JP3922484B2 - 熱電半導体焼結体の製造方法及び熱電半導体焼結体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、焼結化された熱電半導体の製造方法及び熱電半導体焼結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、焼結化された熱電半導体(以下、熱電半導体焼結体)を製造するにあたっては、まず周知の結晶成長法によりバルク状の熱電半導体結晶合金を成形し(結晶合金成形工程)、このバルク状の熱電半導体結晶合金をミル等で粉砕して粉末化し(粉末化工程)、粉末化した結晶体を分級して所定の粒径範囲の粉末とし(分級工程)、その後ホットプレスや熱間押出しによりこれらの粉末を焼結化(焼結工程)していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示す従来の製造方法は、主要な工程が結晶合金成形工程、粉末化工程、分級工程、焼結工程と4工程あり、工程数が多いので、設備投資費がかさみ、スペース的にも不利であり、また生産性が悪化するという問題がある。さらに、粉末化工程、分級工程をそれぞれ設けているので、粉末の取り扱いに注意を払わなければならないという問題もある。
【0004】
故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、工程数を減らして設備投資費を押さえ、スペース的にも有利とし、生産性を向上させるとともに、粉末化工程を省略して粉末の取り扱いに注意を払うことなく簡単に熱電半導体焼結体を製造すること、及びこのような方法により製造された熱電半導体焼結体を提供することを技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、請求項1において講じた発明は、
熱電半導体のバルク結晶体を成形する結晶体成形工程と、前記バルク結晶体を加熱された押出しダイスのキャビティー内に供給し、パンチを前記キャビティー内で前進させることにより前記バルク結晶体に押圧力を付与して粉砕するとともに溶融または半溶融状態とし、溶融または半溶融化された結晶体を押出しながら焼結化して熱電半導体焼結体を成形する熱間押出し工程とを含む熱電半導体焼結体の製造方法とすることである。
【0006】
上記発明によれば、結晶体成形工程において成形された熱電半導体のバルク結晶体は、粉末化されずにそのまま加熱された押出しダイスのキャビティーに供給される。そして、パンチによりバルク結晶体に押圧力を付与することで、該結晶体はキャビティー内で粉砕されるものである。粉砕された粉末結晶体は熱により溶融または半溶融状態となる。そして、パンチの前進に伴い押出しダイスから順次押出され、この押出される過程で加熱された押出しダイスからさらに熱をもらい受けて焼結化し、熱電半導体焼結体が製造されるものである。
【0007】
従って、上記発明における製造工程は、結晶体成形工程と熱間押出し工程の2工程であり、工程数が従来よりも少なく、設備投資費を押さえ、スペース的にも有利とし、生産性を向上させることができるものである。また、粉末化工程、分級工程を省略したので、粉末の取り扱いに注意を払うことなく簡単に熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0008】
また、熱間押出し工程において、焼結化前に結晶体が溶融または半溶融状態とされるので、押出圧力を低くすることができ、製造装置のコンパクト化を図れるとともに、焼結体のゼーベック係数及び電気伝導度を向上させることができる。これは、溶融または半溶融状態となることで結晶体内で原子の移動がおこり、結晶体成形工程において生じる成分偏析が緩和されて内部組成が均一化することによりゼーベック係数が向上するものと考えられる。また、溶融または半溶融したものが凝固して焼結体を形成するため、粒界での原子間のつながりが良好となり、原子のつながりが良好となった分、電気伝導度が向上するものと考えられる。このように、ゼーベック係数、電気伝導度が向上するので、冷却性能のより向上した熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0009】
上記技術的課題を解決するにあたり、請求項2の発明のように、
前記熱押出し工程における前記押出しダイスの温度は250℃以上に制御されることが好ましい。
【0010】
