JP4393104B2 - Lcd用硬化性緑色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子(LCD)に用いられるカラーフィルタを構成する着色像、特に緑色画像(画素)における色再現性に優れたLCD用硬化性緑色組成物、および該LCD用硬化性緑色組成物を用いたカラーフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルタは、液晶ディスプレイ(LCD)パネルに不可欠な構成部品である。この液晶ディスプレイは非常にコンパクトであり、性能面でもこれまでのCRTディスプレイと同等以上であり、テレビ画面、パソコン画面およびその他の表示装置としてCRTディスプレイから液晶ディスプレイに置き換わりつつある。
【0003】
しかしながら、液晶ディスプレイの画像は、赤色や青色に比べ、緑色の色純度が低いために緑色の色再現性が低く、液晶ディスプレイとしたときの色再現範囲を狭めてしまうという問題があった。
【0004】
そのため、従来から液晶デイスプレイ画像の鮮明化の目的で、緑色カラーフィルタの透過率を向上させる試みがなされている。例えば、C.I.ピグメントイエロー(Pigment Yellow )139等の黄色顔料とC.I.ピグメントグリーン(Pigment Green)36等の緑色顔料とを併用することによって、バックライト光源の540nmでの光透過率を向上させることが知られている。
【0005】
また、顔料の分散性を向上させ、また組成物中の顔料の微粒子分散性を可能とするために四級アンモニウム塩モノマーを共重合成分に含むバインダー樹脂を用いたカラーフィルタ用感放射線性着色組成物が記載されたものがあり、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7と黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー185とがそれぞれ例示されている(例えば、特許文献1参照)。また、波長460nmと540nmの光に対する吸光度をそれぞれ規定して、明度と彩度を改良したカラーフィルタ用組成物が開示されたものがあり、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7と、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー180及び185とがそれぞれ例示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、これらの組成物は、特に緑色に関し、色純度や色再現性の点では不充分であり、緑色に関する色再現性の更なる向上が必要であった。
【0006】
緑色に関する色再現性を解決する方法として、540nmの光透過率が70%以上、490nmの光透過率が50〜90%である緑色カラーフィルタを形成し得る緑色カラーフィルタ用塗料組成物が提案され、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー185と緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン36とを用いた、色度座標のy値が0.520のカラーフィルタが開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この塗料組成物によっても色再現性が充分に高いカラーフィルタを得るまでには至っていない。
【0007】
また近年では、液晶表示装置の普及に伴なって、その用途も各種モニターやTVに広がっており、色再現性に対する更なる向上が要求されるようになってきている。この要求に応えるために、色純度が高くかつ色濃度の高いカラーフィルタの提供が期待されている。
【0008】
しかしながら、透明性を高めるためにカラーフィルタの膜厚を薄くしようとすると、色濃度が低下してしまう問題がある。特に、緑色については色濃度の低下が顕著であり、色再現率が大きく低下し、ディスプレイとしての色再現範囲が狭くなってしまう。また、色濃度を高めるために顔料含有量を多くすると、硬化性着色組成物中の硬化性成分の含有量には限界があるために、塗膜の硬化が充分に進まず、また、硬化させる際の光が塗膜の内部まで充分に達しないために、現像時にパターン欠陥が発生したり、パターンの剥離や現像ラチチュードが不充分となる等の問題もあった。この問題もまた、特に硬化させる際の光の吸収に問題のあった緑色について顕著であった。
【0009】
一方、カラーフィルタの膜厚は、液晶の配向不良を抑える等の理由からできるだけ薄いことが望まれるが、この点からも膜中に含まれる顔料の相対量も多くなる傾向にあり、高色度を実現することが一層厳しい状況にある。
【0010】
特に透明性が高くかつ色濃度の高い緑色を得るための技術としては、緑色画素の色度に係るy値が0.6以上であって、高色純度でかつ高透過率のカラーフィルタが開示されている(例えば、特許文献4〜6参照)。しかしながら、高い色濃度と充分な色再現率の点では未だ不充分であった。
【0011】
また、カラーフィルタを構成する青色の色素として、アルミニウム(Al)フタロシアニン顔料を用いる技術が開示されており、該顔料の使用により耐熱性、耐光性等を向上させ得るとされている(例えば、特許文献7〜10参照)。しかしながら、このAl含有のフタロシアニン顔料は、一般に緑色域より短波長側に吸収があるために青色着色用に好適ではあるものの、これまでの例えばパソコン用表示装置やモニターなどの用途で採用されていた色再現率では輝度が低下するために緑色用着色剤には不適当であるとされていた。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−142796号公報
【特許文献2】
特開平9−203808号公報
【特許文献3】
特開平10−160928号公報
【特許文献4】
特開2002−303718公報
【特許文献5】
特開2002−323614公報
【特許文献6】
特開2002−372616公報
【特許文献7】
特開2001−115049公報
【特許文献8】
特開2003−4930公報
【特許文献9】
特開2002−107531公報
【特許文献10】
特開平9−328621号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、モニターやTV用途などにも好適に適用し得る高い色濃度を備え、充分な色再現性を発揮することができるLCD用硬化性緑色組成物およびカラーフィルタは、未だ提供されていないのが現状である。
【0014】
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、特に緑色における色濃度および色純度が高く、かつ良好な色再現性を得ることができるLCD用硬化性緑色組成物を提供することを目的とし、また、
本発明は、特に緑色のパターン像が高濃度であると共に高い色純度を有し、充分な色再現性を発揮し得るカラーフィルタを提供することを目的とし、
上記の各目的を達成することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、種々の着色剤を検討した結果、特に緑色着色用の主顔料としてアルミニウムフタロシアニン顔料を用いると比較的少ない量でも高い色度が得られ、色濃度及び色純度と透明性との両立が可能となるとの知見に基づくものである。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
