JP4312987B2 - 摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セットに関する。詳細には、第1の状態から、摩擦熱により第2の状態に変位し、温度降下により第1の状態に互変的に変位する筆跡を与える摩擦熱変色性筆記具、及び前記筆跡を間接的に摩擦熱変色させるために介在させる透明プラスチックシートをセットにした摩擦熱変色セットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、消しゴムにより筆跡が消去される筆記具として、鉛芯等の固形芯を用いた鉛筆やシャープペンシル、紙質に着色成分を低度の付着力で付着形成する筆跡を与えるボールペン等を挙げることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した筆記具による筆跡は、消しゴムによる擦過で不要の筆跡を消去できる利便性を有するが、消去した筆跡は再び視覚することはできない。
本発明は、摩擦体による、筆跡の擦過により第1の状態から第2の状態に変位させ、温度降下により再び第1の状態に復帰させ、学習、教習、メッセージ、玩具、マジック要素として、或いは、暗証番号や機密文書等の隠顕要素等として、効果的な熱変色性筆跡を与える軽便な摩擦熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
更には、前記摩擦熱変色性筆記具と、前記熱変色性筆跡を間接的に摩擦させるための透明プラスチックシートとをセットにし、熱変色性筆跡の摩擦による損耗や、紙質の損耗を防ぎ、繰返しの持久性を高め、幼児等にあっても安心して繰り返し実用できる摩擦熱変色セットを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明を図面について説明する(図1〜図1参照)。
本発明は、25℃〜65℃の範囲に高温側変色点を有し、平均粒子径が0.5〜5μmの範囲にある可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6を水性媒体中に分散させた可逆熱変色性インキを充填し、前記高温側変色点以下の任意の温度における第1の状態から、摩擦体2による摩擦熱により第2の状態に変位し、前記第2の状態からの温度降下により、第1の状態に互変的に変位する熱変色性筆跡4を形成する特性を備えてなり、エラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれる摩擦体2が筆記具の後部又は、キャップの頂部に装着されてなる摩擦熱変色性筆記具1を要件とする。
更には、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6は、低温側変色点が、−30℃〜+20℃の範囲にあること、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6は、低温側変色点が、−30℃〜+10℃の範囲にあり、高温側変色点が、36℃〜65℃の範囲にあること、第1の状態と第2の状態は、有色と無色の互変性、又は有色(1)と有色(2)の互変性を有すること、第1の状態と第2の状態の何れか一方は、黒色であること、可逆熱変色性インキは、剪断減粘性物質を含む剪断減粘系インキ11bであり、ボールペン形態の筆記具に充填されてなること可逆熱変色性インキは、水溶性高分子凝集剤により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集系インキ12bであり、繊維加工体をペン体とし、繊維収束体をインキ吸蔵体とする筆記具に充填されてなること、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6は、発色状態からの加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型の何れかより選ばれること、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6は、少なくとも、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体を含む可逆熱変色性組成物を内包させた非円形断面形状を有し、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲にある顔料であること、前記摩擦熱変色性筆記具1と、熱変色性筆跡4上に載置し、前記筆跡を間接的に摩擦熱変色させるための無色透明乃至有色透明の厚みが10〜200μmの透明プラスチックシート5をセットにした摩擦熱変色セットを要件とする。
【0005】
前記したとおり、摩擦体2による摩擦熱により、第1の状態から第2の状態に色彩を簡易に変色させることができ、常態と異なる色彩を互変的に視覚させることができ、低温側変色点を−30℃〜+10℃の範囲、且つ高温側変色点を36℃〜65℃の範囲に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
ここで、第1の状態と第2の状態の何れか一方が黒色の系、中でも、常態で黒色を呈し、摩擦による摩擦熱により、他の有色を現出させる系にあっては、通常の筆記具における汎用の筆跡が黒色であることに加えて、黒色からの他色への色変化の妙味、意外性があり、商品性を満足させることができる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させたものが有効であり、発色状態からの加熱により消色する加熱消色型としては、本出願人が提案した、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載のものが利用できる。前記は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する。
