JP4272686B2 - ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法 - Google Patents

ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4272686B2
JP4272686B2 JP2007536438A JP2007536438A JP4272686B2 JP 4272686 B2 JP4272686 B2 JP 4272686B2 JP 2007536438 A JP2007536438 A JP 2007536438A JP 2007536438 A JP2007536438 A JP 2007536438A JP 4272686 B2 JP4272686 B2 JP 4272686B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
column
diol
catalyst
distillation column
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007536438A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007034669A1 (ja
Inventor
裕紀 宮地
伸典 福岡
広志 八谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Publication of JPWO2007034669A1 publication Critical patent/JPWO2007034669A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4272686B2 publication Critical patent/JP4272686B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C68/00Preparation of esters of carbonic or haloformic acids
    • C07C68/06Preparation of esters of carbonic or haloformic acids from organic carbonates
    • C07C68/065Preparation of esters of carbonic or haloformic acids from organic carbonates from alkylene carbonates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C27/00Processes involving the simultaneous production of more than one class of oxygen-containing compounds
    • C07C27/26Purification; Separation; Stabilisation
    • C07C27/28Purification; Separation; Stabilisation by distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/74Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation
    • C07C29/76Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment
    • C07C29/80Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment by distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C31/00Saturated compounds having hydroxy or O-metal groups bound to acyclic carbon atoms
    • C07C31/18Polyhydroxylic acyclic alcohols
    • C07C31/20Dihydroxylic alcohols

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールとを反応させてなるジアルキルカーボネートとジオールの製造方法に関する。
環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類の反応からジアルキルカーボネートとジオール類を製造する方法については、いくつかの提案がなされているが、反応方式としてはこれまで4つの方式が提案されている。これら4つの反応方式は、最も代表的な反応例であるエチレンカーボネートとメタノールからのジメチルカーボネートとエチレングリコールの製造方法において用いられている。
すなわち、第1の方式は、エチレンカーボネート、メタノールおよび触媒をバッチ式反応容器であるオートクレーブに仕込んだ後反応させる、完全なバッチ式反応方式である(たとえば、特許文献1:米国特許第3642858号明細書、特許文献2:特開昭54−48715号公報(米国特許第4181676号明細書)、特許文献5:特開昭54−63023号公報、特許文献6:特開昭54−148726号公報、特許文献7:特開昭55−64550号公報、特許文献8:特開昭55−64551号公報、特許文献9:特開昭56−10144号公報参照)。
第2の方式は、反応釜の上部に蒸留塔を設けた装置を用いるものであって、エチレンカーボネート、メタノールおよび触媒を反応容器に仕込み、所定の温度に加熱することによって反応を進行させる、蒸留塔を備えたバッチ式反応方式である(たとえば、特許文献3:特開昭51−122025号公報(米国特許第4062884号明細書)、特許文献4:特開昭54−48716号公報(米国特許第4307032号明細書)、特許文献14:米国特許第3803201号明細書参照)。
第3の方式は、所定の反応温度に保たれた管状リアクターにエチレンカーボネートとメタノールの混合溶液を連続的に供給し、他方の出口より未反応のエチレンカーボネートとメタノールと生成物であるジメチルカーボネートおよびエチレングリコールとを含む反応混合物を液状で連続的に抜き出す連続流通反応方式である(たとえば、特許文献10:特開昭63−41432号公報(米国特許第4661609号明細書)、特許文献11:特開昭63−238043号公報、特許文献12:特開昭64−31737号公報(米国特許第4691041号明細書)、特許文献13:米国特許第4734518号明細書参照)。
第4の方式は、反応蒸留方式、すなわち、多段蒸留塔内にエチレンカーボネートとメタノールをそれぞれ連続的に供給し、該蒸留塔の複数段で触媒の存在下に反応を行なうと同時に、生成したジメチルカーボネートとエチレングリコールの分離が同じ蒸留塔内で行われる、連続的製造方法である(たとえば、特許文献15:特開平4−198141号公報、特許文献16:特開平4−230243号公報、特許文献17:特開平5−213830号公報(ドイツ特許第4129316号明細書)、特許文献18:特開平6−9507号公報(ドイツ特許第4216121号明細書)参照)。
このように、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールからジアルキルカーボネートとジオール類を製造するこれまでに提案された方法は、
(1)完全なバッチ反応方式;
(2)蒸留塔を上部に設けた反応釜を用いるバッチ反応方式;
(3)管式リアクターを用いる液状流通反応方式;
(4)反応蒸留方式;
の4方式であるが、それぞれ、以下に述べるような問題点が指摘されている。
すなわち、この反応は小さい平衡定数を持つ平衡反応であるため、(1)、(3)の場合には、環状カーボネートの転化率の上限は仕込み組成と温度から決まり、反応を完全に終結させることはできず、転化率が低い。また、(2)の場合には環状カーボネートの転化率を高めるためには、極めて大量の脂肪族1価アルコールを使用しなければならない。(4)の場合には、(1)、(2)、(3)と比較して、高い転化率で反応を進行させることが可能であり、もっとも優れた反応である。たとえば、特許文献15の実施例1では、エチレンカーボネートの転化率は100%であり、エチレングリコールの反応収率および選択率は99.5%である。また、特許文献16の実施例1では、エチレンカーボネートの転化率は100%であり、エチレングリコールの反応収率および選択率は99.4%である。このように、(4)反応蒸留方式では、高い転化率・選択率を示している。さらに、微量の未反応環状カーボネートが生成ジオール中に残存した場合の対応として、未反応環状カーボネートを加水分解させる方法(たとえば、特許文献19:国際公開97/23445号パンフレット参照)や、ジオールとの反応によるエーテル転化させる方法(たとえば、特許文献20:国際公開00/51954号パンフレット参照)も提案されている。
しかしながら、これまで提案されている反応蒸留方式での検討を進める過程で、製造されたジオールについて、特定の波長の紫外線透過率が低いことや、アルデヒド系化合物を含有するという新たな問題点が発見された。この問題点については、ジオールの蒸留精製工程に特定の水を供給することで、高い紫外線透過率を保持しアルデヒド含量の低い高純度のジオールを得る方法が提案されている(たとえば、特許文献21:特開2002−308804号公報、特許文献22:特開2004−131394号公報、参照)。しかしながら、この方式はジオール蒸留精製工程に水を供給するものであり、プロセスが複雑になるという課題があり、更なる改善が求められている。