【0016】
<1> アルカリ可溶性樹脂、着色剤、感光性重合成分、および光重合開始剤を含有するLCD用硬化性緑色組成物において、前記着色剤の緑色着色剤として下記構造式(II)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料と黄色顔料とからなり、かつ該組成物により形成された膜の厚さが2.5μm以下であるときのCIE色度座標のy値が0.60以上であることを特徴とするLCD用硬化性緑色組成物である。
【0021】
【化4】
【0022】
<2> 前記黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー180、およびC.I.ピグメントイエロー185より選択される少なくとも一種である前記<1>に記載のLCD用硬化性緑色組成物である。
<3> 前記感光性重合成分が、モノマーの繰り返し単位が3〜20であるアクリル系オリゴマーを含む前記<1>または<2>に記載のLCD用硬化性緑色組成物である。
【0023】
<4> 前記<1>〜<3>のいずれかに記載のLCD用硬化性緑色組成物、硬化性赤色組成物および硬化性青色組成物を含む少なくとも三種の着色組成物から選択されるいずれか一つを基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第一色目の画素を形成し、前記第一色目の画素形成後、前記着色組成物から選択される前記第一色目の画素と色相の異なる他の一つを前記基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第二色目の画素を形成し、前記第二色目の画素形成後、前記着色組成物から選択される前記第一色および第二色と色相の異なる他の一つを前記基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第三色目の画素を形成することにより得られることを特徴とするカラーフィルタである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のLCD用硬化性緑色組成物、及びそれを用いたカラーフィルタについて詳細に説明する。
【0025】
《LCD用硬化性緑色組成物》
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、アルカリ可溶性樹脂、着色剤、感光性重合成分、および光重合開始剤を少なくとも含んでなり、一般には溶剤(以下、有機溶剤ともいう)を含んでなり、前記着色剤として用いる緑色着色剤が下記構造式(II)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料と黄色顔料とで構成されるものである。本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、上記の感光性重合成分および光重合開始剤を含有することでネガ型に構成することができ、更に膜の硬化度を向上させるための架橋剤や、他の成分を含有して構成することができる。
【0026】
また、該組成物により形成された膜の厚さが2.5μm以下であるときの本発明におけるCIE色度座標のy値は0.60以上とし、好ましくは0.65≦y≦0.74である。y値が低すぎると、光の色純度が低下し、色再現性が低くなるという問題が生じる。一方、該組成物により形成された膜の厚さが2.5μm以下であるときのCIE色度座標のx値については特に制限はないが、好ましくは0.14≦x≦0.34である。
【0027】
次に、本発明のLCD用硬化性緑色組成物の各構成成分について説明する。
−着色剤−
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、下記のアルミニウムフタロシアニン顔料と黄色顔料とを用いて緑色系の色相を構成するものであり、緑色相を構成するものとして特に構造式(II)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料を含有する。このアルミニウムフタロシアニン顔料を用いることにより、黄色顔料を併用しても顔料の総量を低減することが可能であり、薄膜とした場合でも高い色度、色濃度が得られ、色純度が高く良好な色再現性を得ることができる。
【0031】
下記構造式(II)で表される化合物の2分子がOH基の酸素原子を介して結合された二量体も好適である。
【0032】
【化6】
【0033】
緑色顔料として、前記アルミニウムフタロシアニン顔料以外の、従来公知の緑色顔料を併用してもよく、この場合の緑色顔料は無機または有機顔料のいずれでもよく、例えば、C.I.ピグメントグリーン7,36,37などのハロゲン化フタロシアニン系顔料等が挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を併用してもよい。
【0034】
黄色顔料としては、従来公知の無機または有機の黄色系顔料から適宜選択することができ、例えば、ジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199などが好適に挙げられ、中でも特にC.I.ピグメントイエロー83,93,109,110,139,150,154,180,又は185を、最も好ましくはピグメントイエロー139,150,180または185を前記アルミニウムフタロシアニン顔料と組合せて含有すると緑色の色再現性の点で好ましい。これら黄色顔料は、一種のみならず二種以上を併用してもよい。
【0035】
なお、上記のアルミニウムフタロシアニン顔料および黄色顔料と共に、さらに他の従来公知の無機若しくは有機顔料を併用することもできる。また、本発明に係る着色剤としては、前記アルミニウムフタロシアニン顔料および黄色顔料と共に染料を併用してもよい。該染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に記載の色素を挙げることができる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系等の染料が挙げられる。
【0036】
本発明に係る顔料のLCD用硬化性緑色組成物中における総量としては、該組成物中の質量に対して、20〜60質量%が好ましく、より好ましくは30〜55質量%、更に好ましくは35〜50質量%である。なお、着色剤を構成するアルミニウムフタロシアニン顔料と黄色顔料との比率は、色相などの目的に応じて適宜選択することができる。
また、緑色顔料としてアルミニウムフタロシアニン顔料以外の緑色顔料を併用する場合、アルミニウムフタロシアニン顔料の含有比としては10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
【0037】
上記の顔料は、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース樹脂、等に微分散させた粉末状加工顔料として用いることによって、分散性および分散安定性を良好なものとすることができる。
【0038】
