JP4192541B2 - ポリアミドの製造方法およびポリアミド - Google Patents

ポリアミドの製造方法およびポリアミド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた酸素バリヤー性を有し、特に、酸素バリヤー性が要求されるフィルム、シート、容器および包装袋などの材料として、また、ポリエチレンテレフタレートなどの酸素バリヤー性の乏しいポリマーにブレンドして酸素バリヤー性を付与する改質剤として有用なポリアミドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、飲料品、医薬品、化粧品などの酸素による食味や風味、効能の変化を抑制し、かつ、長期の保存を可能にすることを目的に、種々の酸素バリヤー性素材が開発され、フィルム、シート、容器および包装袋等に使用されている。従来公知の酸素バリヤー性素材としては、例えば、ポリビニアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等がよく知られているが、近時、主たるジアミン成分がm−キシリレンジアミンからなるポリアミド(例えば、m−キシリレンジアミンとアジピン酸とからなるポリ−m−キシリレンアジパアミド等)が優れた酸素バリヤー性を有する素材として注目されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、一般に、ポリアミドはゲル化しやすいことが知られているが(例えば、特許文献3参照)、そのうちでも、主たるジアミン成分がm−キシリレンジアミンからなるポリアミド、特に、ジアミン成分の70モル%以上がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドは、非常にゲル化しやすい。そのために、重合過程でゲル化が起こり、ゲル化物が重合釜に堆積して重合釜が汚れ、この汚れを清掃するために多大な時間と労力を要するという問題を生じている。また、重合過程で生成するゲル化物が不溶・不融性の異物となって、製造されるポリアミドに混入し、ポリアミドの樹脂品質を低下させる原因となっている。さらに、製造されたポリアミドを加工・成形する際、高温下に置かれることでゲル化が起こり、これによって成形不良を生じたり、成形品の品位(外観、性能)が低下する問題を生じている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−500846号公報
【特許文献2】
特開平3−762号公報
【特許文献3】
特開2000−72871号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、ジアミン成分の70モル%以上がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドを、その重合過程でのゲル化を抑制して、高重合度で不溶・不融物の含有量が少なく、しかも、その加工・成形時にゲル化が起こりにくいものとなるように、比較的短時間で製造できるポリアミドの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、異物が少なく、酸素バリヤー性および加工・成形性に優れ、外観および性能に優れた成形品を得ることのできる高品質のポリアミドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ポリアミドのゲル化は三級アミドの生成によってポリマーが三次元化することによって起こり、三級アミドは2分子(ポリマー鎖)の末端アミノ基から脱アンモニア反応によって生成するイミンによってもたらされる。
本発明者等の鋭意研究の結果、主たるジアミン成分がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドの製造において、イミン生成を抑制するには、重合原料(ジアミンとジカルボン酸の調合物)中の水分量を極力少なくすることが極めて有効であり、さらに、連続製造プロセスを採用して、該連続製造プロセスでのアミド化工程へ供給するジアミンとジカルボン酸の供給量比(モル比)をできるかぎり1:1に近づけることによって、ゲル化を著しく抑制して、高重度のポリアミドを短時間で製造できること、また、連続製造プロセスにおける後期重合工程においてポリアミドの末端カルボキシル基(以下、CEGとも称す)量が末端アミノ基(以下、AEGとも称す)量よりも多くなるように末端基調整を行うことによって、得られるポリアミドが高温度下に置かれても分子量増加を起こしにくく、それによって、加工・成形時でのゲル化が効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ジカルボン酸(C)と、ジアミン(A)とを、その量比C/A(モル比)が0.975〜1.025となるよう調合してアミド化工程へ供給し、該アミド化工程で重縮合して生成した重合体を初期重合工程および後期重合工程にて高重合度化する連続製造プロセスにより、ジアミン成分の少なくとも70モル%がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドを製造する方法であって、
