JP4348903B2 - カルシウム結合型蛋白質の濃縮物からなる連続発光可能な発光物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウム結合型発光蛋白質に関する。詳細には、連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルシウム結合型発光蛋白質は、カルシウムイオンまたはストロンチウムイオン(以下本願明細書において、カルシウムイオンまたはストロンチウムイオンのことを単に「Ca2+」と表記する。)と特異的に反応し、瞬間発光する蛋白質であり、現在イクオリン、クライチン、オベリン、マイトロコミン、ミネオプシンおよびベルボイン等が知られている。これらの発光蛋白質のCa2+に対する感受性は非常に高く、その発光感度もまた市販の検出装置においての検出限界が1ピコグラム以下と非常に高いものである。このため、これらの発光蛋白質は、微量Ca2+の検出・定量や細胞内カルシウムの動的変化のイメ−ジプローブとして用いられている。これらの発光蛋白質は、その発光がCa2+との特異的結合による発光であるため、通常の化学発光で問題になるバックグランドがほとんどなく、且つ反応自体が瞬間発光で数秒以内に終了するため、短時間にS/N比のよいシグナルを得ることができるという利点を有する。しかしその一方で、反応自体が瞬間発光で数秒以内に終了するために、目視によりCa2+の検出・定量を行うことは難しく、検出装置を用いなければCa2+の検出・定量を行うことができない。
また、カルシウム結合型発光蛋白質は、Ca2+と特異的に反応し、瞬間発光するため、カルシウム結合型発光蛋白質を用いた一定時間以上(少なくとも1時間以上)発光し続ける材料(発光物質)は、未だ提供されるに至っていない。
【0003】
一方、カルシウム結合型発光蛋白質は、遺伝子組換の手法により安価に大量に供給可能な状況にある。また、カルシウム結合型発光蛋白質は、他のホタルルシフェラーゼ、細菌のルシフェラーゼ、ウシホタルのルシフェラーゼ等と異なり、Ca2+のみで発光する最も簡単な系であるため、長時間連続発光が可能となれば、アミューズメント、玩具、釣具用の疑似餌等の用途に利用(応用)が可能となる。また、これらの用途で使用されている発光は、有機化合物を用いた完全な化学発光である。発ガン性の可能性があるこれらの有機化合物を大量に使用することは、人体への影響、生態系への影響、環境破壊のおそれ等の観点から必ずしも好まれているわけではない。そのため、これらの影響等のない生物発光による連続発光系の確立が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、▲1▼連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液、▲2▼カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液および粘度調整剤からなる連続発光可能な発光物質および▲3▼これらの連続発光時間の制御方法を提供する事を目的とする。すなわち本発明は、生物発光による連続発光系を確立することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、カルシウム結合型発光蛋白質水溶液を濃縮した材料(発光物質)中の発光蛋白質とCa2+との接触頻度を著しく低下させることにより、該材料(発光物質)が一定時間以上発光し続けることを見出した。
したがって、本発明はカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮物からなる連続発光可能な発光物質に関する。詳細には、連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液に関する。
【0006】
他の態様において、本発明はカルシウム結合型発光蛋白質の濃度が10〜500mg/mlの範囲にある連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液に関する。
他の態様において、本発明はCa2+との接触頻度を著しく低下させるために水溶液を上層したときに、水溶液との間に界面を形成するために必要な粘度を有する連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液に関する。さらに詳細には、水溶液を上層したときに、水溶液との間に界面を形成し、かつ、2時間以上放置しても界面が消失しない連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液に関する。
他の態様において、本発明は粘度が20〜560mPa・sの範囲にある連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液に関する。
【0007】
また他の態様において、本発明におけるカルシウム結合型発光蛋白質は、イクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシンおよびベルボイン並びに発光活性を有するこれらの変異体からなる群から選択される組換え蛋白質である。
他の態様において、本発明はカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液および粘度調整剤からなる連続発光可能な発光物質に関する。
