JP4193029B2 - ポリアミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はジカルボン酸成分とジアミン成分とを重縮合して得られるポリアミド樹脂、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂にはある割合で不純物が含まれる。その代表的なものが水分である。また、環状および直鎖状モノマーおよびダイマー、トリマー等のオリゴマーも含まれ、重合時に生成しポリアミド樹脂に混入する。また、モノマー由来の不純物がアミド化反応に関与せずに、ポリアミド樹脂骨格に取り込まれないとき、ポリアミド樹脂中にそのまま残存する。この様なポリアミド樹脂に含まれる不純物は、成形加工上様々な不都合をもたらす。例えば、射出成形においては、金型の汚れ、成形品のひけ、シルバーと称される様な成形品表面の荒れ等の原因となる。押出成形においては、ダイスのヤケ、成形品表面の荒れ、ブリードと称される様な成形品表面での低分子量物の析出等。繊維成形では、糸切れ、糸径の変動等である。また、成形加工時および経時的な黄変を促進したり、溶融粘度安定性を損なったり、成形品の物性低下、不純物の溶出による内容物の汚染等、成形加工時および成形加工品そのものに様々な不都合を与えるため、この様な不純物はできる限り除去されることが望まれる。
【0003】
水分はポリアミド樹脂に非常に馴染みやすく溶融時にある割合で溶存し得るため、成形温度に於ける飽和水分量以下にコントロールすれば、溶融粘度に影響を与える程度で成形加工上致命的な問題とはならない。しかし、ポリアミド樹脂の成形温度近傍で気化する様な不純物は、ポリアミド樹脂から遊離し易く多大な弊害を与えるので、上記不都合の主たる要因である不純物は、低減されることが望ましい。特にアルコール、アルデヒドおよびニトリル等の不純物は、ポリアミド樹脂の原料(モノマー)に含まれる可能性が高く、更にポリアミド樹脂との反応性に乏しく、溶融重合時あるいは溶融成形時にポリアミド樹脂中に取り込まれず遊離し、成形加工時に厚みムラ、黄変等の様々な不都合を与えるため、特に注目すべき不純物である。
【0004】
アミノカルボン酸もしくはラクラムを原料とする様なナイロン6タイプのポリアミド樹脂では、環状オリゴマーの抽出操作が重合後に行われ、一般には熱水抽出塔が用いられる。抽出塔上部に供給されたペレットは、塔下部から送られる熱水にて向流抽出された後、下部から連続的に取り出される。抽出後に乾燥され、製品となる。この操作で、環状オリゴマーのみ成らず、直鎖状オリゴマーおよびモノマー由来の不純物も相当に除去される。特開昭60−101120公報にはナイロン6樹脂からの未反応モノマーの除去と後重合を同時に行う方法が記載されている。
【0005】
ジアミン成分とジカルボン酸成分から得られるポリアミドでは、ナイロン6タイプのポリアミドに比較し環状構造物の様な低分子量物が少ないため、一般にはこの様な抽出操作はとられていない。不純物を低減するためナイロン6の様に抽出を行うことは品質を向上させる上で極めて有効であるが、経済的理由から抽出操作は省略されてきた。
また、ナイロン塩水溶液の調合の際、メタノール等でナイロン塩を沈殿させ、濾別することでモノマー由来の不純物は除去されるが、経済的に相当な負担となり、現在モノマー純度が向上したこともあり、この工程は一般的には省略されている。
【0006】
この様にジアミン成分とジカルボン酸成分から得られるポリアミド樹脂に含まれてくる可能性のある不純物を効率的に低減化したポリアミド樹脂の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メタキシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンを主体とするジアミン成分とジカルボン酸成分から成るポリアミド樹脂に関し、成形材料、ボトル、シート、フィルムおよび繊維等の用途に好適に利用される、厚みムラ及び黄変等の少ない高品質なポリアミド樹脂を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明ら者は鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂中の不純物等不純物の中で、特定の沸点および溶解度パラメーター(SP値)を有する不純物を低減したポリアミド樹脂が、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミンとジカルボン酸から成るポリアミド樹脂であって、ポリアミド樹脂に含まれる不純物の中で、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつ溶解度パラメーター(SP値)が8以上16以下である不純物の総量が、ポリアミド樹脂中で0.3重量%以下であるポリアミド樹脂である。
【0010】
本発明において、ポリアミド原料モノマーであるジアミンの70モル%以上がキシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンである。更にキシリレンジアミンはメタ、パラおよびオルソキシリレンジアミンが例示でき、ビスアミノメチルシクロヘキサンは1,2−、1,3−、1,4―ビスアミノメチルシクロヘキサンが例示できる。これらのジアミンは単独でも2種以上混合しても使用可能である。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考えて、ジアミンがキシリレンジアミンの場合、メタキシリレンジアミンを50モル%以上含むジアミンの使用が望ましく、より好ましくは70モル%以上である。また、ジアミンがビスアミノメチルシクロヘキサンの場合、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを50モル%以上含むジアミンの使用が望ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0011】
その他のジアミン成分としてはテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、オルソフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が上げられる。
【0012】
ジカルボン酸としては、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が上げられる。これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合しても使用可能である。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考えて、特に70モル%以上がアジピン酸であるジカルボン酸が好適に使用できる。また、ジアミンおよびジカルボン酸以外のポリアミド構成成分は、カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸を例示することができる。
