JP4166215B2 - みりん粕を使用したモロミ食材 - Google Patents

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Description

本発明は、みりんの醸造過程で副産物として残存するみりん粕を有効に利用したモロミ食材に関するものである。
みりん粕には、みりん由来の糖類、アミノ酸、不溶性無窒素物(繊維を含む)、タンパク質等が豊富に含まれると共に、みりん製造時に使用される「麹」由来の酵素活性と抗酸化性のみりん成分とが残存しており、食材としては優れている。
しかしながら、みりん粕は食材として利用されることは少なく、その多くは単なる漬物の床材、あるいは家畜飼料として利用されているのが現状である。みりん粕を食材として使用される例としては、味噌の製造に使用される例と、みりん粕入りせんべいに用いる例と、食材ではないが再利用してみりん様リキュールの製造に使用される例などがある。
みりん粕を味噌の製造に使用される場合には、味噌製造に必要な量の麹の一部をみりん粕で置換し、これに大豆または脱脂大豆及びその他の副原料と食塩を混合し熟成させるというものであって、実施例では米麹12〜48kgに対し、みりん粕12〜48kg、大豆30kg、食塩11kg、種水5kgの割合で混合し、35℃で7日間熟成させたものである(特許文献1参照)。
みりん粕入りせんべいに用いる場合は、せんべい原料にみりん粕を配合して焼成するというものであって、実施例では馬鈴薯澱粉に甘味料(ステビアとサネットを使用)、食塩、香辛料を予め加えたベース生地500gにみりん粕50gと煎った黒ゴマ100gを加えて混合し、さらに水375ccを加えて良く混ぜ合わせた。やわらかな餅状になったところで焼き機に適当な大きさにして移し、150℃で2.5分間焼いた。色は薄いあめ色であったというものである(特許文献2参照)。
みりんまたはみりん様リキュールの製造に使用される場合は、みりん粕に水を加え加熱して50〜55℃とこれに澱粉加水分解酵素又は澱粉加水分解酵素と蛋白分解酵素を使用して分解液を作り、更にアルコール及びエキス分を添加し一定期間調製せしめるというものであって、実施例では、一次仕込みで蒸米8kg、麹米7kg、みりん粕200kg、水300lを混合し、これに乳酸30ccと酵素剤30g(乳化及び糖化酵素)を加え、55℃、24〜48時間高温糖化させる。二次仕込みでアルコール145l、水80l、結晶ブドウ糖220kgを加え、30℃で25日間熟成させる。三次仕込みでアルコール15lと水あめ175kgを加えて調製し7日目に上槽するというものである(特許文献3参照)。
特公昭46−28156号公報 特開2003−204759号公報 特公昭48−20318号公報
しかしながら、前記特許文献1の公知技術においては、みりん粕を白味噌の製造に利用するものであり、あくまでも味噌製造に必要な量の麹の一部をみりん粕で置換するというものであって、味噌の主たる原料である大豆または脱脂大豆に麹とみりん粕が加えられると共に、その他の副原料と食塩とを加えて混合し熟成させて白味噌を製造するというものであり、白味噌の中にみりん粕の旨味成分の一部を導入させたものである。
この白味噌の製造は、本質的には大豆を主材とし、みりん粕は発酵のための麹の一部としてしか利用されていないのであり、みりん粕の旨味成分の全部を生かした食材ではないのであり、現実にみりん粕を主材としたような食材は市場に出ていないのである。
また、前記特許文献2の公知技術においては、馬鈴薯澱粉のせんべい原料に対して略1〜20%程度のみりん粕を配合して焼成するというものであって、みりん粕は従来の甘味料に代えるものとしての利用であり、特に、配合率が20%を超えると、焼き上げる際に強い焦げ目(黒褐色)が付いたり苦味がでるなど、味や色の点で問題があることが指摘されている。
この従来例のせんべいに利用されても、みりん粕の旨味成分の全部は充分に生かされていないのである。
更に、前記特許文献3の公知技術においては、みりん粕を再利用してみりんまたはリキュール(アルコール飲料)を製造するというものであって、一次仕込みから少なくとも三次仕込みまでの仕込み工程があって、みりん粕以上に糖分(結晶ブドウ糖、水あめ)が加えられるもので、みりんまたはリキュールを搾り取った後は、やはりみりん粕が残るのであり、実質的にみりん粕そのものを食材とするものではないのである。
従って、従来のみりん粕の利用においては、みりん粕が主たる材料ではなく補助的な副成分としてしか使用されていないこと、及びみりん粕が家畜の飼料として使用されている現状から、みりん粕を主成分とし、みりん粕の旨味成分の全部を生かした食材を得ることについて解決課題がある。
