JP4173623B2 - 樹脂積層体の製造方法およびその製造方法によって製造されるカラーフィルタ - Google Patents

樹脂積層体の製造方法およびその製造方法によって製造されるカラーフィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂積層体の製造方法に関し、特に、液晶表示装置用に用いられるカラーフィルタ、スペーサー、配向制御用構造体の製造方法およびその製造方法によって製造されるカラーフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶用表示装置に用いられる樹脂積層体としては、カラーフィルタ、スーペサー、配向制御用構造体等がある。一般に、カラー画像を表示する液晶表示装置は液晶表示装置に備えられた2枚の透明基板の一方の面にカラーフィルタを設けた構成からなる。カラーフィルタは、透明基板の上に、微小の間隙を介して縦横両方向に整然と展開配列された多数の着色画素からなる層が設けられた構成を有するものである。多数の着色画素は通常、それぞれ、R(レッド)、G(グリーン)、そしてB(ブルー)の三色のうちいずれかに着色されていて、RGBの各着色画素が一定のパターンに組み合わさって着色画素を構成している。
【0003】
これらカラーフィルタ等樹脂積層体の製造方法としては、各種の方法が知られているが、近年、感光性樹脂シート(感光性樹脂材料)を用いた転写法が、精度の高いカラーフィルタ等を簡便に製造することができるなどの理由で注目を浴びている。例えば、カラーフィルタの製造方法において、この感光性樹脂シートを用いる転写法では、まず、所定の色の着色材料(顔料または染料)と感光性樹脂とからなる感光性着色樹脂層(感光性樹脂層)を可撓性の支持体シートの上に設けた感光性樹脂シートを所定の枚数(通常は、R、G、Bの三枚)製造する。つぎに、この感光性樹脂シートの1枚を、その感光性着色樹脂層を下に向け、加熱ロールを用いて加熱しながら透明な基板(ガラス板など)の上に貼り合わせたのち、支持体シートを剥がして透明基板上に感光性着色層を転写する。
【0004】
次いで、その状態で、感光性着色樹脂層の表面に、画素パターン部分が開口されたシートからなるフォトマスクを介して光を照射して感光性着色樹脂層をパターン上に露光し、そののち現像して、透明基板上に1色の着色画素パターンを形成する。さらに、着色画素パターンが形成された基板表面に、別の色の感光性着色樹脂層を有する感光性シートを用いて、同様にして転写、露光および現像を順次おこなうことによって、多色の着色画素パターンを形成することができる。なお、RGBなどの多色の着色画素間の色分離を向上させるために、最近では各画素間に間隙を設け、感光性黒色樹脂を埋め込むこと(いわゆる、ブラックマトリックスの形成)が一般的におこなわれている。
【0005】
カラーフィルタ等の需要は近年にいたってますます高くなり、それに伴ってカラーフィルタ等の性能の向上及び低価格化が要求されている。したがって、高精度のカラーフィルタ等を低コストで製造する必要性が高まっている。低コストのカラーフィルタ等樹脂積層体の製造方法の開発のための一つの手段としては、製造に要する時間の短縮にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の転写法を利用するカラーフィルタ等樹脂積層体の製造方法は、高精度のカラーフィルタ等の製造には有利であるが、本発明者の研究によると、感光性着色シート(感光性樹脂材料)を透明基板上に貼り合わせる(ラミネートする)際に空気の残留により気泡を巻き込みやすいという傾向があることが判明した。
特に最近では、液晶表示装置の高精細化に伴って一定の面積に形成すべき画素の数が増加しているため、画素間の間隙がより狭くなり、生産性を上げるために転写速度を速くすると、一層気泡が発生しやすい状況にある。この気泡の発生した領域では当然、所定の画素が形成されないので、画素欠陥部分(いわゆる白抜け)等が生じてしまい、カラーフィルタの精度の低下をもたらす。
また、スペーサーの製造においても、気泡の発生した領域ではスペーサーが欠けてしまう。
さらに、配向制御用構造体の製造においても気泡の発生した領域では欠けが生じてしまう。
【0007】
このように、ラミネートの際に気泡が発生する原因としては、感光性樹脂材料の生産時からの経時日数、ロットの変動、品種差等が考えられるが、いまだその原因は解明されていない。
【0008】
本発明者は、上記のラミネートの際の気泡の発生について研究を重ねた結果、ラミネート条件の最適化を図ることに着目した。このため、本発明者は更に研究を続け、ラミネートの際に気泡が混入しにくい、基板温度、感光性樹脂材料のバックテンション、ラミネーションローラの圧力、およびラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角があることを見出した。
【0009】
従って、本発明は、ラミネートの際の気泡の発生を抑制し、高精度のカラーフィルタ等樹脂積層体を高速でラミネートすることができる樹脂積層体の製造方法およびその製造方法により製造されるカラーフィルターを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に、少なくとも感光性樹脂層と保護フィルムとをこの順に有する感光性樹脂材料から、前記保護フィルムを剥離し、前記感光性樹脂層をラミネーションローラーでラミネートして基板に転写する樹脂積層体の製造方法において、(a)前記基板の表面温度が110℃〜130℃、(b)前記感光性樹脂材料のバックテンションが20N以上、(c)前記ラミネーションローラの圧力が1MPa以上、(d)前記ラミネーションローラと前記感光性樹脂材料とのラップ角が10°以上、(e)前記ラミネーションローラの表面温度が100℃〜140℃、の条件で、前記感光性樹脂材料を前記基板にラミネートすることを特徴とする樹脂積層体の製造方法にある。