【0013】
本発明で言う溶解度パラメーター(以下「SP値」という)とは、相溶性を評価する上で有効な指標であり、液体のモル凝集エネルギー密度の平方根で表され、分子間の力の大きさを表すものである。実験的には蒸発熱、蒸気圧から測定されるが、スモール(Small)の提案による計算方法(J.Appl.Chem.,3,71(1953))によっても求められる。
【0014】
ポリアミド樹脂に含まれる不純物の中で特に注目すべきは、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物であり、その含量はポリアミド樹脂中で0.3重量%以下に抑えられる。
沸点が300℃以下の不純物は、ポリアミド樹脂の成形温度近傍で気化するため、当然成形加工時に様々な弊害を与える。沸点が300℃を越えると成形加工時に多少の気化が認められるが、成形加工時に与える影響は小さく、その含量は特に限定されない。また、150℃未満の不純物は重合時に系外にほとんど留出し、重合開始後に混入したとしても、真空下に100℃から150℃に加熱する等の前処理を行うことで容易に留去され、特にポリアミド樹脂の品質を低下させることなく処理できる。
SP値が16を越える不純物は、ポリアミド樹脂に良く馴染み、系外に留出しないため、沸点が150℃以上300℃以下であっても成形加工時にポリアミド樹脂から遊離せず、上記の様な不都合はほとんど無い。また、SP値が8未満の不純物はポリアミド樹脂と全く馴染まず、常圧で沸点が150℃以上300℃以下であっても、重合時に縮合水との共沸により系外に容易に留出し、減圧操作を行うことで系外に留出できる。また、重合後に混入したとしても、真空下に100℃から150℃に加熱する等の前処理を行うことで留去され、特にポリアミド樹脂の品質を低下させることなく処理できる。
【0015】
ポリアミド樹脂に混入する可能性が高い不純物としてアルコール、ニトリル、アミン、カルボン酸、アミド、アルデヒド等が考えられる。キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミンとジカルボン酸から成るポリアミド樹脂の場合、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物として、特に注目すべきは、芳香族及び脂環族アルコール、芳香族及び脂環族アルデヒドおよび芳香族及び脂環族ニトリルである。芳香族及び脂環族アルコール等の不純物はポリアミド樹脂の黄変を促進することが確認されている。また、ポリアミド樹脂へ混入した際反応によりポリアミド樹脂中に取り込まれる可能性が低いため、溶融中に遊離し易く成形加工時に上記不都合の原因となり易い。
【0016】
常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物がポリアミド樹脂に混入する支配的要因は、原料(モノマー)由来であり、原料をコントロールすることでほぼ完全に本発明は達成され、前記不純物のポリアミド樹脂中の含量を効率的に低減できる。
【0017】
ジアミン成分の精製法は蒸留操作が一般的であり、上記不純物に着目して、段数、還流比等の蒸留条件を決定することが効果的である。ジアミン成分の製造工程は一般的にアンモ酸化工程と水素添加工程があるが、工程毎に溶媒の見直し、精製レベルの向上、触媒の選択性向上、反応条件の最適化等、詳細な検討を通じて上記不純物の抑制が達成される。また、上記不純物に着目して、アンモ酸化工程と水素添加工程で生成しない様に、ジアミン原料となる炭化水素に関しても精製されるべきである。
ジアミン成分がメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの場合、フェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、パラトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、4−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、テレフタロニトリル、2,4−ジメチルベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、3,4−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンズアルデヒド、3−シアノベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、3−シアノ安息香酸、4−シアノ安息香酸、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリメチルフェノール等の不純物が例示できる。
【0018】
ジアミン成分が1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンおよび1,4―ビスアミノメチルシクロヘキサンの場合、フェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、パラトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、4−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、テレフタロニトリル、2,4−ジメチルベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、3,4−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンズアルデヒド、3−シアノベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、3−シアノ安息香酸、4−シアノ安息香酸、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、トリメチルフェノール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサン、2,4−ジメチルシクロヘキシルメタノール、2,5−ジメチルシクロヘキシルメタノール、3,4−ジメチルシクロヘキシルメタノール、3,5−ジメチルシクロヘキシルメタノール等の不純物が例示できる。
【0019】
ジカルボン酸成分の精製法は晶析操作が一般的であり、上記不純物に着目して洗浄回数や温度等の晶析条件を決定することが効果的である。
