JP4258086B2 - 熱電半導体焼結体の製造方法 - Google Patents

熱電半導体焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、熱電半導体の焼結体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子冷却素子に使われる熱電半導体は、ブリッジマン法またはゾーンメルト法で一方向凝固させて作製したビスマス−テルル−セレン系(Bi(Te1−xSe)やビスマス−アンチモン−テルル系((Bi1−xSbTe)の結晶合金材が使用されていた。しかし、これらの結晶合金材はc面にテルル−テルルの結合面が存在し、このテルル−テルル結合面はファン・デル・ワールス力(van der Waals force)により結合されているのみであるので結合力が弱く、この面において劈開性を有する。このために非常に脆く、機械的強度が低下するため、電子冷却素子としたときの信頼性に欠けるといった問題があった。
【0003】
機械的強度を向上させるため、熱電半導体の結晶合金を一度粉末化し、該粉末を焼結して熱電半導体焼結体を作製することが行われている。例えば、特許第2847123号にはホットプレス(一方向加圧)による焼結が、特開平10−112558号公報には熱間押出成形による焼結が記載されている。これらの粉末焼結法は、テルル−テルルの結合面が分断されるため、機械的強度を向上することができる。このような焼結による機械的強度の向上に加え、ホットプレスによる焼結では加圧方向に対して垂直な方向にa軸が配向するため、この配向方向と平行な向きに電気伝導度が高くなり、この方向へ電流を流した場合における素子の性能指数を向上させることができる。また熱間押出成形による焼結では、押出方向と平行な方向にa軸が配向するため、この配向方向と平行な向きに電気伝導度が高くなり、この方向へ電流を流した場合における素子の性能指数を向上させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記両粉末焼結法は、熱間で圧力を加えて焼結を行うものであるが、いずれの場合にしても熱によって素子内の構成元素が拡散してしまう。このような熱による構成元素の拡散は、結晶のc軸方向にも起こるので、上記両焼結法のように一方向加圧もしくは押出によってa軸を特定方向に配向させようとしても、熱による構成元素の拡散による影響で十分にa軸の配向性が向上せず、性能指数を十分に向上させることができないといった問題があった。
【0005】
故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、熱電半導体の焼結体の配向性を向上させることを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
熱電半導体結晶の粉末又は該粉末の圧粉体を熱間押出成形して押出成形体を作製する熱間押出工程と、
前記熱間押出工程にて作製された複数の押出成形体を前記熱間押出成形における押出方向とは垂直な方向に加圧すると同時にこれらの押出成形体に通電することにより焼結する加圧通電工程と
を含むことを特徴とする熱電半導体焼結体の製造方法とすることである。
【0007】
上記請求項1の発明によれば、熱間押出工程にて、熱電半導体結晶の粉末または該粉末の圧粉体を熱間押出成形して押出成形体を作製する。その後、加圧通電工程にて、複数の押出成形体を押出方向とは垂直な方向に加圧すると同時に、これらの押出成形体に通電する。この通電により、押出成形体は自己発熱して加熱する。したがって、この加圧通電工程で押出成形体は加圧されて一体化するとともに自己発熱により加熱され、焼結する。
【0008】
また、加圧通電工程では、上述のように押出成形体を加圧中に通電しているため、加熱(自己発熱)による構成元素の拡散が抑制される。このため構成元素の拡散に伴うa軸の配向度の低下が抑制され、その結果、a軸の配向性が向上される。
【0009】
また、本発明において、加圧通電工程に用いる材料は、熱間押出工程によって作製された押出成形体である。この押出成形体は、押出方向にa軸が配向している。そして、加圧通電工程においては、この押出成形体を、押出方向とは垂直な方向に加圧すると同時に通電している。したがって、熱間押出工程でa軸が押出方向にある程度配向した押出成形体は、加圧通電工程で押出方向とは垂直な方向に加圧されてさらにその配向度を向上させることができるとともに、粒成長を制限するといった効果を有する。
