルクTD、車両2の重量、車輪径および車両2の走行抵抗に基づき、車両加速度XGFを算出するとともに、これに所定のフィルタ処理を行った値として、求められる。すなわち、フィルタ後車両加速度XGF1Fは、車両2を実際に加速させるためにのみ用いられる余剰車両加速度として、算出されるので、車両2の実際の加速状態を良好に反映する。
また、上記ステップ31で選択されるXGF1F−KXGFLSDnテーブルとしては、SFT値の値1〜6に対応して、1〜5速,Rギヤ位置用のものがそれぞれ用意されており、図6は、1速ギヤ位置用のXGF1F−KXGFLSD1テーブルを示している。同図に示すように、テーブル値♯TBL_KXGFLSD1は、フィルタ後車両加速度XGF1Fが所定値X0以下であるときに所定値Y0に、所定値X2以上であるときに所定値Y0よりも大きな所定値Y2(例えば1.0)にそれぞれ設定され、所定値X0と所定値X2の間では、フィルタ後車両加速度XGF1Fが小さいほど小さい値に設定されている。
これは、アクセル解放時などの加速が要求されていないときには、それに応じてLSDトルクTLSDを小さく補正するためである。また、後述するように、LSDトルクTLSDは、加速度TLSD補正係数KXGFLSDを除けば車輪W1〜W4の速度状態や加速度状態を表すパラメータに基づき、算出されるものであるので、加速度LSD補正係数KXGFLSDを用いることなく、LSDトルクTLSDを算出すると、エンジン3の出力トルク、すなわち車輪W1〜W4を駆動するための前記駆動トルクTDのパラメータが加味されないため、車両2の加速状態から要求されるトルクに合致しなくなることがある。したがって、車両2の加速状態から要求されるトルクに合致したLSDトルクTLSDを後輪W3,W4に配分するため、テーブル値♯TBL_KXGFLSD1は、上記のように設定されている。これにより、例えば路面抵抗μが小さく、アクセルが踏まれていないことで、フィルタ後車両加速度XGF1Fが小さくなっているときに、前後輪間の速度差により前輪W1,W2がスリップしていると判断され、車両2の加速状態から要求されるトルクよりも大きな値のLSDトルクTLSDが後輪W3,W4に配分されることを防止でき、その結果、このような大きなトルクによる後輪W3,W4のスリップを防止できる。すなわち、LSDトルクTLSDを、路面抵抗μに応じてバランスよく適切に補正することができる。
さらに、これらのXGF1F−KXGFLSDnテーブルにおいては、テーブル値♯TBL_KXGFLSDnは、フィルタ後車両加速度XGF1Fに対して同様の傾向を示すとともに、高速ギヤ位置用のものほど、同じフィルタ後車両加速度XGF1Fに対してより小さくなるよう、互いに異なる値に設定されている。すなわち、1速ギヤ位置用のテーブル値♯TBL_KXGFLSD1が最も大きく設定されている。これは、ギヤ位置が低速側であるほど、出力側ギヤの慣性質量および運転者の加速要求がいずれも大きくなることで、後輪W3,W4を駆動するために大きなトルクが必要になることによる。
一方、ステップ30の判別結果がNOのとき、すなわちシフト位置が「N」または「P」にあるとき、またはノーポジション状態にあるときには、ステップ33に進み、加速度LSD補正係数KXGFLSDを値1に設定し、本処理を終了する。
次に、図7を参照しながら、前述したステップ9のTLDS1,TLDS2検索処理について説明する。同図に示すように、本処理では、まず、ステップ40で、走行中フラグF_VWSTが「1」であるか否かを判別する。この走行中フラグF_VWSTは、前後の車輪速度VW1〜VW4がいずれも所定速度(例えば5km/h)以上であって、走行中であるときに「1」に、そうでないときに「0」にそれぞれ設定されるものである。
この判別結果がYESのとき、すなわち走行中であるときには、ステップ41に進み、後輪左右速度比RVW_Rに応じて、図8に一例を示すRVW_R−JGLSDテーブルを検索することにより、テーブル値♯TBL_JGLSDを求め、前後輪滑り比しきい値JGLSDとして設定する。この後輪左右速度比RVW_Rは、左後輪速度VW3および右後輪速度VW4のうちの値の小さい方を大きい方で除算した値をパーセント換算することにより、求められる。すなわち、VW3<VW4とのときに、RVW_R=(VW3/VW4)×100(%)であり、VW3>VW4のときに、RVW_R=(VW4/VW3)×100(%)であり、VW3=VW4のときには、RVW_R=100(%)である。