ジカルボン酸成分がアジピン酸である場合、カプロン酸、琥珀酸、グルタル酸、2−ヘキセン二酸、3−ヘキセン二酸、ヘプタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、5−シアノ吉草酸、5−ニトロ吉草酸、オクタデカン酸、ヘキサノール、シクロペンタノン等の不純物が例示できる。しかし、モノおよびその他ジカルボン酸はアミド化反応によりポリアミド樹脂中に取り込まれるため、ポリアミド樹脂の分析に於いては殆ど観測されない。
【0020】
当然、重合中にも原料の分解等で生成する可能性もあるが、その量は極めて僅かであり、その様な分解物が多量に発生する重合条件が最適条件とは言い難い。
【0021】
常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物がポリアミド樹脂に混入した場合、未溶融状態での除去は困難であり、さらに、溶融を伴う成形加工時にポリアミド樹脂から遊離し、上記のような不都合の主たる要因となる。このため、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物が低減されていない原料を用いてポリアミド樹脂を製造したとき、製造工程で除去する必要があるが、この様な不純物に着目した製造条件の設定は特に行われていない。
【0022】
ポリアミドを製造する際の供給原料として、ナイロン塩水溶液を用いることが一般的であり、先ずナイロン塩水溶液を加圧下に加熱し、ジアミン成分の留出を抑えながら均一相で重合を進め、ジアミン成分を固定化したのち系内の水蒸気を徐々に放圧し、最終的に常圧もしくは減圧とし重合を完結させる。このとき、不純物を取り除くためナイロン塩を単離精製することが望ましい。また、ナイロン塩を供給原料とする方法(特公昭33−15700公報,特公昭43−22874公報)もある。しかし、ナイロン塩の単離精製工程はかなりのコスト上昇要因となるため、後期重合工程で高度な表面更新性が付与でき、高真空状態に維持可能な重合機を使用することが望ましい。
【0023】
ナイロン塩およびナイロン塩の水溶液を供給原料としない重合方法として、少量の水を含んだジアミンを常圧下220℃以下の温度で滴下して反応を行う方法(特開昭48−12390公報)、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを常圧下滴下し直接反応させる方法(特開昭57−200420公報、特開昭58−111829公報等)がある。
これらの重合方法はナイロン塩を経由しないため、後期重合工程において溶融状態で減圧下に維持し、不純物を取り除く必要がある。このとき反応槽では高度な表面更新性が得られず、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物を低減することは、極めて困難である。このため、水を除いた不純物の含有量が0.10重量%以下であるジアミンを原料として用いるか、または高度な表面更新性が付与でき、高真空状態に維持可能な重合機の中期もしくは後期重合工程での使用が望ましい。
【0024】
中期もしくは後期重合工程における好ましい重合機としては、遠心薄膜型蒸発機(特公昭50―9834公報、特開2000―256461公報等)、1軸のベント式押出機、セルフクリーニングタイプの2軸ベント式押出機(特公昭50−15275公報、特公平5―82410公報、特開昭62−79225公報等)、1本もしくは平行する2本以上の水平回転軸とこの水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な複数の攪拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒状である横型の連続式重合器(特開昭48−84781公報、特公昭50−21514公報、特公昭53−15753公報、特開昭51−31792公報、特開平10−259242公報、特開平11−130公報、特開2000―212265公報等)等が例示でき、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物を低減する上で極めて効果的である。
【0025】
この様な高度な表面更新性が付与でき、高真空状態に維持可能な重合機を用いて、ポリアミド樹脂中の常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物を低減しつつ溶融重合する際、ポリアミド樹脂の重合度が少なくとも20以上達した段階で、80kPa以下の圧力に2分間以上保つこと事が望ましい。ポリアミド樹脂の重合度が20未満であるとき、ジアミンの固定化が不十分であり、ジアミンとジカルボン酸のモルバランスがずれる可能性がある。また80kPaを越える圧力に保っても、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の留出は極めて不充分であり、不純物を低減する上で効率的では無い。
【0026】
中期もしくは後期重合工程における重合機内での樹脂温度は、融点より5℃以上40℃未満高い温度範囲であることが望ましく、より好ましくは融点より10℃以上35℃未満である。樹脂温度が融点より5℃以上高くないと、重合機内での固化する可能性があるとともに、溶融粘度が高くなり、不純物を低減する上で薄膜状態を充分に形成する事が困難である。又、樹脂温度が融点より40℃以上高い温度であると、不純物の低減には有利であるが、分解,3次元架橋,ゲル化反応等の異常反応が多くなり、得られるポリアミド樹脂の品質が著しく低下する。尚、ポリアミド樹脂の融点は、DSC測定(示差走査熱量測定)において結晶融解熱に起因する吸熱ピーク温度を示す。ポリアミド樹脂に結晶性が認められず、難晶性,非晶性と称されるポリアミド樹脂においては、流動開始温度を指す。
【0027】
中期又は後期重合工程における重合機内での滞留時間は、2分以上、120分未満であることが好ましく、5分以上、60分未満がより好ましい。滞留時間120分をこえると、不純物の留出はほぼ終焉しており、分解、3次元架橋、ゲル化反応等の異常反応が多くなり、得られるポリアミド樹脂の品質を低下させるだけである。また、滞留時間2分未満であるとき、不純物の留出が不十分であるばかりか、後期重合工程として充分な重合度の増加が達成されない。
【0028】