ΔHが3℃以下の系〔特公平1−29398号公報に示す、3℃以下のΔT値(融点−曇点)を示す脂肪酸エステルを変色温度調節化合物として適用した系〕にあっては、高温側変色点及び低温側変色点を境に温度変化に鋭敏に感応して高感度の変色性を示し、ΔHが4〜7℃程度の系では変色後、緩徐に元の様相に戻り、視認効果を高めることができる(図参照)。
又、本出願人が提案した特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温側変色点(t)以下の低温域での発色状態、又は高温側変色点(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性組成物も適用できる(図1参照)。
前記実質的二相保持温度域は、目的に応じて設定できるが、本発明では、前記高温側変色点を25℃〜65℃(好ましくは、36℃〜65℃)の範囲に設定する。
尚、前記低温側変色点は、−30℃〜+20℃(好ましくは、−30℃〜+10℃)の範囲から選ばれる任意の温度に設定できる。
前記温度設定により、低温側変色点(t)と高温側変色点(t)の間の任意の温度で、発色状態又は消色状態を互変的に記憶保持して視覚させることができる。
又、加熱発色型の組成物として、消色状態からの加熱により発色する、本出願人の提案による、電子受容性化合物として、炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を適用した系(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、或いは特定のヒドロキシ安息香酸エステルを適用した系(特開2001−105732号公報)を挙げることができる(図1参照)。又、没食子酸エステル等を適用した系(特公昭51−44706号公報、特願2001−395841号)等を応用できる。
ここで、前記可逆熱変色性マイクロカプセル中、或いはインキ中に非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすことができる。
【0006】
本発明に適用のマイクロカプセル顔料6は、円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態(図〜図参照)が効果的である。
筆記により形成される可逆熱変色性筆跡4は、前記マイクロカプセル顔料6が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をエラストマー成形体等の摩擦体2による擦過等による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセル6の壁膜6aの破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料6は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μmの範囲にあり、且つ可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲を満たしていなければならない。
【0007】
前記マイクロカプセル顔料6(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、毛細間隙からの流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
可逆熱変色性組成物6cの壁膜6aに対する比率が前記範囲より大になると、壁膜6aの厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を起こし、逆に、壁膜6aの可逆熱変色性組成物6cに対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、可逆熱変色性組成物6c/壁膜6a=6/1〜1/1(重量比)である。
【0008】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6は、インキ組成物全量に対し、2〜50重量%(好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは、4〜30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
【0009】
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、コアセルベート法等の公知の手段が適用できるが、本発明の前記した要件を満たす粒子径範囲の、非円形断面形状のマイクロカプセル顔料を得るためには、凝集、合一化が生じ難い界面重合法又は界面重縮合法の適用が効果的である。
【0010】
本発明に適用される可逆熱変色性インキは、25〜65℃の範囲に高温側変色点を有し、平均粒子径が0.5〜5μmの範囲にある可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6を水性媒体中に分散させ、必要に応じてバインダー樹脂を配合したものが有効である。
