JP2004260942A - 系統連系インバータ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータ部に最適な直流リンク電圧を入力させることにより、効率よくかつTHDを大きくすることなく、受け取った直流電力を所望の周波数・電圧の交流電力に逆変換することのできる系統連系インバータ装置を提供する。
【解決手段】直流電力を所望の周波数の交流電力に逆変換して出力するインバータ部22と、インバータ部22の出力に接続された出力フィルタ回路23と、制御部24とを備え、制御部24は、電源系統の交流電圧、出力交流電流およびフィルタ回路の回路定数に基づいて、インバータ部22に入力する直流リンク電圧を最適値に調整する演算装置30を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】直流電力を所望の周波数の交流電力に逆変換して出力するインバータ部22と、インバータ部22の出力に接続された出力フィルタ回路23と、制御部24とを備え、制御部24は、電源系統の交流電圧、出力交流電流およびフィルタ回路の回路定数に基づいて、インバータ部22に入力する直流リンク電圧を最適値に調整する演算装置30を備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、系統連系インバータ装置に係り、特に、直流電力を最大の効率で交流電力に逆変換して電源系統に送出することのできる系統連系インバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、太陽電池や燃料電池などから提供される比較的低電圧の直流電力をDC/DCコンバータ部で所望の高電圧(直流リンク電圧)の直流電力に変換した後に、その直流電力をインバータ部で所望の電圧の交流電力に逆変換することにより、商用の電源系統に、蓄えた直流電力を交流電力として供給可能にする系統連系インバータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、発電電源としてガスタービン装置等の交流発電機を用いる場合には、発電した交流電力を整流して形成した直流電力を、昇圧して所望の高電圧の直流電力に変換した後に、系統連系インバータ装置により交流電力に逆変換して電源系統に送出している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−199739号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の系統連系インバータ装置にあっては、受け取った電力を、損失少なく安定かつ適正な電圧の交流電力にインバータ部において変換し供給するためには、そのインバータ部を効率よく駆動させる必要がある。
【0005】
このインバータ部の効率は、スイッチング損失が最も影響することから、インバータ部に入力する直流リンク電圧を、後述の支障をきたさない範囲で小さくすることが効率の向上には効果的である。なお、インバータ装置の効率は、次式(2)により求めることができる。
【数2】
【0006】
しかしながら、このインバータ部の出力電流は正弦波であることから、コンバータ部からの入力電圧が最適な直流リンク電圧よりも少し低下しただけでも電流波形のピークの箇所で波形が歪んでしまい、THD(Total Harmonic Distortion:高調波の総合歪波率)が大幅に増大して許容値を超えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、インバータ部に最適な直流リンク電圧を入力させることにより、効率よくかつTHDを大きくすることなく、受け取った直流電力を所望の周波数・電圧の交流電力に逆変換することのできる系統連系インバータ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の系統連系インバータ装置は、直流電力を所望の周波数の交流電力に逆変換して出力するインバータ部と、前記インバータ部の出力に接続された出力フィルタ回路と、制御部とを備え、前記制御部は、電源系統の交流電圧、出力交流電流および前記フィルタ回路の回路定数に基づいて、前記インバータ部に入力する直流リンク電圧を最適値に調整する演算装置を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
この発明によれば、電源系統の交流電圧、出力交流電流および前記フィルタ回路の回路定数に基づいて、インバータ部に入力する最適な直流リンク電圧を取得することができる。したがって、インバータ部の後段のフィルタ特性を考慮しつつ、インバータ部の出力変動に基づいてそのインバータ部に入力する直流リンク電圧を最適値に直接制御することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1〜図5は本発明に係る系統連系インバータ装置の一実施形態を示す図である。