【0010】
また、加圧通電工程では、押出成形体の自己発熱による加圧方式であるので、別途加熱用のヒータを要せず、製造コストを削減することができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1において、
前記加圧通電焼結工程における前記複数の押出成形体への通電方向を加圧方向と同一方向とすることを特徴としている。
【0012】
上記請求項2の発明によれば、加圧通電焼結工程における複数の押出成形体への通電方向を、加圧方向、即ち押出成形体の押出方向と垂直な方向とするので、電流が押出成形体を横切る方向へと流れる。このため、押出成形体間での発熱が大きくなり、焼結体の機械的強度をより向上させることができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1または2おいて、
前記加圧通電工程における前記複数の押出成形体へ通電する電流の種類をパルス電流とすることを特徴としている。
【0014】
上記請求項3の発明によれば、加圧通電工程における複数の押出成形体へ通電する電流の種類をパルス電流としたので、電流によって焼結体におよぼされるダメージが少なくなり、焼結体内の性能を均一にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態例)
本例における熱電半導体の製造方法は、以下の工程を備える。
【0017】
(1)結晶合金作製工程
(2)粉末化工程
(3)分級工程
(4)圧粉化工程
(5)熱間押出工程
(6)加圧通電工程
以下、工程順に説明する。
【0018】
(1)結晶合金作製工程
まず、ビスマス(Bi)、テルル(Te)、セレン(Se)のそれぞれ純度99.999%以上の原材料を、BiTe2.85Se0.15(Bi(Te0.95Se0.05)の比となるように秤量し、調合した。次いで、キャリア濃度を調節するための添加剤として、ヨウ化アンチモン(SbI)を0.1wt%添加した。次いで、これらを石英管に入れ、管内圧力を10−3Pa程度とした後封管した。この石英管を加熱炉内で800℃で1時間溶融攪拌し、その後炉内で徐冷した。これにより、BiTe2.85Se0.15の組成を持つ熱電半導体の結晶合金を得た。
【0019】
(2)粉末化工程
次に、上記結晶合金作製工程で作製した熱電半導体の結晶合金を、カッターミルで粉砕し、結晶合金の粉末体を作製した。
【0020】
(3)分級工程
次に、上記粉末化工程で作製した結晶合金の粉末体をふるいにかけ、90μm以下の粉末体を得た。
【0021】
(4)圧粉化工程
次に、上記分級工程で得た90μm以下の粉末体を圧粉ダイスに投入し、約400kg/cmの圧力で加圧した。これにより、直径20mm、高さ30mmの円筒形状の圧粉体を作製した。
【0022】
(5)熱間押出工程
次に、上記圧粉化工程で作製した圧粉体を熱間押出する。このときに使用する熱間押出成形機の概略断面図を図1に示す。図1において、熱間押出成形機10は、押出ダイス11及びパンチ12を備える。
【0023】
押出ダイス11は円筒状に形成されており、その略中心部にはキャビティー孔14が形成されている。このキャビティー孔14は、押出ダイス11の一端面(上端面)11aに開通した径の大きな大径部14aと、押出ダイス11の他端面(下端面)11bに開通した前記大径部14aよりも径の小さな小径部14bと、大径部14aと小径部14bとに連続し、大径部14a側から小径部14b側に向けて径が次第に小さくなるテーパー部14cとからなる。
【0024】
パンチ12は円柱形状を呈してなり、その径は押出ダイス11のキャビティー孔14の一部を構成する大径部14aの径とほぼ同一とされている。また、押出ダイス11の外周側面11cにはリングヒータ13が取り付けられている。このリングヒータ13は、図示せぬ電源から通電されることにより加熱し、押出ダイス11を加熱するためのものである。
【0025】