具体的には、剪断減粘性物質を含む剪断減粘系インキ11bや、水溶性高分子凝集剤により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集系インキ12bが効果的である。更には、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料6が水性ビヒクルと比重差0.05以下になるよう調節した比重調節型インキも適用できる。
【0011】
前記剪断減粘系インキは、本出願人が既に提案した特開平9−124993号公報を応用し、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料15〜45重量%、剪断減粘性樹脂0.1〜0.5重量部、水溶性有機溶剤5〜35重量%を含み、残部が水からなる、粘度が40〜160mPa・s(EM型回転粘度計による回転数100rpmでの値)、剪断減粘性指数0.1〜0.8の範囲に調整してボールペンインキを構成する。
前記凝集型インキ12bは、本出願人が提案した特開2001−207101号公報を応用し、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料3〜40重量%、水溶性高分子凝集剤を含むバインダー樹脂0.05〜25重量%、残部を必要に応じて保湿剤等を含む水となし、3〜20mPa・s(25℃)の粘度範囲に調製した水性マーカーインキを構成する。
又、前記比重調節型インキは、本出願人が提案した特許第2540341号(特願昭62−210721号)を応用して調製し、ポンピング機構を備えた汎用の筆記具の軸胴内に充填して適用できる。
【0012】
前記における剪断減粘性物質は、8〜12の範囲内のHLB値を有するノニオン界面活性剤、キサンタンガム、ウエランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルローズ、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。特にキサンタンガム、サクシノグリカン、架橋性アクリル酸重合体が保存安定性に優れる。
【0013】
前記水性高分子凝集剤としては、非イオン性水溶性高分子化合物が好適に用いられる。
具体的にはポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、非イオン性水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。このうち水溶性多糖類の具体例としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げられ、また非イオン性水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。本発明の可逆熱変色性水性インキ組成物中において微小カプセル顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子であればすべて適用することができるが、なかでも前記の非イオン性水溶性セルロース誘導体が最も本発明の可逆熱変色性水性インキ組成物に対し有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20重量%配合することができる。
【0014】
ペン先での乾燥を抑制するために保湿剤として、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール等のグリコール類及びそれらの低級アルキルエーテル、2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、尿素等の適宜量を配合することができる。
前記保湿剤は、インキ全量に対して5〜40重量%配合することができる。
【0015】
尚、筆跡の固着性や粘度調整等のために、適宜量のバインダー樹脂を添加することもできる。前記バインダー樹脂は樹脂エマルション、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂から選ばれる。
前記樹脂エマルションとしては、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、α−オレフィン−マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリウレタン等の水分散体が挙げられ、前記アルカリ可溶性樹脂としては、スチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられ、前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができ、一種又は二種以上を混合して用いることができる。
又、界面活性剤等の従来より汎用の各種分散剤を必要に応じて配合することができる。
【0016】
前記した剪断減粘系インキ11bは、回転自在にボール11aを抱持したチップを先端部に備えた、軸胴11dに充填し、後部に粘稠追従体11c(液栓)を配してボールペン形態の熱変色性筆記具11を構成できる。
又、凝集系インキ12bは、多数の繊維を互いに密接状態に配し、隣接する繊維相互間に毛細間隙が形成された繊維加工体をペン体12aとし、隣接する繊維相互間に毛細間隙が形成された繊維集束体をインキ吸蔵体12cとし、ペン体12aの後端を前記インキ吸蔵体12aの前端に接続状態に組み立てられており、前記インキ吸蔵体12aに前記凝集系インキ12bを含浸させて、マーカー型熱変色性筆記具12を構成する。