同図に示すように、RVW_R−JGLSDテーブルでは、テーブル値♯TBL_JGLSDは、後輪左右速度比RVW_Rが所定値X0以下であるときに所定値Y0に、所定値X1以上であるときに所定値Y0よりも小さな所定値Y1にそれぞれ設定され、所定値X0と所定値X1の間では、後輪左右速度比RVW_Rが小さいほど、リニアに大きい値になるように設定されている。これは、後輪左右速度比RVW_Rが大きいほど、すなわち左右の後輪W3,W4間の速度差が大きいほど、後述するステップ43において求められる、後輪W3,W4に配分する第1LSDトルクの値を小さくするためである。
次に、ステップ42に進み、上記ステップ41で求めた前後輪滑り比しきい値JGLSDが前後輪滑り比RVW_RFよりも大きいか否かを判別する。この前後輪滑り比RVW_Rは、平均後輪速度VRRを、平均前輪速度VRFで除した値をパーセント換算することにより求められる(RVW_RF=(VRR/VRF)×100(%))。また、平均前輪速度VRFは、左右の前輪速度VW1,VW2に所定のフィルタ処理を加えた値である左右のフィルタ後前輪速度FVW1,FVW2を加算平均することにより、求められる。これと同様に、平均後輪速度も、左右の後輪速度VW3,VW4に所定のフィルタ処理を加えた値である左右のフィルタ後後輪速度FVW3,FVW4を加算平均することにより、求められる。
なお、本実施形態では、ステップ42で、後輪左右速度比RVW_Rに応じ、前後輪滑り比しきい値JGLSDを求めたが、これに代えて、左後輪速度VW3と、右後輪速度VW4との偏差に応じ、前後輪滑り比しきい値JGLSDを求めるようにしてもよい。
ステップ42の判別結果がNOのとき、すなわちRVW_R≧JGLSDのときには、ステップ43に進み、前後輪滑り比RVW_RFと前後輪滑り比しきい値JGLSDとの偏差[RVW_RF−JGLSD]に応じて、図9に一例を示す[RVW_RF−JGLSD]−TLSD1テーブルを検索することにより、テーブル値#TBL_TLSD1を求め、第1LSDトルクTLSD1として設定する。
同図に示すように、[RVW_RF−JGLSD]−TLSD1テーブルでは、テーブル値#TBL_TLSD1は、偏差[RVW_RF−JGLSD]が所定値X3以上であるときに所定値Y3に設定され、所定値X0と所定値X3の間では、偏差[RVW_RF−JGLSD]が小さいほど、小さい値に設定されている。これは、偏差[RVW_RF−JGLSD]が小さいほど、左右の後輪W3,W4に配分する第1LSDトルクTLSD1の値を小さくすることによって、タイトターンブレーキ現象を防止するためである。
なお、本実施形態では、ステップ43で偏差[RVW_RF−JGLSD]に応じ、第1LSDトルクTLSD1を求めたが、これに代えて、前後輪滑り比RVW_RFと前後輪滑り比しきい値JGLSDの比(RVW_RF/JGLSD)に応じ、第1LSDトルクTLSD1を求めるようにしてもよい。
次に、ステップ44に進み、平均前後輪速度VFRが平均後輪速度VRR未満であるか否かを判別する。この判別結果がNOのとき、すなわちVFR≧VRRのときには、ステップ45に進み、平均前輪加速度G02と平均後輪加速度G03との偏差DG023(=G02−G03)と、この偏差DG023の前回値との絶対偏差|DG023−DG0230|が、所定しきい値#DGTLSD2より大きいか否かを判別する。
なお、平均前輪加速度G02は、左前輪速度VW1の今回値VW1nと前回値VW1n−1との差分から左前輪加速度G0Lを求め、これと同様に右前輪加速度G0Rを求めるとともに、これらの左前輪加速度G0Lおよび右前輪加速度G0Rを加算平均することで、算出される。これと同様に、平均後輪加速度G03も算出される。
ステップ45の判別結果がNOのとき、すなわち|DG023−DG0230|≦#DGTLSD2のときには、ステップ46に進み、偏差DG023に応じて、図10に一例を示すDG023−TLSD2テーブルを検索することにより、テーブル値#TBL_TLSD2を求め、第2LSDトルクTLSD2として設定して、本処理を終了する。
同図に示すように、DG023−TLSD2テーブルでは、テーブル値#TBL_TLSD2は、偏差DG023が所定値X3以上であるときに所定値Y3に設定され、所定値X0と所定値X3の間では、偏差DG023が大きいほど、大きい値に設定されている。これは、偏差DG023が大きいほど、すなわち平均前輪加速度G02が平均後輪加速度G03を上回っている度合が大きいほど、後輪W3,W4に配分する第2LSDトルクTLSD2の値を大きくすることで、前輪W1,W2のスリップ解消抑制の応答性を向上させるためである。
