JP4221804B2 - モニター装置内蔵の車両用ミラー - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用インナーミラー装置であって、カメラ装置でキャッチされた車両の周辺の情報をカメラ映像として画面に写し出すモニター装置が内蔵されており、そのモニター装置の画面のカメラ映像がミラー内に写し出されるモニター装置内蔵の車両用ミラーに係り、特にモニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭であって、視認性が良好なモニター装置内蔵の車両用ミラーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば自動車用インナーミラー装置であって、モニター装置内蔵の車両用ミラーは、図５に示すように、一般に、モニター装置７がオン状態の時、ミラー２００内において、カメラ装置でキャッチされた車両の周辺の情報がカメラ映像としてモニター装置７の画面７０に写し出され、かつ、このモニター装置７の画面７０以外のミラー２００面に後方の視界像が写し出されている。また、モニター装置７がオフ状態の時、ミラー２００面全面に後方の視界像が写し出されているものである。
【０００３】
上述のミラー２００は、図５に示すように、透明な材質、例えば透明ガラスや透明樹脂等からなるミラー基板３００と、そのミラー基板３００の裏面に設けられた例えばアルミ蒸着等の反射膜４００、４０１（図面中、厚く図示されている）とから構成されている。上述の反射膜のうち、前記モニター装置７の画面７０に対応する部分４０１を、所謂ハーフミラー（半反射半透過鏡）とする。すなわち、この部分４０１の膜厚を、他の部分４００の膜厚よりも薄くする。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の従来のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、前記反射膜において、ハーフミラー部分４０１の膜厚が他の部分４００の膜厚よりも薄いので、ハーフミラー部分４０１の反射率と他の部分４００の反射率とが大きく異なる。このために、特に、モニター装置７がオフ状態時に、モニター装置７の画面７０（ハーフミラー部分４０１）とその他のミラー２００面（他の部分４００）との境界線が明瞭に現われて良好な視認性が得られない等の課題がある。
【０００５】
本発明の目的は、モニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭であって、視認性が良好なモニター装置内蔵の車両用ミラーを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、ミラー基板の裏面に反射膜が設けられており、その反射膜の裏面の一部を除いた部分に有色塗膜が塗付されており、かつ、その反射膜の裏面の有色塗膜が塗付されていない一部に透明塗膜又は半透明塗膜が塗付されており、その有色塗膜、並びに透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方の裏面にモニター装置が配置されており、モニター装置がオフ状態の時有色塗膜とほぼ同色をなすモニター装置の画面が透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方に対向している、ことを特徴とする。
【０００７】
この結果、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、モニター装置がオフ状態の時、有色塗膜とモニター装置の画面とがほぼ同色をなすので、モニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭となって、良好な視認性が得られることとなる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの実施形態のうちの２例を図１乃至図４を参照して説明する。
図１乃至図３は、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第１実施形態を示す。この例は自動車用インナーミラー装置について説明する。図中、図５と同符号は同一のものを示す。
【０００９】
図において、１はミラーハウジングである。このミラーハウジング１の開口部１０には、所謂ハーフミラー（半反射半透過鏡）のミラー２が配置されている。
【００１０】
このミラー２は、図１に示すように、透明な材質、例えば透明ガラスや透明樹脂等からなるミラー基板３と、そのミラー基板３の裏面に設けられた多層膜の反射膜４と、その反射膜４の裏面の一部を除いた部分に塗付してなる有色塗膜５と、その反射膜４の裏面の有色塗膜５を塗付していない一部に塗付してなる透明塗膜６とから構成されている。なお、上述の反射膜４、有色塗膜５、透明塗膜６は、図面中、厚く図示されている。
【００１１】
