JP4344489B2 - 自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は，スポーツ仕様の自動二輪車に好適なアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造に関し，特に，フロントフォークの，操向ハンドルを支持する上端部を覆うアッパカウルの上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面で形成し，またこのアッパカウルの，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠きの周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面で上面を形成したスクリーンを取り付け，これらアッパカウル及びスクリーンの内側に，後方上向きの表示面を有して車体フレームに固定されるメータを配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
かゝる自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造は，例えば実開昭６３−３２９８３号公報に開示されているように，既に知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の自動二輪車では，アッパカウル及びスクリーンの上面を連続した凸曲面で形成していたので，スクリーン上面に，全伏姿勢のライダの頭部上面との連続性を持たせるために，アッパカウル及びスクリーンの上面全体に，比較的大きな後上がり勾配をつけていた。またメータはアッパカウルの領域内に配設していた。
【０００４】
しかしながら，上記のように，アッパカウル及びスクリーンの上面全体に大きな後上がり勾配をつけると，アッパカウルの走行風に対する楔効果が低下して，空気抵抗が増加する。
【０００５】
本発明は，かゝる事情に鑑みてなされたもので，スクリーン上面の，全伏姿勢のライダの頭部上面に対する連続性を維持しつゝ，アッパカウルの走行風に対する楔効果を高めて空気抵抗の低減を図ることができ，しかも全伏姿勢のライダでもメータを視認し易くした，前記自動二輪車のフロントカウル，スクリーン及びメータ配設構造を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために，本発明は，フロントフォークの，操向ハンドルを支持する上端部を覆うアッパカウルの上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面で形成し，またこのアッパカウルの，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠きの周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面で上面を形成したスクリーンを取り付け，これらアッパカウル及びスクリーンの内側に，後方上向きの表示面を有して車体フレームに固定されるメータを配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造において，前記スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配を，ライダが頭部のヘルメットを前記スクリーンの後端縁に接近させる全伏姿勢を取るときに，前記ヘルメット上面に対する前記スクリーンの連続性を得べく，前記スクリーン上面の後方延長線が前記ヘルメットの頂点付近を通るように設定する一方，前記アッパカウル上面の，前記切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，前記アッパカウルが走行風に対する楔効果を発揮すると共に，前記アッパカウル上面の後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，前記第１の後上がり勾配よりも小さく設定し，前記メータの表示面を，側面視で前記アッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨いで配置し，前記メータには左右幅が前方に向かって減少する台形部を形成し，前記メータの表示面の平面視で，前記台形部の少なくとも一部が，前記スクリーンの前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線とで囲まれる弓形空間に進入するように，前記メータを配置し，前記アッパカウルの前端部には左右一対のヘッドランプを装着したことを特徴とする。
【０００７】