【0011】
図1において、電力供給システム10は、太陽電池や燃料電池などの電源11から供給される直流電力、或いはガスタービン発電機の交流出力を整流して直流とした直流電源11から供給される直流電力を系統連系インバータ装置12で所望の電圧の交流電力に変換・調整することにより、商用の交流電力により動作するモータなどの負荷(電源系統)13に動作用電力を供給している。
【0012】
系統連系インバータ装置12は、電源11から受け取る低電圧の直流電力をその直流電圧を昇圧して出力するコンバータ部(DC/DCコンバータ)21と、このコンバータ部21により昇圧調整された直流電力をPWM信号(駆動信号)に応じて任意の周波数の交流に逆変換して出力するインバータ部(パワーモジュール)22と、このインバータ部22により変換調整された交流電力から高調波成分を除去して出力し電源系統13に受け渡すLCフィルタ回路(出力フィルタ回路)23と、不図示の操作部から入力された指令に従ってコンバータ部21を制御するとともにインバータ部22の運転を制御するコントローラ(制御部)24とを備えている。電源11は、上述したように太陽電池や燃料電池等の直流電源、またはガスタービン装置等の交流発電機出力を整流して形成された直流電源である。
【0013】
コントローラ24は、メモリ内に格納された制御プログラムに従って装置各部を統括制御することにより、系統連系インバータ装置として機能させる、いわゆる制御用CPUにより構成されている。そして、コントローラ24内に演算装置30を備え、最適直流リンク電圧を演算により算出し、この電圧をインバータ部22に供給するように、コンバータ部(DC/DCコンバータ)21を制御する機能を備えている。このように、コンバータ部21において最適値に昇圧させた直流リンク電圧により、インバータ部22において直流電力を交流電力に逆変換して、所望の周波数および電圧に調整した交流電力を商用電源系統13に供給する。
【0014】
ここで、コントローラ24は、E2PROM等の書換え可能なメモリを備え、演算に必要なパラメータを記憶する。また、インバータ装置の出力電流、系統電圧を計測し、記憶装置に記憶する。そして、電流や電圧等の計測値及び必要なパラメータを読み出して演算装置30で演算を行い、演算結果の最適値の直流リンク電圧を指令値としてコンバータ21の制御部に受け渡す。
【0015】
そして、この演算装置30は、インバータ部22からの出力波形(電流・電圧波形)に歪みを生じさせることなく、そのインバータ部22の運転効率を上げるために、インバータ部22の出力電流やLCフィルタ回路23の定数を含めて、インバータ部22に入力する最適な直流リンク電圧を算出し、電源11からの直流電力の電圧をその直流リンク電圧に昇圧させるようにコンバータ部21を制御する。
【0016】
具体的には、系統連系インバータ装置12は、インバータ部22からの出力電流Iinv(Iu、Iv、Iw)をLCフィルタ回路23の前段でU相、V相、W相の各相毎に測定する電流検知器25と、インバータ部22から出力されて電源系統13に受け渡す供給電圧Vsys(Vu、Vv、Vw)をLCフィルタ回路23の後段でU相、V相、W相の各相毎に測定する電圧検知器26とを備えている。
【0017】
演算装置30は、電源系統13の交流電圧Vsysと、LCフィルタ回路23の回路定数(抵抗RやインピーダンスL)と、電流検知器25の測定結果Iinvとをパラメータにして、後に詳細に説明する計算式(3)を用いて、インバータ部22に入力する最適な直流リンク電圧VDC_Linkを算出する。
【0018】
そして、コントローラ24は、太陽電池等の一次電源11の低電圧の供給電力をその直流リンク電圧VDC_Linkに昇圧させるように運転制御信号VCMDを生成してコンバータ部21に入力するとともに、その昇圧後の直流電力を所望の周波数に変換するように運転制御信号(PWM(Pulse Width Modulation)信号)を生成してインバータ部22に入力することにより、電源系統に同期した交流電力を電源系統13に供給(送出)する。
【0019】
ここで、このような系統連系インバータ装置12においては、図2に示すように、直流リンク電圧を下げる場合には一般に効率が向上するが、直流リンク電圧が実際の運転系統における最適な直流リンク電圧よりも低下した場合に電流波形のピークの箇所で波形が歪んでTHD(歪み波率)が大幅に増大して効率が低下してしまう。
【0020】
即ち、図2に示すように、直流リンク電圧が最適値から高めにずれるほどインバータ部の効率は低下する。例えば、単相AC200V(実測AC200.3V)の外部装置に電力供給するのに最適な直流リンク電圧がDC291Vである場合には、このDC291Vを下回るとTHDが途端に増大する。一方で、DC291Vに余裕を加えて直流リンク電圧を設定するほど徐々に効率が低下することが判る。