前記繊維加工体は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30〜70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、該繊維加工体の一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工してペン体12aとなして実用に供される。
前記チゼル形状のペン体にあっては、筆記面への当接位置を変えることにより細書き用、或いは太書き用として、更には一定線幅のマークを形成できる多用途性を有し、多様な熱変色像を形成できる軽便性筆記具を構成できる。
繊維束インキ吸蔵体12cは、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフイルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。尚、前記繊維束インキ吸蔵体12cは、繊維束の樹脂加工或いは熱融着加工、可塑剤等により溶着加工されたものであってもよい。
筆記具の形態は、図示例に限らず、インキ吸蔵体12cの一端及び他端に相異なる形態のペン体を装着させて、ツイン型マーカーを構成したものでもよい。
【0017】
摩擦体2は、任意形象のエラストマー、プラスチック発泡体から選ばれる弾性体が弾性感に富み、使い勝手がよい。
前記における弾性の摩擦体は、キャップの頂部に装着(図1)、或いは筆記具軸胴の後部に装着させて実用に供する。
【0018】
本発明の摩擦熱変色性筆記具1は、それ自体で実用性を有するが、前記筆記具により形成された熱変色性筆跡4の上に、透明プラスチックシート5を重接させて、前記した摩擦体2により、前記熱変色性筆跡4を間接的に摩擦して、摩擦熱により変色させることができ、支持体である紙3や、熱変色性筆跡の損耗を完全に防ぎ、摩擦熱変色機能を永続させることができる。
前記透明プラスチックシート5は、厚みが10μm〜200μm、好ましくは、20〜100μmであり、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、弗化ビニリデン等が実用上好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されない。又、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の形態は、図に例示の非円形断面形状の顔料を任意に適用でき、これらの形態の顔料を混在させたものであってもよい。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示す。尚、実施例中の部は重量部である。
【0021】
参考例1
可逆熱変色性インキの調製
色彩記憶保持型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料A〔高温側変色点(t:34℃、t:40℃)、低温側変色点(t:8℃、t:13℃)、青色←→無色の色変化、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0)〕のマイクロカプセルスラリー44.0部(固形分27.3%)、キサンタンガム(剪断減粘性物質)0.33部、水32.86部、尿素11.00部、グリセリン11.00部、ノプコSW−WET−366(ノニオン系浸透性付与剤、サンノプコ社製)0.55部、ノプコ8034(変性シリコーン系消泡剤、サンノプコ社製)0.13部、プロキセルXL−2(防黴剤、ゼネカ株式会社製)0.13部からなる剪断減粘系可逆熱変色性インキ11bを調製した。
前記インキの粘度をEMD型粘度計にて25℃で測定した結果、測定回転数1rpmで1020mPa・s、100rpmで84mPa・sの値を示し、剪断減粘性指数nが0.48であった。
筆記具の作製
0.8mmのステンレス鋼ボールを用い、ボール収容部の内径とボール外径との差が約20μm、軸方向の移動可能な距離が約70μmに設定した切削型ボールペンチップ11aを用いた。前記剪断減粘系可逆熱変色性インキ11b(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aが発色状態で青色を呈する)を内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに0.8g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して前記ボールペンチップ11aと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの尾部より、ポリブテンベースの粘弾性を有するインキ追従体11c(液栓)を充填し、軸胴、キャップ、口金、尾栓を組み付けた後、遠心処理により脱気処理を行ない、剪断減粘系熱変色ボールペンを11を得た(図に要部を示す)。
前記ボールペン11によりレポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が消色することがなく、安定した濃度の青色の鮮明な熱変色性筆跡4が得られた。
筆跡の変色挙動
前記ボールペン11による熱変色性筆跡4は、室温(25℃)で青色の発色状態から、加温すると40℃以上の温度で完全に消色して無色となり、この変色状態から冷却すると13℃以下の温度で再び発色し青色となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記ボールペン11により通常の浸透性を有する紙に筆記した熱変色性筆跡4を消しゴム2で数回擦過したところ、擦過部分が直ちに消色して視認不能となり、この状態は室温で維持することができた。次いで、前記熱変色性筆跡4を冷蔵庫(約5℃)の中に放置したところ、前記消色部分が再び青色に発色し擦過前の状態に戻った。