常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物は、ポリアミド樹脂もしくは原料に依存しその構造は様々であるが、例えばポリアミド樹脂がポリメタキシリレンアジパミドである場合、フェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、2,4−ジメチルベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、3,4−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンズアルデヒド、3−シアノベンズアルデヒド、ヘキサノール、トリメチルフェノール、シクロペンタノン等が例示できる。ポリアミド樹脂がポリ1,3−ビスアミノメチルシクロヘキシリレンアジパミドの場合、フェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、2,4−ジメチルベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、3,4−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンズアルデヒド、3−シアノベンズアルデヒド、ヘキサノール、トリメチルフェノール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサン、2,4−ジメチルシクロヘキシルメタノール、2,5−ジメチルシクロヘキシルメタノール、3,4−ジメチルシクロヘキシルメタノール、3,5−ジメチルシクロヘキシルメタノール等が例示できる。
【0029】
ポリアミド樹脂中に含まれる常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物は、当然に少ない事が望ましいが、0.3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.15重量%以下、特に好ましくは0.10重量%以下である。上記不純物が0.3重量%を越えると、ポリアミド樹脂から遊離した不純物により、成形加工時に上記した不都合が頻繁に生じる。不純物の同定および定量は、ポリアミド樹脂を溶剤で抽出し、濾過した抽出液をガスクロマトグラフィーで分析することができる。抽出溶剤はSP値が8以上16以下である不純物を充分に抽出出来るように、SP値の異なる溶剤を2種類以上用いる(例えばアルコールと炭化水素,アルコールとケトン等)ことが望ましく、ポリアミド樹脂も抽出し易いように粉体に調整する事が望ましい。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係るポリアミド樹脂により以下の効果が得られる。
(イ)成形材料、ボトル、シート、フィルムおよび繊維等の用途において厚みムラ等の成形不良、外観不良、強度低下等の欠点あるいは欠陥品等が少なくなり生産性が向上する。
(ロ)原料となるモノマーの製造工程において、除去すべき不純物が明確となり、効率的な精製条件が決定できる。
(ハ)押出成形等の連続生産において、ダイスのヤケ、冷却ロールの汚れ等が無くなり、連続運転時間が延長される。
(二)射出成形においては、金型の汚れ、ノズルのヤケ等が無くなり、連続運転時間が延長される。
(ホ)溶融成型時および経時的なポリアミド樹脂の黄変が抑えられる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお本発明における評価のための測定は以下の方法によった。
(イ)ポリアミド樹脂の相対粘度
ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%硫酸100ccに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(A)により相対粘度を求めた。
相対粘度=t/t0・・・・・・・・・・(A)
(ロ)ポリアミド樹脂中の不純物量
ポリアミド樹脂を凍結粉砕した500μmパス250μmオンの粉体を約10g精秤し、100ccのメタノール、アセトン、エチルエーテルの順に3時間ずつ煮沸抽出した。濾過した抽出液をガスクロマトグラフィーに導き分析した。
ガスクロマトグラフィー:ヒューレット パッカード社製 HP5890A
カラム:MEGABORE DB5(30m×0.55mm×1.5μm)
昇温プログラム:40℃→300℃(5分保持),10℃/分
ヘリウム流量:10cc/分
インジェクション温度:300℃
ディテクター:FID
ディテクター温度:300
本分析法で、ポリアミド樹脂から抽出されたオリゴマー等も同時に検出されるが、ポリアミド樹脂に含まれる不純物と容易に識別できる。
(ハ)無延伸フィルムの厚みムラ
無延伸フィルム中央部の厚みを膜厚計で10cmおきに100点測定し、次式から求めた。
(厚みムラ)=〔(平均厚み)−(厚み最小値)〕/(平均厚み)×100(%)
(ニ)無延伸フィルムの引張強度
東洋精機製ストログラフV1−Cを用いて、幅10mm、長さ100mmに切り抜いた無延伸フィルムの強度をASTM D882に従い測定した。
(ホ)無延伸フィルムの黄色度
日本電色工業製、色差計Σ80型を用いて、反射によるXYZ表色系の三刺激値X,Y,ZをJIS−K7103に従い測定し、次式から求めた。
YI=100x(1.28X−1.06Z)/Y
【0032】
比較例1
〔ポリアミド樹脂の調整〕 攪拌機、分縮器を備えた反応槽に、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、純度が99.14重量%のメタキシリレンジアミン(MXDA)を滴下した。内温が250℃に達したところでMXDAの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaで維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。ポリアミド骨格中(末端基も含む)のジアミンモノマーとジカルボン酸モノマーに由来するモル比(ジアミン/ジカルボン酸、以下「モルバランス」という)が0.996で、相対粘度が2.22のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.46重量%であり、主な不純物はフェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、ジメチルベンジルアルコール等であった。
〔連続押出運転〕
120℃で6時間真空乾燥したポリアミド樹脂をスクリュー径が40mmφの押出し機を用いて260℃で押出し、厚さ150μmの無延伸フィルムを成形した。その結果、ダイスにタール状のヤニが付着し頻繁に無延伸フィルムに付着した。また冷却ロールの汚れが激しく、無延伸フィルムに汚れが付着したため5時間毎に冷却ロールをメタノールで洗浄する必要があった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表1に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
得られた無延伸フィルムをフレームに固定した後、恒温槽を用い空気中150℃で1時間保持して結晶化および加熱処理し、反射光の黄色度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0033】
実施例1