なお、本実施形態では、ステップ46で、偏差DG023に応じ、第2LSDトルクTLSD2を求めたが、これに代えて、平均前輪加速度G02と後輪平均速度G03の比(G02/G03)に応じ、第2LSDトルクTLSD2を求めるようにしてもよい。
一方、ステップ40の判別結果がNOのとき、またはステップ42の判別結果がYESのときには、ステップ47で第1LSDトルクTLSD1を値0に設定して、前記ステップ44以降に進む。すなわち、停車中または直進中などには、第1LSDトルクTLSD1は、後輪W3,W4に配分されない。
一方、ステップ44またはステップ45の判別結果がYESのときには、ステップ48に進み、第2LSDトルクTLSD2を値0に設定し、本処理を終了する。すなわち、VFR<VRRであって、前輪W1,W2がスリップ状態のとき、または|DG023−DG023O|>♯DGTLSD2であって、絶対偏差|DG023−DG023O|がかなり大きく、トルク段差を生じる状態のときには、第2LSDトルクTLSD2は後輪W3,W4に配分されない。
次に、図11を参照しながら、前述したステップ10のTLSD4算出処理について説明する。本処理は、所定の周期(例えば1sec)で実行される。同図に示すように、本処理では、まず、ステップ50で、後述するVW_ERR算出処理を実行し、前後輪間速度最大偏差VW_ERRを算出する。後述するように、この前後輪間速度最大偏差VW_ERRは、後輪W3,W4に対する前輪W1,W2のスリップ度合いを表す。
次いで、ステップ51に進み、上記ステップ50で算出した前後輪間速度最大偏差VW_ERRに応じて、図12に一例を示すVW_ERR−TTLSD4テーブルを検索することにより、テーブル値♯TBL_TTLSD4を求め、補正前発進時LSDトルクTTLSD4として設定する。
同図に示すように、VW_ERR−TTLSD4テーブルでは、テーブル値♯TBL_TTLSD4は、前後輪間速度最大偏差VW_ERRが所定値X3以上であるときに所定値Y3に設定され、所定値X0と所定値X3の間では、前後輪間速度最大偏差VW_ERRが大きいほど、大きい値に設定されている。これは、前後輪間速度最大偏差VW_ERRが大きいほど、すなわち、前輪W1,W2のスリップ度合いが大きいほど、後輪W3,W4に配分する補正前発進時LSDトルクTTLSDの値を大きくし、ひいては後述する発進時LSDトルクTLSD4の値を大きくすることで、前輪W1,W2のスリップをより早く解消するためである。
次に、ステップ52に進み、停車判定フラグF_VSTPおよび発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4が、ともに「1」であるか否かを判別する。停車判定フラグF_VSTPは、後述する発進時トルク制御実行判定処理において、車両2が、停車状態またはスリップ停車状態にあるときに「1」に、走行状態にあるときに「0」にそれぞれセットされるものである。発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4もまた、同じく発進時トルク制御実行判定処理において、車両2の発進時に、発進時LSDトルク制御を実行すべきときに「1」に、それ以外のときに「0」にそれぞれセットされるものである。
この判別結果がYESのとき、すなわち、車両2が停車状態、またはスリップ停車状態で、且つ発進時LSDトルク制御の実行中であるときには、ステップ53に進み、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2をインクリメントし、ステップ57に進む。
一方、前記ステップ52の判別結果がNOのときは、ステップ54に進み、発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4が「1」であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのとき、すなわち、前記ステップ52と同じく発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4が「1」であることから、停車判定フラグF_VSTPが「0」で車両2が走行状態にあり、且つ発進時LSDトルク制御の実行中であるときには、ステップ55に進み、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウンタ値をデクリメントし、ステップ57に進む。