前記多層膜の反射膜４は、真空中において、ＴｉＯ2 （高屈折率の反射層）４１、４３とＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４２、４４とを、４００〜５００ｎｍの中心波長で、光学的膜厚λ／４にて、交互に４層積層してなる多層膜をスパッタリング法や真空蒸着法等により形成してなるものである。
【００１２】
また、前記有色塗膜５及び透明塗膜６は、大気中において、まず、前記反射膜４の裏面のうち、後述するモニター装置７の画面７０が位置する箇所にマスク（図示せず）をセットし、次に、そのマスクの上から前記反射面４の裏面に例えばつや消しの有色（黒色）の塗料を塗付してつや消しの有色（黒色）の塗膜５を形成し、それから、マスクを反射膜４の裏面から外し、その有色塗膜５のうち少なくともマスクを外した後の空間部（有色塗膜５の未塗装部分）５０にクリアコートを塗装して透明塗膜６を形成し、そして、乾燥炉で有色塗膜５及び透明塗膜６を乾燥してなるものである。
なお、この透明塗膜６は、有色塗膜５と同種の溶剤系からなり、又は及び、多層膜の反射膜４の第４層のＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４４とほぼ同屈折率をなす物質からなるものが好ましい。
【００１３】
上述のミラー２の有色塗膜５及び透明塗膜６の裏面にはモニター装置７が配置されており、かつ、そのモニター装置７の画面７０が透明塗膜６に対向されている。そして、このモニター装置７の画面７０は、モニター装置７がオフ状態の時有色塗膜５とほぼ同色（黒色）をなすものである。なお、このモニター装置７としては、液晶式のものが好ましい。また、このモニター装置７の画面７０は、透明塗膜６とほぼ同一形状若しくは透明塗膜６よりも１回り大きい形状をなす。
【００１４】
この実施の形態における本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、以上の如き構成からなるので、モニター装置７がオン状態の時、ミラー２内において、カメラ装置（図示せず）でキャッチされた車両の周辺の情報がカメラ映像としてモニター装置７の画面７０に写し出される。すなわち、ミラー２はハーフミラーであるから、モニター装置７の画面７０のカメラ映像は、ミラー２を半透過して視認できる。この時、モニター装置７の画面７０以外のミラー２面には後方の視界像が写し出されることとなる。すなわち、ミラー２はハーフミラーであるから、所定の反射率で後方の視界像が写し出される。
また、モニター装置７がオフ状態の時、ミラー２面全面に後方の視界像が写し出されることとなる。この時、有色塗膜５とモニター装置７の画面７０とがほぼ同色（黒色）をなすので、モニター装置７の画面７０とその他のミラー２面との境界線８（図２中破線にて示す）が不明瞭となって、良好な視認性が得られることとなる。なお、この有色塗膜５の色とモニター装置７のオフ状態の画面７０の色とが反射色として得られる。
【００１５】
特に、この実施形態においては、有色塗膜５と透明塗膜６とが同種の溶剤系からなり、又は及び、多層膜の反射膜４の第４層のＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４４と透明塗膜６とがほぼ同屈折率をなす物質からなるので、上述のモニター装置７の画面７０とその他のミラー２面との境界線８がさらに不明瞭となって、さらに良好な視認性が得られることとなる。
【００１６】
また、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、ＴｉＯ2 （高屈折率の反射層）４１、４３、とＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４２、４４とを交互に４層積層してなる多層膜の反射膜４を使用し（多層膜の光の干渉作用を利用し）たものであるから、青色の反射光（所謂、ブルーミラー）が得られ、また、５０〜６０％の反射率が得られるので、車両用ミラーの規格（３８％）を満足でき、さらに、後続車のヘッドランプの光に対する防眩効果が得られる。なお、上述の、多層膜の反射膜４を調整することにより、ブロンズの反射光やグリーンブルーの反射光等が得られ、また、所定の反射率が得られる。
【００１７】
上述の透明塗膜６は、半透明塗膜（所謂スモーク）であっても良い。このスモーク塗膜（塗装）は、上述の透明塗膜６とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【００１８】
また、上述の透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６中に防曇材を含有する場合、すなわち、この透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６として、防曇材が添加された塗料を使用する場合がある。この場合、モニター装置７の画面７０の曇が防止されるので、モニター画像の視認性が向上される。