環状カーボネートと脂肪族1価アルコールからジアルキルカーボネートとジオールを製造する際に、環状カーボネートの転化率が高く、かつ、生成するジアルキルカーボネートとジオールの選択率が高く、かつ、ジオール蒸留精製工程に水を供給する等の複雑な処理をすることなく、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを得ることを同時に満たす方法は、これまで全く提案されていない。
本発明は、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールからジアルキルカーボネートとジオールを製造する際に、環状カーボネートの転化率が高く、かつ、生成するジアルキルカーボネートとジオールの選択率が高く、かつ、ジオール蒸留精製工程に水を供給する等の複雑な処理をすることなく、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを得ることを同時に満たす方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、ジオールの紫外線透過率を低減させるアルデヒドなどの物質の生成反応機構に着目し、鋭意検討を重ねた結果、棚段塔式連続多段蒸留塔であるエステル交換反応器内での反応条件(滞留時間、温度)が紫外線透過率低減物質の生成反応に大きく影響すること、さらにその影響が棚段部と塔底部で異なることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.環状カーボネートを主成分とする第一原料と脂肪族1価アルコールを主成分とする第二原料を、棚段塔式連続多段蒸留塔に連続的に供給し、該蒸留塔内に存在させた触媒と接触させることによって、棚段部および塔底部で反応を行わせると同時に、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を該蒸留塔の上部から連続的に抜き出し、生成するジオールを含む高沸点成分を塔下部より連続的に抜き出すことにより、連続的にジアルキルカーボネートとジオールを製造するに際し、
(a)下記式(1):
780 ≦ α+1.24×β ≦ 5150 式(1)
式中
α = θ10.52×(T1+120)1.2
β = θ20.52×(T2+120)1.2
θ1(Hr):該蒸留塔の触媒が存在する棚段部における反応液の平均滞留時間
T1(℃):触媒が存在する棚段部の全段数n段に対し上からn/2段目(nが奇 数の場合は(n+1)/2段目)の温度
θ2(Hr):塔底部における反応液の平均滞留時間
T2(℃):塔底部の温度
を満足し、かつ
(b)θ1が0.3〜20時間、θ2が0.3〜25時間であり、
(c)T1が30〜170℃の範囲、T2が50〜220℃の範囲である、
ジアルキルカーボネートとジオールの連続的製造方法、
2.触媒が均一系触媒であることを特徴とする、前項1記載のジアルキルカーボネートとジオールの連続的製造方法
を提供する。
本発明の方法により、環状カーボネートと脂肪族1価アルコールからジアルキルカーボネートとジオールを製造する際に、環状カーボネートの転化率が高く、かつ、生成するジアルキルカーボネートとジオールの選択率が高く、かつ、ジオール蒸留精製工程に水を供給する等の複雑な処理をすることなく、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを同時に満たすことができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の反応は、環状カーボネート(A)と脂肪族1価アルコール類(B)から、ジアルキルカーボネート(C)とジオール類(D)が生成する、下記一般式(I)で表わされる可逆平衡なエステル交換反応である。
Figure 0004272686
[式中、R1は2価の基−(CH2m−(mは2〜6の整数)を表し、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基によって置換されていてもよい。また、R2は炭素数1〜12の1価の脂肪族基を表し、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基によって置換されていてもよい。]
本発明において、ジオールの紫外線透過率低下物質については、微量成分であり完全には同定されていないが、ジオール類(D)より、下記一般式(II)で表される不可逆脱水反応によってアルデヒド類(E)が生成すると考えられる。
Figure 0004272686
[式中、R3は1価の基CH3−(CH2m-2−(mは2〜6の整数)を表し、その1個以上の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基によって置換されていてもよい。]
このアルデヒド類(E)およびアルデヒド類(E)がさらに反応して生成した物質が、紫外線透過率低下物質であると考えられる。
本発明において、環状カーボネートの転化率が高く、かつ、生成するジアルキルカーボネートとジオールの選択率が高く、かつ、ジオール蒸留精製工程に水を供給する等の複雑な処理をすることなく、高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを得ることを同時に満たすことができる理由は明らかとなっていないが、次のような理由が考えられる。
上記反応式(II)はジオールの一次脱水反応であり、滞留時間および温度が反応に大きく影響し、滞留時間と温度がともに大きくなれば、反応はより進行すると考えられる。特に、本発明の式(1)中のαおよびβにおいて滞留時間に比べて温度の次数が大きいのは、上記反応式(II)の温度依存が大きいためであると考えられる。また、棚段塔式連続多段蒸留塔であるエステル交換反応器では、高沸点成分であるジオールは塔下部より抜き出されることより、塔底部は棚段部に比べてジオール濃度が高いため、上記反応(II)の反応機構からアルデヒド生成に対する寄与が大きく、本発明の式(1)において、βにかかる係数が大きくなっていると考えられる。
本発明の式(1)において、α+1.24×βの値が5150よりも大きくなると生成するジオールの紫外線透過率が低くアルデヒド含量が高い、低純度のジオールとなってしまう。α+1.24×βの値が780よりも小さくなると、反応(I)が進行せず、環状カーボネートの転化率およびジアルキルカーボネートとジオールの選択率が低下してしまう。このため、式(1)の範囲としては、780≦α+1.24×β≦5150の反応条件が選択され、好ましくは1200≦α+1.24×β≦4300、より好ましくは1600≦α+1.24×β≦3700となる。
該蒸留塔の触媒が存在する棚段部における反応液の平均滞留時間θ1(時間)としては、長すぎると反応(II)が進行してアルデヒド類が生成し、短すぎると反応(I)が進行せず環状カーボネートの転化率およびジアルキルカーボネートとジオールの選択率が低下してしまうため、通常、0.3〜20時間、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは0.8〜6時間である。なお、触媒が存在しない棚段部では、反応(I)が進行しないため、ジオール濃度が極めて低く、反応(II)も進行しない。
塔底部における反応液の平均滞留時間θ2(時間)も同様の理由より、通常、0.3〜25時間、好ましくは0.5〜16時間、より好ましくは1.0〜11時間である。
触媒が存在する棚段部の全段数n段に対し上からn/2段目(nが奇数の場合は(n+1)/2段目)の温度T1(℃)、塔底部の温度T2(℃)については用いる原料化合物の種類、反応圧力によっても異なるが、T1に関しては、通常、−20〜350℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは30〜170℃である。T2に関しては、通常、−20〜350℃、好ましくは10℃〜250℃、より好ましくは50〜220℃である。これらの温度が高すぎる場合には反応(II)が進行してアルデヒド類が生成し、低すぎると反応(I)が進行せず環状カーボネートの転化率およびジアルキルカーボネートとジオールの選択率が低下してしまう。
また、該蒸留塔の操作圧力は、減圧、常圧、加圧いずれであってもよく、絶対圧力で表して、通常、1Pa〜2×106Pa、好ましくは1×103〜1×106Pa、さらに好ましくは1×104〜5×105Paである。通常、操作圧力は、該蒸留塔の反応温度T1とT2が適切な温度となるように、該蒸留塔内組成から決定される。
本発明で用いられるエステル交換反応器の形式は、棚段塔式連続多段蒸留塔である。連続多段蒸留塔とは、蒸留の段数が2段以上の複数段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものを指す。本発明でいう段とは、棚段の実段数である。
このような棚段塔式連続多段蒸留塔としては、たとえば、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用したものなど、通常、連続式の棚段塔式多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。また、固体触媒を用いる場合、この固体触媒を棚段および塔底部に固定した棚段塔式連続多段蒸留塔を用いることもできる。また、本発明で用いられる連続多段蒸留塔は、上記の蒸留塔を単独で用いてもよいし、複数の該蒸留塔を直列または並列に接続することで複数組み合わせて用いることもできる。