この特徴によれば，自動二輪車の走行中，ライダが全伏姿勢を取り，頭部をスクリーンの後端縁に接近させると，後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，スクリーン取り付け用切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配よりも小さく設定されて，後上がり勾配の比較的小さい凸曲面の上面を備えるアッパカウルは，走行風に対して良好な楔効果を発揮して空気抵抗の減少に寄与する。また，後方延長線が全伏姿勢を取るライダのヘルメットの頂点付近を通るように設定されて，後上がり勾配の比較的大きいスクリーンの凸曲面の上面は，ライダの頭部上面に対する連続性を有するから，スクリーン上面を後方に流れる走行風をスムーズにライダの頭部上面に移し，これもまた空気抵抗の減少に寄与する。したがって，ライダを含む自動二輪車全体の空気抵抗を効果的に減少させ，最高車速を高めることができる。しかも側面視でアッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨ぐように配置されるメータの表示面は，全伏姿勢のライダでもこれを容易に見ることができ，その視認性は良好である。
【０００８】
また，視認性の高い比較的大型のメータを採用しても，これをスクリーンの内面に近接配置することが可能となって，該メータとフロントフォークのトップブリッジとの間に，トップブリッジの回動を許容するスペースを容易に確保することができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を，添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【００１０】
図１は本発明に係る自動二輪車の側面図，図２は同自動二輪車の正面図，図３は図１の３部拡大図，図４は図３の４矢視図，図５は図３の５−５線断面図である。
【００１１】
先ず，図１及び図２において，自動二輪車Ｍの車体フレームの前端に，前輪２ｆを軸支するフロントフォーク１が操向可能に連結され，このフロントフォーク１の上端部には操向ハンドル３が付設される。また車体フレームの後端部には，後輪２ｒを軸支するリアフォーク４が上下揺動可能に取り付けられ，車体フレームの中間部には，後輪２ｒを駆動するエンジン５が搭載され，その上方にライダＲが跨がるシート６が配設される。
【００１２】
さらに車体フレームにはフロントカウル１０が取り付けられる。このフロントカウル１０は，フロントフォーク１の上端部を前方から覆うアッパカウル１１と，このアッパカウル１１の下端に結合されて，フロントフォーク１の中間部からエンジン５にかけて，それらの左右両側面を覆うロアカウル１２とから構成される。
【００１３】
アッパカウル１１及びロアカウル１２間には冷却風入口１３が，またロアカウル１２の左右両側壁には，エンジン５のラジエータ１５が臨む冷却風出口１４がそれぞれ設けられ，冷却風入口１３に流入した空気がラジエータ１５を冷却して冷却風出口１４から流出するようになっている。
【００１４】
またエンジン５には，その下面を覆いながら，エンジン５の下面との間に冷却風通路１７を形成するエンジンアンダカバー１６が取り付けられる。
【００１５】
図１〜図３に示すように，アッパカウル１１の上面は，後上がり勾配を持つ凸曲面１１ａで形成される。このアッパカウル１１には，後方に開放したＶ字状あるいはＵ字状のスクリーン取り付け用切欠き２０が設けられており，この切欠き２０の周縁に透明のスクリーン２１が取り付けられ，このスクリーン２１の上面も，後上がり勾配を持つ凸曲面２１ａで形成される。
【００１６】
特に，アッパカウル１１の上面を形成する凸曲面１１ａの後上がり勾配は，アッパカウル１１の走行風に対する楔効果を高めるべく極力小さく設定される。一方，スクリーン２１の上面を形成する凸曲面２１ａの後上がり勾配は，ライダＲが上半身を略水平に倒して頭部のヘルメットＨをスクリーン２１の後端縁に接近させる全伏姿勢を取るとき（図１参照），該凸曲面２１ａに上記ヘルメットＨ上面に対する連続性を持たせべく比較的大きく設定される。その結果，アッパカウル１１上面の，前記切欠き２０に臨む後端縁での後上がり勾配αは，スクリーン２１上面の前端縁での後上がり勾配βより小さく設定され，それら上面１１ａ，２１ａの間には浅い谷２２が形成される。その結果，図１及び図２に示すように，スクリーン２１上面の後方延長線Ａは全伏姿勢のライダＲのヘルメットＨの頂点付近を通過し，またアッパカウル１１上面の後方延長線Ｂは全伏姿勢のライダＲの肩の頂点付近を通過することになる。
【００１７】
図２に明示するように，アッパカウル１１の前端部には左右一対のヘッドランプ２３が装着され，それらの前面は，アッパカウル１１の前面に連続するように形成されている。
