JP4241001B2 - 部品取出し方法、部品取出し装置およびこの装置を備える組み立て装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着面に複数個の部品が並べて貼付けてある粘着シートから部品を部品保持具により取り出す部品取出し方法と、部品取出し装置と、この装置を備える組み立て装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
前記のような粘着シートから部品を個々に剥離して取り出す部品取出し技術は、既に各種提案されて実施されている。それらは、粘着シートから個々の部品を吸着ノズルのような部品保持具に保持させて剥離するものである。
【0003】
具体的な従来技術として、例えば、粘着シートの各部分のうち、取出し対象部品の周囲部分を筒状のスリーブの先端で下方から所定量だけ押し上げる一方、粘着シートの、前記取出し対象部品の真下に相当する部分をピンの先端で所定量だけ突き上げる。さらに、前記スリーブ内を真空排気する。この状態で前記取出し対象部品の上面に当接した部品保持具(コレット)によって前記部品を真空吸着して取り出すようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、他の従来技術として、先端に水平面を有する突き上げコマと、このコマの内部から突き出て、粘着シートを破りながら部品を突き上げるピンと、このピンを上昇下降させる機構と、部品を保持する保持具(保持チャック)とを有し、粘着シートに貼り付けられた部品を剥離するようにしたものがある(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、部品保持具(コレット)の下方側で、粘着シートを裏面からの吸引によりシート保持ステージ上に固定し、このように固定された粘着シートに対して、シート保持ステージのほぼ中央部に設けられているニードルもしくはピンを上方に突出させることで、取出し対象部品を突き上げるようにしたものがある(特許文献3、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−121525号公報
【特許文献2】
特開平10−256349号公報
【特許文献3】
特開平6−97215号公報
【特許文献4】
特開平7−99227号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記の特許文献1や特許文献2に記載の従来技術では、スリーブおよびピン、もしくはコマを上昇させたとき、粘着シートが局部的に持ち上がるととも、取出し対象部品も持ち上がるのであるが、部品と粘着シートとの粘着力により、取出し対象部品の周辺の広い範囲で粘着シートが取出し対象部品に引っ張られて持ち上がってしまう。そのため、粘着シートからの部品の剥離が不充分で、部品の取出しに支障が生じるほか、この持ち上がりにより、粘着シートは、局部的に引き伸ばされて変形する。この粘着シートの伸び変形、弛みのため、取出し対象部品の周辺では、部品の位置ずれが発生するおそれがあり、部品の取出しごとにカメラなどによってその部品位置の認識や位置調整が必要となり、部品取出し効率に悪影響を及ぼす。
【0008】
これに対して、特許文献3や特許文献4に記載の従来技術では、部品保持具の下方側で粘着シートをシート保持ステージに吸着固定するので、取出し対象部品の周辺の広い範囲で粘着シートが持ち上がってしまうようなことがない。しかし、一つの部品を取り出した後に次の部品を取り出すには、粘着シートの吸着固定を一旦解除し、ニードルやピン等の押し上げ部材に対して粘着シートを相対移動させる必要がある。これらの動作は部品1個毎に繰り返すことになるので、粘着シート上の部品全体を取出すのに時間がかかり、部品取出し作業の効率を高めることが難しい。また、部品1個毎に粘着シートの吸着固定と、その解除とを繰り返すので、その間に、粘着シートの広い範囲で弛み、伸び変形が生じ、これに伴い、部品の位置ずれが発生するおそれがある。したがって、この従来技術でも、部品の取出しごとにその部品位置の認識や位置調整が必要となり、部品取出し効率の向上が難しい。
【0009】