【0011】
以下に、本発明の樹脂積層体の製造方法の好ましい態様を示す。
)基板を、オーブン、ホットプレート、または赤外線若しくは遠赤外線照射装置を用いて加熱する樹脂積層体の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
《樹脂積層体》
本発明の樹脂積層体は、支持体上に少なくとも感光性樹脂層と保護フィルムとを有する感光性樹脂材料を、基板にラミネートし、その感光性樹脂層を基板に転写し、露光、現像等を施して製造される、少なくとも樹脂層を有する積層体である。本発明によって製造される樹脂積層体としては、液晶表示装置用のカラーフィルタ、スペーサー、および配向制御用構造体等が挙げられる。以下、カラーフィルタを例に本発明について説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
[感光性樹脂材料]
つぎに、本発明の樹脂積層体の製造方法に用いる感光性樹脂材料について説明する。上記感光性樹脂材料は、支持体上に少なくとも、感光性樹脂層と、保護フィルムとをこの順に有する。また、上記感光性樹脂材料は、フィルム状の感光性樹脂材料が好ましいが、これに限定されることはない。上記感光性樹脂材料としては、カラーフィルタの製造に用いる画像形成用の感光性樹脂着色シート、およびブラックマトリックス形成用の感光性黒色シート等が挙げられる。
【0016】
(支持体)
上記感光性樹脂材料の支持体としては、可撓性であって、感光性樹脂層等と良好な剥性を有し、化学的および熱的に安定である物質で構成されることが好ましい。具体的には、テフロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムもしくはこれらの積層物が好ましい。感光性樹脂層等からの良好な剥離性を有するためには、グロー放電等の表面処理はせず、またゼラチン等の下塗層も設けないのが一般的である。支持体の厚みは5〜300μmが適当であり、特に20〜150μmが好ましい。
【0017】
(感光性樹脂層)
上記感光性樹脂層は、感光性樹脂と着色剤とからなる層であり、150℃以上の温度で軟化もしくは粘着性を示すことが好ましく、また熱可塑性であることが好ましい。上記感光性樹脂層の厚みは、0.5〜3μmが好ましく、通常は約2μmである。公知の光重合性組成物からなる層の大部分はこの性質を有する。これらの層は、熱可塑性樹脂の添加、または相溶性のある可塑剤の添加によってさらに改質が可能である。
【0018】
上記感光性樹脂としては、例えば特開平3−282404号公報に記載のものを全て使用することができる。その例として、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーからなる感光性樹脂組成物、光重合成組成物、アジド化合物とバインダーからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物を挙げることができる。
【0019】
上記感光性樹脂層はたとえば、アルカリ可溶性バインダーポリマー、光の照射によって付加重合するエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー、光重合開始剤、そして着色剤を含有する組成物からなる層である。
【0020】
アルカリ可溶性バインダーポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができる。この他に水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。特に、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。本発明において、アルカリ可溶性バインダーポリマーを用いる場合は、上記の中から、50〜300mgKOH/gの範囲の酸価と1000〜300000の範囲の質量平均分子量を有するものを選択して使用することが好ましい。
【0021】
以上の構成成分の他に、種々の性能、例えば硬化膜の強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、アルカリ不溶性のポリマーを添加することができる。そのようなポリマーとしてはアルコール可溶性ナイロンあるいはエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0022】
感光性樹脂組成物の全固形分に対するバインダーの含有量は、10〜95質量%で、さらに20〜90質量%が好ましい。10質量%未満では感光性樹脂層の粘着性が高すぎ、95質量%を超えると形成される画像の強度及び光感度の点で劣る。
【0023】
上記光の照射によって付加重合するエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し沸点が常圧で100以上の化合物を挙げることができる。ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドにプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。さらに特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0024】