一方、前記ステップ54の判別結果がNOのとき、すなわち、発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4が「0」であり、発進時LSDトルク制御が実行されていないときには、ステップ56において、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウンタ値を値0にリセットし、ステップ57に進む。
次に、上記のように求めた発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のリミットチェック処理を行う。まず、ステップ57で、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値が、上限値♯TM_MT2より大きいか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、ステップ58に進み、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2を、上限値♯TM_MT2にセットし、ステップ62に進む。
一方、ステップ57の判別結果がNOのとき、すなわちTM_MT2≦♯TM_MT2のときには、ステップ59に進み、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値が値0よりも小さいか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値を値0にリセットし、ステップ62に進む。
一方、ステップ59の判別結果がNOで、♯TM_MT2≧TM_MT2≧0のときには、ステップ61に進み、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値を維持し、ステップ62に進む。
以上のステップ57〜61のリミットチェック処理に続き、ステップ62では、上記ステップ58,60,61のいずれかでセットした発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値に応じて、図13に一例を示すTM_MT2−MT2テーブルを検索することにより、テーブル値♯TBL_MT2を求め、発進時LSDトルク補正値MT2として設定する。
同図に示すように、TM_MT2−MT2テーブルでは、テーブル値♯TBL_MT2は、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値が所定値X2以上であるときに所定値Y2(例えば1.5)に設定され、所定値X0(例えば0)と所定値X2の間では、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2が大きいほど、大きい値に設定されている。また、このカウント値が所定値X0のとき、テーブル値♯TBL_MT2は、所定値Y0(例えば0)に設定されている。これは、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM_MT2のカウント値が大きいほど、すなわち、発進時LSDトルク制御の開始からの経過時間が長いほど、後輪W3,W4に配分するLSDトルクTLSDの値を、次第に大きくするためである。
次いで、ステップ63に進み、前記ステップ51で設定した補正前発進時LSDトルクTTLSD4に、上記ステップ62で設定した発進時LSDトルク補正値MT2を乗算することにより、発進時LSDトルクTLSD4を算出し、本処理を終了する。
次に、図14を参照しながら、前述したステップ50のVW_ERR算出処理について説明する。同図に示すように、本処理では、まず、ステップ70で、左前輪速度VW1が右前輪速度VW2以上か否かを判別する。そして、この判別結果がYESのときには、左前輪速度VW1を、NOのときには、右前輪速度VW2を、代表前輪速度VW_B1としてセットする(ステップ71,72)。このように、代表前輪速度VW_BF1は、左右の前輪速度VW1,VW2のうちの高い方を表す。
次いで、ステップ73において、左後輪速度VW3が右後輪速度VW4以下か否かを判別する。そして、この判別結果がYESのときには、左後輪速度VW3を、NOのときには、右後輪速度VW4を、代表後輪速度VW_BF2としてセットする(ステップ74,75)このように、代表後輪速度VW_BF2は、左右の後輪速度VW3,VW4のうちの低い方を表す。
