JP4286211B2 - 連続圧延機の板幅制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続圧延機の板幅制御方法に関するものである。
従来から、薄鋼板等の圧延材は、加熱されたスラブを連続圧延機に導入して、複数の圧延スタンドで連続的に圧延することで製造されており、各圧延スタンド間には、圧延スタンド入側での張力を調整するためのルーパ等が備えられており、このルーパにより張力を調整することで、圧延材の板幅等を制御するようにしていた(張力制御系)。
このような張力制御系は、それ自体複雑であると共に、板幅制御系等と相互に連携し複雑な制御系を構成していた。ゆえに、従来から、張力制御系をコントロールして板幅等を制御する際にはPID制御法や最適制御法等の手法が用いられていた。
例えば、特許文献1に記載の板幅制御方法は、粗圧延後の圧延材の板幅時系列データと、仕上げ圧延後の板幅時系列データと、単一の制御モデルに基づいて、それら時系列データ及び制御モデルに対する評価関数が最小となるように仕上げ圧延の圧延条件を設定するものとなっていた。
特許第3175560号公報 (第2〜5頁、図1)
しかしながら、圧延スタンドで圧延される圧延材においては、板幅変動と張力変動との間には、例えば、圧延荷重と板幅との関係に見られる線形性はなく、強い非線形関係があることが周知となっている。
ゆえに、特許文献1のように、単一のモデルを用いて、連続圧延機の板幅制御を行おうとしても、非線形性の強い部分において、その精度が非常に悪いものとなり、板幅を安定して制御することが困難であった。
この状況に対応するために、複数の制御モデルと、各制御モデルに対応する複数の評価関数とを用意し、かかる評価関数が極値を取るように最適制御を行うことが考えられる。しかしながら、この制御方法であると、制御対象の状況変化に伴って制御モデルを切り替える必要があり、この切り替えに起因するシステム不安定が非常に大きいものとなることが判明している。前記システム不安定は、制御モデルが切り替わること及び評価関数が切り替わることの両方に起因するものである。
また、前記制御モデルとそれに対応する評価関数をそれぞれ内蔵した複数のコントローラ(制御手段)を用意し、これを切り換えることで、非線形性の強い制御対象をコントロールすることも考えられるが、コントローラ自体を切り換えたときに発生するシステム不安定は何ら改善されない上に、制御モデルの数に対応する複数のコントローラを用意する必要があって、コスト高の原因となっていた。
これらを解決するために、非線形性の強い出側板幅と入力張力との関係を複数の板幅予測モデルを用いて表現し、かかる複数の板幅予測モデルを単一の評価関数で評価するようにすることで、安定で且つ精度のよい板幅の制御が可能となるとの技術思想を、本願出願人は創作するに至った。
しかしながら、このような制御を行うにあたっては、混合整数2次計画法等の複雑な計算をコンピュータ等で行う必要がある。近年コンピュータの性能は飛躍的に向上し、複雑な計算を高速で行うことが可能になったとはいえ、前述の計算にかかる負荷は相当なものであり、制御周期内に計算が完了せず連続圧延機の制御が不安定になる可能性が予想される。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、非線形性の強い出側板幅と入力張力との関係を複数の板幅予測モデルを用いて表現し、かかる複数の板幅予測モデルを単一の評価関数で評価するようにすることで、安定で且つ精度のよい板幅の制御を可能とすると共に、この制御を少ない計算負荷で行うことのできる連続圧延機の板幅制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、複数の圧延スタンドで圧延材に張力をかけながら圧延する連続圧延機で、当該圧延スタンドの出側板幅の実績値と目標値との偏差をなくすように、当該圧延スタンドの入側張力を変更することで圧延材の板幅を制御するに際し、前記圧延スタンドの出側板幅と入側張力との関係を表す板幅予測モデルを入力張力レベルに応じて複数設定した上で、予め設定した制御周期で、この複数の板幅予測モデルから入側張力に応じて少なくとも1つを選択し、選択された板幅予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出し、前記算出された出側板幅をパラメータとする評価関数を設定して、予測時間全体に亘って当該評価関数が最小となるように、各予測時刻における当該圧延スタンドの入側張力を算出し、前記算出された入側張力を当該圧延スタンドの入側張力とすることで圧延材の板幅を制御すると共に、前記制御周期の起点と終点との間にチェック時刻を設け、このチェック時刻で前記入側張力の算出が完了したか否かを判定し、当該入側張力の計算が完了していない場合は、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する入側張力を当該圧延スタンドに適用することを特徴とする。
この技術的手段によれば、連続圧延装置において、非線形性の強い圧延材の出側板幅と入側張力との関係を複数の板幅予測モデルを用いて表現し、該複数のモデルを単一の評価関数で評価することで、板幅予測モデル切り替え時であっても評価関数を切り替える必要がなくなり、安定性が高く高応答性の制御を実現できるようになる。加えて、評価関数を内蔵するコントローラも一つで済むようになり、装置コストを少なくすることができる。
また、圧延中に入側張力のレンジが変化した場合であっても、入側張力に応じた板幅予測モデルを使用して出側板幅及び入側張力を予測するため、常に安定且つ応答性の高い板幅制御が実現できるようになる。
加えて、この技術的手段によれば、制御周期内に入側張力の算出が終わらない場合、張力制御系を制御せず入側張力ををそのままの状態でホールドしておくのではなく、1つ前の制御周期で既に算出されている入側張力を当該圧延スタンドに適用することが可能となって、より確実な板幅の制御ができるようになると共に、制御におけるコンピュータの計算負荷を大幅に軽減することができるようになる。