ジカルボン酸(C)とジアミン(A)との調合物における含水量が20重量%未満であり、
アミド化工程で生成する重合体の相対粘度(Rv1)が1.2〜1.8、初期重合工程で生成する重合体の相対粘度(Rv2)が1.4〜2.1及び初期重合工程から後期重合工程における重合度の増加分(ΔRv)が0.05〜1.8であり、かつ、
後期重合工程で末端アミノ基変性剤を添加して、最終的なポリアミドの末端カルボキシル基(CEG)と末端アミノ基(AEG)の量比CEG/AEG(モル比)を1.2以上に調整することを特徴とするポリアミドの製造方法。
(2)末端アミノ基変性剤が酸無水物である上記(1)記載のポリアミドの製造方法。
(3)ジアミン成分の少なくとも70モル%がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドであって、20℃での相対粘度が1.8〜3.6、三級窒素含有量が0.65モル%以下、末端カルボキシル基(CEG)と末端アミノ基(AEG)の量比CEG/AEG(モル比)が1.2以上であることを特徴とするポリアミド。
【0008】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で製造するポリアミドは、ジアミン成分の少なくとも70モル%がm−キシリレンジアミン(以下、MXDともいう)からなるポリアミドである。ジアミン成分におけるMXDが70モル%未満であると、酸素バリヤー性が著しく低下してしまう。MXDの好ましい量は75モル%以上、特に好ましくは80モル%以上である。MXD以外のジアミン成分としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類;シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン類;p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。これらの中でも、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−キシリレンジアミンが好ましい。当該MXD以外のジアミン成分は、単独で使用しても2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよく、全ジアミン成分中、30モル%未満の範囲で使用される。
【0009】
ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸(以下、AAともいう)、セバシン酸(以下、SAともいう)、イソフタル酸(以下、IPAともいう)が好ましい。当該ジカルボン酸成分は、単独で使用しても2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合、AA、SAおよびIPAの中から選ばれるいずれか2種もしくはこれら3種を組み合わせて使用するのが好ましい。
【0010】
上記ジアミン成分やジカルボン酸成分以外に、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類;アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類も共重合成分として使用してもよい。
【0011】
本発明では連続製造プロセスでポリアミドを製造する。本発明における「連続製造プロセス」とは、原料調合工程、アミド化工程、初期重合工程および後期重合工程からなり、各工程がそれぞれ個別の設備で行われ、かつ、これら複数の設備間が、前の工程の設備からの排出物が後の工程の設備への供給物となるように連結されていて、原料調合から最終製品(目的のポリアミド)の生成までが連続的に行われるプロセスである。
【0012】
図1は連続製造プロセスを実施する装置の一例の模式図である。
以下、この図を参照しながら、各工程(原料調合工程、アミド化工程、初期重合工程および後期重合工程)を詳しく説明する。
【0013】
▲1▼原料調合工程
本工程では、ジカルボン酸(C)とジアミン(A)の量比C/A(モル比)が0.975〜1.025の範囲となるように調合し、次工程のアミド化工程へ供給する。かかるジカルボン酸(C)とジアミン(A)の量比C/A(モル比)がこの範囲から外れると、ポリアミドの重縮合反応の制御、すなわち、次工程のアミド化工程以降の工程における反応制御が非常に困難となるだけでなく、場合によっては、ポリアミドの重合度が目標とする重合度まで到達しない場合がある。当該ジカルボン酸(C)とジアミン(A)の量比(C/A)は望ましくは0.980〜1.020(モル比)、更に望ましくは0.985〜1.015(モル比)である。
【0014】
本工程は、通常、図1に示すように、ジカルボン酸及びジアミンの各溶融・貯蔵槽1、2と原料供給ポンプ3a、3bによって、ジカルボン酸及びジアミンをバルクのまま次のアミド化工程へ供給する。
