JP3716333B2 - 四輪駆動車の駆動力制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、四輪駆動車の駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動スリップを抑える駆動力制御装置は、2輪のみにエンジン駆動力が伝達されることで、加速操作や低μ路走行等で駆動スリップが発生しやすい二輪駆動車に適用されることが多く、駆動力制御の基本信号である車体速を推定する場合、基本的にはエンジン駆動力が全く伝達されない従動輪の速度(後輪駆動車であれば前輪速度)を用いて車体速を推定すればよく、推定車体速は精度良く算出される。
【0003】
一方、四輪駆動車はエンジン駆動力が四輪に配分されることで、同じエンジン駆動力であれば二輪駆動車に比べ各輪から路面へ伝達される駆動力が低くなり、駆動スリップ自体が発生しにくく、路面μが小さい場合でもある程度の駆動力は発生可能なため、駆動力制御を適用されることは少なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、四輪駆動車に駆動力制御を適用しようとすると、四輪が駆動スリップ状態になるため、駆動力制御の基本信号である車体速を二輪駆動車のように精度良く推定するのは困難であるという問題がある。
【0005】
これは、全ての車輪がスリップしている状態では、車輪速より直接車体速度を推定することは困難であるためである。特に、極低μ路などでは車輪速は駆動スリップが大きくなる傾向にあるため、駆動力制御により車輪スリップが抑制されても推定車体速も実車体速より大きくなる傾向にある(図5参照)。
【0006】
このような問題に対し、車輪のスリップ方向は異なるが全ての車輪が減速スリップ状態であるアンチスキッド制御時の車体速度の推定方法を応用して車体速度を推定する方法がある。すなわち、車体の前後加速度を検出するセンサを設け、四輪の車輪がスリップしている場合は前記前後加速度に従って車体速度を変化させることで車体速度を推定する。これにより平坦路では、精度の良い車体速度の推定が行える(図6参照)。
【0007】
しかしながら、アンチスキッド制御での車体速推定方法にあっては、前後加速度センサを使用するため、路面が急勾配である場合などでは、路面勾配の影響が前後加速度センサにでることにより、正しい車体速度の変化量を計測することができないという課題がある。例えば、路面μの小さい急な下り勾配の路面で急加速して四輪が駆動スリップした場合に駆動力制御を行うと、前後加速度センサの出力は、実際の車体速の変化量より小さくなるため、推定車体速度は実際の値より小さくなり、車両が失速するという問題があった(図7参照)。
【0008】
このような問題に対し、アンチスキッド制御装置同様に、一部の車輪を一時的にスリップしない状態に戻すことにより真の車体速度に近づけ、それにより推定の誤差を修正する方法が考えられる。しかしながら、このような制御を行う場合、実際に車輪速の変動が大きくなり、車体の前後加速度の変動を招くなど加速感が悪化するという問題がある(図8参照)。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、路面勾配を推定し、路面勾配に応じて前後加速度検出手段の検出した前後加速度を補正し、その補正値により車体速を推定することで、路面勾配による誤差影響を排除した高精度の車体速度の推定を行え、駆動力制御性能を向上させることのできる四輪駆動車の駆動力制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決手段は、下記の通りである。
【0012】
請求項1記載の発明では、四輪駆動車の車輪の駆動スリップを制御する駆動力制御装置において、車両に発生する前後加速度を推定又は検知する前後加速度検出手段と、各車輪のスリップ状態が収束状態にあると判断する車輪スリップ収束状態判断手段と、前記車輪スリップ収束判断手段の判断に応じて各車輪速のうち最も車体速度に近いセレクト車輪速の変化量を算出するセレクト車輪速変化量算出手段と、前記セレクト車輪速変化量算出手段が算出するセレクト車輪速変化量と前記前後加速度検出手段が検出した前後加速度の差により路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、前記路面勾配推定手段の推定した路面勾配を考慮して、前記前後加速度検出手段の検出した前後加速度を補正し、その補正値より車体速度を推定する車体速推定手段と、前記車体速推定手段による推定車体速を用いた駆動スリップ判定に基づき各輪から路面に伝達される駆動力を制御する駆動力制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記駆動力制御手段を、エンジンへの燃料カットによるエンジン出力制御、スロットル開度調整によるエンジン出力制御