JP4331454B2 - 走査型レーザ顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ走査型顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光試薬のラインナップの増加及び標識状態の変化とともに、さまざまな検出ファクターを測定することが望まれている。それらは蛍光強度に加え、蛍光のスペクトルや偏向特性を効率よく検出し、取得データとしての定量化も望まれている。更には、装置としての小型化も期待されている。
【0003】
音響光学素子(Acousto−Optic Tunable Filter:以下、本明細書において「AOTF」と称する)を用いた走査型レーザ顕微鏡が知られている(特開2001−124997参照)。
【0004】
この走査型レーザ顕微鏡では、スペクトル選択的要素(AOTF)の後方に光学的な部材が接続されている。そして、AOTFの1次回折光光路からレーザ光を入射することによって励起光を選択できる。これにより、AOTFが、顕微鏡からの蛍光を0次回折光の光路上で検出器へ導くための高効率のビームスブリッタの機能を果している。更に、この特開2001−124997には、下記のような記載がある。AOTFの分散性あるいは複屈折率性を利用して、蛍光を異なる例えば2つの偏光成分に分離することができる。この2つの偏向成分のそれぞれの成分を検出することによって、偏光子や検光子を必要としない走査型偏光レーザ顕微鏡にできる。
【0005】
しかし、特開2001−124997によるAOTFと光学的部材の組合せでは、レーザの励起波長に合わせた波長選択が可能ではあるが、蛍光に対する波長選択となるような分光効果は実現されていない。また、偏光成分の分離はAOTFが持つプリズムの複屈折性を静的に利用して達成されているが、AOTFの有する音響光学効果を積極的に利用していない。このため、特開2001−124997では、波長を選択しながら(すなわち、分光しながら)、蛍光の偏光成分を検出することはできない。
【0006】
従って、特開2001−124997で波長を選択するためには、AOTFと光学的部材の更に後方にマルチバンドの検出器及び格子分光計、プリズム分光計といった分光計を置くことが必要なり、装置が大型化することは避けられない。
【0007】
また、AOTFを用いた顕微鏡が知られている(USP5,841,577参照)。
【0008】
この顕微鏡では、AOTFが照明光路中に配置されている。そして、AOTFで波長選択された互いに偏光成分が異なる2つの出射光を合成手段を用いて再び重ね合わせて1つの励起光として用いることにより、効率よく試料に励起光を照明することができる。また、観察側にもAOTFを配置することにより、AOTFで波長選択された試料からの蛍光をCCDカメラにて観察することができる。更には、USP5,841,577には、2つのAOTFを用いて、分離された異なる偏光成分を持つ光を再び光束として重ね合わせる手法や、ダイクロイックミラーを用いて落射型蛍光照明を行う方法についても記載されている。
【0009】
しかし、USP5,841,577は、蛍光観察の照明方法に関し、走査型レーザ顕微鏡で波長選択をしながらスペクトル・データを取得する構成ではない。観察光路中にAOTFを設けることによって、蛍光観察をCCDカメラで行うことができるが、走査型レーザ顕微鏡に適用した場合には、一方の1次回折光内に含まれる偏光成分のみを検出することによる光損失と、これによる実際のサンプルの蛍光強度を正しく反映できないという問題がある。
【0010】
更に、USP5,841,577では、所望としない0次回折光をブロックするために、暗視野用のコンデンサーレンズ、もしくは、光軸上でストッパーとなる部材や、分離された2つの光束を再び1つの励起光として重ね合わせる合成手段等を用いる必要があり、必然的に装置の構成が大型化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、構成簡易にして、小型化の促進を図り得、且つ、高効率な分光ができ、更には高速かつ高分解能な分光検出をも実現できる走査型レーザ顕微鏡を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段を講じた。
【0013】
本発明の第1の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して、前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上に2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置され、入射する蛍光又は反射光から印加される高周波電圧の周波数に対応した波長の光のみを選択して偏向させる音響光学素子と、前記音響光学素子を経由した光を検出する光検出手段と、前記音響光学素子に印加する高周波電圧の周波数を切換設定する周波数走査手段と、を具備することを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光又は反射光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を+1次回折光と−1次回折光とに回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光又は反射光を0次回折光として透過させ、前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、前記+1次回折光を受光する第1の光検出器と、前記−1次回折光を受光する第2の光検出器と、を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光又は反射光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を+1次回折光と−1次回折光とに回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光又は反射光を0次回折光として透過させ、前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、前記+1次回折光を受光する第1の光検出器と、前記−1次回折光を受光する第2の光検出器と、を具備し、前記レーザ光源は、前記レーザ光が変調されずに前記音響光学素子を透過して、前記対物レンズに導かれるように、前記0次回折光の光路に配置されている。
【0016】
本発明の第4の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光又は反射光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を1次回折光に回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光又は反射光を0次回折光として透過させ、前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、前記1次回折光を受光する光検出器と、を具備し、前記高周波信号制御部によって前記高周波電圧の周波数を掃引し、各周波数における前記光検出器の出力信号を取得することによって、前記蛍光又は反射光のスペクトルデータを取得する。
【0017】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡の要部を示す図である。図1において、走査ユニット20には、コリメータレンズ21が設けられている。コリメータレンズ21には、レーザ光源22から発振されたレーザ光がファイバ23を介して導かれる。走査ユニット20に導かれたレーザ光はコリメータレンズ21により平行光に変換されて、ビームスプリッタ24の反射光路に導かれる。なお、図1はシステムの基本構成を表しており、レーザ光源22に複数の波長を持たせるために、マルチラインのレーザとしたり、複数のレーザ光源を用いて構成してもよく、それに応じてダイクロイックミラー24を複数兼ね備えてもかまわない。