本発明で原料として用いられる環状カーボネートとは、前記反応式(I)において(A)で表わされる化合物であって、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類や、1,3−ジオキサシクロヘキサ−2−オン、1,3−ジオキサシクロヘプタ−2−オンなどが好ましく用いられ、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートが入手の容易さなどの点からさらに好ましく使用され、エチレンカーボネートが特に好ましく使用される。
また、もう一方の原料である脂肪族1価アルコール類とは、前記反応式(I)において(B)で表わされる化合物であって、生成するジオールより沸点が低いものが用いられる。したがって、使用する環状カーボネートの種類にもよっても変わり得るが、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、アリルアルコール、ブタノール(各異性体)、3−ブテン−1−オール、アミルアルコール(各異性体)、ヘキシルアルコール(各異性体)、ヘプチルアルコール(各異性体)、オクチルアルコール(各異性体)、ノニルアルコール(各異性体)、デシルアルコール(各異性体)、ウンデシルアルコール(各異性体)、ドデシルアルコール(各異性体)、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、メチルシクロペンタノール(各異性体)、エチルシクロペンタノール(各異性体)、メチルシクロヘキサノール(各異性体)、エチルシクロヘキサノール(各異性体)、ジメチルシクロヘキサノール(各異性体)、ジエチルシクロヘキサノール(各異性体)、フェニルシクロヘキサノール(各異性体)、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール(各異性体)、フェニルプロパノール(各異性体)などが挙げられ、さらに、これらの脂肪族1価アルコール類において、ハロゲン、低級アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基等の置換基によって置換されていてもよい。
このような脂肪族1価アルコール類の中で、好ましく用いられるのは炭素数1〜6のアルコール類であり、さらに好ましいのはメタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)の炭素数1〜4のアルコール類である。環状カーボネートとしてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートを使用する場合に、好ましいのはメタノール、エタノールであり、特に好ましいのはメタノールである。
本発明の方法においては、エステル交換反応器内に触媒を存在させる。触媒を存在させる方法はどのような方法であってもよいが、たとえば、反応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒の場合、エステル交換反応器内に連続的に触媒を供給することにより、エステル交換反応器内の液相に触媒を存在させることもできるし、あるいは反応条件下で反応液に溶解しないような不均一系触媒の場合、エステル交換反応器内に固体触媒を配置することにより、反応系に触媒を存在させることもできるし、これらを併用した方法であってもよい。
均一系触媒をエステル交換反応器である多段蒸留塔内に連続的に供給する場合には、環状カーボネートおよび/または脂肪族1価アルコールと同時に供給してもよいし、原料とは異なる位置に供給してもよく、塔底から少なくとも1段以上の段数を有する位置であればどの位置にエステル交換触媒を供給してもよい。しかし、該蒸留塔内で実際に反応が進行するのは触媒供給位置から下の領域であることから、塔頂から原料供給位置までの間の領域に該触媒を供給することが好ましい。
また、不均一系の固体触媒を用いる場合、該触媒は該反応器の任意の位置に必要量設置することができ、該触媒の存在する段の段数が少なくとも1段以上あればよく、好ましくは2段以上あればよい。
不均一系の固体触媒を用いる場合、長期連続運転下では、触媒の劣化・変性が起こる可能性があり、このような場合は固体触媒を入れ替える必要がある。このため、均一系触媒を用いる方が、より好ましい。
本発明において用いられる触媒としては、これまでに知られている種々のものを使用することができる。たとえば、
リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属類;
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、アルコキシド化物類、アリーロキシド化物類、アミド化物類等の塩基性化合物類;
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩類、重炭酸塩類、有機酸塩類等の塩基性化合物類;
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン類;
N−アルキルピロール、N−アルキルインドール、オキサゾール、N−アルキルイミダゾール、N−アルキルピラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、アルキルピリジン、キノリン、アルキルキノリン、イソキノリン、アルキルイソキノリン、アクリジン、アルキルアクリジン、フェナントロリン、アルキルフェナントロリン、ピリミジン、アルキルピリミジン、ピラジン、アルキルピラジン、トリアジン、アルキルトリアジン等の含窒素複素芳香族化合物類;
ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等の環状アミジン類;
酸化タリウム、ハロゲン化タリウム、水酸化タリウム、炭酸タリウム、硝酸タリウム、硫酸タリウム、タリウムの有機酸塩類等のタリウム化合物類;
トリブチルメトキシ錫、トリブチルエトキシ錫、ジブチルジメトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、ジブチルジエトキシ錫、ジブチルフェノキシ錫、ジフェニルメトキシ錫、酢酸ジブチル錫、塩化トリブチル錫、2−エチルヘキサン酸錫等の錫化合物類;
ジメトキシ亜鉛、ジエトキシ亜鉛、エチレンジオキシ亜鉛、ジブトキシ亜鉛等の亜鉛化合物類;
アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウム化合物類;
テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、ジクロロジメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、酢酸チタン、チタンアセチルアセトナート等のチタン化合物類;
トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルメチルホスホニウムハライド、トリオクチルブチルホスホニウムハライド、トリフェニルメチルホスホニウムハライド等のリン化合物類;
ハロゲン化ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムアルコキシド、酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物類;
鉛および鉛を含む化合物類、たとえば、PbO、PbO2、Pb32 などの酸化鉛類;PbS、Pb23、PbS2などの硫化鉛類;Pb(OH)2、Pb32(OH)2、Pb2[PbO2(OH)2]、Pb2O(OH)2などの水酸化鉛類;Na2PbO2、K2PbO2、NaHPbO2、KHPbO2などの亜ナマリ酸塩類;Na2PbO3、Na22PbO4、K2PbO3、K2[Pb(OH)6]、K4PbO4、Ca2PbO4、CaPbO3などの鉛酸塩類;PbCO3、2PbCO3・Pb(OH)2などの鉛の炭酸塩およびその塩基性塩類;Pb(OCH32、(CH3O)Pb(OPh)、Pb(OPh)2などのアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;Pb(OCOCH32、Pb(OCOCH34、Pb(OCOCH32・PbO・3H2Oなどの有機酸の鉛塩およびその炭酸塩や塩基性塩類;Bu4Pb、Ph4Pb、Bu3PbCl、Ph3PbBr、Ph3Pb(またはPh6Pb2)、Bu3PbOH、Ph2PbOなどの有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す);Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sbなどの鉛の合金類;ホウエン鉱、センアエン鉱などの鉛鉱物類、およびこれらの鉛化合物の水和物類;
3級アミノ基を有する陰イオン交換樹脂、アミド基を有するイオン交換樹脂、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基のうちの少なくとも一つの交換基を有するイオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体等のイオン交換体類;
シリカ、シリカ−アルミナ、シリカーマグネシア、アルミノシリケート、ガリウムシリケート、各種ゼオライト類、各種金属交換ゼオライト類、アンモニウム交換ゼオライト類などの固体の無機化合物類;
等が用いられる。
