JP4265938B2 - エレベータの非常用運転装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は火災時にエレベータを避難用に利用する場合に用いられるエレベータの非常用運転装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火災時には、停電になる可能性が大きく、自家発電源、バッテリーを設置してエレベータを避難に活用することが考えられる。この非常用エレベータは、火災が発生すると保安上等の理由で常用の電源が遮断されることがあるので、非常用エレベータの電源として、予備電源を備えることを義務付けている。この予備電源は一般にエンジン駆動の交流発電機が使用されるが、その容量は全非常用エレベータが全負荷上昇運転するときに必要とする電力を60分間以上連続して供給できるものであることが要求される(非特許文献1)。また、従来のエレベータの運転方式において、停電が発生すると、自家発電源がエレベータに給電された時、乗客の総重量が定格積載量によって決定されるつり合いおもりに対比して重いか、軽いかを検出し、重い場合は下方基準階に、軽い場合は上方基準階に向けてかごを走行させるもの(例えば、特許文献1参照)、或いは非常時に停止したエレベータの電磁ブレーキを開放し、かごとつり合いおもりとの不平衡により、かごを上下動させ、最寄階に停止させるエレベータの非常救出運転装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【非特許文献1】
昇降機技術基準の解説(2002年度版、p.1−89、第10項)
【特許文献1】
特開平4−106086号公報
【特許文献2】
特開平6−24664号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
火災時には、緊急を要するため、早期に大量の人を避難階(通常は地上の1階)へ輸送する必要があることから、非常用エレベータのみならず、一般用エレベータも利用したいという要求がある。しかし、この場合、更に大容量の予備電源が必要となる。
【0005】
また、上記特許文献に記載された従来技術のエレベータの運転方式及び非常救出運転装置では、停電や非常の時に、停止したエレベータをかごとつり合いおもりとの不平衡荷重により最寄階に停止させるものであり、早期に大量の人を避難階へ積極的に輸送するものではなかった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、火災時にエレベータを避難用に利用する場合に、地上階から救出階へ上昇運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも軽い時のみ運転し、救出階から地上階へ下降運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも重い時のみ運転することにより、自家発電源容量やバッテリ容量を小さくできるようにしたエレベータの非常用運転装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベータの非常用運転装置は、かご及びつり合いおもりを有するものにおいて、非常用電源が確立したことを検出して出力される非常用電源確立信号、救出指令信号として出力される火災時避難運転信号、非常用電源の容量を確認し正常に運転可能な状態にある時に出力される非常用電源容量確認信号、及びかご重量がつり合いおもりよりも重いか軽いかを検出して出力するかご重量検出信号により、かごの避難運転を制御するとともに、表示器又は報知器に対する制御を行う制御手段を備え、制御手段は、停電等の非常時に非常用電源により避難運転する時、火災時避難運転信号及び非常用電源容量確認信号が出力されていることを条件に、避難階から救出階へかごを上昇運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも軽い時のみ運転を行い、救出階から避難階へかごを下降運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも重い時のみ運転を行い、避難運転中は表示器又は報知器によりかごが避難運転中であることを知らせるとともに、避難運転時、救出階で戸開きし、かご重量がつり合いおもり重量よりも重くならない場合は、表示器又は報知器により救出階の乗客に乗車を促すものである。
【0008】
また、非常用電源としてバッテリを設け、救出階から避難階へかごを下降運転する場合で、所定時間経過してもかご重量がつり合いおもり重量よりも重くならない時は、バッテリにより避難階まで低速走行で帰還させるようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1及び図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの非常用運転装置のシステム構成を示すブロック図、図3はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの非常用運転装置の運転動作を説明するためのフローチャートである。