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例1で使用したMXDAを精製し、純度を99.58重量%まで向上させたMXDAを滴下した。内温が250℃に達したところでMXDAの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaで維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.995で、相対粘度が2.18のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.30重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、ジメチルベンジルアルコールであった。〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスにタール状のヤニの付着は認められたが、無延伸フィルムに付着することはなく、また冷却ロールの汚れも、連続運転を妨げるものではなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表1に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
実施例2
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例1で使用したMXDAを精製し、純度を99.83重量%まで向上させたMXDAを滴下した。内温が250℃に達したところでMXDAの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaで維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.996で、相対粘度が2.20のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.15重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、ジメチルベンジルアルコールであった。〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスのヤケおよび冷却ロールの汚れ等、特に連続運転を妨げる不都合は発生しなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表1に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例3
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例1で使用したMXDAを精製し、純度を99.98重量%まで向上させたMXDAを滴下した。内温が250℃に達したところでMXDAの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaに維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.994で、相対粘度が2.15のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後,不純物の分析を行った。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.06重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコールであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスのヤケおよび冷却ロールの汚れ等、特に連続運転を妨げる不都合は発生しなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表1に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
比較例2
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、純度が99.14重量%のMXDAと純度が99.05重量%の1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)の混合物(〔MXDA/1,3−BAC〕:〔50/50〕モル%)を滴下した。内温が250℃に達したところでジアミン混合物の滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaに維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.994で、相対粘度が2.18のポリメタキシリレンアジパミド−ポリ1,3−ビスアミノメチルシクロヘキシリレンアジパミド共重合体(ナイロンMXD6-co-1,3−BAC6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後,不純物の分析を行った。その結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.56重量%であり、主な不純物はフェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、ジメチルベンジルアルコール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキシルメタノールであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスにタール状のヤニが付着し頻繁に無延伸フィルムに付着した。また冷却ロールの汚れが激しく、無延伸フィルムに汚れが付着したため5時間毎に冷却ロールをメタノールで洗浄する必要があった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表2に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表2に示す。
【0037】
実施例4
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例3で使用したMXDA及び1,3−BACをそれぞれ精製し、それぞれの純度を99.98重量%まで向上させたMXDAと1,3−BACの混合物(MXDA/1,3−BAC=50/50、モル%)を滴下した。内温が250℃に達したところでジアミンの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaに維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.995で、相対粘度が2.20のナイロンMXD6-co-1,3−BAC6を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後,不純物の分析を行った。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.08重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサンであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスのヤケおよび冷却ロールの汚れ等、特に連続運転を妨げる不都合は発生しなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表2に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表2に示す。
