JP4395975B2 - エンジンの過給圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの過給圧制御装置、特に、タービンに作用する排気ガス流速を可動ベーンによって変更可能な排気ターボ過給機を備えたエンジンの過給圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気ターボ過給機を備えたエンジン、特にディーゼルエンジンにおいて、特に低負荷領域で空気過剰率を高めて、排気エミッションやスモークを改善するため、排気ターボ過給機を、タービンに作用する排気ガス流速を変更可能な可動ベーンを備え、該可動ベーンを駆動する負圧アクチュエータを負圧源に連通する負圧通路に配置した制御弁をエンジンの運転状態に応じて制御することにより、可動ベーンの角度を制御するよう構成したものが従来から知られている。このようにタービンに作用する排気ガス流速を可動ベーンによって変更可能とした排気ターボ過給機を、例えばVGT(バリアブル・ジオメトリ・ターボ)と称している。特開平10−47070号公報には、このVGTに関し、始動開始から一定期間、VGT負圧アクチュエータへの負圧導入を許容し、VGTのタービンノズル面積を最小面積より大きくなるよう制御するものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
VGTは、特にディーゼルエンジンに使用されるもので、VGTの可動ベーンを駆動する負圧アクチュエータをエンジンによって駆動されるバキュームポンプに連通し、バキュームポンプを負圧源として駆動するのが普通である。ところが、エンジンによって駆動されるバキュームポンプは、ブレーキ用の真空倍力装置の負圧源としても利用するものであって、例えばエンジン始動直後でバキュームポンプに十分な負圧が発生していない状態で、VGT用の負圧アクチュエータと真空倍力装置とが同時に作動すると、真空倍力装置を作動させるための負圧が不足して、ブレーキ性能を確保できなくなることが考えられる。VGTは、排圧に打ち勝って可動ベーンを所定の角度に維持することが必要で、大型の負圧アクチュエータを使用するため、同一のバキュームポンプを負圧源とする真空倍力装置への影響が大きい。
【0004】
そこで、VGTを備えたエンジンにおいて、VGTと真空源を同じくする真空倍力装置のための負圧不足を防止し、ブレーキ性能を確保することが課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するようエンジンの過給圧制御装置を構成するものである。すなわち、この発明によるエンジンの過給圧制御装置は、排気ガスのエネルギーによってタービンが回転しブロワを駆動してエンジンを過給する排気ターボ過給機を備え、該排気タービン過給機は、上記タービンに作用する排気ガス流速を変更可能な可動ベーンを備え、該可動ベーンを駆動する負圧アクチュエータと、該負圧アクチュエータと負圧源とを連通する負圧通路に配置された制御弁を介しエンジンの運転状態に応じて上記可動ベーンを制御する可動ベーン制御手段を備え、上記負圧源にブレーキ用の真空倍力装置が接続されるエンジンの過給圧制御装置において、上記負圧源に上記真空倍力装置の機能を確保できる負圧が発生するまでは、運転状態に拘わらず上記負圧アクチュエータに対する上記負圧源からの負圧の導入を制限する負圧導入制限手段を設けたことを特徴とする。
【0006】
この場合、VGT用の負圧アクチュエータと真空倍力装置が同時に作動しても真空倍力装置の機能を確保できる負圧が、真空源に発生して初めて、VGTの可動ベーン駆動用の負圧アクチュエータに対する上記負圧源からの負圧の導入が許容されることになり、例えばエンジン始動直後のようにバキュームポンプに十分な負圧が発生していない状態では、VGT用の負圧アクチュエータへの負圧の導入が制限されるので、真空倍力装置のための負圧不足を防止し、ブレーキ性能を確保することができる。
【0007】
上記負圧導入制限手段は、例えば、エンジン始動後所定期間経過するまでは上記負圧アクチュエータに対する負圧の導入を制限するものであってよく、また、エンジン回転数が所定回転数に達するまでは上記負圧アクチュエータに対する負圧の導入を制限するものであってよい。
【0008】