【0021】
従来では、最適な直流リンク電圧の場合にはTHDは1.3%程度に抑えることができるのにも拘わらず、規格ではTHDを5%以下に抑えればよいことから、安定運転を図るために、例えば、単相AC200Vに系統連系する場合でも余裕を見て、直流リンク電圧をDC350〜360Vに設定しインバータ部に入力している。すなわち、従来の系統連系インバータ装置には、電力の供給効率を向上させる余地がある。
【0022】
このことから、コントローラ24は、実際の運転系統における最適な直流リンク電圧VDC_Linkを正確に計算して、コンバータ部21の出力電圧がその直流リンク電圧VDC_Linkに対して+1〜2V高くなるように運転制御信号VCMDを生成・入力して運転を制御する。
【0023】
図3および図4に示すように、インバータ部22に実際に入力する直流リンク電圧VDCが最適な直流リンク電圧VDC_Linkである場合には、(3)式に示すようになる。
【数3】
【0024】
すなわち、インバータ部22の各出力相の電圧Vinvは、電源系統13への各出力相毎の供給電圧Vsys(Vu、Vv、Vw)と、LCフィルタ回路23の抵抗成分RおよびインピーダンスLと、出力電流Iinvと、電力スイッチング素子(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等)のCE間の飽和電圧降下値Vsatを考慮して、インバータ部22に入力する最適な直流リンク電圧VDC_Linkを算出することができる。
【0025】
なお、実際の演算においては、図4に示すように、LCフィルタ回路23のリアクタンス成分XL(=2πfL)と電流Iinvの積による発生電圧は系統電圧と比べて微小で無視することができることから、次式(4)を採用することができる。
【数4】
【0026】
また、この計算式(4)は単相または三相用の系統連系のいずれのインバータ装置にも適用することができることから、単相用と三相用として次のように使い分ける。
【0027】
単相インバータ部における最適な直流リンク電圧VDC_Linkは、単相の電源系統電圧Vuwを用いて、次式(5)のように示すことができる。
【数5】
【0028】
例えば、単相AC200V系統の連系インバータ装置の例で各パラメータを実測すると、Vuw=200.3V、Iinv=11.08A、L=0.1Ω、Vsat=2.5Vとなる。その時の最適直流リンク電圧VDC_Linkは次式(6)に示すように算出されて、そのインバータ部には291.4Vの直流リンク電圧に昇圧した直流電力を入力することで、THDを増大させない範囲で最大効率になる。
【数6】
【0029】
また、三相インバータ部における最適な直流リンク電圧VDC_Linkは、三相の電源系統における系統線間電圧Vuvを用いて、次式(7)のように示すことができる。
【数7】
【0030】
例えば、三相AC200V系統の連系インバータ装置で各パラメータを実測すると、Vuw=200.8V、Iinv=28.8A、R=0.076Ω、Vsat=2.8Vとなる。その時の最適直流リンク電圧VDC_Linkは次式(8)に示すように算出されて、そのインバータ部の各相には339.7Vの直流リンク電圧に昇圧した直流電力を入力することで、THDを増大させない範囲で最大効率になる。
【数8】
【0031】
次に、図5を参照して、直流リンク電圧の制御について説明する。コントローラ24は、フィードフォワード制御と、フィードバック制御とを併用して、DC/DCコンバータ21の直流出力電圧VDCを、THDを増大させない範囲での最大効率が得られる直流リンク電圧より1〜2V高めになるように制御する。ここで、1〜2V高めとするのは、図2に示すように、上記最大効率点よりも少し電圧が低下するとTHDが著しく増大することを回避するためである。
【0032】
即ち、このコントローラ24は、インバータ部22に入力するために常時算出して変更する目標の最適直流リンク電圧VDC_Linkに基づいて電源11からの直流電力を昇圧するように運転制御信号VCMDを生成してコンバータ部21に入力するフィードフォワード制御を行う。これに加えて、そのコンバータ部21が昇圧・出力する直流電圧の実測結果VDCと最適直流リンク電圧VDC_Linkとの誤差εに基づいてPIDコントローラ34が修正信号Vεを生成することにより、コンバータ部21の出力が目標値である最適直流リンク電圧となるフィードバック制御を行う。すなわち、PIDコントローラ34は、インバータ部22に入力する直流リンク電圧を最適値VDC_Linkに自動調整するフィードバックコントローラを構成している。
【0033】
