JP4323204B2 - 超音波処置装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織を把持して生体組織の切開、切除、或いは凝固等の超音波処置を施す超音波処置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超音波処置装置は、生体組織に対して切開、切除、或いは凝固等の超音波処置を施すものである。この超音波処置装置は、手元側の操作部に超音波振動子を配設すると共に、この超音波振動子で発生した超音波振動を伝達し、生体組織を処置するための超音波プローブを先端側に配設した超音波処置具と、この超音波処置具を制御する装置本体とを備えて構成され、超音波プローブの先端側に、生体組織を把持するためのジョーが超音波プローブに対峙して回動自在に配設されている。
【0003】
このような生体組織を把持するためのジョーは、例えば、特開2000−296133号公報(特許文献1)に開示されているように、操作部に配設された可動ハンドルを操作することにより、超音波プローブに対して開閉される。すなわち、可動ハンドルの操作に伴い、ジョーに連結される操作ロッドが軸方向に進退し、この操作ロッドの進退動作に連動してジョーが超音波プローブに対して閉操作するのに伴い超音波プローブとジョーとの間で生体組織を把持する。そして、この状態で、超音波振動子からの超音波振動を超音波プローブに伝達することにより、把持された生体組織に対して切開、切除、或いは凝固等の超音波処置を施すようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−296133号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波処置具では、特許文献1に開示されているように、ジョーを超音波プローブの先端側に回動自在に支持するためにリンク機構を用いており、ジョーと操作ロッドとの連結部、及びジョーを超音波プローブの先端側に支持する保持部に、小さなピン状の軸部材や、この軸部材を嵌合する孔を設けている。
【0006】
従って、ジョー及び周辺部品を製造する上でリンク機構に対する精密且つ複雑な加工を必要とするばかりでなく、構造が複雑となって組立工数が増加し、超音波処置具全体としての生産効率の低下を招く虞がある。また、製品出荷後の実使用状態においても、超音波処置具を滅菌・消毒するに際し、ジョー周辺の小さな軸部材及び嵌合孔の洗滌に時間を要することになる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ジョー周辺の機構から軸部材や嵌合孔を極力低減して構成を簡素化し、装置の生産性を向上すると共に、市場における実使用状態での洗滌及び滅菌性を向上することのできる超音波処置装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による超音波処置装置は、超音波振動子で発生した超音波振動を伝達し、生体組織を処置する超音波プローブと、前記超音波プローブに対して開閉可能に設けられ、前記超音波プローブとの間に生体組織を把持するジョーと、前記ジョーを支持するジョー保持部と、前記ジョーに連結されて進退操作され、前記ジョーに開閉操作力を伝達する操作ロッドとを具備し、前記ジョーは、前記ジョー保持部と前記操作ロッドとのうち、どちらか一方と軸部材を介して回動可能に連結され、他方とは弾性部材を介して非軸結合されている、ことを特徴とする。
【0010】
かかる構成により、ジョー周辺の機構を簡素化して装置の生産性を向上すると共に、市場における実使用状態での洗滌及び滅菌性を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図7は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は超音波処置装置の全体構成図、図2は超音波処置装置の回路ブロック図、図3は超音波処置具の分解状態を示す側面図、図4は超音波処置具全体の組立状態を示す側面図、図5はジョー周辺の要部断面図、図6はジョーの開状態を示す要部断面図、図7はジョーの変形例を示す要部断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の超音波処置装置1は、装置本体1Aに超音波処置具2及びフットスイッチ3がそれぞれ接続されて構成されている。超音波処置具2は、細長いシース状の挿入部外套管4の先端部に配設された処置部5と、基端部に配設された手元側の操作部6とを備えている。