上記構成の熱間押出成形機10において、まずキャビティー孔14内に前記圧粉化工程にて作製した圧粉体を投入する。その後、図示せぬ電源からリングヒータ13に通電して押出ダイス11を所定温度(本例では450℃)まで昇温する。昇温が完了したら、押出ダイス11の一端面11a側からキャビティー孔14の大径部14aにパンチ12を挿入し、図示矢印A方向(下方向)にパンチ12を駆動させる。このパンチ12の下方駆動により、キャビティー14内の圧粉体が加圧され、圧粉体を構成する粉末が流動し、キャビティー孔14の小径部14b側に流れる。この流動の過程で粉末が加熱及び加圧されて焼結化し、押出ダイス11の吐出口11dから焼結体となって押出される。尚、このときの押出圧縮比、即ちキャビティー孔14の大径部14aの水平断面(図示B−B断面から見た大径部14aの断面積)と小径部14bの水平断面積(図示C−C断面から見た小径部14bの断面積)との比は100、押出速度(吐出口11dから押出される押出成形体の吐出速度)は100mm/min.である。このようにして、焼結された棒状の熱電半導体の押出成形体S1を作製した。尚、本例において、押出成形体S1の直径は2mmである。
【0026】
(6)加圧通電工程
次に、上記熱間押出工程にて作製した棒状の押出成形体S1を複数本、図2に概略的に示す加圧通電型に投入する。ここで、加圧通電型について説明する。
【0027】
図2において、加圧通電型20は、ダイス21、上側通電パンチ22、下側通電パンチ23を備える。
【0028】
ダイス21は円筒状に形成されており、その略中心部には、ダイス21の一端面(上端面)21aから他端面(下端面)21bにかけて等径で貫通した貫通孔が形成されている。この貫通孔には、ダイス21の一端面21a側から円筒状の上側通電パンチ22が、他端面21b側から円筒状の下側通電パンチ23が挿入されている。従って、該貫通孔の内周壁と、上側通電パンチ22の下端面と、下側通電パンチの上端面とで囲まれた円筒状の空間でキャビティー孔24が形成されている。尚、ダイス21、上側通電パンチ22、下側通電パンチ23は、本例ではいずれもカーボンで構成されている。
【0029】
また、上側通電パンチ22にはリード線31が電気的に接続されている。下側通電パンチ23にはリード線32が電気的に接続されている。リード線31は、可変電源33のプラス端子に、リード線32は可変電源33のマイナス端子にそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
上記構成の加圧通電型20において、まずキャビティー孔24内に熱間押出工程にて作製された押出成形体S1を複数本投入する。このとき各押出成形体S1にお
いて、前記熱間押出工程で押出されたときの押出方向(図示矢印E方向)が、上側通電パンチ22及び下側通電パンチ23の円筒軸線(図示軸線F)に垂直な方向となるような向きに、各押出成形体S1を配列させる。好ましくは、図示矢印E方向で示す各押出成形体S1の押出方向がそれぞれほぼ平行となるように向きを揃えてキャビティー孔24内に配列させる。その後、図示矢印G方向(下方向)に上側通電パンチ22を駆動させる。この上側通電パンチ22の下方駆動により、キャビティー孔24内の複数の押出成形体S1が所定圧力(本例では300kg/cm)で図示矢印G方向から加圧される。さらにこの加圧と同時に、可変電源33から400Aの直流電流を流す。すると、上側通電パンチ22がプラス電極、下側通電パンチ23がマイナス電極となり、キャビティー孔24内に投入された複数の押出成形体S1に400Aの直流電流が通電される。このときの直流電流の向きは、矢印G方向で表される加圧方向と同一方向、即ち図示矢印E方向で表される各押出成形体の押出方向と垂直な方向の向きである。このような各押出成形体S1への通電により、各押出成形体S1は、その自身の持つ内部抵抗値に比例した大きさで自己発熱する。この自己発熱及び加圧によって各押出成形体S1は押しつぶされて一体化するとともに焼結する。所定時間加圧及び通電による自己発熱を行なった後、これらの加圧及び通電を停止し、キャビティー孔24内から一体化した熱電半導体の焼結体を取出す。これにより熱電半導体の焼結体を作製した。
【0031】
上記工程(1)〜(6)を経て作製された熱電半導体の焼結体サンプルについて、ゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度を測定し、次式により性能指数を計算した。