次に、ステップ76において、代表前輪速度VW_B1から代表後輪速度VW_B2を減算した値を、前後輪間速度最大偏差VW_ERRとして算出する。すなわち、この前後輪間速度最大偏差VW_ERRは、左右の前輪速度VW1,VW2と、左右の後輪速度VW3,VW4との間の最大の速度偏差に等しく、左右の後輪W3,W4に対する左右の前輪W1,W2のスリップ度合いを表す。
なお、本実施形態では、ステップ51で、前後輪間速度最大偏差VW_ERRに応じ、補正前発進時LSDトルクTTLSD4を求めたが、これに代えて、代表前輪速度VW_BF1と代表後輪速度VW_BF2の比(VW_BF1/VW_BF2)に応じ、補正前発進時LSDトルクTTLSD4を求めるようにしてもよい。
次に、図15を参照しながら、前述した停車判定フラグF_VSTPおよび発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4を設定する発進時トルク制御実行判定処理について説明する。本処理は、所定の周期(例えば1sec)で実行されるものである。
同図に示すように、まず、ステップ77において、前後の車輪W1〜W4の車輪速度VW1〜VW4の少なくとも1つが、所定速度♯VWSTN(例えば2.0km/h)(所定の回転速度)よりも小さいか否かを判定する。この判定結果がYESのときには、車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあるとして、車輪速度判定フラグF_VWSTNを「1」にセットする(ステップ78)。ここで、スリップ停車状態とは、発進時に前後の車輪W1〜W4の少なくとも1つが実質的に停止しており、他の車輪がスリップしていることで、スムーズな発進が行えないような状態をいう。
一方、ステップ77の判別結果がNOのとき、すなわち、前後の車輪W1〜W4のすべての車輪速度VW1〜VW4が所定速度♯VWSTN以上で、車両2が走行状態にあるときには、車輪速度判定フラグF_VWSTNを「0」にセットする(ステップ79)。
次いで、ステップ80において、車輪速度判定フラグF_VWSTNが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち、車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあるときには、ステップ81に進み、第1停車判定カウンタTM_VSTP1のカウント値が第1所定値KVSTP1(例えば0msec相当)(第1所定時間)以上であるか否かを判別する。
この判別結果がNOで、TM_VSTP1<KVSTP1のときには、ステップ85に進み、第1停車判定カウンタTM_VSTP1のカウント値をインクリメントした後、後述するステップ83に進む。
一方、前記ステップ81の判別結果がYESで、TM_VSTP≧KVSTP1のとき、すなわち、車両2が停車状態またはスリップ停車状態になった後、第1所定値KVSTP1に相当する第1所定時間が経過したときには、ステップ82に進み、車両2が停車状態またはスリップ停車状態であることを示すために、停車判定フラグF_VSTPを「1」にセットする。次に、ステップ83において、発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4を「1」にセットする。そして、続くステップ84で、後述する第2停車判定カウンタTM_VSTP2を値0にリセットし、本処理を終了する。
以上のように、停車判定フラグF_VSTPは、車両2が停車状態またはスリップ停車状態になった後、第1所定時間が経過するまでは「0」に維持され、第1所定時間が経過したときに「1」にセットされる。
一方、前記ステップ80の判別結果がNOで、車両2が走行状態のときには、ステップ86に進み、スロットル弁開度THが所定値KTTH(例えば3deg)以上、且つ、POSI値が値1よりも大きく、シフト位置が「N」、「P」およびノーポジション状態以外であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち、車両2が加速走行状態のときには、ステップ87に進み、第2停車判定カウンタTM_VSTP2のカウント値が第2所定値KVSTP2(例えば200msec相当)(第2所定時間)以上であるか否かを判別する。
この判別結果がNOで、TM_VSTP2<KVSTP2のときには、ステップ90に進み、第2停車判定カウンタTM_VSTP2のカウント値をインクリメントした後、後述するステップ89に進む。
