JP4318779B2 - インバータ式x線高電圧装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、商用の交流電源をコンバータ回路で直流に変換し、その直流をインバータ回路を用いて高周波の交流に変換し、その出力電圧を高電圧変圧器で昇圧すると共に整流して直流の高電圧を発生し、これをX線管に印加してX線を放射するインバータ式X線高電圧装置に係り、特に上記コンバータ回路に特開平7-263175号公報や特開平7-272891号公報に公開されている昇圧型の高力率コンバータ回路を用いた場合に、該コンバータ回路の出力電圧をオーバーシュートさせないで、安全で信頼性が高く、かつX線管に印加する電圧の安定化を図ることができるインバータ式X線高電圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータ式X線高電圧装置は、一般に、商用の交流電源からの交流電圧を交流リアクトルを介してサイリスタまたはダイオードで構成された全波整流回路を用いたコンバータ回路により直流電圧に変換し、これを平滑コンデンサで平滑してインバータ回路に入力する。このインバータ回路は、例えば特開昭63-190556号広報に記載されているように、共振コンデンサと高電圧変圧器の漏れインダクタンスとの共振現象を利用してインバータ回路の位相差や周波数あるいはパルス幅等を制御することにより負荷であるX線管に直流の高電圧(以下、管電圧と呼ぶ)を印加するものである。すなわち、インバータ回路から出力された高周波の交流電圧を前記高電圧変圧器で昇圧し、これを高電圧整流回路で直流に変換してX線管に印加する。インバータ制御回路は、実際の管電圧を検出し、これと目標値を一致させるためのインバータ回路の位相差や周波数あるいはパルス幅を求めこれを制御する。管電流は、フィラメント加熱回路でX線管のフィラメントの温度を調節することによって制御する。このようなX線高電圧装置は、一般X線撮影装置から循環器X線撮影装置、X線CT装置等に広く適用されているが、最近の医用X線高電圧装置は性能面だけでなく、設置面積の縮減、小型軽量化に対する要求が益々強まる一方である。なかでも高電圧変圧器が装置体積に占める割合は大きく、高電圧変圧器を小型化することが装置の小型化にとって特に有効であるために、インバータの高周波化を図ってきた。
【0003】
しかし、この方法にも限界があり、更に装置の小型化を図るためには、インバータ回路の電流を低減して、このインバータ回路のスイッチング素子には電流容量の小さいものを用い、同時に高電圧変圧器の巻数比を小さくする必要がある。上記巻数比を小さくすることは、高電圧変圧器の漏れ磁束が一次巻線等に鎖交して発生する渦電流損の損失低減に繋がるので該高電圧変圧器の効率が向上し、これによってインバータ回路の電流も低減し、そのスイッチング素子の電流容量低減にも効果がある。
【0004】
さらに、高電圧変圧器の漏れインダクタンスも低減でき、さらなる高周波化による高電圧変圧器の小型化も期待できる。上記インバータ回路のスイッチング素子の電流容量と高電圧変圧器の巻数比は、前記インバータ回路の入力電圧、すなわち上記交流電源電圧を全波整流した電圧の大きさ(交流電源の線間電圧のピーク値を最大値として、ほぼ0(V)〜線間電圧×√2(V)の範囲)で決まるため、前記スイッチング素子の電流容量と高電圧変圧器の巻数比の低減によるインバータ回路と高電圧変圧器の小型化には限界があった。そこで、このような場合には、交流電源を昇圧する(例えば前記交流電源電圧が200Vの場合には400Vに昇圧する)変圧器を前記交流電源とコンバータ回路との間に接続して、この変圧器の出力電圧を全波整流回路で整流してインバータ回路に入力すれば良いが、前記交流電源電圧を昇圧する変圧器には大容量のものが必要となるので装置の大型化と大幅なコストアップを招き好ましくない。他の方法としては、倍電圧整流回路を用いてインバータ回路の入力電圧を高める方法があるが、これも全波整流時の2倍までにしか昇圧することができないので、インバータ回路の入力電圧をこれ以上高くして小型化するにしても限界がある。