光の照射によって付加重合するエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーは単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的で、10〜40質量%が好ましい。5質量%未満では光感度や画像の強度が低下し、50質量%を超えると感光性樹脂層の粘着性が過剰になり好ましくない。
【0025】
上記光重合開始剤としては、米国特許第2367660号明細書に記載されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的で、1〜15質量%が好ましい。0.5質量%未満では光感度や画像の強度が低く、また20質量%を超えて添加しても性能向上への効果が認められない。
【0026】
上記着色材料(着色剤)としては、カラーフィルタを構成する色である赤色、緑色、青色および黒色の顔料が、一般に使用される。その好ましい例としては、カーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、カーボンブラックを挙げることができる。感光性樹脂層中の着色剤の含有量は、1〜30質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましい。
【0027】
感光性樹脂層は、上記成分の他に、更に熱重合防止剤を含むことが好ましい。熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジンが挙げられる。さらに公知の添加剤、例えば可塑剤、界面活性剤、溶剤を添加することができる。
【0028】
(保護フィルム)
上記保護フィルムは、上記支持体と同様に、可撓性であって、感光性樹脂層と良好な剥離性を有し、化学的および熱的に安定である物質で構成されることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン、テフロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン等のフィルムもしくはこれらの積層物が好ましい。保護フィルムの厚みは0.1〜20μmが適当であり、特に5〜15μmが好ましい。
【0029】
(その他)
上記感光性樹脂材料には、熱可塑性樹脂層および酸素遮断層を設けることができる。
上記熱可塑性樹脂層は、転写時の気泡混入を防止するために設けられる。上記熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、実質的な軟化点が80℃以下であることが好ましい。軟化点が80℃以下のアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物などから少なくとも1つ選ばれるのが好ましい。また、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子のうち、アルカリ水溶液に可溶なものを使用することができる。
【0030】
さらに、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、その有機高分子物質中に該高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることが可能である。これらの有機高分子物質中には、支持体との接着力を調節するために、実質的な軟化点が80℃を超えない範囲で各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを加えることが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートを挙げることができる。熱可塑性樹脂層の厚みは6μm以上が好ましい。熱可塑性樹脂層の厚みが5μm以下であると1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが困難となる。また上限については、現像性、製造適性の点から約100μm以下が一般的であり、約50μm以下が好ましい。
【0031】
また、上記酸素遮断層は、像様にパターン露光する際感光性樹脂層中での光硬化反応を阻害する空気中からの酸素の拡散を防止するためと、それぞれR、G、Bに対応する層を3層を積層する場合などに熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層とが混じり合わないようにするために設けられる。
【0032】
上記酸素遮断層としては、水またはアルカリ水溶液に分散または溶解し、低い酸素透過性を示すものであればよく、公知のものが使用できる。例えば、特開昭46−2121号公報や特公昭56−40824号公報に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の塩、水塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、及びマレイネート樹脂、更にこれらの2種以上の組合せを挙げることができる。特に、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せが好ましい。ポリビニルアルコールは鹸化度が80%以上であるものが好ましく、ポリビニルピロリドンの含有率は酸素遮断層固形物の1〜75質量%が一般的であり、1〜60質量%が好ましく、特に10〜50質量%が好ましい。1質量%未満では感光性着色樹脂層との充分な接着性が得られず、75質量%を越えると酸素遮断能が低下する。酸素遮断層の厚みは非常に薄く、約0.1〜5μm、特に0.5〜2μmが好ましい。約0.1μm未満では酸素の透過性が高すぎ、約5μmを越えると現像時または酸素遮断層除去時に時間がかかりすぎてしまう。