また、前記熱変色性筆跡4上に無色透明ポリエステル製シート5(厚み:100μm)を密接状態に重ね、前記シート5上を消しゴム2(又はエラストマー成形体)で数回擦過したところ、前記と同様に筆跡を消色させることができた。
【0022】
参考例2
可逆熱変色性インキの調製
色彩記憶保持型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料B〔高温側変色点(t:34℃、t:44℃)、低温側変色点(t:−10℃、t:3℃)、ピンク色←→無色の色変化、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0)〕のマイクロカプセルスラリー44.00部(固形分13.2%)を、グリセリン5.00部、プロキセルXL−2(防黴剤、ゼネカ株式会社製)0.70部、SNデフォーマー 381(シリコーン系消泡剤、サンノプコ株式会社製)0.1部、及び水42.20部からなる水性媒体中に均一に分散状態となした後、セロサイズWP−09L(水溶性高分子凝集剤:ヒドロキシエチルセルロース、ユニオンカーバイド日本株式会社製)5.00重量%を含む水溶液8.00部を攪拌しながら、前記分散状態にある液中に添加して、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bをゆるやかな凝集状態に懸濁させた凝集系可逆熱変色性インキ12bを調製した。
前記インキ12bの粘度をB型粘度計にてBLアダプターを適用し、25℃で測定した結果、測定回転数60rpmで4.4mPa・sであった。
筆記具の作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した繊維集束インキ吸蔵体12c(気孔率約80%)中に、前記可逆熱変色性インキ(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bが発色状態でピンク色を呈する)を均一状態に攪拌した直後に含浸させて軸胴12d内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン体12a(気孔率約50%)と接触状態に組み立て、水性マーカー12を構成した(図参照)。
前記水性マーカー12によりレポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が消色することがなく、安定した濃度のピンク色の鮮明な熱変色性筆跡4が得られた。
筆跡の変色挙動
前記水性マーカー12による熱変色性筆跡4は、室温(25℃)でピンク色の発色状態から加温すると、44℃以上の温度で完全に消色して無色となり、この状態から冷却すると3℃以下の温度で再び発色しピンク色となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記水性マーカーにより通常の浸透性を有する紙の一部を塗りつぶし、その一部分を消しゴムで擦過したところ、擦過部分が消色し、ピンク色の塗りつぶし部分中に擦過による無色のパターンが形成され、この状態は室温で維持することができた。この状態で前記擦過部分を冷凍庫(約−15℃)の中に放置すると、再び無色部分が発色し、擦過前の発色状態に戻った。
また、前記塗りつぶし部分に青色透明ポリエステル製シート5(厚み:50μm)を密接状態に重ねたところ、前記塗りつぶし部分は紫色に視認され、前記シート5上を消しゴム2(又はエラストマー成形体)で数回擦過したところ、擦過部分が青色に変色し、紫色の塗りつぶし部分中に擦過により青色に変色したパターンが形成された。
【0023】
参考例3
可逆熱変色性インキの調製及び水性マーカーの作製
加熱消色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料C〔高温側変色点(t:35℃、t:40℃)、低温側変色点(t:30℃、t:37℃)、ピンク色←→無色の色変化、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0)〕のマイクロカプセルスラリー44.0部(固形分27.3%)、ブリリアントブルーFCF(青色染料、C.I.No.42090、アイゼン保土谷株式会社製)0.2部、キサンタンガム(剪断減粘性物質)0.33部、水32.66部、尿素11.00部、グリセリン11.00部、ノプコSW−WET−366(ノニオン系浸透性付与剤、サンノプコ社製)0.55部、ノプコ8034(変性シリコーン系消泡剤、サンノプコ社製)0.13部、プロキセルXL−2(防黴剤、ゼネカ株製)0.13部からなる剪断減粘系可逆熱変色性インキを調製した。
前記可逆熱変色性インキを用いて、参考例1と同様にして可逆熱変色性水性ボボールペンを得た。
前記ボールペンによりレポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が変色することがなく、安定した色調の紫色の鮮明な筆跡が得られた。
筆跡の変色挙動