【0005】
また、さらなる従来方式の課題として、従来のサイリスタまたはダイオードで構成された全波整流式のコンバータ回路を用いたインバータ式X線高電圧装置には、力率の低下と電源高調波の問題がある。すなわち、コンバータ回路のサイリスタのゲート信号の位相が交流電源電圧の位相に対して遅れ位相で与えられるために、前記交流電源の電流は電源電圧よりも位相が遅れ、力率が低下していた。このため無効電力が大きく、交流電源の設備容量はその分だけ大きくせざるを得ない。さらに、前記交流電源の電流波形も歪み、高調波成分が多く、これによって高調波電流の電源系統への流入、延いては同電源系統に接続された他の機器への障害が及ぶこともあり、この対策に多くの費用を要するものとなっていた。そこで、上記したようなインバータ回路への入力電圧に対する制約と電源高調波の問題を解決する手段として、インバータ回路の入力電圧を所定の値まで高くし、かつ力率改善と電源高調波の低減ができる昇圧型高力率コンバータ回路を用いたインバータX線高電圧装置が特開平7-263175号公報や特開平7-272891号公報に公開されている。これらの公報には、インバータ回路の入力電圧を高くすると共に、交流電源の電圧と電流の位相ずれを無くして力率改善と電源高調波の低減ができるパルス幅変調制御(以下、PWM制御と略記)のフルブリッジ型や混合ブリッジ型のコンバータ回路を用いたインバータ式X線高電圧装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した経緯により、上記特開平7-263175号公報や特開平7-272891号公報に公開されている昇圧型の高力率コンバータが導入された。これは、装置の小型・軽量化や力率改善及び電源高調波の低減に対して大きな効果をもたらすものである。しかしながら、上記の方法を実際に高度な信頼性と安定性が要求される医療用機器に適用する場合においては、以下に述べるようなことへの配慮が不十分であった。
【0007】
上記の昇圧型高力率コンバータ回路を医療用X線高電圧装置に使用する場合、通常は電源投入後コンバータ回路の出力電圧を所定の値に設定し、その後、インバータ回路を動作させて所定期間、X線を出力するというプロセスを経る。すなわち、コンバータ回路はほぼ無負荷状態でその出力電圧を設定値まで昇圧し、その後コンバータ回路にはインバータ回路の動作開始と共に負荷(最大100kW)が掛かり、そして所定の曝射時間を経過した後、再び無負荷状態となる。このような動作の中で、前記コンバータ回路を制御するコンバータ制御回路は、高電圧装置全体をコントロールする操作卓において管電圧値、管電流値、曝射時間などのX線曝射条件が設定されると、その条件から決められるコンバータ回路の出力電圧指令値と該コンバータ回路の出力電圧検出値(実際値)とを入力してこれらを比較し、この差をコンバータ回路の出力電圧の偏差値として、この偏差値がゼロとなるようフィードバック制御を行う。上記コンバータ制御回路の制御系は、一般にコンバータ回路の出力電圧の急激な上昇を抑制し安定化を図るために、比例制御と積分制御(この積分制御は、コンバータ回路の出力電圧の立ち上がり時間に大きく影響し、その値が大きいほど立ち上がりが高速となるように動作する)とを組み合わせた比例・積分制御等がよく用いられる。
【0008】
従来のサイリスタ制御方式では、コンバータ回路の出力電圧をゼロボルトから立ち上げて最終目標値に設定する際、突入電流を防ぐために、例えば目標となる値を徐々に(段階的にでもよい)高めて上記最終目標値に近づけることにより、サイリスタの制御位相角を徐々に大きくする一種のソフトスタート方式等を採用していた。そして、これにより一連の曝射動作を行うことができた。
【0009】