次に、顔料の処理法について説明する。本発明においては、顔料をあらかじめ種々の樹脂で処理しておくことが好ましい。すなわち、顔料は一般に合成後、種々の方法で乾燥が行なわれ、通常は水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とし、乾燥粉末とするには大きな熱エネルギーを与える。そのため、顔料は一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通であり、かかる凝集体を形成している顔料を微粒子に分散するのは容易ではないため、あらかじめ樹脂で処理しておくことが望ましい。ここでの樹脂としては、後述のアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0039】
処理の方法としては、フラッシング処理やニーダー、エクストルーダー、ボールミル、2本または3本ロールミル等による混練方法がある。このうち、フラッシング処理や2本または3本ロールミルによる混練法が微粒子化に好適である。
前記フラッシング処理は、通常顔料の水分散液と水と混和しない溶媒に溶解した樹脂溶液を混合し、水媒体中から有機媒体中に顔料を抽出し、顔料を樹脂で処理する方法である。この方法によれば、顔料の乾燥を経ることがないので、顔料の凝集を防ぐことができ、分散が容易となる。また、上記の2本または3本ロールミルによる混練では、顔料と樹脂または樹脂の溶液とを混合した後、高いシェア(せん断力)をかけながら、顔料と樹脂を混練することによって顔料表面に樹脂をコーティングすることにより顔料を処理する方法である。この過程で凝集していた顔料粒子はより低次の凝集体から一次粒子にまで分散される。
【0040】
また、あらかじめアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、マレイン酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂等で処理した加工顔料として用いることもできる。この加工顔料の形態としては、樹脂と顔料が均一に分散している粉末、ペースト状、ペレット状、ペースト状が好ましい。また、樹脂がゲル化した不均一な塊状のものは好ましくない。
【0041】
上記の顔料の分散性を向上させる目的で、従来公知の顔料分散剤や界面活性剤を併用することができる。顔料分散剤や界面活性剤としては、多種の化合物が挙げられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(エフカ社製のEFKA−745)、ソルスパース5000(ゼネカ社製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、森下産業社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、同5000、同9000、同12000、同13240、同13940、同17000、同24000、同26000、同28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,同F38,同L42,同L44,同L61,同L64,同F68,同L72,同P95,同F77,同P84,同F87、同P94,同L101,同P103,同F108、同L121、同P−123(旭電化社製)、およびイソネットS−20(三洋化成社製)、などが挙げられる。
【0042】
−アルカリ可溶性樹脂−
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも一種を含有する。アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。
【0043】
このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。上記のほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等も有用である。
【0044】
これらの中でも特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。このほか、水溶性ポリマーとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等も有用である。また、硬化膜の強度をあげる点では、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンのポリエーテルなども有用である。これらのポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0045】
また、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0046】
本発明において好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を、特には側鎖に有するものである。また、露光後の現像性および塗布性を良好に維持する観点から、酸価が30〜200のものが好ましい。
【0047】
以上のように、アルカリ可溶性樹脂は一般にその多くはその共重合性モノマーに不飽和カルボン酸を使用したアクリル系共重合体である。中でも、側鎖にポリアルキレンオキサイド鎖を有したアクリル系共重合体は、LCD用硬化性緑色組成物を塗布液状に調製したときの液特性を改良し、塗布配管内での液残りの問題が少なく、また、薄膜でかつ均一な厚さの塗膜がを得やすくなる点で好ましい。特に、広幅で大面積の基板への塗布に好適なスリット塗布に対して得率が高く良好な塗膜を得ることができる。
【0048】
前記アルカリ可溶性樹脂のLCD用硬化性緑色組成物中における総量としては、全固形成分に対して5〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。該総量が、5質量%未満であると膜強度が低下することがあり、80質量%を超えると酸性分が多くなるために溶解性のコントロールが難しくなったり、また相対的に顔料量が少なくなるので充分な画像濃度が得られないことがある。
【0049】
また、本発明のLCD用硬化性緑色組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基をアルカリ可溶性樹脂の側鎖に有してもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したポリマー等も有用である。これら重合性基を含有するポリマーの例を示すが、COOH基、OH基、アンモニウム基等のアルカリ可溶性基と炭素間不飽和結合が含まれていれば下記に限定されない。
【0050】
