JP4184649B2 - ブリスター包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋材と容器材の接着部を剥離させて開封する際に、剥離開始部において蓋材と容器材の端縁が密着しないようにして指で掴み易くし開封し易くしたブリスター包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スライスハム、スライスベーコン等の内容物を収納する、蓋材と柔軟な容器材からなり蓋材と容器材を周縁の熱接着部にて剥離可能に密封したブリスター包装体においては、容器材を真空成形して内容物収納部を形成して、その内部に内容物を収納した後に、蓋材を被せて周縁部を熱接着して密封する際に、剥離開始部となる角部を非熱接着部とした構成とされている。しかしながら、蓋材と柔軟な容器材からなるブリスター包装体は、深絞真空包装機で、容器材の加熱成形、内容物の充填、蓋材の供給、蓋材と容器材との熱接着及び真空工程、個々の包装体への断裁工程を経て製造され、個々の包装体への断裁工程において未接着部となる蓋材と容器材とが切断面で密着した状態となってしまうため、剥離開始部において蓋材と容器材が分離し難く端縁を掴むのが難しくなり、熱接着部を剥離して開封するのが困難になるという欠点があった。
【0003】
上記の欠点を改良するために、蓋材と容器材の端縁を指で掴んで剥離を開始する剥離開始部において、蓋材又は容器材のいずれかの対向する面に部分的に離型剤を印刷しておき、ブリスター包装体の周縁を熱接着して密封する際に、剥離開始部となる非熱接着部において、蓋材と容器材が密着し難くした構成のブリスター包装体が知られている。しかしながら、この構成のブリスター包装体においても、個々の包装体への断裁工程において、蓋材と容器材とが剥離開始部となる切断面において密着した状態となってしまい、剥離開始部において蓋材と容器材が密着せずに分離した状態とするのが困難であり、依然として開封性の問題が解消されていない状態である。また、剥離開始部における蓋材ないしは容器材の面に部分的に離型剤を印刷する工程がきわめて煩雑になるという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、剥離開始部において、蓋材と容器材が密着しないようにして蓋材と容器材の端縁を掴みやすくし開封しやすくし、且つ剥離開始部の位置を触覚により感知できるようにしたブリスター包装体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
複数個の点状突起がエンボスにより形成され、該点状突起以外の部分は平坦に形成されている蓋材と内容物収納部のみが形成されそれ以外の部分は平坦に形成されている容器材とを周縁の熱接着部にて剥離可能に接着されたブリスター包装体において、前記蓋材が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる外面層とガスバリアー性を有する中間層と内面層とからなり、蓋材の少なくとも周縁の一つの角部が非熱接着部として形成した剥離開始部とされ、蓋材の前記剥離開始部に対応する領域に前記複数個の点状突起が形成され、該点状突起が直径1.0〜2.0mm、高さ0.1〜0.8mmである内面側に突出する点状突起と外面側に突出する点状突起から構成されたブリスター包装体とすることにより、非熱接着部とされた剥離開始部において蓋材と容器材とが密着するのを防止することができるとともに、剥離開始部の位置を触覚により容易に感知することができるので、ブリスター包装体の開封が容易となる。
【0007】
また、点状突起が内面側に突出する点状突起と外面側に突出する点状突起からなる構成とすることにより、内面側に突出する点状突起は非熱接着部とされた剥離開始部において、蓋材と容器材間に点状突起の高さに相当する隙間を形成して蓋材と容器材とが密着するのを防止するとともに、蓋材と容器材を指で掴み易くなる。一方、外面側に突出する点状突起は剥離開始部の位置を触覚にてさらに容易に感知することができる。
【0008】
さらにまた、点状突起が直径1.0〜2.0mm、高さ0.1〜0.8mmである構成とすることにより、剥離開始部において蓋材と容器材間に点状突起の高さに相当する隙間を確実に形成できるとともに、剥離開始部の位置を触覚により感知することがなお一層容易となる。
【0009】
上記のブリスター包装体において、点状突起が円筒状突起と円筒状孔を有する金型を使用してエンボスすることにより形成された構成とすることにより、保形性の優れた高い円筒状の点状突起を確実に形成することができる。
【0010】