これによれば、押出しダイスの温度を250℃以上に制御することで結晶体に加えられる熱量を確保し、熱間押出し工程において結晶体を半溶融状態とすることができ、押出圧力を低くすることができるとともに、半溶融状態になることで、結晶体の成分偏析が緩和され、また粒界の結合が向上するため、冷却性能のより向上した熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0011】
同様に、上記技術的課題を解決するにあたり、請求項3の発明のように、
前記熱間押出し工程における前記熱電半導体焼結体の押出し速度が15mm/sec.以下となるように前記キャビティー内における前記パンチの前進速度を制御することが好ましい。
【0012】
これによれば、熱電半導体焼結体の押出し速度が15mm/sec.以下となるようにパンチの前進速度を制御することで結晶体に熱が加えられる時間を確保し、熱間押出し工程において結晶体をほぼ確実に半溶融状態とすることができ、押出圧力を低くすることができるとともに、結晶体の偏析緩和の促進及び粒界の結合性の向上により冷却性能のより向上した熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0013】
また、上記技術的課題を解決するために、請求項4において講じた発明は、
熱電半導体のバルク結晶体を熱間押出し工程により粉砕して溶融または半溶融にするとともに押出しながら焼結化した熱電半導体焼結体としたことである。
【0014】
上記発明によれば、熱電半導体焼結体は、熱電半導体のバルク結晶体を熱間押出し工程において粉砕し、溶融または半溶融にして押出しながら焼結化したものであるので、バルク結晶体を粉末化する粉末化工程や、所定の粒径に調整する分級工程を別途設ける必要がない。
【0015】
このため工程数が従来よりも少なく、設備投資費を押さえ、スペース的にも有利とし、生産性を向上させることができるものである。また、粉末化工程、分級工程を経ていないので、粉末の取り扱いに注意を払う必要がないものである。
【0016】
また、熱間押出し工程において、焼結化前に結晶体が溶融または半溶融状態とされるので、押出圧力を低くすることができ、製造装置のコンパクト化を図れるとともに、結晶体の成分偏析が緩和されることによるゼーベック係数の向上、及び、焼結体となった際の粒界の結合性が向上することによる電気伝導度の向上が望まれ、冷却性能のより向上した熱電半導体焼結体とすることができるものである。
【0019】
また、上記技術的課題を解決するにあたり、請求項5の発明のように、前記熱電半導体のバルク結晶体はP型熱電半導体であり、主成分が次式
BiWSbXTeYSeZ
(0.4≦W≦2.0、X≦1.6、2.7≦Y≦3.25、Z≦0.3)であることが好ましい。
【0020】
Bi、Teの2元系またはBi、TeにSb、Seの少なくともどちらか一方が含有された3〜4元系のP型熱電半導体において、各モル比(w、x、y、z)を上記範囲とすることにより、P熱電半導体材料として使用するに足る性能指数を有するP熱電半導体焼結体とすることができる。また、上記範囲外であると、使用するに足る性能を有する熱電半導体焼結体ができない。
【0021】
また、上記技術的課題を解決するにあたり、請求項6の発明のように、前記熱電半導体のバルク結晶体はN型熱電半導体であり、主成分が次式
BiWSbXTeYSeZ
(1.4≦W≦2.0、X≦0.6、2.7≦Y≦3.0、Z≦0.3)であることが好ましい。
【0022】
Bi、Teの2元系またはBi、TeにSb、Seのうちの少なくとも1つが含有された3〜4元系のN型熱電半導体において、各モル比(w、x、y、z)を上記範囲とすることにより、N型熱電半導体材料として使用するに足る性能指数を有するN型熱電半導体焼結体とすることができる。また、上記範囲外であると、使用するに足る性能を有する熱電半導体焼結体ができない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態例)
まず、本発明の第1実施形態例について説明する。
【0025】
本例における熱電半導体焼結体の製造方法は、熱電半導体のバルク結晶体を成形する結晶体成形工程と、前記バルク結晶体を加熱された押出しダイスのキャビティー内に供給し、パンチを前記キャビティー内で前進させることにより前記バルク結晶体に押圧力を付与して粉砕するとともに溶融または半溶融状態とし、溶融または半溶融化された結晶体を押出しながら焼結化して熱電半導体焼結体を成形する熱間押出し工程とを備えるものである。
【0026】
A.結晶体成形工程
まず、製造すべき熱電半導体の主成分がBi2 Te2.85Se0.15の組成になるように、ビスマス、テルル、セレンの純度5N(99.999%)の各原材料を秤量し、石英管に投入した。次に、キャリア濃度を調節するために臭化銀(AgBr)を0.07wt%添加した。その後、真空ポンプにより石英管内を1.0×10-5torr以下の真空にし、封管した。