好ましくは、現在の制御周期で得られた出側板幅の実績値と、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する出側板幅の予測値との差を算出し、この算出された出側板幅の実測値と予測値との差に、予め設定された影響係数を乗じて外乱影響値を算出し、この外乱影響値と1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する入側張力とを加算した上で、当該圧延スタンドに適用するとよい。
これによれば、1つ前の制御周期と現在の制御周期との間に起こった外乱の変化を外乱影響値として算出し、この外乱影響値を入力張力と併せて当該圧延スタンドに適用することができるため、外乱に強い制御をすることが可能となる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、複数の圧延スタンドで圧延材に張力をかけながら圧延する連続圧延機で、当該圧延スタンドの出側板幅の実績値と目標値との偏差をなくすように、当該圧延スタンドの入側張力を変更することで圧延材の板幅を制御するに際し、前記圧延スタンドの出側板幅と入側張力との関係を表す板幅予測モデルを入力張力レベルに応じて複数設定した上で、予め設定した制御周期で、この複数の板幅予測モデルから予め設定された境界張力に応じて択一的に1つを選択し、選択された板幅予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出し、前記算出された出側板幅をパラメータとする評価関数を設定して、予測時間全体に亘って当該評価関数が最小となるように、各予測時刻における当該圧延スタンドの入側張力を算出し、前記算出された入側張力を当該圧延スタンドの入側張力とすることで圧延材の板幅を制御すると共に、前記制御周期毎に入側張力の実績値を採取した上で前記境界張力との偏差を算出し、この偏差の絶対値のなかで、最小の値を有する張力偏差最小値を選び出し、この張力偏差最小値に応じて、板幅予測モデルの予測時間を増減させることを特徴とする。
この技術的手段によれば、連続圧延装置において、非線形性の強い圧延材の出側板幅と入側張力との関係を複数の板幅予測モデルを用いて表現し、該複数のモデルを単一の評価関数で評価することで、板幅予測モデル切り替え時であっても評価関数を切り替える必要がなくなり、安定性が高く高応答性の制御を実現できるようになる。加えて、評価関数を内蔵するコントローラも一つで済むようになり、装置コストを少なくすることができる。
また、圧延中に入側張力のレンジが変化した場合であっても、入側張力に応じた板幅予測モデルを使用して出側板幅及び入側張力を予測するため、常に安定且つ応答性の高い板幅制御が実現できるようになる。
加えて、本技術的手段は、板幅予測モデルが切り替わる際に、予測時間を増減させている。すなわち、一般的に、圧延状態が1つの板幅予測モデルの中で推移する場合には、入力張力と出側板幅との特性の変化が大きく変動しないため、将来の長期間にわたる入力張力予測を行う必要性は小さい。逆に、現在の入力張力が、板幅予測モデルの切り替え境界張力に近い場合、モデルが切り替わることに起因する張力変化特性の変動が大きく、それを見越した制御が必要である。そのために予測時間(予測点数)を大きくする必要がある。
このように、モデル切替時に予測点数を適切に変更することで、安定した板幅制御を行うことが可能となると共に、不要な計算を省けて、制御におけるコンピュータの計算負荷を大幅に軽減することができるようになる。
なお、前記張力偏差最小値が減少するにしたがって予測時間が長くなるように、張力偏差最小値と予測時間とを対応づけるテーブルを予め設定しておき、このテーブルを参照することで板幅予測モデルの予測時間を決定するとよい。
また、前記張力偏差最小値が予め設定しておいた閾値より小なる場合は、第1予測時間を採用し、張力偏差最小値が前記閾値より大なる場合は、第2予測時間を採用するものであって、第1予測時間>第2予測時間としてもよい。
好ましくは、前記評価関数は、出側板幅の予測値と目標値との偏差の二乗積分をパラメータとして有するようにするとよい。
こうすることで、評価関数は、制御対象である板幅をパラメータとして含むようになり、安定で且つ精度のよい板幅制御を行うことが可能となる。
さらに、前記板幅予測モデルに、現時刻での出側板幅と入側張力とを入力することで、複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出してもよく、前記予測された入側張力のうち、次時刻における入力張力を当該圧延スタンドの入力張力としてもよい。
前記板幅予測モデルを線形式から構成し、該線形式が、前記圧延スタンドにおける入力張力と出側板幅変化量の関係を線形近似することで得られる近似直線の傾き量をパラメータとして備えるようにすることは非常に好ましい。
本発明によれば、非線形性の強い出側板幅と入力張力との関係を複数の板幅予測モデルを用いて表現し、かかる複数の板幅制御モデルを単一の評価関数で評価するようにすることで、安定で且つ精度のよい板幅の制御が可能となると共に、この制御を少ない計算負荷で行うことが可能となる。
以下、本発明にかかる連続圧延機の板幅制御方法を、薄鋼板の熱間連続圧延機を例示して説明する。
薄鋼板等の圧延材は、加熱されたスラブ材をまず粗圧延スタンドに導入し、その後、連続圧延機である仕上げ圧延スタンドに導入することにより製造される。
各圧延スタンド間には、圧延材の長手方向の張力(以下、張力と呼ぶ)を調整するためのルーパ(張力調整手段)等が備えられいる。この張力調整手段により張力を調整することで、圧延材の板幅等を制御するようになっている。