ジカルボン酸は通常固体であることから、ジカルボン酸の溶融・貯蔵槽1は、ジカルボン酸を溶融する溶融槽1aと、該溶融槽1aで溶融された溶融物を貯蔵する貯蔵槽1bとで構成される。ジカルボン酸の溶融・貯蔵温度は、[ジカルボン酸の融点]〜[ジカルボン酸の融点+20℃]の範囲とするのが適当である。溶融・貯蔵温度をかかる範囲よりも高くするとジカルボン酸の熱劣化や熱分解を生じる虞があり、好ましくない。また、かかる範囲よりも低くすると、不均一溶融となり、調合物におけるジカルボン酸とジアミンの量比が1:1から大きく外れるようになるため、好ましくない。
【0015】
ジアミンの溶融・貯蔵槽2は通常単一槽で構成される。ジアミンの溶融・貯蔵温度は、[ジアミンの融点]〜[ジアミンの融点+20℃]の範囲内が適当である。溶融・貯蔵温度がかかる範囲外であると、ジカルボン酸と同様の理由から好ましくない。なお、ジカルボン酸およびジアミンとも、熱酸化分解を抑制する目的で不活性ガス雰囲気下、例えば窒素雰囲気下に置くことが好ましい。
【0016】
原料供給ポンプ3a、3bは、溶融・貯蔵槽1、2内のジカルボン酸およびジアミンをそれぞれ定量供給し、所望の調合比に調合して次のアミド化工程へ供給するための手段であり、特に限定はされないが、プランジャーポンプが好ましい。
【0017】
溶融・貯蔵槽1、2内のジカルボン酸およびジアミンには、ポリアミドの熱酸化分解の抑制を目的として、あるいは重縮合触媒としてアルカリ金属化合物やリン化合物等を添加してもよい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属を含む化合物であり、例えば、次亜リン酸や亜リン酸のアルカリ金属塩(カリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩等)およびそれらの水和物、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム・3水和物、酢酸カリウム、酢酸リチウム・2水和物等が挙げられ、中でも、次亜リン酸ナトリウムおよびその水和物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウムが好ましい。これらはいずれか1種または2種以上を併用してもよい。アルカリ金属化合物の添加量はポリアミドに対して金属原子(アルカリ金属原子)として0〜600ppmが好ましく、より好ましくは0〜500ppmである。
【0018】
また、リン化合物としては、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸およびこれらのLi、NaまたはK塩;次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸のメチル、エチル等の低級アルコールエステルなどが挙げられ、これらの中でも、次亜リン酸;亜リン酸;次亜リン酸のLi、Na若しくはK塩;亜リン酸のLi、Na若しくはK塩が好ましい。当該リン化合物の添加量はポリアミドに対してP原子として0〜550ppm好ましく、より好ましくは0〜500ppmである。
【0019】
本工程では、上記のように、ジカルボン酸の溶融・貯蔵槽1とジアミンの溶融・貯蔵槽2を使用して、ジカルボン酸とジアミンをバルクのまま(溶融物として)アミド化工程へ供給するのが好ましいが、ジカルボン酸とジアミンの塩を含む水溶液をアミド化工程へ供給するようにしてもよい。ただし、当該水溶液における水の量は20重量%未満にする必要がある。かかるジカルボン酸とジアミンの塩を含む水溶液をアミド化工程へ供給する態様の場合、ジアミンの溶融・貯蔵槽2の代わりに、ジアミンの水溶液を貯蔵した貯蔵槽を使用するか、または、ジカルボン酸の溶融・貯蔵槽1およびジアミンの溶融・貯蔵槽2の代わりに、ジカルボン酸とジアミンの塩を含む水溶液を貯蔵した貯蔵槽を使用する。
【0020】
本工程において、ジカルボン酸およびジアミンのバルクの調合物をアミド化工程へ供給するか、若しくは、水分量が20重量%未満のジカルボン酸とジアミンの塩を含む水溶液をアミド化工程へ供給することで、次のアミド化工程以降の重合工程において、イミンの生成を十分に抑制することができる。
【0021】
本発明において、ポリアミドの目標とする重合度(最終の重合度)とは、溶媒に硫酸を使用した20℃での相対粘度が1.8〜3.6、好ましくは1.9〜3.3の重合度である。該相対粘度が1.8未満では、ポリアミドの機械的強度が低いものとなり、フィルム、シートなどの原料として適切でなく、3.6を超える場合、そのようなものを得るには、次工程のアミド化工程以降での重合時間を長くしなければならず、そのためにポリマーの着色や劣化を生じてまう。また、相対粘度が3.6を超えるポリアミドは加工、成形時においてゲル化が起こりやすくなる。
【0022】
▲2▼アミド化工程
本工程は、原料調合工程により前記所定の量比(調合比)に調合されて連続的に供給されてくるジアミンとジカルボン酸から重縮合反応によって低重合度の重合体を生成する工程である。
【0023】