【0013】
また、操作部6には、超音波振動を発生する図示しない超音波振動子が内蔵され、処置部5を操作する操作ハンドル8が設けられている。更に、挿入部外套管4には、この内部に超音波振動子からの超音波振動を処置部5に伝達する振動伝達部材9が配設されている。この振動伝達部材9の先端部は、挿入部外套管4の先端から外部側に露出される。
【0014】
また、装置本体1Aは、この前面に操作盤12が設けられている。この操作盤12は、電源スイッチ13と、操作表示パネル14と、超音波処置具接続部15とが設けられている。ここで、超音波処置具2の操作部6は、ハンドピースコード16の一端が連結されている。そして、このハンドピースコード16の他端部に配設されたハンドピースプラグ17は、装置本体1Aの超音波処置具接続部15に着脱可能に接続されるようになっている。
【0015】
また、装置本体1Aの操作表示パネル14は、超音波処置を行う際の通常運転時の超音波出力の大きさを設定する設定スイッチ18と、この設定スイッチ18で設定される超音波出力の大きさをデジタル表示する表示部19とが設けられている。この設定スイッチ18は、超音波出力の大きさを変更(増減)する出力増加スイッチ18aと、出力低減スイッチ18bとが設けられている。
【0016】
更に、装置本体1Aは、図2に示すように超音波処置具2内の超音波振動子に電気エネルギを供給するための駆動回路20が内蔵されている。この駆動回路20は、超音波周波数の交流信号を発生する発振回路21と、超音波出力の大きさを指示する信号を生成するD/Aコンバータ22と、このD/Aコンバータ22からの信号に基づいて発振回路21の交流信号の大きさを制御するVCA回路23と、VCA回路23の出力を増幅して超音波処置具2内の超音波振動子を駆動する電力を生成するパワーアンプ24と、駆動回路20の出力ラインを入切するリレー25と、超音波処置装置1の動作を制御する制御回路26と、フットスイッチ3からの操作信号を制御回路26及びリレー25に伝達するインターフェース(I/F)回路27とが設けられている。
【0017】
また、制御回路26は、フットスイッチ3の操作による超音波処置の開始時に超音波処置具2内の超音波振動子からの超音波出力を設定スイッチ18による設定出力値よりも大きくし、超音波処置開始後、予め設定された所定の設定時間が経過した時点で、超音波振動子からの超音波出力が設定出力値になるように制御する運転状態切換え手段が内蔵されている。尚、駆動回路20のリレー25は、超音波処置具接続部15とパワーアンプ24との間に介設されている。
【0018】
超音波処置具2は、図3及び図4に示すように、3つのユニットに分解可能である。即ち、ハンドルユニット31と、プローブユニット32と、振動子ユニット33とから構成されている。これらの3つのユニット31〜33は、図4で示す状態に組み立てられる。
【0019】
振動子ユニット33は、ハンドルユニット31に着脱可能に連結されるハンドピース34が設けられている。このハンドピース34は、円筒状カバー34a内に超音波振動を発生するための超音波振動子(不図示)が内蔵されている。この超音波振動子は、先端側に振幅拡大を行なうホーン(不図示)が連結され、このホーンの先端側にプローブユニット32の基端が取り付けられる。
【0020】
また、円筒状カバー34aは、先端部に、ハンドルユニット31の後述する操作部本体6aの振動子接続部6bに着脱可能に連結されるユニット連結部34bが設けられ、後端部に、ハンドピースプラグ17を設けたハンドピースコード16が接続されている。ユニット連結部34bの外周面は、リングの一部を切り離したC字型の形状をしている係合リング39(所謂Cリング)が装着されている。尚、係合リング39は、この断面形状が外周を円弧とする略半月状の断面形状に形成されている。