図1は、連続圧延機1の構成の一部を示したものである。圧延スタンドAで圧延された圧延材2は、圧延材2の長手方向下流側に配置された圧延スタンドB(当該圧延スタンド)でさらに圧延を施されるようになっており、両圧延スタンドA,B間には張力調整手段3であるルーパが設けられている。
ルーパ3には、圧延材2に接するルーパロール4が片持ち状に設けられており、その支点を中心として、ルーパロール4が圧延材2を持ち上げる方向に動くことが可能となっている。ルーパロール4が圧延材2を持ち上げて押圧することで、圧延材2の張力が増加することになり、ルーパ3は圧延材2の張力を調整可能となっている。
また、このルーパ3には荷重計や加速度計が取り付けてあり(図示せず)、これらからデータをもとに、現在の圧延スタンドB入側での張力すなわち入側張力を計測することが可能となっている。なお、ルーパ3を駆動するモータの電流値を基に算出することも可能である。
圧延スタンドBの出側には、出側板幅を計測するための板幅計5が設置してあり、その計測データすなわち出側実績板幅は、連続圧延機1に設けられた板幅制御装置の制御手段6に入力され、後述の板幅制御方法に基づいて、次制御周期における入側張力を予測し、張力調整手段3を介して圧延スタンドBの入側張力とするようになっている。
[第1実施形態]
前記制御手段6の中で処理される連続圧延機の板幅制御方法について、図2〜図4に基づいて説明する。
図2に示す如く、本実施形態の板幅制御方法は、大きく、板幅予測機能と張力決定機能とに分かれている。前記板幅予測機能は、現在の出側板幅と、現在の入側張力と、将来の入側張力の時系列データとを入力とし、入側張力レベルに応じた複数の板幅予測モデル(詳細は後述)を用いて、将来の出側板幅の時系列データを求めるものである。
前記張力決定機能とは、前記複数の板幅予測モデルを用いて、前記予測された出側板幅をパラメータとした評価関数が最小になるように、将来の入側張力の時系列データを求めるものである。
以下、図3に基づいて、予測機能の処理手順について述べる。
まず、圧延スタンドBにおいて、現時刻(t=0)での出側実績板幅w(0)を板幅計5から、現時刻での入側実績張力σ(0)を張力調整手段3から取得する。(S31)
その後、複数の板幅予測モデルから入側張力に応じて少なくとも1つを選択し、
選択された板幅予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出する。すなわち、取得したw(0)とσ(0)とを基に、張力σ(0)に応じた板幅予測モデルを選択した上でそれを用い、1制御周期先すなわち次時刻(t=1)の出側予測板幅w(1)を算出するようにする。(S32)
ここで、制御周期は任意時間を採用することが可能であり、例えば、数十msecとするとよい。
前記処理ステップS31で使用した複数の板幅予測モデルは、式(1)〜式(3)に示される3つの数式モデルであり、圧延スタンドBの出側板幅と入力張力とをパラメータ(変数)として含んでいる。式(1)〜式(3)の各式はそれぞれ、一つの状態方程式(x(t+1)=・・・)と出力方程式(w(t)=・・・)とから構成されている。
Figure 0004286211
ここで、σは入側張力(kg/mm)、wは出側板幅(mm)、xは状態変数である。A1〜A3,b1〜b3,c1〜c3は係数行列であり、tは時刻である。
なお、係数b1〜b3は、図5に示された近似直線(線形化モデル)の傾き量を示すものである。
図5は、圧延材の温度、板幅、移送速度を一定とした場合における、圧延スタンドで圧延される圧延材2の入力張力σ(t)と、板幅減少量Δw(t)との関係を示したものである。図からわかるように、両者は曲線で示される関係すなわち非線形関係を有しており、入側張力を増加させると出側板幅への影響が大きくなるようになっている。
本実施形態の場合、この曲線を3つの直線(線形化モデル1〜3)で近似し、各直線の傾きをb1,b2,b3としている。
板幅予測モデルを用いて計算を行う際は、入側張力の値σ(0)のレンジに応じて、式(1)〜式(3)のいずれか一つを用いるようにする。例えば、入側張力σ(0)が1.3(kg/mm)以下である場合は、式(1)を用いるようにする。
なお、S31の処理ステップでは、状態変数x(0)は適切に設定するものとする。
次に、圧延スタンドBにおける、2制御周期先(次々時刻、t=2)の出側予測板幅w(2)を算出するようにする。(S33)
現段階では、将来の入側張力の時系列データが求まっていないため、入側張力σ(1)としては任意且つ現実的な値を設定する。この任意の入側張力σ(1)と前段の処理ステップ(S31)で求められたw(1)を用いて、σ(1)の値に応じた板幅予測モデルを基に、t=2での出側予測板幅w(2)を算出する。
以下、同様の処理手順を踏むことにより、t=Tとなるまで、任意の入側張力σ(t−1)を与え、このσ(t−1)と前段の処理ステップで求められたw(t−1)を用いて、σ(t−1)の値に応じた板幅予測モデルを基に、予測時刻tでの出側予測板幅w(t)を算出する。(S34)
以上の処理を繰り返し行うことで、t=1〜Tまで、すなわち将来に亘る複数時刻での出側予測板幅w(t)を算出するできる。
次に、図4に示すステップに基づいて、算出された出側予測板幅w(1)〜w(T)から、最適制御の考え方に基づき、将来の複数時刻における入側張力σ(1)〜σ(T)を求める(張力決定機能)。
まず、圧延スタンドBの出側板幅と入側張力とをパラメータとする板幅予測モデル[数1]を1つにまとめて、等価変形し、式(4)を導出する。
Figure 0004286211
ここで、A,B1〜B3,C,D1〜D3,E1〜E5は係数行列であり、dはバイナリ変数、zは連続値補助変数である。バイナリ変数dとは、0又は1の値を取る変数であり、d=0の場合は、それが乗じられている項は無いものとなる。すなわち、式(1)における「if σ<1.3(σが1.3未満であれば)」等に対応するものである。