これにより、コントローラ24は、常時算出する目標の最適直流リンク電圧VDC_Linkによるフィードフォワード制御に加えて、常時実測するコンバータ部21の出力電圧VDCに応じてそのコンバータ部21に入力する運転制御信号VCMDを修正するフィードバック制御を同時に行うハイブリッド制御を実行しているので、コンバータ部21の出力電圧VDCを常に最適な直流リンク電圧VDC_Link+1〜2Vに追従させることができる。これにより、系統電圧やインバータ部22の出力電流の変動にダイナミックに反応して、THD(歪み波率)が劣化しない範囲の最適点に直流リンク電圧を維持しつつ、インバータ部22を効率よく動作させることができる。
【0034】
なお、上述の実施形態では、コンバータ部21はDC/DCコンバータを用いる場合について説明したが、昇降圧チョッパ回路を用いる場合にも適用することができることは勿論である。
【0035】
尚、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、電源系統の交流電圧、出力交流電流およびフィルタ回路の回路定数に基づいて、インバータ部に入力する最適な直流リンク電圧を取得することができるので、インバータ装置の出力変動に基づいてそのインバータ部に入力する直流リンク電圧を常に最適値に制御することができる。したがって、常に最適な直流リンク電圧をインバータ部に入力することができ、効率よく調整した交流電力を安定して電源系統に送出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る系統連系インバータ装置の一実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す回路構成図である。
【図2】直流リンク電圧とインバータ効率の関係を示すグラフである。
【図3】インバータ部および出力フィルタ回路の要部の等価回路図である。
【図4】インバータ部の出力電圧Vinvと系統電圧Vsysとの関係を説明する概念図である。
【図5】コンバータ部の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 電力供給動作システム
11 電源
12 系統連系インバータ装置
13 負荷(電源系統)
21 コンバータ部
22 インバータ部
23 LCフィルタ回路
24 コントローラ
25 電流検知器
26 電圧検知器
30 演算装置
34 PIDコントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、系統連系インバータ装置に係り、特に、直流電力を最大の効率で交流電力に逆変換して電源系統に送出することのできる系統連系インバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、太陽電池や燃料電池などから提供される比較的低電圧の直流電力をDC/DCコンバータ部で所望の高電圧(直流リンク電圧)の直流電力に変換した後に、その直流電力をインバータ部で所望の電圧の交流電力に逆変換することにより、商用の電源系統に、蓄えた直流電力を交流電力として供給可能にする系統連系インバータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、発電電源としてガスタービン装置等の交流発電機を用いる場合には、発電した交流電力を整流して形成した直流電力を、昇圧して所望の高電圧の直流電力に変換した後に、系統連系インバータ装置により交流電力に逆変換して電源系統に送出している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−199739号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の系統連系インバータ装置にあっては、受け取った電力を、損失少なく安定かつ適正な電圧の交流電力にインバータ部において変換し供給するためには、そのインバータ部を効率よく駆動させる必要がある。
【0005】
このインバータ部の効率は、スイッチング損失が最も影響することから、インバータ部に入力する直流リンク電圧を、後述の支障をきたさない範囲で小さくすることが効率の向上には効果的である。なお、インバータ装置の効率は、次式(2)により求めることができる。
【数2】
【0006】
しかしながら、このインバータ部の出力電流は正弦波であることから、コンバータ部からの入力電圧が最適な直流リンク電圧よりも少し低下しただけでも電流波形のピークの箇所で波形が歪んでしまい、THD(Total Harmonic Distortion:高調波の総合歪波率)が大幅に増大して許容値を超えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、インバータ部に最適な直流リンク電圧を入力させることにより、効率よくかつTHDを大きくすることなく、受け取った直流電力を所望の周波数・電圧の交流電力に逆変換することのできる系統連系インバータ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の系統連系インバータ装置は、直流電力を所望の周波数の交流電力に逆変換して出力するインバータ部と、前記インバータ部の出力に接続された出力フィルタ回路と、制御部とを備え、前記制御部は、電源系統の交流電圧、出力交流電流および前記フィルタ回路の回路定数に基づいて、前記インバータ部に入力する直流リンク電圧を最適値に調整する演算装置を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