【0032】
(性能指数)=(ゼーベック係数)×(電気伝導度)/熱伝導度
尚、上記において、ゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度は、上記加圧通電工程にて一体化された熱電半導体の焼結体が棒状の押出成形体であったときの押出方向間において測定した。従って、算出された性能指数はこの方向においてのものである。
【0033】
また、作製した熱電半導体の焼結体サンプルについて、CuKα線(波長1.5418ナ)を用いて、加圧通電工程における加圧方向と平行な面のX線回折を行なった。図3(a)にX線回折パターンを示す。また、このX線回折パターンより、a軸の配向度を定量化した。求めた配向度を上記測定されたゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導、及び計算された性能指数とともに表1に示す。
【0034】
(第2実施形態例)
本例における熱電半導体の製造方法は、上記第1実施形態例と同様に、以下の工程を備える。
【0035】
(1)結晶合金作製工程
(2)粉末化工程
(3)分級工程
(4)圧粉化工程
(5)熱間押出工程
(6)加圧通電工程
ただし、用いる原材料及び加圧通電工程での印加電流の種類が上記第1実施形態例とは異なる。以下、工程順に、異なる部分を中心に説明する。
【0036】
(1)結晶合金作製工程
まず、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)のそれぞれ純度99.999%以上の原材料を、Bi0.5Sb1.5Te3.15((Bi0.25Sb0.75Te3.15)の比となるように秤量し、調合した。その後、これらを石英管に入れ、管内圧力を10−3Pa程度とした後封管した。この石英管を加熱炉内で800℃で1時間溶融攪拌し、その後炉内で徐冷した。これにより、Bi0.5Te1.5Se3.15の組成を持つ熱電半導体合金を得た。
【0037】
(2)粉末化工程
次に、上記結晶合金作製工程で作製した熱電半導体の結晶合金を、上記第1実施形態例と同様に、カッターミルで粉砕し、結晶合金の粉末体を作製した。
【0038】
(3)分級工程
次に、上記粉末化工程で作製した結晶合金の粉末体を、上記第1実施形態例と同様に、ふるいにかけ、90μm以下の粉末体を得た。
【0039】
(4)圧粉化工程
次に、上記分級工程で得た90μm以下の粉末体を、上記第1実施形態例と同様に圧粉ダイスに投入し、約400kg/cmの圧力で加圧した。これにより、直径20mm、高さ30mmの円筒形状の圧粉体を作製した。
【0040】
(5)熱間押出工程
次に、上記圧粉化工程で作製した圧粉体を、上記第1実施形態例と同様な方法で熱間押出する。このときに使用する熱間押出成形機の構成、及び、熱間押出方法は、基本的には上記第1実施形態例で説明した熱間押出成形機の構成及び熱間押出方法と同様であり、異なるところは、熱間押出中の温度を本例では400℃としたことである。その他は上記第1実施形態例と同一であるので、その具体的説明は省略する。
【0041】
(6)加圧通電工程
次に、上記熱間押出工程にて作製した棒状の押出成形体を複数本、図2に概略的に示す加圧通電型に投入する。ここで使用する加圧通電型についても、上記第1実施形態で説明した構成と同一であるので、その具体的説明は省略する。
【0042】
また、本例における加圧通電方法において、上記第1実施形態例と異なるところは、上記第1実施形態例ではキャビティー孔内の複数の押出成形体に通電する電流の種類を直流電流、電流の大きさを400Aの直流電流としたが、本例では電流の種類をパルス電流とし、その大きさを450Aとした。それ以外は上記第1実施形態例と同一であるので、その具体的説明を省略する。
【0043】
このような各押出成形体へのパルス通電により、各押出成形体は、その自身の持つ内部抵抗値に比例した大きさで自己発熱する。この自己発熱及び加圧によって各押出成形体は押しつぶされて一体化するとともに焼結する。所定時間加圧及びパルス通電による自己発熱を行なった後、これらの加圧及びパルス通電を停止し、キャビティー孔24内から一体化した熱電半導体の焼結体を取出す。これにより熱電半導体の焼結体を作製した。
【0044】