【００１８】
また図３〜図５において，アッパカウル１１及びスクリーン２１の内側において，メータ２５がフロントフォーク１を支持する車体フレームＦにステー（図示せず）を介して取り付けられる。その際，ライダＲの全伏姿勢の状態でも，ライダＲによる表示面３３の視認性を高めるべく，該表示面３３は後方上向きに，且つ側面視でアッパカウル１１及びスクリーン２１の境界Ｃを上下に跨ぐように配置される。メータ２５の表示面３３には，デジタル式の車速表示部２７，アナログ式のエンジン回転数表示部２８，その他各種警告表示部２９が設けられる。
【００１９】
図５に明示するように，メータ２５の前半部は，左右幅が前方に向かって減少する台形部２５ａに形成され，メータ２５の表示面３３の平面視で，この台形部２５ａの一部又は全部が，スクリーン２１の前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線Ｌとで囲まれる弓形空間３４に進入するようにメータ２５は配置される。そして，このメータ２５と，前記フロントフォーク１の左右の脚体１ａ，１ａの上端間を連結するトップブリッジ７との間には，トップブリッジ７の回動を許容するスペースが確保される。
【００２０】
再び，図１及び図２において，アッパカウル１１の左右両側部の上面には，一対の取り付け座３０が形成され，これらにバックミラー３１を支持するミラーステー３２が取り付けられるが，自動二輪車Ｍのレース参加時には取り外されるものである。
【００２１】
次に，この実施例の作用について説明する。
【００２２】
自動二輪車Ｍの走行中，ライダＲが図１のように全伏姿勢を取り，ヘルメットＨをスクリーン２１の後端縁に接近させると，スクリーン取り付け用切欠き２０に臨む後端縁での後上がり勾配αを，スクリーン２１の上面の前端縁での後上がり勾配βよりも小さく設定されて，後上がり勾配の比較的小さい凸曲面の上面１１ａを備えるアッパカウル１１は，走行風に対して良好な楔効果を発揮すると共に，アッパカウル１１の上面を流れる走行風は前記延長線Ｂに沿ってライダＲの肩の頂点付近を通過していくので，空気抵抗の減少を図ることができる。
【００２３】
またスクリーン２１の後上がり勾配の比較的大きい凸曲面の上面２１ａは，前記ヘルメットＨの上面に対する連続性を有するから，スクリーン２１の上面２１ａを後方に流れる走行風を，大きな乱れを生じさせることなく，前記延長線Ａに沿ってスムーズにヘルメットＨの上面に移し，そしてライダＲの背を経て後方へ流し，これによっても空気抵抗の減少を図ることができる。その結果，ライダＲを含む自動二輪車Ｍ全体の空気抵抗が効果的に減少し，最高車速を高めることができる。
【００２４】
しかもアッパカウル１１及びスクリーン２１の内側に配設されるメータ２５の表示面３３は，後方上向きに，且つ側面視でアッパカウル１１及びスクリーン２１の境界Ｃを上下に跨ぐように配置されるされるので，全伏姿勢のライダＲでも，この表示面３３を容易に見ることができ，車速，エンジン回転数等の運転情報を的確に把握することができる。
【００２５】
特に，メータ２５は，その前半部の台形部２５ａの一部又は全部がスクリーン２１内側の前記弓形空間３４に進入するように配置されるので，視認性の高い比較的大型のメータ２５を採用しても，これをスクリーン２１の内面に近接配置することが可能となって，該メータ２５とトップブリッジ７との間に，トップブリッジ７の回動を許容するスペースを容易に確保することができる。
【００２６】
本発明は，上記実施例に限定されるものではなく，その要旨の範囲を逸脱することなく種々の設計変更が可能である。例えば，メータ２５は，フロントカウル１０に支持させて，車体フレームＦに間接的に固定することもできる。
【００２７】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば，フロントフォークの，操向ハンドルを支持する上端部を覆うアッパカウルの上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面で形成し，またこのアッパカウルの，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠きの周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面で上面を形成したスクリーンを取り付け，これらアッパカウル及びスクリーンの内側に，後方上向きの表示面を有して車体フレームに固定されるメータを配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造において，前記スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