【0033】
感光性樹脂材料は、支持体上に上記の感光性樹脂組成物と、着色材料の溶液もしくは分散液を塗布した後乾燥し、乾燥後に保護フィルムをラミネート等して形成することができる。熱可塑性樹脂層や酸素遮断層を設ける場合には、まず熱可塑性樹脂層用塗布液を支持体上に塗布、乾燥して熱可塑性樹脂層を形成し、次にこの熱可塑性樹脂を溶解しない溶剤を用いて酸素遮断層用塗布液を調整し、塗布乾燥して酸素遮断層を形成する。次いで、この酸素遮断層を溶解しない溶剤を用いて感光性樹脂層用塗布液を調整し、塗布乾燥して感光性樹脂層を形成する。さらに、この感光性樹脂層の表面に保護フィルムを設ける。
【0034】
[基板]
本発明の樹脂積層体の製造方法に用いる基板としては、化学的および熱的に安定な物質で構成される透明な基板が好ましく、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、あるいは、プラスチックフィルムを用いることができる。
【0035】
《樹脂積層体の製造方法》
つぎに、本発明の樹脂積層体の製造方法について詳細に説明する。樹脂積層体の製造方法は基本的に、感光性樹脂材料の感光性樹脂層を基板上に転写する転写工程、基板上に転写された感光性樹脂層をパターン状に露光する露光工程、およびパターン露光された感光性樹脂層を現像して着色画素層を形成する現像工程を含む。
【0036】
本発明において、樹脂積層体の製造方法は、転写工程において、上記感光性樹脂材料から保護フィルムを除去した後に、(a)上記基板の表面温度を110℃〜130℃、(b)上記感光性樹脂材料のバックテンションを20N以上、(c)上記ラミネーションローラの圧力を1MPa以上、(d)上記ラミネーションローラと上記感光性樹脂材料とのラップ角を10℃以上、(e)前記ラミネーションローラの表面温度が100℃〜140℃、の条件で上記感光性樹脂材料を上記基板にラミネートすることを特徴とする。
【0037】
[ラミネート条件]
まず、本発明の樹脂積層体の製造方法におけるラミネートの条件について説明する。本発明の樹脂積層体の製造方法におけるラミネート条件とは、ラミネーションローラが上記感光性樹脂材料を基板に押圧して貼着するとき(以下、「ラミネート時」という場合がある。)の条件である。上記基板の表面温度、上記感光性樹脂材料のバックテンション、上記ラミネーションローラの圧力、および上記ラミネーションローラと上記感光性樹脂材料とのラップ角のそれぞれを上述の条件で最適化することで、ラミネートの際に安定して気泡の混入を防止することができ、高速条件でのラミネートが可能となる。これにより、カラーフィルタ等樹脂積層体の生産性を向上させことができる。また、安定して気泡の混入を防止できるので高精度なカラーフィルタ等を製造することができる。さらに、経時変化によってラミネートの際に気泡が混入しやすくなった感光性樹脂材料であっても、気泡の混入を抑制し、高速でラミネートすることができる。
以下各条件ついて説明する。
【0038】
(基板の表面温度)
基板の表面温度を好ましい温度範囲に設定することでラミネート時の気泡混入を抑制することができる。その理由としては、次のことが考えられる。ラミネートの際に感光性樹脂層に与えられる熱が不足すると、該感光性樹脂層は十分に軟化または接着性を発揮できず気泡混入の原因となる。感光性樹脂層は基板上に直接貼着されるため、上記基板の表面温度は感光性樹脂層上の温度に対しても影響をもたらす。よって、上記基板上の表面温度を上記感光性樹脂層が軟化または接着性を示すのに必要な温度に近づけることで感光性樹脂層の熱不足による気泡混入を抑制することができると考えられる。
【0039】
上記基板の表面温度条件は100℃〜140℃の温度範囲内である。さらに、上記基板の表面温度は、110℃〜130℃の温度範囲内であることが好ましい。上記基板の表面温度が100℃未満では、上記感光性樹脂層の熱不足の原因となりうる。また、基板の表面温度が140℃を超えると、上記感光性樹脂層が熱重合等起こす可能性があり、基板の反り、寸度変化にも悪影響を及ぼす可能性がある。また、より大きな熱エネルギーを必要とするため好ましくない。
【0040】
上記基板の表面を加熱する手段としては、ラミネータ装置に基板加熱装置を付設するのが好ましい。上記基板加熱装置としては、オーブン、ホットプレート、または赤外線ランプ、赤外線ヒータ等の赤外線または遠赤外線照射装置、加熱ロール、または搬送手段と加熱手段とを有する装置を用いて加熱してもよい。なお、基板を加熱装置等で加熱した場合、ラミネーションローラの表面温度は100℃〜140℃の温度範囲内であることが好ましい。より好ましくは、110℃〜130℃である。該ラミネーションローラの表面温度が100℃未満では、基板の温度低下の原因になると考えられる。また、該ラミネーションローラの表面温度が140℃を超えると、ラミネートによるしわ、発泡、エッジのしみ出しが発生する。
【0041】
(感光性樹脂材料のバックテンション)
上記感光性樹脂材料のバックテンションを好ましい範囲に設定することでラミネート時の気泡混入を抑制することができる。その理由としては、ラミネーション時に感光性樹脂材料のバックテンションが不足すると、気泡を押し出しにくくなり、ラミネート時の気泡混入の原因になると考えられるためである。