固体触媒として、特に好ましく用いられるのは第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体であり、このようなものとしては、たとえば、第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性アニオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロース強塩基性アニオン交換体、第4級アンモニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオン交換体などが挙げられる。第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性アニオン交換樹脂としては、たとえば、スチレン系強塩基性アニオン交換樹脂などが好ましく用いられる。スチレン系強塩基性アニオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体を母体として、交換基に第4級アンモニウム(I型、或いはII型)を有する強塩基性アニオン交換樹脂であり、たとえば、次の式(III)で模式的に示される。
Figure 0004272686
上記式中、Xはアニオンを示し、通常、Xとしては、F-、Cl-、Br-、I-、HCO3 -、CO3 2-、CH3CO2 -、HCO2 -、IO3 -、BrO3 -、ClO3 -の中から選ばれた少なくとも1種のアニオンが使用され、好ましくはCl-、Br-、HCO3 -、CO3 2-の中から選ばれた少なくとも1種のアニオンが使用される。また、樹脂母体の構造としては、ゲル型、マクロレティキュラー型(MR型)いずれも使用できるが、耐有機溶媒性が高い点からMR型が特に好ましい。
第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロース強塩基性アニオン交換体としては、たとえば、セルロースの−OH基の一部または全部をトリアルキルアミノエチル化して得られる、−OCH2CH2NR3Xなる交換基を有するセルロースが挙げられる。ただし、Rはアルキル基を示し、通常、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが用いられ、好ましくはメチル、エチルが使用される。また、Xは前述のとおりである。
本発明において使用できる、第4級アンモニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオン交換体とは、無機質担体の表面水酸基−OHの一部または全部を修飾することにより、4級アンモニウム基−O(CH2nNR3Xを導入したものを意味する。ただし、R、Xは前述のとおりであり、nは通常1〜6の整数であり、好ましくはn=2である。無機質担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ゼオライトなどを使用することができ、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカアルミナが用いられ、特に好ましくはシリカが使用される。
無機質担体の表面水酸基の修飾方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、無機質担体とアミノアルコールHO(CH2nNR2を塩基触媒存在下に脱水反応を進行させることによりアミノアルコキシ化した後に、ハロゲン化アルキルRX′(X′はハロゲンを示し、通常はCl、Br、Iなどが使用される。)と反応させて−O(CH2nNR3X′基とする。さらに、アニオン交換を行なうことにより、所望のアニオンXを有する4級アンモニウム基−O(CH2nNR3Xとする。また、n=2の場合には、無機質担体をN、N−ジアルキルアジリジンで処理することにより、N、N−ジアルキルアミノエトキシ化して−OCH2CH2NR2基とした後に、上述の方法により−O(CH2nNR3X基とする。
第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交換体は、市販のものを使用することもできる。その場合には、前処理として予め所望のアニオン種でイオン交換を行なった後に、エステル交換触媒として使用することもできる。また、少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合している巨大網状およびゲルタイプの有機ポリマー、または少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合している無機質担体から成る固体触媒もエステル交換触媒として好ましく用いられる。さらに、これらの含窒素複素環基の一部または全部が4級塩化された固体触媒も同様に用いられる。
本発明で用いられる触媒の量は、使用する触媒の種類によっても異なるが、反応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒を連続的に供給する場合には、供給原料である環状カーボネートと脂肪族1価アルコールの合計重量に対する割合で表わして、通常、0.0001〜50重量%、好ましくは0.001〜25重量%、より好ましくは0.005〜10重量%で使用される。また、固体触媒を該蒸留塔内に設置して使用する場合には、該蒸留塔の空塔容積に対して、好ましくは0.01〜75体積%、より好ましくは0.05〜50体積%、さらに好ましくは0.1〜25体積%の触媒量が用いられる。
エステル交換反応器である連続多段蒸留塔に対し、環状カーボネートおよび脂肪族1価アルコールを連続的に供給する方法については、特別な限定はなく、それらが該蒸留塔の少なくとも1段以上、好ましくは2段以上の領域において触媒と接触させることができるような供給方法であれば、どのような方法であってもよい。すなわち、該環状カーボネートと該脂肪族1価アルコールは、連続多段蒸留塔の上記の条件を満たす段に必要な数の導入口から連続的に供給することができる。また、該環状カーボネートと該脂肪族1価アルコールは該蒸留塔の同じ段に導入されてもよいし、それぞれ別の段に導入されてもよい。
原料は、液状、ガス状または液とガスとの混合物として該蒸留塔に連続的に供給される。このようにして原料を該蒸留塔に供給する以外に、付加的にガス状の原料を該蒸留塔の下部から断続的または連続的に供給することも好ましい方法である。また、環状カーボネートを触媒の存在する段よりも上部の段に液状または気液混合状態で該蒸留塔に連続的に供給し、該蒸留塔の下部に該脂肪族1価アルコールをガス状および/または液状で連続的に供給する方法も好ましい方法である。この場合、環状カーボネート中に、脂肪族1価アルコールが含まれていても、もちろん構わない。
本発明において、供給原料中に、生成物であるジオール類が少量含まれていてもよい。また、脂肪族1価アルコールに含まれるジアルキルカーボネートは、脂肪族1価アルコール/ジアルキルカーボネート混合物中のジアルキルカーボネートの重量%で表わして、通常、0〜40重量%、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%で用いられる。
エステル交換反応器に供給する環状カーボネートと脂肪族1価アルコール類との量比は、エステル交換触媒の種類や量および反応条件によっても異なるが、通常、供給される環状カーボネートに対して、脂肪族1価アルコール類はモル比で0.01〜1000倍の範囲で供給することができる。環状カーボネートの転化率を上げるためには脂肪族1価アルコール類を環状カーボネートに対し2倍モル以上の過剰量供給することが好ましいが、あまり大過剰に用いると装置を大きくする必要がある。このような意味において、特に好ましいのは、環状カーボネートに対し2〜20倍モル量の脂肪族1価アルコール類が使用される場合である。
本発明のエステル交換反応器中に炭酸ガスが高濃度で存在すると、エステル交換反応の反応速度が低下してしまう。したがって、反応液中のCO2濃度で表して、通常、500ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下で行われる。
また、本発明のエステル交換反応器中内の反応液に水が高濃度で存在すると、エステル交換反応と同時に環状カーボネートの加水分解反応も進行するためにジアルキルカーボネート選択率が低下してしまう。したがって、反応液中のH2O濃度で表して通常、200ppm以下、好ましくは100ppm以下で行われる。
本発明において、エステル交換反応における環状カーボネートの転化率を100%に近づけようとすると、滞留時間が大きくなり前述のように高純度のジオールを得ることができなくなったり、必要な脂肪族1価アルコールの量が過大となってしまう。また、転化率が低すぎる場合には、未反応環状カーボネートの分離回収装置が大きくなり好ましくない。したがって、エステル交換反応における環状カーボネートの転化率は、通常、95〜99.999%、好ましくは98〜99.99%、さらに好ましくは99〜99.99%で行われる。
本発明において、生成物の一つであるジアルキルカーボネートは、エステル交換反応器から抜き出され、通常はガス状の低沸点成分として該反応器の上部から抜き出される。反応器の上部から抜き出される低沸点成分はジアルキルカーボネート単独でもよいし、脂肪族1価アルコール類とジアルキルカーボネートとの混合物であってもよいし、また高沸点生成物を少量含んでいてもよい。
エステル交換反応器である連続多段蒸留塔に対し、該多段蒸留塔からジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を抜き出す抜出口は、原料供給位置から塔頂の間または塔頂部にガス状物質の抜出口を設けることが好ましく、塔頂部に設けることがさらに好ましい。このようにして抜き出された低沸点成分の一部を該蒸留塔の上部に戻す、いわゆる還流操作を行ってもよい。この還流操作によって還流比を増加させると、低沸点生成物の蒸気相への蒸留効率が高くなるため、抜き出すガス成分中の低沸点生成物濃度を増加させることができる。しかしながら、あまりに還流比を増加させると必要な熱エネルギーが大きくなるので好ましくない。したがって、還流比は、通常0〜10が用いられ、好ましくは0〜5が、さらに好ましくは0〜3が用いられる。