具体例として、OH基を有する例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する例えばメタクリル酸と、これらと共重合可能なアクリル系若しくはビニル系化合物等のモノマーとの共重合体に、OH基に対し反応性を有するエポキシ環と炭素間不飽和結合基を有する化合物(例えばグリシジルアクリレートなどの化合物)を反応させて得られる化合物、等を使用できる。OH基との反応ではエポキシ環のほかに酸無水物、イソシアネート基、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。また、特開平6−102669号公報、特開平6−1938号公報に記載のエポキシ環を有する化合物にアクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。COOH基のようなアルカリ可溶化基と炭素間不飽和基とを併せ持つ化合物として、例えば、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製);Photomer 6173(COOH基含有Polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.Ltd.,製);ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製);サイクロマーPシリーズ、プラクセルCF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業(株)製);Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、などが挙げられる。
【0051】
−感光性重合成分−
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、感光性重合成分の少なくとも一種を含有する。感光性重合成分としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物が好ましく、中でも4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
【0052】
前記「少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物」としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
【0053】
また、上記した多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物として、特開平10−62986号公報においてその具体例と共に一般式(1)又は(2)として記載されたものも感光性重合成分として用いることができる。
【0054】
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびこれらのアクリロイル基が、エチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。
【0055】
また、オリゴマータイプも好適であり、モノマーの繰り返し単位が3〜20(好ましくは3〜10)であるアクリル系オリゴマーが好ましい。特に、下記一般式(I)で表される化合物、すなわちトリメチロールプロパン等のトリメチロール基を有するアルキル化合物またはペンタエリスリトールの繰り返し単位が3〜10であって、かつY(エーテル、エステル、ウレタン)で表される結合の少なくとも一つを有し、アクリロイル基を7つ以上有する化合物が好ましい。
【0056】
【化7】
【0057】
前記一般式(I)おいて、Aは、トリメチロール基を有する炭素数1〜5のアルキル化合物またはペンタエリスリトールを表し、Xは、アクリロイル基、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは、−O−、2価以上のカルボン酸を有する化合物に由来の基、2価以上のイソシアネートを有する化合物に由来の基を表し、Rlは、(ポリ)アルキレンオキシド、(ポリ)カプロラクタンを表す。nは、1〜18の整数を表し、mは0又は1を表し(Aがペンタエリスリトールであるときは1を表す)、lは0又は1を表す。
【0058】
感光性重合成分としてアクリル系オリゴマーを用いた場合には、露光感度が大きく、重合強度が大きくなるので、現像液で現像処理する際のパターンの剥離が起こり難くなり、現像での適性時間が広がる、つまり現像ラチチュードを拡げることができる。
なお、上記した感光性重合成分は、一種単独のみならず二種以上を組合わせて使用することができる。
【0059】
−光重合開始剤−
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。光重合開始剤としては、ハロメチルオキサジアゾールやハロメチル−s−トリアジン等の活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、少なくとも一種のロフィン二量体等を挙げることができる。特にはハロメチル−s−トリアジン系化合物が好ましい。以下、これらの化合物について詳述する。
【0060】
ハロメチルオキサジアゾールやハロメチル−s−トリアジン等の活性ハロゲン化合物のうち、ハロメチルオキサジアゾール化合物としては、特公昭57−6096号公報に記載の、下記一般式IIで表される2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物が挙げられる。
【0061】
【化8】
【0062】
前記一般式IIにおいて、Wは、置換された又は無置換のアリール基を表し、Xは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Yは弗素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。nは、1〜3の整数を表す。
【0063】
前記一般式IIで表される化合物の具体例としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、等が挙げられる。
【0064】
ハロメチル−s−トリアジン系化合物としては、特公昭59−1281号公報に記載の、下記一般式IIIで表されるビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の、下記一般式IVで表される2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物および下記一般式Vで表される4−(p−アミノフェニル)−2,6−ジ−ハロメチル−s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0065】
【化9】
【0066】
前記一般式IIIにおいて、Qは、Br又はClを表し、Pは−CQ3(QはBr又はClを表す。)、−NH2、−NHR、−N(R)2、又は−OR(ここで、Rはフェニル又はアルキル基を表す。)を表す。Wは、置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよい複素環式基、又は下記一般式IIIaで表される一価の基を表す。
【0067】
【化10】
【0068】
前記一般式IIIa中、Zは−O−又は−S−を表す、Rはフェニル又はアルキル基を表す。
【0069】
【化11】
【0070】
前記一般式IV中、Xは、Br又はClを表す。mおよびnは、各々独立に0〜3の整数を表す。R'は、下記一般式IVaで表される基を表す。
【0071】
【化12】
【0072】
前記一般式IVaにおいて、R1は、水素原子又はORc(Rcはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール基を表す。)を表し、R2は、Cl、Br、アルキル、アルケニル、アリール、又はアルコキシ基を表す。