このようなソフトスタート方式を上記PWM制御による昇圧型コンバータに適用した場合は以下のような問題点が発生する。すなわち、コンバータ回路の出力電圧をゼロボルトから目標値に設定する際、前記のソフトスタート方式と同様の方式を採用すれば、突入電流を防ぐことができ、安全にPWM制御昇圧型コンバータの出力電圧を目標値に設定することは可能となるが、一方、X線曝射終了時においては、コンバータ回路の出力電圧がオーバーシュートを起こしてしまう場合がある。これは、出力電力(管電圧×管電流)が大きい場合、X線曝射期間において出力電圧は目標設定値より下がった状態となっており、その状態でX線曝射が終了し無負荷状態に移行すると、その瞬間、目標値以下の出力電圧を目標値まで一気に持ち上げようとし、その結果、出力電圧がオーバーシュートを起こしてしまうことがあり(昇圧型コンバータは、理論的には無限大にまで昇圧可能である)、場合によってはコンバータ回路を構成するスイッチング素子を破壊させる恐れがある。曝射終了時におけるこのような現象は、従来のサイリスタ方式などでも、出力電圧に若干のオーバーシュートが観測されていたが、理論的には無限大にまで昇圧可能である昇圧型コンバータと比較すると、それは僅かであり、動作上問題となるレベルではなかった。そして、このことは、PWM制御昇圧型コンバータ適用のX線高電圧装置の安全性や信頼性の観点からも改善が強く望まれていたものである。
【0010】
そこで、本発明の目的は、商用の交流電源を直流に変換するコンバータ回路に特開平7-263175号公報や特開平7-272891号等の公報に公開されているPWM制御方式の昇圧型の高力率コンバータ回路を用いても、該コンバータ回路の出力電圧をオーバーシュートさせることがない、安全で信頼性が高く、安定な管電圧波形が得られるインバータ式X線高電圧装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、交流電源を受電しこれを整流するパルス幅変調制御方式の昇圧型のコンバータ回路と、このコンバータ回路の直流出力電圧を高周波の交流に変換するインバータ回路と、このインバータ回路の出力電圧を昇圧する高電圧変圧器と、この高電圧変圧器の出力を整流する高電圧整流回路と、この高電圧整流回路の出力電圧(管電圧)を印加してX線を放射するX線管と、前記コンバータ回路の直流出力電圧の目標値を入力しこれと前記コンバータ回路の実際の直流出力電圧が一致するように前記コンバータ回路を制御するコンバータ制御回路とを備えてなるインバータ式X線高電圧装置において、上記コンバータ制御回路に、一連のX線曝射動作の各期間及びX線の負荷条件に応じて前記コンバータ回路の直流出力電圧の目標値と前記コンバータ回路の実際の直流出力電圧が一致するように制御するための制御ゲインとこの制御ゲインを切り換える切り換え手段とを備え、この切り換え手段により前記制御ゲインを一連のX線曝射動作の各期間及びX線の負荷条件に応じた値に設定して上記コンバータ回路の出力電圧を制御することによって達成される。
【0012】
このように構成されたインバータ式X線高電圧装置は、コンバータ回路の制御ゲインを一連のX線曝射動作、すなわちX線曝射前のX線曝射準備期間、X線曝射期間、X線曝射終了後及びX線負荷の大きさに応じて最適な値に設定できるので、コンバータ回路の出力電圧はX線曝射準備の立ち上がり時のオーバーシュート、X線曝射期間の落ち込み、X線曝射終了時のオーバーシュート(跳ね上がり)のないものとなり、この直流電圧をインバータ回路に入力することにより、安全で信頼性が高く、安定な管電圧波形が得られるインバータ式X線高電圧装置とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