他の態様において、本発明はカルシウム結合型発光蛋白質の連続発光方法に関する。
また他の態様において、本発明はカルシウム結合型発光蛋白質の連続発光時間の制御方法または連続発光時間が制御されたカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮物に関する。
別の態様において、本発明は、本発明の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液と容器とからなるカルシウム定性分析キット、または目盛り付き容器とからなるカルシウム定量分析キットに関する。
また別の態様において、本発明は、透明な容器にカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液を入れたことを特徴とする夜釣り用の浮きに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮方法)
本発明で用いるカルシウム結合型発光蛋白質とは、たとえば、イクオリン、クライチン、オベリン、マイトロコミン、ミネオプシン、ベルボインであり、これらは天然物より単離することが可能であるが、これらの蛋白質の遺伝子を用いれば、容易にこれらの蛋白質に関する遺伝子組換法等の公知の方法で大量に製造することができる。たとえば本発明者は、大腸菌系を用いるイクオリンの製造法を確立し、高純度イクオリンを製造している(特開平1−132397号公報、特開2001−270899号公報)。
この公知の方法で得られるカルシウム結合型発光蛋白質の水溶液を、分子量3000以上を分画可能な膜を有する容器に入れ、高速遠心分離器を用いて3000×g〜6000×gの遠心力が掛かるように少なくとも5分間遠心分離することにより、膜上にカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液が得られる。遠心時間を調整することで、濃縮の程度を制御することもできる。
また、加圧濾過ユニット(たとえば、ザルトリウス株式会社製ビバセルシリーズ)、クロスフロー濾過ユニット(たとえば、ザルトリウス株式会社製ビバフロー50)を用いても、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液が得られる。特に、ビバフロー50を用いれば、大容量のカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮が短時間に行える。
【0009】
得られたカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液に0.1μM以下のエチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと省略する)を含む水および/または緩衝溶液(pH7.0〜8.0)を加えることで、任意の濃度および/または粘度に調整されたカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液が得られる。なお、以下、「EDTAを含む水および/または緩衝溶液(pH7.0〜8.0)」を単に「EDTA水」という。また、本願明細書において、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液とは、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液自体、およびこれにEDTA水を加えたものの両方を意味する。
また、粘度調整剤として水溶性の高粘度物質を添加することでも、任意の濃度および/または粘度に調整されたカルシウム結合型発光蛋白質と、EDTA水と、粘度調整剤との混合物が得られる。以下、カルシウム結合型発光蛋白質と、EDTA水と、粘度調整剤との混合物を単に「カルシウム結合型発光蛋白質濃縮混合物」といい、カルシウム結合型発光蛋白質と粘度調整剤との混合物をも含む。粘度調整剤は、水溶性であり、発光を妨げず、かつ、カルシウム結合型発光蛋白質との相溶性が良いものであればよい。たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フィコール等のポリアルコール、アルブミン、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、硫安、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類、トリスアミノ塩酸等の有機塩類、キシリトール、シュークロース等の多糖類が挙げられる。これらのうち、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルブミンが好ましい。
【0010】
濃縮方法の具体例として、次の方法を例示できる。分子量分画サイズ10,000の膜を有する容器にカルシウム結合型発光蛋白質10mgを取り、ここにCa2+を含まないEDTA水を容量が1mlとなるように加えて得られるカルシウム結合型発光蛋白質水溶液の濃度を10mg/mlとし、この容器を高速遠心分離機に掛ける。カルシウム結合型発光蛋白質水溶液の容量が100μlとなった場合の濃度は100mg/mlである。すなわちこの場合には、遠心分離させたことにより、カルシウム結合型発光蛋白質水溶液は10倍の濃度に濃縮されたことになる。