【0073】
【化13】
【0074】
前記一般式Vにおいて、R1およびR2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、下記一般式Va又はVbで表される基を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。R3およびR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。XおよびYは、各々独立に、Cl又はBrを表し、互いに同一でも異なっていてもよい。mおよびnは、各々独立に、0、1又は2を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0075】
【化14】
【0076】
前記一般式Va及びVb中、R5、R6、およびR7は、各々独立に、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表す。置換アルキル基及び置換アリール基における置換基の例としては、フェニル基等のアリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、カルボアルコキシ基、カルボアリールオキシ基、アシル基、ニトロ基、ジアルキルアミノ基、スルホニル誘導体等が挙げられる。
【0077】
上記の一般式Vにおいて、R1およびR2がこれらと結合している窒素原子と共に非金属原子からなる複素環を形成してもよく、その場合、複素環としては下記に示されるものが挙げられる。
【0078】
【化15】
【0079】
前記一般式IIIで表される化合物の具体例としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、等が挙げられる。
【0080】
前記一般式IVで表される化合物の具体例としては、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−メトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−〔4−(2−ブトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(2−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−5−メチル−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−メトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(5−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(6−エトキシ−ナフト−2−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4,5−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、等が挙げられる。
【0081】
前記一般式Vで表される化合物の具体例としては、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−メチル−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(フェニル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N−クロロエチルカルボニルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N−(p−メトキシフェニル)カルボニルアミノフェニル〕2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0082】
4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔o−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0083】
4−〔o−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−ブロモ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−クロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔m−フロロ−p−N,N−ジ(クロロエチル)アミノフェニル〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
【0084】
4−(o−クロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(m−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−クロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−フロロ−p−N−クロロエチルアミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、等が挙げられる。
【0085】
上記の光重合開始剤には増感剤を併用することができる。その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物が挙げられる。
【0086】
光重合開始剤として挙げられる既述の3−アリール置換クマリン化合物としては、例えば、下記一般式VIで表される化合物が挙げられる。
【0087】
【化16】
【0088】
一般式VI中、R8は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基(好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)を表し、R9は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、下記一般式VIaで表される基(好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、下記一般式VIaで表される基、特に好ましくは下記一般式VIaで表される基)を表す。
【0089】
また、R10およびR11は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基など)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えば、クロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基など)、アミノ基、−N(R16)(R17)、ハロゲン原子(例えばCl,Br,Fなど)を表す。好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェニル基、−N(R16)(R17)、Clである。
【0090】