【0020】
ここで、レーザ光源22から発振するレーザ光の波長は、Arレーザの488nmであるものと仮定し、ビームスプリッタ24の波長特性は、488nmを反射し、488nmより長い波長(500nm〜700nm)は透過するものと仮定する。ビームスプリッタ24で反射された488nmのレーザ光は、光走査手段25を構成するガルバノメータスキャナである光走査ミラー251、252により偏向される。光走査ミラー252で偏向されたレーザ光は、さらに、瞳投影レンズ261、顕微鏡の結像レンズ262を介して対物レンズ26により試料27上に集光されて照射される。
【0021】
光走査ミラー251、252は、レーザ光が互いに直交する方向に偏向するように、レーザ光を走査制御し、試料27上に集光された光スポットが試料上を2次元に走査する。そして、488nmのレーザ光を照射することにより、試料から発する488nmより長い波長の蛍光は、レーザ光と逆方向かつ同一の光路(すなわち、対物レンズ26、結像レンズ262、瞳投影レンズ261)を進み、光走査ミラー252、251を反射して、ビームスプリッタ24の透過光路に導かれる。
【0022】
ビームスプリッタ24の透過光路に導かれた蛍光は、反射ミラー19で反射された後に、共焦点レンズ28により、共焦点ピンホール29上に結像される。共焦点ピンホール29を透過した蛍光は、レンズ30により平行光に変換される。平行光の光路上には、周波数走査手段を構成する音響光学素子ユニット31が光路切換えミラー32を介して配設される。
【0023】
光路切換えミラー32は、平行光の光路上の位置32aから図中破線で示す位置32bに退避自在に配設されている。光路切換えミラー32は、位置32bに退避された状態で、当該光路に導かれた蛍光は、蛍光波長域の光を透過し、レーザ波長(ここでは488nm)をカットするバリアフィルタ33を介して、光電子増倍管を有する光検出器34に導かれて光量が検出される。
【0024】
光検出器34は、通常の走査型レーザ顕微鏡の走査画像を取得するための検出器である。光検出器34は、1つの光スポットに対応する蛍光光量を、光走査ミラー251、252の走査に同期して、順次、検出する。そして、各光スポット位置の光量を図示しないモニタの各ピクセル上に表示させることによって2次元画像を得る。ここで得られる2次元画像は、各光スポット位置から発する蛍光のうち、バリアフィルタ33により抽出された波長の範囲の光量の総和を示した画像であり、スペクトル特性データ等の細かい波長情報を含まない。
【0025】
音響光学素子ユニット31は、例えば、音響光学素子311(以下、「AOTF」と称する)と、光検出手段としてのスペクトラム特性測定用の光検出器(光電子増倍管)312とで構成される。AOTF311は、通常、図示しない結晶と、RFトランスデューサとを備えている。RFトランスデューサに所望の周波数の高周波電圧(RF)が印加されると、結晶の中に所望の周波数の音波が発生する。RFの周波数と入射する光の波長との間で、ブラッグ反射の条件が満たされた波長のみ、1次回折光として、偏向されて、光検出器312で検出される。なお、検出器312として、光電子変換してシグナルを検出できるPMT以外のその他の同等の効果を得るデバイスを用いてかまわない。
【0026】
1つのRFの周波数で1次回折光として偏向される光の波長幅は、通常3nm以下であり、その他の光の波長は、AOTF311の結晶を透過して光路に案内される。そこで、RFの周波数を順次、切換え、又は走査させて、各周波数毎の光検出器312で検出される光量を測定していくことにより、蛍光のスペクトル特性を検出することが可能となる。
【0027】
ここで、図1に示す制御部40は、光走査ミラー251、252、光検出器34、光検出器312、RFトランスデューサを図示しない指令情報に基づいて制御する。制御部40は、以下に示す3つの主な機能を備えている。
【0028】
(1) 光走査ミラー251、252の走査のタイミングに合せて(同期して)、光検出器34、光検出器に入射する光量を検出する機能。
【0029】
(2) RFの周波数の走査のタイミングに合せて(同期して)、光検出器34、光検出器312の光量を検出する機能。
【0030】
(3) 光走査ミラー251、252の走査のタイミングに合わせて(同期して)、RFトランスデューサのRFの周波数を走査し、かつ、RFトランスデューサのRFの周波数の走査のタイミングに合せて(同期して)、光検出器312の光量を検出する機能。
【0031】
上記の構成において、音響光学素子ユニット31により、スペクトル特性データを測定する動作について説明する。先ず、音響光学素子ユニット31を使用する場合には、光路切換えミラー32が、図示しない切換え機構により位置32aに移動される。これにより、レーザ光源22から発したレーザ光が、光走査ミラー251、252により偏向される。これにより、試料27上の任意の1点に光スポットが結ばれると、試料27から発した蛍光は、ビームスプリッタ24等を介して、共焦点ピンホール29を透過する。そして、共焦点スポット29を透過した蛍光は、レンズ30により平行光に変換され、光路切換えミラー32により反射されて、AOTF311に入射する。
【0032】
ここで、ブラッグ反射の条件を満たす波長に対するRFの周波数の関係は、以下のようになっているとする。492nmで132MHz、496nmで131MHz、500nmで130MHz、以下、4nm波長が長くなる度に1MHzづつRFの周波数が減少していき、652nmで92MHz、656nmで91MHz、660nmで90MHzであるものと仮定する。なお、RFの周波数と波長の関係は、実際には、AOTF311の結晶の波長による屈折率差等により非線型関係となる場合があるが、ここでは、簡略化のため線型関係として説明する。
【0033】
AOTF311でRFトランスデューサによりRFの周波数、132MHzを結晶にかけると、この周波数に対応する波長、492nmの光が1次回折光として偏向される。その結果、492nm付近の波長の光の強度が光検出器312で検出される。そして、RFの周波数を496nmの波長に対応する周波数、131MHzを結晶にかけると、496nmの光が1次回折光として偏向される。その結果、496nm付近の波長の強度が光検出器312で検出される。
【0034】
以下、同様に、RFの周波数を1MHz毎に、660nmのRFの周波数に対応する90MHzまで、順次、切換えて(走査して)、各周波数に対応する、波長の光の強度を光検出器312で検出する。以上の工程により、図2に示すように、492nmから660nmまでの蛍光のスペクトル特性データが取得される。なお、ここで得られたスペクトル特性データは、光スポットが結ばれた試料上の1点から発する蛍光のデータである。
【0035】
試料の広い範囲(走査画像取得範囲)からのスペクトル特性データを得る場合には、光走査ミラー251、252を走査して、試料27上に結んだ光スポットを順次走査しながら、試料27上の1点の光スポットからの蛍光のスペクトル特性データを求める上述の工程(RFの周波数の走査と光検出器312による各RFの周波数に対応する波長の光量測定)を実施する。この際、制御部40は、光走査ミラー251、252と、RFトランスデューサの周波数走査と、光検出器312による光の測定とを、同期させて制御する。
【0036】
ここで、各ピクセル毎のスペクトル特性データの取得時間について考える。例えば、512×512ピクセルの画像で、1つのRFの周波数に対応する1つの波長の光検出器での検出時間を1μsecとし、RFの周波数の切換え時間を1μsecとする。RFの周波数は、132MHzから90MHzまで1MHz毎に切換えていくので、1つのピクセルでのデータ取得時間は、(132−90)×2+1=85μsecとなり、全ピクセルでのデータ取得時間は、85(μsec)×512×512=22.3secとなる。光走査ミラー251、252の帰線期間等の余裕を考慮しても30秒以内にはデータが取得される。