また、カルシウム結合型発光蛋白質水溶液の粘度は、コーンプレート型回転粘度計を用いれば簡単に測定できる。濃縮水溶液を測定する場合には、高粘度用(EHD型)のコーンプレート型回転粘度計を用いることが好ましい。
【0011】
(連続発光法)
本発明は、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液(粘度調整剤を添加した場合には粘度調整剤を含む)中の発光蛋白質とCa2+との接触頻度を著しく低下させることにより、連続発光を可能とするものである。たとえば、以下の態様により連続発光させることができる。
図1又は図2に示すような容器にカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液を添加する。ここに、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液が流動しないように静かに、Ca2+を含まないEDTA水を注ぐことにより、下層がカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液、上層がEDTA水の層分離状態になる。次いで、上下層が流動しないように静かに、Ca2+を含む水を上層に加えると、界面でのみ帯状に発光する。この発光現象は、数秒以内に終了することはなく、Ca2+又はカルシウム結合型発光蛋白質が消費され尽くすまで連続し、時間の経過とともに帯状の発光面はカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液である下層を降下する。
また、Ca2+を含まないEDTA水を注ぐことなく、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液が流動しないように静かに、Ca2+を含む水を、直接該カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液に接触させることによっても、界面でのみ帯状に発光する。この発光現象も、数秒以内に終了することはなく、Ca2+又はカルシウム結合型発光蛋白質が消費され尽くすまで連続し、時間の経過とともに帯状の発光面はカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液である下層を降下する。また、以下の態様によっても連続発光させることができる。毛細管現象を利用してカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液をキャピラリーに入れる。次いでCa2+を含む水をカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液に接触するように入れた後、キャピラリーを水平に置く。そうすると、Ca2+を含む水とカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液とが接触する、キャピラリーの先端から末端へと青色発光がゆっくり移動して行く。Ca2+濃度および/またはカルシウム結合型発光蛋白質濃度を調整することで、24時間以上連続発光させることも可能である。
また、粘度調整剤を添加した場合には、たとえ界面が生じなくても連続発光することがある。すなわち、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮混合物がCa2+を含む水との間に界面を生じる程の高粘度ではないものの、カルシウム結合型発光蛋白質を囲い込むに十分な量および性質の粘度調整剤がカルシウム結合型発光蛋白質の周りに存在するために、発光蛋白質とCa2+との接触頻度を著しく低下させることが可能となることがある。そのため、たとえばウシアルブミン、ポリエチレングリコールを粘度調整剤に用いた場合には、カルシウム結合型発光蛋白質の濃度および粘度調整剤の濃度が適当な条件にあれば、界面が生じなくても連続発光する。
【0012】
(発光時間の制御)
本発明の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液は、最初にCa2+を含む水との界面に存在するカルシウム結合型発光蛋白質がCa2+と結合して瞬間発光を示し、次に瞬間発光を示したカルシウム結合型発光蛋白質の下に存在するカルシウム結合型発光蛋白質が他のCa2+と結合して瞬間発光を示すことを繰り返して連続発光を可能とする。そのため本発明の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液には、カルシウム結合型発光蛋白質とCa2+との接触機会が制限されるように、カルシウム結合型発光蛋白質および/またはCa2+が自由に動き回れない程度の粘度が必要である。但し、接触機会が得られない程の高い粘度ではないことも必要である。また、Ca2+を加える(添加する)際には、連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液である下層と上層とが混合しないようにする必要がある。下層と上層とが混合してしまうと、混合の程度によっては、この発光現象は数秒以内に終了する。
【0013】
