JP4150462B2 - 空気吹出調整用レジスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車内等の換気や空調の空気吹出口に使用される空気吹出調整用レジスタに関し、特に通風路内に相互に直交方向に且つ前後して配設された前可動ルーバと後可動ルーバの向きを、1つの操作ノブを用いて調整する空気吹出調整用レジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するベゼル内に、横可動ルーバと縦可動ルーバを前後して配設し、前方に位置する横可動ルーバの中央部のフィンに、操作ノブ(把手)を可動的に取り付けてなる空気吹出調整用レジスタが、知られている(例えば実開平4−82645号公報等参照)。
【0003】
この従来の空気吹出調整用レジスタは、操作ノブが、横可動ルーバの中央部のフィン上に、その軸方向(横方向)に摺動可能に嵌合されると共に、その横可動ルーバのフィンと共に上下に回動可能に設けられ、操作ノブの先端に係合部が形成され、その係合部が後方に位置する縦可動ルーバのフィンの縦軸(フィンの回動軸とは偏位した軸)に係合する構造である。そして、風の向きを左右に調整する場合、操作ノブを横可動ルーバのフィン上で左又は右に摺動させて、後の縦可動ルーバの向きを左右に変え、風の向きを上下に調整する場合、操作ノブを横可動ルーバのフィンと共に上又は下に回動させて風の向きを調整していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来の空気吹出調整用レジスタは、前方に位置する横可動ルーバの略中央部のフィンに操作ノブが嵌合されるため、操作ノブが通風路の中央に位置し、通風抵抗や圧力損失を増大させてしまう。このため、この種の操作ノブはその形状が極力小形に形成され、空気抵抗や圧力損失を少なくしているが、操作ノブが小形になると、操作性が悪いという問題があった。
【0005】
更に、レジスタの通風路の中央に位置する操作ノブを、手で操作して風向調整を行なうことから、通風路の中央に手が入って通風の邪魔をするため、操作ノブを操作しながら正確な風向調整ができにくいという問題があった。また、フィンは一般に通風抵抗を小さくするために薄く成形され、可撓性を持って作られるが、操作ノブを横可動ルーバのフィンに摺動可能に嵌合させると、操作時にはフィンにかなりの曲げ力が加わるため、フィンはある程度硬く剛性を高くして成形する必要がある。このため、従来のこの種のフィンは補強材を混合させた材料を使用するなどしていたが、このようなフィンは製造コストが増大すると共に、補強材を混合すると、フィンの表面が、摺動により白化したりざらついて悪化する問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、通風抵抗や圧力損失が少なく、可動ルーバのフィンを傷付けずに、操作ノブを操作して良好に空気吹出方向の調整を行なうことができる空気吹出調整用レジスタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の空気吹出調整用レジスタは、通風路内に配設した前可動ルーバと後可動ルーバを有し、前可動ルーバと後可動ルーバの各フィンを1つの操作ノブにより回動させて空気の吹出方向を調整する空気吹出調整用レジスタにおいて、操作ノブの軸部に異形孔が軸方向に設けられ、通風路の外に軸支された異形ガイドシャフト上に操作ノブが、異形孔に異形ガイドシャフトを挿通させて摺動可能に外嵌され、異形ガイドシャフトの端部に第一のリンク機構が設けられ、操作ノブには枢支部を介して係合部材が設けられ、係合部材が後可動ルーバに設けた第二のリンク機構の偏位軸に係合され、異形ガイドシャフトの回動軸に設けた第一のリンク機構の偏位軸が、リンクバーを介して前可動ルーバの各フィンの端部に設けた第三のリンク機構の偏位軸に連結され、操作ノブはその軸部の回動時に第一のリンク機構及び第三のリンク機構を介して前可動ルーバと連係され、且つ操作ノブはその軸部の軸方向の摺動時に第二のリンク機構を介して後可動ルーバに連係されることを特徴とする。
【0009】
【作用】