【0021】
また、プローブユニット32は、振動子ユニット33における図示しないホーンの先端に着脱可能に連結される細長い略棒状の振動伝達部材9が設けられている。この振動伝達部材9の基端部には、ホーンのプローブ取付部に連結される取付けねじ41aが形成されている。そして、この取付けねじ41aは、振動子ユニット33におけるプローブ取付部のねじ穴部にねじ込み固定されている。これにより、プローブユニット32と、振動子ユニット33とは、一体的に組み付けられている。
【0022】
更に、振動伝達部材9は、基端側から伝達される超音波振動の定在波の節の位置(複数個所)にフランジ状の支持体41bが設けられている。また、この支持体41bは、弾性部材でリング状に形成されている。本実施の形態の振動伝達部材9は、基端部側から2つ目の節の前方に第2段階の振幅拡大を行なう基端側ホーン41cが配設されている。更に、この基端側ホーン41cの先端部側は、超音波振動の伝達を行う中間部41d、最終的な振幅拡大を行う先端側ホーン41e、処置部41f(超音波プローブ)が順次配設されている。ここで、振動伝達部材9の最先端部に配置された処置部41fは、略円形の断面形状に形成されている。
【0023】
また、ハンドルユニット31は、細長い挿入シース部31aと、この挿入シース部31aの先端部に配設された先端作用部31bと、挿入シース部31aの基端部に配設された操作部6とから構成される。ここで、ハンドルユニット31の操作部6は、略円筒状の操作部本体6aが設けられている。そして、この操作部本体6aの基端部は、振動子接続部6bが形成されている。
【0024】
また、操作部本体6aは、この外周面に固定ハンドル42と、操作手段を構成する回動可能な可動ハンドル43とが設けられ、固定ハンドル42及び可動ハンドル43によって操作ハンドル8(図1参照)が構成される。尚、操作部本体6aには、図示しない高周波電源装置が接続される高周波接続用の電極ピン44が設けられている。
【0025】
また、固定ハンドル42の上側部分は、円筒状の操作部本体6aと一体に形成されている。更に、固定ハンドル42の操作端部は、親指以外の指を選択的に差し込める指掛け孔42aが設けられ、可動ハンドル43の操作端部は、同じ手の親指を掛ける指掛け孔43aが設けられている。
【0026】
また、可動ハンドル43の上端部側は、二股状の連結部43bが形成されている。これらの二股状の連結部43bは、操作部本体6aの両側に配置されている。更に、各連結部43bの上端部は、ハンドル枢支軸45が内方向に向けて突設されている。これらのハンドル枢支軸45は、挿入部外套管4の軸線より上側位置を支点として操作部本体6aに連結されている。これにより、可動ハンドル43は、ハンドル枢支軸45によって回動可能に枢支されている。尚、ハンドル枢支軸45は、高周波絶縁用の絶縁キャップが取り付けられている。
【0027】
更に、可動ハンドル43の各連結部43bには、ハンドル枢支軸45の下側に作動軸47が設けられ、この作動軸47が操作部本体6a内で長手方向に進退可能に配設される略筒状の部材(スライダ;図示せず)に係合されている。このスライダには、振動伝達部材9が挿通されると共に、挿入部外套管4内に挿通される棒状の操作ロッド50(図5参照)の基端が固定されており、可動ハンドル43の開閉操作によって操作ロッド50が軸方向に進退動作し、操作ロッド50の先端側に連結された後述のジョー51に開閉操作力を伝達する。
【0028】
即ち、可動ハンドル43と作動軸47とは、操作手段を構成しており、本実施の形態においては、ハンドルを握って可動ハンドル43を閉操作すると、作動軸47が前側に移動することで、操作ロッド50を先端側に押し出し、処置部41fに対してジョー51が閉じるように構成される。尚、作動軸47は、挿入部外套管4の略軸線上に配置されている。
【0029】