第1図は本発明によるインバータ式X線高電圧装置の実施例を示す全体構成のブロック図である。このX線高電圧装置は、交流電源を受電した後コンバータ回路で直流に変換し、該コンバータ回路からの直流電圧をインバータ回路を用いて高周波の交流電圧に変換し、この出力電圧を高電圧変圧器で昇圧した後整流して直流の高電圧をX線管に供給してX線を放射するもので、図に示すように、絶縁ゲート形バイポーラトランジスタIGBT16〜21から構成されるコンバータ回路1と、インバータ回路2と、高電圧変圧器3と、高電圧整流回路4と、高電圧ケーブル5と、XX線管6と、管電圧検出器7と、電流検出器8a,8bと、平滑コンデンサ9と、ディジタル制御方式によるコンバータ制御回路10と、同じくディジタル制御方式による管電圧フィードバック制御回路11と、X線高電圧装置全体の動きを制御するX線制御回路12と、交流リアクトル15a,15b,15cと、共振用コンデンサ22とを備えて構成される。
【0014】
次に、上記構成要素の機能についてそれぞれ簡単に説明する。上記コンバータ回路1は、インバータ回路2へ直流電圧を供給する装置であり、50Hzまたは60Hzの交流商用電源電圧を整流すると共にコンデンサ等の平滑素子で平滑することによって直流電圧を得るようになっており、図1に示す実施例においては、IGBTを適用した昇圧機能を有する、特開平7-263175号公報や特開平7-272891号公報に公開されているPWM制御による高力率コンバータ回路が採用されている。インバータ回路2は、上記コンバータ回路1から出力された直流電圧を受電して高周波の交流電圧に変換すると共にX線管に印加する電圧(管電圧)を制御するものである。高電圧変圧器3は、上記インバータ回路2からの高周波の交流電圧を昇圧するもので、その一次巻線がインバータ回路2の出力側に接続されている。X線管6は、上記整流回路4からの出力電圧を高電圧ケーブル5を介してX線管に印加してX線を放射するもので、高電圧整流回路4の出力側に接続されている。
【0015】
さらに、管電圧検出器7は、上記X線管6に印加される管電圧を検出して管電圧制御回路11への管電圧検出信号Vxを送出するものであり、上記整流回路4の出力側にてX線管6の入力側に接続されている。上記コンバータ制御回路10は、目標出力電圧信号Vr1と、コンバータ回路の出力電圧信号Vcと、上記電流検出器8で検出した電流値(iu,iv)とを入力して上記コンバータ回路1の出力電圧を目標の値とし、かつ電流(iu,iv)を正弦波状にすると共に上記交流電源電圧との位相遅れがなくなるように上記コンバータ回路1へ制御信号S1を送出するものである。そして、上記管電圧制御回路11は、目標管電圧信号Vr2と上記管電圧検出器7で検出した管電圧検出信号Vxとを入力してそれらを比較演算し、それらの差がゼロとなるように上記インバータ回路2へ制御信号S2を送出するものである。
【0016】
次に、本発明の要部であるコンバータ制御回路10の構成について図2を用いて説明する。本実施例におけるコンバータ制御回路10は、A/D変換器を内蔵したマイクロコントローラを用いてディジタルフィードバック制御方式としている。このソフトウエアによるコンバータ制御回路10には、第一の比較手段26と、比例調節手段28と、積分調節手段29等から構成される出力電圧調節器23と、第二の比較手段27と、比例調節手段30a等から構成される入力電流調節器24と、パルス分配器25と、ゲイン切換手段14とが備えられている。本発明においては、このゲイン切換手段14によって、上記コンバータ制御回路10は、出力電圧調節器23及び入力電流調節器24の制御ゲインを、コンバータ回路の出力電圧の設定時(X線曝射準備時)及びX線曝射終了時とX線曝射時とで切り換え、双方に最適な制御ゲインをX線曝射条件に応じて自由に選択できる機能を有するものである。
【0017】