エステル交換反応器の上部から抜き出される低沸点混合物をジアルキルカーボネート分離装置に供給し、該ジアルキルカーボネート分離装置からジアルキルカーボネートを抜き出すことによって、ジアルキルカーボネートを得ることができる。該ジアルキルカーボネート分離装置としては、蒸留分離装置、抽出分離装置、液液抽出分離装置、晶析分離装置、吸着分離装置、膜分離装置などを用いることができる。これらの分離装置はそれぞれが同一種類の複数の装置から構成されていてもよいし、複数の種類の分離装置の組合せを用いることもできる。これらの分離装置の中で特に好ましい分離装置として蒸留分離装置が用いられる。
該ジアルキルカーボネート分離装置として蒸留分離装置を用いる場合には、エステル交換反応器の上部から抜き出される低沸点混合物を蒸留分離装置に導き、該反応液または該混合物に含まれるジアルキルカーボネートや脂肪族1価アルコールなどの各成分を、それぞれ単一成分またはこれらの成分の混合物から成る留分または塔底液として分離することができる。原料の種類によっては共沸混合物が留分または塔底液として得られる場合もある。このようにして蒸留分離装置を用いて、反応液またはエステル交換反応器の上部から抜き出される低沸点混合物を各留分および塔底液に分離した後に、脂肪族1価アルコールを含む留分または塔底液をエステル交換反応器へ供給することができる。
該蒸留分離装置としては、エステル交換反応器として用いることのできる多段蒸留塔と同様の棚段式多段蒸留塔を用いてもよいし、各種充填物を充填した充填塔式蒸留塔を用いてもよく、単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。ここで、脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートが最低沸点共沸混合物を形成する組合せである場合を、脂肪族1価アルコールとしてメタノールを使用してジメチルカーボネートが生成する場合について次に例示する。メタノールとジメチルカーボネートを含有するエステル交換反応器上部から抜き出される低沸点混合物をジメチルカーボネート分離塔に連続的に供給し、該ジメチルカーボネート分離塔の上部からメタノールとジメチルカーボネートの最低沸点共沸混合物を含む低沸点成分を連続的に抜き出し、該ジメチルカーボネート分離塔の下部からジメチルカーボネートを連続的に抜き出すことにより、ジメチルカーボネートを得ることができる。
該ジメチルカーボネート分離塔の操作圧力は、通常、絶対圧力で表して0.5×105〜50×105Pa(0.51〜51kg/cm2)の減圧または加圧下で操作される。メタノール/ジメチルカーボネート最低沸点共沸混合物の組成は操作圧力により変わるので、該ジメチルカーボネート分離塔の操作圧力は、塔下部からジメチルカーボネートを得ることができる操作圧力が選ばれる。すなわち、エステル交換反応器の塔上部抜き出し物中のメタノール/ジメチルカーボネート比に対応した圧力よりも高い圧力が選ばれる。
前記ジメチルカーボネート分離塔の上部から抜き出したメタノールとジメチルカーボネートの最低沸点共沸混合物を含む低沸点成分を、本発明の方法の原料として、エステル交換反応器に供給することができる。
本発明において連続多段蒸留塔の上部とは、該蒸留塔の塔頂から塔高の約1/2の高さの位置までの範囲を指し、塔頂も含まれる。また連続多段蒸留塔の下部とは、該蒸留塔の塔底から塔高の約1/2の高さの位置までの範囲を指し、塔底も含まれる。
エステル交換反応器で生成するジオールは、液状高沸点成分として該反応器の下部から抜き出される。該高沸点混合物は、生成するジオールと未反応の環状カーボネートとを含んでおり、脂肪族1価アルコールまたは脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートを含んでいてもよい。
生成したジオールを含む液状高沸点混合物をエステル交換反応器から抜き出す抜出口は、該反応器の下部に設けられる。このようにして抜き出された反応混合物は、その一部をリボイラーで加熱することによって、ガス状または気液混合物の状態で該反応器の下部に戻してもよい。
エステル交換反応器である連続多段蒸留塔に対し、該蒸留塔内の液速度およびガス速度は、使用する棚段の種類により異なるが、通常、フラッディングおよびウィーピングを起こさない範囲で実施される。
エステル交換反応器の下部から抜き出した液状高沸点混合物の一部を該エステル交換反応器へ供給することで未反応環状カーボネートおよび/または未反応脂肪族1価アルコールを該エステル交換反応器へ循環させることもできる。
このようにして得られたジオールを含む高沸点混合物をジオール精製工程で分離するに際しては、通常、(1)原料である脂肪族1価アルコール等の低沸点成分が含まれる場合には、蒸留等の分離装置を用いて予め該脂肪族1価アルコール等を分離し、エステル交換反応器へリサイクルすることが好ましく、また、(2)該高沸点混合物に含まれる未反応環状カーボネートを予め分離した後に該精製工程へ供給されることが好ましい。該高沸点混合物に含まれる未反応環状カーボネートの分離方法としては、(i)蒸留分離、(ii)加水分解反応によりジオールへ転化させる方法、(iii)環状カーボネートとジオールのエーテル生成反応により未反応環状カーボネートを消失させる方法などを用いることができる。特に好ましくは、エーテル生成反応が用いられる。
すなわち、エステル交換反応器から抜き出される高沸点混合物をジオール精製工程へ供給する前に行う好ましい分離方法として、以下に示す2つの方法を用いることができる。
1.エステル交換反応器から抜き出される液状高沸点混合物をジオール精製工程に供給する前に、該液状高沸点混合物を、サイドカット抜き出し口を下部に設けた連続多段蒸留塔からなる低沸点成分分離塔に連続的に供給し、該高沸点混合物中に残存している脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を低沸点成分分離塔の上部から連続的に抜き出すと共に、ジオールおよび環状カーボネートを含む留分をサイドカット口から抜き出し、低沸点成分分離塔の上部から抜き出した該低沸点成分をエステル交換反応器へ供給することによって循環させ、一方、該低沸点成分分離塔のサイドカット口から抜き出した留分をエーテル生成反応装置へ供給してエーテル生成反応を行わせた後に、ジオール精製工程へ供給する方法が挙げられる。
低沸点成分分離塔としては、エステル交換反応器として用いることのできる多段蒸留塔と同様の棚段式多段蒸留塔を用いてもよいし、各種充填物を充填した充填塔式蒸留塔を用いてもよい。
2.エステル交換反応器から抜き出される液状高沸点混合物をジオール精製工程へ供給する前に、該液状高沸点混合物を多段蒸留塔からなる低沸点成分分離塔に連続的に供給し、該高沸点混合物中に残存している脂肪族1価アルコールとジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を低沸点成分分離塔の上部から連続的に抜き出すとともに、ジオールおよび環状カーボネートを含む高沸点成分を該低沸点成分分離塔の下部から抜き出し、その際に該低沸点成分分離塔の下部でエーテル生成反応を行わせ、低沸点成分分離塔の上部から抜き出した該低沸点成分をエステル交換反応器に連続的に供給することによって循環させ、一方、該低沸点成分分離塔の下部から抜き出したジオールおよび生成したエーテルを含む高沸点成分をジオール精製工程に供給する方法が挙げられる。
上記のエーテル生成反応を実施するに当たっては、特許文献20(国際公開00/51954号パンフレット)に記載のエーテル生成反応の方法、すなわち、生成したジオールと未反応の環状カーボネートを含む混合物をエーテル生成反応装置に供給し、未反応環状カーボネートを生成ジオールの一部とエーテル生成反応を行なわせて、次式
HO(R1O)n
[式中、R1は前記の通り。]
で表される直鎖エーテルに転化させることにより、該未反応環状カーボネートを減少せしめる方法を用いることができる。
エーテル生成反応装置の反応条件は、触媒の有無や触媒を用いる場合には該触媒の種類および量によっても異なるが、反応温度は、通常、50〜350℃、好ましくは80〜300℃、より好ましくは100〜250℃で行なわれ、反応時間は、触媒の有無や触媒を用いる場合には該触媒の種類および量や、反応温度によっても異なるが、平均滞留時間で表現して、通常、0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、さらに好ましくは0.02〜5時間である。反応圧力は、用いる反応温度によっても異なるが、絶対圧力で表わして、通常、1×103〜2×107Pa、好ましくは1×104〜1×107Paで行なわれる。
エーテル生成反応における環状カーボネートの転化率は、通常、90〜100%、好ましくは95〜100%、さらに好ましくは98〜100%で行われる。
また、二酸化炭素がエステル交換反応器へ導入されると、エステル交換反応が阻害され、反応速度が低下する。したがって、エーテル生成装置から抜き出される二酸化炭素を分離することは、好ましい方法である。
さらに、特許文献21(特開2002−308804号公報)及び特許文献22(特開2004−131394号公報)に記載されている、ジオールを含む反応液を蒸留分離工程で分離するに際して、該蒸留分離工程に水を供給する方法を用いなくても高紫外線透過率を有すると同時にアルデヒド含量の低い高純度のジオールを得ることができるが、もちろんこの方法を同時に用いてもよい。
本発明においては、必ずしも溶媒を使用する必要はないが、(1)反応操作を容易にするためや、(2)共沸蒸留や抽出蒸留を行ってジアルキルカーボネートやジオールを効率的に取得するため、等の目的で適当な不活性溶媒、たとえば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。