前記一般式VI中のR12は、置換されてもよい炭素数6〜16のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、クミル基など)を表す。置換されている場合の置換基としては、アミノ基、−N(R16)(R17)、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基など)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えば、クロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばCl,Br,Fなど)が挙げられる。
【0091】
下記一般式VIa中のR13およびR14並びに上記R16およびR17は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基など)を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。R13とR14及びR16とR17は、互いに結合して窒素原子とともに複素環(例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピラゾール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環など)を形成してもよい。
【0092】
下記一般式VIa中のR15は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基など)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基など)、アミノ基、N(R16)(R17)、ハロゲン原子(例えばCl,Br,Fなど)を表す。
【0093】
前記一般式VI中のZbは、=O、=Sあるいは=C(R18)(R19)を表す。好ましくは=O、=S、=C(CN)2であり、特に好ましくは=Oである。R18およびR19は、同一でも異なっていてもよく、各々独立にシアノ基、−COOR20、−COR21を表す。R20およびR21は、各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基など)、炭素数1〜8のハロアルキル基(例えば、クロロメチル基、フロロメチル基、トリフロロメチル基など)、置換されてもよい炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル基)を表す。
【0094】
3−アリール置換クマリン化合物の特に好ましいものとしては、下記一般式VIIで表される{(s−トリアジン−2−イル)アミノ}−3−アリールクマリン化合物類が挙げられる。ここで、一般式VIIにおけるR13,R14,及びR15は、一般式VIaにおけるR13,R14,及びR15と同義である。
【0095】
【化17】
【0096】
光重合開始剤として挙げられる既述のロフィン二量体は、2個のロフィン残基からなる2,4,5−トリフェニルイミダゾリル二量体を意味し、その基本構造を下記に示す。
【0097】
【化18】
【0098】
その具体例としては、2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等が挙げられる。
【0099】
本発明では、以上の光重合開始剤以外の他の公知の化合物も使用することができる。例えば、米国特許第2,367,660号明細書に記載のビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号および第2,367,670号明細書に記載のα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に記載のアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号および第2,951,758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に記載のトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物等が挙げられる。また、旭電化(株)製のアデカオプトマーSP−150、同151、同170、同171、同N−1717、同N1414等も重合開始剤として使用できる。
【0100】
前記光重合開始剤のLCD用硬化性緑色組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。該含有量が、0.1質量%未満であると重合が進み難くなることがあり、10.0質量%を超えると膜強度が弱くなることがある。
【0101】
−溶剤−
本発明のLCD用硬化性緑色組成物の調製の際には一般に溶剤(本明細書において「有機溶剤」ともいう)を含有する。溶剤は、各成分の溶解性やLCD用硬化性緑色組成物の塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に着色剤、樹脂成分の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0102】
前記溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、等;
【0103】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、等;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、等;ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、等;
【0104】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、等;
【0105】
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、等が好ましい。
【0106】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。これらの溶剤は、単独で用いてもあるいは二種以上組合わせて用いてもよい。
【0107】
−各種添加物−
本発明のLCD用硬化性緑色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
【0108】