この式(4)に対して、式(5)の評価関数を導入する。この評価関数Jは、各予測時刻における出側板幅w(t)とその目標値w1(waim)との差の二乗をt=0からT−1まで加えた(積分した)ものを、パラメータ(変数)として有している。
Figure 0004286211
ここで,Tは、何ステップ先まで予測するかを決定づける値であり、Q1〜Q5は、重み行列であり、添え字1のついた値は目標値である。‖x‖Qは、x’・Q・xを意味する。x’は行列xの転置行列である。
評価関数J中にあるσ1,d1,z1,x1は中間変数といわれるものであって、図6中の処理S61で計算されるものである。かかるσ1,d1,z1,x1は、wが式(1)〜式(3)の関係を満足しながらw1と等しくなるために必要な値であって、式(6)、式(7)のような混合整数2次計画問題を解くことにより求まるものである。(S61)
Figure 0004286211
ここで、SF1,SF2,FF1,FF2,GF1〜GF3は、A,B1〜B3,C,D1〜D3,E1〜E5から求まる係数行列であり、「’」のついた行列は転置行列である.式(10)中の「subj to」は,「このような制約条件において」を意味し、「minv」は、「この式を最小とするVを探す」を意味している。
この評価関数Jが最小値を取るような制約条件の下で、式(6)、式(7)を解くことにより、将来の複数時刻における最適な入側張力の時系列データ、すなわち目標値との誤差が将来にわたって最も小さくなる入側張力σ(1)〜σ(T)を求めることができる。(S62、S41)
具体的には、式(4)と式(5)とを連立させ整理すると、式(8)、式(9)を導出できる。この式(8)、式(9)を解くことで入力張力時系列σ(1)〜σ(T)を予測することができる。
Figure 0004286211
ここで、S1〜S3,F1〜F3は、A,B1〜B3,C,D1〜D3,E1〜E5,Q1〜Q5から求まる係数行列であり、「’」のついた行列は転置行列である。式(8)、式(9)中の「subj to」は、「このような制約条件において」を意味し、「minv」は、「この式において最小となるVを探す」を意味している。
式(8)、式(9)を解くことは、数学における混合整数2次計画問題といわれるものであって、近年の研究成果から解を求めることが可能となっている。ゆえに、制御周期毎に式(8)、式(9)を解き、行列Vの第1要素であるσ(t)を張力指令とすることにより、板幅予測モデル式(1)〜式(3)に対する評価関数Jを最小化する意味での最適制御入力が求まることとなる。
このようにして求められた入側予測張力の時系列データσ(1)〜σ(T)を圧延スタンドBに適用して板幅制御を行う。
本実施形態の場合は、前記入側予測張力の時系列データσ(1)〜σ(T)の内で、次時刻の入側予測張力σ(1)すなわち時系列データの最初のσを、圧延スタンドBの入側張力として適用する。(S42)
換言すれば、σ(1)を制御手段6より出力し、張力調整手段3に入力する。張力調整手段3は、圧延材2の入側張力が予測値σ(1)となるように、ルーパロール4の押圧力を調整する。
入側予測張力σ(1)を圧延スタンドBに適用した後、次の制御周期(t=1)での予測計算は、t=1を現時刻と考えて、将来にわたる複数の時刻における出側予測板幅w(2)〜w(T)を算出する。
その際、図7に示すように、当該張力決定のための繰り返し計算では、入力張力の初期値として、1つ前の制御周期で予測されたσ(1)〜σ(T)を採用すると共に、現在の出側板幅としては、実測値又は1つ前の制御周期で予測されたw(1)を用いるようにする。その後、前述の処理ステップを順次行うことで、入側張力時系列データσ(2)〜σ(T)を予測することができ、入側予測張力σ(2)を圧延スタンドBに適用するようにする。
同様に、次の制御周期(t=2)での予測計算は、入側張力の初期値として、1つ前の制御周期で予測されたσ(2)〜σ(T)を採用すると共に、現時刻での出側板幅としては、実測値又は1つ前の制御周期で予測されたw(2)を初期値として用いるようにする。その後、前述の処理ステップを順次行うことで、入側張力時系列データσ(3)〜σ(T)を得ることができ、入側予測張力σ(3)を圧延スタンドBに適用するようにする。
制御周期毎に、これらデータシフト処理及び複数から選択された板幅予測モデルによる予測計算を順次繰り返すことにより、各制御周期における入側予測張力の時系列データが求まり、それぞれの時系列データでの最初の入側張力σを、圧延スタンドBの入側張力とするようにすることで、圧延スタンドBを制御するようにする。
これにより、安定で且つ精度のよい板幅制御が可能となる。詳しくは、従来のように、それぞれの板幅予測モデル毎に制御手段を設計しておき、入側張力に応じて、制御手段を切り換えたり制御ゲインを変更する手法に比べて、格段に安定した制御が可能となる。
本実施形態では、前記制御方法を制御手段を通じて、オンラインで行っているが、オフライン計算をしておき、得られたデータに基づいて圧延スタンドを制御するようにしても何ら問題はない。
図8には、本実施形態にかかる板幅制御方法を圧延スタンドBに適用した際の、板幅実測値の一例を示している。
この図の横軸は、板幅の減少量を示しており、縦軸は、例えば、予測板幅と制御後の実績板幅との偏差等から算出される板幅制御誤差を示している。
板幅減少量が2mm近傍で線形化された単一モデルを用いた場合、入側張力が増加し出側板幅減少量が増加するに従い(板幅減少量が4mmに近づくに従い)、板幅制御誤差が増加していることがわかる。
逆に、板幅減少量が4mm近傍で線形化された単一モデルを用いた場合、入側張力が減少し出側板幅減少量が少なくなるに従い(板幅減少量が2mmに近づくに従い)、板幅制御誤差が一旦は減少するものの再度増加していることがわかる。
しかしながら、本実施形態にかかる板幅制御方法を用いると、いずれの場合でも単一モデルの場合より、板幅制御誤差の値が小さくなり、良好な制御が行われていることがわかる。
図9,図10には、本実施形態にかかる板幅制御方法を用いて、板幅制御のシミュレーションを行った際の結果例を示している。