ここで、「感光性樹脂材料のバックテンション」とは、ラミネート時に感光性樹脂材料にかかる、該感光性樹脂材料の搬送方向と逆向きの張力をいう。
【0042】
本発明の上記感光樹脂材材料のバックテンションの条件は10N(1kgf)以上である。さらに、20N以上が好ましい。上記感光性樹脂材料のバックテンションが10N未満では、十分に気泡混入を抑制することができない。また、上記感光性樹脂材料のバックテンションとしては200N以下が好ましい。該バックテンションが200Nを超えると上記感光性樹脂材料が変形等する可能性があるためである。
【0043】
上記感光性樹脂材料のバックテンションを調整する手段としては、ラミネート装置に張力調整用のドラムを設けるのが好ましい。該張力調整用のドラムとしては内部に減圧空間を形成し表面にその減圧を外部に伝えることができるものが好ましい。また、上記バックテンションを調整するために張力調整装置をラミネート装置に設けてもよい。該張力調整用装置としては減圧装置と該減圧装置連結した回転可能なドラムから構成されるものが好ましい。さらに、ラミネート装置に棒状センサ、またはローラ状センサ等からなる張力検知装置をもうけてもよい。該張力検知装置をラミネート装置に設けることで感光性樹脂材料の張力の変動を素早く調整することができる。
【0044】
(ラミネーションローラの圧力)
上記ラミネーションローラの圧力を好ましい範囲に設定することでラミネート時の気泡混入を抑制することができる。その理由としては、ラミネーション時にラミネーションローラの圧力が不足すると、上記感光性樹脂材料に十分な圧力が伝わらないためラミネート時の気泡混入の原因になると考えられるためである。ここで、「ラミネーションローラの圧力」とは、ラミネート時にラミネーションローラが上記感光性樹脂材料または基板を押圧する際の圧力である。
【0045】
本発明の上記ラミネーションローラの圧力の条件は1MPa以上である。さらに、5MPa以上が好ましい。上記ラミネーションローラの圧力が1MPa未満では、ラミネーションローラからの圧力が十分でなく気泡混入を抑制することができない。また、上記ラミネーションローラの圧力としては20MPa以下が好ましい。該ラミネーションローラの圧力が20MPaを超えると上記感光性樹脂材料および基板を押圧する力が大きすぎて上記感光性樹脂材料等が変形し、または感光性樹脂層のしみ出しを起こす可能性があるためである。
上記ラミネーションローラの圧力を調整する手段としては、ラミネート装置に圧力調整装置を設けるのが好ましい。該圧力調整装置をラミネート装置に設けることで感光性樹脂材料の圧力の変動を素早く調整することができる。
【0046】
(ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角)
上記ラミネーションローラと上記感光性樹脂材料とのラップ角を好ましい範囲に設定することでラミネート時の気泡混入を抑制することができる。その理由としては、上記ラミネーションローラと上記感光性樹脂材料とのラップ角を好ましい範囲に設定すると気泡が抜けやすくなるためと考えられる。さらに、該ラミネーションローラと該感光性樹脂材料との接触領域が大きくなるため上記感光性樹脂層に十分な熱を与えることができるためと考えられる。
【0047】
「ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角」を、図1を用いて説明する。図1は、ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角を示す説明図である。図1において、感光性樹脂材料1は、ラミネーションローラ2aおよび2bによって基板3にラミネートされる。ここで「ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角」とは、ラミネーションローラ2aが感光性樹脂材料1を基板3に押圧して貼着する部位であるラミネーションポイントAと、感光性樹脂材料1とラミネーションローラ2aとの接触開始点Bとをそれぞれラミネーションローラの中心Oと結んだ直線AOおよび直線BOによって挟まれる角θをいう。
【0048】
本発明の上記ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角は10°以上が条件となる。好ましくは90°以上である。上記ラップ角が10°未満では、感光性樹脂層と基板との貼着面から気泡が抜けにくい。また、上記ラップ角は、120°以下が好ましい。該ラップ角が120°を超えるとラミネート装置の構造上好ましくないためである。
【0049】
[樹脂積層体の製造工程]
つぎに、本発明の樹脂積層体の製造方法のうち転写工程、露光工程、および現像工程について説明する。ただし、本発明はこれらに工程に限定されるものではなない。
【0050】
(転写工程)
本発明の転写工程は、感光性樹脂材料の感光性樹脂層を基板側に向けて、該基板の表面にラミネーションローラを用いて加圧加温下で貼り合わせる。貼り合わせには、従来公知のラミネート装置や、真空ラミネート装置を使用することができる。また、より生産性を高めるためにオートカットラミネータ装置を使用することも可能である。貼り合わせ後、得られた積層体から支持体を剥離する。
【0051】
図2は、本発明に用いるラミネート装置の要部の一例を示す説明図である。図2においてラミネート装置は、上記感光性樹脂材料1から保護フィルムを除去する保護フィルム除去部10と、感光性樹脂材料1のバックテンションを調整する張力調整部20と、感光性樹脂材料1を基板3に圧着する感光性樹脂層圧着部30と、基板を加熱する基板加熱部40とから構成されている。
