JP2006150372A - 圧延材の温度制御方法及び温度制御装置 - Google Patents

圧延材の温度制御方法及び温度制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】安定で且つ精度のよい温度制御を可能とする。
【解決手段】冷却装置2を備える連続圧延装置4の板温度制御方法において、温度予測モデルを複数設定し、この複数の温度予測モデルから板温度に応じて少なくとも1つを選択し、選択された温度予測モデルから板温度を算出し、前記算出された板温度をパラメータとする評価関数を設定して、予測時間全体に亘って当該評価関数が最小となるように、各予測時刻における冷却装置2のバルブ修正量を算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、圧延材の温度制御方法及び温度制御装置に関するものである。
従来から、薄鋼板等の圧延材は、加熱されたスラブを連続圧延機に導入して、複数の圧延機で連続的に圧延することで製造されており、最終圧延機の下流側には薄鋼板を巻き取るための巻き取り機が設けられている。
最終圧延機と巻き取り機との間には、冷却材の供給量を制御するバルブを複数備えた冷却装置が設けられており、圧延材の板温度を目標温度に一致させるべく、開状態にあるバルブの本数である開バルブ本数を変更することで、圧延材の温度調整を行っていた。
このように開バルブ本数を増減させることで、圧延材の温度すなわち板温度を制御する技術は従来より数々開発されている。
例えば、特許文献1に記載された圧延材の冷却制御方法は、冷却装置の出側に設置された温度計位置での鋼板の表面温度などを推定し、かかる鋼板の表面温度などから、巻き取り機直前に設置された温度計の温度推定値を推定し、この巻き取り機直前温度が目標温度に一致するように、冷却装置での冷却材の量をフィードバック制御するものとなっていた。
また、特許文献2には、冷却装置の出側における圧延材の温度、断面形状、材質を良好にすべく、断面寸法および製品規格ごとに定めた評価関数がもっとも小さくなるように、冷却装置の冷却パターンおよび冷却装置内の圧延材の搬送速度を決定する技術が開示されている。
特開2001−259723号公報 (第2頁〜第3頁、図1) 特開平9−285810号公報 (第2頁〜第4頁、図1)
しかしながら、圧延材上に冷却材を吹きかけ冷却する際、その影響係数(冷却材を噴射するバルブ1本に対する鋼板の温度降下量)は、高温の圧延材表面に存在する冷却材の沸騰状態によって大きく変化することが知られており、圧延材の温度によってその値は大きく異なる。特に、500℃以下の温度域では影響係数の値の変化が顕著である(詳しくは、板圧延の理論と実際、日本鉄鋼協会共同研究会・圧延理論部会編、昭和59年、p147等を参照)。
したがって、特許文献1の技術を用いて実際の連続圧延装置をフィードバック制御する場合、フィードバック制御のゲイン設定が非常に難しいものとなる。例えば、目標とする板温度域の影響係数が大きく、その目標値近傍で制御ゲインを調整した場合、何らかの理由により、温度が影響係数を小さくする方向にずれたとすると、システム応答が遅くなり、追従特性や外乱抑制特性が劣化する。
逆に、目標とする温度域の影響係数が小さく、その目標値近傍で制御ゲインを調整した場合、何らかの理由により、板温度が影響係数を大きくする方向にずれたとすると、システム応答が早くなりすぎ、ハンチングを引き起こす等の問題があった。
さらに、前述した影響係数は、板温度との間に強い非線形関係があることが周知となっている。これにより、板温度と圧延材冷却のために必要とされる開バルブ本数との関係を、単一の制御モデルにより表現することが困難となっている。
したがって、特許文献2のように、単一の制御モデルを用いて、冷却装置の開バルブ本数の制御を行って板温度のコントロールをしようとしても、非線形性の強い部分において、その精度が非常に悪いものとなり、安定操業が困難であった。
この状況に対応するために、複数の制御モデルと、各制御モデルに対応する複数の評価関数とを用意し、かかる評価関数が極値を取るように最適制御を行うことが考えられる。しかしながら、この制御方法であると、制御対象の状況変化に伴って制御モデルを切り替える必要があり、この切り替えに起因するシステム不安定が非常に大きいものとなることが判明している。前記システム不安定は、制御モデルが切り替わること及び評価関数が切り替わることの両方に起因するものである。
また、前記制御モデルとそれに対応する評価関数をそれぞれ内蔵した複数のコントローラ(制御手段)を用意し、これを切り換えることで、非線形性の強い制御対象をコントロールすることも考えられるが、制御手段自体を切り換えたときに発生するシステム不安定は何ら改善されない上に、制御モデルの数に対応する複数の制御手段を用意する必要があって、コスト高の原因となっていた。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、非線形性の強い圧延材の板温度と開バルブ本数との関係を複数の温度予測モデルを用いて表現し、かかる複数の温度制御モデルを単一の評価関数で評価するようにすることで、安定で且つ精度のよい板温度の制御を可能とする圧延材の温度制御方法、及びこの制御方法を用いて圧延材を連続圧延する連続圧延装置を提供することを目的とする。
このように単一の評価関数を用いることで、温度予測モデル切り替え時に評価関数を切り替える必要がなくなり、安定性が高く高応答性の制御を実現できるようになる。加えて、評価関数を内蔵するコントローラも一つで済むようになり、装置コストを少なくすることができるようになる。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、連続圧延装置の最終圧延機と巻き取り機との間に配設され、且つ冷却材の供給量を可変とするバルブを複数備えた冷却バンクが連設されてなる冷却装置で、圧延材の温度である板温度を目標温度に一致させるべく、開状態にあるバルブの本数である開バルブ本数を変更することで前記板温度を制御する圧延材の温度制御方法において、制御対象となっている冷却バンクでの開バルブ本数の修正量と、前記板温度の変化量との関係を表す温度変化予測モデルを、板温度に応じて複数設定し、該複数の温度変化予測モデルから板温度に応じて少なくとも1つを選択し、選択された温度予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における板温度の変化量を算出し、該算出された板温度の変化量をパラメータとする評価関数を設定して、該評価関数が予測時間全体に亘って最小となるように、各予測時刻における開バルブ本数の修正量を算出し、該算出された開バルブ本数の修正量を制御対象となっている冷却バンクに適用して、板温度を制御することを特徴とする。
この技術的手段によれば、連続圧延装置の冷却装置において、非線形性の強い圧延材の板温度と開バルブ本数との関係を複数の温度予測モデルを用いて表現し、該複数のモデルを単一の評価関数で評価することで、温度予測モデル切り替え時であっても評価関数を切り替える必要がなくなり、安定性が高く高応答性の制御を実現できるようになる。加えて、評価関数を内蔵する制御手段も一つで済むようになり、装置コストを少なくすることができるようになる。
なお、前記評価関数は、板温度の変化量の予測値と目標値との偏差の二乗積分をパラメータとして有するようにするとよい。
こうすることで、評価関数は、制御対象である板温度をパラメータとして含むようになり、安定で且つ精度のよい温度制御を行うことが可能となる。
好ましくは、前記温度予測モデルは、現時刻での板温度の変化量と開バルブ本数の修正量とを入力することで、複数の予測時刻における板温度の変化量を算出するものとするとよい。
さらに好ましくは、前記予測された開バルブ本数の修正量のうち、次時刻における開バルブ本数の修正量を制御対象となっている冷却バンクの開バルブ本数の修正量とするとよい。