前記ボールペンによる筆跡は室温(25℃)で紫色の変色状態から、加温すると40℃以上の温度で完全に変色して青色となり、この状態から冷却すると37℃以下の温度で再び変色し紫色となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記ボールペンにより通常の浸透性を有する紙に筆記した筆跡を消しゴムで数回擦過したところ、擦過部分が直ちに変色して青色になり、この変色状態で室温に暫くの間放置すると、前記青色部分が再び紫色に変色し擦過前の状態に戻った。
【0024】
参考例4
可逆熱変色性インキの調製及び筆記具の作製
加熱消色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料D〔高温側変色点(t:37℃、t:40℃)、低温側変色点(t:35℃、t:38℃)、青色←→無色の色変化、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0)〕のマイクロカプセルスラリー44.00部(固形分13.2%)を、エリスロシン(赤色染料、C.I.No.45430、アイゼン保土谷株式会社製)0.50部、グリセリン5.00部、プロキセルXL−2(防黴剤、ゼネカ株式会社製)0.70部、SNデフォーマー 381(シリコーン系消泡剤、サンノプコ株式会社製)0.1部、及び水41.70部からなる水性媒体中に均一に分散状態となした後、セロサイズWP−09L(水溶性高分子凝集剤:ヒドロキシエチルセルロース、ユニオンカーバイド日本株式会社製)5.00重量%を含む水溶液8.00部を攪拌しながら、前記分散状態にある液中に添加して、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dをゆるやかな凝集状態に懸濁させた可逆熱変色性インキを調製した。
前記可逆熱変色性インキを用いて、参考例2と同様にして可逆熱変色性水性マーカーを得た。
前記水性マーカーによりレポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が変色することがなく、安定した色調の紫色の鮮明な筆跡が得られた。
筆跡の変色挙動
前記水性マーカーによる筆跡は室温(25℃)で紫色の変色状態から、加温すると40℃以上の温度で完全に変色してピンク色となり、この状態から冷却すると38℃以下の温度で再び変色し紫色となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記水性マーカーにより通常の浸透性を有する紙に筆記した筆跡を消しゴム2(又はエラストマー成形体)で数回擦過したところ、擦過部分が直ちに変色してピンク色になり、この変色状態で室温に放置すると、前記ピンク色部分が再び直ちに紫色に変色し擦過前の状態に戻った。
【0025】
参考例5
可逆熱変色性インキの調製及び筆記具の作製
加熱消色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを加熱発色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料E〔高温側変色点(T:40℃、T:52℃)、低温側変色点(T:20℃、T:10℃)、無色←→ ピンク色の色変化、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.73/1.0)に置き換えた以外は参考例3と同様にして、剪断減粘系可逆熱変色性インキを調製した。
前記可逆熱変色性インキを用いて、参考例3と同様にして可逆熱変色性水性ボールペンを得た。
前記ボールペンを一旦、10℃以下に放置し、完全に顔料Eが無色となっている状態でのボールペンによりレポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が変色することがなく、安定した色調の青色の鮮明な筆跡が得られた。
筆跡の変色挙動
前記ボールペンによる筆跡は室温(25℃)で青色の変色状態から、加温すると40℃以上の温度で変色して紫色となり、10℃以下の温度に冷却することにより、再び青色となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記ボールペンにより通常の浸透性を有する紙に筆記した筆跡を消しゴムで数回擦過したところ、擦過部分が直ちに変色して紫色になり、この状態は室温で維持することができた。次いで、前記筆跡を冷蔵庫(約5℃)中に放置すると、前記紫色の変色部分が再び青色に変色し擦過前の状態に戻った。
また、前記筆跡上に無色透明ポリエステルシート(厚み:100μm)を密接状態に重ね、前記シート上をエラストマー成形体で数回擦過したところ、前記と同様に筆跡を変色させることができた。
【0026】
参考例6
可逆熱変色性インキの調製及び筆記具の作製
色彩記憶保持型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを加熱発色型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料F〔高温側変色点(T:41℃、T:55℃)、低温側変色点(T:36℃、T:32℃)、無色←→ 青色の色変化、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.73/1.0)に置き換えた以外は参考例1と同様にして、剪断減粘系可逆熱変色性インキを調製した。
前記可逆熱変色性インキを用いて、参考例1と同様にして可逆熱変色性水性ボールペンを得た。
前記ボールペンによる筆跡は無色であり、レポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が発色することがなく筆記することができた。