【0052】
保護フィルム除去部10には、感光性樹脂材料ロール4から巻き出されたシート状の感光性樹脂材料1の保護フィルムを剥ぎ取る保護フィルム除去装置11が配置されている。
【0053】
次いで、保護フィルム除去部10によって保護フィルムが除去された感光性樹脂材料1は、張力調整用ドラム21および張力検知装置22を有する張力調整部20を経て感光性樹脂層圧着部30に搬送される。
一方、基板3は加熱ヒータ41を有する基板加熱部40によってその表面をラミネート時に上述の温度範囲内になるよう加熱され、その後、基板押し出し機構42によって感光性樹脂層圧着部30に送られる。
感光性樹脂層圧着部30には、基板加熱部40から送られてくる基板3に感光性樹脂材料1を積層させる1対のラミネーションローラ2a及び2bを含む積層装置と、ラミネーションローラの圧力および表面温度を制御するラミネーションローラ制御装置31が配置されている。感光性樹脂材料1は、10°以上のラップ角でラミネートローラ2に搬送される。ついで、ラミネーションローラ制御装置31によってその圧力および表面温度が調整されたラミネーションローラ2によって感光性樹脂材料1は基板3上に押下および貼着(ラミネート)され、その後に支持体が剥離される。該ラミネートの際、感光性樹脂材料1のバックテンションは、張力調整部20によって上述の範囲に調整される。
【0054】
なお、図2のラミネート装置には、更に後に積層する基板の長さを基準にして予め決められた位置で幅方向に、感光性樹脂層および保護フィルムを長さ方向に沿って順次切れ目を入れる切断装置5が備えられている。
【0055】
(露光工程)
次いで、露光工程において、基板上の感光性樹脂層に所定のフォトマスク、並びに熱可塑性樹脂層、酸素遮断層を介して光を照射する。これにより、感光性樹脂層の露光部分が硬化する。露光工程に使用する光源は、感光性樹脂層の感光性に応じて選択されるが、例えば超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザ等の公知の光源を使用することができる。特開平6−59119号公報に記載のように、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
【0056】
なお、二色目以降の感光性シートの転写時において隣接する画素間の間隙に空気が残留するのを防止する目的で、フォトマスクとして画素パターン部分の矩形の開口部が面取りされたものを用いてもよい。面取りの位置および形状については、本出願人による特願平9−044644号明細書に記載されている。
熱可塑性樹脂層は、上記の支持体を剥離する際に一緒に剥がしてもよいし、あるいは露光後に剥がすこともできる。
【0057】
(現像工程)
続いて、現像工程において、透明基板上の感光性樹脂層を現像処理する。これにより、熱可塑性樹脂層と酸素遮断層、及び感光性樹脂層の非露光部分(未硬化部分)が除去されて、多数の微小の着色画素からなる層を形成することができる。感光性樹脂層の現像液としてはアルカリ性物質の希薄水溶液を使用するが、更に水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いてもよい。適当なアルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)および燐酸三ナトリウムを挙げることができる。アルカリ性物質の濃度は0.01〜30質量%であり、pHは8〜14が好ましい。
【0058】
遮光性の感光性黒色樹脂層以外の通常の感光性樹脂層の場合には、例えばpHの比較的低い現像液を用いることにより、膜状脱離による現像を好適におこなうことができる。
【0059】
水と混和性のある適当な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリドンを挙げることができる。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が一般的である。現像液には、さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
【0060】
現像液は、浴液としても、あるいは噴霧液としても用いることができる。感光性樹脂層の未硬化部分を固形状(好ましくは膜状)で除去するには、現像液中で回転ブラシで擦るか湿潤スポンジで擦るなどの方法、あるいは現像液を噴霧した際の噴霧圧を利用する方法が好ましい。現像液の温度は、通常室温付近から40℃の範囲が好ましい。現像処理の後に水洗工程を加えてもよい。
【0061】
さらに、現像工程の後、着色画素層の硬化を充分にし、耐薬品性を高めるために加熱処理をおこなうのが好ましい。加熱処理は、着色画素層を有する基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱するか、あるいは着色画素層に赤外線ランプを照射して加熱することによりおこなう。加熱の温度及び時間は、感光性樹脂の組成や着色画素層の厚みにも依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性を獲得するには約120℃〜250℃の温度および約10〜300分間である。
【0062】