配を，ライダが頭部のヘルメットを前記スクリーンの後端縁に接近させる全伏姿勢を取るときに，前記ヘルメット上面に対する前記スクリーンの連続性を得べく，前記スクリーン上面の後方延長線が前記ヘルメットの頂点付近を通るように設定する一方，前記アッパカウル上面の，前記切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，前記アッパカウルが走行風に対する楔効果を発揮すると共に，前記アッパカウル上面の後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，前記第１の後上がり勾配よりも小さく設定し，前記メータの表示面を，側面視で前記アッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨いで配置し，前記メータには左右幅が前方に向かって減少する台形部を形成し，前記メータの表示面の平面視で，前記台形部の少なくとも一部が，前記スクリーンの前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線とで囲まれる弓形空間に進入するように，前記メータを配置し，前記アッパカウルの前端部には左右一対のヘッドランプを装着したので，自動二輪車のレース中，ライダが全伏姿勢を取り，頭部をスクリーンの後端縁に接近させると，後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，スクリーン取り付け用切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配よりも小さく設定されて，後上がり勾配の比較的小さい凸曲面の上面を備えるアッパカウルは，走行風に対して良好な楔効果を発揮して空気抵抗の減少に寄与し，また，後方延長線が全伏姿勢を取るライダのヘルメットの頂点付近を通るように設定された，後上がり勾配の比較的大きいスクリーンの凸曲面の上面は，スクリーンの上面を後方に流れる走行風をスムーズにライダの頭部上面に移し，これもまた空気抵抗の減少に寄与し，したがってライダを含む自動二輪車全体の空気抵抗を効果的に減少させ，最高車速を高めることができる。しかも側面視でアッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨ぐように配置されるメータの表示面は，全伏姿勢のライダでもこれを容易に見ることができ，その視認性は良好である。
【００２８】
また，視認性の高い比較的大型のメータを採用しても，これをスクリーンの内面に近接配置することが可能となって，該メータとフロントフォークのトップブリッジとの間に，トップブリッジの回動を許容するスペースを容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係る自動二輪車の側面図。
【図２】 同自動二輪車の正面図。
【図３】 図１の３部拡大図。
【図４】 図３の４矢視図。
【図５】 図５は図３の５−５線断面図。
【符号の説明】
Ａ・・・・・・スクリーン上面の後方延長線
Ｂ・・・・・・アッパカウル上面の後方延長線
Ｃ・・・・・・アッパカウル及びスクリーンの境界
Ｆ・・・・・・車体フレーム
Ｈ・・・・・・ヘルメット
Ｌ・・・・・・直線
Ｍ・・・・・・自動二輪車
Ｒ・・・・・・ライダ
α・・・・・・第２の後上がり勾配（アッパカウル上面の後端縁での後上がり勾配）
β・・・・・・第１の後上がり勾配（スクリーン上面の前端縁での後上がり勾配）
１・・・・・・フロントフォーク
３・・・・・・操向ハンドル
１１・・・・・アッパカウル
２０・・・・・切欠き
２１・・・・・スクリーン
２５・・・・・メータ
２５ａ・・・・台形部
３３・・・・・表示面
３４・・・・・空間
【発明の属する技術分野】
本発明は，スポーツ仕様の自動二輪車に好適なアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造に関し，特に，フロントフォークの，操向ハンドルを支持する上端部を覆うアッパカウルの上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面で形成し，またこのアッパカウルの，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠きの周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面で上面を形成したスクリーンを取り付け，これらアッパカウル及びスクリーンの内側に，後方上向きの表示面を有して車体フレームに固定されるメータを配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