なお、前記板温度は巻き取り機直前での圧延材の温度であって、前記制御対象となっている冷却バンクは、冷却装置の最下流側の冷却バンクとするとよい。
これにより、板温度の計測位置と制御対象である冷却バンクとの位置とが近接するようになって「むだ時間」が少なくなり、精度のよい制御が可能となる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前述した技術的手段のいずれかに記載された圧延材の温度制御方法において、前記板温度の実績値と目標温度との差を時間積分することで、温度誤差積算値を算出し、この温度誤差積算値に予め設定された補償ゲインを乗じることにより、積分補償値を算出し、この積分補償値を前記開バルブ本数の修正量に加算した上で、制御対象となっている冷却バンクに適用することを特徴とする。
前述した技術的手段のいずれかに記載された圧延材の温度制御方法を用いるに際し、圧延中に外乱が印加された場合、かかる外乱の検出に伴い評価関数内の中間変数を再導出する必要があるため、トータルでの計算時間が膨大になり、短周期でのフィードバック制御の実現が難しくなっていた。
そこで、実測温度と目標温度との差を積分し、さらに積分補償ゲインを乗じた上でフィードバックするようにすると、外乱が印加された場合にも、計算時間を増大させず、且つ板温度の定常偏差がないように目標値に追従できる開バルブ本数の修正量を決定することが可能となる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前述の技術的手段に記載された圧延材の温度制御方法のいずれかを予め設定した制御周期で行うに際し、前記制御周期の起点と終点との間にチェック時刻を設け、このチェック時刻で前記開バルブ本数の修正量の算出が完了したか否かを判定し、当該修正量の計算が完了していない場合は、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する開バルブ本数の修正量を、制御対象である冷却バンクに適用することを特徴とする。
この技術的手段によれば、制御周期内に開バルブ本数の修正量の算出が終わらない場合、開バルブ本数をそのままの状態でホールドしておくのではなく、1つ前の制御周期で既に算出されている「開バルブ本数の修正量」を冷却バンクのバルブ変更量とすることができ、より確実な板温度の制御ができるようになる。
好ましくは、現在の制御周期で得られた板温度の変動量の実績値と、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する板温度の変動量の予測値との差を算出し、この算出された実測値と予測値との差に、予め設定された影響係数を乗じて外乱影響値を算出し、この外乱影響値と1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する開バルブ本数の修正量とを加算した上で、制御対象である冷却バンクに適用するとよい。
これによれば、1つ前の制御周期と現在の制御周期との間に起こった外乱の変化を外乱影響値として算出し、この外乱影響値を開バルブ本数の修正量と併せて冷却バンクに適用することができるため、外乱に強い制御をすることが可能となる。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前述の技術的手段のいずれかに記載された圧延材の温度制御方法を予め設定した制御周期で行うに際し、前記複数の温度予測モデルは、予め設定された境界温度に応じて択一的に使用されるものであって、前記制御周期毎に板温度の実績値を採取すると共に、かかる板温度の実績値と前記境界温度との偏差を算出し、この偏差の絶対値のなかで、最小の値を有する温度偏差最小値を選び出し、この温度偏差最小値に応じて、温度予測モデルの予測時間を増減させることを特徴とする。
一般的に、板温度が1つの温度予測モデルの中で推移する場合には、温度変化特性が大きく変動しないため、将来の長期間にわたる温度予測を行う必要性は小さい。
逆に、現在の板温度が、温度予測モデルの切り替え境界温度に近い場合、モデルが切り替わることに起因する温度変化特性の変動が大きく、それを見越した制御が必要である。そのために予測時間(予測点数)を大きくすることは非常に有効である。
したがって、本技術的手段によれば、温度予測モデルが切り替わる際に、予測時間を増減させることで、安定した板温度制御を行うことが可能となる。
好ましくは、前記温度偏差最小値が減少するにしたがって予測時間が長くなるように、温度偏差最小値と予測時間とを対応づけるテーブルを予め設定しておき、このテーブルを参照することで温度予測モデルの予測時間を決定するとよい。
さらに好ましくは、前記温度偏差最小値が予め設定しておいた閾値より小なる場合は、第1予測時間を採用し、温度偏差最小値が前記閾値より大なる場合は、第2予測時間を採用するものであって、第1予測時間>第2予測時間とするとよい。これは、温度予測モデルの予測点数H1、H2(H1>H2)を用意し、温度偏差最小値が予め設定しておいた閾値より小なる場合は、予測点数H1を採用し、温度偏差最小値が前記閾値より大なる場合は、予測点数H2を採用することと等価である。
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、連続圧延機の最終圧延機と巻き取り機との間に配設され、且つ圧延材に対する冷却材の供給量を可変とするバルブを複数備えた冷却バンクにより冷却される圧延材の板温度を制御する制御手段が備えられた温度制御装置において、前記制御手段は、冷却バンクでの開バルブ本数の修正量と板温度の変化量とをパラメータとすると共に板温度レベルに応じて複数設定された温度予測モデルから、板温度に応じて少なくとも1つを選択し、選択された温度予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における板温度の変化量を算出し、該算出された板温度の変化量をパラメータとする評価関数を設定して、該評価関数が予測時間全体に亘って最小となるように、各予測時刻における開バルブ本数の修正量を算出し、該算出された開バルブ本数の修正量を制御対象となっている冷却バンクに適用することを特徴とする。
この技術的手段によれば、制御手段を用いることで、冷却装置の開バルブ本数を適切にコントロールでき、圧延材の温度である板温度を目標温度に一致させることができるようになる。
本発明によれば、非線形性の強い圧延材の板温度と開バルブ本数との関係を複数の温度予測モデルを用いて表現し、かかる複数の温度制御モデルを統一的に取り扱うことで安定で且つ精度のよい板温度制御が可能となる。
以下、本発明にかかる圧延材の温度制御方法を、薄鋼板の熱間連続圧延装置を例示して説明する。
薄鋼板等の圧延材は、加熱されたスラブを複数の圧延機が備えられた連続圧延装置に導入し、連続的に圧延することで製造される。連続圧延装置の上流側に備えられた圧延機は粗圧延機であり、下流側に備えられた圧延機は板厚などを整える仕上げ圧延機である。
最終段に備えられた仕上げ圧延機を出た圧延材は、圧延材移送方向に配置された冷却装置内を通りながら冷却され、巻き取り機に巻き取られるようになっている。
図1は、最終圧延機1から冷却装置2、巻き取り機3に至るまでの装置構成を示した概念図である。
本発明は、この連続圧延装置4において、非線形性の強い圧延材5の板温度と冷却装置2内に備えられた冷却ノズルの本数との関係を複数の温度予測モデルを用いて表現し、かかる複数の温度予測モデルを用いることで冷却装置2の冷却能力を変更し、安定で且つ精度のよい板温度制御を可能とするものである。
なお、本実施形態の説明においては、最終圧延機1を単に圧延機と呼ぶ。圧延材5の移送方向において、移送されていく側(巻き取り機3側)を下流側、その反対側(最終圧延機1側)を上流側と呼ぶ。
前記圧延機1は、例えば一対のワークロール6,6を有すると共に、それらをバックアップする一対のバックアップロール7,7を供えている。