筆跡の変色挙動
前記ボールペンによる筆跡は室温(25℃)で無色の変色状態から、加温すると41℃以上の温度で発色して青色となり、36℃以下の温度に冷却することにより、再び完全消色して無色となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記ボールペンにより通常の浸透性を有する紙に筆記した筆跡を消しゴムで数回擦過したところ、擦過部分が直ちに発色して青色になり、この変色状態で室温に暫くの間放置すると、前記青色の発色部分が再び消色し擦過前の状態に戻った。
【0027】
実施例
色彩記憶保持型可逆熱変色性マイクロカプセル顔料G、H、I、J、Kの5種(表1)を用いて、剪断減粘系可逆熱変色性インキ−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8の8種(表2)を調製した。
【0028】
【表1】
Figure 0004312987
【0029】
【表2】
Figure 0004312987
【0030】
前記各インキを1℃以下に放置して、マイクロカプセル顔料を完全発色させた後、インキの温度を室温(25℃)に戻し、0.7mm径のボールを備えたボールペンに充填して摩擦熱変色性ボ−ルペン1を構成した。
前記ボールペンの形態としては、摩擦体2としてポリスチレン系エラストマー成形体を頂部に装着したキャップ(図1参照)を適用したもの、軸胴11dの後部に摩擦体2としてポリアミド−ポリエーテル共重合体径エラストマー成形体を装着したもの(図1参照)を用意した。
前記したボールペンによりレポート用紙に筆記したところ、長時間の筆記または速記によっても筆跡が変色或いは消色することがなく、安定した黒色の筆跡が得られた。また、前記筆跡は吐息や指触等の体温で変化することなく、黒色状態を保つことができた。
前記ボールペンによる筆跡は室温で黒色の変色状態(第1の状態)から、46℃以上の温度に加温すると完全に変色或いは消色して温時の変色状態(第2の状態)となり、この状態から1℃以下に冷却すると再び元の黒色の変色状態(第1の状態)となる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
前記ボールペンのキャップの頂部の摩擦体2で、前記各筆跡の一部分を数回擦過したところ、擦過部分が温時の変色状態(第2の状態)となり、室温に放置してもこの変色状態を保持することができた。また、この変色状態から前記各筆跡を冷凍庫(約−15℃)の中に放置したところ、擦過部分が再び黒色に変色し、擦過前の変色状態に戻った。
【0031】
実施例
実施例で用意した、軸胴11dの後部に摩擦体2としてポリアミド−ポリエーテル共重合体系エラストマー成形体を装着したボールペンを適用し、前記実施例のインキによる各筆跡の一部分を前記摩擦体2で数回擦過したところ、容易に擦過部分を温時の変色状態(第2の状態)に変色或いは消色させることができた(図1参照)。
【0032】
【0033】
【発明の効果】
本発明の摩擦熱変色性筆記具は、任意の熱変色性筆跡を自在に形成でき、而も前記熱変色性筆跡の任意個所を簡易な摩擦手段による摩擦熱により、有色と無色、或いは、有色(1)と有色(2)の互変的色変化を視覚させることができ、軽便且つ安全性に富み、幼児等にあっても安心して実用に供することができ、学習、教習、玩具要素等に利用できる。
前記において、摩擦手段として、エラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれる摩擦体が筆記具筆記具の後部又は、キャップの頂部に装着されてなり、軽便性を満足させる。
更には、適用される可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の選択により、多様な可逆熱変色像を形成できる。即ち、前記マイクロカプセル顔料が、ヒステリシス幅が3℃未満の可逆熱変色性組成物を内包させた系では、熱変色後において、速やかに元の色彩に復帰させることができ、ヒステリシス幅が概ね4〜8℃の可逆熱変色性組成物を内包させた系にあっては、緩徐に元の色彩に復帰させることができ、ヒステリシス幅が8℃以上の可逆熱変色性組成物を内包させた系では、変色に要した摩擦熱が低下して常態に復したとしても、その様相を保持しており、一方、冷却により変色前の様相に互変的に記憶保持させることができ、加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包させた系では、常態では不可視の像を摩擦熱によって現出させることができる、等、目的に応じて多様に応用展開できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱変色性筆跡上に透明性フイルムを介在させ、摩擦体により熱変色させる状態の説明図である。
【図2】 ボールペン形態の熱変色性筆記具の一例を示す縦断面説明図である。
【図3】 繊維ペン体を備えたマーカー形態の熱変色性筆記具の一例を示す縦断面説明図である。
【図4】 繊維ペン体の一形態の説明図である。
【図5】 繊維ペン体の他の形態の説明図である。
【図6】 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の一形態の模式説明図である。
(A)は外観を、(B)は断面を示す。
【図7】 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の他の形態の模式説明図である。
(A)は外観を、(B)は断面を示す。