シミュレーションの条件は、以下の通りである。
板幅予測モデルの条件は、複数(3つ)のモデルを用いた場合(3分割)、入側張力が1kg/mm近傍で最適なモデルを用いた場合(分割なし(I))、入側張力が3kg/mm近傍で最適なモデルを用いた場合(分割なし(II))の3パターンを考える。
板幅目標値としては、現在の目標板幅から2mm板幅を増やす場合(+2mmとした場合)と、現在の目標板幅から板幅をプラス4mmとする場合(+4mmとした場合)との2パターンを考えている。
これらのパターンを考えることで、入側張力のレベルが変わった場合、すなわち、[数1]の(1)〜(3)の全ての数式モデルを使用する場合で、板幅制御方法の効果の差が検討できることになる。
板幅目標値を+2mmとした場合、分割なし(II)のケースについて、目標値に近づく過程の制御において明らかなオーバシュートが見られると共に、板幅目標値を+4mmとした場合では、分割なし(I)のケースにおいて、同様な大きなオーバシュートが見られる。本実施形態の板幅制御方法ではいずれの場合であっても、オーバシュートなく、良好に板幅の制御が行われている。
[第2実施形態]
ところが、第1実施形態において圧延中に外乱が印加された場合、検出された外乱に伴って、評価関数J内の中間変数σ1,d1,z1,x1,w1を最適化計算によって算出する必要がある。この最適化計算は混合整数2次計画問題であって、計算に要する時間は膨大であって短周期でのフィードバック制御を困難とする要因となっていた。
特に外乱が大きく変化する場合には、繰り返しの収束演算を用いた混合整数2次計画問題の求解において収束演算の繰り返し回数が増え、1制御周期内で入側張力の計算が終了しないことがあった。
なぜこのような状況が発生するかといえば、繰り返し計算の初期の解候補として、1つ前の制御周期での解を用いるようにしているが、大きな外乱が印加された場合には、制御対象の状態が大きく変化し、当該制御周期での最適解が、一つ前の制御周期に算出された最適解から大きく乖離するからである。
制御周期内で入側張力を算出する計算が終了しない場合、従来は、一つ前の制御周期での入側張力をホールドして、当該制御周期でも前回と同じ入側張力を圧延スタンドBに適用することが行われていた。しかしながら、前回の入側張力は、状態の推移した当該制御周期の入側張力としては不適切であり、出力応答が劣化することがしばしばあった。
そこで、本願出願人は、制御周期の中で計算が終了しなかった場合にも、良好な入側張力を算出できる技術を開発した。以下、第2実施形態として説明する。
前述の第1実施形態では、制御周期毎に現在から将来(Tステップ先)にわたっての入側張力の時系列データσ(1)〜σ(T)を算出し、現在の制御周期ではσ(1)を入側張力として圧延スタンドBに適用するようにしている。
しかしながら、本実施形態では、1制御周期前に算出したσ(1)〜σ(T)を記憶しておき、1制御周期内で計算時間が間に合わないときに、σ(2)を現在の制御周期での入側張力として出力するものとしている。
また、「計算時間が間に合わない」ということを判定するために、制御周期毎にタイマーを起動し、制御周期内での計算開始からの時間を計測する。計測された計算時間があらかじめ設定した値よりも大きくなった場合、すなわち、前記制御周期の起点と終点との間の所定の時刻をチェック時刻とし、このチェック時刻で、前記開バルブ本数の修正量の算出が完了したか否かを判定し、当該修正量の計算が完了していない場合は、一つ前の制御周期で算出されたσ(2)を読み出して、現在の制御周期での入側張力として圧延スタンドBの入側張力として採用する。
なお、「あらかじめ設定した値」は0より大きく制御周期よりも小さい値であり、その時刻に計算を打ち切ったとしても、後に続く計算が制御周期内に全てが収まるように設定された値である。
以下、図11に基づいて、本実施形態の処理手順について説明する。
まず、第1実施形態と略同様に混合整数2次問題を解くことによる最適化計算を行い、将来に亘る入側張力σ(1)〜σ(T)を算出するようにする。
得られたσ(1)〜σ(T)を、制御手段6に設けられている記憶装置7(ハードディスク等)に保存するようにする。(S111)
加えて、上記処理とは並列的に、最適化計算の開始のタイミングでタイマをリセットする。当該タイマは、制御周期に比べ十分短い周期(少なくとも制御周期の10分の1の周期)で更新されるものとする。(S112)
タイマの更新に合わせて、タイマ値が設定値以上であって、さらに評価関数を最小にするσ(1)〜σ(T)の計算が終了しているかどうかがチェックされる。換言すればチェック時間以内に、入側張力σ(1)〜σ(T)が算出されたかどうか確認されることになる。(S113)
もし、当該チェック時間内にσ(1)〜σ(T)の計算が終了しておれば、第1実施形態の最適化計算は続行され、計算結果であるσ(1)〜σ(T)を記憶装置7に記憶しておく。(S113でNoの場合)。
しかしながら、チェック時間内にσ(1)〜σ(T)の計算が終了していない場合、最適化計算(σ(1)〜σ(T)を算出する計算)は途中で強制終了されると共に、記憶装置7に保存しておいた前制御周期で予測されたσ(2)を読み込み、σ(2)を今回の制御周期での入側張力として出力する。(S113のYesの場合、S114、S115)
以上の処理S111〜S115を行うことで、最適化計算が制御周期内に終了しない場合でも、一つ前の制御周期に算出した入側張力の予測値を用いて、準最適な制御を行うことができるようになり、出側板幅の変動幅を小さくすることができる。
なお、本実施形態において、一つ前の制御周期における入側張力σ(1)〜σ(T)が何らかの原因で求まっていなかった場合、さらに一つ前、すなわち現在時刻から2つ前に算出された入側張力σ(3)を読み出し、現時点での入側張力とするとよい。つまり、1つ前の制御周期の値にこだわらず、以前の制御周期の計算結果を用いるようにするとよい。