上記のブリスター包装体において、点状突起が、ブリスター包装機において、蓋材を容器材に接着する前の段階で蓋材をエンボスすることにより形成されたものである構成とすることにより、蓋材の製造に際しエンボス工程を省略して製造工程を簡略化することができるとともに、蓋材の製造工程において点状突起を形成すると点状突起が形成された箇所が盛り上がってロール状に巻き上げるのが困難になるという問題を解消できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施形態を示す平面図、図2は図1におけるI−I断面図、図3は図1におけるII−II拡大断面図、図4は第2実施形態を示す平面図、図5は図4におけるIII-III 断面図、図6は第1実施形態の蓋材に点状突起を形成するための金型を示す断面図、図7は第2実施形態の蓋材に点状突起を形成するための金型を示す断面図、図8は第1実施形態にて使用する点状突起が形成された蓋材フィルムを示す平面図であって、2は内容物収納部、3は熱接着部、4は剥離開始部、5,5'は点状突起、6は内容物、7,7', 8, 8'は金型、aは円筒状突起、bは円筒状孔、9は仕上りカット線、11は蓋材、11' は蓋材フィルム、12は容器材をそれぞれ表す。
【0012】
本発明の第1実施形態は図1〜図3に示すとおりである。平面形状は、図1に示すように、平坦な蓋材11と、中央部に熱成形により内容物収納部2が形成され周囲が平坦部とされた容器材12とが、周縁の熱接着部3にて剥離可能に接着されて密封された長方形状のブリスター包装体であり、1箇所の角部が熱接着部3が形成されない剥離開始部4とされ、蓋材11の剥離開始部4に対応する領域に内面側に突出する複数の点状突起5が形成されて、点状突起5が形成された剥離開始部4において蓋材11と容器材12が密着しない状態とされるとともに、剥離開始部4の切断面において蓋材11と容器材12が密着し難くしている。
【0013】
実施形態の断面形状は、図2に示すように、中央部に内容物収納部2が形成され周縁部が平坦な容器材12の内容物収納部2に内容物6を収納した状態で蓋材11を被せて周縁の熱接着部3にて剥離可能に接着されて密封された構成であり、蓋材11の剥離開始部4において点状突起5が形成された部分の断面形状は、図3に示すように、内面側に突出する複数の点状突起5が形成された蓋材11と容器材12が重なった状態であり、蓋材11と容器材12間に点状突起5の高さに相当する隙間が形成されて蓋材11と容器材12とが完全に分離した状態となっている。蓋材11に内面側に突出する複数の点状突起5が形成されているので、熱接着されない剥離開始部4において、容器材12に蓋材を熱接着する際の加熱により蓋材11と容器材12が密着するのを防止できるとともに、剥離開始部4の切断面において蓋材11と容器材12が密着し難くできるので、開封する際に剥離開始部4にて蓋材11と容器材12の端部を掴むのが容易となり開封しやすくなる。また、蓋材11に形成された点状突起5により滑り難くなり蓋材11の端縁が掴みやすくなる。
【0014】
本発明の第2実施形態は図4、図5に示すとおりである。平面形状は、図4に示すように、剥離開始部4において蓋材11に複数の内面側に突出する点状突起5と1つの外面側に突出する点状突起5'が形成されている構成であり、第1実施形態と比較して剥離開始部4において蓋材11に形成されている点状突起の形状が異なるものである。蓋材11の剥離開始部4において点状突起5及び点状突起5'が形成された部分の断面形状は、図5に示すように、内面側に突出する点状突起5及び外面側に突出する点状突起5'が形成された蓋材11と容器材12が重なった状態であり、蓋材11と容器材12間に点状突起5の高さに相当する隙間が形成されて蓋材11と容器材12とが完全に分離した状態となって蓋材11と容器材12が密着し難くされているとともに、外面側に突出する点状突起5'により触覚にて剥離開始部4の位置がどこであるかを感知できるものである。なお、剥離開始部4において蓋材11に形成する内面側に突出する点状突起5および外面側に突出する点状突起5'の数及び配置については任意である。
【0015】
第1、第2実施形態において、蓋材11に形成する点状突起5,5' は、直径が1.0〜2.0mm、高さが0.1〜0.8mmとされている。点状突起5,5' は1.0〜5.0mmの間隔で形成される。点状突起5,5' の直径が2.0mmより大きすぎると、形成された点状突起5,5' が潰れやすくなるので、蓋材11と容器材12間に点状突起5の高さに相当する隙間を確実に形成するのが困難となり、点状突起5,5' の直径が1.0mmより小さくなるとシヤープな形状を有する高い円筒状の点状突起を形成するのが困難となる。点状突起5,5' の高さを0.1〜0.8mmとすることにより、蓋材11と容器材12間に隙間が形成できるので蓋材11と容器材12が密着してしまうことがなく、剥離開始部4において蓋材11と容器材12が掴みやすくなり開封が容易となる。また、触覚により剥離開始部4の位置を感知するのが容易となる。