上記工程(1)〜(6)を経て作製された熱電半導体の焼結体について、第1実施形態例と同様にゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度を測定し、性能指数を計算した。
【0045】
また、作製した熱電半導体の焼結体サンプルについて、第1実施形態例と同様にCuKα線(波長1.5418ナ)を用いて、加圧通電工程における加圧方向と平行な面のX線回折を行なった。図4(a)にX線回折パターンを示す。また、このX線回折パターンより、a軸の配向度を定量化した。求めた配向度を上記測定されたゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導、及び計算された性能指数とともに表1に示す。
【0046】
(比較例1)
本比較例は、上記第1実施形態例における工程(6)加圧通電工程を行なわず、(1)〜(5)までの工程を経て熱電半導体の焼結体を作製したものである。即ち、本比較例においては、以下の工程によって熱電半導体の焼結体が作製される。
【0047】
(1)結晶合金作製工程
(2)粉末化工程
(3)分級工程
(4)圧粉化工程
(5)熱間押出工程
上記各工程の詳細については、本比較例とは第1実施形態例と同一であるので、その具体的説明は省略する。
【0048】
上記工程(1)〜(5)を経て作製された熱電半導体の焼結体について、第1実施形態例と同様にゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度を測定し、性能指数を計算した。
【0049】
また、作製した熱電半導体の焼結体サンプルについて、第1実施形態例と同様にCuKα線(波長1.5418ナ)を用いて、熱間押出工程における押出方向に垂直な面のX線回折を行なった。図3(b)にX線回折パターンを示す。また、このX線回折パターンより、a軸の配向度を定量化した。求めた配向度を上記測定されたゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導、及び計算された性能指数とともに表1に示す。
【0050】
(比較例2)
本比較例においては、以下の工程によって熱電半導体の焼結体が製造される。
【0051】
(1)結晶合金作製工程
(2)粉末化工程
(3)分級工程
(4)プラズマ焼結工程
上記各工程のうち工程(1)〜(3)については、上記第2実施形態例と同一であるので、その具体的説明は省略する。また、工程(4)においては、上記工程(1)〜(3)を経て作製されたBi0.5Sb1.5Te3.15の組成をもつ粒径90μm以下の熱電半導体結晶粉末をダイスに入れ、温度400℃、圧力400kg/cmの条件下でプラズマ焼結を15分間行なうことにより、プラズマ焼結を完了した。
【0052】
上記工程(1)〜(4)を経て作製された熱電半導体の焼結体について、第1実施形態例と同様にゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導度を測定し、性能指数を計算した。
【0053】
また、作製した熱電半導体の焼結体サンプルについて、第1実施形態例と同様にCuKα線(波長1.5418ナ)を用いて、プラズマ焼結工程における加圧方向に平行な面のX線回折を行なった。図4(b)にX線回折パターンを示す。また、このX線回折パターンより、c面の配向度を定量化した。求めた配向度を上記測定されたゼーベック係数、電気伝導度、熱伝導、及び計算された性能指数とともに表1に示す。
【0054】
(表1)
Figure 0004258086
尚、表中において、dは配向度(−)、αはゼーベック係数(μV/K)、aは電気伝導度(S/cm)、κは熱伝導度(W/cmK)、Zは性能指数(10−3/K)である。
【0055】
図3に示すように、比較例1(図3(b)参照)に対し、第1実施形態例(図3(a)参照)では(1.1.0)のピークが増加しており、a軸の配向度が向上したこと確認できる。これは、第1実施形態例では、加圧通電工程で焼結サンプルに直流電流を通電しながら加圧することで、熱(自己発熱)による構成元素の拡散が抑制されたためと考えられる。
【0056】