【0027】
この封管した石英管を900℃にて1時間加熱しながら揺動させ、管内の原材料混合物を溶融撹拌した後、冷却させて結晶成長させ、合金化した。
【0028】
以上の操作により、Bi2 Te2.85Se0.15の組成を持つN型熱電半導体のバルク結晶体を成形した。
【0029】
B.熱間押出し工程
上記により成形したBi2 Te2.85Se0.15合金のバルク結晶体を、図1に示すような押出し金型に供給する。ここで、図1に示す押出し金型の構成について説明する。
【0030】
図1において、押出し金型1は、円筒形状のダイス2とパンチ3を備える。ダイス2は、内部にキャビティー4が形成されており、該キャビティー4はダイス2の裏面2bに開口した円筒状空間部4aと該円筒状空間部4aに連続した円錐台形状空間部4bとよりなる。円錐台形状空間部4bの先端部4cは、ダイス2の表面2aに開口した吐出口2cに通路4dで連通している。ダイス2の裏面2bからはパンチ3が円筒状空間部4aに挿入されている。また、ダイス2の周囲にはリングヒータ5が巻回されており、該リングヒータ5によりダイス2が加熱されるようになっている。リングヒータ5は、PID制御器やON−OFF制御器等の温度調節器6を経て電源7に電気的に連結されている。またパンチ3は、該パンチ3のストローク速度を可変制御する駆動制御器8を経て駆動源9に連結されているものである。尚、本例においては、駆動源9として、油圧ポンプを用いた。
【0031】
上記構成の押出し金型1において、リングヒータ5に通電してダイス2を加熱するとともに、温度調節器6によりダイス2の温度を410℃となるように調節しておく。次に、Bi2Te2.85Se0.15合金のバルク結晶体を、ダイス2のキャビティー4に供給する。次に、駆動源9を駆動させてパンチ3を図示矢印A方向に前進させる。このときのパンチ3のストローク速度は、吐出口2cから吐出される熱電半導体焼結体の吐出速度が4mm/sec.となるように、駆動制御器8により所定のストローク速度に制御される。
【0032】
キャビティー4に供給されたBi2Te2.85Se0.15合金のバルク結晶体は、パンチ3がキャビティー4内を図示矢印A方向に前進することにより押圧力が付与され、粉砕する。さらに、リングヒータ5により加熱されたダイス2から熱が加えられ、半溶融状態となる。そして、半溶融化されたBi2Te2.85Se0.15合金は、吐出口2cから押出される。特に本例で使用するBi2Te2.85Se0.15合金のバルク結晶体は、へき開性を有しており、所定の押圧力が付与されるとへき開面から容易に割れる性質をもつので、キャビティー4内で簡単に粉砕される。この熱間押出し工程において、半溶融状態のBi2Te2.85Se0.15合金は次第に焼結化していき、吐出口2cから吐出されるときには熱電半導体焼結体となって吐出されるものである。このようにしてN型熱電半導体焼結体を製造した。
【0033】
上記の如く製造したN型熱電半導体焼結体の組織写真を図2に示す。
【0034】
(第2実施形態例)
次に、本発明の第2実施形態例について説明する。本例における熱電半導体焼結体の製造方法も、上記第1実施形態例と同様、熱電半導体のバルク結晶体を成形する結晶体成形工程と、前記バルク結晶体を加熱された押出しダイスのキャビティー内に供給し、パンチを前記キャビティー内で前進させることにより前記バルク結晶体に押圧力を付与して粉砕するとともに溶融または半溶融状態とし、溶融または半溶融化された結晶体を押出しながら焼結化して熱電半導体焼結体を成形する熱間押出し工程とを備えるものである。
【0035】
A.結晶体成形工程
まず、製造すべき熱電半導体の主成分がBi0.5 Sb1.5 Te3.0 の組成になるように、ビスマス、アンチモン、テルルの純度5N(99.999%)の各原材料を秤量し、石英管に投入した。次に、キャリア濃度を調節するために銀(Ag)を0.016wt%添加した。その後、真空ポンプにより石英管内を1.0×10-5torr以下の真空にし、封管した。
【0036】
この封管した石英管を900℃にて1時間加熱しながら揺動させ、管内の原材料混合物を溶融撹拌した後、冷却させて結晶成長させ、合金化した。
【0037】
以上の操作により、Bi0.5 Sb1.5 Te3.0 の組成を持つP型熱電半導体のバルク結晶体を成形した。
【0038】
B.熱間押出し工程