このような構成の空気吹出調整用レジスタでは、操作ノブを異形ガイドシャフトと共に回動操作すると、第一のリンク機構とリンクバーと第三のリンク機構を介して前可動ルーバの各フィンが回動し、その向きを変え、通風路内の空気流の向きが操作ノブの操作回動角度に応じて調整される。また、操作ノブを異形ガイドシャフト上で摺動操作すると、第二のリンク機構を介して後可動ルーバの各フィンが回動し、その向きを変え、通風路内の空気流の向きが操作ノブの摺動操作幅に応じて調整される。
【0010】
上記空気調整用レジスタでは、操作ノブが通風路の外に軸支された異形ガイドシャフト上に摺動可能に配設されるから、操作ノブを持つ手が空気吹出の邪魔をすることはなく、吹出空気流に影響を与えず正確に且つ容易に、空気の吹出方向を調整することができる。また、空気流の通風抵抗や圧力損失を低減することができる。更に、従来のように通風抵抗や圧力損失を考慮して操作ノブを小型化する必要がないから、操作ノブを操作し易い形状、例えば大型等の任意の形状にすることができる。
【0011】
更に、従来のように操作ノブを可動ルーバのフィンに外嵌させず、フィンとは別個に設けた異形ガイドシャフトに操作ノブを外嵌させているから、異形ガイドシャフトはフィンとは無関係に強度を確保した形状に成形し、フィンは強度を考慮せずに薄型にして通風抵抗や圧力損失を最小にすることができ、騒音の削減や風の指向性を良好にすることができる。また、操作ノブを外嵌しないフィンには、その表面に摺動傷や白化が生じず、良好な外観を長期間保持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は空気吹出調整用レジスタの正面図を示し、図2はその縦断面図を、図3はその横断面図を、図4はその分解斜視図を示している。これらの図において、1は正面に空気吹出口11を形成したベゼルであり、ベゼル1の内側には後述のリテーナ2に連結するために板部が上下に水平に設けられる。更に、正面の下部には空気吹出口11とは外れた位置にノブ用開口部12が形成され、正面の側方にはダンパノブ用開口部13が形成される。
【0013】
リテーナ2は、矩形のダクト状に形成され、内部に通風路21が形成され、前縁部には縦軸受部22が上と下の水平壁部の前縁に所定間隔で形成され、両側の前縁部には横軸受部23が所定間隔で形成される。更に、一方の側壁にはダンパ用のダンパ軸孔24が設けられ、その前方にダンパノブ軸25が突設される。上記ベゼル1とリテーナ2は、その間に横方向の前可動ルーバ3と縦方向の後可動ルーバ4を組み付けて固定される。
【0014】
前可動ルーバ3は、複数の横フィン31を一定の間隔で回動可能に配置し、それらをリンク34で相互に連結して構成される。各横フィン31の両側には回動軸32が突設され、その回動軸32は上記横軸受部23に回動可能に嵌合される。更に、各横フィン31の一方の回動軸32の先端に、偏位軸35を持つリンク部材33が連結され、各偏位軸35はリンクバー34により相互に連結され、リンク機構が構成される。リンク部材33、リンクバー34はリテーナ2の外側に配置され、リンクバー34の末端は後述の操作ノブ6に連係される。
【0015】
後可動ルーバ4は、複数の縦フィン41を一定の間隔で回動可能に配置し、それらをリンクバー44で相互に連結して構成される。各縦フィン41の上部と下部には回動軸42が突設され、それらの回動軸42は上記縦軸受部22に回動可能に嵌合される。更に、各縦フィン41の下部には連結軸43が突設され、それらの連結軸43はリンクバー44により相互に連結される。1つの縦フィン41における下部の回動軸42の先端には、長軸47を介して、偏位軸46を有するリンク部材45が連結され、リンク機構が構成される。この偏位軸46は後述の操作ノブ6に連係される。
【0016】