この発明によれば、電源系統の交流電圧、出力交流電流および前記フィルタ回路の回路定数に基づいて、インバータ部に入力する最適な直流リンク電圧を取得することができる。したがって、インバータ部の後段のフィルタ特性を考慮しつつ、インバータ部の出力変動に基づいてそのインバータ部に入力する直流リンク電圧を最適値に直接制御することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1〜図5は本発明に係る系統連系インバータ装置の一実施形態を示す図である。
【0011】
図1において、電力供給システム10は、太陽電池や燃料電池などの電源11から供給される直流電力、或いはガスタービン発電機の交流出力を整流して直流とした直流電源11から供給される直流電力を系統連系インバータ装置12で所望の電圧の交流電力に変換・調整することにより、商用の交流電力により動作するモータなどの負荷(電源系統)13に動作用電力を供給している。
【0012】
系統連系インバータ装置12は、電源11から受け取る低電圧の直流電力をその直流電圧を昇圧して出力するコンバータ部(DC/DCコンバータ)21と、このコンバータ部21により昇圧調整された直流電力をPWM信号(駆動信号)に応じて任意の周波数の交流に逆変換して出力するインバータ部(パワーモジュール)22と、このインバータ部22により変換調整された交流電力から高調波成分を除去して出力し電源系統13に受け渡すLCフィルタ回路(出力フィルタ回路)23と、不図示の操作部から入力された指令に従ってコンバータ部21を制御するとともにインバータ部22の運転を制御するコントローラ(制御部)24とを備えている。電源11は、上述したように太陽電池や燃料電池等の直流電源、またはガスタービン装置等の交流発電機出力を整流して形成された直流電源である。
【0013】
コントローラ24は、メモリ内に格納された制御プログラムに従って装置各部を統括制御することにより、系統連系インバータ装置として機能させる、いわゆる制御用CPUにより構成されている。そして、コントローラ24内に演算装置30を備え、最適直流リンク電圧を演算により算出し、この電圧をインバータ部22に供給するように、コンバータ部(DC/DCコンバータ)21を制御する機能を備えている。このように、コンバータ部21において最適値に昇圧させた直流リンク電圧により、インバータ部22において直流電力を交流電力に逆変換して、所望の周波数および電圧に調整した交流電力を商用電源系統13に供給する。
【0014】
ここで、コントローラ24は、E2PROM等の書換え可能なメモリを備え、演算に必要なパラメータを記憶する。また、インバータ装置の出力電流、系統電圧を計測し、記憶装置に記憶する。そして、電流や電圧等の計測値及び必要なパラメータを読み出して演算装置30で演算を行い、演算結果の最適値の直流リンク電圧を指令値としてコンバータ21の制御部に受け渡す。
【0015】
そして、この演算装置30は、インバータ部22からの出力波形(電流・電圧波形)に歪みを生じさせることなく、そのインバータ部22の運転効率を上げるために、インバータ部22の出力電流やLCフィルタ回路23の定数を含めて、インバータ部22に入力する最適な直流リンク電圧を算出し、電源11からの直流電力の電圧をその直流リンク電圧に昇圧させるようにコンバータ部21を制御する。
【0016】
具体的には、系統連系インバータ装置12は、インバータ部22からの出力電流Iinv(Iu、Iv、Iw)をLCフィルタ回路23の前段でU相、V相、W相の各相毎に測定する電流検知器25と、インバータ部22から出力されて電源系統13に受け渡す供給電圧Vsys(Vu、Vv、Vw)をLCフィルタ回路23の後段でU相、V相、W相の各相毎に測定する電圧検知器26とを備えている。
【0017】
演算装置30は、電源系統13の交流電圧Vsysと、LCフィルタ回路23の回路定数(抵抗RやインピーダンスL)と、電流検知器25の測定結果Iinvとをパラメータにして、後に詳細に説明する計算式(3)を用いて、インバータ部22に入力する最適な直流リンク電圧VDC_Linkを算出する。
【0018】
そして、コントローラ24は、太陽電池等の一次電源11の低電圧の供給電力をその直流リンク電圧VDC_Linkに昇圧させるように運転制御信号VCMDを生成してコンバータ部21に入力するとともに、その昇圧後の直流電力を所望の周波数に変換するように運転制御信号(PWM(Pulse Width Modulation)信号)を生成してインバータ部22に入力することにより、電源系統に同期した交流電力を電源系統13に供給(送出)する。