一方、ステップ87の判別結果がYESで、TM_VSTP2≧KVSTP2のとき、すなわち、車両2が加速走行状態になった後、第2所定値KVSTP2に相当する第2所定時間が経過したときには、ステップ88に進み、停車判定フラグF_VSTPを「0」にセットする。
次に、ステップ89で、第1停車判定カウンタTM_VSTP1を値0にリセットし、本処理を終了する。
以上のように、停車判定フラグF_VSTPは、車両2が停車状態またはスリップ停車状態から離脱し、加速走行状態になった後、第2所定時間が経過するまでは「1」に維持され、第2所定時間が経過したときに「0」にセットされる。
一方、前記ステップ86の判別結果がNOのとき、すなわち、前後の車輪W1〜W4の車輪速度VW1〜VW4がすべて所定速度♯VWSTN以上、且つ、スロットル弁開度THが所定値KTTH以下またはシフト位置が「N」、「P」、ノーポジション状態のいずれかのときには、車両2が、減速走行状態にあるとして、ステップ91およびステップ92において、停車判定フラグF_VSTP、および発進時LSDトルク制御実行フラグF_TLSD4をそれぞれ「0」にリセットするとともに、第1および第2停車判定カウンタTM_VSTP1,TM_VSTP2を、ともに値0にリセットし(ステップ93)、本処理を終了する。
次に、前述した図3のステップ14のTLSD加減算処理について説明する。この処理では、前述したステップ11で求めたLSDトルク目標値TLSDMに基づき、次式(2)により、LSDトルクTLSDを算出する。
TLSD=TLSD0+KDTLSD×KVTLSD×DTLSD……(2)
ここで、DTLSDは、LSDトルク目標値TLSDMと、LSDトルクTLSDの前回値TLSD0との偏差(=TLSDM−TLSDM0)である。これにより、上記式(2)では、右辺の第2項KDLSD×KVTLSD×DTLSDが、偏差DTLSDに応じて算出され、前回値TLSD0に加算または減算される。
さらに、上記式(2)の前記第1加減算調整係数KDTLSDは、偏差DTLSDに応じ、図16に一例を示すDTLSD−KDTLSDテーブルを検索して求めたテーブル値#TBL_KDTLSDに設定される。同図に示すように、テーブル値#TBL_KDTLSDは、偏差DTLSDが所定値X0以下であるときに所定値Y0(例えば1.0)に、所定値X1以上であるときに所定値Y0よりも小さな所定値Y1にそれぞれ設定され、所定値X0と所定値X1の間では、偏差DTLSDが大きいほど、リニアに小さい値になるように設定されている。これは、偏差DTLSDが大きいほど、トルク段差が大きくなるので、それを防止するためである。
また、DTLSD−KDTLSDテーブルは、偏差DTLSDの正負に応じて、2種類のものが用意されており、これらのDTLSD−KDTLSDテーブルでは、テーブル値#TBL_KDTLSDは、同様の傾向で、且つ異なる値に設定されている。
さらに、上記式(2)の前記第2加減算調整係数KVTLSDは、車両速度VCARに応じ、図17に一例を示すVCAR−KVTLSDテーブルを検索して求めたテーブル値#TBL_KVTLSDに設定される。同図に示すように、テーブル値#TBL_KVTLSDは、車両速度VCARが所定値X0以下であるときに所定値Y0(例えば1.0)に、所定値X1以上であるときに所定値Y0よりも小さな所定値Y1にそれぞれ設定され、所定値X0とX1の間では、車両速度VCARが大きいほど、リニアに小さい値になるように設定されている。これは、車両速度VCARが大きいほど、トルク段差が大きくなるので、それを防止するためである。
以上のような駆動力制御装置1によれば、前後の車輪W1〜W4の車輪速度VW1〜VW4の少なくとも1つが所定速度♯VWSTN以下のとき(ステップ80:YES)に、車両2が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定され、スリップ停車状態の場合には、ステップ63で算出した発進時LSDトルクTLSD4により、電磁クラッチ10,10の締結力TLSDが補正される。それにより、後輪W3,W4に伝達されるトルクの配分を増大させることができ、その結果、前輪W1,W2のスリップ状態が解消されることにより、路面抵抗μが一様な路、およびスプリット路のいずれであっても、車両2を確実に発進させることができる。