、ブレーキによる制動力制御の少なくとも1つを用いて駆動力を制御する手段としたことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記前後加速度検出手段を、車体に作用する前後加速度を直接検出する前後加速度計を用いる手段としたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記車輪スリップ収束判断手段を、少なくとも車体速度推定値より設定した目標車輪速と各輪の車輪速との偏差が設定値以内に収まっているか否かにより車輪スリップの収束状態を判断する手段としたことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし3の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記車輪スリップ収束判断手段を、少なくとも車体速度推定値より設定した目標車輪速と各輪の車輪速の平均値との偏差が設定値以内に収まっているか否かにより車輪スリップの収束状態を判断する手段としたことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明では、請求項1ないし5の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記車体速推定手段を、路面勾配推定手段により推定された路面勾配が設定値以上の場合に、前後加速度検出値より路面勾配を加減することにより真の車体速変化量を算出し、該真の車体速変化量に応じて車体速を推定する手段としたことを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明では、請求項1ないし5の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記車体速推定手段を、路面勾配推定手段により推定された路面勾配が設定値以上の場合に、この状態が継続される時間をカウントし、そのカウントに応じてオフセット量を前後加速度検出値に加減することにより前後加速度を補正し、この補正後の前後加速度に応じて車体速を推定する手段としたことを特徴とする。
【0019】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、前後加速度検出手段において、車両に発生する前後加速度が推定又は検知され、車輪スリップ収束状態判断手段において、各車輪のスリップ状態が収束状態にあると判断され、セレクト車輪速変化量算出手段において、車輪スリップ収束判断手段の判断に応じて各車輪速のうち最も車体速度に近いセレクト車輪速の変化量が算出され、路面勾配推定手段において、セレクト車輪速変化量算出手段が算出するセレクト車輪速変化量と前後加速度検出手段が検出した前後加速度の差により路面の勾配が推定され、車体速推定手段において、路面勾配推定手段の推定した路面勾配を考慮して、前後加速度検出手段の検出した前後加速度が補正され、その補正値より車体速度が推定され、駆動力制御手段において、車体速推定手段による推定車体速を用いた駆動スリップ判定に基づき各輪から路面に伝達される駆動力が制御される。
【0020】
例えば、路面μの小さい急な下り勾配の路面で急加速して四輪が駆動スリップした場合に駆動力制御を行うと、検出される前後加速度は、実際の車体速の変化量より小さくなるため、推定車体速は実際の値より小さくなり、車両が失速するという問題があるが、推定した路面勾配を考慮して検出した前後加速度を補正することで、路面勾配による影響が排除され、車体速の推定情報である前後加速度情報を、実際の前後加速度値との一致性が高い情報にすることができる。
【0021】
このように、四輪駆動車に駆動スリップを抑制する駆動力制御装置を組み合わせる場合、推定した路面勾配を考慮して検出した前後加速度を補正し、その補正値より車体速度を推定することで、路面勾配による誤差影響を排除した高精度の車体速度の推定を行え、駆動力制御性能を向上させることのできる。
【0023】
ここで、検出される前後加速度と路面勾配との関係は、下り勾配の路面では実際の正しい前後加速度より検出される前後加速度が小さくなり、逆に、上り勾配の路面では実際の正しい前後加速度より検出される前後加速度が大きくなるという定まった関係にある。よって、実際の正しい前後加速度と検出される前後加速度とが解っていれば、路面勾配を推定することができる。一方、駆動スリップの無い走行状況では、車輪速と車体速とは一致する。
【0024】
そこで、スリップ収束判断に応じて各車輪速のうち最も車体速度に近いセレクト車輪速の変化量を算出し、この算出されたセレクト車輪速変化量と前後加速度検出手段が検出した前後加速度の差をとることにより路面勾配を精度良く推定することができる。
【0025】