【図8】 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の他の形態の模式説明図である。
(A)は外観を、(B)は断面を示す。
【図9】 加熱消色型熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。
【図10】 色彩記憶保持型熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。
【図11】 加熱発色型熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。
【図12】 キャップ頂部に摩擦体を装着した状態の説明図である。
【図13】 摩擦体を装着した筆記具の一実施形態の説明図である。
【符号の説明】
1 摩擦熱変色性筆記具
11 ボールペン
11a ボール
11b 剪断減粘系インキ
11c 液栓
11d 軸胴
12 マーカー
12a 繊維ペン体
12b 凝集系インキ
12c 繊維束インキ吸蔵体
12d 軸胴
2 摩擦体
3 紙
4 熱変色性筆跡
5 透明プラスチックシート
6 可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
6a 壁膜
6b 窪み
6c 可逆熱変色性組成物
加熱消色型熱変色性インキ及び色彩記憶保持型熱変色性インキの低温側変色点(完全発色温度)
加熱消色型熱変色性インキ及び色彩記憶保持型熱変色性インキの低温側変色点(発色開始温度)
加熱消色型熱変色性インキ及び色彩記憶保持型熱変色性インキの高温側変色点(消色開始温度)
加熱消色型熱変色性インキ及び色彩記憶保持型熱変色性インキの高温側変色点(完全消色温度)
加熱発色型熱変色性インキの高温側変色点(発色開始温度)
加熱発色型熱変色性インキの高温側変色点(完全発色温度)
加熱発色型熱変色性インキの低温側変色点(消色開始温度)
加熱発色型熱変色性インキの低温側変色点(完全消色温度)

Claims (10)

  1. 25℃〜65℃の範囲に高温側変色点を有し、平均粒子径が0.5〜5μmの範囲にある可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を水性媒体中に分散させた可逆熱変色性インキを充填し、前記高温側変色点以下の任意の温度における第1の状態から、摩擦体による摩擦熱により第2の状態に変位し、前記第2の状態からの温度降下により、第1の状態に互変的に変位する熱変色性筆跡を形成する特性を備えてなり、エラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれる摩擦体が筆記具の後部又は、キャップの頂部に装着されてなる摩擦熱変色性筆記具。
  2. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、低温側変色点が、−30℃〜+20℃の範囲にある、請求項1記載の摩擦熱変色性筆記具。
  3. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、低温側変色点が、−30℃〜+10℃の範囲にあり、高温側変色点が、36℃〜65℃の範囲にある請求項1又は2記載の摩擦熱変色性筆記具。
  4. 第1の状態と第2の状態は、有色と無色の互変性、又は有色(1)と有色(2)の互変性を有する請求項1記載の摩擦熱変色性筆記具。
  5. 第1の状態と第2の状態の何れか一方は、黒色である請求項4記載の摩擦熱変色性筆記具。
  6. 前記可逆熱変色性インキは、剪断減粘性物質を含む剪断減粘系インキであり、ボールペン形態の筆記具に充填されてなる請求項1乃至5の何れか一項に記載の摩擦熱変色性筆記具。
  7. 前記可逆熱変色性インキは、水溶性高分子凝集剤により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集系インキであり、繊維加工体をペン体とし、繊維収束体をインキ吸蔵体とする筆記具に充填されてなる請求項1乃至5の何れか一項に記載の摩擦熱変色性筆記具。
  8. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、発色状態からの加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態からの加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型の何れかより選ばれる請求項1乃至7の何れか一項に記載の摩擦熱変色性筆記具。
  9. 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、少なくとも、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体を含む可逆熱変色性組成物を内包させた非円形断面形状を有し、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲にある顔料である請求項1乃至8の何れか一項に記載の摩擦熱変色性筆記具。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の摩擦熱変色性筆記具と、熱変色性筆跡上に載置し、前記筆跡を間接的に摩擦熱変色させるための無色透明乃至有色透明の厚みが10〜200μmの透明プラスチックシートをセットにした摩擦熱変色セット。
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