JP4312107B2

JP4312107B2 - 伝動装置用合成樹脂ガイド

Info

Publication number: JP4312107B2
Application number: JP2004177490A
Authority: JP
Inventors: 雅彦近能
Original assignee: Tsubakimoto Chain Co
Current assignee: Tsubakimoto Chain Co
Priority date: 2004-06-15
Filing date: 2004-06-15
Publication date: 2009-08-12
Anticipated expiration: 2024-06-15
Also published as: US20050277506A1; JP2006002810A

Description

本発明は、駆動側スプロケット、従動側スプロケット及びこれらスプロケットに捲回されて循環走行するチェーンによって駆動側から従動側へ動力を伝達するチェーン伝動装置に用いられる滑り機能を備えた伝動装置用合成樹脂ガイドに関するものである。

一般に、ローラチェーン、サイレントチェーン等のチェーンにより動力を伝達するエンジン、駆動装置等の伝動装置には、例えば、テンショナレバーとして１つの取付軸を中心に揺動自在に取り付けられて使用される可動式ガイドや、チェーンガイド、ガイドレール等として使用される固定式ガイドなどの伝動装置用合成樹脂ガイドが備えられており、これらの伝動装置用合成樹脂ガイドは、エンジン、駆動装置等の躯体に取付ボルト、ピン等で取り付けられて、循環走行するチェーンに摺接して適切な張力を付与したり、走行中のチェーン、ベルトの振動、横振れを防止したりしている。

従来例として、図７乃至図８に示すような、走行するチェーンが表面に接触摺動するシュー部分５１１とこのシュー部分５１１の裏面にガイド長手方向に亘って設けられ且つ端部に開口する一対のスリット壁５１２ａが長手方向に亘って形成された垂直壁状部分５１２とを備えた合成樹脂ガイド本体５１０と、前記一対のスリット壁５１２ａ、５１２ａの間に形成されるスリットＳ内に嵌め込まれる金属製の補強板５２０とで構成されているとともに、前記スリットＳ内に突出して押圧可能な球面状押圧頭部を備えた押圧片５１３がスリット壁５１２ａを一部切り欠いて一体成型され、前記補強板５２０が位置決め孔５２１を介して押圧片５１３の球面状押圧頭部により押圧挟持された伝動装置用合成樹脂ガイド５００がある（特許文献１参照）。
なお、図７乃至図８における符号５１２ｂはエンジン躯体取付孔であり、符号５２２は取付具用挿通孔である。
特許第３３５７０４３号明細書（第１頁、図１−図２）

しかしながら、上述した従来の伝動装置用合成樹脂ガイド５００は、合成樹脂ガイド本体５１０が成型加工される際に冷却速度斑や熱収縮に起因して成形精度が低下すると、合成樹脂ガイド本体５１０のエンジン躯体取付孔５１２ｂと補強板５２０の取付具用挿通孔５２２との組付け位置がズレてエンジン躯体（図示していない）に取り付けるためのショルダーボルトからなる取付具が挿入できないという問題があった。

しかも、図８に示すように、合成樹脂ガイド本体５１０に補強板５２０を組付ける際に、押圧片５１３が補強板５２０に対してのけ反った状態で当接すると、押圧片５１３の球面状押圧頭部が位置決め孔５２１の角部に片当たりして局部的な隙間Ｘを生じ、このような隙間Ｘの発生によって合成樹脂ガイド本体５１０のエンジン躯体取付孔５１２ｂと補強板５２０の取付具用挿通孔５２２との組付け位置が更に一段とズレて、前述したようなショルダーボルトなどの取付具（図示していない）を挿入する際に過度の挿入力を要するばかりでなく、このような隙間Ｘによって振動騒音を生じる虞れがあり、合成樹脂ガイド本体５１０の成型精度においても厄介な問題があった。

そこで、本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解消するものであって、
合成樹脂ガイド本体と補強板とを簡便に組付けるとともに、合成樹脂ガイド本体のエンジン躯体取付孔と補強板の取付具用挿通孔とを確実に位置決めしてショルダーボルトからなる取付具を簡便に挿入でき、組付けによって生じる隙間に起因する振動騒音を解消できる伝動装置用合成樹脂ガイドを提供することである。