【0037】
なお、上記の説明では、RFの周波数を1MHzに変化させて、492nmから4nmづつ660nmまで測定して場合について述べたが、RFの周波数は、AOTF311の波長分解能や全体のデータ取得時間、必要なスペクトル範囲、刻み幅等を考慮して適宜決めれば良いことは言うまでもない。そして、励起光であるレーザ波長の488nmより長い波長域でデータを取得したのは、蛍光が488nmより長い波長で発するからであることはいうまでもない。
【0038】
また、2種の蛍光色素で染色された2重染色試料を測定する時は、長い波長の励起光が短い波長の励起光による蛍光と重なってくるので、この場合は、長い波長の励起光の波長に対応するRFの周波数は抜かして測定した方がよい。これは励起光の反射光は、蛍光波長よりはるかに強度が高いことによる。
【0039】
上記のように、第1の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡においては、AOTF311を蛍光光路上に配置して、AOTF311の高周波電圧の周波数を切換設定している。これにより、それぞれの波長毎にAOTF311を経由した光量を検出して蛍光のスペクトル特性データを検出することができる。
【0040】
従って、第1の実施形態では、従来の方法である特開2000−56244の図6に記載されているような、「プリズム等の分散手段と、分散された蛍光を集光してスペクトル列を結像させる集光手段と、検出する波長範囲を選択するためにスペクトル列結像位置に配置された電気的に制御可能な微小偏向ミラー群からなるデジタルミラーデバイス(DMD)」からなる、複雑な構造による蛍光スペクトル特性取得の方法を音響光学素子1つに置き換えることが可能となる。この結果、簡単な構成で正確なスペクトルデータを音響光学素子の周波数を切り換えることで高速に取得でき、かつ、小型化を促進できる。また、特開2000−56244の図7のように、走査装置部の小型化のために分光部をファイバにより走査装置に接続する構成で生じるファイバ伝送による光損失も抑えることができる。
【0041】
さらに、第1の実施形態によれば、RFの周波数の切換え速度が100nsec〜1μsecであることから、高速にスペクトル特性のデータを取得することができるので、迅速かつ高精度な検出が実現される。
【0042】
また、第1の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、音響光学素子ユニット31を走査ユニット20から着脱可能に構成している。これにより、通常の走査型レーザ顕微鏡としての蛍光検出動作のみの装置と、通常の蛍光検出と蛍光のスペクトル特性データの双方の検出を選択的に行うことが可能な本実施形態の装置とで、通常の走査型レーザ顕微鏡の部分を共通化できる。このため、装置のシステムアップに容易に対応できる。
【0043】
なお、USP5,377,003、USP5,528,368には、AOTFを用いて、単色の照明を行うか、または細いバンド幅で観察光を選択して、蛍光観察やラマン分光をCCDのような2次元検出器を用いて行う方法が開示されている。
【0044】
これらにおいては、AOTFの主要部品である複屈折性を持ったプリズム(主にTiOなどが用いられる)に周波数が印加された際、プリズム自体に内部歪が発生する。この内部歪は、CCDのような2次元検出が出来る構成に影響を及ぼす。周波数印加されたプリズムの内部歪に応じて、観察すべきAOTFを透過した画像に劣化が生じる。
【0045】
本発明においては、以下の実施形態においても同様に、CCDのような2次元検出を行うのではなく、試料表面を走査して、試料の一点から発する光の量を検出している。従って、本発明においては、単に光量を検出しているだけなので、このような画像劣化は生じない。
【0046】
(第2の実施形態)
図3を参照して、第2の実施形態を説明する。図3は、第2の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図である。なお、図3においては、図1と同一部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態では、AOTF311を、図1で説明した光路切換えミラー32の配置位置に配置することにより、AOTF311が、光路切換えミラー32としての機能も有している。
【0048】
上記の構成において、光検出器34により通常の走査画像を取得する時には、AOTF311にはRFの周波数をかけずに、該AOTF311を停止させる。これにより、全ての蛍光波長は、AOTF311を透過して、バリアフィルタ33を介して、光検出器34に導かれて検出される。
【0049】
そして、蛍光のスペクトル特性データを取得する場合には、第1の実施形態と略同様に波長のRFの周波数を音響光学素子311にかける。これにより、蛍光波長は、上述したようにAOTF311により偏向されて光検出器312に導かれ、検出される。
【0050】
第2の実施形態によれば、AOTF311に対して全くRFの周波数をかけずに光を、光検出器34で検出するか、RFの周波数をかけて光検出器312で検出するかにより、走査画像あるいはスペクトル特性データを取得することが可能となる。これにより、第1の実施形態に比して光路切換えミラー32が節約できるので、より構成の簡単化が図れる。
【0051】
上記の第1及び第2の実施形態において、次のような変形が可能である。例えば、第1及び第2の実施の形態では、RFの周波数により回折される1次回折光を光検出器312で測定することにより、スペクトル特性データを取得していたが、音響光学素子311を透過する0次回折光を、光検出器34で検出しても良い。この場合、バリアフィルタ33を透過する蛍光波長の光量の総和から、RFの周波数に対応する蛍光の波長(1次回折光として回折する)の光量を差し引いた光量が、各RFの周波数毎に光検出器312により検出されていくことになる。これらの値を、反転処理することにより、スペクトル特性データを得ることができる。このようにすれば、1次回折光を検出する時より、蛍光光量がはるかに大きくなるため、高精度なデータの取得が可能となる。
【0052】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図である。図4における、走査型レーザ顕微鏡は、光源部50と、走査光学系51と、顕微鏡部52と、共焦点光学系53と、AOTF311と、検出器312aと312bと、制御部40と、信号処理部45を備えている。なお、図4において、図1又は図2と同じ部分には、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
図4に示す走査型レーザ顕微鏡と、図1のそれとが異なる点は、検出器312aと312bとで、AOTF311による±1次回折光を検出するようにした点である。このため、新たに、信号処理部45を備えている。
【0054】
光源部50からの光は、ダイクロイックミラー24によって励起光として、走査光学系51を介して顕微鏡部52に導かれ、試料27を励起する。蛍光試薬で標識された試料27は励起光によって励起される。試料27より発した蛍光は顕微鏡部52及び走査光学系51を介してダイクロイックミラー24で蛍光として分離される。次に共焦点光学系53を通過し、AOTF311に至る。AOTF311は図示されていないが、所望の波長乃至波長幅を選択するためにAOTF311に特定の周波数を印加する固有のドライバが準備されている。蛍光は、AOTFによって選択された波長成分であり、かつ、お互いに直交した偏光成分となる、偏向された±1次回折光と、更に波長選択されず、また、偏向されない成分となる0次回折光の3つの光路に分離される。