また、上記負圧アクチュエータは、該負圧アクチュエータに負圧が導入された時に上記可動ベーンの角度が上記タービンに作用する排気ガス流速を高めて過給効果を増大させる角度となり、該負圧アクチュエータに対する負圧の導入が制限されることによって過給効果を低減させる角度となるよう、上記可動ベーンとの関係を設定するのがよく、そうすることにより、VGT用の負圧アクチュエータに対する負圧の導入を制限している状態で例えばエンジンが加速して高負荷域に入った場合に、過給が過剰となるのを防止することができ、エンジンの信頼性を確保できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は実施の形態の一例の全体系統図、図2は排気ターボ過給機の可動ベーン機構を示す要部拡大断面図、図3は制御系統図、図4は制御領域図、図5はEGRフィードバック補正値演算のテーブル特性図、図6は始動後のVGT負圧導入禁止の制御を示すタイムチャート、図7はVGTフィードバック補正の積分項演算のテーブル特性図、図8はVGTフィードバック補正の比例項と微分項とを足した値を対象とする不感帯設定の説明図、図9はVGTフィードバック補正の比例項および微分項演算のための不感帯設定のマップ特性図、図10はVGTフィードバック制御のメインルーチンを示すフローチャート、図11は実施の形態におけるVGTフィードバック制御の補正項演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0011】
この実施の形態のエンジンは、自動車用の多気筒直噴式ディーゼルエンジンで、図1において、1はエンジン本体である。また、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃料噴射弁、6はグロープラグ、7は吸気弁、8は排気弁である。吸気弁7および排気弁8は、各気筒にそれぞれ2個づつ設けられている(図1では一方の吸気弁7と排気弁8のみが示されている)。
【0012】
エンジン本体1の一側には吸気通路10が延設されている。そして、吸気通路10は、途中にサージタンク11を有し、サージタンク11よりも上流側が各気筒に共通の共通吸気通路12とされて、その上流側から下流側へ順次、エアクリーナ13、空気量検出手段としてのエアフローメータ14、排気ターボ過給機15のブロア15a、インタークーラ16、過給圧検出手段としての吸気圧センサ17、吸気絞り弁18が配設されている。
【0013】
吸気絞り弁18は、全閉時でも共通吸気通路12を完全には閉じないで、所定の小さな有効開口面積でもって共通吸気通路12を開通させておくように設定されている。
【0014】
サージタンク11と各気筒とは、個々の独立吸気通路19によりそれぞれ独立して接続されている。そして、気筒毎のそれら独立吸気通路19は、それぞれが隔壁19cによって並列な2本の分岐独立吸気通路19a、19bに区画されている。上記各気筒の2個の吸気弁7は、これら気筒毎の2本の分岐独立吸気通路19a、19bをそれぞれ開閉する。
【0015】
各気筒の独立吸気通路19は、一方の分岐独立吸気通路19aが、燃焼室内で吸気のスワールを生成すべく、略シリンダ接線方向に指向するように燃焼室内に開口され、他方の分岐独立吸気通路19bには、スワール弁20が配設されている。スワール弁20が閉じられたとき、上記他方の分岐独立吸気通路19bが完全に閉じられ、吸気は上記一方の分岐独立吸気通路19aにのみ流れて、勢いよく燃焼室へと供給され、それにより、吸気流動が大となり、スワールが強化される。
【0016】
エンジン本体1には、また、上記吸気通路10とは反対側に排気通路21が延設され、該排気通路21には、その上流側から下流側へ向け順次、排気ターボ過給機15のタービン15b,排気ガス浄化用の触媒装置(プレキャタ)22が配設されている。エンジンの排気ガスは、上記触媒装置22を経由した後、排気ガス浄化用のもう一つの触媒装置(メインキャタ)およびサイレンサ(共に図示せず)を経て、大気へ排出される。
【0017】
排気ターボ過給機15は、ブロア15aとタービン15bの各ホイールが、軸15cを介して一体回転するように連結されている。この排気ターボ過給機15は、可変ベーン機構を備えた所謂VGTで、後述するように、過給能力(過給効率)を連続的に変更可能である。
【0018】
吸気通路10と排気通路21の間には、所定運転状態において排気通路21から排気ガスの一部を共通吸気通路12へと還流するEGR通路23が設けられ、該EGR通路の途中には、EGR量(排気ガス還流量)を調整可能とするようEGRバルブ24が配設されている。EGR通路23は、排気通路21に対しては、タービン15bの上流側に開口するEGRガス取入口23aにて接続し、共通吸気通路12に対しては、吸気絞り弁18とサージタンク11との間に開口するEGRガス導入口23bにて接続する。また、EGR通路23の外周には、EGRバルブ24よりも排気通路21側で、所定長さに亙ってEGRガス冷却用の冷却フィン25が形成されている。