上述の通り、最初に界面で発光し、Ca2+又はカルシウム結合型発光蛋白質が消費され尽くすまで連続して発光し、時間の経過とともに帯状の発光面はカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液である下層を降下する。したがって、一定量のカルシウム結合型発光蛋白質とCa2+とが各々下層と上層に存在する場合には、界面の面積を小さくすれば、本発明の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液の連続発光時間を長くすることができ、界面の面積を大きくすれば、連続発光時間を短くすることができる。すなわち、本発明の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液とCa2+を含む水とを入れる容器を、図1に示すような容器にすれば連続発光時間を長くすることができ、図2に示すような容器にすれば連続発光時間を短くすることができる。
【0014】
また、上層のCa2+の濃度を小さくすれば、カルシウム結合型発光蛋白質との接触機会が少なくなるので、連続発光時間を長くすることができる。逆に、上層のCa2+の濃度を大きくすれば、カルシウム結合型発光蛋白質との接触機会が多くなるので、連続発光時間を短くすることができる。
同様に、下層である連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液のカルシウム結合型発光蛋白質の濃度を小さくすれば(すなわち、粘度調整剤を添加すれば)、連続発光時間を長くすることができ、濃度を大きくすれば連続発光時間を短くすることができる。
【0015】
(定性分析キット)
本発明の別な態様は、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液を入れた、発光現象を目視により確認可能な容器(例えば透明な又は半透明な容器)と、必要な場合に添加する純水又はEDTA水とからなるCa2+定性分析(検出)用キットである。該キットを用いれば、Ca2+検出装置が無くても簡単に定性分析(検出)を行える。また、連続発光することおよび黄色である発光蛋白質が減少することから容易に目視でも確認でき、青色発光するので暗闇であっても確認できる。
また、本発明は、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液の代わりに、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液および粘度調整剤からなる連続発光可能な発光物質を用いることもでき、同様の発明の効果を奏する。
【0016】
(定量分析キット)
また本発明の別な態様は、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液を入れた、目盛り付きの発光現象を目視により確認可能な容器(例えば透明な又は半透明な容器)と、必要な場合に添加する純水又はEDTA水とからなるCa2+定量分析用キットである。上述の通り、最初に界面で発光し、Ca2+が消費され尽くすまで連続して発光し、時間の経過とともに帯状の発光面はカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液である下層を降下する。未反応のカルシウム結合型発光蛋白質の残量は、発光基質に相当する化合物と分子状酸素が形成する複合体に由来する色により、容器に付いている目盛りから算出することができる。すなわち、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液の濃度から予め反応可能なCa2+量は明らかであり、濃度と未反応の容量から反応したCa2+量を算出することができる。たとえば、イクオリンの場合には、セレンテラジンと分子状酸素が形成する複合体はオレンジ色を呈し、Ca2+と結合して、青色(λmax=465nm)の瞬間発光を示し、セレンテラジンの酸化物であるセレンテラミドと二酸化炭素を生成し、無色透明となる。
また、Ca2+が消費され尽くしたことは、発光が終了することから容易に判断をすることができる。さらに、上述の通り、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液の濃度を調整することにより、実用的な反応時間に調整することが可能である。
さらに、本発明は、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液の代わりに、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液および粘度調整剤からなる連続発光可能な発光物質を用いることもでき、同様の発明の効果を奏する。
【0017】
(夜釣り用浮き)
本発明の別な態様は、透明な容器にカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液を入れたことを特徴とする夜釣り用の浮きである。本発明の浮きは、使用直前に容器内のカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液と海水または河川の水とを接触可能な状態にすることにより、使用の際に青色の連続発光をさせるものである。この青色発光を目印に夜間であっても浮きの位置を確認することが可能となる。具体的な構造としては、たとえば、浮き(透明容器)からカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液が洩れないようにキャップがしてあり、使用直前に該キャップを外して海水等が容器に流れ込めるようにする構造を挙げることができる。また、使用直前までは密封されている容器の一部を破壊(切断等)することにより、海水等が容器に流れ込めるようにする構造を挙げることもできる。