この圧延機1の下流側には、圧延材5を所定の温度まで冷却する冷却装置2が備えられている。この冷却装置2は、冷却バンク8を圧延材5の上下(表裏)面に備え、この冷却バンク8が圧延材移送方向に複数個連なるように配置される構成となっている。
冷却バンク8には、圧延材5に向けて冷却水(冷却材)を吹き付けて圧延材5の温度を下げる複数の冷却ノズル(図示せず)が備えられ、各冷却ノズルには冷却材の流量をオン・オフ制御可能なバルブが設けられている。このバルブを開状態にすると冷却材が冷却ノズルから噴出するようになるため、開状態のバルブ数を変更することで、冷却ノズルから圧延材5に吹き付けられる冷却材の全量が変わり、板温度の温度降下量が変わるようになる。
冷却装置2の最下流側の冷却バンクである最終冷却バンク8Lの下流側であって、後述の巻き取り機3の上流側には、放射温度計からなる温度計9が設置されており、最終冷却バンク8Lを通過した圧延材5の板温度を計測するようになっている。
温度計9の下流側には、圧延が終了した圧延材5を巻き取る巻き取り機3が設けられている。この巻き取り機3の回転軸には、軸の回転速度(回転数)を計測する回転速度計等(図示せず)が設置されている。
前記最終冷却バンク8Lの下流側に設置された温度計9の計測データ、すなわち板温度の実績値は、連続圧延装置4を制御する温度制御装置が備える制御手段10に入力される。かかる制御手段10は、後述する圧延材5の温度制御方法に基づいて、板温度を目標温度に近づけるべく、次制御周期における最終冷却バンク8Lにおける開状態であるバルブ数の修正量(バルブ修正量)を予測し、それを最終冷却バンク8Lに適用することで、当該最終冷却バンク8Lにおける冷却能力が変更される。
[第1実施形態]
前記制御手段10の中で実行される圧延材5の温度制御方法の第1実施形態について、図2〜図5に基づいて説明する。
図2のブロック図に示す如く、本実施形態の温度制御方法は、大きく、板温度変化量予測機能とバルブ修正量決定機能とに分かれている。
板温度変化量予測機能は、現時刻におけるバルブ修正量dB(0)と、現時刻での板温度T(0)と、将来(時刻H)におけるバルブ修正量の時系列データdB(1)〜dB(H)とを入力とし、圧延材5の板温度の変化量dT(0)に応じた複数の温度予測モデル(詳細は後述)を用いて、将来に亘る板温度変化量の時系列データdT(1)〜d(H)を求めるものである。
バルブ修正量決定機能とは、前記複数の温度予測モデルを用いて予測された板温度の変化量dTをパラメータとした評価関数Jが最小になるように、将来に亘るバルブ修正量(開状態にあるバルブ本数の修正量)dBの時系列データを求めるものである。
以下、図3に基づいて、板温度変化量予測機能の処理手順について述べる。
まず、制御対象となっている冷却バンクでの開バルブ本数の修正量と、前記板温度の変化量との関係を表す温度変化予測モデルを、板温度に応じて複数設定し、該複数の温度変化予測モデルから板温度に応じて少なくとも1つのモデルを選択する。
詳しくは、現時刻(t=0)での圧延材5の板温度の実績値T(0)を温度計9から取得すると共に、目標温度(基準温度)からの偏差dT(0)を算出する。加えて、制御手段10内に保存されている現在のバルブ修正量dB(0)及び将来のバルブ修正量の候補値dB(1)〜dB(H)を読み出す。なお、Hは予測点数であって制御手段10内であらかじめ設定されており、何制御周期先までを予測するかを示すパラメータとなっている。(S31)
これら取得したdT(0)とdB(0)とを基に、板温度変化量dT(0)に応じた温度予測モデルを選択した上でそれを用い、1制御周期先すなわち次時刻(t=1)の板温度変化量T(1)を算出するようにする。(S33,S34)
処理ステップS33で用いる複数の温度予測モデルは、式(1)〜式(3)に示される3つの数式モデルであり、最終冷却バンク8Lのバルブ修正量と板温度変化量とをパラメータ(変数)として含んでいる。式(1)〜式(3)はそれぞれ、一つの状態方程式(x(t+1)=・・・)と出力方程式(dT(t)=・・・)とから構成されている。
Figure 2006150372
ここで、dBはバルブ修正量(本)、dTは板温度の変化量(℃)、xは状態変数である。A1〜A3、b1〜b3、c1〜c3は係数行列であり、tは時刻である。
なお、係数b1〜b3は、図4に示された近似直線(線形化モデル)の傾き量を示すものであり、影響係数を反映する値である。 なお、影響係数とは、圧延材5に冷却水を吹きかけ冷却する際に、バルブ1本を開状態とした場合の圧延材5の温度降下量を意味するものである。影響係数と係数b1〜b3とは同一の値を持つものではなく、係数b1〜b3は、影響係数、制御対象の時定数、制御周期の関数となっている。
図4に示す如く、影響係数は板温度に対して強い非線形性を有しており、板温度が基準温度よりも高い領域では影響係数が小さくなり、係数bも小さく設定されるようになっている。また、板温度が基準温度よりも低い領域では影響係数が大きくなり、係数bも大きく設定されるようになっている。
本実施形態の場合、この曲線を3つの直線(線形化モデル1〜3)で近似し、前記係数の値をb1、b2、b3の3つとしている。
なお、S31の処理ステップでは、状態変数x(0)は適切に設定するものとする。制御周期は任意時間を採用することが可能であり、例えば、数百msecとするとよい。
次に、S32でi=1としたカウンタiをインクリメントし(S36)、最終冷却バンク8Lにおける、2制御周期先(次々時刻、t=2)の板温度変更量dT(2)を算出するようにする。すなわち、制御手段10から読み出したバルブ修正量dB(1)とカウンタi=1の処理ステップで求められた温度変量dT(1)を用いて、dT(1)の値に応じた温度予測モデルを基に、t=2での板温度の変化量dT(2)を算出する。(S34)
以下、同様の処理手順を踏むことにより、t=Hとなるまで、任意のバルブ修正量dB(t−1)を与え、このdB(t−1)と前段の処理ステップで求められたdT(t−1)を用いて、dT(t−1)の値に応じた温度予測モデルを基に、予測時刻tでの板温度の変化量dT(t)を算出する。
以上の処理を繰り返し行うことで、選択された温度予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における板温度の変化量を算出することができる。すなわち、t=1〜Hまで、すなわち将来に亘る複数時刻での板温度の変更量dT(t)を算出し出力する。(S35,S37)
次に、算出された板温度変化量dT(1)〜dT(H)から、最適制御の考え方に基づき、将来の複数時刻におけるバルブ修正量dB(1)〜dB(H)を求める(バルブ修正量決定機能)。
まず、最終冷却バンク8Lの板温度変化量とバルブ修正量とをパラメータとする温度予測モデル(式(1)〜式(3))を1つにまとめて、等価変形し、式(4)を導出する。
Figure 2006150372
ここで、A、B1〜B3、C、D1〜D3、E1〜E5は係数行列であり、dはバイナリ変数、zは連続値補助変数である。バイナリ変数dとは、0又は1の値を取る変数であり、d=0の場合は、それが乗じられている項は無いものとなる。すなわち、式(1)における「if dT<−30(dTが−30未満であれば)」等に対応するものである。
次に、前記算出された板温度の変化量をパラメータとする評価関数を設定する(この式(4)に対して、式(5)の評価関数Jを導入する)。
この評価関数Jは、各予測時刻における板温度変化量dT(t)とその目標値dTfとの差の二乗をt=0からH−1まで加えた(積分した)ものを、変数として有している。
Figure 2006150372
ここで、Hは予測点数であって、何ステップ先まで予測するかを決定づける値であり、予測時間と考えられるものである。Q1〜Q5は、重み行列であり、添え字1のついた値は目標値である。‖x‖Qは、x’・Q・xを意味する。x’は転置行列である。
また、dTfは板温度変化値の目標値であり、この値は一定ではなく、後述する様々な要因により変わるものとなっている。