【0019】
上記吸気絞り弁18、スワール弁20、排気ターボ過給機15の可変ベーン機構は、いずれも負圧応動式で駆動するもので、そのため、吸気絞り弁18に負圧アクチュエータ31が連結され、スワール弁20に別の負荷アクチュエータ32が連結され、また、排気ターボ過給機15の可変ベーン機構には、さらに別の負圧アクチュエータ33が連結されている。また、EGRバルブ24も、負圧応動式で、それ自体が負圧アクチュエータ24aを備えている。
【0020】
そして、負圧源として、エンジンにより駆動されるバキュームポンプ34が設けられ、このバキュームポンプ34に、上記各負圧アクチュエータ31〜33およびEGRバルブ24の負圧アクチュエータ24aが連通されている。
【0021】
すなわち、バキュームポンプ34によって常時負圧とされた負圧供給用通路35に対して、負圧通路36を介して吸気絞り弁18駆動用の負圧アクチュエータ31が接続され、その負圧通路36の途中には、電磁式の切換弁37が配設されている。この切換弁37は、負圧アクチュエータ31に対して負圧を供給し吸気絞り弁18を閉とするよう、負圧通路35を負圧供給用通路35に接続する状態と、負圧アクチュエータ31を大気へ開放して吸気絞り弁18を開とするよう負圧通路35と負圧供給用通路35との接続を遮断する状態とに、オン、オフ式に切換える。
【0022】
また、上記負圧供給用通路35に対して、負圧通路38を介してスワール弁20駆動用の負圧アクチュエータ32が接続され、その負圧通路38の途中に電磁式の切換弁39が接続されている。この切換弁39は、負圧アクチュエータ32に対して負圧を供給しスワール弁20を閉とするよう、負圧通路38を負圧供給用通路35に接続する状態と、負圧アクチュエータ32を大気へ開放してスワール弁20を開とするよう負圧通路38と負圧供給用通路35との接続を遮断する状態とに、オン、オフ式に切換える。
【0023】
また、上記排気ターボ過給機15の可変ベーン機構を駆動する負圧アクチュエータ33は、デューティ制御される電磁式の調整弁40によって連続可変式に作動負圧が調整される。調整弁40は、三方弁であって、負圧通路41を介して負圧アクチュエータ33に接続されるとともに、他の負圧通路42を介して負圧供給用通路35に接続され、さらに大気圧通路43を介して、エアクリーナ13から延びる大気圧供給用通路44に接続されている。また、負圧供給用通路35に接続する負圧通路42には、負圧貯溜室45が配設されている。
【0024】
そして、調整弁40によって、負圧アクチュエータ33側の負圧通路41の、負圧供給用通路35側の負圧通路42と、大気圧供給用通路44側の大気圧通路43とに対する連通度合を連続可変式に変更することにより、排気ターボ過給機15の可変ベーン機構が制御され、過給能力が連続可変式に変更される。
【0025】
また、上記調整弁40をバイパスして、負圧アクチュエータ33側の負圧通路41を大気供給用通路44に接続するバイパス通路46が設けられ、このバイパス通路46には、電磁式の開閉弁47が接続されている。
【0026】
上記負圧アクチュエータ33は、供給される負圧が大きいほど過給能力が高くなるように可変ベーン機構を駆動するよう設定されたもので、上記開閉弁47を開くことにより、負圧アクチュエータ33に作用する負圧が下がり、排気ターボ過給機15の過給能力が応答よく一気に低下する。
【0027】
EGRバルブ24は、デューティ式の二つの調整弁50、51によって開度調整されるもので、一方の調整弁50は三方弁とされて、負圧通路52を介してEGRバルブ24の負圧アクチュエータ24aに接続されるとともに、他の負圧通路53を介して負圧供給用通路35に接続され、また、大気圧通路54を介して大気供給用通路44に接続されている。また、もう一つの調整弁51は、負圧供給用通路35側の上記負荷通路53に接続されている。
【0028】
そして、上記一方の調整弁50によって、負圧アクチュエータ24a側の負圧通路52の、負圧供給用通路35側の負圧通路53と大気圧通路54とに対する連通度合が連続可変式に変更され、もう一つの調整弁51によって、上記一方の調整弁50へ供給される負圧の大きさが連続可変式に調整される。
【0029】