上記により成形したBi0.5 Sb1.5 Te3.0 合金のバルク結晶体を、図1に示すような押出し金型に供給する。ここで使用する押出し金型は、上記第1実施形態例と同一であるので、その詳細な構造の説明は省略する。
【0039】
図1に示す押出し金型1において、リングヒータ5に通電してダイス2を加熱するとともに、温度調節器6によりダイス2の温度を430℃となるように調節しておく。次に、Bi0.5Sb1.5Te3.0合金のバルク結晶体を、ダイス2のキャビティー4に供給する。次に、駆動源9を駆動させてパンチ3を図示矢印A方向に移動させる。このときのパンチ3のストローク速度は、吐出口2cから吐出される熱電半導体焼結体の吐出速度が4mm/sec.となるように、駆動制御器8により所定のストローク速度に制御される。
【0040】
キャビティー4に供給されたBi0.5Sb1.5Te3.0合金のバルク結晶体は、パンチ3がキャビティー4内を図示矢印A方向に前進することにより押圧力が付与され、粉砕する。さらに、リングヒータ5により加熱されたダイス2から熱が加えられ、半溶融状態となる。そして、半溶融化されたBi0.5Sb1.5Te3.0合金は、吐出口2cから押出される。特に本例で使用するBi0.5Sb1.5Te3.0合金のバルク結晶体は、へき開性を有しており、所定の押圧力が付与されるとへき開面から容易に割れる性質をもつので、キャビティー4内で簡単に粉砕される。この熱間押出し工程において、半溶融状態のBi0.5Sb1.5Te3.0合金は次第に焼結化していき、吐出口2cから吐出されるときには熱電半導体焼結体となって吐出されるものである。このようにしてP型熱電半導体焼結体を製造した。
【0041】
上記の如く製造したP型熱電半導体焼結体の組織写真を図3に示す。
【0042】
(第1比較例)
次に、第1比較例について説明する。
【0043】
A.結晶体成形工程
まず、製造すべき熱電半導体の主成分がBi2.0 Te2.7 Se0.3 の組成になるように、ビスマス、テルル、セレンの純度5N(99.999%)の各原材料を秤量し、石英管に投入した。次に、キャリア濃度を調節するために塩化水銀(HgCl)0.13wt%とセレン(Se)0.06wt%を添加した。その後、真空ポンプにより石英管内を1.0×10-5torr以下の真空にし、封管した。
【0044】
この封管した石英管を700℃にて1時間加熱しながら揺動させ、管内の原材料混合物を溶融撹拌した後、冷却させて結晶成長させ、合金化した。
【0045】
以上の操作により、Bi2.0 Te2.7 Se0.3 の組成を持つN型熱電半導体のバルク結晶体を成形した。
【0046】
B.熱間押出し工程
上記により成形したBi2.0 Te2.7 Se0.3 合金のバルク結晶体を、図1に示すような押出し金型に供給する。ここで使用する押出し金型は、上記第1実施形態例と同一であるので、その詳細な構造の説明は省略する。
【0047】
図1に示す押出し金型1において、リングヒータ5に通電してダイス2を加熱するとともに、温度調節器6によりダイス2の温度を430℃となるように調節しておく。次に、Bi2.0Te2.7Se0.3合金のバルク結晶体を、ダイス2のキャビティー4に供給する。次に、駆動源9を駆動させてパンチ3を図示矢印A方向に移動させる。このときのパンチ3のストローク速度は、吐出口2cから吐出される熱電半導体焼結体の吐出速度が16mm/sec.となるように、駆動制御器8により所定のストローク速度に制御される。
【0048】
キャビティー4に供給されたBi2.0 Te2.7 Se0.3 合金のバルク結晶体は、パンチ3がキャビティー4内を図示矢印A方向に前進することによりり押圧力が付与され、粉砕する。そして、粉砕され粉末となったBi2.0 Te2.7 Se0.3 合金は焼結化しながら吐出口2cから押出される。このようにして、熱電半導体焼結体を製造した。
【0049】
上記の如く製造したN型熱電半導体焼結体の組織写真を図4に示す。
【0050】
(第2比較例)
次に、第2比較例について説明する。
【0051】
A.結晶体成形工程
まず、製造すべき熱電半導体の主成分がBi0.5 Sb1.5 Te2.9 Se0.09の組成になるように、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンの純度5N(99.999%)の各原材料を秤量し、石英管に投入した。次に、キャリア濃度を調節するためにテルル(Te)を1.5wt%添加した。その後、真空ポンプにより石英管内を1.0×10-5torr以下の真空にし、封管した。
【0052】
この封管した石英管を700℃にて1時間加熱しながら揺動させ、管内の原材料混合物を溶融撹拌した後、冷却させて結晶成長させ、合金化した。