【0055】
±1次回折光はそれぞれ検出器312a、312b(以下、「PMT」とも称する)によって受光され光量が検出され、信号処理部45でPMT312a、312bからのシグナルを制御し、和信号や差信号としてデータを作ることができる。
【0056】
このように、音響光学素子で印加される周波数に対応した波長として異なる方向に偏向された2つの蛍光もしくは反射光光路にそれぞれ検出器を設け、それら検出信号を、和信号や差信号などの合成信号として扱えば所望の波長選択された蛍光もしくは反射光の総和の蛍光強度等を効率よく取得できる。また独立信号として扱えば所望の波長選択された蛍光もしくは反射光から試料に由来した成分を取得することができる。これらは電気的な操作で高速にでき、かつ切換も簡単に行うことができる。
【0057】
AOTF311の操作は、図示されていないドライバと組み合わせて図5で示すように行われる。
【0058】
ドライバから印加された周波数に応じ、AOTF311から、図5(a)で示すような波長特性を有する1次回折光を得ることができる。ドライバからの周波数が波長λ0に一致し、この周波数と波長依存する回折効率の関係によって特定の波長帯域がスペクトルとして得られ、AOTF311での波長分解能を決定することができる。これらは、通常、AOTFに入射する光の大きさ、広がり、波長、偏光などの特性によって異なるが、ここでは走査型共焦点レーザ顕微鏡を対象としているため、平行光の蛍光ビームを取り扱えばよいので、数nm〜数十nmレベルの比較的高い分解能を得ることが出来る。また、AOTF311の音響光学効果に従って、±1次回折光は上述したように選択されたほぼ同一の波長特性を含み、更には正負それぞれの光路内でお互いに直交した2つの偏光成分へと分離されて、それぞれ検出される。この偏光分離の効果は、一般の偏光ビームスプリッタと類似している。これらにより、ランダム偏光である蛍光を同一波長帯で2つの偏光成分に分離し、選択波長も自由に設定することが可能となる。
【0059】
加えて、波長に対して図5(a)に示すように下限値λ1、上限値λ2を設定し、その帯域に対応した周波数を掃引、すなわち中心波長を走査することによって、分光検出をすることができる。この動作は、機械的な動作を全く用いる必要がなく、電気的な操作によって行われるため、非常に高速に、かつ、振動もなく行うことができる。更には、本実施形態の走査光学系51と組み合わせることにより、2次元、3次元の画像取得及び分光取得の複合的な検出を高速で達成することが容易になる。
【0060】
また、選択された以外の波長となる0次回折光は、AOTF311内の複屈折率結晶を通過し、迷光を防ぐ光学的なストッパーでトラップされる。このとき0次回折光に含まれる成分は、試料27から発する蛍光のうち、AOTF311で波長選択された図5の特性以外の蛍光成分であり、試料27からの蛍光の偏光特性も保持されている。このとき、0次回折光には、結晶内の透過率によるわずかな光量ロスが発生する。一般に、AOTFの波長分解能に比較して蛍光は広い波長スペクトラムを持っており、加えて、複数の蛍光試薬を用いる場合もあるため、特に図5には明示していない。
【0061】
AOTF311上での特定の波長選択のオン・オフは、電気的な操作によって容易に達成される。これにより、検出したい波長位置、帯域に応じて分光することができる。つまり、励起波長となるレーザ光の漏れ光が検出側へ導かれないよう、レーザの波長位置(周波数)でAOTF311がアクティブにならないよう電気的に設定し(オフ)、完全にレーザをカットした状態で波長選択、周波数掃引による分光検出を素早く行うこともできる。これらは、複数のレーザに対しても複数の波長位置(周波数)をドライバ上に電気的に設定し、容易に達成することができる。
【0062】
また、更なるAOTF311の特徴を図5(b)に示す。
【0063】
AOTF311は、独立した複数の周波数を同時に印加する特性を有する。図5(b)は、3種類の周波数を与えることによって、λ0、λ3、λ4の3つの波長帯を得た一例である。AOTF311の1つの周波数に対する波長分解能は狭い波長半値全幅(すなわち高波長分解能)で固定されており、原理的に可変することはできない。そこで、λ0、λ3、λ4をお互いに近づけ、具体的にはAOTF311に印加する周波数を近づけることによって、3つのスペクトルが包絡線を形成し波長半値全幅を広げることができる。この包絡線を、前述したように下限値λ1、上限値λ2を設定して、その波長域で掃引することも可能である。これにより、容易により波長幅を広くとれ、暗い蛍光を発するサンプルにも対応することができる。印加できる周波数の数はAOTF311の特性とドライバの組合せによって決定されるものであって、ここ述べた例に限らず、より多くの周波数を印加することも可能である。
【0064】
上記のように、複数の周波数を同時に音響光学素子に与えることによって、複数の中心波長を選択でき、それらの中心波長を近接させることによって従来音響光学素子で得られる比較的狭い波長分解能より、より広い選択波長幅を設定することができる。更に、それら近接した状態で複数の中心波長が設定された中心波長域で掃引させることによって、比較的暗い蛍光強度の試料でも効率のよいスペクトルデータの取得ができる。なお、このように、複数の周波数を同時に音響光学素子に与えて、より広い選択波長幅を設定する方法は、本実施形態のみでなく、他の実施形態、例えば、第1および第2の実施形態及び以降の実施形態、にも同様に適用可能である。
【0065】
蛍光は、ほぼ同一の波長特性をもつが、お互いに直交した偏光成分として±1次回折光へ分離される。PMT312a、312bによってそれぞれの1次回折光が検出されるが、信号処理部45を介して、少なくとも2種類の演算信号を得ることが出来る。信号処理部45からPMT312a、312bからの信号を和信号として出力すれば、設定された波長幅から蛍光総和シグナルとして扱うことができる。更にPMT312a、312bからの信号を信号処理部45を介して差信号もしくは独立信号として出力すれば、実際の蛍光試薬の状態に応じて発生する蛍光偏光シグナルとして扱え、蛍光偏光解析を行うことができる。
【0066】
図6は共焦点光学系の変形例を示す図である。図6(a)は本発明の1つの形態として上げられている共通光路内での共焦点光学系ある。一方で、分光検出では通常さまざまな光が回折されるため、一般には図4のように所望の±1次回折光のみを検出し、迷光を防ぐために検出器312a、312bの手前にはスリットもしくはやや大型ピンホールを置く場合多い。これら共焦点光学系とスリットを光路に2つおくと、少なからずケラレによる光量ロスも発生しやすい。そこで、両者の機能を兼ね合わせ、ロスを避けるため、光学系内で図6(b)で示すように回折された±1次回折光光路それぞれに共焦点光学系を配置してももちろんかまわない。これにより、装置としての複雑さは増えるが、共焦点効果と迷光カットの2つの効果をもたせることも可能である。
【0067】
第3の実施形態では、AOTF311を分光検出に用いることによって、機械的な駆動がなく、高効率な分光ができ、更には高速かつ高分解能な分光検出(スペクトルデータの検出)ができる走査型レーザ顕微鏡を達成することができる。更に、蛍光の偏光特性をも検出することができる。選択された同一波長成分・直交する偏光成分をもつ±1次回折光(蛍光成分)をそれぞれ検出することによって、通常と同じ蛍光総和シグナルや蛍光偏光シグナルへ簡単に切換でき、実際のサンプルで発生する蛍光をより詳細に定量化して調べることが可能となる。
【0068】
従来分光手法自体では比較的装置の大型化させてしまう面があるが、本実施形態では、AOTFを用いて検出器を比較的小型にすることができる。
【0069】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図である。