【0016】
第1実施形態の蓋材11の点状突起5を形成するには、図6に示すように、先端が丸い円筒状突起aを備えた金型7と円筒状孔bを有する金型8を使用して、金型7と金型8間に蓋材11を載置して加圧しエンボスを行うことにより、蓋材11に先端が丸い円筒状の点状突起5を形成することができる。また、第2実施形態の蓋材11に点状突起5及び点状突起5'を形成するには、図7に示すように、先端が丸い円筒状突起a及び円筒状孔bを備えた金型7'と円筒状孔b及び円筒状突起a備えた金型8'を使用して、金型7'と金型8'間に蓋材11を載置して加圧しエンボスを行うことにより、蓋材11に先端が丸い円筒状の点状突起5及び点状突起5'を形成することができる。金型7,7' と金型8,8' を使用したエンボスは常温で行うのが好ましく、そうすることによりエンボスの作業性をよくすることができる。先端が丸い円筒状突起aと円筒状孔bを有する金型を使用してエンボスを行うことにより形成された点状突起5,5' はシャープな円筒形状を有し且つ保形性が優れたものとなる。
【0017】
第1、第2実施形態における蓋材11の点状突起5,5' は、ブリスター包装機において、図6、図7に示すような、先端が丸い円筒状突起aと円筒状孔bを備えた金型を使用して、蓋材11をエンボスすることにより形成されるものである。ブリスター包装機において点状突起5が形成された第1実施形態の蓋材11となる蓋材フィルム11’の平面図は、例えば、図8に示すとおりであり、仕上りカット線9にて区画された巾方向に3列取りであって、仕上りカット線9に対応する一箇所の角部における蓋材フィルム11’に印刷された絵柄に見当を合わせて所定の領域に複数の点状突起5が形成される。上記の所定の領域に複数の点状突起5が形成された蓋材フィルム11’を、真空成形により内容物収納部が形成され内容物が充填された容器材12の上面に重ね合わせて内容物収納部の周縁に熱接着部を形成して密封した後に、仕上りカット線にてカットすることにより、第1実施形態のブリスター包装体が作製できる。
【0018】
ブリスター包装機において、蓋材フィルムにエンボスを施して点状突起を形成する製造方法を採用することにより、蓋材フィルムの製造時にエンボス工程を別に設ける必要がなく、点状突起を形成する工程を省略できるのでブリスター包装体の製造工程を簡略化することができコストダウンが可能になるとともに、蓋材フィルムの製造工程において点状突起を形成した場合に、点状突起が高いため点状突起が形成された箇所が盛り上がってしまい、うまく巻き上げることができないという問題を解消することができる。
【0019】
ブリスター包装体の蓋材11としては、寸法安定性の優れた外面層とガスバリヤー性の優れた中間層と易剥離性の内面層からなる積層体が使用される。外面層としては、耐熱性、寸法安定性の優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)等の延伸フィルムが使用される。外面層の内面に絵柄が印刷されるのであるが、ブリスター包装体の場合には絵柄のピッチ精度が要求されるため、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートが一般的に使用される。中間層としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、金属酸化物蒸着層を有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(VMPET)又は塩化ビニリデンコートセロファン(KM)等が使用される。内面層としては、ポリオレフィン樹脂と熱接着した際に易剥離性の熱接着部を形成することができる易剥離性フィルムが使用される。また、容器材の内面層が易剥離性を有する場合には、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー等が使用できる。
【0020】
蓋材11の構成としては、例えば、PET/印刷/ドライラミネーション(DL)EVA/EVOH/EVA(共押出フィルム)、塩化ビニリデンコート2軸延伸ポリプロピレン(KOP)/印刷/DL/PET/EVA、未延伸ポリプロピレン(CPP)/DL/VMPET/印刷/LLDPE、2軸延伸ポリプロピレン/DL/VMPET/印刷/EVA、CPP/DL/KM/印刷/EVA、OPP/DL/KM/印刷/EVA等である。
【0021】