【0053】
以上の操作により、Bi0.5 Sb1.5 Te2.9 Se0.09の組成を持つP型熱電半導体のバルク結晶体を成形した。
【0054】
B.熱間押出し工程
上記により成形したBi0.5 Sb1.5 Te2.9 Se0.09合金のバルク結晶体を、図1に示すような押出し金型に供給する。ここで使用する押出し金型は、上記第1実施形態例と同一であるので、その詳細な構造の説明は省略する。
【0055】
図1に示す押出し金型1において、リングヒータ5に通電してダイス2を加熱するとともに、温度調節器6によりダイス2の温度を240℃となるように調節しておく。次に、Bi0.5Sb1.5Te2.9Se0.09合金のバルク結晶体を、ダイス2のキャビティー4に供給する。次に、駆動源9を駆動させてパンチ3を図示矢印A方向に移動させる。このときのパンチ3のストローク速度は、吐出口2cから吐出される熱電半導体焼結体の吐出速度が1mm/sec.となるように、駆動制御器8により所定のストローク速度に制御される。
【0056】
キャビティー4に供給されたBi0.5 Sb1.5 Te2.9 Se0.09合金のバルク結晶体は、パンチ3がキャビティー4内を図示矢印A方向に前進することにより押圧力が付与され、粉砕され、焼結化しながら吐出口2cから押出される。このようにして、熱電半導体焼結体を製造した。
【0057】
上記の如く製造したP型熱電半導体焼結体の組織写真を図5に示す。
【0058】
以上、第1、第2実施形態例、及び、第1、第2比較例において説明した熱電半導体焼結体の製造方法において、各例における結晶体の組成、添加物及びその含有量、熱間押出し工程における成形条件(押出し温度、押出し速度、押出し圧力)、製造した熱電半導体焼結体の性能(圧縮強度、ゼーベック係数、電気伝導度)をまとめて表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1を見て明らかなように、第1、第2実施形態例において製造した熱電半導体焼結体の性能は、充分なものであることがわかる。これに対し、比較例1で示したN型熱電半導体焼結体は、第1実施形態例の場合と比較して、ゼーベック係数、電気伝導度共に劣ることがわかる。これは、熱間押出し工程における押出し速度が16mm/sec.と速く、粉末化された結晶合金に十分熱が伝わらず、十分に半溶融状態とされていないことが原因と考えられる。また、比較例2で示したP型熱電半導体焼結体は、第2実施形態例の場合と比較して、電気伝導度が非常に悪いことがわかる。これは、ダイスを加熱する温度が低く、粉末化された結晶合金に十分熱が伝わらず、比較例1の場合と同様に十分半溶融状態とされていないことが原因と考えられる。
【0061】
以上説明したように、各実施形態例における熱電半導体焼結体の製造方法は、熱電半導体のバルク結晶体を成形する結晶体成形工程と、バルク結晶体を加熱されたダイス2のキャビティー4内に供給し、パンチ3をキャビティー4内で前進させることによりバルク結晶体に押圧力を付与して粉砕するとともに溶融または半溶融状態とし、溶融または半溶融化された結晶体を押出しながら焼結化して熱電半導体焼結体を成形する熱間押出し工程とを備えるものであり、また各実施形態例において製造された熱電半導体焼結体は、熱電半導体のバルク結晶体を熱間押出し工程により粉砕して溶融または半溶融状態にするとともに押出しながら焼結化したものであるので、該焼結体を製造するにあたっての主要な工程が結晶体成形工程と熱間押出し工程の2工程となり、工程数が従来よりも少なく、設備投資費を押さえ、スペース的にも有利とし、生産性を向上させることができるものである。また、熱間押出し工程内で結晶体を粉砕するため、従来必要であった粉末化工程及び分級工程を省略することができ、粉末の取り扱いに注意を払うことなく簡単に熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0062】
また、熱間押出し工程において、焼結化前に結晶体が溶融または半溶融状態とされるので、押出圧力を低くすることができ、製造装置のコンパクト化を図れるとともに、結晶体の偏析が緩和されることによるゼーベック係数の向上、及び、焼結体となった際の粒界の結合性が向上することによる電気伝導度の向上が望まれ、冷却性能のより向上した熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0063】
