JP4169299B2 - 雰囲気バッチ炉 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浸炭、浸炭窒化処理等、各種鋼部品の熱処理に使用される雰囲気バッチ炉に関する。
【０００２】
【従来の技術】
雰囲気バッチ炉は、いわゆる連続炉に比べて、比較的規模の小さい熱処理及び長時間の熱処理サイクルに適しており、従来一般のバッチ炉は、図２に示すように、トレ−の移動は、トレ−プッシャ−型の直進式に構成され、加熱室も１トレ−分に構成されている。
【０００３】
図中、１１は被処理品の搬入部のトレ−プッシャ−、１２は加熱室、１３は焼入装置部、１４は搬出部、１５は攪拌ファン、１６はエレベ−タ、１７は焼入油槽、１８はトレ−であり、１９、２０、２１はそれぞれ開閉扉であり、その全長はＸである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
前記のごとく、従来一般の雰囲気バッチ炉は、トレ−プッシャ−型の直進式に構成されているため、トレ−プッシャ−１１はトレ−を加熱室１２の定位置へ搬送するに十分なストロ−ク（少なくとも１トレ−分の長さ以上）及びそのための設置スペ−スをもって設けられており、しかも加熱室１２の大きさも一般に１トレ−分に制限され、生産性の向上にも問題が残されていた。
【０００５】
本発明は、前記従来のバッチ炉とほぼ同じ設置スペ−スを保ち、しかも生産性の向上を図った雰囲気バッチ炉を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、ローラハース搬送方式を採用した雰囲気バッチ炉であり、搬入部と加熱室との間にこれら搬入部と加熱室とを開閉する開閉扉を、前記加熱室と焼入装置部との間にこれら加熱室と焼入装置部とを開閉する開閉扉を、及び、前記焼入装置部と搬出部との間にこれら焼入装置部と搬出部とを開閉する開閉扉を一つ設けると共に、前記搬入部、焼入装置部及び搬出部は、それぞれ略１トレー分の大きさのローラハースで構成され、該それぞれのローラハースの各ローラを独立正回転させる装置を有し、前記加熱室は、略２トレー分の大きさのローラハースが略１トレー分に２分割されて構成され、該分割されたそれぞれのローラハースの各ローラを独立正逆回転させる装置を有することを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の一形態を説明する。図１は本発明の雰囲気バッチ炉の概略側断面図、図２は従来のバッチ炉の概略側断面図である。
【０００８】
本発明では、図１に示すように、従来のバッチ炉と異なり、ロ−ラハ−ス搬送方式が採用される。まず、搬入部１について述べると、該搬入部１は、略１トレ−分の大きさのロ−ラハ−ス２で構成され、さらにリフトタイプに構成され、上下方向からトレ−が供給されるように構成されている。
【０００９】
その結果、従来の前記トレープッシャ１１に比べて、搬入部１の設置スペースが約二分の１に減縮させられる。さらに、該搬入部１の前記ローラハース２の各ローラは、図示しないモータにより独立正回転させられる。
【００１０】
前記モータによるローラハース２の各ローラの独立正回転構成は、焼入装置部３のローラハース４及び搬出部５のローラハース６も同様であり、それぞれ略１トレー分の大きさに構成され、それぞれ図示しないモータにより独立正回転させられる。その結果、特に搬入部１の設置スペースが減縮させられる。
【００１１】
さらに、本発明では、前記搬入部１及び搬出部５、さらには焼入装置部３によって設置スペースが減縮された分だけ加熱室７が大きく構成される。すなわち、前記従来のバッチ炉の全長Ｘを想定すると、前記加熱室７内に略２トレー分のスペースが確保される。
【００１２】
そこで、前記加熱室７内には、搬送装置として略２トレー分に対応及び分割されたローラハース８及び９が設けられる。すなわち、該ローラハース８及び９もそれぞれ略１トレー分の大きさに構成され、それぞれのローラハースの各ローラがそれぞれ図示しないモータによりそれぞれ独立正逆回転させられる。
【００１３】
なお、前記本発明の雰囲気バッチ炉における加熱方式としては、電気加熱方式及びガス加熱方式が選択でき、また、雰囲気としてはエンドサ−ミックガス使用、あるいは直接浸炭性原料ガスを導入する方法が選択できる。
【００１４】