また、挿入シース部31aには、上述の挿入部外套管4が設けられており、この挿入部外套管4の基端部は、回転ノブ48と共に、操作部本体6aの先端部にこの操作部本体6aの中心線の回りに回転可能に取付けられている。また、挿入部外套管4には、プローブユニット32の振動伝達部材9が挿通されている。この挿入部外套管4には、振動伝達部材9に併設されて、ジョー51に連結される操作ロッド50が進退自在に挿通されている。尚、操作ロッド50は、挿入部外套管4内に隙間を残して配置されている。
【0030】
尚、挿入部外套管4は、図示しない金属管の外周面に絶縁チューブ49が装着されて形成されている。この絶縁チューブ49は、挿入部外套管4の外周面全体を基端部までの大部分被覆する状態に設けられる。
【0031】
また、ハンドルユニット31の先端作用部31bには、生体組織を把持するための片開き型のジョー51が回動自在に設けられている。ジョー51は、挿入部外套管4の先端部に設けられたジョー保持部52に支持されており、ジョー保持部52は、略管状の保持部主要部52aの先端部が絶縁カバー53で被覆され、高周波電流に対する絶縁が行われている。
【0032】
また、ジョー51には、生体組織(臓器)を把持する把持部材54が取り付けられており、この把持部材54には、例えばPTFE(テフロン:デュポン社商標名)等の低摩擦材料で形成され、さらに略鋸歯状の歯部55が形成されている。尚、把持部材54は、単体では、剛性に乏しいので、図示しない金属製の補強部材を取り付けて剛性を確保しても良い。
【0033】
ここで、ジョー51は、保持部主要部52aの先端部に取付けて回動自在とするための軸部材や嵌合孔を極力低減した構成となっている。具体的には、図5に示すように、ジョー51は、振動伝達部材9の処置部41fに対峙し、把持部材54が取付けられる細長のブレード部51a、このブレード部51aの基端側から斜め下方に延出され、振動伝達部材9が挿通されるフレーム部51b、このフレーム部51bの下端からブレード部51aと反対方向に延出されて保持部主要部52aの先端開口部に固着され、操作ロッド50の進退動作に応じて弾性的に湾曲するアーム部51cを主として構成される。尚、図5では、絶縁カバー53が取り外されている状態を示している。
【0034】
ブレード部51aの基端側には、操作ロッド50の先端連結部50aが枢支ピン56を介して軸着され、この枢支ピン56が設けられる基端側から延出されるフレーム部51bは、振動伝達部材9を覆ってアーム部51cと連結される形状、例えば二股状や円筒状に形成されている。また、アーム部51cは、例えば細長の板状の弾性部材や複数のロッド状の弾性部材等で形成され、基端側が、保持部主要部52aの内周面に溶接等によって固着されている。
【0035】
すなわち、図5に示すジョー51は、操作ロッド50との連結部のみに枢支ピン56を設け、操作ロッド50の進退動作に対してアーム部51が弾性変形することで回動動作(処置部41fに対するブレード部51aの開閉動作)を行い、回動支点として軸部材の廃止を可能としている。
【0036】
この場合、ブレード部51a、フレーム部51b、アーム部51cは、一体的、或いは、それぞれ別体で形成しても良いが、少なくともアーム部51cは弾性部材で形成される必要がある。すなわち、ブレード部51a及びフレーム部51bは、生体組織を適正圧で把持するための剛性を確保する必要があり、また、アーム部51cは、ブレード部51aを適度な操作力で開可能とする弾性と、繰返し曲げ応力に対する十分な耐性が要求されることから、ブレード部51a、フレーム部51b、アーム部51cは、それぞれ、最適な材質及び形状が設定されている。
【0037】
以上の構成による超音波処置装置1は、生体組織の凝固切開或いは、剥離等の処置を行う。術者は、ハンドルユニット31の固定ハンドル42を握り、可動ハンドル43を操作する。すると、この可動ハンドル43の操作により、挿入シース部31a内で操作ロッド50が進退し、プローブユニット32の処置部41fに対峙するジョー51が開閉される。
【0038】