請求項2記載の発明にあっては、エンジンへの燃料カットによるエンジン出力制御、スロットル開度調整によるエンジン出力制御、ブレーキによる制動力制御の少なくとも1つを用いて駆動力が制御される。
【0026】
請求項3記載の発明にあっては、車体に作用する前後加速度を直接検出する前後加速度計を用いて前後加速度が検出される。
【0027】
よって、推定により前後加速度をを求める場合に比べ、車体に作用する前後加速度を正確に検出することができる。
【0028】
請求項4記載の発明にあっては、車輪スリップ収束判断手段において、少なくとも車体速度推定値より設定した目標車輪速と各輪の車輪速との偏差が設定値以内に収まっているか否かにより車輪スリップの収束状態が判断される。
【0029】
請求項5記載の発明にあっては、車輪スリップ収束判断手段において、少なくとも車体速度推定値より設定した目標車輪速と各輪の車輪速の平均値との偏差が設定値以内に収まっているか否かにより車輪スリップの収束状態が判断される。
【0030】
請求項6記載の発明にあっては、車体速推定手段において、路面勾配推定手段により推定された路面勾配が設定値以上の場合に、前後加速度検出値より路面勾配を加減することにより真の車体速変化量が算出され、該真の車体速変化量に応じて車体速が推定される。
【0031】
請求項7記載の発明にあっては、車体速推定手段において、路面勾配推定手段により推定された路面勾配が設定値以上の場合に、この状態が継続される時間がカウントされ、そのカウントに応じてオフセット量を前後加速度検出値に加減することにより前後加速度が補正され、この補正後の前後加速度に応じて車体速が推定される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
まず、構成を説明する。
【0034】
図1は参考発明を示す概念図であり、aは前後加速度検出手段、bは車体速推定手段、cは駆動力制御手段、gは路面勾配推定手段である。また、図2は請求項1に係る発明を示す概念図であり、aは前後加速度検出手段、bは車体速推定手段、cは駆動力制御手段、dは車輪スリップ収束判断手段、fはセレクト車輪速変化量算出手段、gは路面勾配推定手段である。
【0035】
(実施の形態1)
次に、実施の形態1について説明する。
【0036】
図3は実施の形態1における四輪駆動車の駆動力制御装置が適用された駆動系を含む全体システム図である。実施の形態1の駆動力制御装置が適用される車両は後輪駆動ベースの四輪駆動車で、その駆動系には、エンジン1、フロントファイナルドライブ2、リアファイナルドライブ3、トランスファー4、左右前輪10,20、左右後輪30,40を備えていて、各後輪30,40へはトランスミッションを経過してきたエンジン駆動力が直接伝達され、各前輪10,20へは前記トランスファ4を介して伝達される。
【0037】
そして、駆動性能と操舵性能の両立を図りながら前後輪の駆動力配分を最適に制御する駆動力配分制御装置は、湿式多板クラッチ5の油圧を制御する油圧アクチュエータ6により左右前輪10,20に駆動力を伝達することで、二輪駆動状態から四輪駆動状態(リジッド四輪駆動)への制御を行う。左右前輪10,20、及び左右後輪30,40には、それぞれ車輪速を検知する車輪速センサ11,21,31,41が設置されており、各車輪速センサ11,21,31,41からの信号は、駆動状態を制御するコントローラ50に入力される。また、車両の前後方向加速度Xgを検知する前後加速度センサ7(前後加速度検出手段に相当)、及び横方向加速度Ygを検知する横加速度センサ8が備えられており、この各Gセンサの信号もコントローラ50に入力される。
【0038】
また、駆動力制御としてのエンジン出力の制御は、コントローラ50よりエンジン出力制御を行うエンジン用コントローラ51に目標駆動トルクTes指令がなされ、燃料カット及びスロットル開度を制御することで、エンジン出力が制御される。スロットル制御は、エンジン用コントローラ51からのスロットル開度指令に応じてスロットル用コントローラ52が行う。一方、コントローラ50は、ミッションを制御するAT用コントローラ53とつながっており、ギヤ位置の信号が入力される。また、エンジン用コントローラ51からはエンジンの駆動トルクTeも入力される。
【0039】
次に、作用を説明する。
【0040】
図4はコントローラ50により実行されるエンジン出力制御プログラムのフローチャートを示す。以下、各ステップについて詳述する。
【0041】
ステップ101では、各車輪速、前後加速度、横加速度、及び各コントロールユニットからの各種データを読み込む。つまり、前後加速度Xg、横加速度Yg、各車輪速Vwi(i=1〜4)、エンジン駆動トルクTe、ギヤ位置GRをそれぞれ読み込む。
【0042】