上記課題を解決する具体的手段として本発明に係るモロミ食材は、みりん粕1重量部に対して水0.5〜2.0重量部を加えて少なくともタンパク質分解酵素剤により分解させた分解粕に、みりん粕1重量部に対して、アルコールを0.4〜3.0重量部と塩を0.05〜0.20重量部とを添加して熟成させたことを最も主要な特徴とする。
この発明において、タンパク質分解酵素剤の他に酵素剤として、糖化・液化酵素剤と、脂肪分解酵素剤と、セルロース分解酵素剤との一種または二種以上を添加して分解させること;みりん粕1重量部に対して水0.5〜2.0重量部を加えて粗砕した後に酵素剤により分解させること;アルコールは、25%濃度のエタノールであること;及び熟成後のモロミ食材として、アルコール4〜15%(v/w)、塩を2〜10%(w/w)となるようにエタノール及び塩が添加されること;を付加的な要件として含むものである。
本発明に係るモロミ食材は、みりん粕を主成分として使用したものであって、みりん粕1重量部に対して水0.5〜2.0重量部を加えてタンパク質分解酵素剤またはタンパク質分解酵素剤と他に酵素剤とを併用して分解させることにより、旨味成分であるアミノ酸類を多く含んだものとなり、この分解粕に、みりん粕1重量部に対して、アルコールを0.4〜3.0重量部と塩を0.05〜0.20重量部とを添加して所要期間熟成させることによってまろやかな味となり、そのモロミ食材をそのままで各種食材の調味料としてまたは他の食材の加工用若しくは漬物用床材として使用できるばかりでなく、他の調味料と併用して用いたりまたは他の食材、例えば、絹ごし豆腐等の柔らかい食材を崩して一緒に混ぜ合わせてペースト状にし、ドレッシング風にして生野菜と和えて食することができるのであり、みりん粕を家畜の飼料としてではなく、みりん粕の旨味成分の全部を生かした栄養価の高い食材として有効に広く利用できるという優れた効果を奏する。
次に、本発明を具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明の実施の形態に係るモロミ食材は、みりん製造において副生されるみりん粕を主材として使用するものであって、該みりん粕に所要量の水を加えて吸水膨潤させ、チョッパー処理によりみりん粕を細かくし、その後に加えられる酵素が作用し易くする。この場合に、目的とするモロミ食材によって加えられる水の量が適宜選択される。例えば、みりん粕1重量部に対して水を0.5〜2.0重量部の範囲で選択的に加えられる。
チョッパー処理したみりん粕は、微生物汚染防止の目的で70℃にて30分間加熱処理する。加熱処理されたみりん粕は常温まで冷された後に、市販されているタンパク質分解酵素剤を所要量添加する。この場合に、みりん粕1重量部に対して酵素剤を0.0001〜0.01重量部の範囲で添加する。また、みりん粕には、みりん製造時の各種酵素活性が残存しているが、それだけでは充分ではなく、市販の各種酵素剤を目的に合わせて使用するのが好ましい。例えば、酵素剤としてタンパク質分解酵素剤を単独で使用するだけでなく、糖化・液化酵素剤、脂肪分解酵素剤、繊維(セルロース)分解酵素剤などの一種または二種以上を併用することができる。
なお、セルロース分解酵素剤として、Trichoderma属の由来のセルラーゼは、エンドグルカナーゼに富んだものが多く、Aspergillus属由来のセルラーゼは、エキソグルカナーゼとβグルカナーゼとに富んだものが多いことからして、両者を一緒に使用した方が良い。
つまり、セルロースはグルコース分子が何千個もβ−1,4−グルコシド結合で直鎖式に繋がったものであり、このようなセルロースを分解するためには、セルロースの非結晶領域の結合を分解する性能を有するエンドグルカナーゼと、エンドグルカナーゼの切断点に作用してセロビオースを生成する性能を有するエキソグルカナーゼと、セロビオースをグルコースに加水分解する性能を有するβグルカナーゼとを同時に使用することで、セルロースの糖化能力を高めることができるのである。
酵素剤を添加したみりん粕は、所要の容器(樽または槽)に入れ、常温〜60℃の範囲に維持して2〜4日間分解反応させ、全体として液状乃至泥状を呈するみりん粕分解物(流動物)を調製する。この場合に、食材としての使用目的によって添加する水の量を予め適宜選択できるのであり、また、分解反応させる温度と時間も適宜選択するのである。
このように調製されたみりん粕分解物に対して、アルコールと塩などの調味料を所要量加え、必要があれば酸味料、香草、生薬、薬味、香辛料などを加え、全体を略均等に掻き混ぜ、容器に入れたままで数週間(2〜8)熟成させて目的とするモロミ食材を得ることができる。なお、アルコールと塩などの調味料はみりん粕分解と同時に加えることもできるが、酵素反応を効率的に行わせるためには分解後に加えることが望ましい。