次に、上記のような構成を有するインバータ式X線高電圧装置のコンバータ制御回路の具体的動作について詳細に説明する。先ず、X線曝射を行なおうとする際、X線制御回路12によって管電圧、管電流、曝射時間等の曝射条件が設定される。その後、X線制御回路12よりコンバータ制御回路10へフィードバック制御開始の指令が出されると、上記設定条件に応じた目標のコンバータ出力電圧信号Vr1がコンバータ制御回路10内の出力電圧調節器23の第一の比較手段26に入力される。また、これと同時にコンバータ回路の実際の出力電圧を検出したコンバータ出力電圧信号Vcが第一の比較手段26に入力され、上記目標コンバータ出力電圧信号Vr1との偏差が計算される。そして、上記第一の比較手段26からの演算結果は比例調節手段28に入力され、この比例調節手段28は、上記比較手段26で生成された偏差ecleに比例ゲインKpを乗算し、これに前記偏差ecleの積分値に積分ゲインKiを乗算した値を加えて電流指令irを得る。続いて、コンバータ回路制御系の内側には力率を向上させるため交流電源の相電圧と相電流を一致させ、かつ前記相電流を正弦波に制御する入力電流調整器24が設けられているので、上記出力電圧調整器23内から送出される上記電流指令irは入力電流調節器24に入力され、これにsin(ωt)とsin(ωt-2π/3)を乗算してu相とv相のそれぞれの電流指令iur,ivrを求め、電流検出器8a,8bで検出した相電流iu及びivが上記電流指令iur,ivrに一致するように、比較手段27a,27bで偏差を求め(iue,ive)、これに比例調節器30のゲインKcを乗算して電流の制御量を求める。このようにして求めた電流の制御量はパルス分配器25に送出され、その処理結果に応じたコンバータ制御信号S1を出力する。このコンバータ制御信号S1は、目標のコンバータ回路の出力電圧信号Vr1に応じてコンバータ回路1の各スイッチIGBT16〜21のスイッチングのタイミングを決定するものである。なお、本実施例の場合、三相ある入力電流の内二相(U相とV相)のみ検出し、これをフィードバック制御しているが、三相の内二相の動きが決まれば残りの一つは必然的に決まることから、そのようにしている。以上の結果、上記コンバータ回路1は、商用交流電源を受電してこれを整流する際、その出力電圧を目標の出力電圧と一致させることができ、また入力電流を正弦波状とし、かつその位相遅れがないようにして力率を高くすることが可能となる。
【0018】
続いて、このようなコンバータフィードバック制御装置10において、ゲイン切換手段14で制御ゲインを切り換える動作について説明する。X線装置全体の動きを制御するX線制御回路12は、上記したように目標出力電圧信号Vr1だけでなく、高電圧装置のステータス信号をゲイン切換手段14に送出する。上記ステータス信号には、管電圧、管電流、曝射時間等のX線曝射条件、並びに高電圧装置が「コンバータ回路非動作中」、「コンバータ回路の出力電圧設定中(X線曝射準備中)」、「X線曝射中(インバータ動作中)」、「X線曝射終了」等々といったX線高電圧装置におけるX線曝射の一連のプロセスにおける動作状況が含まれる。そして、上記ゲイン切換手段14は、上記ステータス信号に応じて最適な制御ゲインを求め、出力電圧調節器23内にある比例ゲインKp及び積分ゲインKi、さらに入力電流調節器24内にある比例ゲインKcを設定する。医療用X線高電圧装置の場合、X線負荷範囲が非常に広く、出力電力で数百ワットから100kWまで三桁もの大きな変化があることになり、X線曝射条件に応じた各ゲイン調整が必要となるが、本装置ではソフトウエアによるディジタル制御を用いているため、上記負荷条件に合わせた制御ゲインのテーブルを用意する等の手段により比較的簡単に対応することができる。以上に述べたような方法により、X線曝射条件やX線高電圧装置の動作状況に応じてコンバータ制御回路の制御ゲインを切り換えることが可能となる。
【0019】