このようにして一色の着色画素層(着色画素パターン)を有するカラーフィルタが得られる。さらに、他色の感光性シートを用いて上述の工程を必要な色数だけ繰り返すことにより、多色のカラーフィルタを得ることができる。なお、カラーフィルタは一色のみ(全て同じ色)であってもよいし、あるいは二色以上から構成されていてもよい。また、たとえば赤、緑、青の三色の画素を配置する場合に、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、四画素配置型などどのような配置であってもよい。
【0063】
さらに、感光性黒色樹脂層を有する感光性黒色樹脂材料(ブラックマトリックス形成用シート)を用いて、上述と同様にしてこの感光性樹脂材料を加熱処理した後、カラーフィルタの着色画素層表面に転写し、次いでカラーフィルタを基板の下面(画素層を有しない面)側より露光(背面露光)し、現像し、加熱処理することにより、画素間の隙間を埋めるように黒色樹脂層を設けて、ブラックマトリックス(遮光性画像)を形成してもよい。これにより、ブラックマトリックス付きカラーフィルタが得られる。
【0064】
背面露光は、一般に紫外線(UV)の照射によりおこなわれるが、感光性黒色樹脂層の感光性に応じて光の種類は適宜選択される。また、形成される黒色樹脂層の厚みは0.5〜3μmが好ましい。遮光性画像部が突起を形成しないで、得られるカラーフィルタが良好な平坦性を示すためには、黒色樹脂層は、着色画素層と同じ厚みか、もしくはそれ以下であることが望ましい。
【0065】
【実施例】
以下本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
[実施例1]
(1)感光性樹脂材料の作製
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの支持体上に、下記組成Aからなる塗布液を塗布し、その後乾燥して、乾燥膜厚が20μmの熱可塑性樹脂層を設けた。
【0067】
<熱可塑性樹脂層形成用塗布液の組成A>
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量=80000) 4.5質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=7/3、質量平均分子量=8000)
・BPE−500(新中村化学(株)製の多官能アクリレート)7.0質量部
・F177P(大日本インキ(株)製のフッ素系界面活性剤)0.26質量部
・メタノール 30.6質量部
・メチルエチルケトン 18.6質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 9.3質量部
【0068】
つぎに、熱可塑性樹脂層上に下記組成Bからなる塗布液を塗布し、その後乾燥して、乾燥膜厚が1.6μmの酸素遮断層を設けた。
【0069】
<酸素遮断層形成用塗布液の組成B>
・ポリビニルアルコール
(クラレ(株)製のPVA205、鹸化度:80%) 13質量部
・ポリビニルピロリドン
(GAFコーポレーション社製のPVP、K−30) 6質量部
・メタノール 173質量部
・蒸留水 211.4質量部
【0070】
上記熱可塑性樹脂層及び酸素遮断層を有する支持体を二枚用意し、それぞれの酸素遮断層上に、下記表1に示した組成からなる赤色(R)及び緑色(G)の各層形成用の塗布液を塗布し、その後乾燥して、乾燥膜厚が2μmの感光性樹脂層を形成した。
【0071】
さらにこの感光性樹脂層の上に、ポリプロピレンの保護フィルム(厚さ12μm、樹脂組成物のガラス転移点:80℃)を圧着し、赤色(R)および緑色(G)画素形成用の2種の感光性着色樹脂材料を作製した。
【0072】
【表1】
Figure 0004173623
【0073】
(2)カラーフィルタの製造
上記得られた2種の感光性樹脂材料について、作製後半日経過後に、ラミネート装置を用いてカラーフィルタの仕掛品を製造した。
【0074】
まず、赤色(R)画素形成用感光性樹脂材料から保護フィルムを剥離し、加熱ヒータによってその表面が加熱された透明ガラス基板(厚さ1.1mm、300mm×400mm、商品名:#7059、コーニング社製)の上に、その感光性赤色樹脂層が基板に面するようにラミネーター(オートカットラミネータASL−24、ソマール(株)製)を用いて、ラミネート時の基板の表面温度、感光性樹脂材料のバックテンション、ラミネーションローラの圧力、およびラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角を以下の条件に設定し、2.0m/分の転写速度で貼り合わせた。ラミネーションローラの表面温度は130℃であった。続いて、支持体と熱可塑性樹脂層との境界面で剥離し、支持体を除去した。ラミネート時の各条件を以下に示す。
【0075】
<ラミネート時の各条件>
・透明基板の表面温度 130℃
・画素形成用感光性樹脂材料のバックテンション 60N
・ラミネーションローラの圧力 2MPa
・感光性樹脂材料とラミネーションローラとのラップ角 90°
【0076】
その後、透明ガラス基板上の感光性赤色樹脂層に、所定のフォトマスクを介して下記表2に示した条件で露光、現像をおこなった後、コンベクションオーブンを用いて下記表2に示した条件で加熱処理し、ガラス基板上にR画素パターンを形成した。
【0077】
つぎに、緑色(G)画素形成用感光性樹脂材料を、上述と同様に、保護フィルムを除去した後に、上記R画素パターンが形成された透明ガラス基板上に、この感光性樹脂材料を、その感光性緑色樹脂層が基板に面するようにラミネーターを用いて上記と同様の条件で貼り合わせ、続いて支持体と熱可塑性樹脂層との境界面で剥離し、支持体を除去した。次いで、透明ガラス基板上の感光性緑色樹脂層に、所定のフォトマスクを介して下記表2に示す条件で露光、現像をおこなった後、コンベクションオーブンを用いて下記表2に示す条件で加熱処理して、R画素パターン付きガラス基板上にG画素パターンを形成した。このようにして、R画素とG画素からなる層を有するカラーフィルタの仕掛品を得た。