また、本発明は、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮水溶液を使用するものであるから、環境汚染が生ずることはない。本発明を構成する透明な容器は、連続発光をした際に、青色の発光を確認できるものであればその材質を選ばない。たとえば、PMMAなどの透明なプラスチック、ガラス等を挙げることができる。取扱いの利便性から、透明なプラスチックであることが好ましい。
また、本発明は、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液の代わりに、カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液および粘度調整剤からなる連続発光可能な発光物質を用いることもでき、同様の発明の効果を奏する。
【0018】
【実施例】
実施例1 イクオリンの製造
1)組換えアポイクオリンの大腸菌での発現
大腸菌においてアポイクオリンを発現させるために、イクオリン遺伝子を包含するpAQ440(特開昭61−135586号公報)から構築した、アポイクオリン遺伝子発現ベクターpiP−HE(特開平1−132397号公報)を用いた。宿主として大腸菌WA802株を使用し、常法によりpiP−HEで該菌株を形質転換した。得られた形質転換株を30℃で一晩培養後、アンピシリン(50μg/ml)を含有する50mlのLB液体培地(水1リットルあたり、バクトトリプトン10g、イーストイクストラクト5g、塩化ナトリウム5g、pH7.2)に植菌し、さらに30℃で8時間培養した。次いで、その培養物を新たなLB液体培地2Lに添加し、37℃で一昼夜(18時間)培養した。培養後、菌体と培養液を低速遠心分離(5000×g)によって分離した。菌体および培養液はともに発現したアポイクオリンを含むためそれぞれ保存し、イクオリンの精製出発材料とした。
【0019】
2)菌体からのイクオリンの精製
集菌した菌体を、還元剤であるジチオスレイトール(和光純薬社製)200mgを含む400mlの50mM Tris-HCl,10mM EDTA,pH7.6の緩衝液中に懸濁させ、氷冷下において超音波破砕装置で2分間処理して菌体を破砕し、12000×gで20分間遠心後、上澄み液を集めた。得られた上澄み液に化学合成したセレンテラジンを産生アポイクオリンの1.2倍のモル濃度になるように少量のメタノールに溶かしこみ、4℃で5時間以上放置した。この上澄み液を直ちに、20mM Tris-HCl,10mM EDTA,pH7.6の緩衝液で平衡化したQ−セファロースカラム(ファルマシア製、直径2cm×10cm)に添加してイクオリンを吸着させ、カラムから溶液の280nmでの吸光度が0.05以下になるまで20mM Tris-HCl,10mM EDTA,0.1M NaCl,pH7.6でカラムを洗浄した。そして、カラムに吸着したアポイクオリンとイクオリン画分を0.1M−NaCl〜0.4M−NaClの直線濃度勾配で溶出させた。
【0020】
再生イクオリンと未再生のアポイクオリンとの分離は、疎水性クロマトグラフィーであるブチルセファロース4ファーストフローゲルを用いて行った。即ち、Q−セファロースカラムからのオレンジ色の溶出液を、硫酸アンモニウムの最終濃度が2Mになるように調整した。次いで、不溶画分を遠心分離によって除去し、その上澄み液を、2M−硫酸アンモニウムを含有する20mM Tris-HCl,10mM EDTA,pH7.6で平衡化したブチルセファロース4ファーストフローカラム(ファルマシア社、カラムサイズ:直径2cm×8cm)に通し、硫酸アンモニウム濃度1Mまで直線濃度勾配により溶出し、発光活性を有するオレンジ色の再生イクオリン画分を収集した。
一方、未再生のアポイクオリンは、20mM Tris-HCl,10mM EDTA,pH7.6でのみ溶出された。再生イクオリン画分について、還元状態で12%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによる分析を行った。その結果、精製画分について分子量25kDa蛋白質に相当する単一バンドが検出され、その純度はデンシトメーターでの測定では98%以上であった。菌体からのイクオリンの回収率は約80%で、80mgの高純度イクオリンを得た。
【0021】
3)培養液からのイクオリンの精製
培養液からの高純度アポイクオリンの精製は、特開平1−132397号公報に記載の方法に従って実施した。即ち、培養液を酸性化処理してpH5以下にし、4℃で放置した。白色沈殿となったアポイクオリンを遠心分離によって単離し、これを還元剤を含む上述の緩衝液に溶解させた。そして菌体からのイクオリンの精製工程と同様にイクオリンへの再生後、Q−セファロ−スカラムクロマト法、ブチルセファロース4ファーストフローカラムクロマト法を用いて、純度98%以上のイクオリンを取得した。得られた精製イクオリンについて、還元状態で12%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−PAGEによる分析を行った結果、分子量25kDa蛋白質に相当する単一バンドが検出され、その純度はデンシトメーターでの測定では98%以上であった。培養液より得られたアポイクオリン50mgから高純度イクオリン45mgを得た。