これらの添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの、アルコール可溶性ナイロン、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから形成されたフェノキシ樹脂などのアルカリ可溶の樹脂;ノニオン系、カチン系、アニオン系等の界面活性剤、具体的にはフタロシアニン誘導体(森下産業社製のEFKA−745);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、同No.90、同No.95(共栄社油脂化学工業社製)、W001(裕商社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、同L31、同L61、同L62、同10R5、同17R2、同25R2、テトロニック304、同701、同704、同901、同904、同150R1等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成社製)、メガファックF−141、同F−142、同F−143、同F−144(大日本インキ化学工業(株)製)等のフッ素系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、森下産業社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、同5000、同9000、同12000、同13240、同13940、同17000、同24000、同26000、同28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ社製);アデカプルロニックL31,同F38,同L42,同L44,同L61,同L64,同F68,同L72,同P95,同F77,同P84,同F87、同P94,同L101,同P103,同F108、同L121、同P−123(旭電化社製)、およびイソネットS−20(三洋化成社製);
【0109】
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;およびポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0110】
また、非画像部のアルカリ溶解性を促進し、本発明のLCD用硬化性緑色組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0111】
また、本発明のLCD用硬化性緑色組成物には以上の他に、さらに熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0112】
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、感光性重合成分、および光重合開始剤、並びに更に必要に応じて用いられる各種添加物を一般に溶剤と混合し、各種の混合機、分散機を使用して混合分散することによって調製することができる。
【0113】
例えば以下のようにして好適に製造することができる。すなわち、本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、着色剤に表面改質剤若しくは分散剤、アルカリ可溶性樹脂、および溶剤を混合して混練分散する。混練分散に用いる機器は、二本ロール、三本ロール、ボールミル、ディスパー、ニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー等であり、強い剪断力を与えながら分散する。次いで、得られた混練分散物に感光性重合成分及び光重合開始剤、並びに必要に応じ更に溶剤、分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及びその他成分を添加して、主としてサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を使用して0.1〜10mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを分散メディアとして微分散する。なお、この混練分散処理を省くことも可能である。その場合には、着色剤と分散剤若しくは表面処理剤、アルカリ可溶性樹脂、および溶剤で微分散処理する。
【0114】
なお、混練・分散の詳細については、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等にも記載されている。
【0115】
《カラーフィルタ》
本発明のカラーフィルタは、上記した本発明のLCD用硬化性緑色組成物と硬化性赤色組成物および硬化性青色組成物とを含む少なくとも三種の着色組成物を用い、前記少なくとも三種を含む着色組成物から選択されるいずれか一つを基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第一色目の画素を形成し、該第一色目の画素形成後、前記着色組成物から選択される前記第一色目の画素と色相の異なる他の一つを前記基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第二色目の画素を形成し、さらに該第二色目の画素形成後、前記着色組成物から選択される前記第一色および第二色と色相の異なる他の一つを前記基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第三色目の画素を形成することにより得られるものである。上記第一色から第三色(例えば緑色、赤色および青色)に加えて更に画素形成し4色以上になるように構成することもできる。
【0116】
すなわち、上記の本発明のLCD用硬化性緑色組成物、硬化性赤色組成物および硬化性青色組成物の少なくとも三種の着色組成物を所望の色相順に、基板上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布し、乾燥させることで感放射線性層を形成し、これに更に所定のマスクパターンを介して露光を行ない、露光後現像液で現像して所望のパターンをなす画素を形成する工程を、着色組成物の数に合わせて少なくとも3回繰り返すことで得ることができる。このとき必要に応じて、形成された画素を加熱および/または露光により硬化させる工程を設けることができる。
上記露光は放射線の照射により行なうことができ、該放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0117】
以上のようにして、本発明のLCD用硬化性緑色組成物を用いて形成された膜の厚さが2.5μm以下であるときのCIE色度座標のy値が0.60以上である緑色画素を有する本発明のカラーフィルタを作製、提供することができる。前記y値については、LCD用硬化性緑色組成物において既述した通りであり、また、カラーフィルタを構成する着色膜の厚さは、色濃度を損なうことなく2.5μm以下(好ましくは2.3μm以下)の薄膜に構成することができる。しかも、前述したように組成物中の着色剤の総量(含有量)をあまり多くする必要がないので、現像特性などの塗膜としての特性が低下することもない。
このように本発明のLCD用硬化性緑色組成物を使用すれば、従来高いCIE色度座標のy値を得にくかった緑色に対して、膜厚を比較的薄く構成しながら着色剤の含有量をそれ程多くせずともCIE色度座標のy値が0.60以上である色純度の高いカラーフィルタを得ることができる。
【0118】
カラーフィルタを構成する基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(R)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
【0119】
前記現像液としては、本発明のLCD用硬化性緑色組成物の未硬化部を溶解する一方、硬化部は溶解しない組成よりなるものであればいかなるものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。前記有機溶剤としては、本発明のLCD用硬化性緑色組成物の調製に使用される既述の溶剤が挙げられる。