また、図4に示すように、比較例2(図4(b)参照)に対し、第2実施形態例(図4(a)参照)では(1.1.0)のピークが増加しており、a軸の配向度が向上したことが確認できる。このことから、比較例2のようにただ単にプラズマ焼結を行うだけの場合よりも、第2実施形態例のように熱間押出工程を経た後に加圧通電して焼結したものの方が、配向度が向上することが確認できる。
【0057】
また、表1からわかるように、比較例1の場合に比べ、第1実施形態例では配向度が向上しているので、ゼーベック係数、電気伝導度ともに増加し、性能指数も約10%向上していることがわかる。さらに、第2実施形態例では比較例2に比べて配向度が向上しているので、電気伝導度が1.8倍程度となっていることがわかる。
【0058】
以上のように、第1及び第2実施形態例によれば、熱電半導体結晶の粉末又は該粉末の圧粉体を熱間押出成形して押出成形体を作製する熱間押出工程と、熱間押出工程にて作製された複数の押出成形体を熱間押出成形における押出方向とは垂直な方向に加圧すると同時にこれらの押出成形体に通電することにより焼結する加圧通電工程とを含む熱電半導体焼結体の製造方法とし、加圧通電工程で押出成形体を加圧中に通電している。このように加圧中に通電することで、熱による押出成形体の構成元素の拡散が抑制される。このため構成元素の拡散に伴うa軸の配向度の低下が抑制され、その結果、a軸の配向性が向上される。
【0059】
また、加圧通電工程に用いる材料は、熱間押出工程によって作製された押出成形体である。この押出成形体は、押出方向にa軸が配向している。そして、加圧通電工程においては、この押出成形体を、押出方向(図2示矢印E方向)とは垂直な方向(図2示矢印G方向又は軸Fに平行な方向)に加圧すると同時に通電している。したがって、熱間押出工程でa軸が押出方向にある程度配向した押出成形体は、加圧通電工程で押出方向とは垂直な方向に加圧されてさらにその配向度を向上させることができるとともに、粒成長を制限するといった効果を有する。
【0060】
また、加圧通電工程では、押出成形体の自己発熱による加圧方式であるので、別途加熱用のヒータを要せず、製造コストを削減することができる。
【0061】
また、加圧通電焼結工程における複数の押出成形体への通電方向を加圧方向と同一方向、即ち押出成形体の押出方向と垂直な方向とするので、電流が押出成形体を横切る。このため押出成形体間での発熱が大きくなり、焼結体の機械的強度が向上する。
【0062】
また、上記第2実施例によれば、加圧通電工程における複数の押出成形体へ通電する電流の種類をパルス電流としたので、焼結体におよぼされるダメージが少なくなり、焼結体内の性能を均一にすることができる。
【0063】
(変形例)
上記第1及び第2実施例に基づいて、以下の工程を具備する熱電半導体の製造方法とすることもできる。
【0064】
(1)結晶合金作製工程
(2)粉末化工程
(3)分級工程
(4)一方向加圧工程
(5)加圧通電工程
上記工程において、工程(1)〜(3)及び工程(5)については、上記第1または第2実施形態例と同様な方法とすることができる。工程(4)の一方向加圧工程は、通常のホットプレス工程等の、一軸方向から熱電半導体結晶合金の粉末を加圧するとともに加熱して焼結する工程である。この工程では、加圧方向に対して垂直な方向にa軸が配向する。したがって、(5)の加圧通電工程では、一方向加圧工程で加圧された方向と同一方向に加圧しながら通電することにより、熱による構成元素の拡散を抑制することができるとともに、配向度をより向上させることができる。
【0065】
(付記)
上記発明の実施の形態から、以下の技術的思想も把握できる。
【0066】
(1)熱電半導体結晶の粉末を熱間で一方向加圧成形して加圧体を作製する一方向加圧工程と、
前記一方向加圧工程にて作製された複数の加圧体を前記一方向加圧成形における加圧方向と同一の方向に加圧すると同時にこれらの加圧体に通電することにより焼結する加圧通電工程と
を含むことを特徴とする熱電半導体焼結体の製造方法。
【0067】
(2)上記(1)において、
前記加圧通電工程における前記複数の加圧体への通電方向を加圧方向と同一方向とすることを特徴とする熱電半導体の製造方法。
【0068】
(3)上記(1)または(2)において、
前記加圧通電工程における前記複数の押出成形体へ通電する電流の種類をパルス電流とすることを特徴とする熱電半導体の製造方法。
【0069】