【0022】
実施例2 カルシウム結合型蛋白質の濃縮物からなる連続発光可能な発光物質の製造方法(その1:粗精製物イクオリン濃縮溶液)
実施例1記載のQセファロース溶出粗イクオリン画分を出発原料として、10mM Tris-HCl(pH7.6)、2 mM EDTA、1M硫酸アンモニウムを含む緩衝液で、イクオリン発光活性より決定した蛋白質濃度が10mg/mlのイクオリン溶液を調製した。
このイクオリン溶液1mlを、高速限外濾過フィルターである分画分子量10,000のポリエーテルスルホン膜を有するビバスピン2カラム(ザルトリウス社製)を用いて、高速遠心機(日立社製:CR20B2型)にて6000 × g、15分間以上遠心を行い、全量を100μl以下に濃縮した。さらに、濃縮溶液のEDTA濃度を、0.1μM以下に下げるために、1mlの0.1μM EDTAを含む10mM Tris-HClをビバスピン2カラムに加え、再度同一条件で遠心を行い、全量を100μlに濃縮した。このステップを最低2回くり返し、濃縮溶液中のEDTAの濃度を0.1μM以下に押さえた。 その結果、100mg/mlの濃縮イクオリン溶液100μlを得た。このイクオリン濃縮液は、黄赤色を呈し、肉眼で容易に確認できた。
また、得られた100mg/mlの濃縮イクオリン溶液100μlをマイクロチューブに移し、50mM塩化カルシウム溶液100μlを上層に静かに加え、連続発光することを確認した。
【0023】
実施例3 カルシウム結合型蛋白質の濃縮物からなる連続発光可能な発光物質の製造方法(その2:高純度イクオリン濃縮溶液)
濃度10mg/mlの高純度イクオリン溶液を出発原料として、
このイクオリン溶液1mlを、高速限外濾過フィルターである分画分子量10,000のポリエーテルスルホン膜を有するビバスピン2カラム(ザルトリウス社製)を用いて、高速遠心機(日立社製:CR20B2型)にて6000 × g、15分間以上遠心を行い、全量を20μl以下に濃縮した。さらに、濃縮溶液のEDTA濃度を、0.1μM以下に下げるために、1mlの0.1μM EDTAを含む10mM Tris-HClをビバスピン2カラムに加え、再度同一条件で遠心を行い、全量を20μlに濃縮した。このステップを最低2回くり返し、濃縮溶液中のEDTAの濃度を0.1μM以下に押さえた。 その結果、500mg/mlの濃縮イクオリン溶液20μlを得た。このイクオリン濃縮液は、黄赤色を呈し、肉眼で容易に確認できた。
なお、高純度イクオリン溶液を80%硫酸アンモニウム沈殿処理して得られる沈殿イクオリン蛋白質または高純度イクオリン溶液から結晶化して得られるイクオリン蛋白質を出発原料としても、同様に500mg/mlの濃縮イクオリン溶液を得られる。
【0024】
実施例4 カルシウム結合型蛋白質の濃縮物からなる連続発光可能な発光物質の製造方法(その3:高純度イクオリン濃縮溶液の大量製造)
濃縮イクオリン溶液を大量に得るために、以下の操作を行った。
分画分子量5,000のポリエーテルスルホン膜を有するビバスピン20カラム(ザルトリウス社製)に、10mg/mlのイクオリン溶液20mlを加え、高速遠心機(日立社製:CR20B2型)にて3000 × g、 で30分間以上遠心を行い、全量を2ml以下に濃縮した。さらに、濃縮溶液のEDTA濃度を、0.1μM以下に下げるために、20mlの0.1μM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH7.6)をビバスピン20カラムに加え、再度同一条件で遠心を行い、全量を2mlに濃縮した。このステップを最低2回くり返し、濃縮溶液中のEDTAの濃度を0.1μM以下に押さえ、最終イクオリン濃度100mg/mlの濃縮液を得た。
【0025】
実施例5 ポリエチレングリコール添加による粘度調製法
市販親水性ポリマーであるポリエチレングリコール6000(和光純薬社製、平均分子量7500)を、ポリエチレングリコールの最終濃度が30%になるように0.1μM EDTAを含む10mM Tris-HCl緩衝液で調製した。これをイクオリンの高濃度濃縮液に溶かし込んで、イクオリンの最終的な濃度が5〜50mg/mlになるように調整することにより、粘度を調整したイクオリンの高濃度濃縮液を得た。
同様に、ポリエチレングリコールの最終濃度がそれぞれ20%、10%になるように0.1μM EDTAを含む10mM Tris-HCl緩衝液で調製した。これをイクオリンの高濃度濃縮液に溶かし込んで、イクオリンの最終的な濃度が5〜50mg/mlになるように調整することにより、それぞれ異なる粘度に調整されたイクオリンの高濃度濃縮液を得た。
【0026】
実施例6 蛋白質添加による粘度調製法
市販蛋白質である分子量6.6万のウシアルブミン(生化学工業社製)を用い、イクオリンを含む溶液がアルブミンの最終濃度30%になるよう調製した。 すなわち、10mM Tris-HCl (pH7.6)、10 mM EDTA を含む緩衝液に、3%アルブミン(w/v)になるように調製し、この3%アルブミン溶液0.9 mlに1mg/mlの濃縮イクオリン溶液0.1mlを加え、良く混合した後、ビバスピン2カラム(ザルトリウス社製)を用いて、6000 × gで高速遠心機(日立社製:CR20B2型)で15分間以上遠心を行い、全量を100μlに濃縮した。さらに、濃縮溶液のEDTA濃度を、0.1μM以下に下げるために、1mlの0.1μM EDTAを含む10mM Tris-HClをビバスピン2カラムに加え、再度同一条件で遠心を行い、全量を100μlに濃縮した。このステップを最低2回くり返し、濃縮溶液中のEDTAの濃度を0.1μM以下に押さえた。この結果、アルブミンの最終濃度が30%となった粘稠な10 mg/mlのイクオリン濃縮液を得た。