【0070】
第4の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、第3の実施形態のそれとほぼ同様の構成を備えている。第4の実施形態では、第3の実施形態において、検出器側に変形を加えている。すなわち、走査型レーザ顕微鏡の主要部として、第3の検出器312cを備えている。
【0071】
AOTF311では、蛍光が±1次回折光と0次回折光に分離される。±1次回折光は上述した通りだが、0次回折光はAOTF311を透過し偏向されない成分であり、また、試料27からの蛍光のうち波長選択されていない成分をもつ。この光路に第3の検出器を設けるが、1つの例として、従来のフィルタ式の検出器でできる。具体的には、AOTF311の通過後の0次回折光に、レーザ光をカットし、所望の蛍光のみを抽出するバリアフィルタと光電子倍増管(PMT)を有する検出器を備え、AOTF311後の迷光の度合いによっては必要に応じて共焦点レンズとピンホールで構成される共焦点光学系を兼ね備えてもよい。第3の検出器312cは、従来の走査型共焦点レーザ顕微鏡と同様に複数の検出器として設けることも可能である。
【0072】
すなわち、特別な装置を組み合わせなくとも、分光検出はAOTF311を用いた±1次回折光の検出で行え、かつ、より広い幅の検出乃至従来と同様な検出はフィルターを用いて行うことができ、両者の切換が容易に可能となる。ここで、フィルターを用いた検出では、従来フィルター検出による走査型レーザ顕微鏡で実施可能な方法はほとんど利用できるといってよい。
【0073】
図示はしていないが、第3の検出器312cとして、従来のフィルター式の検出器を例としてあげたが、この0次回折光の光路を用いて、その他外付けの分光器やアバランシェ・フォトダイオード(APD)、ラインセンサやマルチチャンネルのセンサなどを用いることができ、この光路の使用範囲によってより複合化できることはいうまでもない。
【0074】
以上により、AOTF311による分光検出に加え、0次回折光の光路で偏光されない成分の通常のフィルタ検出も可能となり、例えば、分光検出とフィルター式の検出とを容易に切換できる複合的な(ハイブリッドな)走査型レーザ顕微鏡とすることができる。分光検出と従来のフィルター式の検出の切換も容易であり、また、分光検出によって、より最適なフィルター選択にも簡単に寄与できるなど、目的や使用方法によって広い利用範囲をカバーできるようになる。
【0075】
このように、第3の検出器を音響光学素子で周波数で偏向されない0次回折光の光路上に配置することによって、波長選択されていない蛍光又は反射光成分を検出することができ、装置として複合的な計測ができる構成をとることができる。
【0076】
上記のように、音響光学素子によって異なる2つの光路に偏向された蛍光もしくは反射光が少なくとも1つの検出器によって検出され、音響光学素子に印加する周波数を操作することによって、所望の中心波長の選択あるいは中心波長の所望波長域で掃引し、所望の蛍光もしくは反射光を効率よく、高速かつ高精度にスペクトルデータとして取得することができる。また、この比較的簡便な構成にも関わらず汎用性が広く、少ないスペースで構成でき、システムを小型にすることができる。
【0077】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図である。
【0078】
走査型レーザ顕微鏡の主要部は、レーザ光源22とコリメータレンズ21からなる光源部50、XYの2次元走査を行うガルバノミラー6からなる走査光学系51、結像レンズ8と対物レンズ9からなる顕微鏡部52、ピンホール13を含む共焦点光学系部14、音響光学素子であるAOTF311、2つの検出器である光電子倍増管(PMT)で構成される検出器312aと312b、検出器312aと312bのシグナルを制御する信号処理部45から構成される。ここで、第1の実施形態と同様にレーザ光源部50の導入は光ファイバ経由して行ってももちろんかまわない。また、図8はシステムの基本構成を表しており、レーザ光源22に複数の波長を持たせるために、マルチラインのレーザとしたり、複数のレーザ光源を用いて構成してもかまわない。
【0079】
検出器として、光電子変換してシグナルを検出できるPMT以外のその他の同等の効果を得るデバイスを用いてかまわない。
【0080】
第5の実施形態の作用・効果は、第3の実施形態とほぼ同様であるが、以下説明する点で異なる。
【0081】
光源部50からのレーザ光は、AOTF311、共焦点光学系53を通過し励起光として、走査光学系51を介して顕微鏡部52に導かれ、試料27を励起する。このとき共焦点光学系53は、励起光に対して1つの空間フィルタとしての役割を果す。蛍光試薬で標識された試料27は励起光によって励起される。それによって発した蛍光は再び顕微鏡部10を経て走査光学系51・共焦点光学系53を通過し、AOTF311に至る。このとき共焦点光学系は蛍光において共焦点効果を得るために機能する。AOTF311には、図示されていないが、所望の波長及び波長幅を選択するためにAOTF311に特定の周波数を印加する固有のドライバが準備されている。サンプルから発した蛍光は、AOTF311によって選択された波長成分であり、かつ、お互いに直交した偏光成分となる、偏向された±1次回折光へと分離される。
【0082】
すなわち、ATOF15は、0次回折光光路上のレーザ光である励起光と、試料27より発した蛍光を波長選択して偏向した±1次回折光とを分離するビームスプリッタとしての機能を持つ。このレーザ光源22からの励起光は、AOTF311がもつ0次回折光の光路上で本来進む向きとは正反対の方向からAOTF311に対して入射している。従来のダイクロイックミラーにコーティングされる誘電体膜における波長特性は、それほど急峻な立ち上がり特性をもたず、最大の透過率が85%となりやや低く、マルチバンドの対応は多くて3励起波長までなど、コーティング技術上の欠点がある。第5の実施形態の場合、AOTF311は励起光に対してプリズムとして働き励起光を透過させるため、基本的にはAOTF311内の結晶の透過率のみにしか光量のロスは発生しない。より高い効率を求めるため、複屈折結晶の偏光方向に対して、レーザ光源22からの偏光方向を回転してあわせれば、よりロスを少なくできる。このときレーザ光を偏光保存光ファイバを用いてAOTF311に導入すれば、ファイバの方向を回転するだけで簡単に偏光方向の合致は達成できる。
【0083】
このため、高効率で容易に複数の励起波長への対応は、分光検出時の電気的にそれらの波長位置でAOTF311をアクティブにしなければよく、システムに大幅な追加や変更を加えることなく容易に行うことが出来る。また、±1次回折光の波長選択は、AOTF311固有の高い波長分解能で行え、前述したように励起波長の位置近傍でオフできれば、従来にない非常に高い効率で蛍光を分光取得することができる。光の利用効率の面から考えて、共焦点光学系53を図6(b)のように配置してももちろんかまわない。このようにAOTF311にビームスプリッタと分光検出の2つの機能を持たせることによって、非常にシンプルな構成にでき、システム自体を小型化することもできるようになる。
【0084】
0次回折光の光路内に含まれる偏向されない蛍光成分は、レーザ光源に至る前までにダイクロイックミラーを用いて分離し、従来のフィルター式の検出器を設け、複合的な計測を行うことも可能である。また、AOTF311を用いることで第3の実施形態、第4の実施形態と同様の作用、機能を持つことができるのはもちろんいうまでもない。
【0085】
以上により、AOTF311にビームスプリッタと分光機能の2つの機能を持たせることによって、高効率の励起光/蛍光の分離が行え、AOTF311自身の機能として高速・高分解の分光検出が達成できることはもちろん、システム全体を小型化することが可能にもなる。更には±1次回折光の偏光特性を利用して、蛍光試薬及びサンプルに由来する蛍光偏光の特性をも調べることができるようになり、小型でより複合的な計測を行うことができる。