本工程で使用される設備としてはパイプリアクター、スタティックミキサーおよび連続縦型攪拌槽方式等が使用できるが、パイプリアクターが好適であり、図1ではパイプリアクター4を示している。パイプリアクターを使用する利点は、その構造上、液面制御が不要、耐圧性が優れる及び設備費が安価である等の点である。本アミド化工程では、原料調合工程から供給されるジカルボン酸とジアミンを重縮合して相対粘度(Rv1)が1.2〜1.8の重合体を得る。すなわち、本工程(アミド化)を行う設備から排出される生成物(次工程の初期重合工程を行う設備に供給される生成物)中の重合体の相対粘度(Rv1)が1.2〜1.8となるように反応を行う。該相対粘度(Rv1)が1.2未満では重合度が小さすぎて、目的の重合度のポリアミドを得るためには、次工程の初期重合工程での負担が大きくなる。すなわち、初期重合工程で生成する水の蒸発量が多くなり、突沸や水留出缶の詰まり等を生じたり、滞留時間が延びて生産性が低下する等の不具合を生じてしまう。逆に該相対粘度(Rv1)が1.8を超えると反応物の溶融粘度が高くなり、反応設備内で偏流が発生して重合度にバラツキが生じ、安定した品質のポリアミドを製造することが困難になる。本発明において当該相対粘度(Rv1)は1.30〜1.75の範囲が好ましく、より好ましくは1.35〜1.70の範囲である。
【0024】
本工程で生成する重合体の重合度の制御は、設備内の温度、圧力、滞留時間等を調整することによって行われる。滞留時間とは、重合体が設備内に存在する時間であり、滞留時間の制御は、設備の大きさや原料供給量等を調整することによって行われ、例えばパイプリアクターの場合、パイプの大きさ(パイプ径、パイプ長)および/または原料供給量を調整することによって行われる。ここで、設備内温度は110〜300℃程度が好ましく、内圧は0〜1MPa程度が好ましく、滞留時間は5〜120分程度が好ましい。より好ましい条件としては、設備内温度が120〜290℃(とりわけ好ましくは130〜280℃)、内圧が0〜0.9MPa(とりわけ好ましくは0〜0.8MPa)、滞留時間が10〜110分(とりわけ好ましくは15〜100分)である。
【0025】
▲3▼初期重合工程
本工程は、アミド化工程から供給されてくる、アミド化工程で生成した重合体中の縮合水や、ジカルボン酸とジアミンの塩を含む水溶液を使用した場合の水溶媒を留去することによって、当該重合体の重合度を高める工程である。本工程で使用される設備としては縦型攪拌槽や遠心薄膜式蒸発機等が使用できるが、反応条件の制御が簡便な点から縦型攪拌槽が好ましい。図1には縦型攪拌槽5を示している。アミド化工程から供給された低重合度の重合体は、本工程で相対粘度(Rv2)が1.4〜2.1の範囲となるまで重合度が高められる。すなわち、上記の反応設備(槽)から排出される生成物(次工程の後期重合工程を行う設備に供給される生成物)における重合体の相対粘度(Rv2)が1.4〜2.1となるように反応を行う。当該相対粘度(Rv2)が1.4未満では重合度が低すぎて、次工程での負担が大きくなる。また、2.1より大きい場合は、そのようなものを得るには反応設備(槽)内の滞留時間が長くなりすぎ、ゲル化や熱劣化が起こりやすくなる。
【0026】
上記相対粘度(Rv2)は、その下限については好ましくは1.60以上、より好ましくは1.75以上、とりわけ好ましくは1.80以上であり、その上限については好ましくは2.07以下、より好ましくは2.03以下である。重合度の制御は、設備内温度、圧力、滞留時間等を調整することによって行われ、設備内温度は[ポリアミドの融点]〜[ポリアミドの融点+40℃]の範囲、内圧は0〜1MPa、滞留時間は10〜150分とするのが好ましい。ここでの滞留時間とは設備内に重合体が存在する時間(投入〜排出までの時間)である。より好ましい反応条件は、設備内温度が[ポリアミドの融点]〜[ポリアミドの融点+35℃](とりわけ好ましくは[ポリアミドの融点]〜[ポリアミドの融点+30℃])、内圧が0〜0.9MPa(とりわけ好ましくは0〜0.8MPa)、滞留時間は15〜140分(とりわけ好ましくは15〜130分)である。
【0027】
▲4▼後期重合工程
本工程は、初期重合工程から供給されてくる、初期重合工程で生成した重合体の重合度を最終的に目標とする重合度まで高める(すなわち、初期重合工程で生成する重合体よりも高重合化した重合体を生じせしめ)、かつ、末端アミノ基変性剤を添加して、最終製品のポリアミドのカルボキシル末端基(CEG)と末端アミノ基(AEG)の量比CEG/AEG(モル比)を1.2以上に調整する工程である。本工程で使用される設備としては、二軸ルーダー、一軸ルーダー等の混練機が使用できるが、混練効果に優れ、しかも反応の制御や末端基調整が容易な点から二軸ルーダーが好ましい。図1には二軸ルーダー6を示している。なお、混練機は減圧ベントを備え付けたものを用いる。
【0028】
本工程では、初期重合工程から供給されてくる重合体の重合度を、相対粘度の増加分(ΔRv)が1.8以下となる範囲で高めることが重要である。ここで相対粘度の増加分(ΔRv)とは、[当該工程を行う反応設備(混練機)から排出される重合体の相対粘度(Rv3)]−[前記の初期重合工程で生成する重合体の相対粘度(Rv2)]を意味する。当該相対粘度の増加分ΔRvが1.8より大きい場合、ゲル化が十分抑制されなくなる。すなわち、粘度の急激な上昇によって、少ないイミン量でもゲル化を生じるようになる。なお、当該工程においては、末端アミノ基変性剤が末端アミノ基と十分に反応し得る混練時間が必要であることから、ΔRvの下限は0.05以上にすることが重要である。