ジョー51の開操作時は、操作ロッド50が手元側方向に牽引され、この操作ロッド50の牽引力が枢支ピン56で連結されたフレーム部51bからアーム部51cに伝達される。その結果、図6に示すように、ジョー保持部52の保持部主要部52aに端部が固着されたアーム部51cが弾性的に湾曲し、ブレード部51aがプローブユニット32の処置部41fに対して開方向に回動される。
【0039】
また、ジョー51の閉操作時は、プローブユニット32の処置部41fに対してジョー51の把持部材54を押し付けることにより、処置部41fとジョー51の把持部材54との間で生体組織を把持するようになっている。そして、術者は、フットスイッチ3を踏み込み、把持された生体組織に対し、高速で振動する処置部41fとの摩擦熱によって凝固或いは切開等の超音波処置を施す。尚、ジョー51は、生体組織の剥離にも使用されるようになっている。
【0040】
このように超音波処置装置1は、超音波処置具2のジョー51を回動自在とするための軸部材や、この軸部材が嵌合される嵌合孔を極力低減してシンプルな構成としているため、ジョー及び周辺部品を製造する上で精密且つ複雑な加工や組立工数を低減し、生産効率を向上してトータルコストの低減に寄与することができる。
【0041】
また、製品出荷後の実使用状態においても、超音波処置具2を滅菌・消毒するに際してジョー51周辺の洗滌が容易となり、洗滌及び滅菌性を向上して、装置の使用効率を向上することができる。
【0042】
以上のジョー51の構成は、図7に示すような構成としても良く、同様の作用・効果を得ることができる。すなわち、図7に示すジョー60は、処置部41fに対峙して把持部材54が取付けられる細長のブレード部60aの基部を、枢支軸61を介して保持部主要部52aの先端部に回動自在に枢支され、このブレード部60aの上面側に、弾性を有する連結部材62を介して操作ロッド63を連結する。操作ロッド63は、管状に形成されて内部に振動伝達部材9が挿通され、操作部本体6a内の前述したスライダの先端部に嵌合固定されている。
【0043】
尚、ブレード部60aと操作ロッド63とを連結する連結部材62は、管状の操作ロッド63を弾性部材で形成し、この弾性部材からなる操作ロッド63の先端部を加工して一体的に形成しても良く、その場合には、操作ロッド63の延長部分となる連結部材62を、ブレード部60aに溶接等により固着する。
【0044】
また、操作ロッド63と連結部材62とを別部材で形成して溶接等により互いに結合しても良く、更には、ブレード部60aを、必要な剛性と弾性とを備えた材料で形成し、このブレード部60aの基端側を延長して連結部材62を形成するようにしても良い。
【0045】
このような構成によるジョー60は、操作ロッド63の進退動作に伴う連結部材62の弾性変形により、枢支軸61を支点として回動し、開閉操作される。これにより、前述のジョー51と同様、シンプルな構成で装置の生産性を向上すると共に市場における実使用状態での洗滌及び滅菌性を向上することができる。
【0046】
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。図8及び図9は本発明の実施の第2形態に係わり、図8は、組立て前のジョーを示す側面図、図9は組立て後のジョー周辺の要部断面図である。
【0047】
第2形態は、第1形態のジョー51(60)に対し、軸部材や嵌合孔を全く用いずに開閉機構を形成するものであり、図8に示すように、ジョー70を、弾性部材からなる管状の操作ロッド71の先端部をワイヤカット等により加工して形成する。
【0048】
すなわち、管状の操作ロッド71の先端部を、一部の側壁を細長に残して切除することで、処置部41fに対峙して把持部材54を取付けるためのブレード部70aを形成する。また、このブレード部70aの後方に、ブレード部70aと同じ側に位置する第1の側壁と、この第1の側壁と反対側の第2の側壁とを細長に残して切除し、第2の側壁の軸方向基端部を、操作ロッド71の円筒面から切り離して自由端とすることで、第1の側壁を、ブレード部70aと操作ロッド71とを弾性的に連結する第1の湾曲部70bとして形成すると共に、第2の側壁を、ブレード部70aと保持部主要部52aとを弾性的に連結する第2の湾曲部70cとして形成する。