ステップ102では、セレクト車輪速Vfsを算出する。本例では、各輪の車輪速Vwに加速時/減速時などに応じてフィルタをかけ、より車体速度に近いVwfi(i=1〜4)を各輪で算出し、制動時/非制動時などの条件により、各Vwfiから例えば加速時などは最も小さい車輪速を選択するなどして最も車体速度に近いセレクト車輪速Vfsを算出する。特に四輪が駆動スリップし、駆動力制御が作動する状態では、前輪の車輪速の小さい方の車輪をある加速内で追従するようにVfsを算出する。ここで、前輪の車輪速の小さい方の車輪としたのは、本例での四輪駆動装置の特性により、前輪に配分される駆動力が後輪より小さい傾向にあるためであり、他の四輪駆動装置を使用する場合は、その四輪駆動装置にあったセレクトの方法があることは言うまでもない。
【0043】
ステップ103は、制御車輪速Vwtを算出する。本例では、ギヤ位置GRが1,2速の場合は四輪の平均車輪速を駆動制御の対象となる車輪速である制御車輪速Vwtとし、それ以上の3,4速は前輪の平均を制御車輪速Vwtとする。ここで、制御車輪速Vwtの算出も、前述したセレクト車輪速Vfs同様、使用する四輪駆動装置の特性にあったものがあり、例えば本実施例の四輪駆動装置では後輪が駆動スリップした後、前輪に駆動力が配分され後輪のスリップが抑制される。ギヤ位置がハイギヤ側の場合、前後のスリップのバランスは四輪駆動装置に任せ、その配分された駆動力で前輪に駆動スリップが発生した場合、前輪の平均車輪速を対象に制御すればよいが、ローギヤ側の場合、駆動トルクが大きいので、四輪がすぐにスリップ状態に入り、四輪駆動装置による駆動トルクの配分変動も大きくなるので、前輪の平均車輪速の変動も大きくなり、前輪のみを制御対象にすると、お互いの制御が干渉するなどの問題があり、四輪の平均車輪速を制御対象としている。四輪駆動力の配分が一定の四輪駆動装置では、その配分に応じた重みにより制御対象車輪速を算出しても良い。
【0044】
ステップ104では、車輪の収束判断を行う(車輪スリップ収束判断手段に相当)。本例では、後述する方法で算出された目標車輪速Vwsiと制御車輪速Vwtとの偏差がある設定値(例えば1km/h)以内にあるときは、車輪速は収束した状態にあるものと考え、収束判断カウンタKsuをカウントアップする。この収束判断カウンタKsuがある設定値(例えば150ms;制御周期が10msecの場合は15となる)以上になった場合を車輪速収束状態と判断する。
【0045】
ステップ105では、セレクト車輪速変化量dVfsを算出する。本例では、一定時間内(例えば40msec間)のセレクト車輪速Vfsの平均値の変化量として、次式に従いセレクト車輪速変化量dVfsを算出する。但し、次式は40msec間毎に算出される。
【0046】
dVfs=Kg*(VF[0]+VF[1]−VF[3]−VF[4])
ここで、VFはセレクト車輪速Vfsの平均値であり、10msec毎に次式に従い算出される。また、Kgは単位換算の計数である。
【0047】
VF=Kg*(Vfs[0]+Vfs[1]+Vfs[2]+Vfs[3])/4
ここで、[]内の数字は、何周期前の値であるかを示す。
【0048】
ステップ106では、路面勾配推定値dSを算出する(路面勾配推定手段に相当)。本例では、ステップ103で収束判断されている場合に、次式で路面勾配推定値dSを算出する。
【0049】
dS=dVfs−Xg
また、収束判断していない場合は、dS=0とする。
【0050】
ステップ107では、路面勾配推定値dSに応じて坂道判断を行う。本例では、路面勾配推定値dSが、ある設定値(例えば0.05g)以上のときに登坂路であると判断し、坂道判断カウンタKsaをカウントアップする。この坂道判断カウンタKsaは最大値を持ち、(例えば50)、路面勾配推定値が前記設定値以下になった場合はカウントダウンされる。
【0051】
ステップ108では、坂道判断に応じて前後加速度補正量dVhを算出する。本例では、坂道判断カウンタKsaを用い、Ksaが設定値以上(例えば15)の場合は、dVh=min((Ksa−15)*Kr,dVhmax)
とする。ここでKrはチューニング定数であり、例えば0.01などとする。また、設定値以下の場合は、dVh=0とする。また、dVhmaxは補正量の最大制限値であり、大きすぎる補正が行われないように設定される。
【0052】
ステップ109では、車体速変化量Vidを算出する(車体速変化量算出手段に相当)。本例では、前後加速度センサ値(加速側プラス)と前後加速度補正値及び最小制限値Vidminより次式に従って算出する。
【0053】
[加速判断時]
Vid=max(Xg+dVh,Vidmin)
ここで、Vidminは車体速変化量Vidの最小制限値であり、加速時でかつ駆動力制御中であることを考慮して設定される。本例では、例えば、0.05gとする。加速判断はセレクト車輪速Vfsと推定車体速Viの前回値との比較により判断し、Vfs≧Vi(前回値)の時に加速時と判断する。
【0054】
[減速判断時]
前後加速度センサ値にオフセットを加算した次式で算出する。
【0055】
Vid=Xg−G_offset