得られたモロミ食材は、アミノ酸を多く含み旨味の濃い食材となっているのである。また、みりん粕分解物に加えられるアルコールは通常25%濃度のエタノールであり、その添加量は、みりん粕1重量部に対してアルコールが0.4〜3.0重量部で、塩が0.05〜0.55重量部の範囲で適宜選択される。そして、アルコールは、添加後の濃度が4〜15%(v/w)であれば良く、好ましくは7〜13%(v/w)の範囲が望ましい。塩は、添加後の濃度が2〜10%(W/W)であれば良く、好ましくは4〜7%(W/W)が望ましい。
このようにして得られたモロミ食材は、例えば、味噌と同じようにまたは市販の味噌と併用してみそ汁に入れて食するとか、あるいは野菜などの食材に一種の「ドレッシング」または「マヨネーズ」風に直接付けて食するとか、或いは煮物とか炒めものなどの調味料として使用できるばかりでなく、他の食材、例えば、食パンなどに「ジャム」風に塗りつけて食したり、漬け物用の床材(ベース材)として、また加工味噌の材料としても幅広く使用できるものである。
次に、幾つかの実施例と使用例及び比較例とを挙げて説明する。
[実施例1]
みりん粕1kgに水1Lを加えて吸水膨潤させた後にチョッパー処理して細かくした。これを密閉ガラス容器(瓶状の容器)に入れて70℃で30分間加熱し、冷却後にタンパク質分解酵素剤を3g加え良く攪拌して密閉し、その状態で恒温槽内に入れ、40℃で4日間反応させて液状乃至泥状のみりん粕分解物を得た。得られたみりん粕分解物に25%アルコール2Lと食塩80gを添加して全体を均一に攪拌してモロミ食材とした。このモロミ食材は実際には、30℃の恒温槽内に静置して少なくとも2週間程度熟成させてから食材として使用するものである。
[使用例1]
上記実施例1で得られたモロミ食材を使用して、豆腐のモロミ漬け製品、要するに、モロミが付いたままで食せる食品の加工を試みた。市販の豆腐1kgを略2cm角に切り、50℃にて3時間通風乾燥させて半乾燥豆腐にし、該半乾燥豆腐を前記モロミ食材と一緒に所要の容器に入れ、30℃の恒温槽内で4週間熟成してモロミ漬け豆腐を得た。
[比較例1]
市販の米麹1kgに水1Lを加え、吸水膨潤させた後にチョッパー処理して細かくした。これを密閉ガラス容器(瓶状の容器)に入れ、次いで25%アルコール2Lと食塩80gを添加して全体を均一に攪拌し、30℃の恒温槽内に静置して2週間熟成させてモロミ様床材とし、前記使用例と同様に、半乾燥させた豆腐をモロミ様床材に入れ、30℃の恒温槽内で4週間熟成してモロミ漬け様豆腐を得た。
本発明の実施例1で得られたモロミ食材及び使用例1のモロミ漬け豆腐と、比較例1におけるモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐とが、香りおよび味の点でどのように違うかについて、官能検査で確認を行った。この官能検査は、長野県上伊那郡在住の20代から50代の男女20名に協力して戴き、三点嗜好試験法により行った。
(三点嗜好試験法)
2種類の試料A、Bを識別する場合に、A,A,BまたはA,B,BのようにAを2個にBを1個、またはAを1個にBを2個、計3個の試料を1組として与え、この中からどれが異なる1個であるか、またはどの2個が同じであるかを当てさせるものであり、これを複数回(n回)の繰り返しで得られた正解数から、2種の試料間に差があるか、または検査員(パネラー)にその差を識別する能力があるかの判定をする。これで試料間に差が認められた場合に、つぎに選び出した1個のものと、残りの2個とを比較して好ましい方を選ばせる方法である。
(解析法)
識別能力があると判定されたn人の判定の内、正しく識別した度数を数え、芳賀敏郎氏が直接法で作成した表に元づき、A、B試料間に差があるか否かを検定する。その結果、試料間の差が認められたならば、正しく判定した人のデータから、Aを好むと判定した度数、Bを好むと判定した度数を数え、そのうちの大きい方の度数が芳賀敏郎氏が直接法で作成した表に等しいか、または大きいとき、その試料の方が好まれていると判定する。
(試料)
試料Aは本発明の実施例1と使用例1に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐、試料Bは比較例1のモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐で、20名のパネラーに対して、同一の要領で官能試験を行った。
(結果)
この官能試験の結果、正しく識別できた度数は20であった(n=20)。芳賀敏郎氏が直接法で作成した表(統計的官能検査法、佐藤信著、日科技連出版社)により、本発明のモロミ食材と比較例1のモロミ様床材は0.1%の危険率で高度に識別できることが明らかとなった。