EGRバルブ24の負圧アクチュエータ24aは、供給される負圧が大きいほどEGRバルブ24の開度が大きくし、EGR量を増大させるもので、上記一方の調整弁50によって負圧アクチュエータ24a側の通路52を大気供給用通路54のみに接続することにより、EGRバルブ24が応答よく一気に閉弁される。
【0030】
また、図1において、55はブレーキ用の真空倍力装置である。真空倍力装置55は、やはり上記バキュームポンプ34を負圧源とするよう接続されている。
【0031】
図2は、排気ターボ過給機15の可変ベーン機構の要部を示すものである。図2において、61はスクロール部であり、タービン15bのホイール周囲に、周方向等間隔に多数の可動ベーン62が配設されている。各可動ベーン62は、それぞれの回転軸63を中心に揺動可能で、揺動しベーン角度が変わることによって、排気ガスのタービン15bに対する流入方向を変える。そして、可動ベーン62が、例えば図2の波線で示す角度位置にあるときには、図2の実線で示す角度位置にあるときに比べて、タービン15bに作用する排気ガス流速が増大し、、過給効率が増大する。その可動ベーン62の角度位置が、前述した負圧アクチュエータ33によって変更されるのである。
【0032】
図3は、制御系統例を示すものであり、図中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラである。このコントローラUには、前述したエアフローメータ14からの実際の空気量を示す信号、吸気圧センサ17からの吸気圧を示す信号が入力される他、アクセル開度センサS1からのアクセル開度を示す信号、およびエンジン回転数センサS2からのエンジン回転数を示す信号が入力される。また、コントローラUからは、前述した各電磁式の弁37、39、40、47、50、51に対して所定の制御信号が出力される。
【0033】
次に、コントローラUによる制御の概要について説明する。
【0034】
この実施の形態の制御では、図4に示すように、エンジン回転数とエンジン負荷(燃料噴射量)とをパラメータとして、エンジンの運転領域をX1〜X4の4つの領域に分けている。領域X1、X2、X3、X4は、その順に、低回転、低負荷側から高回転、高負荷側となるように設定されたものである。吸気絞り弁18およびスワール弁20の開閉制御、EGR制御、過給圧制御は、それぞれ、領域X1〜X4に対し次のように設定されている。
【0035】
吸気絞り弁18およびスワール弁20の制御では、領域X1では、吸気絞り弁18およびスワール弁20はそれぞれ閉とされ、領域X2〜X4では、それぞれ開とされる。
【0036】
EGR制御では、領域X1とX2では、エアフローメータ14で検出される実際の空気量が目標空気量となるように、EGRバルブ24の開度がフィードバック制御される。また、領域X3とX4では、EGRが停止される。
【0037】
過給圧制御では、全領域X1〜X4で過給が行われるが、領域X4では、吸気圧センサ17で検出される実際の過給圧が目標過給圧となるように、排気ターボ過給機15の可動ベーンの角度位置がフィードバック制御される。また、領域X1〜X3では、実際の過給圧が目標過給圧となるように、オープンループ制御される。
【0038】
EGR制御は、所謂エアフロー・フィードバックEGRで、上述のように、エアフローメータ14で検出される実際の空気量が目標空気量となるように、EGRバルブ24の開度をフィードバック制御する。エミッション改善の要求に沿ってNOxを最大限低減するには、EGR量を増やす必要があるが、EGR量が増えると、その分新気の入る量が減ることになって、失火等の問題が発生するため、新気吸入量すなわちエアフローメータ14で検出される空気量に目標値を設定して、その目標空気量となるように、EGRバルブ24の開度をフィードバック制御するのである。
【0039】
そして、そのEGRフィードバック制御においては、実際の空気量と目標空気量との偏差が所定値よりも小さい状態では、フィードバック補正値の更新を行わないよう、図5に示すように不感帯が設定され、不感帯ではフィードバック補正値として前回値がそのままホールドされる。そして、この不感帯は、吸気脈動の大きさに関連したパラメータに基づいて変更され、吸気脈動が大きいほど不感帯が拡大される。例えば、吸気絞り弁18が開弁されたとき(スワール弁20が開弁されたとき)は、閉弁されているときに比して吸気脈動が大きいとして、不感帯が拡大されるのである。
【0040】