この評価関数Jが最小値を取るような制約条件の下で、式(4)を解くことにより、将来の複数時刻における最適なバルブ修正量の時系列データ、すなわち目標値との誤差が将来にわたって最も小さくなるバルブ修正量dB(1)〜dB(H)を求めることができる。
具体的には、式(4)と式(5)とを連立させ整理すると、式(6),式(7)を導出できる。この式(6),式(7)を解くことで、評価関数Jが予測時間全体に亘って最小となるバルブ修正量dB(1)〜dB(H)を予測することができる。
Figure 2006150372
ここで、S1〜S3、F1〜F3は、A、B1〜B3、C、D1〜D3、E1〜E5、Q1〜Q5から求まる係数行列であり、「’」のついた行列は転置行列である。式(6)中の「subj to」は、「このような制約条件において」を意味し、「minv」は、「この式において最小となるVを探す」を意味している。
式(6)、式(7)を解くことは、数学における混合整数2次計画問題といわれるものであって、近年の研究成果から解を求めることが可能となっている。ゆえに、制御周期毎に混合整数2次計画問題を解き、行列Vの第1要素であるdBを冷却バンク8への指令とすることにより、温度予測モデル(式(1)〜式(3))に対する評価関数Jを最小化する意味での最適制御入力が求まることとなる。
換言すれば、式(6)、式(7)を解くことにより、評価関数Jが最小値を取るような制約条件の下で、将来の複数時刻における最適なバルブ修正量の時系列データ、すなわち目標値との誤差が将来わたって最も小さくなるバルブ修正量dB(1)〜dB(H)を求めることができる。
このようにして求められたバルブ修正量の時系列データdB(1)〜dB(H)を最終冷却バンク8Lに適用して圧延材5の温度制御、換言すれば冷却装置2の制御を行う。
本実施形態の場合は、前記バルブ修正量の時系列データdB(1)〜dB(H)の内で、次時刻のバルブ修正量dB(1)すなわち時系列データの最初のdBを、最終冷却バンク8Lのバルブ本数の変更量として適用する。
バルブ修正量dB(1)を冷却バンク8に適用した後、次の制御周期(t=2)での予測計算は、t=1を現時刻と考えて、将来にわたる複数の時刻における板温度変化量dT(2)〜dT(H)を算出する。
その際、図5に示すように、当該バルブ修正量決定のための繰り返し計算では、バルブ修正量の初期値として、1つ前の制御周期で予測されたdB(1)〜dB(H)を採用すると共に、現在の板温度変化量としては、実測値又は1つ前の制御周期で予測されたdT(1)を用いるようにする。その後、前述の処理ステップを順次行うことで、バルブ修正量の時系列データdB(2)〜dB(H)を予測することができ、dB(2)を冷却バンク8に適用するようにする。
同様に、次の制御周期(t=2)での予測計算は、バルブ修正量の初期値として、1つ前の制御周期で予測されたdB(2)〜dB(H)を採用すると共に、現時刻での板温度の変化量としては、実測値又は1つ前の制御周期で予測されたdT(2)を初期値として用いるようにする。その後、前述の処理ステップを順次行うことで、バルブ修正量の時系列データdB(3)〜dB(H)を得ることができ、バルブ修正量dB(3)を最終冷却バンク8Lに適用するようにする。
制御周期毎に、これらデータシフト処理及び複数から選択された温度予測モデルによる予測計算を順次繰り返すことにより、各制御周期におけるバルブ修正量の時系列データが求まり、それぞれの時系列データでの最初のバルブ修正量dBを、冷却バンク8のバルブ修正量とすることで、冷却装置2をコントロールし、板温度を制御する。
これにより、安定で且つ精度のよい温度制御が可能となる。すなわち、従来のように、それぞれの温度予測モデル毎に制御手段10を設計しておき、入側張力に応じて、制御手段10を切り換えたり制御ゲインを変更する手法に比べて、格段に安定した制御が可能となる。
本実施形態では、前記温度制御方法を制御手段10を通じて、オンラインで行っているが、オフライン計算をしておき、得られたデータに基づいて冷却装置2を制御するようにしても何ら問題はない。
なお、前述した板温度の目標値dTfは、必要に応じて適宜変更されるものとなっている。
例えば、本フィードバック制御に外乱が入った場合、目標値dTfは、式(8)に従って制御周期毎に修正することによって定常偏差なく外乱を抑制できるようになる。
Figure 2006150372
ここで、dTf=dTaimは目標値であって、dTrは温度計9で実測された温度変化量、dTpは前の制御周期にて算出された「現時点での予測温度の変化量」であってdT(1)を意味する。式(8)は、右辺第2項にて実際の温度と予測温度との差、つまり外乱を求め、外乱の分だけ目標値を修正するものとなっている。
また、薄板の熱間圧延においては、一本の圧延材5において、その先端部、中間部、及び後端部をそれぞれ異なった板温度ならびに板温度変化量に設定することがある。例えば、熱間圧延された圧延材5を巻き取り機3において巻き取った際に形成されたコイルで、コイルの径方向中途部の温度を所定のものにするため、該コイルの中心部及び外周部を高温することがあり、そのため、コイルの中心部、外周部に対応する圧延材5の先端部、後端部を圧延材5の中途部に比して高い目標温度にすることがある。この場合も、板温度変化量の目標値dTfを1本の圧延材5で変更する必要が生じる。
目標値dTfを修正する場合、図6のフローチャートに示す如く、中間変数dBf,df,zf,xfを算出する必要が生じる。かかるdBf,df,zf,xfは、dTが式(1)〜式(3)の関係を満足しながらdTfと等しくなるために必要な値であって、式(9)、式(10)のような混合整数2次計画問題を解くことにより求まるものである。(S61)
Figure 2006150372
ここで、SF1,SF2,FF1,FF2,GF1〜GF3は、A,B1〜B3,C,D1〜D3,E1〜E5から求まる係数行列であり、「’」のついた行列は転置行列である.式(10)中の「subj to」は,「このような制約条件において」を意味し、「minv」は、「この式を最小とするVを探す」を意味している。
以上述べたように、本実施形態においては、複雑な計算である混合整数2次計画問題を、「評価関数内で使用する中間変数を算出する」場合(S61)と、「評価関数Jを最小とするdB(0)〜dB(H)を計算する」場合(S62)との2回解く必要が生じているが、dTfを固定値としていないため、現実に即した制御が可能となっている。
図7には、第1実施形態の制御方法を、実際の熱間連続圧延装置4に適用した結果が示されている。
図7(a)は、目標値近傍で比例・積分制御を行う方法を採用したものであって、横軸が時刻(秒)、縦軸が板温度変動(℃)を示しており、板温度の目標として、板温度変動=0℃としている。
時刻t=5にて外乱が印加されているが、板温度変動に伴う影響係数の変化が大きいため応答性が劣化していることが明らかとなっている。
一方、図7(b)には、本実施形態の結果が示されている。すなわち、時刻t=5にて外乱が印加されているが、制御周期毎に式(6)、式(7)、式(9)、式(10)を解き、目標値を修正することにより、定常偏差なく外乱が抑制できている。また、板温度域の変化に伴う影響係数の変化が存在しているにもかかわらず、安定で且つ高い応答性を有する制御が実現できている。
[第2実施形態]
前述の如く、第1実施形態において圧延中に外乱が印加された場合、検出された外乱に伴って、評価関数J内の中間変数を最適化計算によって算出する必要がある。この最適化計算は混合整数2次計画問題であって、計算に要する時間は膨大であって短周期でのフィードバック制御を困難とする要因となっていた。
そこで、本願出願人は、外乱が印加された場合にも、計算時間を増大させないで板温度を定常偏差なく目標値に追従できるバルブ修正量を決定する技術を考案した。この技術を、以下第2実施形態として説明する。
図8には、本実施形態にかかる圧延材5の温度制御方法のブロック図が示されている。本制御方法は、第1実施形態と同様に板温度変化量予測機能、バルブ修正量決定機能とを備えている。