【0029】
末端アミノ基変性剤(以下、AEG変性剤ともいう)は、例えば、混練機に取り付けたフィーダーから、定量供給することによって行われる。その供給は、反応物が混練機に供給された時点から真空ベントへ至るまでの任意の時点で行なえる。該AEG変性剤としては、アミノ基と反応する化合物であれば特に制限なく使用でき、例えば、酸無水物、脂肪族または芳香族カルボン酸、エポキシ化合物等が挙げられる。とりわけ、酸無水物の使用が、アミノ基との反応性がよいこと、反応によってCEGが生成すること、および環境衛生上の点から好ましい。酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、中でも、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸が好ましい。
【0030】
AEG変性剤の使用量は、所望のCEG/AEGおよびAEG量に応じて任意に選ばれる。しかしながら、大過剰の使用は、AEG変性剤が未反応状態で残るため、ポリアミドに対して有害となるだけでなく、コスト高となるので好ましくない。具体的には、酸無水物の場合、その揮発性や反応性に応じて、ポリアミド中に存在するAEG量に対して、通常、0.5〜3.0倍当量、好ましくは0.8〜2.5倍当量、特に好ましくは0.9〜2.0倍当量である。
【0031】
本工程において、ポリアミドのCEG/AEGを1.2以上にすることにより、加工・成形時において、ゲル化が極めて生じにくいポリアミドを製造できる。これは、ポリアミドは成形、加工時に高温度下に置かれることで重合度(粘度)が上昇して(高分子量化して)、ゲル化が生じやすくなるが、CEG/AEGを1.2以上とすることで、かかる重合度(粘度)の上昇を抑制でき、これによって、ゲル化が抑制される。なお、CEG/AEGは好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上である。また、CEG/AEGの上限は特に限定はされないが、短い滞留時間内でのAEGとAEG変性剤との反応性の点から50以下が好ましい。
【0032】
また、CEG/AEG調整後のポリアミドのAEG量は熱酸化分解の抑制等の点から、70meq/kg以下が好ましく、35meq/kg以下、とりわけ好ましくは30meq/kg以下である。すなわち、AEG量は小さければ小さい程好ましい。CEG量は、特に制限されないが、一般的には80〜200meq/kg程度である。
【0033】
当該工程での混練条件(樹脂温度、滞留時間、ベント真空度等)は、所望するポリアミドの最終の重合度(前記したように、溶媒に硫酸を使用した20℃での相対粘度が1.8〜3.6の範囲である。)及びCEG/AEGによっても異なるが、樹脂温度は[ポリアミドの融点]〜[ポリアミドの融点+40℃]が好ましく、より好ましくは[ポリアミドの融点]〜[ポリアミドの融点+45℃]であり、ベント真空度は1〜750hPaが好ましく、より好ましくは1〜700hPaであり、滞留時間は1〜30分が好ましく、より好ましくは1.5〜25分、とりわけ好ましくは2〜20分である。
【0034】
なお、最終的なポリアミドのCEG/AEGを調整するために、重合原料におけるジアミンとジカルボン酸のモルバランスを崩す、または、ジアミンまたはジカルボン酸と反応性を有する一官能性化合物(末端基変性剤)を添加する方法が考えられるが、かかる方法を採用すると、重縮合反応の遅延が起こり、ポリアミドの重合度を目標とする重合度まで高めることが困難となる。
【0035】
本発明の製造方法では、ジアミン、特に、m−キシリレンジアミンの2分子の末端アミノ基からのイミンの生成を十分に抑制でき、三級アミドの生成によるポリマーの三次元化(ゲル化)を十分に抑制して、ジアミン成分の少なくとも70モル%がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドを十分に高い重合度に比較的短時間で製造することができる。そして、このようにして製造される本発明のポリアミドは、優れた酸素バリヤー性および十分に高い重合度(相対粘度が1.8〜3.6)を有するとともに異物が少なく、さらに、三級窒素含有量が0.65モル%以下で、1.2以上のCEG/AEGを有することから、加工・成形時においてゲル化が極めて起こりにくく、外観および性能に優れた高品位の成形品を得ることのできるポリアミドとなる。
ここで「三級窒素含有量」はポリアミド中の二級アミド(結合)の窒素に対する三級アミド(結合)の窒素の比率(モル比)である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例を記載して、本発明をより具体的に説明する。なお、実施例と比較例における分析および測定は以下の方法で行った。
【0037】
〔三級窒素含有量の測定〕
試料をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解しバリアン社製Unity−500NMR分光器を用いて、炭素13(C13)のスペクトルを解析して三級窒素含有量(二級アミドに基づく窒素に対するモル比(モル%))を測定した。
【0038】
〔末端カルボキシル基(CEG)量の測定〕