次に、正しく判定した20名のパネラーのデータから本発明のモロミ食材とモロミ漬け豆腐と、比較例1に係るモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐のどちらが、香り、口当たり、味で優れているかについて判定して戴いた結果は、表1に示すとおりであった。なお、パネラーからのコメント(理由)も一緒に記載する。
Figure 0004166215
この表1から明らかなように、香り、口当たり、味については、0.1%危険率で高度に本発明に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐が好まれていることが明らかとなった。
以上の結果によって、本発明に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐は、香り、口当たり、味の点で、米麹を使用したモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐に比べ、食材として優れていることが明らかとなった。
[実施例2]
みりん粕1kgに水1Lを加えて吸水膨潤させた後にチョッパー処理して細かくした。これを密閉ガラス容器(瓶状の容器)に入れて70℃で30分間加熱し、冷却後にタンパク質分解酵素剤を2gと、糖化酵素1gと、2種類のセルラーゼ各1gと加え良く攪拌して密閉し、その状態で恒温槽内に入れ、40℃で4日間反応させて液状乃至泥状のみりん粕分解物を得た。得られたみりん粕分解物に25%アルコール2Lと食塩80gを添加して全体を均一に攪拌してモロミ食材とした。このモロミ食材も前記実施例1と同様に、実際には、30℃の恒温槽内に静置して少なくとも2週間程度熟成させてから食材として使用するものである。
[使用例2]
上記実施例2で得られたモロミ食材を使用して、前記使用例1と同様に、豆腐のモロミ漬け製品の加工を試みた。前記使用例1と同様に市販の豆腐1kgを略2cm角に切り、50℃にて3時間通風乾燥させて半乾燥豆腐にし、該半乾燥豆腐を前記モロミ食材と一緒に所要の容器に入れ、30℃の恒温槽内で4週間熟成してモロミ漬け豆腐を得た。
この実施例2及び使用例2に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐と、前記比較例1に係るモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐についても、前記同様に官能試験を行い、20人すべてが正解で、どちらが香り、口当たり、味で優れているかについて判定して戴いた結果を、表2に示す。なお、パネラーからのコメント(理由)も一緒に記載する。
Figure 0004166215
この表2から明らかなように、前記実施例1と同様にやはり、香り、口当たり、味については、0.1%危険率で高度に本発明に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐が好まれていることが明らかとなったのであり、本発明に係るモロミ食材は、米麹を使用したモロミ様床材に比べ、食材として優れていることが明らかとなった。
[実施例3]
みりん粕1kgに水1Lを加えて吸水膨潤させた後にチョッパー処理して細かくした。これを密閉ガラス容器(瓶状の容器)に入れて70℃で30分間加熱し、冷却後にタンパク質分解酵素剤を3gを加え良く攪拌して密閉し、その状態で恒温槽内に入れ、40℃で4日間反応させて液状乃至泥状のみりん粕分解物を得た。得られたみりん粕分解物に25%アルコール2Lと食塩80gを添加して全体を均一に攪拌してモロミ食材とした。このモロミ食材も前記実施例1と同様に、実際には、30℃の恒温槽内に静置して少なくとも2週間程度熟成させてから食材として使用するものである。
[使用例3]
上記実施例3で得られたモロミ食材を使用して、前記使用例1と同様に、豆腐のモロミ漬け製品の加工を試みた。前記使用例1と同様に市販の豆腐1kgを略2cm角に切り、50℃にて3時間通風乾燥させて半乾燥豆腐にし、該半乾燥豆腐を前記モロミ食材と一緒に所要の容器に入れ、30℃の恒温槽内で2週間熟成してモロミ漬け豆腐を得た。
この実施例3及び使用例3に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐と、前記比較例1に係るモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐についても、前記同様に官能検査を行い、20人すべてが正解で、どちらが香り、口当たり、味で優れているかについて判定して戴いた結果を、表3に示す。なお、パネラーからのコメント(理由)も一緒に記載する。
Figure 0004166215