また、反応に不活性な物質である窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反応系に共存させてもよいし、生成する低沸点生成物の留去を加速する目的で連続多段蒸留塔の下部より、前記の不活性ガスや反応に不活性な低沸点有機化合物をガス状で導入してもよい。
以下に、この発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
下記各例中、エチレングリコールとジメチルカーボネートの選択率は消費されたエチレンカーボネート基準の数値であり、エチレングリコールとジメチルカーボネートの収率は仕込みのエチレンカーボネート基準の数値である。蒸留塔の各段の位置は、塔頂を1段として数えた当該段の段数で表す。アルデヒド濃度は比色法[(1)50mlの蒸留水に、適量の試料と0.2重量% 塩化第二鉄(FeCl3−6H2O)−0.32重量%スルファミン酸水溶液5mlを加えて均一混合後1時間静置し、(2)0.2重量%塩化第二鉄(FeCl3−6H2O)−0.32重量%%スルファミン酸水溶液25mlを加え、さらに蒸留水を加えて100mlとし、(3)波長635nmでの吸光度を測定し、アセトアルデヒドを標準物質として作成した検量線を用いて、該試料に含まれるアルデヒド類の濃度をアセトアルデヒド重量濃度換算値として求める。]により測定した。
[実施例1]
図1に示される装置を用いてエチレンカーボネート(EC)とメタノール(MeOH)から、ジメチルカーボネート(DMC)とエチレングリコール(EG)を連続的に製造した。内径4cm、段数40段のオールダーショー蒸留塔からなる連続多段蒸留塔1の第3段へ、ECを流速200g/hで導管2から予熱器3を経て液状で連続的に供給し、同じく第3段へ水酸化カリウム(KOH)の18重量%エチレングリコール溶液(均一系触媒)を流速0.95g/hで導管2′を経て液状で連続的に供給し、MeOHとDMC(重量比:MeOH/DMC=97/3)からなる混合物を636.4g/hの流速で、導管5から予熱器6を経て、連続多段蒸留塔1の第20段へ液状で連続的に供給した。連続多段蒸留塔1の塔頂圧力は大気圧で、塔頂温度は63.8℃であった。第21段(触媒が存在する棚段部の全段数38段に対し上から19段目)の温度T1=80.5℃、塔底部の温度T2=98℃であり、反応液の平均滞留時間は、触媒が存在する棚段部θ1=2.4時間、塔底部θ2=4.3時間、合計6.7時間であった。これらの値より、α+1.24β=2607となる。
塔頂4から留出するガス状低沸点混合物は凝縮器7で凝縮され、一部は導管8経由で塔頂部に還流(還流比は0.4)され、残りは流速695.4g/hで塔頂抜き出し液(MeOHを67.9重量%、DMCを32.1重量%含む)として導管9を経て、充填物としてディクソンパッキング(3φ)を充填した、内径2.5cm、充填高160cmの充填塔型蒸留塔からなるDMC分離塔71の塔頂から80cmの位置へ供給された。
塔底10から導管11を経て抜き出された塔底液の一部をリボイラー12で加熱することにより蒸留に必要なエネルギーを供給し、残りの塔底液は液状高沸点混合物[EGを70.65重量%、MeOHを29.16重量%、ECを0.08重量%、DMCを0.02重量%、ジエチレングリコール(DEG)およびその他の高沸点不純物を0.01重量%、KOHを0.08重量%含む]は導管14を経て、充填物としてディクソンパッキング(3φ)を充填した、内径2.5cm、充填高160cmの充填塔型蒸留塔からなる低沸点成分分離塔17の塔頂から100cmの位置へ流速200.2g/hで供給された。エステル交換反応のEC転化率は99.92%、DMC選択率は99.9%、EG選択率は99.9%であった。
DMC分離塔71は塔頂圧力1.4×106Pa、塔底温度205℃で運転された。塔頂72から留出するガス状低沸点混合物は凝縮器75で凝縮され、一部は導管77経由で塔頂部に還流(還流比2)され、残りは導管78を経て導管5と合流し予熱器6を経て連続多段蒸留塔1へ供給された。連続多段蒸留塔1へ供給される組成が一定に保たれるように、導管5から供給する液の組成は当初のMeOH/DMC混合物から徐々にMeOHのみへと変更された。
DMC分離塔71の塔底73から導管79を経て抜き出された塔底液の一部をリボイラー80で加熱することにより蒸留に必要なエネルギーを供給し、残りの塔底液は導管82を経て流速204.3g/hで抜き出された。塔底液は、DMC99.9重量%であった。
低沸点成分分離塔17は塔頂圧力大気圧、塔底温度201℃で運転され、低沸点成分分離塔17の塔底部でエチレンカーボネートとエチレングリコールとのエーテル生成反応を行わせ、ジエチレングリコール(DEG)へ転化させた。低沸点成分分離塔17の塔底部26での滞留時間は1.5時間であった。この塔頂から留出するガス状成分は凝縮器19で凝縮され、その一部を導管20を経て還流させ、残りは導管21を経て脱二酸化炭素カラム22の上部へ導入した。還流比は1であった。該カラム22の底部に設けた導管23から窒素ガスを導入し、バブリングさせた。該カラム22の上部に設けた導管24から二酸化炭素を含む窒素ガスが排出された。該カラム22の下部に設けられた導管23から、脱二酸化炭素された液を、連続多段蒸留塔1の第20段へ流速58.3g/hで循環した。
低沸点成分分離塔17の塔底液をリボイラー28で加熱し、導管30から塔底液としてエーテル生成反応混合物[EGを99.74重量%、DEGおよびその他の高沸点不純物を0.14重量%含み、ECは検出されなかった。]を流速141.7g/hで抜き出した。
該エーテル生成反応混合物は導管30を経て、充填物としてディクソンパッキング(3φ)を充填した、内径2.5cm、充填高120cmの充填塔型蒸留塔からなるEG精製塔41の塔頂から90cmの位置へ供給された。
EG精製塔41は塔頂圧力4000Pa(30torr)、塔底温度123.5℃で運転された。EG精製塔41の塔頂から50cmの位置に設けられた導管56から液状留分をサイド抜出液として流速139.6g/hで得た。また、EG精製塔41の塔頂留分の一部を凝縮器45、導管47を経由して塔頂42へ還流させ、残りを導管48から抜き出した。還流比は2であった。EG精製塔41の塔底43から塔底液(EGを45.2重量%含む。)を抜き出し、一部をリボイラー50、導管51を通して塔底43へ戻し、残りを導管52を通して0.7g/h抜き出した。
EG精製塔のサイド抜き出し液EGは、ガスクロマトグラフ法ではその他の有機成分は検出限界(各成分1ppm)以下であり、アルデヒド濃度を比色法により測定したところ、0.6ppmであった。また、このサイド抜き出し液の220nmでの紫外線透過率は89%であった。このEGとテレフタル酸ジメチルを原料とし、触媒としてアンチモンを用いて、ポリエステルを製造した。得られたポリエステルは紫外・可視領域において、高い光透過率を有していた。以上の結果は、系全体でDMC収率が99.8%、極めて純度の高いEGが収率99.1%で得られたことを示す。
[実施例2]
触媒として、均一系触媒である水酸化カリウムのエチレングリコール溶液ではなく、第4級アンモニウム基を交換基とする陰イオン交換樹脂(DowexMSA−1、Cl型を、2N−Na2CO3水溶液でイオン交換した後、純水で洗浄を繰り返し、次いで乾燥メタノールで繰り返し洗浄することによって、脱水・乾燥したもので、Cl-イオンの約50%がCO3 2-イオンに交換したもの)を棚段部の第3段から第40段(それぞれ液滞留部の約5vol%)と塔底部(液滞留部の約10vol%)に流出しないように固定したものを用いた他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき、塔内温度は、T1=80.4℃、T2=98℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=2.2時間、θ2=3.8時間、合計6.0時間であった。これらの値より、α+1.24β=2460となる。エステル交換反応のEC転化率は99.9%、DMC選択率は99.8%、EG選択率は99.8%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法によるその他の有機成分は検出限界(1ppm)以下、比色法によるアルデヒド濃度は0.8ppmであり、220nmの紫外線透過率は88.5%であった。系全体のDMC収率は99.7%、EG収率は99.0%であった。
[比較例1]
連続多段蒸留塔1を、内径2.5cm、段数10段のオールダーショー蒸留塔とし、ECと触媒の供給段を第1段へ、MeOHとDMC混合物の供給段を第5段としたことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき、塔内温度は、T1(第5段)=79.2℃、T2=95℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=0.18時間、θ2=0.25時間、合計0.43時間であった。これらの値より、α+1.24β=615となる。エステル交換反応のEC転化率は91%、DMC選択率は85%、EG選択率は83%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法分析結果では、その他の有機成分(主にEC)が1.8%検出された。
この結果は、連続多段蒸留塔1の滞留時間が不足していたため、エステル交換反応成績が悪化したことを示している。
[比較例2]