かゝる自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造は，例えば実開昭６３−３２９８３号公報に開示されているように，既に知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の自動二輪車では，アッパカウル及びスクリーンの上面を連続した凸曲面で形成していたので，スクリーン上面に，全伏姿勢のライダの頭部上面との連続性を持たせるために，アッパカウル及びスクリーンの上面全体に，比較的大きな後上がり勾配をつけていた。またメータはアッパカウルの領域内に配設していた。
【０００４】
しかしながら，上記のように，アッパカウル及びスクリーンの上面全体に大きな後上がり勾配をつけると，アッパカウルの走行風に対する楔効果が低下して，空気抵抗が増加する。
【０００５】
本発明は，かゝる事情に鑑みてなされたもので，スクリーン上面の，全伏姿勢のライダの頭部上面に対する連続性を維持しつゝ，アッパカウルの走行風に対する楔効果を高めて空気抵抗の低減を図ることができ，しかも全伏姿勢のライダでもメータを視認し易くした，前記自動二輪車のフロントカウル，スクリーン及びメータ配設構造を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために，本発明は，フロントフォークの，操向ハンドルを支持する上端部を覆うアッパカウルの上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面で形成し，またこのアッパカウルの，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠きの周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面で上面を形成したスクリーンを取り付け，これらアッパカウル及びスクリーンの内側に，後方上向きの表示面を有して車体フレームに固定されるメータを配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造において，前記スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配を，ライダが頭部のヘルメットを前記スクリーンの後端縁に接近させる全伏姿勢を取るときに，前記ヘルメット上面に対する前記スクリーンの連続性を得べく，前記スクリーン上面の後方延長線が前記ヘルメットの頂点付近を通るように設定する一方，前記アッパカウル上面の，前記切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，前記アッパカウルが走行風に対する楔効果を発揮すると共に，前記アッパカウル上面の後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，前記第１の後上がり勾配よりも小さく設定し，前記メータの表示面を，側面視で前記アッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨いで配置し，前記メータには左右幅が前方に向かって減少する台形部を形成し，前記メータの表示面の平面視で，前記台形部の少なくとも一部が，前記スクリーンの前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線とで囲まれる弓形空間に進入するように，前記メータを配置し，前記アッパカウルの前端部には左右一対のヘッドランプを装着したことを特徴とする。
【０００７】
この特徴によれば，自動二輪車の走行中，ライダが全伏姿勢を取り，頭部をスクリーンの後端縁に接近させると，後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，スクリーン取り付け用切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配よりも小さく設定されて，後上がり勾配の比較的小さい凸曲面の上面を備えるアッパカウルは，走行風に対して良好な楔効果を発揮して空気抵抗の減少に寄与する。また，後方延長線が全伏姿勢を取るライダのヘルメットの頂点付近を通るように設定されて，後上がり勾配の比較的大きいスクリーンの凸曲面の上面は，ライダの頭部上面に対する連続性を有するから，スクリーン上面を後方に流れる走行風をスムーズにライダの頭部上面に移し，これもまた空気抵抗の減少に寄与する。したがって，ライダを含む自動二輪車全体の空気抵抗を効果的に減少させ，最高車速を高めることができる。しかも側面視でアッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨ぐように配置されるメータの表示面は，全伏姿勢のライダでもこれを容易に見ることができ，その視認性は良好である。