板温度変化量予測機能は、現時刻におけるバルブ修正量dB(0)と、現時刻での板温度T(0)と、将来(時刻H)におけるバルブ修正量の時系列データdB(1)〜dB(H)とを入力とし、圧延材5の板温度の変化量に応じた複数の温度予測モデルを用いて、将来に亘る板温度変化量の時系列データdT(1)〜d(H)を求めるものである。
バルブ修正量決定機能とは、前記複数の温度予測モデルを用いて、予測された板温度の変化量dTをパラメータとした評価関数Jが最小になるように、将来に亘るバルブ本数の修正量の時系列データdBを求めるものである。
加えて、上記両機能とは並列的に、PI制御機能を有している。
詳しくは、板温度の実績値T(0)と目標温度Taimとの差をとり、積分機能により、その差を時間的に積分して温度誤差積算値を算出し、さらに、積分補償機能により、算出された温度誤差積算値に予め設定された補償ゲインを乗じて、積分補償量を算出するようにしている。
この積分補償値を前記開バルブ本数の修正量に加算した上でフィードバックし、最終冷却バンク8Lのバルブ変更量として採用するようにしている。
当該PI制御により、第1実施形態で述べたような、「評価関数内で使用する中間変数を算出するために、混合整数2次計画問題を解く」という処理(式(9)、式(10))を省略することができるようになり、「評価関数Jを最小とするdB(0)〜dB(H)を計算するために、混合整数2次計画問題を解く」だけで済むようになる。
図9のフローチャートに基づいて、本実施形態の温度制御方法にかかるバルブ修正量の算出処理について述べる。
第1実施形態と略同様に、複数の温度予測モデルを用いて、予測された板温度の変化量dTをパラメータとした評価関数Jが最小になるように、将来に亘るバルブ本数の修正量の時系列データdBを求めるが、外乱に対応した目標値Taimの変更に伴う式(9)、式(10)の求解過程が省略される。この時、中間変数dBf,df,zf,xfに関しては、事前に目標値dTfについて式(9)、式(10)を解いて求めておき、制御周期毎にこれらdBf,df,zf,xfの値を読み出して使用し、バルブ修正量dB(t)を求めるようにする。(S91)
上記処理とは並行して、制御周期毎に温度計9により板温度を実測し、その実績値Tr(t)と目標温度Taimとの差e(t)を算出する(式(11)、S92)。
Figure 2006150372
つぎに温度誤差積算値se(t)を、式(12)に従い、制御周期毎に一つ前のse(t−1)に現在のe(t)を係数smp倍したものを加算することで時間積分して求めるようにする。ただし、1つ前の制御周期での温度誤差積算値se(t−1)は、制御手段10内に記憶されており、それを読み出して用いるようにする。(S93)
さらに、温度誤差積算値se(t)に予め設定しておいた補償ゲインgsを乗じることにより積分補償量dBs(t)を算出する(式(13)、S94)。
このようにして制御周期毎に求まるdBs(t)を、前記バルブ修正量dB(t)に加算することにより、当該制御周期でのバルブ修正量とし、最終冷却バンク8Lに対して出力する。(S95)
このように、式(9)、式(10)の求解を省略することにより、制御周期内に2回求解する必要があった非常に計算負荷の高い混合整数2次計画問題を1回の求解で済ますことができ、制御周期当たりの計算時間が激減する。式(9)、式(10)の求解を省略するだけでは、外乱が印加された場合に定常偏差が残るが、計算負荷は非常に小さい温度誤差の積分による補償を並行して実行することにより、外乱印加時の定常偏差を0にすることが可能となる。
図10には、第2実施形態の技術を実際の熱間連続圧延装置4に適用した結果が示されている。
図10(a)は図7(a)と同一グラフであって、目標値近傍で比例・積分制御を行う方法を採用したものであり、横軸が時刻(秒)、縦軸が板温度変動(℃)であって、板温度の目標として、板温度変動=0℃としている。時刻t=5にて外乱が印加されているが、板温度変動に伴う影響係数の変化がある(温度予測モデルを切り替える必要がある)ため応答性が劣化していることが明らかである。
一方、図10(b)には、本実施形態にかかる温度制御方法を採用した場合の結果が示されている。時刻t=5にて外乱が印加され、その後に若干の応答の劣化が生じるが、定常偏差なく目標値を維持していることが明らかとなっている。
図11は、第1実施形態の制御方法にかかる計算時間と、第2実施形態にかかる計算時間とを示したものである。計算時間としては、1制御周期分の平均計算時間を示しており、第1実施形態の計算時間を100として正規化している。
本実施形態の制御方法にかかる計算時間は、約35程度であり、計算時間が劇的に減少できていることがわかる。
[第3実施形態]
前述の如く、第1実施形態において圧延中に外乱が印加された場合、検出された外乱に伴って、評価関数J内の中間変数を最適化計算によって算出する必要がある。この最適化計算は混合整数2次計画問題であって、計算に要する時間は膨大であって短周期でのフィードバック制御を困難とする要因となっていた。
特に外乱が大きく変化する場合には、繰り返しの収束演算を用いた混合整数2次計画問題の求解において収束演算の繰り返し回数が増え、1制御周期内でバルブ修正量の計算が終了しないことがあった。
なぜこのような状況が発生するかといえば、繰り返し計算の初期の解候補として、1つ前の制御周期での解を用いるようにしているが、大きな外乱が印加された場合には、制御対象の状態が大きく変化し、当該制御周期での最適解が、一つ前の制御周期に算出された最適解から大きく乖離するからである。
制御周期内でバルブ修正量(制御出力)を算出する計算が終了しない場合、従来は、一つ前の制御周期でのバルブ修正量をホールドして、当該制御周期でも前回と同じバルブ修正量を最終冷却バンク8Lに適用することが行われていた。しかしながら、前回のバルブ修正量は、状態の推移した当該制御周期のバルブ修正量としては不適切であり、出力応答が劣化することがしばしばあった。
そこで、本願出願人は、制御周期の中で計算が終了しなかった場合にも、良好なバルブ修正量を算出できる技術を開発した。以下、第3実施形態として説明する。
前述の第1実施形態では、制御周期毎に現在から将来(Hステップ先)にわたってのバルブ修正量の時系列データdB(1)〜dB(H)を算出し、現在の制御周期ではdB(1)をバルブ修正量として最終冷却バルブに適用するようにしている。
しかしながら、本実施形態では、1制御周期前に算出したdB(1)〜dB(H)を記憶しておき、1制御周期内で計算時間が間に合わないときに、dB(2)を現在の制御周期でのバルブ修正量として出力するものとしている。
また、「計算時間が間に合わない」ということを判定するために、制御周期毎にタイマーを起動し、制御周期内での計算開始からの時間を計測する。計測された計算時間があらかじめ設定した値よりも大きくなった場合、すなわち、前記制御周期の起点と終点との間の所定の時刻をチェック時刻とし、このチェック時刻で、前記開バルブ本数の修正量の算出が完了したか否かを判定し、当該修正量の計算が完了していない場合は、一つ前の制御周期で算出されたdB(2)を読み出して、現在の制御周期でのバルブ修正量として最終冷却バンク8Lのバルブ変更量として採用する。
なお、「あらかじめ設定した値」は0より大きく制御周期よりも小さい値であり、その時刻に計算を打ち切ったとしても、後に続く計算が制御周期内に全てが収まるように設定された値である。
以下、図12に基づいて、本実施形態の処理手順について説明する。
まず、第1実施形態と略同様に混合整数2次問題を解くことによる最適化計算を行い、将来に亘るバルブ修正量dB(1)〜dB(H)を算出するようにする。
得られたdB(1)〜dB(H)を、制御手段10に設けられている記憶装置11(ハードディスク等)に保存するようにする。(S121)
加えて、上記処理とは並列的に、最適化計算の開始のタイミングでタイマをリセットする。当該タイマは、制御周期に比べ十分短い周期(少なくとも制御周期の10分の1の周期)で更新されるものとする。(S122)