試料0.2gにベンジルアルコール10mlを加え、180±5℃にで5分間で溶解させた。この溶液を水中にて15秒間冷却し、フェノールフタレインを指示薬として、エタノール性水酸化カリウム溶液(0.5N−KOH80mlにエタノールを加え1000mlに調製した)で滴定し、以下の式により算出した。
CEG(meq/kg) ={[(A−B)×N×f]/(w×1000)}×106
A:滴定量(ml)
B:溶解のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性水酸化カリウムの濃度(mol/l)
f:エタノール性水酸化カリウムのファクター
w:試料重量(g)
【0039】
〔末端アミノ基(AEG)量の測定〕
試料0.6gをフェノール/エタノール(容積比4/1)50mlに溶解し、次いで、水/エタノール(容積比3/2)20mlを加え、指示薬メチルオレンジを一滴加えた。エタノール性塩酸水溶液(1/10NのHClを100mlとエタノール50mlに蒸留水を加えて500mlに調製した。)で滴定し、以下の式により算出した。ブランクとして遷移金属の原子価量を差し引いた。
AEG(meq/kg)={[(A−B)×N×f]/(w×1000)}×106
A:滴定量(ml)
B:溶媒のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性HClの濃度(mol/l)
f:エタノール性HClのファクター
w:試料重量(g)
【0040】
〔相対粘度の測定〕
ポリアミド0.25gを96.3%の硫酸25mlに溶解し、この溶液10mlをオストワルド粘度管にて20℃で測定し、下記式より求めた。
Rv=t/t0
0:溶媒の落下秒数
t:試料溶液の落下秒数
【0041】
最終の重合体(後期重合工程後の重合体)の相対粘度(Rv3)は後期重合工程後のチップを用いて行った。
アミド化工程後の重合体の相対粘度(Rv1)はアミド化工程から初期重合工程への移送ラインに設けたサンプリングバルブによりサンプリングした試料のそれを測定した。
初期重合工程後の重合体の相対粘度(Rv2)は初期重合工程から後期重合工程への移送ラインに設けたサンプリングバルブによりサンプリングした試料のそれを測定した。
【0042】
〔酸素透過係数の測定〕
JIS K 7126に準拠して、24℃、100%RHの条件で測定した。
酸素透過係数は、その値が小さければ小さいほど酸素を透過し難くなることを意味し、食品、飲料品、医薬品、化粧品等の長期保存安定性に優れることになる。本発明において、望ましい酸素透過係数は5以下、更に望ましくは4以下である。
【0043】
〔ゲル化時間〕
ゲル化時間とは加熱された試料がゲル化するまでに要する時間であり、この値が大きいほど、ゲル化しにくく、また、不溶・不融性の異物が少ないことを意味する。
内容量約20mlの枝付き試験管に100℃で24時間減圧乾燥した試料(ポリアミド)3gを入れ、減圧窒素置換を3回行なった後、30ml/分の窒素ガスを流しながら、260℃恒温のオイルバス中に浸漬し所定時間加熱を行なった。そして、かかる加熱処理した試料0.25gを96%硫酸25mlに室温下16時間溶解した時、不溶物を視認するまでに要した時間を測定した。本発明において、ゲル化時間は長ければ長いほど望ましいが、12時間以上が望ましく、13時間以上が特に望ましい。
【0044】
〔粘度上昇指数(ΔRg)〕
該粘度上昇指数(ΔRg)はポリアミドの経時による粘度変動の指標であり、下記式で定義される。
ΔRg=[(ゲル化1時間前の相対粘度(Rvt))−(ゲル化処理前の相対粘度(Rvb))]/(ゲル化処理開始からゲル化1時間前までに要した時間)
ここでの相対粘度(Rvt)および(Rvb)はいずれも上記相対粘度の測定方法で測定した。また、ゲル化1時間前の相対粘度を採用しているのは、ゲル化時の相対粘度は試料が不溶化して値が変化するためである。かかる粘度上昇の指数(ΔRg)が小さいことは、加工・成形時等での粘度上昇が少なく、加工・成形性に優れ、また、ゲル化しにくいことであり、当該指数は0.15以下が好ましく、0.13以下が特に好ましい。
【0045】
ポリアミドの製造例
下記の記載および表中において、AAはアジピン酸、SAはセバシン酸、IPAはイソフタル酸、MXDはm−キシリレンジアミン、HMDAはヘキサメチレンジアミン、SCAは無コハク酸、OPAは無水フタル酸、H−OPAはヘキサヒドロ無水フタル酸、TMAはトリメリット酸、CLMはε−カプロラクタムを示す。
【0046】
〔実施例1(ポリアミドA)〕
図1に示す製造設備を使用して、原料調合工程、アミド化工程、初期重合工程および後期重合工程よりなる連続製造プロセスにより、以下の手順でポリアミドAを製造した。