【0086】
このように、レーザ光源からのレーザ光を本来音響光学素子から出射される0次回折光の進む向きとは正反対から入射させることができ、音響光学素子に印加される周波数から影響を受けることなく走査光学系と顕微鏡を介して試料にレーザ光を照射することができる。従って、音響光学素子を上述したビームスプリッタの役割として、より高い光の利用効率をもって機能させることができる。この場合、音響光学素子に印加される周波数は単に試料に照射されるべき既知のレーザ波長に対応させないようにすればよく、従来のダイクロイックミラーでは達成できない高S/Nの励起光と蛍光の分離が達成でき、かつ、非常に簡便に複数のレーザ波長にも対応できるというメリットも生じる。
【0087】
また、上記のような音響光学素子を用いた効率のよいスペクトルデータの取得に加え、音響光学素子から互いに直交する偏光成分である正負の1次回折光が2つの異なる方向に偏向し、少なくとも1つの検出器でそれぞれを検出することによって、試料状態や条件に由来する蛍光もしくは反射光を偏光成分として取得することができる。
【0088】
よって、本発明は、上記の各実施形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。例えば、本実施形態では、RFの周波数により回折される1次回折光を光検出器312で測定することにより、スペクトル特性データを取得していたが、AOTF311を透過する0次回折光を、光検出器34で検出しても良い。この場合、バリアフィルタ33を透過する蛍光波長の光量の総和から、RFの周波数に対応する蛍光の波長(1次回折光として回折する)の光量を差し引いた光量が、各RFの周波数毎に光検出器312により検出される。これらの値を、反転処理することにより、スペクトル特性データを得ることができる。このようにすれば、1次回折光を検出する時より、蛍光光量がはるかに大きくなるため、高精度なデータの取得が可能となる。さらに、上記の各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0089】
例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0090】
上述した第3から第5の実施形態において、記述したように、光源として光ファイバを用いたレーザ光の導入を行えば、一般に知られているように、熱や振動に対する回避、良質な点光源化、走査光学系と検出系の小型化を達成することができる。
【0091】
また、光源として、マルチラインを発生するレーザや複数のレーザを用いてビームを合成するコンパイナを用いて、所望の複数の励起波長を組み合わせてももちろんかまわない。そこに第2のAOTFを備え、レーザ選択と強度調整の機能を持たせることも可能である。
【0092】
図示していないが、±1次回折光をミラーなどを用いて1つの検出器に導き、それぞれの光路にシャッターを設けることによって、+1次回折光と−1次回折光を同時に検出したり、スイッチングしながら交互に検出したりしても良い。両方のシャッターを同時に開ければ蛍光の総和シグナルとなり、シャッターのスイッチングと検出器のタイミングを電気的に同期させ時間的に信号を分離させることによって、異なる2つの蛍光偏光成分を検出できる。
【0093】
特に反射光を検出する場合については、詳細に明記していないが、1つの例として、試料27に照射されるレーザ光に散乱が生じ、その物性に応じて散乱光の波長持性を調べるラマン分光法にも本発明は適用できる。この場合レーザ光と散乱光の波長は極めて近接しているが、特に第5の実施形態の構成により、AOTF311による高い波長分解能によって、効率よくラマン散乱を検出することができる。このように、本発明は必ずしも蛍光の分光検出に制限されるものではなく、広く一般の分光器として適用できることはいうまでもない。
【0094】
また、本発明は走査型共焦点レーザ顕微鏡として記載され、走査光学系7を介してレーザ光源22からの励起光をサンプル面11でX−Y走査するようになっているが、ある1点のみに励起光を照明する基本構成でもAOTF311を用いることによって同等の作用、効果は得られる。この場合、所望のデータや画像取得を得るために、走査の手段としてステージを駆動させたり、X−Yでないその他の走査手段を組み合わせてもよい。
【0095】
上記の各実施形態から下記の発明が抽出される。
本発明の第1の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して、前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上に2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置され、入射する蛍光又は反射光から印加される高周波電圧の周波数に対応した波長の光のみを選択して偏向させる音響光学素子と、前記音響光学素子を経由した光を検出する光検出手段と、前記音響光学素子に印加する高周波電圧の周波数を切換設定する周波数走査手段と、を具備することを特徴とする。
【0096】
第1の局面に係る走査型レーザ顕微鏡の好ましい実施態様は以下の通りである.なお、以下の各実施態様は、それぞれ独立で適用しても良いし、適宜組み合わせて適用することができる。
【0097】
(1) 前記レーザ光と前記蛍光又は反射光を分離するビームスプリッタを更に備え、前記ビームスプリッタが、前記対物レンズと前記音響光学素子との間に配置されている。
【0098】
(2) 前記光検出手段で検出される光は、前記音響光学素子により偏向される1次回折光である。
【0099】
(3) 前記音響光学素子を透過した0次光を検出する第2の検出器を備える。
【0100】
(4) 前記周波数走査手段は、高周波電圧の周波数を前記光走査手段の走査に同期させてピクセル毎のスペクトル特性を検出し得るように切換設定する。
【0101】
(5) 前記音響光学素子及び前記光検出手段を1つのユニットとして構成し、前記ビームスプリッタにより分離された検出光路に着脱自在に配設する。
【0102】
(6) 前記周波数走査手段による走査範囲は、レーザ波長に対応する高周波電圧の周波数を含まない。
【0103】
(7) 前記音響光学素子は、前記蛍光又は前記反射光を異なる方向の第1と第2の光路に偏向し、前記検出器は、前記第1と第2の光路上に、それぞれ配置された少なくとも1つの検出器を含む。
【0104】
(8) 前記音響光学素子を透過した0次光を検出する検出器を更に備える。
【0105】
(9) 前記音響光学素子は、前記蛍光又は前記反射光を異なる方向の第1と第2の光路に偏向すると共に、前記第1と第2の光路以外の第3の光路からレーザ光を入射する。
【0106】
(10) 前記蛍光又は反射光は、前記音響光学素子によって偏向された第1と第2の光路上の蛍光又は反射光は、互いに直交する偏光成分である正負の1次回折光である。
【0107】
(11) 前記偏向された前記第1と第2の光路に設けられた2つの検出器からの信号を和信号もしくは差信号となる合成信号、あるいはそれぞれを独立信号として処理する信号処理部を更に備えた。
【0108】
(12) 前記音響光学素子には複数の中心波長又は周波数の設定ができ、前記複数の中心波長又は周波数を近接又は隣接させることによって、それぞれの中心波長又は周波数によって形成されるスペクトルを部分的に重ねあわせ、より広い波長幅を選択できるようにする。
【0109】
(13) 前記音響光学素子は、前記蛍光又は前記反射光を互いに異なる方向の第1及び第2の光路に偏光するものであり、前記第1及び第2の光路に導かれた前記蛍光又は前記反射光を1つの検出器に導く偏向装置が設けられている。
【0110】
(14) 前記第1及び第2の光路にそれぞれ設けられたシャッタを更に備える。