連続多段蒸留塔1を、内径6cm、段数80段のオールダ−ショー蒸留塔とし、ECと触媒の供給段を第5段へ、MeOHとDMC混合物の供給段を第40段としたことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき、塔内温度は、T1(第42段)=80.8℃、T2=97.5℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=10.8時間、θ2=21時間、合計31.8時間であった。これらの値より、α+1.24β=5853となる。エステル交換反応のEC転化率は99.96%、DMC選択率は99.1%、EG選択率は99.2%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法によるその他の有機成分は20ppm、比色法によるアルデヒド濃度は18ppmであり、220nmの紫外線透過率は62%であった。
この結果は、連続多段蒸留塔1における反応液の滞留時間が長すぎたため、アルデヒド類が大量に生成したことを示している。
[実施例3]
連続多段蒸留塔1を、内径4cm、段数80段のオールダ−ショー蒸留塔とし、ECと触媒の供給段を第5段へ、MeOHとDMC混合物の供給段を第40段としたことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき、塔内温度は、T1(第42段)=80.8℃、T2=98℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=5.0時間、θ2=11.2時間、合計16.2時間であった。これらの値より、α+1.24β=4126となる。エステル交換反応のEC転化率は99.95%、DMC選択率は99.8%、EG選択率は99.8%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法によるその他の有機成分は2ppm、比色法によるアルデヒド濃度は1.6ppmであり、220nmの紫外線透過率は87.5%であった。系全体のDMC収率は99.7%、EG収率は99.1%であった。
[比較例3]
連続多段蒸留塔1を加圧塔とし、6.4×105Paの塔頂圧力としたことの他は、実施例3と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき塔頂温度は120.8℃であり、塔内温度は、T1(第42段)=132℃、T2=152℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=5.1時間、θ2=11.4時間、合計16.5時間であった。これらの値より、α+1.24β=5445となる。エステル交換反応のEC転化率は99.97%、DMC選択率は99.2%、EG選択率は99.1%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法によるその他の有機成分は16ppm、比色法によるアルデヒド濃度は14ppmであり、220nmの紫外線透過率は65%であった。
[実施例4]
連続多段蒸留塔1を、内径2.5cm、段数30段のオールダ−ショー蒸留塔とし、ECと触媒の供給段を第2段へ、MeOHとDMC混合物の供給段を第15段としたことの他は、実施例1と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき、塔内温度は、T1(第16段)=80.4℃、T2=98℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=0.5時間、θ2=0.62時間、合計1.12時間であった。これらの値より、α+1.24β=1022となる。エステル交換反応のEC転化率は99.4%、DMC選択率は99.3%、EG選択率は99.2%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法によるその他の有機成分は検出限界(1ppm)以下、比色法によるアルデヒド濃度は0.5ppmであり、220nmの紫外線透過率は89%であった。系全体のDMC収率は98.7%、EG収率は97.9%であった。
[比較例4]
連続多段蒸留塔1を減圧塔とし、20000Pa(150torr)の塔頂圧力としたことの他は、実施例4と同様の方法でDMCとEGを製造した。このとき塔頂温度は26.8℃であり、塔内温度は、T1(第16段)=37.1℃、T2=49.8℃であり、反応液の平均滞留時間は、θ1=0.49時間、θ2=0.6時間、合計1.09時間であった。これらの値より、α+1.24β=749となる。エステル交換反応のEC転化率は92%、DMC選択率は86%、EG選択率は85%であった。
また、EG精製塔サイド抜き出し液EGのガスクロマトグラフ法分析結果では、その他の有機成分(主にEC)が1.6%検出された。
本発明は、ジアルキルカーボネートとジオールを安定的かつ簡便に製造し、転化率・選択率ともに高く、かつ高純度のジオールを生産できる方法として、好適に利用できる。
本発明による実施例および比較例で用いた装置の模式図である。
符号の説明
1:連続多段蒸留塔;3、6:予熱器;4、18、42、72:塔頂;7、19、45、75:凝縮器;10、26、43、73:塔底;12、28、50、80:リボイラー;17:低沸点成分分離塔;22:脱二酸化炭素カラム;41:EG精製塔;71:DMC分離塔;2、2′、5、8、9、11、13、14、16、20、21、23、24、25、27、29、30、46、47、48、49、51、52、56、76、77、78、79、81、82:導管

Claims (2)

  1. 環状カーボネートを主成分とする第一原料と脂肪族1価アルコールを主成分とする第二原料を、棚段塔式連続多段蒸留塔に連続的に供給し、該蒸留塔内に存在させた触媒と接触させることによって、棚段部および塔底部で反応を行わせると同時に、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点成分を該蒸留塔の上部から連続的に抜き出し、生成するジオールを含む高沸点成分を塔下部より連続的に抜き出すことにより、連続的にジアルキルカーボネートとジオールを製造するに際し、
    (a)下記式(1):
    780 ≦ α+1.24×β ≦ 5150 式(1)
    式中
    α = θ10.52×(T1+120)1.2
    β = θ20.52×(T2+120)1.2
    θ1(時間):該蒸留塔の触媒が存在する棚段部における反応液の平均滞留時間
    T1(℃):触媒が存在する棚段部の全段数n段に対し上からn/2段目(nが奇 数の場合は(n+1)/2段目)の温度
    θ2(時間):塔底部における反応液の平均滞留時間
    T2(℃):塔底部の温度
    を満足し、かつ
    (b)θ1が0.3〜20時間、θ2が0.3〜25時間であり、
    (c)T1が30〜170℃の範囲、T2が50〜220℃の範囲である、
    ことを特徴とする、ジアルキルカーボネートとジオールの連続的製造方法。
  2. 触媒が均一系触媒であることを特徴とする、請求項1記載のジアルキルカーボネートとジオールの連続的製造方法。
JP2007536438A 2005-09-20 2006-09-05 ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法 Active JP4272686B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005272557 2005-09-20
JP2005272557 2005-09-20
PCT/JP2006/317492 WO2007034669A1 (ja) 2005-09-20 2006-09-05 ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007034669A1 JPWO2007034669A1 (ja) 2009-03-19
JP4272686B2 true JP4272686B2 (ja) 2009-06-03

Family

ID=37888722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007536438A Active JP4272686B2 (ja) 2005-09-20 2006-09-05 ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US7799939B2 (ja)
EP (1) EP1927583B1 (ja)
JP (1) JP4272686B2 (ja)
KR (1) KR100895602B1 (ja)
CN (1) CN101268030B (ja)
BR (1) BRPI0616303B1 (ja)
EA (1) EA013128B1 (ja)
TW (1) TWI311987B (ja)
WO (1) WO2007034669A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010006657A1 (de) * 2010-02-03 2011-08-04 Bayer MaterialScience AG, 51373 Verfahren zur Herstellung von Dialkylcarbonaten
CN102304050A (zh) * 2011-07-25 2012-01-04 屈强好 连续精馏碳酸二甲酯和1,2-丙二醇的方法
CN111116330A (zh) * 2019-12-30 2020-05-08 山西中科惠安化工有限公司 一种酯交换生产碳酸酯过程中碳化工艺过滤后滤液的分离装置和方法
JPWO2023058681A1 (ja) 2021-10-05 2023-04-13

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3642858A (en) 1969-02-12 1972-02-15 Dow Chemical Co Carbonate synthesis from alkylene carbonates