170℃で溶融したAAに0.105重量%の酢酸ナトリウムおよび0.21重量%の次亜リン酸ソーダを溶解した、酢酸ナトリウムおよび次亜リン酸ソーダを含む溶融AAと、60℃に加熱したMXDとを、それぞれプランジャーポンプにて、AAについては4.766kg/hrの供給量で、MXDについては4.428kg/hrの供給量で、アミド化工程用のパイプ径が20A、パイプ長が13.5mのパイプリアクターへ連続的に定量供給した。アミド化工程では、パイプリアクターのジャケット温度300℃、内圧を0.15MPaとし、滞留時間を30分とした。この間に、内容物の温度は170℃〜245℃まで上昇した。アミド化工程で生成した低重合体は初期重合工程用の縦型攪拌槽に連続的に供給した。初期重合工程では、縦型攪拌槽の内温を265℃、内圧を0.15MPaとし、アミド化工程からの供給物を60分間滞留させ、高重合度化を行なった。初期重合工程を経た重合体は後期重合工程用の、樹脂温度265℃、ベント真空度530hPa、スクリュー回転数150rpmに制御された東芝機械(株)製TEM−37BS二軸ルーダーに定量供給した。CEG/AEGの調整は、ニ軸ルーダーへ重合体の供給開始から4分後に酸無水物化合物(ヘキサヒドロ無水フタル酸)をフィーダーにより定量供給することによって行なった。二軸ルーダー内における滞留時間は約6分間であった。得られたポリアミドはストランド状で水中へ吐出しチップ状にカッティングした。これをポリアミドAとする。
表1に原料の種類、組成(C/A、水分量)、重合体の物性(末端基量、CEG/AEG、相対粘度、三級窒素含有量)を示す。また、表2にアミド化工程、初期重合工程および後期重合工程における製造条件(温度、圧力、滞留時間)を示す。
なお、アミド化工程における滞留時間は、パイプリアクター内の容積と供給量の関係から求め、初期重合工程における滞留時間は縦型攪拌機内の低重合体量と吐出量の関係から求めた。また、後期重合工程における滞留時間は、予めポリエチレンと着色顔料(カーボンブラック)を使用し、二軸ルーダーの回転数およびポリマー供給量と、滞留時間の関係を把握し、これを適用した。
【0047】
〔比較例1(ポリアミドB)、実施例5(ポリアミドI)、比較例1(ポリアミドJ)、実施例8(ポリアミドN)、比較例7(ポリアミドO)、実施例9(ポリアミドP)〕
上記ポリアミドAと同様に図1の製造設備を使用し、連続製造プロセスにより、表1に示す原料を、表2に示す条件で重合してポリアミドB、I、J、N、O、Pを得た。なお、ポリアミドI、J、N、O、Pの製造では、アミド化工程、初期重合工程および後期重合工程における滞留時間は上記ポリアミドAのそれと同じにし、CEG/AEG調整を行なわないポリアミドBについては後期重合工程の滞留時間を5分間とした。
【0048】
〔実施例2(ポリアミドC)、実施例3(ポリアミドD)、実施例6(ポリアミドL)〕
上記ポリアミドAと同様に図1の製造設備を使用し、連続製造プロセスにより、表1に示す原料を、表2に示す条件で重合してポリアミドC、D、Lを得た。なお、アミド化工程及び初期重合工程における滞留時間はそれぞれ35分、70分に変更した。
【0049】
〔比較例2(ポリアミドE)、比較例3(ポリアミドF)〕
上記ポリアミドAと同様に図1の製造設備を使用し、連続製造プロセスにより、表1に示す原料を、表2に示す条件で重合してポリアミドE、Fを得た。なお、アミド化工程、初期重合工程及び後期重合工程における滞留時間はそれぞれ60分、90分、8分と延長したが、ポリマーの重合度は低く目的とする重合度(相対粘度1.8〜3.6)に達しなかった。
【0050】
〔実施例4(ポリアミドG)、実施例7(ポリアミドM)〕
上記ポリアミドAと同様に図1に示す製造設備を使用し、連続製造プロセスにより、表1に示す原料を、表2に示す条件で重合してポリアミドG、Mを得た。ポリアミドGは、原料調合工程における、酢酸ナトリウムおよび次亜リン酸ソーダを含む溶融AAのプランジャーポンプによるパイプリアクターへの供給量を4.766kg/hrとし、一方、81.3重量%のMXD水溶液を使用し、これのプランジャーポンプによるパイプリアクターへの供給量を5.448kg/hrとし、アミド化工程及び初期重合工程の滞留時間をそれぞれ40分、70分とした。
ポリアミドMは、原料調合工程において、酢酸ナトリウムおよび次亜リン酸ソーダを含むAAとIPAの混合物を使用し、これのプランジャーポンプによるパイプリアクターへの供給量を4.896kg/hrにし、72.9重量%のMXD水溶液のプランジャーポンプによるパイプリアクターへの供給量を6.070kg/hrにし、アミド化工程及び初期重合工程の滞留時間をそれぞれ40分、75分とした。
【0051】
〔比較例4(ポリアミドH)、比較例6(ポリアミドK)、比較例8(ポリアミドQ)〕
加圧式反応釜に14614部のAA、13619部のMXD、14.96部の酢酸ナトリウム、30.94部の次亜リン酸ソーダ及び水23100部を仕込み釜内を十分窒素置換した。反応釜を密閉し45分間でジャケット温度を275℃まで昇温した。釜内圧を1MPaに調圧して水抜きを行ないながら反応を続けた。反応温度は水の留出とともに上昇し昇温開始から270分で240℃まで達した。この時点で放圧を開始し60分間で常圧とした。この間に反応温度は260℃まで上昇した。同温度で更に60分間反応を続けた後内容物をストランド状で水中へ吐出しポリアミドを得た。このポリアミドに対してポリアミドAの製造に使用した二軸ルーダーを使用し、CEG/AEGの調整を行った。すなわち、ポリアミドに酸無水物(無水フタル酸)を均一混合した後減圧乾燥し、樹脂温度260℃、スクリュー回転数100rpm、ベント真空度200hPaの条件で行なった。これをポリアミドHとする。