タイマの更新に合わせて、タイマ値が設定値以上であって、さらに評価関数を最小にするdB(1)〜dB(H)の計算が終了しているかどうかがチェックされる。換言すればチェック時間以内に、バルブ修正量dB(1)〜dB(H)が算出されたかどうか確認されることになる。(S123)
もし、当該チェック時間内にdB(1)〜dB(H)の計算が終了しておれば、第1実施形態の最適化計算は続行され、計算結果であるdB(1)〜dB(H)を記憶装置11に記憶しておく。(S123でNoの場合)。
しかしながら、チェック時間内にdB(1)〜dB(H)の計算が終了していない場合、最適化計算(dB(1)〜dB(H)を算出する計算)は途中で強制終了されると共に、記憶装置11に保存しておいた前制御周期で予測されたdB(2)を読み込み、dB(2)を今回の制御周期でのバルブ修正量として出力する。(S123のYesの場合、S124、S125)
以上の処理S121〜S125を行うことで、最適化計算が制御周期内に終了しない場合でも、一つ前の制御周期に算出したバルブ修正量の予測値を用いて、準最適な制御を行うことができるようになり、板温度の変動幅を小さくすることができる。
図13には、第3実施形態の技術を実際の熱間連続圧延装置4に適用した結果が示されている。
図13(a)は、前回値をホールドした場合の温度制御結果を示すものであって、横軸が時刻(秒)、縦軸が板温度変動(℃)を示しており、板温度の目標として、板温度変動=0℃としている。時刻t=5にて外乱が印加されているため応答性が劣化していることが明らかとなっている。
一方、図13(b)には、本実施形態にかかる温度制御方法を採用した場合の結果が示されている。時刻t=5にて外乱が印加され、外乱印加直後の計算負荷増大時であっても、前回制御周期での予測結果にもとづく最終冷却バンク8Lのバルブ本数の変更がなされるため、外乱印加後すみやかに目標値に収束するようになる。
なお、本実施形態において、一つ前の制御周期におけるバルブ修正量dB(1)〜dB(H)が何らかの原因で求まっていなかった場合、さらに一つ前、すなわち現在時刻から2つ前に算出されたバルブ修正量dB(3)を読み出し、現時点でのバルブ修正量とするとよい。つまり、1つ前の制御周期の値にこだわらず、以前の制御周期の計算結果を用いるようにするとよい。
[第4実施形態]
前述した第3実施形態の制御を、より応答性の高いものとするためには、1つ前の制御周期と現在の制御周期との間に起こった外乱を考慮し、その影響を1つ前の制御周期で求められたdB(2)に加味するようにするとよい。第4実施形態は、この考えに基づいた技術である。
すなわち、現在の制御周期で得られた板温度の実績変動量と、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する板温度の予測変動量との差を算出し、この算出した値に予め設定された影響係数を乗じて外乱影響値を算出し、この外乱影響値と1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する開バルブ本数の修正量とを加算した上で、最終冷却バンク8Lに適用するものである。
詳しくは、1つ前の制御周期と現在の制御周期との間に起こった外乱の変化をB値(℃)として検出し、第3実施形態の方法で決定したdB(2)の値に対し、B値に基づく補正をしたバルブ修正量を最終冷却バンク8Lに適用するようにしている。ここで「補正」とは、B値を用いて、B値分だけの温度を補正するに必要なバルブ数(C値)を算出し、かかるC値をdB(2)に加算することをいう。B値を直接用いないのは、B値が℃の単位を有する量だからである。
前記C値を算出する際、温度をバルブ数に変換するために影響係数を乗じるが、影響係数は温度域によって変化するため、温度域毎の影響係数のテーブル(一覧表)をあらかじめ用意しておき、利用するようにしている。
図14に基づいて、以上の処理の詳細を求める。
まず、第1実施形態と略同様に混合整数2次問題を解くことによる最適化計算を行い、将来に亘るバルブ修正量dB(1)〜dB(H)を算出するようにする。
得られたdB(1)〜dB(H)ならびに計算過程で算出された予測温度変化dT(1)〜dT(H)を、制御手段10に設けられている記憶装置11(ハードディスク等)に保存するようにする。(S141)
加えて、上記処理とは並列的に、最適化計算の開始のタイミングでタイマをリセットする。当該タイマは、制御周期に比べ十分短い周期(少なくとも制御周期の10分の1の周期)で更新されるものとする。(S142)
タイマの更新に合わせて、タイマ値が設定値以上であって、さらに評価関数を最小にするdB(1)〜dB(H)の計算が終了しているかどうかがチェックされる。換言すればチェック時間以内に、バルブ修正量dB(1)〜dB(H)が算出されたかどうかが確認されることになる。(S143)
もし、当該チェック時間内にdB(1)〜dB(H)の計算が終了しておれば、第1実施形態の最適化計算は続行され、計算結果であるdB(1)〜dB(H)を記憶装置11に記憶しておく。(S143でNoの場合)。
しかしながら、チェック時間内にdB(1)〜dB(H)の計算が終了していない場合、最適化計算(dB(1)〜dB(H)を算出する計算)は途中で強制終了されると共に、記憶装置11に保存しておいた前制御周期で予測されたdB(2)、dT(1)を読み込む。(S144)
次に、図15に示すような、温度域毎に設定された影響係数のテーブルから現在の板温度T(0)に対応する影響係数dB/dT(図14のBT)を読み込む。影響係数のテーブルは、例えば前記記憶装置11に保存されているものである。(S145)
さらに、現在の温度変動実測値dTrと、前周期での温度変動予測値dT(1)の差をとりB値を算出すると共に、B値にdB/dTを乗じたC値を算出する。その後、読み込み済みである前周期でのバルブ修正量dB(2)にC値を加算することによりD値を算出する。(S146)
そして、当該D値を今回の制御周期でのバルブ修正量として出力するようにする。(S147)
以上述べた処理S141〜S147を行うことにより、1つ前の制御周期に算出した予測値を最新の外乱検出値に基づいて補正するため、より温度変動を小さくすることができる。
さらに、従来は、前ステップホールド値を用いていたため、見かけ上の制御周期が2倍となり、応答劣化が必然的に発生していた。この状況を回避すべく、多くの場合、計算が時間内に収まるような大きめの制御周期を用いていた。しかしながら、本実施形態を採用することにより、前述のような応答劣化のリスクが低減され、制御周期を短く設定することが可能となる。全体としての制御系の応答性が格段に向上する。
図16には、本実施形態の技術を実際の熱間連続圧延装置4に適用した結果が示されている。
図16(a)は、前回値をホールドした場合の温度制御結果を示すものであって、横軸が時刻(秒)、縦軸が板温度変動(℃)を示しており、板温度の目標として、板温度変動=0℃としている。時刻t=5にて外乱が印加されているため、応答性が劣化していることが明らかである。
一方、図16(b)には、本実施形態を採用した場合の結果が示されている。時刻t=5にて外乱が印加され、外乱印加直後の計算負荷増大時にも、前回制御周期での予測結果にもとづく最終冷却バンク8Lのバルブ本数変更がなされるため、外乱印加後、すみやかに目標値に収束する。
また、第3実施形態を結果を示した図13(b)と比較しても、外乱抑制能力が向上していることが明らかである。
[第5実施形態]
前述の第1実施形態を実際の連続圧延装置4に適用した際に、圧延材5の板温度が1つの温度予測モデルの中で推移する場合、温度予測モデルが切り替わることに起因する板温度の特性の変動を考慮する必要はない。しかしながら、近い将来に温度予測モデルが切り替わることが明らかな場合は、その切り替わりを考慮した上で、バルブ修正量の算出や板温度予測を行うと、応答性の高い制御が可能となる。