【0120】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が好適である。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に、現像後水で洗浄する。
【0121】
本発明のLCD用硬化性緑色組成物は、特にモニターやTVなどの液晶表示装置(LCD)に用いられるカラーフィルタの着色画素形成用として好適に用いることができる。また、印刷用インキ、インクジェット用インキ、及び塗料などの作製用途に用いることも可能である。
【0122】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0123】
(実施例1)
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 80部
(重量平均分子量30000、酸価120)
・前記構造式(II)で表されるアルミニウムフタロシアニン顔料… 33部
・C.I.ピグメントイエロー185 … 67部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …500部
を、サンドミルで一昼夜分散した。
【0124】
次いで、下記の成分を添加した。
・ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト(DPHA)… 80部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル
]2、6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン … 5部
・7−[{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−S−トリアジン−2−イル
}アミノ]−3−フェニルクマリン … 2部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル … 0.01部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …500部
【0125】
上記の各成分を均一に混合した後、孔径5μmのフィルターで濾過し、本発明のLCD用硬化性緑色組成物を得た。この組成物をカラーフィルタ作製用のガラス基板の上にスピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗布し、120℃で2分間乾燥させて緑色の均一な塗膜を形成した。
【0126】
次に、露光装置を使用して、塗膜に365nmの波長で100μmのマスクを通して300mJ/cm2の露光量で照射した。照射後、10%CD(富士フイルムアーチ(株)製)現像液を使用して、26℃で60秒間現像した。引き続き、流水で20秒間リンスした後、エアナイフで乾燥させ、220℃で60分間熱処理を行なって緑色のパターン像(緑色画素)を形成した。この操作を、上記のLCD用硬化性緑色組成物中の「アルミニウムフタロシアニン顔料(33部)及びC.I.ピグメントイエロー185(67部)」を「ピグメントレッド254/ピグメントレッドPR177(=50/50)100部」、「ピグメントブルー15:6/ピグメントバイオレット23(=95/5)100部」に各々代えたこと以外は上記LCD用硬化性緑色組成物と同様の処方、条件で調製した硬化性赤色組成物と硬化性青色組成物とを用いて同一のガラス基板に対して行ない、順次赤色のパターン像(赤色画素)および青色のパターン像(青色画素)を形成し、本発明のカラーフィルタを得た。
【0127】
(評価)
(a)色度の評価
上記のようにガラス基板上に形成した緑色の塗膜に対して、色度の評価未露光状態の上記塗膜に対して色度計(大塚電子(株)製)を用いてCIE色度(x値,y値)を測定した。測定結果は下記表1に示す。
(b)現像性の評価
上記パターン像の形成に当たって、以下のようにして現像性の評価を行なった。すなわち、現像を10秒から120秒まで10秒ごとに行ない、未硬化部が基板から除去された時間から、パターンに欠けや剥離が発生するまでの時間における現像性を評価した。尚、ここでの現像時間は、最適現像時間の時間幅を示す。
【0128】
(実施例2〜4及び比較例1〜2)
実施例1において、LCD用硬化性緑色組成物中における顔料の種類および顔料の配合割合、並びに感光性重合成分(モノマー)の種類を下記表1に示すように代えたこと以外、実施例1と同様にして塗膜を形成すると共に、パターン像を形成し、さらに同様の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
上記表1に示すように、アルミニウムフタロシアニン顔料を緑色顔料として用いた実施例では、2.0μm近傍の薄膜に形成しながら高い色度を得ることができた。特にアクリル系オリゴマーを感光性重合成分として用いた実施例3〜4では、さらに現像性が良好に行なえ、現像ラチチュードをより高めることができた。したがって、形成されたパターン像は薄膜に構成されながら緑色濃度が高く、コントラストが良好で鮮やかなカラーフィルタを作製することができた。
一方、アルミニウムフタロシアニン顔料を用いなかった比較例では、厚膜に構成しなければ実施例と同様の色度を得ることができなかった。
【0131】
【発明の効果】
本発明によれば、特に緑色における色濃度および色純度が高く、かつ良好な色再現性を得ることができるLCD用硬化性緑色組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、特に緑色のパターン像が高濃度であると共に高い色純度を有し、充分な色再現性を発揮し得るカラーフィルタを提供することができる。
Claims (4)
- 前記黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー180、およびC.I.ピグメントイエロー185より選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のLCD用硬化性緑色組成物。
- 前記感光性重合成分が、モノマーの繰り返し単位が3〜20であるアクリル系オリゴマーを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のLCD用硬化性緑色組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のLCD用硬化性緑色組成物、硬化性赤色組成物および硬化性青色組成物を含む少なくとも三種の着色組成物から選択されるいずれか一つを基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第一色目の画素を形成し、
前記第一色目の画素形成後、前記着色組成物から選択される前記第一色目の画素と色相の異なる他の一つを前記基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第二色目の画素を形成し、
前記第二色目の画素形成後、前記着色組成物から選択される前記第一色および第二色と色相の異なる他の一つを前記基板上に塗布後、マスクを通して露光し、現像して第三色目の画素を形成することにより得られることを特徴とするカラーフィルタ。
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