EGRフィードバック制御は、不感帯を設定した上記図5のマップによってフィードバック補正値を演算する。図5は、横軸に実際の空気量から目標空気量を差し引いた偏差DAFSをとり、縦軸にフィードバック補正値(EGRバルブ24の開度補正値)に相当するデューティ制御値(Duty)を設定するものであって、上記偏差DAFSがプラスの値で大きいときは、実際の空気量が多すぎるということで、このときはフィードバック補正値(デューティ制御値)を大きくする(フィードバック補正値が大きくなると、EGRバルブ24の開度が大きくなる)。また、逆に、上記偏差DAFSがマイナスの値で大きいときは、実際の空気量が少なすぎるということで、このときはフィードバック補正値を小さくする(フィードバック補正値が小さくなると、EGRバルブ24の開度が小さくなる)。偏差DAFSが、図5に示す不感帯範囲となるような小さな値のときは、フィードバック補正値は前回値にホールドする。
【0041】
領域X1は、EGRガス量の増大が要求される領域であり、このため吸気絞り弁18が閉じられ(吸気通路12の有効開口面積が最小となる)、EGR量増大に伴う燃焼性確保のためにスワール弁20が閉じられて吸気流動が強化される。目標空気量は、例えば燃料噴射量とエンジン回転数とに応じてあらかじめ設定されたマップに照合して決定されるが、吸気絞り弁18が閉じられたとき、目標空気量が減量される(小さい値に変更される)。その際の目標空気量の減量分は、吸気絞り弁18が閉じられたことによる実際の空気量の減量分相当である。吸気通路12を流れることのできる最大空気量は、吸気絞り弁18の開度が小さいほど小さくなる。そこで、吸気絞り弁18が全開のときに確保可能な最大空気量と、吸気絞り弁18が全閉のときに確保可能な最大空気量との差分が、上記目標空気量の減量分とされるのである。
【0042】
過給圧制御では、上述のように、図4に示す領域X4で、吸気圧センサ17で検出される実際の過給圧が目標過給圧となるように、実過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて排気ターボ過給機15の可動ベーン62の角度位置をフィードバック制御し、領域X1〜X3では、実際の過給圧が目標過給圧となるように、オープンループ制御するが、例えばエンジン始動直後でバキュームポンプに十分な負圧が発生していない状態で、VGT用の負圧アクチュエータ33と真空倍力装置55とが同時に作動すると、真空倍力装置55を作動させるための負圧が不足して、ブレーキ性能を確保できなくなるため、そうした始動直後等で、負圧源であるバキュームポンプに十分な負圧が発生していない状態では、運転状態に拘わらずVGT用の負圧アクチュエータ33に対するバキュームポンプ34からの負圧の導入を禁止する。例えば、図6に示すように、エンジ回転数(Ne)が始動回転数に達したときに、禁止タイマーをセットし、一定期間(図6の例では8秒間)フラグを立てて負圧導入を禁止する。また、タイマーの代わりに、エンジン回転数が所定回転数に達するまではVGT用の負圧アクチュエータ33に対する負圧導入を禁止するものであってよい。さらに、真空倍力装置55に負圧センサを付けて、真空倍力装置55に所定の負圧が得られたかどうかを直接検知し、所定の負圧が得られるまではVGT用の負圧アクチュエータ33に対する負圧導入を禁止するようにしてもよい。また、いずれの場合も、VGT用の負圧アクチュエータ33に対する負圧導入を完全に禁止するのではなく、所定の制限を加えるものであってもよい。なお、この例では、実過給圧と目標過給圧との偏差に基づくフィードバック制御は領域X4のみで行うようにしているが、全領域(X1〜X4)で行ってもよい。
【0043】
VGT用の負圧アクチュエータ33は、該負圧アクチュエータ33に負圧が導入された時に可動ベーン62の角度がタービン15bに作用する排気ガス流速を高めて過給効果を増大させる角度となり、該負圧アクチュエータ33に対する負圧の導入が禁止ないし制限された時には過給効果を低減させる角度となるよう、可動ベーン62との関係が設定されている。そのため、VGT用の負圧アクチュエータ33に対する負圧の導入を禁止ないし制限している状態で例えばエンジンが加速して高負荷域に入っても、過過給が発生することはない。
【0044】