【０００８】
また，視認性の高い比較的大型のメータを採用しても，これをスクリーンの内面に近接配置することが可能となって，該メータとフロントフォークのトップブリッジとの間に，トップブリッジの回動を許容するスペースを容易に確保することができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を，添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【００１０】
図１は本発明に係る自動二輪車の側面図，図２は同自動二輪車の正面図，図３は図１の３部拡大図，図４は図３の４矢視図，図５は図３の５−５線断面図である。
【００１１】
先ず，図１及び図２において，自動二輪車Ｍの車体フレームの前端に，前輪２ｆを軸支するフロントフォーク１が操向可能に連結され，このフロントフォーク１の上端部には操向ハンドル３が付設される。また車体フレームの後端部には，後輪２ｒを軸支するリアフォーク４が上下揺動可能に取り付けられ，車体フレームの中間部には，後輪２ｒを駆動するエンジン５が搭載され，その上方にライダＲが跨がるシート６が配設される。
【００１２】
さらに車体フレームにはフロントカウル１０が取り付けられる。このフロントカウル１０は，フロントフォーク１の上端部を前方から覆うアッパカウル１１と，このアッパカウル１１の下端に結合されて，フロントフォーク１の中間部からエンジン５にかけて，それらの左右両側面を覆うロアカウル１２とから構成される。
【００１３】
アッパカウル１１及びロアカウル１２間には冷却風入口１３が，またロアカウル１２の左右両側壁には，エンジン５のラジエータ１５が臨む冷却風出口１４がそれぞれ設けられ，冷却風入口１３に流入した空気がラジエータ１５を冷却して冷却風出口１４から流出するようになっている。
【００１４】
またエンジン５には，その下面を覆いながら，エンジン５の下面との間に冷却風通路１７を形成するエンジンアンダカバー１６が取り付けられる。
【００１５】
図１〜図３に示すように，アッパカウル１１の上面は，後上がり勾配を持つ凸曲面１１ａで形成される。このアッパカウル１１には，後方に開放したＶ字状あるいはＵ字状のスクリーン取り付け用切欠き２０が設けられており，この切欠き２０の周縁に透明のスクリーン２１が取り付けられ，このスクリーン２１の上面も，後上がり勾配を持つ凸曲面２１ａで形成される。
【００１６】
特に，アッパカウル１１の上面を形成する凸曲面１１ａの後上がり勾配は，アッパカウル１１の走行風に対する楔効果を高めるべく極力小さく設定される。一方，スクリーン２１の上面を形成する凸曲面２１ａの後上がり勾配は，ライダＲが上半身を略水平に倒して頭部のヘルメットＨをスクリーン２１の後端縁に接近させる全伏姿勢を取るとき（図１参照），該凸曲面２１ａに上記ヘルメットＨ上面に対する連続性を持たせべく比較的大きく設定される。その結果，アッパカウル１１上面の，前記切欠き２０に臨む後端縁での後上がり勾配αは，スクリーン２１上面の前端縁での後上がり勾配βより小さく設定され，それら上面１１ａ，２１ａの間には浅い谷２２が形成される。その結果，図１及び図２に示すように，スクリーン２１上面の後方延長線Ａは全伏姿勢のライダＲのヘルメットＨの頂点付近を通過し，またアッパカウル１１上面の後方延長線Ｂは全伏姿勢のライダＲの肩の頂点付近を通過することになる。
【００１７】
図２に明示するように，アッパカウル１１の前端部には左右一対のヘッドランプ２３が装着され，それらの前面は，アッパカウル１１の前面に連続するように形成されている。
【００１８】
また図３〜図５において，アッパカウル１１及びスクリーン２１の内側において，メータ２５がフロントフォーク１を支持する車体フレームＦにステー（図示せず）を介して取り付けられる。その際，ライダＲの全伏姿勢の状態でも，ライダＲによる表示面３３の視認性を高めるべく，該表示面３３は後方上向きに，且つ側面視でアッパカウル１１及びスクリーン２１の境界Ｃを上下に跨ぐように配置される。メータ２５の表示面３３には，デジタル式の車速表示部２７，アナログ式のエンジン回転数表示部２８，その他各種警告表示部２９が設けられる。
【００１９】
図５に明示するように，メータ２５の前半部は，左右幅が前方に向かって減少する台形部２５ａに形成され，メータ２５の表示面３３の平面視で，この台形部２５ａの一部又は全部が，スクリーン２１の前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線Ｌとで囲まれる弓形空間３４に進入するようにメータ２５は配置される。そして，このメータ２５と，前記フロントフォーク１の左右の脚体１ａ，１ａの上端間を連結するトップブリッジ７との間には，トップブリッジ７の回動を許容するスペースが確保される。