また、熱間押出し工程におけるダイス2の温度は250℃以上、特に380℃以上に制御されているので、結晶体がほぼ確実に半溶融または溶融状態となり、押出し圧力を低減させ、装置をコンパクトにすることができる。また、結晶体の偏析緩和及び粒界の結合性の向上により冷却性能が一層向上した熱電半導体焼結体を製造することができるものである。尚、好ましくはこの押出しダイスの温度は600℃以下がよい。この温度以上であると、押出し材の表面にクラックが発生するという不具合を生じる。
【0064】
また、熱間押出し工程における前記熱電半導体焼結体の押出し速度を4mm/sec.とし、15mm/sec.以下となるようにキャビティー内におけるパンチの前進速度を制御しているので、結晶体が十分に半溶融状態になり、押出し圧力を低減させ、装置をコンパクトにすることができる。また、結晶体の偏析緩和及び粒界の結合性の向上により冷却性能が一層向上した熱電半導体焼結体を製造することができるものである。
【0066】
また、第2実施形態例で示した熱電半導体のバルク結晶体はP型熱電半導体で、主成分組成がBi0.5 Sb1.5 Te3.0 であり、次式
Biw Sbx Tey Sez
(0.4≦w≦2.0、x≦1.6、2.7≦y≦3.25、z≦0.3)
の範囲内であるので、十分な性能を有するP型熱電半導体焼結体とすることができるものである。
【0067】
また、第1実施形態例で示した熱電半導体のバルク結晶体はN型熱電半導体で、主成分組成がBi2 Te2.85Se0.15であり、次式
Biw Sbx Tey Sez
(1.4≦w≦2.0、x≦0.6、2.7≦y≦3.0、z≦0.3)
の範囲内であるので、十分な性能を有するN型熱電半導体焼結体とすることができるものである。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、工程数を減らして設備投資費を押さえ、スペース的にも有利とし、生産性を向上させるとともに、粉末化工程を省略して粉末の取り扱いに注意を払うことなく簡単に熱電半導体焼結体を製造すること、及びこのような方法により製造された熱電半導体焼結体を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1、第2実施形態例及び、第1、第2比較例における熱間押出し工程において使用する押出し金型の概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態例における、熱電半導体焼結体の組織写真である。
【図3】本発明の第2実施形態例における、熱電半導体焼結体の組織写真である。
【図4】第1比較例における、熱電半導体焼結体の組織写真である。
【図5】第2比較例における、熱電半導体焼結体の組織写真である。
【符号の説明】
1・・・押出し金型
2・・・ダイス(押出しダイス)、2a・・・表面、2b・・・裏面、2c・・・吐出口
3・・・パンチ
4・・・キャビティー、4a・・・円筒状空間部、4b・・・円錐大径状空間部、4c・・・先端部4c、4d・・・通路
5・・・リングヒータ
6・・・温度調節器
7・・・電源
8・・・駆動制御器
9・・・駆動源
Claims (6)
- 熱電半導体のバルク結晶体を成形する結晶体成形工程と、
前記バルク結晶体を加熱された押出しダイスのキャビティー内に供給し、パンチを前記キャビティー内で前進させることにより前記バルク結晶体に押圧力を付与して粉砕するとともに溶融または半溶融状態とし、溶融または半溶融化された結晶体を押出しながら焼結化して熱電半導体焼結体を成形する熱間押出し工程とを含む熱電半導体焼結体の製造方法。 - 請求項1において、
前記熱間押出し工程における前記押出しダイスの温度は250℃以上に制御されることを特徴とする熱電半導体焼結体の製造方法。 - 請求項1または2において、
前記熱間押出し工程における前記熱電半導体焼結体の押出し速度が15mm/sec.以下となるように前記キャビティー内における前記パンチの前進速度を制御することを特徴とする熱電半導体焼結体の製造方法。 - 熱電半導体のバルク結晶体を熱間押出し工程により粉砕して溶融または半溶融するとともに押出しながら焼結化した熱電半導体焼結体。
- 請求項4において、
前記熱電半導体のバルク結晶体はP型熱電半導体であり、主成分が次式
BiWSbXTeYSeZ
(0.4≦W≦2.0、X≦1.6、2.7≦Y≦3.25、Z≦0.3)であることを特徴とする熱電半導体焼結体。 - 請求項4において、
前記熱電半導体のバルク結晶体はN型熱電半導体であり、主成分が次式
BiWSbXTeYSeZ
(1.4≦W≦2.0、X≦0.6、2.7≦Y≦3.0、Z≦0.3)であることを特徴とする熱電半導体焼結体。
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