[第3実施形態]
前述した第2実施形態の制御を、より応答性の高いものとするためには、1つ前の制御周期と現在の制御周期との間に起こった外乱を考慮し、その影響を1つ前の制御周期で求められたσ(2)に加味するようにするとよい。第3実施形態は、この考えに基づいた技術である。
すなわち、現在の制御周期で得られた出側板幅の実績値と、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する出側板幅の予測値との差を算出し、この算出した値に予め設定された影響係数を乗じて外乱影響値を算出し、この外乱影響値と1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する入側張力とを加算した上で、圧延スタンドBに適用するものである。
詳しくは、1つ前の制御周期と現在の制御周期との間に起こった外乱の変化をB値(℃)として検出し、第2実施形態の方法で決定したσ(2)の値に対し、B値に基づく補正をした入側張力を圧延スタンドBに適用するようにしている。ここで「補正」とは、B値を用いて、B値分だけの板幅を補正するに必要な入力張力値(C値)を算出し、かかるC値をσ(2)に加算することをいう。B値を直接用いないのは、B値が長さの単位を有する量だからである。
前記C値を算出する際、出側板幅を入力張力に変換するために影響係数を乗じるが、影響係数は板幅域によって変化するため、板幅域毎の影響係数のテーブル(一覧表)をあらかじめ用意しておき、利用するようにしている。
図12に基づいて、以上の処理の詳細を求める。
まず、第1実施形態と略同様に混合整数2次問題を解くことによる最適化計算を行い、将来に亘る入側張力σ(1)〜σ(T)を算出するようにする。
得られたσ(1)〜σ(T)ならびに計算過程で算出された出側板幅w(1)〜w(T)を、制御手段6に設けられている記憶装置7(ハードディスク等)に保存するようにする。(S121)
加えて、上記処理とは並列的に、最適化計算の開始のタイミングでタイマをリセットする。当該タイマは、制御周期に比べ十分短い周期(少なくとも制御周期の10分の1の周期)で更新されるものとする。(S122)
タイマの更新に合わせて、タイマ値が設定値以上であって、さらに評価関数を最小にするσ(1)〜σ(T)の計算が終了しているかどうかがチェックされる。換言すればチェック時間以内に、入側張力σ(1)〜σ(T)が算出されたかどうかが確認されることになる。(S123)
もし、当該チェック時間内にσ(1)〜σ(T)の計算が終了しておれば、第1実施形態の最適化計算は続行され、計算結果であるσ(1)〜σ(T)を記憶装置7に記憶しておく。(S123でNoの場合)。
しかしながら、チェック時間内にσ(1)〜σ(T)の計算が終了していない場合、最適化計算(σ(1)〜σ(T)を算出する計算)は途中で強制終了されると共に、記憶装置7に保存しておいた前制御周期で予測されたσ(2)、w(1)を読み込む。(S124)
次に、図13に示すような、板幅域毎に設定された影響係数のテーブルから現在の出側板幅w(0)に対応する影響係数BT(すなわちσ/w)を読み込む。影響係数のテーブルは、例えば前記記憶装置7に保存されているものである。(S125)
さらに、現在の板幅実測値wrと、前周期での出側板幅予測値w(1)の差をとりB値を算出すると共に、B値にBTを乗じたC値を算出する。その後、読み込み済みである前周期での入側張力σ(2)にC値を加算することによりD値を算出する。(S126)
そして、当該D値を今回の制御周期での入側張力として出力するようにする。(S127)
以上述べた処理S121〜S127を行うことにより、1つ前の制御周期に算出した予測値を最新の外乱検出値に基づいて補正するため、より板幅変動を小さくすることができる。
さらに、従来は、前ステップのホールド値を用いていたため、見かけ上の制御周期が2倍となり、応答劣化が必然的に発生していた。この状況を回避すべく、多くの場合、計算が時間内に収まるような大きめの制御周期を用いていた。しかしながら、本実施形態を採用することにより、前述のような応答劣化のリスクが低減され、制御周期を短く設定することが可能となる。全体としての制御系の応答性が格段に向上する。
[第4実施形態]
前述した第1実施形態を実際の連続圧延機4に適用した際に、圧延材5の入側張力が1つの板幅予測モデルの中で推移する場合、板幅予測モデルが切り替わることに起因する張力特性の変動を考慮する必要はない。しかしながら、近い将来に板幅予測モデルが切り替わることが明らかな場合は、その切り替わりを考慮した上で、入側張力の算出や出側板幅の予測を行うと、応答性の高い制御が可能となる。
すなわち、現在の入側張力が、板幅予測モデル間での切り替わり張力(境界張力)から離れた位置にいる場合には、将来に対する予測点数T(予測時間)は、小さくても構わない。逆に、現在の入側張力が境界張力に近い場合には、かかる境界張力を越えて特性が変化することを見越して予測点数Tを大きくし、切り替わる前後の板幅予測モデル両方の特性をトータルで考慮するようにすると、境界張力前後での応答性が非常に良くなる。
図14には、従来法での板幅予測における予測点数に関するイメージが示されている。
この図で1番上のグラフは、時刻tでの現在入側張力の位置と予測区間(=予測点数T)を表しており、2番目の図は次の制御周期である時刻t+1での現在入側張力の位置と予測区間を表している。以降、順に制御周期毎での現在入側張力の位置と予測区間を表している。
従来法では、全ての制御周期において、同一の予測点数Tを採用するため、時刻tのように板幅予測モデル1と板幅予測モデル2の境界から十分離れた場合にも、不必要な長い予測時間だけ計算を行わなければならなかった。そのため不要な計算負荷が生じていた。