本例では、オフセットは市場にある一般的な坂道では、減速時にVidが正の値になることがないように0.3gとする。
【0056】
ステップ110では、推定車体速Viを算出する(車体速度推定手段に相当)。本例では、セレクト車輪速Vfs、車体速変化量Vid、推定車体速Viの前回値より次式に従い算出する。
【0057】
[加速時]
Vi=min(Vi(前回値)+Vid,Vfs)
[減速時]
Vi=max(Vi(前回値)+Vid,0)
つまり、Viの前回値に車体速変化量Vidを加算するものとする。ただし、加速時はVfsを最大制限値とし、減速時は0を下限値とする。このようにして推定車体速を算出することで、四輪駆動車で四輪が駆動スリップして駆動力制御が作動しているような状態であり、かつ、路面に勾配があるような車体速度推定が厳しい状況であっても、精度良く車体速推定が可能となる。
【0058】
次のステップからは、この推定車体速を用いた駆動力制御についての説明となる。
【0059】
まず、四輪駆動配分制御の制御量の算出を行う。ステップ111では、四輪駆動力配分装置により制御される差動力制限トルクTETSを算出する。本例では、以下に示すように各輪の車輪速より前後それぞれ平均車輪速Vff、Vrrを算出し、その差である前後回転数差△Vfrに応じて、差動制限トルクTETSを算出する。
【0060】
Vff=(Vw1+Vw2)/2
Vrr=(Vw3+Vw4)/2
△Vfr=Vrr−Vff
前後回転数差△Vfrから差動制限トルクTETSの算出は、図9に示す特性マップに従い算出する。なお、電子制御駆動力配分制御には、参考に添付する図11に示されるように、前後輪の回転数差の増加に応じて前輪への駆動力配分を増加するような他の制御も含まれるが、ここでは省略する。
【0061】
ステップ112では、駆動力制御の目標スリップ量Sstarを算出する。本例では、基準目標スリップ量SO(例えば2.5km/h)に対し、加減速の状態、直進又は旋回の判断、路面μの判断、駆動力制御の作動及び非作動などにより補正して目標スリップ量Sstarを設定する。
【0062】
ステップ113では、目標車輪速Vwsを算出する。本例では、ステップ110で求めた推定車体速Viとステップ112で設定した目標スリップ量Sstarより次式で算出する。
【0063】
Vws=Vi+Sstar
ステップ114では、目標駆動トルクTesを算出する。本例では、まずステップ113で求めた目標車輪速Vwsとステップ103で求めた制御車輪速Vwtとの偏差を次式で算出する。
【0064】
ε=Vws−Vwt
さらに、この偏差εに応じてF/B制御(ここではPID制御)の指令値である目標駆動トルクTesを次式で算出する。
【0065】
[駆動力制御非作動時]
Tes=Te
[駆動力制御作動時]
Tes=Kp*ε+Kd*dε/dt+Ki*∫εdt
ここで、Kp、Kd、KiはそれぞれF/Bゲインであり、ギヤなどにより変更される。例えば、ギヤ位置に応じてローギヤほどゲインを大きく、ハイギヤほどゲインを小さくする。また、車輪速偏差εに応じてεが大きい程、応答性向上のために、ゲインを大きく(非線形制御)したり、スリップの収束側では、際スリップ防止のために、ゲインを下げるなどとしても良い。
【0066】
ステップ115では、各駆動信号を出力する。つまり、駆動力配分制御装置には、目標差動制限トルクTETSに対応した電圧指令値を出力する。また、エンジン用コントローラ51には、目標駆動トルクTesを出力する。
【0067】
本実施の形態においては、エンジン用コントローラ51は、駆動力制御用のコントローラ50からの目標トルクTesを入力し、その目標値に応じて、燃料カット及びスロットル開度を制御することでエンジン出力指令が制御する。スロットル制御は、エンジン用コントローラ51からのスロットル開度指令に応じてスロットル用コントローラ52が行う。
【0068】
図10は本制御を行った場合の作用を示す時系列グラフ(タイムチャート)である。
【0069】
すなわち、図7の場合と同様に、急な下り坂での発進加速時に車体速度の推定値が実際の車体速度より小さく推定されることで若干の加速度の減少は発生するが、車輪速の収束判断及びそれに続く坂道判断により前後加速度の補正が開始され、推定車体速Viを大きい方に修正するので加速度を復帰させることができる。これにより、加速不良が解消され、加速性能が向上する。
【0071】
実施の形態1では、四輪駆動車として前後輪の差動量に応じて前後輪の駆動力配分比を可変に制御する電子制御トルクスプリット型四輪駆動車への適用例を示したが、固定の駆動力配分比により四輪駆動車やビスカスカップリングを用いた四輪駆動車やオリフィスカップリングを用いた四輪駆動車など、様々なタイプの四輪駆動車に対し本願発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明を示す概念図である。
【図2】請求項2に係る発明を示す概念図である。