前記構成の本発明の雰囲気バッチ炉による実際操業は以下の通りである。
【００１５】
まず、搬入部１と加熱室７との間の開閉扉１９が開かれ、搬入部１のローラハース２上に供給されていた被処理品（図示せず）を載置したトレー１８が加熱室７内に搬入され、ローラハース８、さらにローラハース９部まで搬送される。
【００１６】
さらに続いて、被処理品を載置した次のトレ−１８ａがリフトアップさせられ、前記開閉扉１９から前記ロ−ラハ−ス８部に搬入させられる。その後、前記開閉扉１９が閉められ、被処理品が所定温度に昇温及び加熱させられ、所定時間、所定雰囲気で処理が行われる。
【００１７】
なお、前記処理時中の昇温時及び降温時には前記ロ−ラハ−ス８及び９を正逆回転させ、浸炭（浸炭窒化）時及び拡散時には前記ロ−ラハ−ス８及び９の正逆回転が停止させられる。
【００１８】
すなわち、浸炭（浸炭窒化）時には、すでに被処理品及びロ−ラハ−ス８及び９の温度もほぼ同一となり、炉内温度も安定させられているが、特に昇温時にはロ−ラハ−ス８及び９と装入された被処理品との温度が異なり、さらに炉内の一部に温度差が生じることがあるため、ロ−ラハ−スを正逆回転させることにより被処理品の温度上昇の均一化が図られる。なお、拡散時も同様である。
【００１９】
つぎに、所定時間、所定雰囲気での処理が完了したら、加熱室７と焼入装置部３との間の開閉扉２０が開かれ、被処理品を積載したトレー１８が加熱室７のローラハース９から焼入装置部３のエレベータ１６のローラハース４へ移送され、エレベータ１６が焼入れ油中に下降させられて焼入れが行われ、焼入れ完了を確認して前記エレベータ１６が引き上げられ、焼入装置部３と搬出部５との間の開閉扉２１が開かれて前記トレー１８がエレベータ１６のローラハース４から搬出部５のローラハース６へ移送搬出される。
【００２０】
続いて加熱室に７にある前記後続の被処理品を積載したトレ−１８ａが同様に焼入装置部３へ移送されて焼入れが行われ、焼入れ完了とともに搬出部５への移送搬出される。
【００２１】
なお、前記２トレ−の被処理品の処理において、後から加熱室７に搬入された被処理品を積載したトレ−１８ａの加熱室７内における滞在時間が先に加熱室７に搬入された被処理品を積載したトレ−１８の加熱室内７における滞在時間より、先の焼入れ処理時間分長くなるが、規格処理品を得ることに影響を与える程の時間差ではない。
【００２２】
つぎに、前記図１に示した本発明の雰囲気バッチ炉と図２に示した従来タイプのバッチ炉の一定処理時間における生産性について述べると、従来タイプのバッチ炉の生産性は、例えば、６時間操業で１チャージ（被処理品５５０Ｋｇ）処理に対し、本発明の雰囲気バッチ炉では、６時間操業で２チャージ（１，１００Ｋｇ）の処理が可能であり、一定時間における二倍の生産性の向上が確認されたものである。
【００２３】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のバッチ炉とほぼ同じ設置スペ−スを保ち、しかも生産性の向上を図ることができ、経済的である効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の雰囲気バッチ炉の概略側断面図である。
【図２】従来のバッチ炉の概略側断面図である。
【符号の説明】
１ 搬入部
２ ロ−ラハ−ス
３ 焼入装置部
４ ロ−ラハ−ス
５ 搬出部
６ ロ−ラハ−ス
７ 加熱室
８ ロ−ラハ−ス
９ ロ−ラハ−ス

Claims (1)

1. ローラハース搬送方式を採用した雰囲気バッチ炉であり、搬入部と加熱室との間にこれら搬入部と加熱室とを開閉する開閉扉を、前記加熱室と焼入装置部との間にこれら加熱室と焼入装置部とを開閉する開閉扉を、及び、前記焼入装置部と搬出部との間にこれら焼入装置部と搬出部とを開閉する開閉扉を一つ設けると共に、前記搬入部、焼入装置部及び搬出部は、それぞれ略１トレー分の大きさのローラハースで構成され、該それぞれのローラハースの各ローラを独立正回転させる装置を有し、前記加熱室は、略２トレー分の大きさのローラハースが略１トレー分に２分割されて構成され、該分割されたそれぞれのローラハースの各ローラを独立正逆回転させる装置を有することを特徴とする雰囲気バッチ炉。

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