本発明は、このような実情に着目してなされたもので、効率よく部品のピックアップを行えるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の部品取出し方法は、粘着面に複数個の部品が整列した状態で貼付けてある粘着シートから部品を部品保持具によって保持しピックアップする部品取出し方法であって、前記粘着シートの裏面側において上下動可能に設けられたマウンド体とこのマウンド体の先端に出没自在に設けられた突き上げピンとからなる押し上げ部材と、この押し上げ部材に隣接しかつ部品の整列一方向に沿って延出して設けられ吸着保持によって前記粘着シートを固定するシート固定部とにより、前記押し上げ部材に隣接した前記粘着シートを前記シート固定部にて裏面から吸着して前記押し上げ部材から持ち上がらないように固定しながら、前記マウンド体が上昇することで前記粘着シートの裏面を押し上げて取出し対象部品を持ち上げるとともに、前記突き上げピンが前記マウンド体から突出することで前記粘着シートをさらに押し上げて前記取出し対象部品を前記粘着シートから部分的に剥離させる部品取出し過程と、前記粘着シートを前記シート固定部と一緒に前記押し上げ部材に対して部品の整列一方向に沿って相対移動させるとともに、この相対移動の間、前記部品取出し過程における前記突き上げピンを前記マウンド体に没した状態で前記マウンド体を上昇させることで前記粘着シートをその裏面から押し上げた状態と、前記シート固定部による前記押し上げ部材に隣接した前記粘着シートの吸着固定を継続しながら、取出し対象部品を変更する部品送り過程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、取出し対象部品と、これに対応する部分の粘着シートとを押し上げた場合、押し上げ部材に隣接する部分の粘着シートは持ち上がらないように固定されているから、取出し対象部品とその周囲の粘着シートとの間に強い引張り力が作用し、取出し対象部品と粘着シートとの間に確実に剥離が生じる。
【0012】
また、取出し対象部品の周囲の粘着シートが持ち上がらないように固定されていることから、周囲の広い範囲の粘着シートが持ち上げにより引き伸ばされて変形するようなことがない。また、1列分の部品を順次取出していく間、粘着シートの吸着固定が継続されるから、この吸着固定と解除とを部品毎に繰り返す場合に比べ、粘着シートを伸び変形させる力が作用する回数が少なく、この点からも、粘着シートの弛み、伸び変形が抑えられる。このため、粘着シートの伸び変形に伴う部品の位置ずれはほとんど発生せず、部品の取出し動作毎に、部品の位置の再確認や位置調整が不要になる。
【0013】
さらに、この構成の方法では、1列分の部品を取出していく間、粘着シートの吸着固定が継続されるから、この吸着固定と解除とを部品毎に繰り返す場合に比べ、迅速に効率よく部品の取出しを行える。
【0014】
なお、上記構成での粘着シート上の部品の整列の仕方は、直交2方向に部品が整列する場合に限らず、その他の整列の仕方、例えば、互いに斜めに交差する2方向に部品が整列する場合や、円周方向とその径方向とに部品が整列する場合も含まれる。
【0015】
上記構成の部品取出し方法では、押し上げ部材は、ピン形状のものであってもよいし、また、断面積が比較的大きい部材でもよいが、先端が中高形状のマウンド体と、このマウンド体のほぼ中心部に出没自在に設けられた突き上げピンとからなる押し上げ部材を用い、この押し上げ部材により、取出し対象部品と、対応する部分の粘着シートとを、2段階的に押し上げるようにしてもよい。このようにすると、取出し対象部品と粘着シートとの剥離がより確実になる。
【0016】
本発明の部品取出し装置は、粘着面に複数個の部品が整列した状態で貼付けてある粘着シートから部品を部品保持具によって保持してピックアップする部品取出し装置であって、前記粘着シートの裏面側において上下動可能に設けられたマウンド体と、このマウンド体の先端に出没自在に設けられた突き上げピンとからなり、前記マウンド体が上昇することで前記粘着シートの裏面を押し上げて取出し対象部品を持ち上げるとともに、前記突き上げピンが前記マウンド体から突出することで前記粘着シートをさらに押し上げて前記取出し対象部品を前記粘着シートから部分的に剥離させる押し上げ部材と、この押し上げ部材に隣接しかつ部品の整列一方向に沿って延出して設けられ前記粘着シートを裏面から吸着して前記押し上げ部材から持ち上がらないよう固定するシート固定部と、このシート固定部と前記粘着シートとの相対位置を維持したままで、前記粘着シートと前記シート固定部とを一緒に前記押し上げ部材に対して部品の整列一方向に沿って相対移動させる移動機構とを備え、前記シート固定部は、前記粘着シートとの相対位置を維持したまま、前記押し上げ部材に対して部品の整列一方向に沿って相対移動する間、前記押し上げ部材に隣接した前記粘着シートの吸着固定を継続し、かつ、当該相対移動の間、前記押し上げ部材は前記突き上げピンを前記マウンド体に没した状態で前記マウンド体を上昇させることで前記粘着シートをその裏面から押し上げた状態を維持することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、前記した部品取出し方法におけるのと同様に、取出し対象部品と粘着シートとの間に確実に剥離が生じ、部品保持具による取出しに支障がなく、また、粘着シートの弛み、伸び変形が抑えられ、粘着シートの変形に伴う部品の位置ずれがほとんど生じない。しかも、部品毎に粘着シートの吸着固定とその解除を繰り返す場合に比べ、迅速に効率よく部品の取出しを行える。