この表3から明らかなように、前記実施例1と比べて熟成期間が少し短いが、それでもやはり、香り、口当たり、味については、0.1%危険率で高度に本発明に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐が好まれていることが明らかとなったのであり、本発明に係るモロミ食材及びモロミ漬け豆腐は、米麹を使用したモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐に比べ、食材として優れていることが明らかとなった。
[使用例4]
上記実施例3で得られたモロミ食材を使用して、豆腐を含むドレッシング様食品、要するに、モロミ食材をペースト状にして野菜などの食材に直接付けて食せる食品の加工を試みた。市販の絹ごし豆腐1kgを前記実施例3で得られたモロミ食材と合わせ、ホモジナイズしてペースト状にしたものを所要の容器に入れ、30℃の恒温槽内で2週間熟成してドレッシング様食品を得た。
このドレッシング様食品に一口大にちぎったレタスと薄切りにしたキュウリとを和えてサラダを作製し、前記と同様に20人のパネラーに食してもらい、意見を求めた。その結果をコメントと一緒に表4に示す。
Figure 0004166215
この表4から明らかなように、モロミ食材を利用したドレッシング様食品は生野菜との相性が極めて良く、好まれた。
また、各実施例1〜3と使用例1〜3に係るモロミ食材とモロミ漬け豆腐と、比較例1に係るモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐について、旨味成分であるアミノ酸類の量をニンヒドリン法によって調べた結果を図1に、アミノ酸組成をHPLC(高速度液体クロマトグラフ)によって調べた結果を表5に示した。
Figure 0004166215
これらの図1及び表5から明らかなように、いずれの実施例におけるモロミ食材は、比較例1に係るモロミ様床材に比べて、旨味成分であるアミノ酸類が1.6〜1.8倍と多く、また、いずれの使用例におけるモロミ漬け豆腐においても、比較例1に係るモロミ漬け様豆腐に比べて1.5〜1.7倍も多く含まれていることが確認された。
特に、表5から明らかなように、いずれの実施例におけるモロミ食材は、比較例1に係るモロミ様床材に比べて、アスパラギンがおよそ7〜9倍、グルタミンがおよそ3〜4倍、バリン、メチオニン、アルギン、フェニルアラニンなどがおよそ2倍も多く含まれており、濃い旨味・コクの味を裏付けるものである。
いずれにしても、本発明においては、みりん粕を利用してモロミ食材としたものであって、旨味成分であるアミノ酸類を多く含んでおり、そのままで各種食材の調味料としてまたは他の食材の加工用若しくは漬物用床材として使用できるばかりでなく、他の調味料と併用して用いたりまたは他の食材、例えば、絹ごし豆腐等の柔らかい食材を崩して一緒に混ぜ合わせてペースト状にし、ドレッシング風にして生野菜と和えて食することができるのであり、食材として有効に広く利用できるのである。
本発明に係る実施例1〜3のモロミ食材及び使用例1〜3のモロミ漬け豆腐と、比較例1に係るモロミ様床材とモロミ漬け様豆腐について、旨味成分であるアミノ酸類の量をニンヒドリン法によって調べた結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. みりん粕1重量部に対して水0.5〜2.0重量部を加えて少なくともタンパク質分解酵素剤により分解させた分解粕に、みりん粕1重量部に対して、アルコールを0.4〜3.0重量部と塩を0.05〜0.20重量部とを添加して熟成させたこと
    を特徴とするモロミ食材。
  2. タンパク質分解酵素剤の他に酵素剤として、糖化・液化酵素剤と、脂肪分解酵素剤と、セルロース分解酵素剤との一種または二種以上を添加して分解させること
    を特徴とする請求項1に記載のモロミ食材。
  3. アルコールは、25%濃度のエタノールであること
    を特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のモロミ食材。
  4. みりん粕1重量部に対して水0.5〜2.0重量部を加えて粗砕した後に酵素剤により分解させること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のモロミ食材。
  5. 熟成後のモロミ食材として、アルコール4〜15%(v/w)、塩を2〜10%(w/w)となるようにエタノール及び塩が添加されること
    を特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のモロミ食材。
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