【0019】
ここで、このような系統連系インバータ装置12においては、図2に示すように、直流リンク電圧を下げる場合には一般に効率が向上するが、直流リンク電圧が実際の運転系統における最適な直流リンク電圧よりも低下した場合に電流波形のピークの箇所で波形が歪んでTHD(歪み波率)が大幅に増大して効率が低下してしまう。
【0020】
即ち、図2に示すように、直流リンク電圧が最適値から高めにずれるほどインバータ部の効率は低下する。例えば、単相AC200V(実測AC200.3V)の外部装置に電力供給するのに最適な直流リンク電圧がDC291Vである場合には、このDC291Vを下回るとTHDが途端に増大する。一方で、DC291Vに余裕を加えて直流リンク電圧を設定するほど徐々に効率が低下することが判る。
【0021】
従来では、最適な直流リンク電圧の場合にはTHDは1.3%程度に抑えることができるのにも拘わらず、規格ではTHDを5%以下に抑えればよいことから、安定運転を図るために、例えば、単相AC200Vに系統連系する場合でも余裕を見て、直流リンク電圧をDC350〜360Vに設定しインバータ部に入力している。すなわち、従来の系統連系インバータ装置には、電力の供給効率を向上させる余地がある。
【0022】
このことから、コントローラ24は、実際の運転系統における最適な直流リンク電圧VDC_Linkを正確に計算して、コンバータ部21の出力電圧がその直流リンク電圧VDC_Linkに対して+1〜2V高くなるように運転制御信号VCMDを生成・入力して運転を制御する。
【0023】
図3および図4に示すように、インバータ部22に実際に入力する直流リンク電圧VDCが最適な直流リンク電圧VDC_Linkである場合には、(3)式に示すようになる。
【数3】
【0024】
すなわち、インバータ部22の各出力相の電圧Vinvは、電源系統13への各出力相毎の供給電圧Vsys(Vu、Vv、Vw)と、LCフィルタ回路23の抵抗成分RおよびインピーダンスLと、出力電流Iinvと、電力スイッチング素子(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等)のCE間の飽和電圧降下値Vsatを考慮して、インバータ部22に入力する最適な直流リンク電圧VDC_Linkを算出することができる。
【0025】
なお、実際の演算においては、図4に示すように、LCフィルタ回路23のリアクタンス成分XL(=2πfL)と電流Iinvの積による発生電圧は系統電圧と比べて微小で無視することができることから、次式(4)を採用することができる。
【数4】
【0026】
また、この計算式(4)は単相または三相用の系統連系のいずれのインバータ装置にも適用することができることから、単相用と三相用として次のように使い分ける。
【0027】
単相インバータ部における最適な直流リンク電圧VDC_Linkは、単相の電源系統電圧Vuwを用いて、次式(5)のように示すことができる。
【数5】
【0028】
例えば、単相AC200V系統の連系インバータ装置の例で各パラメータを実測すると、Vuw=200.3V、Iinv=11.08A、L=0.1Ω、Vsat=2.5Vとなる。その時の最適直流リンク電圧VDC_Linkは次式(6)に示すように算出されて、そのインバータ部には291.4Vの直流リンク電圧に昇圧した直流電力を入力することで、THDを増大させない範囲で最大効率になる。
【数6】
【0029】
また、三相インバータ部における最適な直流リンク電圧VDC_Linkは、三相の電源系統における系統線間電圧Vuvを用いて、次式(7)のように示すことができる。
【数7】
【0030】
例えば、三相AC200V系統の連系インバータ装置で各パラメータを実測すると、Vuw=200.8V、Iinv=28.8A、R=0.076Ω、Vsat=2.8Vとなる。その時の最適直流リンク電圧VDC_Linkは次式(8)に示すように算出されて、そのインバータ部の各相には339.7Vの直流リンク電圧に昇圧した直流電力を入力することで、THDを増大させない範囲で最大効率になる。
【数8】
【0031】
次に、図5を参照して、直流リンク電圧の制御について説明する。コントローラ24は、フィードフォワード制御と、フィードバック制御とを併用して、DC/DCコンバータ21の直流出力電圧VDCを、THDを増大させない範囲での最大効率が得られる直流リンク電圧より1〜2V高めになるように制御する。ここで、1〜2V高めとするのは、図2に示すように、上記最大効率点よりも少し電圧が低下するとTHDが著しく増大することを回避するためである。
【0032】