【図3】実施の形態1の四輪駆動車の駆動力制御装置が適用された全体システム図である。
【図4】実施の形態1の駆動力制御処理を表すフローチャートである。
【図5】極低μ路での推定車体速を示すタイムチャートである。
【図6】平坦路での推定車体速を示すタイムチャートである。
【図7】下り坂での推定車体速を示すタイムチャートである。
【図8】一部の車輪を一時的にスリップしない状態とする場合の推定車体速を示すタイムチャートである。
【図9】実施の形態1での差動制限トルクTETSと前後回転数差△Vfrとの関係を示す特性マップである。
【図10】実施の形態1の制御を下り坂で行った場合の作用を表すタイムチャートである。
【図11】駆動力配分制御の参考として制御例である前後回転数差及び前輪へのトルク配分量との関係を表す特性マップである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 フロントファイナルドライブ
3 リヤファイナルドライブ
4 トランスファ
5 湿式多板クラッチ
6 油圧アクチュエータ
7 前後加速度センサ
8 横加速度センサ
11,21,31,41 車輪速センサ
50 コントロールユニット
51 エンジンコントロールユニット
52 スロットルコントロールユニット
53 A/Tコントロールユニット

Claims (7)

  1. 四輪駆動車の車輪の駆動スリップを制御する駆動力制御装置において、
    車両に発生する前後加速度を推定又は検知する前後加速度検出手段と、
    各車輪のスリップ状態が収束状態にあると判断する車輪スリップ収束状態判断手段と、
    前記車輪スリップ収束判断手段の判断に応じて各車輪速のうち最も車体速度に近いセレクト車輪速の変化量を算出するセレクト車輪速変化量算出手段と、
    前記セレクト車輪速変化量算出手段が算出するセレクト車輪速変化量と前記前後加速度検出手段が検出した前後加速度の差により路面の勾配を推定する路面勾配推定手段と、
    前記路面勾配推定手段の推定した路面勾配を考慮して、前記前後加速度検出手段の検出した前後加速度を補正し、その補正値より車体速度を推定する車体速推定手段と、
    前記車体速推定手段による推定車体速を用いた駆動スリップ判定に基づき各輪から路面に伝達される駆動力を制御する駆動力制御手段と、
    を備えていることを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
    前記駆動力制御手段を、エンジンへの燃料カットによるエンジン出力制御、スロットル開度調整によるエンジン出力制御、ブレーキによる制動力制御の少なくとも1つを用いて駆動力を制御する手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
    前記前後加速度検出手段を、車体に作用する前後加速度を直接検出する前後加速度計を用いる手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
    前記車輪スリップ収束判断手段を、少なくとも車体速度推定値より設定した目標車輪速と各輪の車輪速との偏差が設定値以内に収まっているか否かにより車輪スリップの収束状態を判断する手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  5. 請求項1ないし3の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
    前記車輪スリップ収束判断手段を、少なくとも車体速度推定値より設定した目標車輪速と各輪の車輪速の平均値との偏差が設定値以内に収まっているか否かにより車輪スリップの収束状態を判断する手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
    前記車体速推定手段を、路面勾配推定手段により推定された路面勾配が設定値以上の場合に、前後加速度検出値より路面勾配を加減することにより真の車体速変化量を算出し、該真の車体速変化量に応じて車体速を推定する手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  7. 請求項1ないし5の何れか1項に記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
    前記車体速推定手段を、路面勾配推定手段により推定された路面勾配が設定値以上の場合に、この状態が継続される時間をカウントし、そのカウントに応じてオフセット量を前後加速度検出値に加減することにより前後加速度を補正し、この補正後の前後加速度に応じて車体速を推定する手段としたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
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