【0038】
比較例3
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、純度が99.05重量%の1,3−BACを滴下した。内温が250℃に達したところでジアミン混合物の滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaに維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.994で、相対粘度が2.18のポリ1,3−ビスアミノメチルシクロヘキシリレンアジパミド(ナイロン1,3−BAC6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後,不純物の分析を行った。その結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.51重量%であり、主な不純物はフェノール、ベンジルアルコール、メタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、ジメチルベンジルアルコール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキシルメタノールであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスにタール状のヤニが付着し頻繁に無延伸フィルムに付着した。また冷却ロールの汚れが激しく、無延伸フィルムに汚れが付着したため5時間毎に冷却ロールをメタノールで洗浄する必要があった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表2に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
実施例5
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例4で使用した1,3−BACを精製し、純度を99.98重量%まで向上させた1,3−BACを滴下した。内温が250℃に達したところで1,3−BACの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaに維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.995だ、相対粘度が2.16のナイロン1,3−BAC6を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後,不純物の分析を行った。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.07重量%であり、主な不純物は3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサンであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスのヤケおよび冷却ロールの汚れ等、特に連続運転を妨げる不都合は発生しなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表2に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表2に示す。
【0040】
実施例6
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例1と同様に純度が99.14重量%のMXDAを滴下した。内温が250℃に達したところでMXDAの滴下を終え、内温が252℃に達してから、平行する2本以上の水平回転軸とこの水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な複数の攪拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒状である横型の連続式重合器に導き、260℃、1kPaで10分間処理した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.992で、相対粘度が2.31のナイロンMXD6を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.25重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、ジメチルベンジルアルコールであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスにタール状のヤニの付着は認められたが、無延伸フィルムに付着することはなく、また冷却ロールの汚れも、連続運転を妨げるものではなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表3に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表3に示す。
【0041】
比較例4
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、純度が95.28重量%のメタキシリレンジアミン(MXDA)を滴下した。内温が250℃に達したところでMXDAの滴下を終え、内温が252℃に達してから、実施例6と同じ横型の連続式重合器に導き、260℃、1kPaで10分間処理した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.991で、相対粘度が2.11のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.70重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、ジメチルベンジルアルコール等であった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったが、ダイスにタール状のヤニが付着し頻繁に無延伸フィルムに付着した。また冷却ロールの汚れが激しく、無延伸フィルムに汚れが付着したため3時間毎に冷却ロールをメタノールで洗浄する必要があった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表3に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表3に示す。