本請求項１に係る発明は、走行する伝動媒体が表面に接触摺動するシュー部分と前記シュー部分の裏側にガイド長手方向に亘って対峙して開口する一対のスリット壁と該スリット壁に配置するエンジン躯体取付孔を備えたボス部とからなる垂直壁状部分とを一体成型した合成樹脂ガイド本体と、前記一対のスリット壁の間に形成されたスリット内に嵌め込んで前記エンジン躯体取付孔と一体に共締めされる取付具用挿通孔を備えた補強板とで構成されている伝動装置用合成樹脂ガイドにおいて、前記スリット内に突出して補強板を押圧挟持する押圧片が前記ボス部に隣接する位置のスリット壁を一部切り欠いて一体成型されているとともに前記補強板に形成された位置決め用円孔の開口周縁を押圧する球面状押圧頭部を備え、前記球面状押圧頭部の球径が位置決め用円孔の孔径より大きく、前記球面状押圧頭部の押圧片基端部側球面角度αが前記球面状押圧頭部の押圧片先端部側球面角度βより大きくなっていることによって、前記課題を解決するものである。

ここで、本発明で意味するところの伝動装置用合成樹脂ガイドについては、ローラチェーン、サイレントチェーンなどの動力伝達媒体を摺接状態で走行させながら案内又は緊張する伝動装置用固定ガイド又は伝動装置用可動ガイドの何れであっても構わない。

そして、本発明における合成樹脂ガイド本体は、その材質について格別限定されるものではないが、ローラチェーン、サイレントチェーン等の伝動媒体との接触摺動面がシューとしての機能を有する耐摩耗性、潤滑性に優れた、例えば、商品名ナイロンで市販されているナイロン６、ナイロン６６、ナイロン４６、全芳香族ナイロンなどの所謂、エンジニアリングプラスチックが好ましく、更に、曲げ剛性、靱性、強度が要求される場合には繊維強化プラスチックが良い。

また、前記補強板は、その材質について格別限定されるものではないが、鉄系金属、アルミニウム、マグネシウム、チタン等の非鉄金属、曲げ剛性、強度に優れたエンジニアリングプラスチック、繊維強化プラスチック等が好ましい。更に、前記補強板の形態は、合成樹脂ガイド本体のスリットから嵌め込まれて補強することができるものであれば格別限定されるものではなく、例えば、板厚方向に開口して肉抜き、すなわち、減量化された窓部を設けたものであっても何ら差し支えない。

さらに、前記取付具用挿通孔とエンジン躯体取付孔については、取付具用挿通孔の孔径をエンジン躯体取付孔の孔径より大きく設定することにより、合成樹脂ガイド本体のエンジン躯体取付孔と補強板の取付具用挿通孔との中心が相互に多少ズレてもエンジン躯体取付孔と取付具用挿通孔とを確実に同心状に位置決めしてショルダーボルトからなる取付具を簡便に挿入するとともに、ガイド成形精度の寸法公差範囲を拡大して成形負担を軽減することができる。

本発明の伝動装置用合成樹脂ガイドは、上述したような装置構成を備えているため、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
まず、本発明の伝動装置用合成樹脂ガイドは、走行するローラチェーン、サイレントチェーン等の伝動媒体が表面に接触摺動するシュー部分と前記シュー部分の裏側にガイド長手方向に亘って対峙して開口する一対のスリット壁と該スリット壁に配置するエンジン躯体取付孔を備えたボス部とからなる垂直壁状部分とを一体成型した合成樹脂ガイド本体と、前記一対のスリット壁の間に形成されたスリット内に嵌め込んでエンジン躯体取付孔と一体に共締めされる取付具用挿通孔を備えた補強板とで構成されていることによって、ガイド全体の曲げ剛性、靱性、強度、耐摩耗性が大幅に向上するため、エンジン、駆動装置等の伝動装置に取り付けられて伝動走行中の伝動媒体に対して適切な伝動張力を付与したり、伝動走行中の伝動媒体に発生する幅方向の振動、横振れなどが無い安定した伝動走行を達成させることができる。

そして、スリット内に突出して補強板を押圧挟持する押圧片がボス部に隣接する位置のスリット壁を一部切り欠いて一体成型されているとともに補強板に形成された位置決め用円孔の開口周縁を押圧する球面状押圧頭部を備えていることによって、組付けの部品点数を増加させることなく、合成樹脂ガイド本体と補強板とを簡便に組付けることができるとともに、合成樹脂ガイド本体のエンジン躯体取付孔と補強板の取付具用挿通孔との中心が相互に大きくズレることもなく、エンジン躯体取付孔と取付具用挿通孔とを確実に同心状に位置決めしてエンジンブロックに取り付けるためのショルダーボルトからなる取付具を簡便に挿入することができる。