【0018】
本発明の組み立て装置は、前記部品取出し装置と、前記部品保持具で保持された部品が移送され装着される部品実装部とを備えるとともに、前記部品取出し装置と前記部品実装部とにわたって前記部品保持具を移動自在に構成していることを特徴とする。
【0019】
この構成によると、部品取出し装置で取出しが良好に行われた部品をその取出しされた状態で移動させて、部品実装部においてその部品を移載装着することで、部品を良好に組み付けることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る部品取出し装置を図面を参照して詳細に説明する。図1ないし図5は本発明の一実施形態を示すもので、図1は、一実施形態に係る部品取出し装置を含む組み立て装置全体の正面図で、部品取り出し装置の一部を断面で示す。図2は、図1に示した部品取出し装置の斜視図、図3は、図1に示した部品取出し装置の分解斜視図、図4は、図1に示した部品取出し装置の要部を拡大して示す斜視図、図5は、図4に示した部品取出し装置要部の縦断正面図である。
【0021】
図1に示す組み立て装置において、1はベース、2は部品取出し装置、3は、部品を実装する部品実装部、4は、部品取出し装置2と部品実装部3との間を往復移動可能な搬送フレーム、5は、搬送フレーム4に移動可能に支持された移載ヘッドで、この移載ヘッド5は、部品保持具として、真空吸着式の吸着ノズル6を備えている。吸着ノズル6は、移載ヘッド5とともに、搬送フレーム4に設けられた図示しないリニアアクチュエータにより部品取出し装置2と部品実装部3とにわたって移動可能となっている。
【0022】
図2および図3において、7は、金属のリングからなる部品供給フレーム、8は、部品供給フレーム7の内側に張設された粘着シートである。この粘着シート8の粘着面である上面には、多数の部品wが前後左右の2方向に沿って整列した状態で貼付けてある。9は、矩形枠状に構成されたフレーム保持ステージで、この上には、粘着シート8付きの部品供給フレーム7が載置固定される。10は、フレーム保持ステージ9上面の後部左右に突設した一対のピン、11は、部品供給フレーム7の後部に形成された一対のノッチである。
【0023】
12は、フレーム保持ステージ9の前部に備えた、例えばエアシリンダからなるクランプ部材、13は、ロッドレスシリンダなどからなりアクチュエータ部13aを有する第1直線駆動機構で、この第1直線駆動機構13は、フレーム保持ステージ9と、その上に載置固定される粘着シート8付きの部品供給フレーム7とを左右方向(矢印イの方向)に移動させる。14は、第1直線駆動機構13の作動方向と直交する水平方向、つまり前後方向(矢印ロの方向)に作動する第2直線駆動機構で、アクチュエータ部14aを有する。15は、第1直線駆動機構13の支持台である。
【0024】
16は、粘着シート8の所要部を持ち上がらないように吸着固定するシート固定部としてのシート吸着ステージである。このシート吸着ステージ16は、前後方向に沿って長く延出する形で設けられ、第1直線駆動機構13の支持台15に固定されている。このシート吸着ステージ16とその近傍の部材は、図4および図5に拡大して示されている。17は、シート吸着ステージ16の上面に形成された多数の吸着孔であって、図示しない真空吸引装置にバルブ装置を介して連通接続されている。
【0025】
21は、先端に中高形状のマウンド部20を有するマウンド体で、ピンホルダを兼ねている。このマウンド体21は、粘着シート8の下側の一定位置に上下動可能に設けられるもので、上昇することで、取出し対象部品wと、これに対応する部分の粘着シート8とを押し上げる。22はマウンド体21の中心孔、23は、マウンド体21の中心孔22に出没自在に挿通された突き上げピンである。
【0026】
図1に戻って、24は、マウンド体21の下側に設けられた昇降ブロックで、突き上げピン23を上下動させる機構を備える。25は、昇降ブロック24に備えたカムフォロア、26はモータなどの回転アクチュエータ、27は、回転アクチュエータ26によって回転されるカムである。