防曇材としては、水分を吸収するもの、光触媒性の酸化チタン粒子（特開平９−５６５４９号公報、特開平９−２２６５３１号公報、特開平９−２２８３２６号公報、特開平９−２３０１１８号公報、特開平９−２３０１１９号公報、特開平９−２３０８１０号公報、特開平９−２３１８０７号公報参照）等がある。
【００１９】
さらに、前記有色塗膜５並びに前記透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６を、スクリーン印刷により形成する場合がある。この場合、ミラー２面への塗料の回り込みやシンナーの飛散がないので、製造工程上得策である。しかも、マスクの見切が明確である。なお、このスクリーン印刷の場合、ミラー２面にスクリーンの網目模様が現われる。
【００２０】
図４は、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第２実施形態を示す。この例は自動車用インナーミラー装置について説明する。図中、図１乃至図３及び図５と同符号は同一のものを示す。
【００２１】
この第２実施形態の本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６の裏面に、光触媒の酸化チタンＴｉＯ2 ６０をコートしたものである。この第２実施形態のものは、光触媒の酸化チタンＴｉＯ2 ６０がモニター装置７の画面７０からの光により、親水性作用、セルフクリーニング作用をなすので、モニター装置７の画面７０の曇が防止され、モニター画像の視認性が向上される。
【００２２】
なお、上述の実施形態において、モニター装置７の画面７０は、モニター装置７の前面の全面に亘っても良い。また、モニター装置７の画面７０と、有色塗膜５並びに透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６との間に隙間を開けても良い。さらに、反射膜は多層膜ではなく、単層膜であっても良い。
【００２３】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、モニター装置がオフ状態の時、有色塗膜とモニター装置の画面とがほぼ同色をなすので、モニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭となって、良好な視認性が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第１実施形態を示した要部の一部拡大断面図である。
【図２】同じく正面図である。
【図３】図２におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。
【図４】本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第２実施形態を示した要部の一部拡大断面図である。
【図５】従来のモニター装置内蔵の車両用ミラーを示した要部の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
１…ミラーハウジング、１０…開口部、２…ミラー、３…ミラー基板、４…多層膜の反射膜、５…有色塗膜、６…透明塗膜又は半透明塗膜、７…モニター装置、７０…画面、８…境界線。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用インナーミラー装置であって、カメラ装置でキャッチされた車両の周辺の情報をカメラ映像として画面に写し出すモニター装置が内蔵されており、そのモニター装置の画面のカメラ映像がミラー内に写し出されるモニター装置内蔵の車両用ミラーに係り、特にモニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭であって、視認性が良好なモニター装置内蔵の車両用ミラーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば自動車用インナーミラー装置であって、モニター装置内蔵の車両用ミラーは、図５に示すように、一般に、モニター装置７がオン状態の時、ミラー２００内において、カメラ装置でキャッチされた車両の周辺の情報がカメラ映像としてモニター装置７の画面７０に写し出され、かつ、このモニター装置７の画面７０以外のミラー２００面に後方の視界像が写し出されている。また、モニター装置７がオフ状態の時、ミラー２００面全面に後方の視界像が写し出されているものである。
【０００３】