上記のような制御ゲインを上記ステータス信号に応じて切り換える手段を有すれば、上記のそれぞれのステータスで最適な制御ゲインでコンバータ回路を制御することができる。すなわち、上記無負荷状態では僅かな制御量の変動に対しても出力電圧Vcが敏感に変化するので、特に出力電圧Vcを立ち上げる際にはスイッチング素子16〜21に大きな負担のかかるオーバーシュートや突入電流を抑制するため、上記制御ゲインは比較的低めに設定すれば、従来方式のように目標となる値Vr0を徐々に高めて上記最終目標値Vrに近づける手法は必要としなくなる。一方、そのような低い制御ゲインを維持したままインバータ回路2の動作を開始し、X線曝射を始めると、応答速度が遅いためX線負荷(出力電力=管電圧×管電流)が大きいほどコンバータ回路の出力電圧は落ち込み、その後もしばらくは前記出力電圧を目標値と一致させるのに時間がかかるだけでなく、さらに悪い場合には十分なX線出力が得られなくなるほどまで前記コンバータ回路の出力電圧Vcが落ち込んでしまう場合もある。このような動作のコンバータ回路の出力電圧、管電圧波形を図5に示す。この落ち込みを無くするためにコンバータ制御回路の制御ゲインを高く設定すると、X線曝射終了時のインバータ回路3の動作停止時に、コンバータ回路2は無負荷状態となって、図3に示すように、コンバータ回路の出力電圧はオーバーシュートを起こし、急激に上昇してコンバータ回路のスイッチング素子IGBTの定格電圧を超えて、前記スイッチング素子を破壊に至らしせしめる恐れが生じる。
【0020】
このため、本発明では、X線曝射時においては非曝射時と比較して制御ゲイン(特に積分ゲインKi)を大きく設定することにより、負荷が重い場合でもVcの落ち込みを小さく抑えることが可能になる。さらに、X線曝射終了時においては、再び無負荷状態となるので上記制御ゲインを小さくすること(出力電圧Vcの立ち上げ時と同じ程度)により、曝射終了後のVcのオーバーシュートを防止することが可能となる。このように、ステータスに応じて制御ゲインを最適に設定すれば、図4に示すように、コンバータ回路の出力電圧は、X線曝射前のX線曝射準備時とX線曝射終了時のオーバーシュートの抑制とX線曝射時の落ち込みが抑制され、この電圧をインバータ回路3の直流電源電圧として該インバータ回路3を制御することによって、目標管電圧に一致し、変動のない管電圧波形を得ることができる。つまり、従来は、コンバータ制御回路の制御ゲインを、コンバータ回路の無負荷時における出力電圧設定時(X線曝射準備時とX線曝射終了時)と負荷時のX線曝射状態という性質の異なった二つの状態に対して同一の値としていたが、本発明では前記ステータスに対応した値に切り換えることにより、コンバータ回路及びこのコンバータ回路の出力電圧を直流電源とするインバータ回路を安定に動作するようにしたものである。
【0021】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、装置の小型・軽量化や力率改善及び電源高調波の低減に対して大きな効果をもたらすPWM制御昇圧型コンバータを適用したX線高電圧装置に対して従来方式を適用した場合には、特に曝射終了時において十分な安全性を確保できないという課題があったが、この点が解決されることになる。
【0022】
なお、 コンバータフィードバック制御装置10内において出力電圧調節器23には比例調節手段と積分調節手段とを組み合わせたもの、また入力電流調節器24では比例調節手段のみの構成として示したが、本発明はこれに限定するものではなく、上記の調節手段の内いずれかを省いたもの、あるいは更なる調節手段を組み合わせたものとしても良く、また、各調節手段のゲインの大きさはX線の負荷条件の大きさに応じて任意の最適な値に設定しても良い。
また、本実施例は、三相電源を用いる場合としたが、これは単相電源を入力する装置にも勿論適用可能である。その場合、電流検出器は一相のみを検出して制御すれば良く、図1に示した制御系よりも簡単に構成できる。
【0023】
さらに、以上の実施例はディジタル制御を適用したものであるが、アナログ制御を用いる場合においても、例えば積分ゲインの切り換えを行なおうとすれば、オペアンプを用いた積分器のコンデンサをある時間において切り替える等の手段を設ければ実施可能である。