また、球面状押圧頭部の球径が位置決め用円孔の孔径より大きく、球面状押圧頭部の押圧片基端部側球面角度αが球面状押圧頭部の押圧片先端部側球面角度βより大きくなっていることにより、合成樹脂ガイド本体に補強板を組付ける際に、押圧片の球面状押圧頭部が補強板に対してのけ反った状態で当接しても補強板に形成された位置決め用円孔の円孔周縁に片当たりせずに均等に押圧するため、押圧片の球面状押圧頭部と補強板の位置決め用円孔との間に隙間を生じることなく、このような隙間に起因する振動騒音を解消することができる。

本発明の伝動装置用合成樹脂ガイドの好ましい実施の形態である一実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施例である伝動装置用合成樹脂ガイド１００は、エンジンブロックにショルダーボルトからなる取付具を介して揺動自在に取り付けられて、循環走行するチェーンを摺接状態で走行させながら適切なチェーン張力を調整するための、所謂、テンショナレバーであって、図１および図２に示すように、一体成形で樹脂加工した合成樹脂ガイド本体１１０と、鋼板より打ち抜き加工した金属製の補強板１２０とで構成される２ピース構造を備え、この合成樹脂ガイド本体１１０に対して前記補強板１２０を矢印方向から組み込んで補強したものである。

まず、合成樹脂ガイド本体１１０は、走行するチェーンが接触摺動する摺動面を表面に有するシュー部分１１１と、シュー部分１１１の裏側にガイド長手方向に亘って対峙して開口する一対のスリット壁１１２ａ、１１２ａと該スリット壁１１２ａ、１１２ａに配置するエンジン躯体取付孔１１２ｂを備えたボス部１１２ｃからなる垂直壁状部分１１２とで構成され、さらに、ガイド本体構造を補強する複数の補強リブ１１２ｄと、テンショナ当接部１１２ｅと、補強板１２０に係止する複数の舌片１１２ｆとがそれぞれ設けられている。

そして、本実施例の伝動装置用合成樹脂ガイド１００において最も特徴とするところは、図２に示すように、前記スリット壁１１２ａ、１１２ａの間に形成されるスリットＳ内に突出して押圧可能な押圧片１１３がスリット壁１１２ａ、１１２ａの一方を一部切り欠いて一体成型されているとともに、前記補強板１２０に形成された位置決め用円孔１２１の開口周縁を押圧する球面状押圧頭部１１３ａを備え、補強板１２０が一方のスリット壁１１２ａに設けられた押圧片１１３と他方のスリット壁１１２ａとの間で押圧挟持されているため、スリットＳに公差寸法以上の間隙があっても、押圧片１１３が補強板１２０に当接して反力を生じ、この反力が弾力的な押圧力となって補強板１２０を押圧し、補強板１２０を合成樹脂ガイド本体１１０から脱落することなく確実に保持するようになっている。

また、前記押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａは、図３に示すような押圧片基端部側球面角度αが押圧片先端部側球面角度βより大なる球面形状を備えて補強板１２０の位置決め用円孔１２１を均等に押圧させていることによって、図２に示すように、合成樹脂ガイド本体１１０のエンジン躯体取付孔１１２ｂとこれと一体に共締めされる補強板１２０の取付具用挿通孔１２２との押圧位置が相互に大きくズレることもなく、エンジン躯体取付孔１１２ｂと取付具用挿通孔１２２とを確実に同心状に位置決めして、その結果、エンジンブロックに取り付けるための取付具を簡便に挿入している。

さらに、図４に示すように、前記球面状押圧頭部１１３ａの球径Ｄ１を位置決め用円孔１２１の孔径Ｄ２より大きく設計して、合成樹脂ガイド本体１１０に補強板１２０を組付ける際に、押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａが補強板１２０に対してのけ反った状態で当接しても補強板１２０に形成された位置決め用円孔１２１の円孔周縁に片当たりせずに均等に押圧するため、押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａと補強板１２０の位置決め用円孔１２１との間に隙間を生じることなく、このような隙間に起因する振動騒音を解消している。

なお、図５は、本実施例における押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａを拡大して示しているが、図６に示すように、押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａに平坦面１１３ｂを形成した場合には、合成樹脂ガイド本体１１０に対する補強板１２０の組付けを更に簡便することができる。

他方、前記補強板１２０は、図１に示すように、合成樹脂ガイド本体１１０を補強するものであって、押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａが押圧して係止する位置決め用円孔１２１と、図示しないショルダーボルトなどの取付具によって合成樹脂ガイド本体１１０のエンジン躯体取付孔１１２ｂと共締めされる取付具用挿通孔１２２と、エンジン躯体に取り付けられたテンショナ（図示していない）に当接してチェーン張力を調整するテンショナ当接部１１２ｅと、合成樹脂ガイド本体１１０の舌片１１２ｆが係止する係止孔１２３とが設けられているので、エンジン躯体に取り付けた場合に補強板１２０は合成樹脂ガイド本体１１０から外れることがない。