上述のミラー２００は、図５に示すように、透明な材質、例えば透明ガラスや透明樹脂等からなるミラー基板３００と、そのミラー基板３００の裏面に設けられた例えばアルミ蒸着等の反射膜４００、４０１（図面中、厚く図示されている）とから構成されている。上述の反射膜のうち、前記モニター装置７の画面７０に対応する部分４０１を、所謂ハーフミラー（半反射半透過鏡）とする。すなわち、この部分４０１の膜厚を、他の部分４００の膜厚よりも薄くする。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の従来のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、前記反射膜において、ハーフミラー部分４０１の膜厚が他の部分４００の膜厚よりも薄いので、ハーフミラー部分４０１の反射率と他の部分４００の反射率とが大きく異なる。このために、特に、モニター装置７がオフ状態時に、モニター装置７の画面７０（ハーフミラー部分４０１）とその他のミラー２００面（他の部分４００）との境界線が明瞭に現われて良好な視認性が得られない等の課題がある。
【０００５】
本発明の目的は、モニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭であって、視認性が良好なモニター装置内蔵の車両用ミラーを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、ミラー基板の裏面に反射膜が設けられており、その反射膜の裏面の一部を除いた部分に有色塗膜が塗付されており、かつ、その反射膜の裏面の有色塗膜が塗付されていない一部に透明塗膜又は半透明塗膜が塗付されており、その有色塗膜、並びに透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方の裏面にモニター装置が配置されており、モニター装置がオフ状態の時有色塗膜とほぼ同色をなすモニター装置の画面が透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方に対向している、ことを特徴とする。
【０００７】
この結果、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、モニター装置がオフ状態の時、有色塗膜とモニター装置の画面とがほぼ同色をなすので、モニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭となって、良好な視認性が得られることとなる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの実施形態のうちの２例を図１乃至図４を参照して説明する。
図１乃至図３は、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第１実施形態を示す。この例は自動車用インナーミラー装置について説明する。図中、図５と同符号は同一のものを示す。
【０００９】
図において、１はミラーハウジングである。このミラーハウジング１の開口部１０には、所謂ハーフミラー（半反射半透過鏡）のミラー２が配置されている。
【００１０】
このミラー２は、図１に示すように、透明な材質、例えば透明ガラスや透明樹脂等からなるミラー基板３と、そのミラー基板３の裏面に設けられた多層膜の反射膜４と、その反射膜４の裏面の一部を除いた部分に塗付してなる有色塗膜５と、その反射膜４の裏面の有色塗膜５を塗付していない一部に塗付してなる透明塗膜６とから構成されている。なお、上述の反射膜４、有色塗膜５、透明塗膜６は、図面中、厚く図示されている。
【００１１】
前記多層膜の反射膜４は、真空中において、ＴｉＯ2 （高屈折率の反射層）４１、４３とＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４２、４４とを、４００〜５００ｎｍの中心波長で、光学的膜厚λ／４にて、交互に４層積層してなる多層膜をスパッタリング法や真空蒸着法等により形成してなるものである。
【００１２】
また、前記有色塗膜５及び透明塗膜６は、大気中において、まず、前記反射膜４の裏面のうち、後述するモニター装置７の画面７０が位置する箇所にマスク（図示せず）をセットし、次に、そのマスクの上から前記反射面４の裏面に例えばつや消しの有色（黒色）の塗料を塗付してつや消しの有色（黒色）の塗膜５を形成し、それから、マスクを反射膜４の裏面から外し、その有色塗膜５のうち少なくともマスクを外した後の空間部（有色塗膜５の未塗装部分）５０にクリアコートを塗装して透明塗膜６を形成し、そして、乾燥炉で有色塗膜５及び透明塗膜６を乾燥してなるものである。
なお、この透明塗膜６は、有色塗膜５と同種の溶剤系からなり、又は及び、多層膜の反射膜４の第４層のＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４４とほぼ同屈折率をなす物質からなるものが好ましい。
【００１３】
上述のミラー２の有色塗膜５及び透明塗膜６の裏面にはモニター装置７が配置されており、かつ、そのモニター装置７の画面７０が透明塗膜６に対向されている。そして、このモニター装置７の画面７０は、モニター装置７がオフ状態の時有色塗膜５とほぼ同色（黒色）をなすものである。なお、このモニター装置７としては、液晶式のものが好ましい。また、このモニター装置７の画面７０は、透明塗膜６とほぼ同一形状若しくは透明塗膜６よりも１回り大きい形状をなす。