即ち、このコントローラ24は、インバータ部22に入力するために常時算出して変更する目標の最適直流リンク電圧VDC_Linkに基づいて電源11からの直流電力を昇圧するように運転制御信号VCMDを生成してコンバータ部21に入力するフィードフォワード制御を行う。これに加えて、そのコンバータ部21が昇圧・出力する直流電圧の実測結果VDCと最適直流リンク電圧VDC_Linkとの誤差εに基づいてPIDコントローラ34が修正信号Vεを生成することにより、コンバータ部21の出力が目標値である最適直流リンク電圧となるフィードバック制御を行う。すなわち、PIDコントローラ34は、インバータ部22に入力する直流リンク電圧を最適値VDC_Linkに自動調整するフィードバックコントローラを構成している。
【0033】
これにより、コントローラ24は、常時算出する目標の最適直流リンク電圧VDC_Linkによるフィードフォワード制御に加えて、常時実測するコンバータ部21の出力電圧VDCに応じてそのコンバータ部21に入力する運転制御信号VCMDを修正するフィードバック制御を同時に行うハイブリッド制御を実行しているので、コンバータ部21の出力電圧VDCを常に最適な直流リンク電圧VDC_Link+1〜2Vに追従させることができる。これにより、系統電圧やインバータ部22の出力電流の変動にダイナミックに反応して、THD(歪み波率)が劣化しない範囲の最適点に直流リンク電圧を維持しつつ、インバータ部22を効率よく動作させることができる。
【0034】
なお、上述の実施形態では、コンバータ部21はDC/DCコンバータを用いる場合について説明したが、昇降圧チョッパ回路を用いる場合にも適用することができることは勿論である。
【0035】
尚、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、電源系統の交流電圧、出力交流電流およびフィルタ回路の回路定数に基づいて、インバータ部に入力する最適な直流リンク電圧を取得することができるので、インバータ装置の出力変動に基づいてそのインバータ部に入力する直流リンク電圧を常に最適値に制御することができる。したがって、常に最適な直流リンク電圧をインバータ部に入力することができ、効率よく調整した交流電力を安定して電源系統に送出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る系統連系インバータ装置の一実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す回路構成図である。
【図2】直流リンク電圧とインバータ効率の関係を示すグラフである。
【図3】インバータ部および出力フィルタ回路の要部の等価回路図である。
【図4】インバータ部の出力電圧Vinvと系統電圧Vsysとの関係を説明する概念図である。
【図5】コンバータ部の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 電力供給動作システム
11 電源
12 系統連系インバータ装置
13 負荷(電源系統)
21 コンバータ部
22 インバータ部
23 LCフィルタ回路
24 コントローラ
25 電流検知器
26 電圧検知器
30 演算装置
34 PIDコントローラ
Claims (3)
- 直流電力を所望の周波数の交流電力に逆変換して出力するインバータ部と、前記インバータ部の出力に接続された出力フィルタ回路と、制御部とを備え、
前記制御部は、電源系統の交流電圧、出力交流電流および前記フィルタ回路の回路定数に基づいて、前記インバータ部に入力する直流リンク電圧を最適値に調整する演算装置を備えたことを特徴とする系統連系インバータ装置。 - さらに、前記インバータ部に入力する直流リンク電圧を最適値に自動的に調整するDC/DCコンバータ部または昇降圧チョッパ回路部を備えたことを特徴とする請求項1記載の系統連系インバータ装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008015899A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Ebara Densan Ltd | 系統連系パワーコンディショナ |
WO2011135658A1 (ja) * | 2010-04-26 | 2011-11-03 | 三菱電機株式会社 | 系統連系形インバータ |
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KR101494453B1 (ko) | 2010-08-06 | 2015-02-16 | 메이덴샤 코포레이션 | 전력변환장치의 고조파전류억제장치 및 고조파전류억제방법 |
-
2003
- 2003-02-26 JP JP2003049766A patent/JP2004260942A/ja active Pending
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