ブリスター包装体の容器材12としては、外面層とガスバリヤー性の優れた中間層と熱接着性樹脂層からなる積層体が使用される。容器材12は優れた熱成形性、柔軟性が要求されるため、外面層としては、未延伸ナイロン(CN)、非晶質ポリエステル(A−PET)、未延伸ポリプロピレン(CPP)等が使用される。ガスバリヤー性の優れた中間層としては、一般的にエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)が使用される。熱接着性樹脂層としては、低密度ポリエステル(PE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が使用される。容器材12の構成としては、未延伸ナイロン(CN)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる共押出フィルムが一般的に使用される。CN/EVOH/EVAからなる共押出フィルムの厚さとしては80〜160μmである。上記の共押出フィルムは熱成形性、ガスバリヤー性に優れたフィルムである。上記の共押出フィルムのCN面に未延伸ポリプロピレン(CPP)又は非晶質ポリエステル(A−PET)を積層した構成の容器材も使用される。
【0022】
【発明の効果】
ブリスター包装体の剥離開始部において、蓋材に、円筒状突起を有する金型と円筒状孔を有する金型を使用したエンボスにより、直径が1.0〜2.0mm、高さが0.1〜0.8mmの内面側に突出する複数の点状突起を形成した構成、ないしは内面側に突出する点状突起と外面側に突出する点状突起を形成した構成とすることにより、剥離開始部において蓋材と容器材間に点状突起の高さに相当する隙間が形成されるので、蓋材と容器材とが密着するのを防止できるとともに、剥離開始部の切断面にて蓋材と容器材が接着しにくくなるので、剥離開始部において蓋材と容器材の端縁が掴みやすくなり、熱接着部を剥離させてブリスター包装体を開封するのが容易となる。また、外面側に突出する点状突起により剥離開始部の位置を触覚にて容易に感知することができる。
【0023】
また、点状突起を、ブリスター包装機において蓋材を容器材に接着する前の段階で蓋材をエンボスすることにより形成された構成とすることにより、蓋材の製造に際しエンボス工程を省略して製造工程を簡略化することができるとともに、蓋材の製造工程において、蓋材の点状突起が形成された箇所が盛り上ってしまいロール状に巻き上げるのが困難になるという問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す平面図。
【図2】図1におけるI−I断面図。
【図3】図1におけるII−II拡大断面図。
【図4】第2実施形態を示す平面図。
【図5】図4におけるIII-III 断面図。
【図6】第1実施形態の蓋材に点状突起を形成するための金型を示す断面図。
【図7】第2実施形態の蓋材に点状突起を形成するための金型を示す断面図。
【図8】第1実施形態で使用する点状突起が形成された蓋材フィルムを示す平面図。
【符号の説明】
2 内容物収納部
3 熱接着部
4 剥離開始部
5,5' 点状突起
6 内容物
7,7', 8, 8' 金型
a 円筒状突起
b 円筒状孔
9 仕上りカット線
11 蓋材
11' 蓋材フィルム
12 容器材
Claims (3)
- 複数個の点状突起がエンボスにより形成され、該点状突起以外の部分は平坦に形成されている蓋材と内容物収納部のみが形成されそれ以外の部分は平坦に形成されている容器材とを周縁の熱接着部にて剥離可能に接着されたブリスター包装体において、前記蓋材が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる外面層とガスバリアー性を有する中間層と内面層とからなり、蓋材の少なくとも周縁の一つの角部が非熱接着部として形成した剥離開始部とされ、蓋材の前記剥離開始部に対応する領域に前記複数個の点状突起が形成され、該点状突起が直径1.0〜2.0mm、高さ0.1〜0.8mmである内面側に突出する点状突起と外面側に突出する点状突起から構成されたことを特徴とするブリスター包装体。
- 前記点状突起が、円筒状突起と円筒状孔を有する金型を使用してエンボスすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のブリスター包装体。
- 前記点状突起が、ブリスター包装機において蓋材が容器材に接着される前の段階で、蓋材にエンボスを行うことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のブリスター包装体。
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