【００２０】
再び，図１及び図２において，アッパカウル１１の左右両側部の上面には，一対の取り付け座３０が形成され，これらにバックミラー３１を支持するミラーステー３２が取り付けられるが，自動二輪車Ｍのレース参加時には取り外されるものである。
【００２１】
次に，この実施例の作用について説明する。
【００２２】
自動二輪車Ｍの走行中，ライダＲが図１のように全伏姿勢を取り，ヘルメットＨをスクリーン２１の後端縁に接近させると，スクリーン取り付け用切欠き２０に臨む後端縁での後上がり勾配αを，スクリーン２１の上面の前端縁での後上がり勾配βよりも小さく設定されて，後上がり勾配の比較的小さい凸曲面の上面１１ａを備えるアッパカウル１１は，走行風に対して良好な楔効果を発揮すると共に，アッパカウル１１の上面を流れる走行風は前記延長線Ｂに沿ってライダＲの肩の頂点付近を通過していくので，空気抵抗の減少を図ることができる。
【００２３】
またスクリーン２１の後上がり勾配の比較的大きい凸曲面の上面２１ａは，前記ヘルメットＨの上面に対する連続性を有するから，スクリーン２１の上面２１ａを後方に流れる走行風を，大きな乱れを生じさせることなく，前記延長線Ａに沿ってスムーズにヘルメットＨの上面に移し，そしてライダＲの背を経て後方へ流し，これによっても空気抵抗の減少を図ることができる。その結果，ライダＲを含む自動二輪車Ｍ全体の空気抵抗が効果的に減少し，最高車速を高めることができる。
【００２４】
しかもアッパカウル１１及びスクリーン２１の内側に配設されるメータ２５の表示面３３は，後方上向きに，且つ側面視でアッパカウル１１及びスクリーン２１の境界Ｃを上下に跨ぐように配置されるされるので，全伏姿勢のライダＲでも，この表示面３３を容易に見ることができ，車速，エンジン回転数等の運転情報を的確に把握することができる。
【００２５】
特に，メータ２５は，その前半部の台形部２５ａの一部又は全部がスクリーン２１内側の前記弓形空間３４に進入するように配置されるので，視認性の高い比較的大型のメータ２５を採用しても，これをスクリーン２１の内面に近接配置することが可能となって，該メータ２５とトップブリッジ７との間に，トップブリッジ７の回動を許容するスペースを容易に確保することができる。
【００２６】
本発明は，上記実施例に限定されるものではなく，その要旨の範囲を逸脱することなく種々の設計変更が可能である。例えば，メータ２５は，フロントカウル１０に支持させて，車体フレームＦに間接的に固定することもできる。
【００２７】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば，フロントフォークの，操向ハンドルを支持する上端部を覆うアッパカウルの上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面で形成し，またこのアッパカウルの，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠きの周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面で上面を形成したスクリーンを取り付け，これらアッパカウル及びスクリーンの内側に，後方上向きの表示面を有して車体フレームに固定されるメータを配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造において，前記スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配を，ライダが頭部のヘルメットを前記スクリーンの後端縁に接近させる全伏姿勢を取るときに，前記ヘルメット上面に対する前記スクリーンの連続性を得べく，前記スクリーン上面の後方延長線が前記ヘルメットの頂点付近を通るように設定する一方，前記アッパカウル上面の，前記切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，前記アッパカウルが走行風に対する楔効果を発揮すると共に，前記アッパカウル上面の後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，前記第１の後上がり勾配よりも小さく設定し，前記メータの表示面を，側面視で前記アッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨いで配置し，前記メータには左右幅が前方に向かって減少する台形部を形成し，前記メータの表示面の平面視で，前記台形部の少なくとも一部が，前記スクリーンの前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