US3803201A (en) 1971-02-22 1974-04-09 Dow Chemical Co Synthesis of dimethyl carbonate
IT1034961B (it) 1975-04-09 1979-10-10 Snam Progetti Procedimento per la preparazione di dialchilcarbonati
DE2740243A1 (de) 1977-09-07 1979-03-15 Bayer Ag Verfahren zur herstellung von dialkylcarbonaten
DE2740251A1 (de) 1977-09-07 1979-03-22 Bayer Ag Verfahren zur herstellung von dialkylcarbonaten
JPS5463023A (en) 1977-10-26 1979-05-21 Mitsubishi Chem Ind Ltd Ester exchange of carbonate
JPS6022697B2 (ja) 1978-05-16 1985-06-03 日曹油化工業株式会社 ジアルキル炭酸エステルの製造法
JPS6022698B2 (ja) 1978-11-08 1985-06-03 日曹油化工業株式会社 ジアルキル炭酸エステルの製法
JPS5564551A (en) 1978-11-08 1980-05-15 Nisso Yuka Kogyo Kk Preparation of dialkyl carbonate
JPS5610144A (en) 1979-07-05 1981-02-02 Showa Denko Kk Preparation of dialkyl carbonate
US4691041A (en) 1986-01-03 1987-09-01 Texaco Inc. Process for production of ethylene glycol and dimethyl carbonate
US4661609A (en) 1986-07-31 1987-04-28 Texaco Inc. Process for cosynthesis of ethylene glycol and dimethyl carbonate
US4734518A (en) 1987-01-12 1988-03-29 Texaco Inc. Process for cosynthesis of ethylene glycol and dimethyl carbonate
JPH0737422B2 (ja) 1987-03-26 1995-04-26 旭化成工業株式会社 ジアルキルカ−ボネ−トの製造方法
JPS6431737U (ja) 1987-08-20 1989-02-27
DE4129316A1 (de) 1991-09-03 1993-03-04 Bayer Ag Verfahren zur kontinuierlichen herstellung von dialkylcarbonaten
DE4216121A1 (de) 1992-05-15 1993-11-18 Bayer Ag Verfahren zur kontinuierlichen Herstellung von Dialkylcarbonaten
JP3686086B2 (ja) 1995-12-22 2005-08-24 旭化成ケミカルズ株式会社 ジアルキルカ−ボネ−トとジオ−ルを連続的に製造する方法
DE69935979T2 (de) 1998-06-10 2007-12-13 Asahi Kasei Chemicals Corp. Verfahren zur kontinuierlichen herstellung eines dialkylcarbonats und eines diols
AU2827900A (en) 1999-03-03 2000-09-21 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Process for continuously producing dialkyl carbonate and diol
JP4467204B2 (ja) 2001-04-13 2010-05-26 旭化成ケミカルズ株式会社 ジアルキルカーボネートおよびジオールの製造方法
JP2002371037A (ja) * 2001-06-12 2002-12-26 Mitsubishi Chemicals Corp 高純度ジメチルカーボネートの製造方法
JP4424898B2 (ja) 2002-10-08 2010-03-03 旭化成ケミカルズ株式会社 ジアルキルカーボネートおよびジオールを製造する方法
JP4192587B2 (ja) 2002-12-16 2008-12-10 東ソー株式会社 光透過性容器の中の液体の有無を検知する装置
JP3853295B2 (ja) 2003-01-29 2006-12-06 電気化学工業株式会社 噴霧方法及び装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP1927583A1 (en) 2008-06-04
TW200726740A (en) 2007-07-16
EP1927583A4 (en) 2010-09-08
EP1927583B1 (en) 2012-05-02
WO2007034669A1 (ja) 2007-03-29
JPWO2007034669A1 (ja) 2009-03-19
TWI311987B (en) 2009-07-11
KR100895602B1 (ko) 2009-05-06
US20090149669A1 (en) 2009-06-11
US7799939B2 (en) 2010-09-21
EA013128B1 (ru) 2010-02-26
BRPI0616303A2 (pt) 2012-05-22
BRPI0616303B1 (pt) 2015-12-01
EA200800635A1 (ru) 2008-06-30
CN101268030B (zh) 2011-05-11
CN101268030A (zh) 2008-09-17
KR20080037727A (ko) 2008-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4818103B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法
JP3686086B2 (ja) ジアルキルカ−ボネ−トとジオ−ルを連続的に製造する方法
EP1174406B1 (en) Method for continously producing a dialkyl carbonate and a diol
JP4565742B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオールを連続的に製造する方法
JP5362223B2 (ja) 高純度ジフェニルカーボネートを工業的規模で製造する方法
JP4937140B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造方法
JP2006199643A (ja) ジオールおよびジアルキルカーボネートの製造方法
JPH09183744A (ja) ジアルキルカーボネートおよびジオールの連続的製造法
JP5074213B2 (ja) ジオールの工業的製造方法
JP4272686B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオールの製造方法
JP4424898B2 (ja) ジアルキルカーボネートおよびジオールを製造する方法
JP4246779B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオール類を工業的に製造する方法
JP4236207B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造法
JP4467204B2 (ja) ジアルキルカーボネートおよびジオールの製造方法
JP2006182683A (ja) ジオールおよびジアルキルカーボネートを製造する方法
JP4236275B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオール類の工業的製造方法
JPH09176061A (ja) ジアルキルカーボネートとジオールの連続的製造法
JPH0768180B2 (ja) ジアルキルカーボネートとジオール類の連続的製法
JP4093607B2 (ja) ジアルキルカーボネートおよびジオールの連続的製造方法
JP5088954B2 (ja) 高純度ジオールの工業的製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20081210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090224

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090227

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4272686

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130306

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140306

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350