すなわち、現在の板温度が、温度予測モデル間での切り替わり温度(境界温度)から離れた位置にいる場合には、将来に対する予測点数H(予測時間)は、小さくても構わない。逆に、現在の板温度が境界温度に近い場合には、かかる境界温度を越えて特性が変化することを見越して予測点数Hを大きくし、切り替わる前後の温度予測モデル両方の特性をトータルで考慮するようにすると、境界温度前後での応答性が非常に良くなる。
図17には、従来法での温度予測における予測点数に関するイメージが示されている。
この図で1番上のグラフは、時刻tでの現在温度の位置と予測区間(=予測点数H)を表しており、2番目の図は次の制御周期である時刻t+1での現在温度の位置と予測区間を表している。以降、順に制御周期毎での現在温度の位置と予測区間を表している。
従来法では、全ての制御周期において、同一の予測点数Hを採用するため、時刻tのように温度予測モデル1と温度予測モデル2の境界から十分離れた場合にも、不必要な長い予測時間だけ計算を行わなければならなかった。そのため不要な計算負荷が生じていた。
一方、本実施形態の技術は、図18に示すようなものであって、可変である予測点数Hを用いている。時刻tでは、現在の板温度が、温度予測モデルの境界温度から離れた位置にいるため、予測点数は小さい値であるH2が採用されており、時刻t+3では、板温度が境界温度に近く、予測点数は大きな値であるH1が採用されている。
図19に基づいて、可変である予測点数Hの決定方法について述べる。
まず、制御開始時点において、あらかじめ記憶装置11に記憶しておいた各温度予測モデルの境界温度Tb(1)〜Tb(m−1)を読み込むようにする。ここでmはモデルの個数を表す。(S191)
次に、現在の制御周期において採取された板温度実測値Trを取得する。(S192)
そして、板温度実測値Trと各境界値Tb(1)〜Tb(m−1)との差の絶対値eT(1)〜eT(m−1)を式(14)に基づいて算出する。各eT(i)は、現在の板温度から各境界温度までの距離(ノルム)に相当する値である。(S193)
Figure 2006150372
その上で、eT(1)〜eT(m−1)の内、最小の値mineTを求める。このmineTは、現在の板温度から最も近い境界温度までの距離に相当する。(S194)
続いて、mineTから予測点数Hを決定し(S195)、かかるHを用いて、第1実施形態の温度制御方法により最終冷却バンク8Lに適用するバルブ修正量を算出するようにする。(S196)
以上の処理S191〜S196は、すべて1回の制御周期に処理される内容である。
図19のフローチャートに示した処理を実際の連続圧延装置4に適用した実施例を以下に示す。
まず、制御開始時点において、あらかじめ記憶装置11に記憶しておいた、各モデルの境界値(境界温度)Tb(1)〜Tb(m−1)を読み込む。例えば、モデル数m=3、Tb(1)=400℃、Tb(2)=500℃である。
次に、現在の制御周期において採取された板温度実測値Trを取得する。例えば、Tr=440℃である。
そして、板温度実測値Trと各境界値Tb(1)〜Tb(m−1)との差の絶対値eT(1)〜eT(m−1)を式(14)に基づいて算出する。すなわち、eT(1)=|Tr−Tb(1)| = 40℃であって、eT(2)=|Tr−Tb(2)| = 60℃である。
これら、eT(1)〜eT(m−1)の内、最小の値mineTを求める。つまり、mineT=40℃である。
求まったmineT=40℃を式(15)に代入して、予測点数Hを決定する。mineT=40℃ であるので、H=6となる。
Figure 2006150372
以降、求まったHを用いて、制御周期ごとに、第1実施形態の温度制御方法を用いてバルブ修正量dBを算出するようにする。なお、次の制御周期に、例えばTr=410℃となったとする。この場合、eT(1)=10℃、eT(2)=90℃となるため、mineT=10℃、で、予測点数はH=10と変更されることになる。
予測点数Hの決定方法のやり方は、上記のものに限定されない。
すなわち、図20に示す如く、あらかじめ記憶装置11に記憶しておいた、mineTと予測点数Hを対応づけるテーブル、ならびに各モデルの境界温度Tb(1)〜Tb(m−1)を読み込んでおく。(S201)
mineTが算出された後、図21に示すようなテーブルを参照し、予測点数Hを決定する。
その後、第1実施形態と同様の計算方法に基づいてバルブ修正量dBを算出するようになる。(図19のS191〜S196に対応)
また、図22に示すように、各制御周期において、mineTが算出された後、閾値eTsとmineTを比較し、もし、mineTがeTsよりも小さければ、予測点数HをH1とし、mineTがeTs以上であれば予測点数HをH2とするようにしてもよい。
このとき、H1>H2としておくことは非常に好ましい。なぜならば、境界温度に近づいた場合に予測点数Hを増やすことで、影響係数が変化した後の温度変化を考慮したバルブ修正量dBを決定できるようになるからである。
詳しくは、制御開始時点において、あらかじめ記憶装置11に記憶しておいた予測点数の設定値H1、H2、ならびに各温度予測モデルの境界温度Tb(1)〜Tb(m−1)、閾値eTsを読み込む。ここで、モデル数m=3、Tb(1)=400℃、Tb(2)=500℃とする。また、H1=10、H2=5、eTs=20℃とする。(S221〜S223)
次に、板温度の実測値Tr=440℃を取得する。さらに、板温度実測値Trと各境界値Tb(1)〜Tb(m−1)との差の絶対値eT(1)〜eT(m−1)を算出する。eT(1)=|Tr−Tb(1)| = 40℃、eT(2)=|Tr−Tb(2)| = 60℃である。その後、eT(1)〜eT(m−1)の内、最小の値mineT=40℃を求めるようにする。(S224〜S226)
続いて、mineTと閾値eTsを比較することにより予測点数Hを決定する。もし、mineTがeTsよりも小さければ、予測点数HをH1=10とし、mineTがeTs以上であれば予測点数HをH2=5とする。本実施例の場合、mineT=40℃、eTs=20℃ であることから、H=5となる。(S227〜S229)
この予測点数Hを用いて、第1実施形態の温度予測方法に基づいて、バルブ修正量dBが算出される。以降、制御周期毎に以上の処理を繰り返す。
図23(a)に前記従来法における温度制御結果を示している。横軸(秒)が時刻であり、縦軸に板温度変動(℃)を取っている。板温度変動=20℃の点にて影響係数が変化するものと仮定している。初期温度偏差50℃として制御を開始した後、時刻0.8sec近辺で計算負荷が大きくなったため、バルブ修正量がホールドされ、その後の応答速度が低下している。時刻1.6secで目標値である板温度変動=0℃に到達するものとなっている。
図23(b)には、「mineTがeTsよりも小さければ、予測点数HをH1=10とし、mineTがeTs以上であれば予測点数HをH2=5とする」ようにしたときの温度制御結果を示す。予測点数が可変となって計算時間が劇的に低減できたため、バルブ修正量のホールド等が起こらず、図に示されるように時刻1.0secで目標値である板温度変動=0℃に到達している。
図24には、図23(a)に対応する従来法での計算時間と、図23(b)に対応する本実施形態での計算時間とが示されている。なお、計算時間は、従来法での計算時間を100として正規化されている。本実施形態の方法では、むだな予測点数を削減することにより、計算時間の劇的な低減を実現している。
以上述べたように、予測点数Hを可変とすることで、不要な計算負荷を減らすことができ、外乱が印加された場合のように計算負荷が増大するときにも、制御周期内にバルブ修正量の算出処理を完結させることが可能となる。
なお、本発明にかかる圧延材の温度制御方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。
すなわち、薄鋼板の熱間連続圧延を例示して説明を行ったが、厚鋼板の場合であっても適用可能である。