【0111】
(15) 前記第3光路は、前記音響素子の前記周波数で偏向されない0次回折光の光路である。
【0112】
(16) 前記第3光路上の前記レーザ光は、前記音響光学素子から出射する0次回折光の光路上にあり、かつ、その進む向きが前記0次回折光とは正反対である。
【0113】
本発明の第2の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光又は反射光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を+1次回折光と−1次回折光とに回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光又は反射光を0次回折光として透過させ、前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、前記+1次回折光を受光する第1の光検出器と、前記−1次回折光を受光する第2の光検出器と、を具備することを特徴とする。
【0114】
第2の局面に係る走査型レーザ顕微鏡の好ましい実施態様は以下の通りである.なお、以下の各実施態様は、それぞれ独立で適用しても良いし、適宜組み合わせて適用することができる。
【0115】
(1) 前記第1の光検出器の出力信号と前記第2の光検出器の出力信号を加算した値に基づいて前記試料の画像を生成する手段を更に具備する。
【0116】
(2) 前記高周波信号制御部によって前記高周波電圧の周波数を掃引し、各周波数における前記第1及び第2の光検出器の出力信号を取得することによって、前記蛍光又は反射光のスペクトルデータを取得する。
【0117】
(3) (2)において、前記0次回折光を受光する第3の光検出器を更に具備し、前記音響光学素子に前記高周波電圧を印加しないときには、前記第3の光検出器の出力信号を用いて前記試料の画像を生成する。
【0118】
本発明の第3の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光又は反射光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を+1次回折光と−1次回折光とに回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光又は反射光を0次回折光として透過させ、前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、前記+1次回折光を受光する第1の光検出器と、前記−1次回折光を受光する第2の光検出器と、を具備し、前記レーザ光源は、前記レーザ光が変調されずに前記音響光学素子を透過して、前記対物レンズに導かれるように、前記0次回折光の光路に配置されている。
【0119】
本発明の第4の局面に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光又は反射光を取り込む対物レンズと、前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、前記蛍光又は反射光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光又は反射光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を1次回折光に回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光又は反射光を0次回折光として透過させ、前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、前記1次回折光を受光する光検出器と、を具備し、前記高周波信号制御部によって前記高周波電圧の周波数を掃引し、各周波数における前記光検出器の出力信号を取得することによって、前記蛍光又は反射光のスペクトルデータを取得する。
【0120】
第4の局面において、前記0次回折光を受光する第2の光検出器を更に具備し、前記音響光学素子に前記高周波電圧を印加しないときには、前記第2の光検出器の出力信号を用いて前記試料の画像を生成することが好ましい。
【0121】
なお、本発明は、上記の発明の実施の形態に限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で種々変形して実施できるのは勿論である。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、構成簡易にして、小型化の促進を図り得、且つ、高効率な分光ができ、更には高速かつ高分解能な分光検出をも実現できる走査型レーザ顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の要部を示した構成図。
【図2】 図1で取得されるスペクトル特性データの例を示した特性図。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の要部を示した構成図。
【図4】 第3の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図。
【図5】 擬似的にバンド幅を広くする例を説明するための図。
【図6】 共焦点光学系の変形例を示す図。
【図7】 第4の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図。
【図8】 第5の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示す図。
【符号の説明】
1…音響光学素子
6…ガルバノミラー
7…走査光学系
8…結像レンズ
9…対物レンズ
10…顕微鏡部
11…サンプル面
13…ピンホール
14…共焦点光学系部
15…ATOF
19…反射ミラー
20…走査ユニット
21…コリメータレンズ
22…レーザ光源
23…ファイバ
24…ダイクロイックミラー(ビームスプリッタ)
25…光走査手段
26…対物レンズ
27…試料
28…共焦点レンズ
29…共焦点ピンホール(共焦点スポット)
30…レンズ
31…音響光学素子ユニット
32…ミラー
32a…位置
32b…位置
33…バリアフィルタ
34…光検出器
40…制御部

Claims (25)

  1. レーザ光を試料上に集光して、前記試料からの蛍光を取り込む対物レンズと、
    前記レーザ光を前記試料上に2次元的に走査させる光走査手段と、
    前記蛍光の光路上に配置され、入射する蛍光から印加される高周波電圧の周波数に対応した波長の光のみを選択して偏向させる音響光学素子と、
    前記音響光学素子で偏向された蛍光を検出する光検出手段と、
    前記音響光学素子に印加する高周波電圧の周波数を切換設定する周波数走査手段と、を具備することを特徴とする走査型レーザ顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記レーザ光と前記蛍光を分離するビームスプリッタを更に備え、前記ビームスプリッタが、前記対物レンズと前記音響光学素子との間に配置されている。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記光検出手段で検出される光は、前記音響光学素子により偏向される1次回折光である。
  4. 請求項3に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記音響光学素子を透過した0次光を検出する第2の検出器を備える。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記周波数走査手段は、高周波電圧の周波数を前記光走査手段の走査に同期させてピクセル毎のスペクトル特性を検出し得るように切換設定する。