リテーナ2内の後部に通風路21を閉鎖するためのダンパ5が回動開閉可能に軸支される。ダンパ5の両側には回動軸51が突設され、その回動軸51をリテーナ2側のダンパ軸孔24に嵌入させて装着される。ダンパ5の回動軸51の一端は連結杆52を介してダンパノブ53のリンク部57の先端に連結される。ダンパノブ53は、中央に軸孔54を有すると共に、先端にリンク部57を設けて形成され、リンク部57の先端に連結軸55が突設される。連結杆52は一端に軸を直交方向に突設し、他端に長孔(溝)56を有して形成され、その軸がダンパ5の回動軸51に連結され、その長孔がリンク部57の連結軸55に係合される。ダンパノブ53の前部は、ベゼル1のダンパノブ用開口部13から前方に突出し、そのダンパノブ53を持って、上または下に軸25を支点にして回動させると、リンク部57、連結杆52を介してダンパ5が回動し、通風路21を開閉する。
【0017】
上記前可動ルーバ3と後可動ルーバ4の向きを調整するための操作ノブ6は、リテーナ2の下側で、ベゼル1の下部に、ノブ用開口部12からその前部を突出させて配設される。操作ノブ6には軸部61が水平に設けられると共に、軸部61の後部に枢支部67が設けられる。軸部61には異形孔62が軸方向に穿設され、その異形孔62に異形ガイドシャフト63が摺動可能に挿入される。異形ガイドシャフト63の両端に回動軸64が突出され、一方の回動軸64には偏位軸66を有するリンク部材65が設けられ、この偏位軸66は上記前可動ルーバ3のリンクバー34の下端に連結され、リンク機構が構成される。
【0018】
なお、異形孔62は長孔とし、異形ガイドシャフト63はその長孔に対応した断面形状のシャフトとしたが、操作ノブ6の軸部61がシャフト上を回動を阻止して摺動する形状であれば、異形孔やシャフトの断面は、矩形断面或はその他の異形断面とすることもできる。
【0019】
回動軸64はベゼル1の内側に設けた軸受部に回動可能に嵌入され、操作ノブ6はこの異形ガイドシャフト63上を摺動可能である。さらに、操作ノブ6の後部には枢支部67が設けられ、この枢支部67には軸69を介して二又状の係合部材68が枢支され、係合部材68は後可動ルーバ4の偏位軸46に係合する。操作ノブ6を左右横方向に動かすと、ガイドシャフト上の軸部61と共に係合部材68が同方向に移動し、偏位軸46を介して後可動ルーバ4の縦フィン41を回動させる。
【0020】
また、操作ノブ6を上下に回動させると、異形ガイドシャフト63の回動軸64を軸に操作ノブ6は異形ガイドシャフト63と共に回動し、その回動が、リンク部材65、偏位軸66、リンクバー34を介して前可動ルーバ3の横フィン31を回動軸32を支点に回動させるが、このとき、係合部材68の元部の枢支部67を上または下に回動させ、係合部材68と偏位軸46の係合を保持するようしている。つまり、係合部材68は、操作ノブ6の上下方向の操作時に、上下する枢支部67の動きを許容した状態で、後可動ルーバ4の偏位軸46との係合を保持するようにしている。
【0021】
上記構成の空気吹出調整用レジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の末端を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路21から空気吹出口11を通して吹き出される。
【0022】
空気の吹出向きを上または下に調整する場合、操作ノブ6を上または下に回動させて調整する。操作ノブ6を持って上または下に回動させると、図6に示すように、異形ガイドシャフト63の回動軸64を軸に、操作ノブ6は異形ガイドシャフト63と共に回動し、その回動が、リンク部材65、偏位軸66、リンクバー34を介して前可動ルーバ3の横フィン31を、その回動軸32を支点に回動させる。これにより、横フィン31の上下方向の向きが回動軸32を軸にして変化し、空気の吹出方向が上下に調整される。
【0023】
一方、空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ6を左または右に移動させて調整する。操作ノブ6を持って左または右に動かすと、操作ノブ6は異形ガイドシャフト63上を摺動し、水平方向(横方向)に移動する。これに伴い、図7に示すように、軸部61、枢支部67、係合部材68が同方向に移動し、係合部材68に係合する偏位軸46を介して、リンク部材45が長軸47を軸に回動し、後可動ルーバ4の縦フィン41が、その回動軸42を軸に回動力を受けて回動し、その向きが所定の角度範囲で回動調整される。