【0027】
29は、エアシリンダなどの直線アクチュエータ28の駆動により上下する可動台で、この可動台29の上下に伴い、マウンド体21や昇降ブロック24、回転アクチュエータ26等が一体に上下する。30は、第2直線駆動機構14が装着された固定台枠である。
【0028】
上記の各部分相互の関係を、その動作とともに説明すると、部品取出し装置2の所要部にセットされた粘着シート8上の多数の部品wは、移載ヘッド5の吸着ノズル6によって1個ずつ取り出され、搬送フレーム4によって部品実装部3に向けて搬送される。部品実装部3に搬送された部品wは、部品実装部3に装填された基板上に移載されて装着される。
【0029】
部品取出し装置2において取り出される部品wは、部品供給フレーム7に張設された粘着シート8の上向き粘着面に左右および前後に整列して貼付け支持されている。部品供給フレーム7は、フレーム保持ステージ9の上に水平に載置されて位置決め固定される。この位置決めには、部品供給フレーム7の後縁に形成された一対のノッチ11を、フレーム保持ステージ9上面に突設した一対のピン10に係合させることによって行われる。また、フレーム保持ステージ9の前部に備えたクランプ部材12で部品供給フレーム7を前方から押圧することで、部品供給フレーム7はフレーム保持ステージ9上に位置決めされた状態で固定される。
【0030】
フレーム保持ステージ9は、第1直線駆動機構13のアクチュエータ部13aに連結されて、一定範囲で左右方向(イの方向)に移動可能に支持されている。第1直線駆動機構13自体は、第1直線駆動機構13の作動方向と直交する水平方向、つまり前後方向(ロの方向)に作動する第2直線駆動機構14のアクチュエータ部14aに支持台15を介して連結されている。第1直線駆動機構13と第2直線駆動機構14の作動によって、フレーム保持ステージ9と、これに載置固定された部品供給フレーム7とを左右方向および前後方向に水平移動させることが可能となっている。
【0031】
支持台15の左右中間部には、シート吸着ステージ16が固定的に支持されている。シート吸着ステージ16は、前後方向に長い間隔16aを有する中抜き枠状に構成されており、その左右両側部の上面がフレーム保持ステージ9の上面と面一となるよう設定されている。
【0032】
部品取出し装置2における部品取出し位置であって、前記シート吸着ステージ16の間隔16a内に臨む位置には、縦長筒状のマウンド体21が立設配備されている。このマウンド体21の先端のマウンド部20は、中央側ほど緩傾斜面で高くなる中高形状に形成されている。マウンド体21の中心孔22に突き上げピン23が挿通収納されている。突き上げピン23は、昇降ブロック24に設けられており、昇降ブロック24に備えたカムフォロア25を、回転アクチュエータ26によって回転されるカム27に追従変位させることで、マウンド体21の中心孔22から出没するようになっている。マウンド体21および突き上げピン23の駆動部は、直線アクチュエータ28によって昇降される可動台29に装備されており、この可動台29の上下動によって、マウンド体21および突き上げピン23は、部品供給フレーム7に対して昇降することが可能となっている。
【0033】
マウンド体21は、第2直線駆動機構14が装着された固定台枠30に挿通されて上方に突出している。第2直線駆動機構14は、マウンド体21をシート吸着ステージ16の間隔16aに挿通した状態で、シート吸着ステージ16をその長手方である前後方向に移動させることができるようになっている。
【0034】
本発明の部品取出し装置の作動について、図6ないし図8を参照しながら説明すると、部品wが縦横に整列搭載された新しい部品供給フレーム7がフレーム保持ステージ9に位置決め装填されると、図6に示すように、部品wにおける先頭の部品w(この例では左端第1列の後端のもの)がマウンド体21の直上にくるように第1直線駆動機構13および第2直線駆動機構14が作動する。この時、マウンド体21は、その先端のマウンド部20が粘着シート8やシート吸着ステージ16の下面に接触しない高さまで下降されている。
【0035】
部品供給フレーム7の位置決めがなされると、シート吸着ステージ16に負圧が印加されて、マウンド体21の左右近傍において粘着シート8が前後に長くシート吸着ステージ16の上面に吸着保持される。そして、粘着シート8が吸着によって固定された状態で、直線アクチュエータ28の駆動によってマウンド体21が上昇され、図5に示すように、先頭の部品wが粘着シート8を介して押し上げられる。次いで、突き上げピン23が突上げ作動して先頭の部品wが粘着シート8から剥離されながら突き上げられるとともに、取出し位置の上方に待機していた吸着ノズル6が下降して、突上げられた部品wを吸着保持し、引き続き吸着ノズル6が上昇することで、吸着保持された部品wは粘着シート8から剥離ピックアップされる。