【0049】
そして、図9に示すように、ジョー70を保持部主要部52aに内装して、第2の湾曲部70cの自由端を保持部主要部52aの内周面に溶接等によって固着し、また、ブレード部70aに、把持部材54を取付けることで、操作ロッド71の進退動作に応じた開閉動作を可能とする。
【0050】
尚、弾性を必要とする部位は、第1,第2の湾曲部70b,70cであるため、これらの双方或いは一方を弾性を有する別部材で形成し、溶接等により互いに固着して一体化するようにして良い。
【0051】
第2形態におけるジョー70は、操作ロッド71の進退動作により、第1,第2の湾曲部70b,70cが弾性的に湾曲し、処置部41fに対するブレード部70aの開閉動作が行われる。従って、第1,第2の湾曲部70b,70cを適正に弾性変形させるためには、操作ロッド71を形成する管状部材の材質や板厚を考慮して第1,第2の湾曲部70b,70cの長さ及び幅を設定することが重要であり、また、長手方向にスリットを設ける等して形状的な調整を加えることも、所望の弾性を得る上で有効である。
【0052】
第2形態では、ジョー70を回動自在とするための機構として軸部材や嵌合孔を全く用いていないため、第1形態よりも更にシンプルな構成となっており、装置の生産性、市場における洗滌及び滅菌性を更に向上することができる。しかも、管状の操作ロッド71を加工してジョー70を形成することで、加工工数及び組立工数をより低減することができ、コスト低減に寄与することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ジョー周辺の開閉機構を簡素化して装置の生産性を向上すると共に、市場における実使用状態での洗滌及び滅菌性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、超音波処置装置の全体構成図
【図2】同上、超音波処置装置の回路ブロック図
【図3】同上、超音波処置具の分解状態を示す側面図
【図4】同上、超音波処置具全体の組立状態を示す側面図
【図5】同上、ジョー周辺の要部断面図
【図6】同上、ジョーの開状態を示す要部断面図
【図7】同上、ジョーの変形例を示す要部断面図
【図8】本発明の実施の第2形態に係わり、組立て前のジョーを示す側面図
【図9】同上、組立て後のジョー周辺の要部断面図
【符号の説明】
1…超音波処置装置
2…超音波処置具
6…操作部
9…振動伝達部材
20…駆動回路
32…プローブユニット
33…振動子ユニット
50,63,71…操作ロッド
51,60,70…ジョー
52…ジョー保持部
Claims (3)
- 超音波振動子で発生した超音波振動を伝達し、生体組織を処置する超音波プローブと、
前記超音波プローブに対して開閉可能に設けられ、前記超音波プローブとの間に生体組織を把持するジョーと、
前記ジョーを支持するジョー保持部と、
前記ジョーに連結されて進退操作され、前記ジョーに開閉操作力を伝達する操作ロッドとを具備し、
前記ジョーは、前記ジョー保持部と前記操作ロッドとのうち、どちらか一方と軸部材を介して回動可能に連結され、他方とは弾性部材を介して非軸結合されている、
ことを特徴とする超音波処置装置。 - 前記ジョーは、前記超音波プローブの先端部に対峙するブレード部を有し、
前記ブレード部の基端側が枢支ピンを介して前記操作ロッドに回動可能に連結されると共に、前記ブレード部の基端側から下方に延出される部位が前記操作ロッドの進退動作に応じて弾性的に湾曲するアーム部を介して前記ジョー保持部に結合されていることを特徴とする請求項1記載の超音波処置装置。 - 前記ジョーは、前記超音波プローブの先端部に対峙するブレード部を有し、
前記ブレード部の基端側が枢支軸を介して前記ジョー保持部に回動可能に連結されると共に、前記ブレード部の上面側が前記操作ロッドの進退動作に応じて弾性変形する連結部材を介して前記操作ロッドに結合されていることを特徴とする請求項1記載の超音波処置装置。
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