一方、図15に示すように、本実施形態の技術は可変である予測点数Tを用いている。時刻tでは、現在の入側張力が、板幅予測モデルの境界張力から離れた位置にいるため、予測点数は小さい値であるT2が採用されており、時刻t+3では、入側張力が境界張力に近く、予測点数は大きな値であるT1が採用されている。
図16に基づいて、可変である予測点数Tの決定方法について述べる。
まず、制御開始時点において、あらかじめ記憶装置7に記憶しておいた各板幅予測モデルの境界張力σb(1)〜σb(m−1)を読み込むようにする。ここでmはモデルの個数を表す。(S161)
次に、現在の制御周期において採取された入側張力実測値σrを取得する。(S162)
そして、入側張力実測値σrと各境界値σb(1)〜σb(m−1)との差の絶対値eσ(1)〜eσ(m−1)を式(10)に基づいて算出する。各eσ(i)は、現在の入側張力から各境界張力までの距離(ノルム)に相当する値である。(S163)
Figure 0004286211
その上で、eσ(1)〜eσ(m−1)の内、最小の値mineσを求める。このmineσは、現在の入側張力から最も近い境界張力までの距離に相当する。(S164)
続いて、mineσから予測点数Tを決定し(S165)、かかるTを用いて、第1実施形態の温度制御方法により圧延スタンドBに適用する入側張力を算出するようにする。(S166)
以上の処理S161〜S166は、すべて1回の制御周期に処理される内容である。
図16のフローチャートに示した処理を実際の連続圧延機4に適用した実施例を以下に示す。
まず、制御開始時点において、あらかじめ記憶装置7に記憶しておいた、各モデルの境界値(境界張力)σb(1)〜σb(m−1)を読み込む。例えば、モデル数m=3、σb(1)=2、σb(2)=4である。
次に、現在の制御周期において採取された入側張力実測値σrを取得する。例えば、σr=3.2である。
そして、入側張力実測値σrと各境界値σb(1)〜σb(m−1)との差の絶対値eσ(1)〜eσ(m−1)を式(10)に基づいて算出する。すなわち、eσ(1)=|σr−σb(1)| =1.2であって、eσ(2)=|σr−σb(2)| =0.8である。
これら、eσ(1)〜eσ(m−1)の内、最小の値mineσを求める。つまり、mineσ=0.8である。
求まったmineσ=0.8を式(11)に代入して、予測点数Tを決定する。mineσ=0.8であるので、T=5となる。
Figure 0004286211
以降、求まったTを用いて、制御周期ごとに、第1実施形態の温度制御方法を用いて入側張力σを算出するようにする。なお、次の制御周期に、例えばσr=3.5となったとする。この場合、eσ(1)=1.5、eσ(2)=0.5となるため、mineσ=0.5、で、予測点数はT=8と変更されることになる。
予測点数Tの決定方法のやり方は、上記のものに限定されない。
すなわち、図17、図18に示す如く、あらかじめ記憶装置7に記憶しておいた、mineσと予測点数Tを対応づけるテーブル、ならびに各モデルの境界張力σb(1)〜σb(m−1)を読み込んでおく。(S177)
mineσが算出された後、Tを決定する。
その後、図16のS161〜S166と同様に、前記テーブルから予測点数Tを決定した上で入側張力σを算出するようになる。(S171〜S176)
また、図18のようなテーブルを参照するのではなく、各制御周期において、mineσが算出された後、閾値eσsとmineσを比較し、もし、mineσがeσsよりも小さければ、予測点数TをT1とし、mineσがeσs以上であれば予測点数TをT2とするようにしてもよい。
このとき、T1>T2としておくことは非常に好ましい。なぜならば、境界張力に近づいた場合に予測点数Tを増やすことで、影響係数が変化した後の温度変化を考慮した入側張力σを決定できるようになるからである。
詳しくは、図19に示すように、制御開始時点において、あらかじめ記憶装置7に記憶しておいた予測点数の設定値T1、T2、ならびに各板幅予測モデルの境界張力σb(1)〜σb(m−1)、閾値eσsを読み込む。ここで、モデル数m=3、σb(1)=2、σb(2)=4とする。また、T1=10、T2=5、eσs=0.5とする。(S191〜S193)
次に、入側張力の実測値σr=3.2を取得する。さらに、入側張力実測値σrと各境界値σb(1)〜σb(m−1)との差の絶対値eσ(1)〜eσ(m−1)を算出する。eσ(1)=|σr−σb(1)| = 1.2、eσ(2)=|σr−σb(2)| =0.8である。その後、eσ(1)〜eσ(m−1)の内、最小の値mineσ=0.8を求めるようにする。(S194〜S196)
続いて、mineσと閾値eσsを比較することにより予測点数Tを決定する。もし、mineσがeσsよりも小さければ、予測点数TをT1=10とし、mineσがeσs以上であれば予測点数TをT2=5とする。本実施例の場合、mineσ=0.8、eσs=0.5であることから、T=5となる。(S197〜S199)
この予測点数Tを用いて、第1実施形態の板幅予測方法に基づいて、入側張力σが算出される。(S1910)
以降、制御周期毎に以上の処理を繰り返す。
なお、本発明にかかる連続圧延機の板幅制御方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、薄鋼板の熱間連続圧延を例示して説明を行ったが、厚鋼板でもよく、冷間圧延であってもよい。
また、張力調整手段3としてルーパを用いるのではなく、圧延スタンドA,Bのワークロールの回転速度に差をつけることで、圧延材2の張力(入側張力)を調整するようにしてもよい。
本発明にかかる板幅制御方法は、圧延材における張力と板幅のような非線形性の強い制御対象に有効であると共に、他の非線形性の強い制御対象にも適用可能である。