VGTフィードバック制御では、上述のように実過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて排気ターボ過給機15の可動ベーン62の角度位置をフィードバック制御するが、その際、フィードバック補正項として積分項(I値)、比例項(P値)および微分項(D値)を演算し、それら積分項、比例項および微分項を足して最終のフィードバック補正項を設定する。そして、積分項は、上記偏差に基づいて例えば図7に示すような特性のテーブルから演算し、比例項および微分項もまた、それぞれのテーブルから演算する。また、その際、積分項演算のテーブルには、実過給圧と目標過給圧との偏差が所定値以下であるときは補正値を前回値に固定するよう、不感帯を設定し、また、比例項および微分項についても、同様に不感帯を設定する。そして、その不感帯は、積分項については常時一定幅に設定するが、比例項および微分項については、エンジンの運転状態に応じて不感帯の幅を変えるものとする。つまり、積分項は、VGTのバラツキ等の補正を狙った補正項であって、運転状態の変化を追いかけるものではないので、運転状態に拘わらず不感帯は一定の幅に固定し、それに対し、比例項と微分項は、運転状態が変わる過渡状態においてハンチングを抑制し、収束性を高めるのに効いてくる補正項であり、そうした運転状態の変化を追いかける補正項であることから、比例項および微分項については、運転状態に応じて不感帯の幅を変え、最適な不感帯を設定するのである。そして、その比例項と微分項の演算における不感帯は、図8に示すように、比例項と微分項を足した値を対象として、その比例項と微分項を足した値について設定する不感帯の幅を、図9に示すように、低回転、低負荷側では小さく、高回転、高負荷側では大きくするのである。図9は、横軸をエンジン回転数(Ne)とし、縦軸を燃料噴射量(QCONT)として、矢印の方向に不感帯が大きくなるマップ特性を示したものである。
【0045】
上記VGTフィードバック制御は、例えば図10に示すフローチャートによって実行するもので、スタートすると、まず、ステップS1で、VGTフィードバック制御のための各種信号(アクセル開度、エンジン回転数、冷却水温等)を読み込む。
【0046】
そして、ステップS2で、調整弁40をデューティ制御するための基本デューティ比を、エンジン回転数と燃料噴射量から演算する。
【0047】
次いで、ステップS3で、高地で気圧が下がった場合等の密度補正としての大気圧補正項を演算する。
【0048】
また、ステップS4で、アクセル開度の変化から加速状態が検出された時の補正項である加速補正項を演算する。
【0049】
さらに、ステップS5で、後述のサブルーチンによりフィードバック補正項を演算する。
【0050】
そして、ステップS6で、最終のデューティ比を演算する。
【0051】
つぎに、ステップS7で、始動後所定期間が経過したかどうかを判定し、所定期間経過していれば、上記演算した最終デューティの制御信号を過給圧制御弁である上記調整弁40に出力する。この場合、負圧アクチュエータ33側の負圧通路41の、負圧供給用通路35側の負圧通路42と、大気圧供給用通路44側の大気圧通路43とに対する連通度合がデューティ比に応じて調整され、負圧アクチュエータ33に作用する負圧が調整されて、可動ベーン62の角度が制御される。
【0052】
ステップS7で始動後所定期間が経過していないときは、ステップS8で、最終デューティを強制的にゼロに戻す。この場合、調整弁40は、負圧アクチュエータ33側の負圧通路41を大気圧通路43側に完全開放する。この状態では、負圧アクチュエータ33に負圧は導入されず、可動ベーン62は図2に実線で示す角度に固定される。
【0053】
なお、上記ステップS7〜9は、図6における禁止タイマーを用いた場合の処理であって、この部分は、前述のようにエンジン回転数が所定回転数に達するまではVGT用の負圧アクチュエータ33に対する負圧導入を禁止するものであってよく、また、真空倍力装置55の負圧を負圧センサによって直接検知し、所定の負圧が得られるまではVGT用の負圧アクチュエータ33に対する負圧導入を禁止するものであってよい。
【0054】
上記ステップS5におけるフィードバック補正項の演算は、図11のフローチャートによって実行する。このフローチャートは、スタートして、まずステップT1で、エンジン回転数、エンジン負荷(アクセル開度、燃料噴射量)等の各種信号を読み込む。
【0055】
そして、ステップT2で、エンジン回転数とエンジン負荷とから目標過給圧を演算する。
【0056】
つぎに、ステップT3で大気圧補正項を演算し、次いで、ステップT4で、大気圧補正後の目標過給圧と実過給圧との偏差を演算し、その演算した偏差に基づいて、ステップT5でフィードバック補正の積分項を演算し、ステップT6で比例項を演算し、また、ステップT7で微分項を演算する。