線とで囲まれる弓形空間に進入するように，前記メータを配置し，前記アッパカウルの前端部には左右一対のヘッドランプを装着したので，自動二輪車のレース中，ライダが全伏姿勢を取り，頭部をスクリーンの後端縁に接近させると，後方延長線が全伏姿勢を取るライダの肩の頂点付近を通るように，スクリーン取り付け用切欠きに臨む後端縁での第２の後上がり勾配を，スクリーンの上面の前端縁での第１の後上がり勾配よりも小さく設定されて，後上がり勾配の比較的小さい凸曲面の上面を備えるアッパカウルは，走行風に対して良好な楔効果を発揮して空気抵抗の減少に寄与し，また，後方延長線が全伏姿勢を取るライダのヘルメットの頂点付近を通るように設定された，後上がり勾配の比較的大きいスクリーンの凸曲面の上面は，スクリーンの上面を後方に流れる走行風をスムーズにライダの頭部上面に移し，これもまた空気抵抗の減少に寄与し，したがってライダを含む自動二輪車全体の空気抵抗を効果的に減少させ，最高車速を高めることができる。しかも側面視でアッパカウル及びスクリーンの境界を上下に跨ぐように配置されるメータの表示面は，全伏姿勢のライダでもこれを容易に見ることができ，その視認性は良好である。
【００２８】
また，視認性の高い比較的大型のメータを採用しても，これをスクリーンの内面に近接配置することが可能となって，該メータとフロントフォークのトップブリッジとの間に，トップブリッジの回動を許容するスペースを容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係る自動二輪車の側面図。
【図２】 同自動二輪車の正面図。
【図３】 図１の３部拡大図。
【図４】 図３の４矢視図。
【図５】 図５は図３の５−５線断面図。
【符号の説明】
Ａ・・・・・・スクリーン上面の後方延長線
Ｂ・・・・・・アッパカウル上面の後方延長線
Ｃ・・・・・・アッパカウル及びスクリーンの境界
Ｆ・・・・・・車体フレーム
Ｈ・・・・・・ヘルメット
Ｌ・・・・・・直線
Ｍ・・・・・・自動二輪車
Ｒ・・・・・・ライダ
α・・・・・・第２の後上がり勾配（アッパカウル上面の後端縁での後上がり勾配）
β・・・・・・第１の後上がり勾配（スクリーン上面の前端縁での後上がり勾配）
１・・・・・・フロントフォーク
３・・・・・・操向ハンドル
１１・・・・・アッパカウル
２０・・・・・切欠き
２１・・・・・スクリーン
２５・・・・・メータ
２５ａ・・・・台形部
３３・・・・・表示面
３４・・・・・空間
Claims (1)
- フロントフォーク（１）の，操向ハンドル（３）を支持する上端部を覆うアッパカウル（１１）の上面を，後上がり勾配を持つ凸曲面（１１ａ）で形成し，またこのアッパカウル（１１）の，後方に開放したスクリーン取り付け用切欠き（２０）の周縁に，後上がり勾配を持つ凸曲面（２１ａ）で上面を形成したスクリーン（２１）を取り付け，これらアッパカウル（１１）及びスクリーン（２１）の内側に，後方上向きの表示面（３３）を有して車体フレーム（Ｆ）に固定されるメータ（２５）を配設した，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造において，
前記スクリーン（２１）の上面の前端縁での第１の後上がり勾配（β）を，ライダ（Ｒ）が頭部のヘルメット（Ｈ）を前記スクリーン（２１）の後端縁に接近させる全伏姿勢を取るときに，前記ヘルメット（Ｈ）上面に対する前記スクリーン（２１）の連続性を得べく，前記スクリーン（２１）上面の後方延長線（Ａ）が前記ヘルメット（Ｈ）の頂点付近を通るように設定する一方，前記アッパカウル（１１）上面の，前記切欠き（２０）に臨む後端縁での第２の後上がり勾配（α）を，前記アッパカウル（１１）が走行風に対する楔効果を発揮すると共に，前記アッパカウル（１１）上面の後方延長線（Ｂ）が全伏姿勢を取るライダ（Ｒ）の肩の頂点付近を通るように，前記第１の後上がり勾配（β）よりも小さく設定し，
前記メータ（２５）の表示面（３３）を，側面視で前記アッパカウル（１１）及びスクリーン（２１）の境界（Ｃ）を上下に跨いで配置し，前記メータ（２５）には左右幅が前方に向かって減少する台形部（２５ａ）を形成し，前記メータ（２５）の表示面（３３）の平面視で，前記台形部（２５ａ）の少なくとも一部が，前記スクリーン（２１）の前方への膨出部内面と，この膨出部内面の左右両端を通る直線（Ｌ）とで囲まれる弓形空間（３４）に進入するように，前記メータ（２５）を配置し，前記アッパカウル（１１）の前端部には左右一対のヘッドランプ（２３）を装着したことを特徴とする，自動二輪車のアッパカウル，スクリーン及びメータ配設構造。
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