【0078】
【表2】
Figure 0004173623
【0079】
(i)現像1は、熱可塑性樹脂層及び酸素遮断層を溶解除去する工程に当たり、ここでは、現像液としてトランサー処理液T−PD−1(富士写真フイルム(株)製)の10倍希釈液を用いて33℃でシャワー現像をおこなった。
(ii)現像2は、感光性樹脂層の現像工程に当たり、ここでは、現像液としてトランサー処理液T−CD−1(富士写真フイルム(株)製)の5倍希釈液を用いて33℃でシャワー現像をおこなった。
(iii)ブラシ擦りは、非画素部の現像時の残渣を除去するために、アクリル製ロールブラシで基板上を擦る工程に当たり、ここでは、現像液としてトランサー処理液T−SD−1(富士写真フイルム(株)製)の10倍希釈液を用いて33℃でシャワーしながらおこなった。
(iv)現像後、超純水を用いて60秒間洗浄し、エアーナイフで水切りをおこなった。
【0080】
[実施例2]
実施例1において、製作後半日経過の上記画素形成用感光性樹脂材料を、23℃・相対湿度50%の条件で6ヶ月放置した画素形成用感光性樹脂材料に変更した以外は、実施例1と同様の条件で実施例2のカラーフィルタの仕掛品を得た。
【0081】
[比較例1]
実施例1において、ラミネート時の各条件を以下の条件に変更し、それぞれの画素形成用感光性樹脂材料を透明基板にラミネートした以外は、実施例1と同様にして比較例1のカラーフィルタの仕掛品を得た。なお、比較例1において、ラミネーションローラの表面温度は90℃であった。
【0082】
<ラミネート時の各条件>
・透明基板の表面温度 90℃
・画素形成用感光性樹脂材料のバックテンション 1N
・ラミネーションローラの圧力 0.3MPa
・ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角 5°
【0083】
(評価)
得られたカラーフィルタの仕掛品それぞれについて、目視により観察して気泡の発生の状態を以下の基準によって評価した。結果を表3に示す。
<基準>
○:画素内に気泡の発生は認められなかった。
△:画素内に微小の気泡の発生が認められたが、実用上問題はなかった。
×:画素内に多数の気泡の発生が認められた。
【0084】
【表3】
Figure 0004173623
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、(a)基板の表面温度を110℃〜130℃、(b)感光性樹脂材料のバックテンションを20N以上、(c)ラミネーションローラの圧力を1MPa以上、(d)ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角を10°以上、(e)前記ラミネーションローラの表面温度が100℃〜140℃、の条件で感光性樹脂材料を基板にラミネートすることで、転写の際樹脂積層体に気泡が混入するのを抑制することができる。これにより、高速でラミネートをおこなっても高精度の樹脂積層体を製造することが可能な樹脂積層体の製造方法を提供することができる。さらに、経時変化の生じた感光性樹脂材料も気泡混入することなく高速でラミネートすることができる。
【0086】
また、本発明によれば、上記樹脂積層体の製造方法を用いてカラーフィルタを製造することで、気泡混入のない高精度のカラーフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラミネーションローラと感光性樹脂材料とのラップ角を示す説明図である。
【図2】 本発明に用いるラミネート装置の要部の一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
1 感光性樹脂材料
2 ラミネーションローラ
3 基板
4 感光性樹脂材料ロール
5 切断装置
10 保護フィルム除去部
11 保護フィルム除去装置
20 張力調整部
21 張力調整用ドラム
22 張力検知装置
30 感光性樹脂層圧着部
31 ラミネーションローラ制御装置
40 基板加熱部
41 加熱ヒータ
42 基板送り出し機構

Claims (2)

  1. 支持体上に、少なくとも感光性樹脂層と保護フィルムとをこの順に有する感光性樹脂材料から、前記保護フィルムを剥離し、前記感光性樹脂層をラミネーションローラーでラミネートして基板に転写する樹脂積層体の製造方法において、
    (a)前記基板の表面温度が110℃〜130℃、
    (b)前記感光性樹脂材料のバックテンションが20N以上、
    (c)前記ラミネーションローラの圧力が1MPa以上、
    (d)前記ラミネーションローラと前記感光性樹脂材料とのラップ角が10°以上、
    (e)前記ラミネーションローラの表面温度が100℃〜140℃、
    の条件で、前記感光性樹脂材料を前記基板にラミネートすることを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
  2. 前記基板は、オーブン、ホットプレート、または赤外線若しくは遠赤外線照射装置を用いて加熱されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂積層体の製造方法。
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