JP4362822B2 - 建設機械の旋回装置 - Google Patents
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Description
旋回軸受は、下部走行体に連結された内輪及び上部旋回体に連結された外輪を有し、そして、動力伝達経路は油圧モータの駆動力を減速して出力する減速機構や、この減速機構の出力をピニオンに伝達するピニオンシャフトを含み、ピニオンは旋回軸受における内輪の内歯歯車と噛み合った状態にある(例えば、特許文献1)。
それ故、特許文献1の旋回装置は、ピニオンシャフトを上下の軸受により回転自在に支持する一方、ピニオンの反力を上部旋回体に伝達するシャフトハウジングを備えており、このシャフトハウジングはその上下端に取付けフランジをそれぞれ有する。上側取付けフランジはシャフトハウジングを減速機構のギヤケーシングに取付け、そして、下側取付けフランジはシャフトハウジングを上部旋回体に取付けるために使用されている。
より詳しくは、ここでのシャフトハウジングの切削加工は以下の手順にて実施される。
先ず、下側取付けフランジがワークチャックより把持された状態で、上側取付けフランジや、この上側取付けフランジ側の軸受装着穴の切削加工が実施され、この後、上側取付けフランジがワークチャックにより把持された状態で、下側取付けフランジや、この下側取付けフランジ側の軸受穴の切削加工が実施される。
また、上下の軸受装着穴が互いに異なる取付けフランジを把持した状態で切削加工されることから、後のチャッキングは心出し作業を伴うが、この心出し作業には熟練を要する。それ故、上下の軸受装着穴の同軸性、つまり、これら軸受装着孔への軸受の取付け精度を高精度に確保するのが困難になっている。この結果、上下の軸受に回転自在に支持されるピニオンシャフトの円滑な回転が保証されず、ピニオンシャフトを囲繞するオイルシールから油漏れを招く虞がある。
しかしながら、上述したグリース受突起はピニオンとの干渉を避けるため、その内周面をピニオンと同心の円弧状に形成しなければならず、シャフトハウジングの形状や加工が更に複雑になっている。
具体的には、下側の軸受はボス内に配置され、被把持部は、ボスの周方向に等間隔を存して形成され、ワークチャックの各爪がそれぞれ宛がわれる少なくとも3つの突起からなる(請求項2)。
旋回装置がピニオンの下側にグリース槽を備え、このグリース槽からピニオンと内歯歯車との間の噛み合い領域にグリースが供給される場合、好ましくは、上述した突起のうちの2つは、旋回軸受の周方向でみたピニオンの両側にて内歯歯車の直上に位置付けられ、内歯歯車の歯先円と交差して配置されている(請求項3)。
更に、請求項3の建設機械の旋回装置によれば、突起がピニオンと内歯歯車との間の噛み合い領域から内歯歯車上に漏出したグリースの掻き落とし部材としても機能するので、シャフトハウジングの形状はシンプルなものとなる。
油圧ショベルは、クローラ型の下部走行体2上に旋回装置を介して、運転室付きの上部旋回体4が搭載され、この上部旋回体4に作業機6が装備されている。図示の油圧ショベルの場合、作業機6は掘削バケット8を有している。
図2は、旋回装置の一部を示す。
旋回フレーム18上には装置ハウジング20が配置され、この装置ハウジング20は上側のギヤハウジング22と、下側のシャフトハウジング24とを有する。ギヤハウジング22上には油圧モータ26が取付けられ、この油圧モータ26はギヤハウジング22内に突出する出力軸28を有する。
より詳しくは、油圧モータ26の出力軸28が一方向に回転されると、この出力軸28の回転は1段目の遊星歯車減速機構30の太陽歯車34から遊星歯車36の各々に伝達され、これら遊星歯車36は自転しながら、ギヤハウジング22におけるリングギヤ38の内周に沿って公転する。このような遊星歯車36の公転はキャリア40を介して2段目の遊星歯車減速機構32の太陽ギヤ42から遊星ギヤ44の各々に伝達され、そして、これら遊星ギヤ44は自転しながらギヤハウジング22におけるリングギヤ46の内周に沿って公転し、これら遊星ギヤ44の公転がキャリア48に伝達される。
ピニオンシャフト50は前述したシャフトハウジング24内を同心にして延び、このシャフトハウジング24に対し、上下の軸受52,54を介して回転自在に支持されている。上側の軸受52はシャフトハウジング24の中間部に形成した軸受装着穴56に装着され、下側の軸受54はシャフトハウジング24の下端部に形成した軸受装着穴58に装着されている。
更に、ピニオン60の下側にはグリース槽64が配置され、このグリース槽64にグリース65が蓄えられている。ピニオン60の下部はグリース65中に浸漬した状態にあり、ピニオン60が回転されると、ピニオン60と内歯歯車62との間の噛み合い領域にグリース65が供給される。
シャフトハウジング24のボス70にはその外周面に3つの突起78,80,82が一体に形成されている。これら突起78〜82はボス70の外周面に沿う円弧形状をなすとともに、図3に示すようにボス70の周方向に等間隔を存して配置されているだけであり、シャフトハウジング24の形状をシンプルなままに維持する。