【0036】
この場合、取出し対象部品wの周囲近傍の粘着シート8は、シート吸着ステージ16により持ち上がらないように固定されているから、取出し対象部品wとその周囲の粘着シート8との間に強い引張り力が作用し、取出し対象部品wと粘着シート8との間に確実に剥離が生じる。また、取出し対象部品wの周囲の粘着シート8が、吸着固定されていることから、持ち上げにより引き伸ばされて変形するようなことがなく、取出し対象部品wの周囲で部品の位置ずれが生じない。そのため、部品の取出し動作毎に、部品の位置の再確認や位置調整は行わなくてよい。
【0037】
先頭の部品取出しが完了すると、突き上げピン23が退入下降されるとともに、シート吸着ステージ16による粘着シート8の吸着固定状態を持続したままで第2直線駆動機構14のみが作動されて、フレーム保持ステージ9に保持された部品供給フレーム7が1ピッチだけ(この例では前方に)移動され、部品群における第1列2番目の部品wがマウンド体21の直上に位置されて次の取出しに備えられ、その後、取出し位置に復帰してきた吸着ノズル6によって、上記したのと同様の部品の剥離、ピックアップが行われる。このように、フレーム保持ステージ9の前方へのピッチ移動と上記剥離ピックアップ作動が順次行われて、図7に示すように、部品群における第1列目の部品wの取出しが終わる。第1列全部の部品取出しが完了すると、シート吸着ステージ16の吸引が一旦解除される。
【0038】
このように、部品群における1列分の部品wの取出しが行われる間は、シート吸着ステージ16による粘着シート8の吸着固定は継続されるので、個々の部品取出し毎にこの粘着シートの吸着固定と、解除とを繰り返す場合に比べ、迅速に効率よく部品の取り出しを行える。
【0039】
第1列全部の部品取出しの完了後、マウンド体21が下降され、次に、第1直線駆動機構13が作動されて、フレーム保持ステージ9に保持された部品供給フレーム7が1ピッチだけ(この例では左方向に)移動され、部品群の第2列目がマウンド体21の直上に位置決めされ、再び、シート吸着ステージ16による粘着シート8の吸着固定状態を持続したままでのフレーム保持ステージ9の前後方向へのピッチ移動と上記剥離ピックアップ作動が順次行われて、部品群における第2列の取出しが行われる。
【0040】
以後、上記列送り作動および取出し用のピッチ送り作動が繰り返されて、部品群から1個づつ部品wが取り出されてゆく。因みに、列送り作動および取出し用のピッチ送り作動が部品群の中ほどまで進行した状態が図8に示されている。
【0041】
なお、本発明は、粘着シート8およびシート吸着ステージ16とを固定し、マウンド体21や突き上げピン11等の押し上げ部材の側を水平各方向(具体的には、左右方向や前後方向)に移動させるようにしてもよい。このほか、個々の部品の取出し動作毎に、取出し対象部品の周囲近傍での粘着シートの吸着固定と、その解除とを繰り返してもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、マウンド体や突き上げピンのような押し上げ部材により、取出し対象部品と、それに対応する部分の粘着シートとを押し上げる際、取出し対象部品の周辺近傍の粘着シート部分が吸着によって持ち上がらないよう固定されるので、取出し対象部品とその周囲の粘着シートとの間に強い引張り力が作用し、取出し対象部品と粘着シートとは確実に剥離する。そのため、吸着ノズルによる部品の吸着保持に支障が生じるおそれがない。
【0043】
また、取出し対象部品の周囲の粘着シートが持ち上がらないように固定されていることから、周囲の広い範囲の粘着シートが持ち上げに伴い引き伸ばされて変形するようなことがない。しかも、1列分の部品を取出していく間に、粘着シートの吸着固定とその解除を1回行うだけで済むから、粘着シートを伸び変形させる力が作用する回数が少なく、この点からも、粘着シートの弛み、伸び変形が抑えられる。このため、粘着シートの伸び変形に伴う部品の位置ずれはほとんど発生せず、部品の取出し動作毎に、部品の位置の再確認や位置調整が不要になる。
【0044】
さらに、1列分の部品を取出していく間、粘着シートの吸着固定を継続するから、部品毎に吸着固定と解除とを繰り返す場合に比べ、迅速に効率よく部品の取出しを行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る部品取出し装置を含む組み立て装置全体の正面図で、部品取り出し装置の一部を断面で示す。