【００１４】
この実施の形態における本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、以上の如き構成からなるので、モニター装置７がオン状態の時、ミラー２内において、カメラ装置（図示せず）でキャッチされた車両の周辺の情報がカメラ映像としてモニター装置７の画面７０に写し出される。すなわち、ミラー２はハーフミラーであるから、モニター装置７の画面７０のカメラ映像は、ミラー２を半透過して視認できる。この時、モニター装置７の画面７０以外のミラー２面には後方の視界像が写し出されることとなる。すなわち、ミラー２はハーフミラーであるから、所定の反射率で後方の視界像が写し出される。
また、モニター装置７がオフ状態の時、ミラー２面全面に後方の視界像が写し出されることとなる。この時、有色塗膜５とモニター装置７の画面７０とがほぼ同色（黒色）をなすので、モニター装置７の画面７０とその他のミラー２面との境界線８（図２中破線にて示す）が不明瞭となって、良好な視認性が得られることとなる。なお、この有色塗膜５の色とモニター装置７のオフ状態の画面７０の色とが反射色として得られる。
【００１５】
特に、この実施形態においては、有色塗膜５と透明塗膜６とが同種の溶剤系からなり、又は及び、多層膜の反射膜４の第４層のＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４４と透明塗膜６とがほぼ同屈折率をなす物質からなるので、上述のモニター装置７の画面７０とその他のミラー２面との境界線８がさらに不明瞭となって、さらに良好な視認性が得られることとなる。
【００１６】
また、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、ＴｉＯ2 （高屈折率の反射層）４１、４３、とＳｉＯ2 （低屈折率の反射層）４２、４４とを交互に４層積層してなる多層膜の反射膜４を使用し（多層膜の光の干渉作用を利用し）たものであるから、青色の反射光（所謂、ブルーミラー）が得られ、また、５０〜６０％の反射率が得られるので、車両用ミラーの規格（３８％）を満足でき、さらに、後続車のヘッドランプの光に対する防眩効果が得られる。なお、上述の、多層膜の反射膜４を調整することにより、ブロンズの反射光やグリーンブルーの反射光等が得られ、また、所定の反射率が得られる。
【００１７】
上述の透明塗膜６は、半透明塗膜（所謂スモーク）であっても良い。このスモーク塗膜（塗装）は、上述の透明塗膜６とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【００１８】
また、上述の透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６中に防曇材を含有する場合、すなわち、この透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６として、防曇材が添加された塗料を使用する場合がある。この場合、モニター装置７の画面７０の曇が防止されるので、モニター画像の視認性が向上される。
防曇材としては、水分を吸収するもの、光触媒性の酸化チタン粒子（特開平９−５６５４９号公報、特開平９−２２６５３１号公報、特開平９−２２８３２６号公報、特開平９−２３０１１８号公報、特開平９−２３０１１９号公報、特開平９−２３０８１０号公報、特開平９−２３１８０７号公報参照）等がある。
【００１９】
さらに、前記有色塗膜５並びに前記透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６を、スクリーン印刷により形成する場合がある。この場合、ミラー２面への塗料の回り込みやシンナーの飛散がないので、製造工程上得策である。しかも、マスクの見切が明確である。なお、このスクリーン印刷の場合、ミラー２面にスクリーンの網目模様が現われる。
【００２０】
図４は、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第２実施形態を示す。この例は自動車用インナーミラー装置について説明する。図中、図１乃至図３及び図５と同符号は同一のものを示す。
【００２１】
この第２実施形態の本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６の裏面に、光触媒の酸化チタンＴｉＯ2 ６０をコートしたものである。この第２実施形態のものは、光触媒の酸化チタンＴｉＯ2 ６０がモニター装置７の画面７０からの光により、親水性作用、セルフクリーニング作用をなすので、モニター装置７の画面７０の曇が防止され、モニター画像の視認性が向上される。
【００２２】
なお、上述の実施形態において、モニター装置７の画面７０は、モニター装置７の前面の全面に亘っても良い。また、モニター装置７の画面７０と、有色塗膜５並びに透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方６との間に隙間を開けても良い。さらに、反射膜は多層膜ではなく、単層膜であっても良い。