上述した3つの突起78〜82は、シャフトハウジング24の加工時、シャフトハウジング24を例えば立形ターニングセンタの回転テーブルにセットするために利用される。
ターニングセンタは回転テーブル86を備え、この回転テーブル86は加工物のためのワークチャック、即ち、3つのチャックユニット88を有する。これらチャックユニット86は図5(a)から明らかなように回転テーブル86の周方向に等間隔を存して配置されている。なお、図4は1つのチャックユニット88のみを示している。
一方、回転テーブル86の上方にはツール装着ヘッド92が配置され、このツール装着ヘッド92は送り機構94に支持されている。送り機構94はツール装着ヘッド92を上下方向及び回転テーブル86の径方向にそれぞれ移動させることができる。
シャフトハウジング24の切削加工手順について簡単に説明すると、上述したようにしてシャフトハウジング24がセットされている回転テーブル86を回転させながら、シャフトハウジング24における下側の取付けフランジ66の下面A、外周面B及び上面Cを切削バイトにより順次切削する。この際、図5(b)に示す下側の取付けフランジ66とチャック爪90との間には、その切削バイトの進退を許容する間隙Xが確保されていることは言うまでもない。
上下の取付けフランジ66,74側の切削加工が終了すると、切削バイトを交換してボス70の内周面Gや、その段差Hを切削した後、切削バイトを上方に移動させながら、前述した軸受54,52のための軸受装着穴58,56を切削加工し、シャフトハウジング24の切削加工を完了する。
また、シャフトハウジング24の反転作業(心出しをも含む)が不要であるから、軸受装着穴56,58の切削加工を連続して行え、これら軸受装着穴56,58の同軸性を高精度に確保できる。この結果、軸受装着穴56,58に装着される軸受52,54の同軸性もまた高いので、ピニオンシャフト50は心振れすることなく円滑に回転でき、ピニオンシャフト50を囲繞するオイルシールからの油漏れを大幅に低減される。
一実施例では、シャフトハウジング24のチャッキングに3つの突起78〜82を使用するようにしたが、これら突起の個数は4個以上であってもよく、更には、被把持部はボス70の全周に亘って連続するものであってもよい。
また、本発明の旋回装置が油圧ショベルに限らず、種々の建設機械に適用可能であることも言うまでもない。
4 上部旋回体
10 旋回軸受
14 内輪
16 外輪
22 ギヤハウジング
24 シャフトハウジング
30,32 遊星歯車減速機構
50 ピニオンシャフト
60 ピニオン
62 内歯歯車
64 グリース槽
70 ボス
78,80,82 突起
88 チャックユニット
90 チャック爪
Claims (3)
- 下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体に作業機を装備した建設機械において、
前記下部走行体に前記上部旋回体を旋回可能に支持する旋回装置は、
前記上部旋回体側に配置されたギヤハウジングを有し、駆動源の駆動力を減速して出力する減速機構と、
前記減速機構の下方に設けられ、前記下部走行体に連結され且つその内周面に内歯歯車を有した内輪と前記上部旋回体に連結され且つ前記内輪に対して旋回自在に組付けられた外輪とを有する旋回軸受と、
前記ギヤハウジングから前記旋回軸受内に延びるとともに、その下端に前記内歯歯車と噛み合うピニオンを有し、このピニオンに前記減速機構の出力を伝達するピニオンシャフトと、
前記ギヤハウジングから延びる前記ピニオンシャフトを囲み、その内部に前記ピニオンシャフトを回転自在に支持する軸受が上下に配置されるとともに、上下端に前記ギヤハウジング及び前記上部旋回体に対する上下の取付けフランジをそれぞれ有したシャフトハウジングと、
前記シャフトハウジングの下端から下方に突出されたボスと、
前記ボスの外周面から径方向外側に突設された被把持部であって、前記下側取付けフランジの下面から所定の距離を存して下方に位置付けられ、前記シャフトハウジングの加工時、ワークチャックによる前記シャフトハウジングの把持を許容する被把持部と
を備えたことを特徴とする建設機械の旋回装置。 - 前記下側の軸受は前記ボス内に配置され、
前記被把持部は、前記ボスの周方向に等間隔を存して形成され、前記ワークチャックの各爪がそれぞれ宛がわれる少なくとも3つの突起からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機械の旋回装置。 - 前記ピニオンの下側に、前記ピニオンと前記内歯歯車との間の噛み合い領域に供給すべきグリースを蓄えたグリース槽が更に備えられている場合、前記突起のうちの2つは、前記旋回軸受の周方向でみた前記ピニオンの両側にて前記内歯歯車の直上に位置付けられ、前記内歯歯車の歯先円と交差して配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の建設機械の旋回装置。
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