【図2】 図1に示した部品取出し装置の斜視図である。
【図3】 図1に示した部品取出し装置の分解斜視図である。
【図4】 図1に示した部品取出し装置の要部の斜視図である。
【図5】 図4に示した部品取出し装置要部の縦断正面図である。
【図6】 図1の部品取出し装置の最初の部品取出し状態を示す平面図である。
【図7】 図1の部品取出し装置の1列最後の取出し状態を示す平面図である。
【図8】 図1の部品取出しが進行した状態を示す部品取出し装置の平面図である。
【符号の説明】
6 吸着ノズル(部品保持具)
8 粘着シート
16 シート吸着ステージ(シート固定部)
21 マウンド体(押し上げ部材)
23 突き上げピン(押し上げ部材)
Claims (5)
- 粘着面に複数個の部品が整列した状態で貼付けてある粘着シートから部品を部品保持具によって保持しピックアップする部品取出し方法であって、
前記粘着シートの裏面側において上下動可能に設けられたマウンド体とこのマウンド体の先端に出没自在に設けられた突き上げピンとからなる押し上げ部材と、この押し上げ部材に隣接しかつ部品の整列一方向に沿って延出して設けられ吸着保持によって前記粘着シートを固定するシート固定部とにより、前記押し上げ部材に隣接した前記粘着シートを前記シート固定部にて裏面から吸着して前記押し上げ部材から持ち上がらないように固定しながら、前記マウンド体が上昇することで前記粘着シートの裏面を押し上げて取出し対象部品を持ち上げるとともに、前記突き上げピンが前記マウンド体から突出することで前記粘着シートをさらに押し上げて前記取出し対象部品を前記粘着シートから部分的に剥離させる部品取出し過程と、
前記粘着シートを前記シート固定部と一緒に前記押し上げ部材に対して部品の整列一方向に沿って相対移動させるとともに、この相対移動の間、前記部品取出し過程における前記突き上げピンを前記マウンド体に没した状態で前記マウンド体を上昇させることで前記粘着シートをその裏面から押し上げた状態と、前記シート固定部による前記押し上げ部材に隣接した前記粘着シートの吸着固定を継続しながら、取出し対象部品を変更する部品送り過程と、
を含むことを特徴とする部品取出し方法。 - 請求項1に記載の部品取出し方法において、
前記マウンド体は先端が中高形状であり、前記突き上げピンは前記マウンド体のほぼ中心部に出没自在に設けられていることを特徴とする部品取出し方法。 - 粘着面に複数個の部品が整列した状態で貼付けてある粘着シートから部品を部品保持具によって保持してピックアップする部品取出し装置であって、
前記粘着シートの裏面側において上下動可能に設けられたマウンド体と、このマウンド体の先端に出没自在に設けられた突き上げピンとからなり、前記マウンド体が上昇することで前記粘着シートの裏面を押し上げて取出し対象部品を持ち上げるとともに、前記突き上げピンが前記マウンド体から突出することで前記粘着シートをさらに押し上げて前記取出し対象部品を前記粘着シートから部分的に剥離させる押し上げ部材と、
この押し上げ部材に隣接しかつ部品の整列一方向に沿って延出して設けられ前記粘着シートを裏面から吸着して前記押し上げ部材から持ち上がらないよう固定するシート固定部と、
このシート固定部と前記粘着シートとの相対位置を維持したままで、前記粘着シートと前記シート固定部とを一緒に前記押し上げ部材に対して部品の整列一方向に沿って相対移動させる移動機構とを備え、
前記シート固定部は、前記粘着シートとの相対位置を維持したまま、前記押し上げ部材に対して部品の整列一方向に沿って相対移動する間、前記押し上げ部材に隣接した前記粘着シートの吸着固定を継続し、かつ、当該相対移動の間、前記押し上げ部材は前記突き上げピンを前記マウンド体に没した状態で前記マウンド体を上昇させることで前記粘着シートをその裏面から押し上げた状態を維持することを特徴とする部品取出し装置。 - 請求項3に記載の部品取出し装置において、
前記マウンド体は先端が中高形状であり、前記突き上げピンは前記マウンド体のほぼ中心部に出没自在に設けられていることを特徴とする部品取出し装置。 - 請求項3または請求項4に記載の部品取出し装置と、前記部品保持具で保持された部品が移送され装着される部品実装部とを備えるとともに、前記部品取出し装置と前記部品実装部とにわたって前記部品保持具を移動自在に構成していることを特徴とする組み立て装置。
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