本発明にかかる温度制御方法は、熱間圧延された圧延材における板温度と冷却装置の開状態バルブ本数のように、非線形性の強い関係を有する対象の制御に有効であり、他の非線形性の強い制御対象にも適用可能である。
本実施形態が適用される連続圧延装置の構成を示した図である。 第1実施形態のブロック図である。 温度予測機能のフローチャートである。 板温度と影響係数との関係を示す図である。 予測されたバルブ修正量の時系列データを次時刻の予測に用いることを示す図である。 バルブ修正量決定機能のフローチャートである。 第1実施形態の結果を示す図である。 第2実施形態のブロック図である。 第2実施形態のフローチャートである。 第2実施形態の結果を示す図である。 第1実施形態および第2実施形態の計算時間を示す図である。 第3実施形態のフローチャートである。 第3実施形態の結果を示す図である。 第4実施形態のフローチャートである。 温度域毎に設定された影響係数のテーブルを示したものである。 第4実施形態の結果を示す図である。 第5実施形態に対応する従来例のイメージ図である。 第5実施形態のイメージ図である。 第5実施形態のフローチャートである。 第5実施形態の変形例のフローチャートである。 現在の板温度から各境界温度までの距離と予測点数Hとのテーブルを示したものである。 第5実施形態の変形例のフローチャートである。 第5実施形態の結果を示す図である。 第5実施形態の計算時間を示す図である。
符号の説明
1 最終圧延機
2 冷却装置
3 巻き取り機
4 連続圧延装置
5 圧延材
8 冷却バンク
8L 最終冷却バンク
9 温度計
10 制御手段

Claims (12)

  1. 連続圧延装置の最終圧延機と巻き取り機との間に配設され、且つ冷却材の供給量を可変とするバルブを複数備えた冷却バンクが連設されてなる冷却装置で、圧延材の温度である板温度を目標温度に一致させるべく、開状態にあるバルブの本数である開バルブ本数を変更することで前記板温度を制御する圧延材の温度制御方法において、
    制御対象となっている冷却バンクでの開バルブ本数の修正量と、前記板温度の変化量との関係を表す温度変化予測モデルを、板温度に応じて複数設定し、
    該複数の温度変化予測モデルから板温度に応じて少なくとも1つを選択し、
    選択された温度予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における板温度の変化量を算出し、
    該算出された板温度の変化量をパラメータとする評価関数を設定して、
    該評価関数が予測時間全体に亘って最小となるように、各予測時刻における開バルブ本数の修正量を算出し、
    該算出された開バルブ本数の修正量を制御対象となっている冷却バンクに適用して、板温度を制御することを特徴とする圧延材の温度制御方法。
  2. 前記評価関数は、板温度の変化量の予測値と目標値との偏差の二乗積分をパラメータとして有していることを特徴とする請求項1に記載の圧延材の温度制御方法。
  3. 前記温度予測モデルは、現時刻での板温度の変化量と開バルブ本数の修正量とを入力することで、複数の予測時刻における板温度の変化量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延材の温度制御方法。
  4. 前記予測された開バルブ本数の修正量のうち、次時刻における開バルブ本数の修正量を制御対象となっている冷却バンクの開バルブ本数の修正量とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延材の温度制御方法。
  5. 前記板温度は巻き取り機直前での圧延材の温度であって、前記制御対象となっている冷却バンクは、冷却装置の最下流側の冷却バンクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延材の温度制御方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された圧延材の温度制御方法において、
    前記板温度の実績値と目標温度との差を時間積分することで、温度誤差積算値を算出し、
    この温度誤差積算値に予め設定された補償ゲインを乗じることにより、積分補償値を算出し、
    この積分補償値を前記開バルブ本数の修正量に加算した上で、制御対象となっている冷却バンクに適用することを特徴とする圧延材の温度制御方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載された圧延材の温度制御方法を、予め設定した制御周期で行うに際し、
    前記制御周期の起点と終点との間にチェック時刻を設け、
    このチェック時刻で前記開バルブ本数の修正量の算出が完了したか否かを判定し、
    当該修正量の計算が完了していない場合は、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する開バルブ本数の修正量を、制御対象である冷却バンクに適用することを特徴とする圧延材の温度制御方法。
  8. 現在の制御周期で得られた板温度の変動量の実績値と、1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する板温度の変動量の予測値との差を算出し、
    この算出された実測値と予測値との差に、予め設定された影響係数を乗じて外乱影響値を算出し、
    この外乱影響値と1つ前の制御周期で既算出であって現在の制御周期に対応する開バルブ本数の修正量とを加算した上で、制御対象である冷却バンクに適用することを特徴とする請求項7に記載の圧延材の温度制御方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載された圧延材の温度制御方法を、予め設定した制御周期で行うに際し、
    前記複数の温度予測モデルは、予め設定された境界温度に応じて択一的に使用されるものであって、
    前記制御周期毎に板温度の実績値を採取すると共に、かかる板温度の実績値と前記境界温度との偏差を算出し、
    この偏差の絶対値のなかで、最小の値を有する温度偏差最小値を選び出し、
    この温度偏差最小値に応じて、温度予測モデルの予測時間を増減させることを特徴とする圧延材の温度制御方法。
  10. 前記温度偏差最小値が減少するにしたがって予測時間が長くなるように、温度偏差最小値と予測時間とを対応づけるテーブルを予め設定しておき、このテーブルを参照することで温度予測モデルの予測時間を決定することを特徴とする請求項9に記載の圧延材の温度制御方法。
  11. 前記温度偏差最小値が予め設定しておいた閾値より小なる場合は、第1予測時間を採用し、温度偏差最小値が前記閾値より大なる場合は、第2予測時間を採用するものであって、第1予測時間>第2予測時間であることを特徴とする請求項9に記載の圧延材の温度制御方法。
  12. 連続圧延機の最終圧延機と巻き取り機との間に配設され、且つ圧延材に対する冷却材の供給量を可変とするバルブを複数備えた冷却バンクにより冷却される圧延材の板温度を制御する制御手段が備えられた温度制御装置において、
    前記制御手段は、冷却バンクでの開バルブ本数の修正量と板温度の変化量とをパラメータとすると共に板温度レベルに応じて複数設定された温度予測モデルから、板温度に応じて少なくとも1つを選択し、選択された温度予測モデルを用いて、将来の複数の予測時刻における板温度の変化量を算出し、該算出された板温度の変化量をパラメータとする評価関数を設定して、該評価関数が予測時間全体に亘って最小となるように、各予測時刻における開バルブ本数の修正量を算出し、該算出された開バルブ本数の修正量を制御対象となっている冷却バンクに適用することを特徴とする温度制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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