【0042】
実施例7
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、比較例1と同様に純度が99.05重量%の1,3−BACを滴下した。内温が250℃に達したところで1,3−BACの滴下を終え、内温が252℃に達してから、実施例6と同じ横型の連続式重合器に導き、260℃、1kPaで10分間処理した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.993で、相対粘度が2.33のナイロン1,3−BAC6を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.25重量%であり、主な不純物は3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサンであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスにタール状のヤニの付着は認められたが、無延伸フィルムに付着することはなく、また冷却ロールの汚れも、連続運転を妨げるものではなかった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表3に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表3に示す。
【0043】
比較例5
〔ポリアミド樹脂の調整〕 比較例1と同じ反応槽を用い、水分が0.15重量%、純度が99.85重量%のアジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、純度が95.02重量%の1,3−BACを滴下した。内温が250℃に達したところで1,3−BACの滴下を終え、内温が252℃に達してから、実施例6と同じ横型の連続式重合器に導き、260℃、1kPaで10分間処理した後、取り出し水冷し造粒した。モルバランスが0.993で、相対粘度が2.18のナイロン1,3−BAC6を得た。
120℃で6時間真空乾燥した後分析した。結果、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量は0.75重量%であり、主な不純物はメタトルニトリル、3−メチルベンジルアルコール、3−シアノベンジルアルコール、イソフタロニトリル、ジメチルベンジルアルコール、3−メチル,1−アミノメチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキシルメタノールであった。
〔連続押出運転〕
比較例1と同様に、2日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったが、ダイスにタール状のヤニが付着し頻繁に無延伸フィルムに付着した。また冷却ロールの汚れが激しく、無延伸フィルムに汚れが付着したため3時間毎に冷却ロールをメタノールで洗浄する必要があった。得られた無延伸フィルムの厚みムラおよび強度を表3に示す。
〔無延伸フィルムの黄色度〕
比較例1と同様に加熱処理した無延伸フィルムの黄色度(YI)を測定した。結果を表3に示す。
【0044】
Figure 0004193029
【0045】
Figure 0004193029
【0046】
Figure 0004193029
【0047】
表1、表2及び表3から明らかな様に、常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつSP値が8以上16以下である不純物の総量が0.3重量%以下であるポリアミド樹脂は、フィルム成形時の厚みムラや得られたフィルムの強度低下、加熱処理後の黄色度が低く抑えられる。
【0048】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明したポリアミド樹脂の製造条件、製造方法は例示であり、適宜変更することができるし、使用した各種の装置も例示であり、適宜変更することができる。

Claims (8)

  1. キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミンとジカルボン酸とを重縮合させて得られるポリアミド樹脂であって、当該ポリアミド樹脂に含まれる、常圧での沸点が150℃以上300℃以下で、かつ溶解度パラメーター(SP値)が8以上16以下である不純物の総量が、当該ポリアミド樹脂中で0.3重量%以下であるポリアミド樹脂。
  2. 常圧での沸点が150℃以上300℃以下であり、かつ溶解度パラメーター(SP値)が8以上16以下である不純物が、芳香族アルコール、芳香族アルデヒド及び芳香族ニトリル、並びに/又は脂環式アルコール、脂環式アルデヒド及び脂環式ニトリルを含むことを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂。
  3. 芳香族アルコールがベンジルアルコール、脂環式アルコールがシクロヘキシルメタノール、及びこれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項2に記載のポリアミド樹脂。
  4. キシリレンジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  5. ビスアミノメチルシクロヘキサンの70モル%以上が1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  6. ジカルボン酸の70モル%以上がアジピン酸であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  7. キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミンとジカルボン酸とを溶融重合してポリアミド樹脂を製造する際に、水を除いた不純物の含有量が0.10重量%以下であるジアミンを原料として用いる事を特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  8. キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミンとジカルボン酸から成るポリアミド樹脂を溶融重合して請求項1に記載のポリアミド樹脂を製造する際に、平均重合度が少なくとも20以上に達した段階で、反応系内を80kPa以下の圧力に2分間以上保つことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
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