【0024】
このように空気の吹出方向を調整する際、操作ノブ6は空気吹出口11から外れた下側に位置するため、操作ノブ6を持つ手が空気吹出の邪魔をすることはなく、吹出空気流に影響を与えず正確に且つ容易に、空気の吹出方向を調整することができる。更に、操作ノブ6が通風路21内に位置しないから、空気流の通風抵抗や圧力損失を増大させない効果も大きい。また、通風抵抗、圧力損失のために操作ノブを小型化する必要がないので、操作ノブを操作し易い形状、例えば大型等の任意の形状にすることができる。
【0025】
更に、従来のように操作ノブを横フィンに外嵌させず、横フィン31とは別個に設けた異形ガイドシャフト63に操作ノブ6の軸部61を外嵌させているから、異形ガイドシャフト63は横フィン31とは無関係に強度を確保した形状に成形し、横フィン31は強度を考慮せずに薄型にして通風抵抗や圧力損失を最小にすることができると共に、騒音の低減や風の指向性を良好にすることができる。また、操作ノブを外嵌しない横フィンには、その表面に摺動傷や白化が生じず、良好な外観を長期間保持することができる。
【0026】
なお、上記実施例では、前可動ルーバ3に横フィン31を設け、後可動ルーバ4に縦フィン41を設けたが、それらを90度回転させた状態とし、前可動ルーバに縦フィンを設け、後可動ルーバに横フィンを設けるように構成することもできる。この場合、異形ガイドシャフトは縦方向に配置され、操作ノブは縦方向に摺動することになる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気吹出調整用レジスタによれば、上記のように構成したから、操作ノブを持つ手が空気吹出の邪魔をすることはなく、吹出空気流に影響を与えず正確に且つ容易に、空気の吹出方向を調整することができる。また、空気流の通風抵抗や圧力損失を低減することが可能となる。更に、従来のように通風抵抗や圧力損失を考慮して操作ノブを小型化する必要がないから、操作ノブを操作し易い形状、例えば大型等の任意の形状にすることができる。また、操作ノブを外嵌しないフィンには、その表面に摺動傷や白化が生じず、良好な外観を長期間保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す空気吹出調整用レジスタの正面図である。
【図2】同レジスタの縦断面図である。
【図3】同レジスタの水平方向の断面図である。
【図4】同レジスタの分解斜視図である。
【図5】操作ノブと後可動ルーバ周辺の平面図である。
【図6】操作ノブを上下に操作した時の断面図である。
【図7】操作ノブを左右に操作した時の平面図である。
【符号の説明】
3−前可動ルーバ
4−後可動ルーバ
6−操作ノブ
21−通風路
31−横フィン
33−リンク部材
41−縦フィン
45−リンク部材
61−軸部
62−異形孔
63−異形ガイドシャフト
64−回動軸
65−リンク部材
66−偏位軸
67−枢支部
68−係合部材
Claims (1)
- 通風路内に配設した前可動ルーバと後可動ルーバを有し、該前可動ルーバと後可動ルーバの各フィンを1つの操作ノブにより回動させて空気の吹出方向を調整する空気吹出調整用レジスタにおいて、
前記操作ノブの軸部に異形孔が軸方向に設けられ、該通風路の外に軸支された異形ガイドシャフト上に該操作ノブが、該異形孔に該異形ガイドシャフトを挿通させて摺動可能に外嵌され、該異形ガイドシャフトの端部に第一のリンク機構が設けられ、該操作ノブには枢支部を介して係合部材が設けられ、該係合部材が後可動ルーバに設けた第二のリンク機構の偏位軸に係合され、該異形ガイドシャフトの回動軸に設けた該第一のリンク機構の偏位軸が、リンクバーを介して前記前可動ルーバの各フィンの端部に設けた第三のリンク機構の偏位軸に連結され、該操作ノブは該軸部の回動時に該第一のリンク機構及び該第三のリンク機構を介して該前可動ルーバと連係され、且つ該操作ノブは該軸部の軸方向の摺動時に該第二のリンク機構を介して該後可動ルーバに連係されることを特徴とする空気吹出調整用レジスタ。
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