なお、 第1図においては、インバータ回路2の出力側に共振用のコンデンサ22を接続したものとして示したが、このコンデンサ22は、高電圧変圧器3の漏れインダクタンスの影響で高周波の電流が上記高電圧変圧器3の巻線に十分に流れないことを改善する目的で挿入してあり、上記の改善の必要のない場合には挿入しなくてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、装置の小型・軽量化や力率改善及び電源高調波の低減に対して大きな効果をもたらすPWM制御昇圧型コンバータを適用したX線高電圧装置において、前記コンバータ回路の制御ゲインをX線曝射動作の各プロセス毎に及びX線曝射条件に応じて、任意の最適な値に設定することによって、該コンバータ回路の出力電圧をオーバーシュートさせることのない、安全で信頼性が高く、安定な管電圧波形が得られるインバータ式X線高電圧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すインバータ式X線高電圧装置の回路構成図である。
【図2】本発明の要部であるコンバータ制御回路である。
【図3】従来方式によるコンバータ回路の出力電圧及び管電圧の波形図である。
【図4】本発明を適用した場合のコンバータ回路の出力電圧及び管電圧の波形図である。
【図5】コンバータ制御回路の制御ゲインを切り換えることなく動作させた場合におけるコンバータ回路の出力電圧及び管電圧の波形図である。
【符号の説明】
1 コンバータ回路
2 インバータ回路
3 高電圧変圧器
4 高電圧整流器
5 高電圧ケーブル
6 X線管
7 管電圧検出器
8a,8b 電流検出器
9 平滑コンデンサ
10 コンバータ制御回路
11 管電圧制御回路
12 X線制御回路
13 制御部
14 制御ゲイン切換手段
15a,15b,15c 交流リアクトル
16〜21 絶縁ゲート形バイポーラトランジスタIGBT
22 共振用コンデンサ
23 出力電圧調節器
24 入力電流調節器
25 パルス分配器
26 第一の比較手段
27 第二の比較手段
28 比例調節手段
29 積分調節手段
30 比例調節手段

Claims (1)

  1. 交流電源を受電しこれを整流するパルス幅変調制御方式の昇圧型のコンバータ回路と、このコンバータ回路の直流出力電圧を高周波の交流に変換するインバータ回路と、このインバータ回路の出力電圧を昇圧する高電圧変圧器と、この高電圧変圧器の出力を整流する高電圧整流回路と、この高電圧整流回路の出力電圧(管電圧)を印加してX線を放射するX線管と、前記コンバータ回路の直流出力電圧の目標値を入力しこれと前記コンバータ回路の実際の直流出力電圧が一致するように前記コンバータ回路を制御するコンバータ制御回路とを備えてなるインバータ式X線高電圧装置において、上記コンバータ制御回路に、一連のX線曝射動作の各期間及びX線の負荷条件に応じて前記コンバータ回路の直流出力電圧の目標値と前記コンバータ回路の実際の直流出力電圧が一致するように制御するための制御ゲインを切り換える切り換え手段とを備え、前記コンバータ制御回路は前記切り換え手段により前記制御ゲインを一連のX線曝射動作の各期間及びX線の負荷条件に応じた値に切り換えて前記コンバータ回路の出力電圧を制御し、
    前記切り換え手段による切り換えによる前記コンバータ回路の出力電圧の制御により、前記コンバータ回路の出力電圧がオーバーシュートを起こしてしまうことを防止する手段を備え、
    前記オーバーシュートは、X線曝射終了時に起きるものであるインバータ式X線高電圧装置において、
    前記切り替え手段は、X線曝射終了時に前記制御ゲインを小さくすることを特徴とするインバータ式X線高電圧装置。
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