また、前後の車輪W1〜W4の速度VW1〜VW4の少なくとも1つが所定速度♯VWSTN以下になったときに、即座にスリップ停車状態と判定するのではなく、所定速度♯VWSTN以下の状態が、第1停車判定カウンタTM_VSTP1ののカウンタ値が第1所定値KVSTP1に達するまで、すなわち第1所定時間、継続したとき(ステップ81:YES)に、車両2がスリップ停車状態にあるとの判定が確定する(ステップ82)。それにより、車両2が確実にスリップ停車状態になったときに、後輪W3,W4へのトルク配分が増大補正されるので、制御のハンチングを防止しながら、車両2を安定して発進させることができる。
また、車両2が、スリップ停車状態にあると判定された後に、前後の車輪W1〜W4の車輪速度VW1〜VW4がいずれも所定速度#VWSTNを上回り、スリップ停車状態にないと判定され、且つ加速走行状態にあるとき(ステップ81:NO,ステップ86:YES)から、第2停車判定カウンタTM_VSTP2のカウンタ値が第2所定値KVSTP2に達するまで(ステップ87:YES)、すなわち第2所定時間が経過するまでは、車両2がスリップ停車状態にあるとの判定が保留される。それにより、車両2がスリップ停車状態から確実に離脱したときに、はじめてスリップ停車状態から離脱したとの判定が確定する(ステップ88)ことにより、制御のハンチングを防止することができる。
また、車両2がスリップ停車状態にあり且つ発進時LSDトルク制御が実行中であるとき(ステップ52:YES)には、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM MT2のカウント値がインクリメントされる(ステップ53)。そして、このカウント値が大きいほど、すなわち、車両2がスリップ停車状態にあるとの判定が確定され、発進時LSDトルク制御が開始されたときからの経過時間が長いほど、補正前発進時LSDトルクTTLSD4がより大きな値の発進時LSDトルクTLSD4に補正される。したがって、後輪W3,W4へのトルク配分を、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM MT2のカウント値の増大に応じて徐々に増大させることができ、登坂路のように発進するのにより大きなトルクを要する場合でも、トルク配分の急激な変化を防止しながら、車両2をスムーズに発進させることができる。
一方、車両2がスリップ停車状態から離脱した後も、減速走行状態と判定される(ステップ86:NO)までは、発進時LSDトルク制御の実行が継続され、その場合は、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM MT2のカウント値がデクリメントされる(ステップ55)。そして、このカウント値が小さいほど、すなわち、車両2がスリップ停車状態から離脱したとの判定が確定したときからの経過時間が長いほど、補正前発進時LSDトルクTTLSD4がより小さな値の発進時LSDトルクTLSD4に補正される。したがって、後輪W3,W4へのトルク配分を、発進時LSDトルク制御実行カウンタTM MT2のカウント値の減少に応じて徐々に減少させることができ、スリップ停車状態からの離脱直後のときにも、トルク配分の急激な変化を防止しながら、車両2をスムーズに走行させることができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、本発明は、四輪駆動車両に限らず、主駆動輪および副駆動輪を有する様々な産業用の車両に適用できることはもちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本発明の一実施形態に係る駆動力制御装置およびこれを適用した4輪駆動車両の概略構成を示す図である。 LSD制御処理のメインルーチンの一部を示すフローチャートである。 図2の続きを示すフローチャートである。 VCAR−KVLSD1テーブルの一例を示すフローチャートである。 KXGFLSD算出処理を示すフローチャートである。 KGF1F−KXGFLSD1テーブルの一例を示す図である。 TLSD1,TLSD2検索処理を示すフローチャートである。 RVW_R−JGLSDテーブルの一例を示す図である。 [RVW_RF−JGLSD]−TLSD1テーブルの一例を示す図である。 DG023−TLSD2テーブルの一例を示す図である。 TLSD4算出処理を示すフローチャートである。 VW_ERR−TTLSD4テーブルの一例を示す図である。 TM_MT2−MT2テーブルの一例を示す図である。 VW_ERR算出処理を示すフローチャートである。 発進時トルク制御実行判定処理を示すフローチャートである。 DTLSD−KDTLSDテーブルの一例を示す図である。 VCAR−KVTLSDテーブルの一例を示す図である。