【００２３】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーは、モニター装置がオフ状態の時、有色塗膜とモニター装置の画面とがほぼ同色をなすので、モニター装置の画面とその他のミラー面との境界線が不明瞭となって、良好な視認性が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第１実施形態を示した要部の一部拡大断面図である。
【図２】同じく正面図である。
【図３】図２におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。
【図４】本発明のモニター装置内蔵の車両用ミラーの第２実施形態を示した要部の一部拡大断面図である。
【図５】従来のモニター装置内蔵の車両用ミラーを示した要部の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
１…ミラーハウジング、１０…開口部、２…ミラー、３…ミラー基板、４…多層膜の反射膜、５…有色塗膜、６…透明塗膜又は半透明塗膜、７…モニター装置、７０…画面、８…境界線。
Claims (8)
- ミラー基板と、
前記ミラー基板の裏面に設けられた反射膜と、
前記反射膜の裏面の一部を除いた部分に塗付してなる有色塗膜と、
前記反射膜の裏面の前記有色塗膜を塗付していない一部に塗付してなる透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方と、
前記有色塗膜、並びに前記透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方の裏面に配置されたモニター装置と、
前記透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方に対向し、前記モニター装置がオフ状態の時前記有色塗膜とほぼ同色をなすモニター装置の画面と、
を備えたことを特徴とするモニター装置内蔵の車両用ミラー。 - ミラー基板と、
前記ミラー基板の裏面に設けられた多層膜の反射膜と、
前記反射膜の裏面の一部を除いた部分に塗付してなる有色塗膜と、
前記反射膜の裏面の前記有色塗膜を塗付していない一部に塗付してなる透明塗膜と、
前記有色塗膜及び前記透明塗膜の裏面に配置されたモニター装置と、
前記透明塗膜に対向し、前記モニター装置がオフ状態の時前記有色塗膜とほぼ同色をなすモニター装置の画面と、
を備えたことを特徴とするモニター装置内蔵の車両用ミラー。 - ミラー基板と、
前記ミラー基板の裏面に設けられた多層膜の反射膜と、
前記反射膜の裏面の一部を除いた部分に塗付してなる有色塗膜と、
前記反射膜の裏面の前記有色塗膜を塗付していない一部に塗付してなる半透明塗膜と、
前記有色塗膜及び前記半透明塗膜の裏面に配置されたモニター装置と、
前記半透明塗膜に対向し、前記モニター装置がオフ状態の時前記有色塗膜とほぼ同色をなすモニター装置の画面と、
を備えたことを特徴とするモニター装置内蔵の車両用ミラー。 - 前記有色塗膜、並びに前記透明塗膜又は前記半透明塗膜の何れか一方は、スクリーン印刷により形成されている、ことを特徴とする請求項１又は２又は３に記載のモニター装置内蔵の車両用ミラー。
- 前記透明塗膜又は前記半透明塗膜の何れか一方には、防曇材が含有されている、ことを特徴とする請求項１又は２又は３又は４に記載のモニター装置内蔵の車両用ミラー。
- 前記透明塗膜又は前記半透明塗膜の何れか一方には、防曇膜が形成されている、ことを特徴とする請求項１又は２又は３又は４に記載のモニター装置内蔵の車両用ミラー。
- 前記有色塗膜、並びに前記透明塗膜又は前記半透明塗膜の何れか一方は、同種の溶剤系からなる、ことを特徴とする請求項１又は２又は３又は４又は５又は６に記載のモニター装置内蔵の車両用ミラー。
- 多層膜からなる前記反射膜のうち、前記透明塗膜又は前記半透明塗膜の何れか一方に対面する反射膜と、透明塗膜又は半透明塗膜の何れか一方とは、ほぼ同屈折率をなす物質からなる、ことを特徴とする請求項２又は３又は４又は５又は６又は７に記載のモニター装置内蔵の車両用ミラー。
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| JP26202298 | 1998-09-16 | ||
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| JP06218899A Expired - Fee Related JP4221804B2 (ja) | 1998-09-16 | 1999-03-09 | モニター装置内蔵の車両用ミラー |
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