図1及び図2において、エレベータのかご内にはかご行先釦1が設置され、このかご行先釦1が操作された時、かご呼登録手段2によりかご呼びが登録される。また乗場には乗場釦3が設置され、この乗場釦3が操作された時、乗場呼登録手段4により乗場呼びが登録される。非常用電源容量確認信号5は、自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源の容量を確認し、正常に運転可能な状態にある時に出力される。火災時避難運転信号6は、監視室又は乗場に設置されたスイッチ等の操作により救出指令信号として出力される。制御手段7は、かご行先釦1、乗場釦3、非常用電源容量確認信号5、火災時避難運転信号6により、かごの走行、停止制御を行うとともに、戸開閉制御を行い、さらに表示器及び報知器に対する制御を行う。かご及び乗場に設けられた表示器8は、かご内及びエレベータ乗場ホールの利用客に対して現在停電状態であり、エレベータが救出中又は避難運転中であること、或いはエレベータが休止中であることを適宜表示するものである。また、かご内及び乗場に設けられた報知器9は、かご内及びエレベータ乗場ホールの利用客に対して現在停電状態であり、エレベータが救出中又は避難運転中であること、或いはエレベータが休止中であることを適宜音声にて報知するものである。駆動制御装置10は、かごを走行させるために巻上機モータを制御したり、戸を開閉させるためにドアモータを制御する。
自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源11は、買電運転時に充電され、停電時になると駆動制御装置10を介してエレベータを運転させる。この自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源11の容量を確認し、正常に運転可能な状態にある時に非常用電源容量確認信号5が出力される。かご重量検出信号12は、かご重量がつり合いおもりよりも重いか軽いかを検出して出力する。非常用電源確立信号13は、自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源11が確立したかを検出して出力される。上記制御手段7は、自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源の容量を判断し、かご重量とつり合いおもり重量を比較してかごを上方又は下方へ運転する。なお、上記制御手段7は、図2に示すように、主としてマイクロコンピュータ14で構成されており、マイクロコンピュータ14は入力回路14a、CPU14b、メモリ14c、出力回路14dより構成されている。
【0010】
次に、図3によりこの発明の実施の形態1におけるエレベータの非常用運転装置の運転動作を説明する。
ステップS1で停電が発生したかを検出し、停電発生を検出すればステップS2で表示器8、報知器9により、かご内及び乗場に停電発生を知らせる。ステップS3で自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源11が確立したかを検出し、確立していればステップS4に進み、非常用電源11により、避難階(通常は地上の1階)に帰着させる。ステップS5で避難階である地上階にて戸開きしたかを検出し、戸開きを検出すればステップS6で火災時避難運転信号6が出力(ON)されているかを確認し、ONであればステップS7で非常用電源11の容量は正常に運転可能な状態にあるどうかを確認し、正常に運転可能であれば非常用電源容量確認信号5を出力する。ステップS8でかご重量検出信号12により、かご重量がつり合いおもり重量よりも軽いかを判断し、重ければS9でかご内乗客に「降車してください」と表示器8及び報知器9で知らせる。ステップS8でかご重量が軽ければ、ステップS10に進み、非常用電源11、駆動制御装置10、制御装置7等により、回生運転でかごを救出階まで走行させる。この時かご内及び乗場には表示器8及び報知器9により、かごが避難運転中であることを知らせる。ステップS11でかごが救出階に到着し、戸開きしたかを確認する。戸開きを確認した後、ステップS12でかご重量検出信号12により、かご重量がつり合いおもり重量よりも重いかを判断し、重ければステップS13に進み、非常用電源11、駆動制御装置10、制御装置7等により、回生運転でかごを避難階まで走行させる。この時かご内及び乗場には表示器8及び報知器9により、かごが避難運転中であることを知らせる。ステップS12において、救出階で戸開きを確認した後、かご重量が軽い場合にはステップS14でかご内及び乗場の乗客に「乗車してください」と表示器8及び報知器9で知らせる。その後、ステップS15で30秒経過をカウントし、30秒経過した場合は、ステップS16に進み、非常用電源11、駆動制御装置10、制御装置7等により、避難階まで低速走行させる。この時かご内及び乗場には表示器8及び報知器9により、かごが避難運転中であることを知らせる。なお、ステップS6で火災時避難運転信号6がONでなければ、ステップS17に進み、戸を閉めて休止する。ステップS7で非常用電源11の容量が正常に運転可能な状態でなければ、ステップS18に進み、戸を閉めて休止する。ステップS1で停電発生を検出しなければ、ステップS19へ進み、エレベータは平常運転を行う。