符号の説明
1 駆動力制御装置
2 四輪駆動車両
3 エンジン(原動機)
10 電磁クラッチ(クラッチ)
11 2/4WD・ECU(締結力設定手段,スリップ停車状態判定手段,
締結力補正手段,計時手段)
25 回転速度センサ(回転数検出手段)
W1,W2 左右の前輪(主駆動輪)
W3,W4 左右の後輪(副駆動輪)
VW1〜VW4 車輪の回転速度
VW_ERR 前後輪間速度最大偏差(主駆動輪と副駆動輪との回転速度の差)
#VWSTN 所定速度(所定の回転速度)
TTLSD4 補正前発進時LSDトルク(締結力)
KVSTP1 第1所定値(第1所定時間)
KVSTP2 第2所定値(第2所定時間)
TM_MT2 発進時LSDトルク制御実行カウンタ(カウンタ)

Claims (4)

  1. 原動機の駆動力を、左右の主駆動輪に直接、伝達するとともに、左右の副駆動輪にクラッチを介して伝達する四輪駆動車両の駆動力制御装置であって、
    前記主駆動輪および前記副駆動輪の各車輪の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
    当該検出された前記主駆動輪と前記副駆動輪との回転速度の差に応じて、前記クラッチの締結力を設定する締結力設定手段と、
    前記検出された車輪の回転速度の少なくとも1つが所定の回転速度以下のときに、前記四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定するスリップ停車状態判定手段と、
    当該スリップ停車状態判定手段によって前記四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたときに、前記締結力設定手段により設定された前記クラッチの締結力を補正することによって、発進時トルク制御を実行する締結力補正手段と、
    前記発進時トルク制御の実行中、当該発進時トルク制御が開始されてからの経過時間を計時する計時手段と、を備え、
    前記締結力補正手段は、前記四輪駆動車両が、前記停車状態または前記スリップ停車状態にあると判定されてから、当該停車状態または当該スリップ停車状態から離脱したと判定されるまでの間、前記計時手段によって計時された前記経過時間が長いほど、前記クラッチの締結力をより大きくなるように補正することを特徴とする四輪駆動車両の駆動力制御装置。
  2. 前記スリップ停車状態判定手段は、前記少なくとも1つの車輪の回転速度が前記所定の回転速度以下の状態が、第1所定時間以上、継続したときに、前記四輪駆動車両が前記停車状態または前記スリップ停車状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の四輪駆動車両の駆動力制御装置。
  3. 前記スリップ停車状態判定手段は、前記四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定した後、前記主駆動輪および前記副駆動輪のすべての車輪の回転速度が前記所定の回転速度を上回った状態が、第2所定時間以上、継続したときに、前記四輪駆動車両が前記停車状態または前記スリップ停車状態から離脱したと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の四輪駆動車両の駆動力制御装置。
  4. 前記計時手段は、カウンタを有し、前記四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたときに、前記発進時トルク制御が開始されてから所定時間が経過するごとに前記カウンタをインクリメントすることによって、前記経過時間を計時するとともに、前記発進時トルク制御の実行中、前記四輪駆動車両が前記停車状態または前記スリップ停車状態から離脱したと判定されてから、前記所定時間が経過するごとに、前記カウンタをデクリメントし、
    前記締結力補正手段は、前記四輪駆動車両が停車状態またはスリップ停車状態にあると判定されたとき、および、その後に前記四輪駆動車両が前記停車状態または前記スリップ停車状態から離脱したと判定されたときに、前記カウンタのカウンタ値が大きいほど、前記クラッチの締結力をより大きくなるように補正することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の四輪駆動車両の駆動力制御装置。
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