  6. 請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記音響光学素子及び前記光検出手段を1つのユニットとして構成し、前記ビームスプリッタにより分離された検出光路に着脱自在に配設する。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記周波数走査手段による走査範囲は、レーザ波長に対応する高周波電圧の周波数を含まない。
  8. 請求項1又は請求項2に記載の走査型レーザ顕微鏡において、
    前記音響光学素子は、前記蛍光を異なる方向の第1と第2の光路に偏向し、
    前記検出器は、前記第1と第2の光路上に、それぞれ配置された少なくとも1つの検出器を含む。
  9. 請求項8に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記音響光学素子を透過した0次光を検出する検出器を更に備える。
  10. 請求項1又は請求項8に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記音響光学素子は、前記蛍光を異なる方向の第1と第2の光路に偏向すると共に、前記第1と第2の光路以外の第3の光路からレーザ光を入射する。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の走査型レーザ顕微鏡において前記音響光学素子によって偏向された第1と第2の光路上の蛍光は、互いに直交する偏光成分である正負の1次回折光である。
  12. 請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記偏向された前記第1と第2の光路に設けられた2つの検出器からの信号を和信号もしくは差信号となる合成信号、あるいはそれぞれを独立信号として処理する信号処理部を更に備えた。
  13. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記音響光学素子には複数の中心波長又は周波数の設定ができ、前記複数の中心波長又は周波数を近接又は隣接させることによって、それぞれの中心波長又は周波数によって形成されるスペクトルを部分的に重ねあわせ、より広い波長幅を選択できるようにする。
  14. 請求項11に記載の走査型レーザ顕微鏡において、
    前記音響光学素子は、前記蛍光を互いに異なる方向の第1及び第2の光路に偏向するものであり、
    前記第1及び第2の光路に導かれた前記蛍光を1つの検出器に導く偏向装置が設けられている。
  15. 請求項14に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1及び第2の光路にそれぞれ設けられたシャッタを更に備える。
  16. 請求項9又は請求項10に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第3光路は、前記音響素子の前記周波数で偏向されない0次回折光の光路である。
  17. 請求項10に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第3光路上の前記レーザ光は、前記音響光学素子から出射する0次回折光の光路上にあり、かつ、その進む向きが前記0次回折光とは正反対である。
  18. レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光を取り込む対物レンズと、
    前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、
    前記蛍光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を+1次回折光と−1次回折光とに回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光を0次回折光として透過させ、
    前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、
    前記+1次回折光を受光する第1の光検出器と、
    前記−1次回折光を受光する第2の光検出器と、を具備する走査型レーザ顕微鏡。
  19. 請求項18に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1の光検出器の出力信号と前記第2の光検出器の出力信号を加算した値に基づいて前記試料の画像を生成する手段を更に具備する。
  20. 請求項18に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記高周波信号制御部によって前記高周波電圧の周波数を掃引し、各周波数における前記第1及び第2の光検出器の出力信号を取得することによって、前記蛍光のスペクトルデータを取得する。
  21. 請求項20に記載の走査型レーザ顕微鏡において、
    前記0次回折光を受光する第3の光検出器を更に具備し、
    前記音響光学素子に前記高周波電圧を印加しないときには、前記第3の光検出器の出力信号を用いて前記試料の画像を生成する。
  22. レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光を取り込む対物レンズと、
    前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、
    前記蛍光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を+1次回折光と−1次回折光とに回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光を0次回折光として透過させ、
    前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、
    前記+1次回折光を受光する第1の光検出器と、
    前記−1次回折光を受光する第2の光検出器と、を具備し、前記レーザ光源は、前記レーザ光が変調されずに前記音響光学素子を透過して、前記対物レンズに導かれるように、前記0次回折光の光路に配置されている走査型レーザ顕微鏡。
  23. レーザ光を試料上に集光して前記試料からの蛍光を取り込む対物レンズと、
    前記レーザ光を前記試料上で2次元的に走査させる光走査手段と、
    前記蛍光の光路上に配置された音響光学素子と、前記音響光学素子は、高周波電圧が印加されたときには、入射した前記蛍光のうち前記高周波電圧の周波数に応じた波長の光を1次回折光に回折させると共に、前記高周波電圧が印加されないときには、入射した前記蛍光を0次回折光として透過させ、
    前記音響光学素子への前記高周波電圧の印加のオンオフを制御し、前記高周波電圧の設定を行う高周波信号制御部と、
    前記1次回折光を受光する光検出器と、を具備し、前記高周波信号制御部によって前記高周波電圧の周波数を掃引し、各周波数における前記光検出器の出力信号を取得することによって、前記蛍光のスペクトルデータを取得する走査型レーザ顕微鏡。
  24. 請求項23に記載の走査型レーザ顕微鏡において、
    前記0次回折光を受光する第2の光検出器を更に具備し、
    前記音響光学素子に前記高周波電圧を印加しないときには、前記第2の光検出器の出力信号を用いて前記試料の画像を生成する。
  25. 請求項18又は請求項23に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記レーザ光と前記蛍光を分離するビームスプリッタを更に備え、前記ビームスプリッタが、前記対物レンズと前記音響光学素子との間に配置されている。
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