【0011】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、かご及びつり合いおもりを有するものにおいて、非常用電源が確立したことを検出して出力される非常用電源確立信号、救出指令信号として出力される火災時避難運転信号、非常用電源の容量を確認し正常に運転可能な状態にある時に出力される非常用電源容量確認信号、及びかご重量がつり合いおもりよりも重いか軽いかを検出して出力するかご重量検出信号により、かごの避難運転を制御するとともに、表示器又は報知器に対する制御を行う制御手段を備え、制御手段は、停電等の非常時に非常用電源により避難運転する時、火災時避難運転信号及び非常用電源容量確認信号が出力されていることを条件に、避難階から救出階へかごを上昇運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも軽い時のみ運転を行い、救出階から避難階へかごを下降運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも重い時のみ運転を行い、避難運転中は表示器又は報知器によりかごが避難運転中であることを知らせるとともに、避難運転時、救出階で戸開きし、かご重量がつり合いおもり重量よりも重くならない場合は、表示器又は報知器により救出階の乗客に乗車を促すようにしたので、非常用電源設備の容量を小さくすることができるとともに、乗客は避難運転中であることが確認できるし、また救出階の乗客の避難を促すことができる。
【0012】
また、非常用電源としてバッテリを設け、救出階から避難階へかごを下降運転する場合で、所定時間経過してもかご重量がつり合いおもり重量よりも重くならない時は、バッテリにより避難階まで低速走行で帰還させるようにしたので、救出階へ向かったかごを低速走行にて確実に避難階(地上階)へ帰還させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるエレベータの非常用運転装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1におけるエレベータの非常用運転装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態1におけるエレベータの非常用運転装置の運転動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 かご行先釦
2 かご呼登録手段
3 乗場釦
4 乗場呼登録手段
5 非常用電源容量確認信号
6 火災時避難運転信号
7 制御手段
8 表示器
9 報知器
10 駆動制御装置
11 自家発電源又はバッテリ等からなる非常用電源
12 かご重量検出手段
13 非常用電源確立信号
14 マイクロコンピュータ
14a 入力回路
14b CPU
14c メモリ
14d 出力回路
Claims (2)
- かご及びつり合いおもりを有するエレベータにおいて、非常用電源が確立したことを検出して出力される非常用電源確立信号、救出指令信号として出力される火災時避難運転信号、非常用電源の容量を確認し正常に運転可能な状態にある時に出力される非常用電源容量確認信号、及びかご重量がつり合いおもりよりも重いか軽いかを検出して出力するかご重量検出信号により、かごの避難運転を制御するとともに、表示器又は報知器に対する制御を行う制御手段を備え、前記制御手段は、停電等の非常時に非常用電源により避難運転する時、前記火災時避難運転信号及び非常用電源容量確認信号が出力されていることを条件に、避難階から救出階へかごを上昇運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも軽い時のみ運転を行い、救出階から避難階へかごを下降運転する際はかご重量がつり合いおもり重量よりも重い時のみ運転を行い、前記避難運転中は前記表示器又は報知器によりかごが避難運転中であることを知らせるとともに、避難運転時、救出階で戸開きし、かご重量がつり合いおもり重量よりも重くならない場合は、表示器又は報知器により救出階の乗客に乗車を促すことを特徴とするエレベータの非常用運転装置。
- 非常用電源としてバッテリを設け、救出階から避難階へかごを下降運転する場合で、所定時間経過してもかご重量がつり合いおもり重量よりも重くならない時は、上記バッテリにより避難階まで低速走行で帰還させることを特徴とする請求項1記載のエレベータの非常用運転装置。
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