このようにして得られた本実施例の伝動装置用合成樹脂ガイド１００は、押圧片１１３がボス部１１２ｃに隣接する位置のスリット壁１１２ａに一体成型されているとともに合成樹脂ガイド本体１１０が補強板１２０に形成された位置決め用円孔１２１の円孔周縁を押圧する球面状押圧頭部１１３ａを備えていることによって、合成樹脂ガイド本体１１０と補強板１２０とを簡便に組付け、エンジン躯体取付孔１１２ｂと取付具用挿通孔１２２とを確実に同心状に位置決めしてエンジンブロックに取り付けるためのショルダーボルトからなる取付具を簡便に挿入することができ、また、押圧片基端部側球面角度αが押圧片先端部側球面角度βより大なる球面形状を備えて補強板１２０の位置決め用円孔１２１を均等に押圧させているとともに、球面状押圧頭部１１３ａの球径Ｄ１が位置決め用円孔１２１の孔径Ｄ２より大であることにより、合成樹脂ガイド本体１１０に補強板１２０を組付ける際に、押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａが補強板１２０に対してのけ反った状態で当接しても位置決め用円孔１２１の円孔周縁に片当たりせずに均等に押圧するため、押圧片１１３の球面状押圧頭部１１３ａと補強板１２０の位置決め用円孔１２１との間に隙間を生じることなく、このような隙間に起因するガタツキなどの振動騒音を解消できるなど、その効果は甚大である。

本発明の一実施例である伝動装置用合成樹脂ガイドの組み立て図。図１における合成樹脂ガイド本体と補強板との係合状態を示す断面図。図２に示す押圧片の球面状押圧頭部を拡大した断面図。押圧片の球面状押圧頭部と補強板の位置決め用円孔との関係を示す断面図。押圧片の球面状押圧頭部の外観を示す斜視図。図５に示す押圧片の変形例である斜視図。従来の伝動装置用合成樹脂ガイドの組み立て図。従来の伝動装置用合成樹脂ガイドにおける組付け状態を示す断面図。

１００，５００・・・伝動装置用合成樹脂ガイド
１１０，５１０・・・ガイド本体
１１１，５１１・・・シュー部分
１１２，５１２・・・垂直壁状部分
１１２ａ，５１２ａ・・・スリット壁
１１２ｂ，５１２ｂ・・・エンジン躯体取付孔
１１２ｃ，５１２ｃ・・・ボス部
１１２ｄ・・・補強リブ
１１２ｅ・・・テンショナ当接部
１１２ｆ・・・舌片
１１３，５１３・・・押圧片
１１３ａ・・・押圧片１１３の球面状押圧頭部
１１３ｂ・・・押圧片１１３の平坦面
１２０・・・補強板
１２１・・・位置決め用円孔
１２２・・・取付具用挿通孔
１２３・・・係止孔
５２０・・・補強板
５２１・・・位置決め孔
５２２・・・取付具用挿通孔
Ｓ・・・スリット
α ・・・押圧片基端部側球面角度
β ・・・押圧片先端部側球面角度
Ｄ１・・・球面状押圧頭部１１３ａの球径
Ｄ２・・・位置決め用円孔１２１の孔径
Ｘ・・・隙間

Claims

走行する伝動媒体が表面に接触摺動するシュー部分と前記シュー部分の裏側にガイド長手方向に亘って対峙して開口する一対のスリット壁と該スリット壁に配置するエンジン躯体取付孔を備えたボス部とからなる垂直壁状部分とを一体成型した合成樹脂ガイド本体と、前記一対のスリット壁の間に形成されたスリット内に嵌め込んで前記エンジン躯体取付孔と一体に共締めされる取付具用挿通孔を備えた補強板とで構成されている伝動装置用合成樹脂ガイドにおいて、
前記スリット内に突出して補強板を押圧挟持する押圧片が、前記ボス部に隣接する位置のスリット壁を一部切り欠いて一体成型されているとともに前記補強板に形成された位置決め用円孔の開口周縁を押圧する球面状押圧頭部を備え、
前記球面状押圧頭部の球径が、位置決め用円孔の孔径より大きく、
前記球面状押圧頭部の押圧片基端部側球面角度αが、前記球面状押圧頭部の押圧片先端部側球面角度βより大きくなっていることを特徴とする伝動装置用合成樹脂ガイド。