第1実施形態が適用される連続圧延機の構成を示した図である。 第1実施形態のブロック図である。 予測機能のフローチャートである。 張力決定機能のフローチャートである。 入側張力と出側板幅減少量の関係を線形化することを示す図である。 張力決定機能のフローチャートである。 予測された入側張力の時系列データを次時刻の予測に用いることを示す図である。 第1実施形態の結果の一例を示す図である。 第1実施形態の結果の一例を示す図である。 第1実施形態の結果の一例を示す図である。 第2実施形態のフローチャートである。 第3実施形態のフローチャートである。 板幅域ごとに設定された影響係数のテーブルを示した図である。 第4実施形態に対応する従来例のイメージ図である。 第4実施形態のイメージ図である。 第4実施形態のフローチャートである。 第4実施形態の変形例のフローチャートである。 現在の入側張力から各境界張力までの距離と予測点数Tとのテーブルを示した図である。 第4実施形態の変形例のフローチャートである。
符号の説明
1 連続圧延機
2 圧延材
3 張力調整手段
6 制御手段

Claims (9)

  1. 複数の圧延スタンドで圧延材に張力をかけながら圧延する連続圧延機で、当該圧延スタンドの出側板幅の実績値と目標値との偏差をなくすように、当該圧延スタンドの入側張力を変更することで圧延材の板幅を制御するに際し、
    前記圧延スタンドの出側板幅と入側張力との関係を表す板幅予測モデルを入力張力レベルに応じて複数設定した上で、予め設定した制御周期で、この複数の板幅予測モデルから入側張力に応じて少なくとも1つを選択し、選択された板幅予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出し、前記算出された出側板幅をパラメータとする評価関数を設定して、予測時間全体に亘って当該評価関数が最小となるように、各予測時刻における当該圧延スタンドの入側張力を算出し、前記算出された入側張力を当該圧延スタンドの入側張力とすることで圧延材の板幅を制御すると共に、
    前記制御周期の起点と終点との間にチェック時刻を設け、このチェック時刻で前記入側張力の算出が完了したか否かを判定し、当該入側張力の計算が完了していない場合は、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する入側張力を当該圧延スタンドに適用することを特徴とする連続圧延機の板幅制御方法。
  2. 現在の制御周期で得られた出側板幅の実績値と、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する出側板幅の予測値との差を算出し、
    この算出された出側板幅の実測値と予測値との差に、予め設定された影響係数を乗じて外乱影響値を算出し、
    この外乱影響値と1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する入側張力とを加算した上で、当該圧延スタンドに適用することを特徴とする請求項1に記載の連続圧延機の板幅制御方法。
  3. 複数の圧延スタンドで圧延材に張力をかけながら圧延する連続圧延機で、当該圧延スタンドの出側板幅の実績値と目標値との偏差をなくすように、当該圧延スタンドの入側張力を変更することで圧延材の板幅を制御するに際し、
    前記圧延スタンドの出側板幅と入側張力との関係を表す板幅予測モデルを入力張力レベルに応じて複数設定した上で、予め設定した制御周期で、この複数の板幅予測モデルから予め設定された境界張力に応じて択一的に1つを選択し、選択された板幅予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出し、前記算出された出側板幅をパラメータとする評価関数を設定して、予測時間全体に亘って当該評価関数が最小となるように、各予測時刻における当該圧延スタンドの入側張力を算出し、前記算出された入側張力を当該圧延スタンドの入側張力とすることで圧延材の板幅を制御すると共に、
    前記制御周期毎に入側張力の実績値を採取した上で前記境界張力との偏差を算出し、この偏差の絶対値のなかで、最小の値を有する張力偏差最小値を選び出し、この張力偏差最小値に応じて、板幅予測モデルの予測時間を増減させることを特徴とする連続圧延機の板幅制御方法。
  4. 前記張力偏差最小値が減少するにしたがって予測時間が長くなるように、張力偏差最小値と予測時間とを対応づけるテーブルを予め設定しておき、このテーブルを参照することで板幅予測モデルの予測時間を決定することを特徴とする請求項3に記載の連続圧延機の板幅制御方法。
  5. 前記張力偏差最小値が予め設定しておいた閾値より小なる場合は、第1予測時間を採用し、張力偏差最小値が前記閾値より大なる場合は、第2予測時間を採用するものであって、第1予測時間>第2予測時間であることを特徴とする請求項3に記載の連続圧延機の板幅制御方法。
  6. 前記評価関数は、出側板幅の予測値と目標値との偏差の二乗積分をパラメータとして有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の連続圧延機の板幅制御方法。
  7. 前記板幅予測モデルに、現時刻での出側板幅と入側張力とを入力することで、複数の予測時刻における当該圧延スタンドの出側板幅を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の連続圧延機の板幅制御方法。
  8. 前記予測された入側張力のうち、次時刻における入力張力を当該圧延スタンドの入力張力とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の連続圧延機の板幅制御方法。
  9. 前記板幅予測モデルは線形式から構成され、該線形式は、前記圧延スタンドにおける入力張力と出側板幅変化量の関係を線形近似することで得られる近似直線の傾き量をパラメータとして有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の連続圧延機の板幅制御方法。
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