【0057】
そして、ステップT8で、運転状態に応じて比例項+微分項の不感帯を設定し、ステップT9で、不感帯を設定したテーブルから比例項+微分項の値を演算する。
【0058】
そして、ステップT10で、積分項と比例項と微分項を足した最終のフィードバック補正項を演算し、ステップT11で最終フィードバック補正項が上限ガードを越えたかどうかを判定して、上限ガードを越えたら、ステップT12でその上限ガードの値に固定する。
【0059】
また、ステップT11の判定で上限ガード以下のときは、ステップT13で下限ガードを下回ったかどうかを判定して、下限ガードを下回ったら、ステップT14で下限ガードの値に固定する。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、この発明の過給圧制御装置によれば、VGTを備えたエンジンにおいて、エンジン始動直後のように真空源に十分な負圧が発生していない時に、VGTと真空源を同じくする真空倍力装置のための負圧不足を防止し、ブレーキ性能を確保するようにできる。
【0061】
また、VGTの負圧アクチュエータと可動ベーンとの関係を、負圧が導入された時に可動ベーンが過給効果を増大させる角度となり、負圧の導入が制限された時には過給効果を低減させる角度となるよう設定することによって、VGT用の負圧アクチュエータに対する負圧の導入を制限している状態で例えばエンジンが加速して高負荷域に入った場合に、過給が過剰となるのを防止でき、エンジンの信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の全体系統図
【図2】実施の形態における排気ターボ過給機の可動ベーン機構を示す要部拡大断面図
【図3】実施の形態における制御系統図
【図4】実施の形態における制御領域図
【図5】実施の形態におけるEGRフィードバック補正値演算のテーブル特性図
【図6】実施の形態における始動後のVGT負圧導入禁止の制御を示すタイムチャート
【図7】実施の形態におけるVGTフィードバック補正の積分項演算のテーブル特性図
【図8】実施の形態におけるVGTフィードバック補正の比例項と微分項とを足した値を対象とする不感帯設定の説明図
【図9】実施の形態におけるVGTフィードバック補正の比例項および微分項演算のための不感帯設定のマップ特性図
【図10】実施の形態におけるVGTフィードバック制御のメインルーチンを示すフローチャート
【図11】実施の形態におけるVGTフィードバック制御の補正項演算のサブルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン本体
5 燃料噴射弁
15 排気ターボ過給機
15b タービン
33 負圧アクチュエータ
34 バキュームポンプ(負圧源)
40 調整弁
62 可動ベーン
Claims (4)
- 排気ガスのエネルギーによってタービンが回転しブロワを駆動してエンジンを過給する排気ターボ過給機を備え、該排気タービン過給機は、上記タービンに作用する排気ガス流速を変更可能な可動ベーンを備え、該可動ベーンを駆動する負圧アクチュエータと、該負圧アクチュエータと負圧源とを連通する負圧通路に配置された制御弁を介しエンジンの運転状態に応じて上記可動ベーンを制御する可動ベーン制御手段を備え、上記負圧源にブレーキ用の真空倍力装置が接続されるエンジンの過給圧制御装置において、
上記負圧源に上記真空倍力装置の機能を確保できる負圧が発生するまでは、運転状態に拘わらず上記負圧アクチュエータに対する上記負圧源からの負圧の導入を制限する負圧導入制限手段を設けたことを特徴とするエンジンの過給圧制御装置。 - 上記負圧導入制限手段は、エンジン始動後所定期間経過するまでは上記負圧アクチュエータに対する負圧の導入を制限する請求項1記載のエンジンの過給圧制御装置。
- 上記負圧導入制限手段は、エンジン回転数が所定回転数に達するまでは上記負圧アクチュエータに対する負圧の導入を制限する請求項1記載のエンジンの過給圧制御装置。
- 上記負圧アクチュエータは、該負圧アクチュエータに負圧が導入された時に上記可動ベーンの角度が上記タービンに作用する排気ガス流速を高めて過給効果を増大させる角度となり、該負圧アクチュエータに対する負圧の導入が制限されることによって過給効果を低減させる角度となるよう、上記可動ベーンとの関係を設定した請求項1、2または3記載のエンジンの過給圧制御装置。
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