上記(1)によれば、一方向加圧工程にて、熱電半導体結晶の粉末または該粉末の圧粉体を一方向加圧成形して加圧体を作製する。その後、加圧通電工程にて、複数の加圧体を一方向加圧成形における加圧方向と同一の方向に加圧すると同時に、これらの加圧体に通電する。この通電により、加圧体は自己発熱して加熱する。したがって、この加圧通電工程で加圧体は加圧されて一体化するとともに自己発熱により加熱され、焼結する。
【0070】
また、加圧通電工程では、上述のように加圧体を加圧中に通電しているため、加熱(自己発熱)による構成元素の拡散が抑制される。このため構成元素の拡散に伴うa軸の配向度の低下が抑制され、その結果、a軸の配向性が向上される。
【0071】
また、本発明において、加圧通電工程に用いる材料は、一方向加圧工程によって作製された加圧体である。この加圧体は、一方向加圧工程における加圧方向と垂直方向にa軸が配向している。そして、加圧通電工程においては、この加圧体を、上記加圧方向と同一な方向に加圧すると同時に通電している。したがって、一方向加圧工程でa軸が加圧方向と垂直な方向にある程度配向した加圧体は、加圧通電工程で上記加圧方向にさらに加圧され、さらにその配向度を向上させることができるとともに、粒成長を制限するといった効果を有する。
【0072】
また、加圧通電工程では、押出成形体の自己発熱による加圧方式であるので、別途加熱用のヒータを要せず、製造コストを削減することができる。
【0073】
また、上記(2)によれば、加圧通電焼結工程における複数の加圧体への通電方向を、加圧方向と同一方向とするので、電流が加圧体を横切る。このため、加圧体間での発熱が大きくなり、機械的強度が向上する。
【0074】
また、上記(3)によれば、加圧通電工程における複数の押出成形体へ通電する電流の種類をパルス電流としたので、焼結体におよぼされるダメージが少なくなり、焼結体内の性能を均一にするといった効果を有する。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、熱電半導体の焼結体の配向性を改善し、性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態例における、熱間押出成形機の概略断面図である。
【図2】本発明の第1及び第2実施形態例における、加圧通電型の概略図である。
【図3】熱電半導体の焼結サンプルのX線回折パターンであり、図3(a)は、第1実施形態例で作製した熱電半導体の焼結サンプルのX線回折パターン、図3(b)は比較例1で作製した熱電半導体の焼結サンプルのX線回折パターンである。
【図4】熱電半導体の焼結サンプルのX線回折パターンであり、図4(a)は、第2実施形態例で作製した熱電半導体の焼結サンプルのX線回折パターン、図4(b)は比較例2で作製した熱電半導体の焼結サンプルのX線回折パターンである。
【符号の説明】
10・・・熱間押出成形機
11・・・押出ダイス、 11a・・・一端面、 11b・・・他端面、 11c・・・外周側面、 11d・・・吐出口
12・・・パンチ
14・・・キャビティー孔、 14a・・・大径部、 14b・・・小径部、
14c・・・テーパー部
20・・・加圧通電型
21・・・ダイス、 21a・・・一端面、 21b・・・他端面
22・・・上側通電パンチ
23・・・下側通電パンチ
24・・・キャビティー孔
33・・・可変電源

Claims (3)

  1. 熱電半導体結晶の粉末又は該粉末の圧粉体を熱間押出成形して押出成形体を作製する熱間押出工程と、
    前記熱間押出工程にて作製された複数の押出成形体を前記熱間押出成形における押出方向とは垂直な方向に加圧すると同時にこれらの押出成形体に通電することにより焼結する加圧通電工程と
    を含むことを特徴とする熱電半導体焼結体の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記加圧通電焼結工程における前記複数の押出成形体への通電方向を加圧方向と同一方向とすることを特徴とする熱電半導体焼結体の製造方法。
  3. 請求項1または2おいて、
    前記加圧通電工程における前記複数の押出成形体へ通電する電流の種類をパルス電流とすることを特徴とする熱電半導体の製造方法。
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