簡易には、30%アルブミン溶液になるように、50mg/mlのイクオリン濃縮液を溶かし込み10mg/mlに調整することもできる。
【0027】
実施例7 濃縮溶液の粘度測定
溶液の粘度はEHD型回転粘度計(TOKIMEC INC.社製)を用い、測定温度は25 ±0.1 ℃、回転数50rpmで、各濃度のサンプル(濃縮溶液)1.2mlをn=3で測定した。得られた測定結果に、計測機器固有の数値である10.24を乗じて各濃度の粘度を求めた。
(1)ポリエチレングリコール6000の場合。
ポリエチレングリコール6000(和光純薬社製、平均分子量7500)を10mM Tris-HCl緩衝液に溶かし、1、5、10、20、30、40、50、60%(w/v)溶液を調製し、1.2mlを使用して、粘度を測定した。その結果、10%(w/v)以下の溶液は検出限界外であり、20、30、40、50、60%(w/v)溶液の粘度は、それぞれ17.98、47.96、120.83、311.30、559.10mPa・sであった。さらにこれらの溶液100 μlに、10mM Tris-HCl緩衝液1mlを上層して、2層の間に界面が生成し、かつ、25℃で2時間以上放置しても界面が消失しないかを確認した。その結果、ポリエチレングリコール濃度20%以下であれば、すなはち18mPa・s以下の粘度があれば界面は生成しないか、生成しても25℃で2時間以内に消滅してしまうが、少なくともポリエチレングリコール濃度30%以上であれば、すなはち50mPa・s以上の粘度があれば良いことが明らかとなった。
【0028】
(2)ウシアルブミンの場合。
ウシアルブミン(生化学工業社製)を用い、10mM Tris-HCl緩衝液に溶かし、蛋白質濃度1、5、10、20、30%(w/v)溶液を調製し、これらの1.2mlを使用して粘度を測定した。その結果、20%(w/v)以下の溶液は検出限界外であり、30%(w/v)溶液の粘度は、19.63mPa・sであった。この溶液100μlに、10mM Tris-HCl緩衝液1mlを上層し、2層の間に界面が生成し、かつ、25℃で2時間以上放置しても界面が消失しないことを確認した。すなわち、蛋白質の場合は、20 mPa・s以上の粘度があれば界面が生成することが明らかとなった。
【0029】
(3)イクオリンのみ(粘度調整剤なし)の場合。
イクオリンの蛋白質濃度が0.1、1、5、10、50、100、500mg/mlの溶液100μlをビバスピン2カラム(ザルトリウス社製)内で調製し、10mM Tris-HCl緩衝液1mlを上層して、2層の間に界面が生成し、かつ、25℃で2時間以上放置しても界面が消失しないかを確認した。その結果、イクオリンの蛋白質濃度が10mg/ml以上であれば界面が生成することが明らかとなった。
【0030】
実施例8 連続発光の際の時間経過による発光強度の変化(その1)
10mMEDTAを含む30%(w/v)ポリエチレングリコール45μlと2.26mg/mlイクオリン5μlをマイクロチューブに入れ、均一に混合した。ここに、50mM塩化カルシウム溶液100μlを上層した。このマイクロチューブを室温(24℃)にて放置し、時間の経過を追って、その発光強度をルミノメーター(アトー社製、AB2200)を用いて測定した。その結果を表1に示した。なお、表1中の時間は分、発光強度は相対発光強度で示してある。
表1 30%(w/v)ポリエチレングリコールの連続発光強度
実施例9 連続発光の際の時間経過による発光強度の変化(その2)
10mMEDTAを含む30%(w/v)ウシアルブミン45μlと2.26mg/mlイクオリン5μlをマイクロチューブに入れ、均一に混合した。ここに、50mM塩化カルシウム溶液100μlを上層した。このマイクロチューブを室温(24℃)にて放置し、時間の経過を追って、その発光強度をルミノメーター(アトー社製、AB2200)を用いて測定した。その結果を表2に示した。なお、表2中の時間は分、発光強度は相対発光強度で示してある。
表2 30%(w/v)ウシアルブミン連続発光強度
実施例10 連続発光の際の時間経過による発光量の変化(その3)
(1)ポリエチレングリコール6000の場合。
マイクロチューブに実施例7に記載した各濃度のポリエチレングリコール溶液45μl、2.26mg/mlイクオリン濃縮液5μlを加え均一に混合した後、50mMの塩化カルシウム溶液100μlを上層した。連続発光することを目視により確認すると共に、時間の経過を追って、その発光強度をルミノメーター(アトー社製、AB2200)を用いて測定した。その結果を表3に示した。なお、表3中の濃度はポリエチレングリコールの濃度(w/v)、時間は分、発光強度は相対発光強度で示してある。
表3 ポリエチレングリコールの連続発光強度
したがって、粘度調整剤としてポリエチレングリコールを用いた18〜120mPa・sの範囲にあるカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液は連続発光可能であることがわかった。