ジカルボン酸、ジアミンの種類、および、原料中の水分量を表1に示すように変更した以外は、上記ポリアミドHの製造方法に準拠してポリアミドK、Qを得た。
【0052】
〔比較例9(ポリアミドR)〕
図1に示す製造設備を使用し、連続製造プロセスにより、以下の手順でポリアミドRを製造した。
調合缶にて、14.738gの水、17.800gのAA、16.588gのMXD、31.8gの酢酸ソーダおよび21.3gの次亜リン酸ソーダを加え、0.22MPa、135℃の条件で攪拌下に70重量%のAA−MXD塩水溶液を調製した。
このAA−MXD塩水溶液を毎時8.12Lの流量でプランジャーポンプにてジャケット温度300℃、内圧3.5MPaに制御したパイプリアクター内に供給した。パイプリアクター内における滞留時間は35分でこの間に内容物の温度は240℃まで上昇した。
アミド化工程で生成した低重合体は、内温285℃、3.5MPaに制御された初期重合工程で60分間滞留させ、溶媒として使用した水及び縮合水を蒸発留去して高重合体とし、樹脂温度300℃、ベント真空度500hPa、スクリュー回転数150rpmに制御した二軸ルーダーに定量供給した。二軸ルーダーへの重合体供給開始から4.5分後にヘキサヒドロ無水フタル酸を定量供給して、CEG/AEGの調整を行った。二軸ルーダー内における滞留時間は約6.5分間であった。
【0053】
〔実施例10(ポリアミドS)〕
アミド化工程及び初期重合工程における圧力(内圧)を0.70MPaに変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミドSを製造した。なお、アミド化工程おいて、パイプリアクターの内容物の温度は170℃〜246℃まで上昇した。
【0054】
【表1】
Figure 0004192541
【0055】
【表2】
Figure 0004192541
【0056】
以上製造したポリアミドA〜Rのゲル化時間、粘度上昇指数(ΔRg)、酸素透過係数を表3に示す。なお、表中の*は測定限界を意味する
【0057】
【表3】
Figure 0004192541
【0058】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、ジアミン成分の70モル%以上がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドを、高重合度で不溶・不融物の含有量が少なく、しかも、その加工・成形時にゲル化が起こりにくいものとなるように、ゲル化を著しく抑制して、比較的短時間で製造することができる。そして、このようにして得られるポリアミドは、優れた酸素バリヤー性および加工・成形性を有し、外観および性能に優れた成形品を得ることのできる高品質のポリアミドとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における連続製造プロセスを実施する装置の一例の模式図である。
【符号の説明】
1、2 溶融・貯蔵槽
3a、3b 原料供給ポンプ
4 パイプリアクター
5 縦型攪拌槽
6 二軸ルーダー

Claims (3)

  1. ジカルボン酸(C)と、ジアミン(A)とを、その量比C/A(モル比)が0.975〜1.025となるよう調合してアミド化工程へ供給し、該アミド化工程で重縮合して生成した重合体を初期重合工程および後期重合工程にて高重合度化する連続製造プロセスにより、ジアミン成分の少なくとも70モル%がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドを製造する方法であって、かつ、原料調合工程、アミド化工程、初期重合工程および後期重合工程の各工程を個別の設備で行い、ジカルボン酸(C)とジアミン(A)との調合物における含水量が20重量%未満であり、前記アミド化工程は、ジカルボン酸(C)とジアミン(A)から重縮合反応によって、相対粘度(Rv)が1.2〜1.8である低重合度の重合体を生成する工程であり、初期重合工程は、溶融状態の重合体中の縮合水および/または溶媒水を留去することで、前記重合体の相対粘度(Rv1.4〜2.1に高める工程であり、後期重合工程は、末端アミノ基変性剤を添加して、最終的なポリアミドの末端カルボキシル基(CEG)と末端アミノ基(AEG)の量比CEG/AEG(モル比)を1.2以上に調整し、かつ初期重合工程の重合体の相対粘度を0.05〜1.8増加させる工程であることを特徴とするポリアミドの製造方法。
  2. 末端アミノ基変性剤が酸無水物である請求項1記載のポリアミドの製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法により製造されるポリアミドであってジアミン成分の少なくとも70モル%がm−キシリレンジアミンからなるポリアミドであって、20℃での相対粘度が1.8〜3.6、三級窒素含有量が0.65モル%以下、末端カルボキシル基(CEG)と末端アミノ基(AEG)の量比CEG/AEG(モル比)が1.2以上であることを特徴とするポリアミド。
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