(2)ウシアルブミンの場合。
マイクロチューブに実施例7に記載した各濃度のウシアルブミン溶液45μl、2.26mg/mlイクオリン濃縮液5μlを加え均一に混合した後、50mMの塩化カルシウム溶液100μlを上層した。連続発光することを目視により確認すると共に、時間の経過を追って、その発光強度をルミノメーター(アトー社製、AB2200)を用いて測定した。その結果を表4に示した。なお、表4中の濃度はウシアルブミンの濃度(w/v)、時間は分、発光強度は相対発光強度で示してある。
表4 ウシアルブミンの連続発光強度
したがって、粘度調整剤としてウシアルブミンを用いたカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液は粘度が20mPa・s以下の範囲であっても、界面は生成しないものの連続発光可能であることがわかった。
【0031】
実施例11 連続発光方法によるカルシウムイオンの検出法
ビバスピン2カラム中に50mg/mlの濃縮イクオリン液100μlを添加し、ここに1mlの検定したい溶液(低濃度(1μM)のカルシウムイオン溶液、以下の実施例で検定用サンプルという。)をゆっくり上層添加することにより、カルシウムイオンの検出を行った。暗所(暗室)において観察したところ、界面に連続発光を肉眼で確認することができた。
また、コントロールとして、1ml の5mMの塩化カルシウム溶液を上層添加し、室温で発光反応を開始させた。暗所(暗室)において観察したところ、カラム上部の発光を肉眼で容易に確認できた。その発光量をルミノメーター(ラボサイエンス社製、TD−4000)を用いて測定すると、5mM 塩化カルシウム溶液を上層添加したコントロールでは、毎秒1012フォトンを発生していた。コントロールをそのまま放置したところ、完全に発光反応が終了するまでに、25℃で14時間を要し、カラム中のイクオリン部分の赤黄色は完全に消失した。
【0032】
実施例12 連続発光方法によるカルシウムイオンのキット
目盛り付きのガラスキャピラリーカラム5μl (外径1mm × 90 mm:クレイアダムス社製)に毛細管現象により、0.1μM EDTAと1M硫酸アンモニウムを含む10mg/mlの濃縮イクオリン溶液1μlを吸入した。キャピラリーカラムの先端から1μlの検定用サンプルを吸入し、発光反応を開始させた。キャピラリー内を発光の帯びがゆっくり移動する現象が観察された。暗室にて発光が完全に終了したことを確認した後、黄赤色の未反応濃縮イクオリン溶液の量から検定用サンプルのカルシウムイオン量を算出した。算出したカルシウムイオン量は、検定用サンプル1μlのカルシウムイオン量と一致した。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、カルシウム結合型発光蛋白質の濃縮混合物からなる連続発光可能な発光物質およびその連続発光時間の制御方法が提供される。本発明のカルシウム結合型発光蛋白質の濃縮混合物を用いれば、人体への影響、生態系への影響、環境破壊のおそれ等を気にすることなく、アミューズメント、玩具、釣具用の疑似餌等の用途において、長時間連続発光現象を利用することができる。
また、本発明のカルシウム定性、定量キットを用いれば、簡便にカルシウムイオンの検出等を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】断面積の小さい容器の図面である。
【図2】断面積の大きい容器の図面である。
【符号の説明】
1 上層:Ca2+を含むEDTA水
2 界面:帯状青色発光
3 下層:カルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液
Claims (6)
- 粘度が20〜560mPa・sの範囲にある連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液。
- カルシウム結合型発光蛋白質が、イクオリン、オベリン、クライチン、マイトロコミン、ミネオプシンおよびベルボイン並びに発光活性を有するこれらの変異体からなる群から選択される組換え蛋白質である、請求項1に記載のカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液。
- 請求項1または2に記載のカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液および粘度調整剤からなる連続発光可能な発光物質。
- 請求項1または2に記載の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液または請求項3に記載の連続発光可能な発光物質と容器とからなるカルシウム定性分析キット。
- 請求項1または2に記載の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液または請求項3に記載の連続発光可能な発光物質と目盛り付き容器とからなるカルシウム定量分析キット。
- 請求項1または2に記載の連続発光可能なカルシウム結合型発光蛋白質濃縮水溶液または請求項3に記載の連続発光可能な発光物質を透明な容器に入れたことを特徴とする夜釣り用の浮き。
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