JP4146546B2 - 繰返し伸縮回復性が良好な人工皮革及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動的繰返し伸縮回復性が良好で、婦人、紳士衣料などに使用した場合、実質的に抜けやへたりが起こらない人工皮革及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から着心地が良い衣料素材を目指して人工皮革に伸縮性能を付与する方法が提案されている。
例えば、特開平07−216687号には、加熱により三次元捲縮が発現可能な、捲縮発現能を内在するコンジュゲートフィラメントが芯部に配置され、且つ極細繊維化可能な分割型及び/又は海島型複合繊維が鞘部に配置された芯鞘型2層構造糸を経糸群及び/又は緯糸群に用いて製織した後、コンジュゲートフィラメントの捲縮を発現させると共に、分割型及び/又は海島型複合繊維の少なくとも一部を極細繊維化したスエード調織物の製造方法が提案されている。
【0003】
特公平06−39747号公報には、仮より加工糸又は熱収縮性が異なる2成分以上のポリマーからなる捲縮糸の織物を製織した後、熱水リラックス処理し、乾燥温度を染色温度より低く設定して甘セットした潜在収縮性織物を得、極細繊維交絡体の内部に潜在収縮性織物を介在させて液流3次元交絡した後、潜在収縮性織物を熱セット温度よりも高い温度で染色して巾入れさせ、織物に伸縮性能を付与する人工皮革の製造法が示されている。
【0004】
特公昭62−117884号公報には、20〜150ヶ/mの交絡が付与された50〜150デニールの潜在捲縮性のナイロンマルチフィラメント糸又はポリエステルマルチフィラメント糸からなる無撚捲縮糸を経糸及び緯糸群の少なくとも一方に用いた織物を人工皮革の断面層の内部に介在させ、人工皮革の製造過程で前記糸を熱収縮させて伸縮性能を有する人工皮革を製造する方法が開示されている。
【0005】
他にも、特公平03−60945号公報には、ポリエステル系、ポリアミド系繊維からなる撚数が500T/m〜4000T/mの強撚糸を経糸、緯糸に用いた強撚編織物と、0.8デニール以下で主たる長さが20mm以上の極細非弾性繊維を形成する複合繊維の間に、1.0デニール以下の極細弾性繊維(熱可塑成ポリウレタン)を形成する複合繊維を介在させて、絡合処理した後、熱水中で強撚編織物中の潜在トルクを顕在化させてから、さらに有機溶剤で抽出処理を行って発生した極細弾性繊維を部分的に融着させる柔軟薄物人工皮革の製造する方法も提案されている。
【0006】
前述した様に、繊維の熱収縮力を利用した人工皮革の製造方法は、良好な伸縮性性能を達成する上で有効な方法であり、かかる製法原理に基づく数多くの製品が市販されている。しかし、最近のファッション意識の高まりに相まってストレッチ素材が市場に定着し、消費者の目が肥えてくると、より型くずれが起こり難い商品を求める消費者のニーズが高まってきた。例えば、婦人アウターの場合、最初はきれいなシルエットが出ているが、着用回数が増えてくると、日常の動作で生地に力が加わり易い膝、背中、肘、お尻などの部分で抜け、へたりが発生し、徐々にシルエットが崩れてくるといった問題がある。
【0007】
通常、捲縮発性のコンジュゲートフィラメントを直接用いる織編物の人工皮革あるいは潜在収縮性繊維織編物を人工皮革の芯層として用いた人工皮革の場合、共に熱収縮性のポリエステル繊維及び/又は熱収縮性が異なる変性ポリエステル繊維が用いられることになるので、例えばスカートのお尻の下の部分の様に力が一点に集中する部分に使われたりすると、ポリエステル繊維自体の伸縮回復性が小さいために、人工皮革が繰返し力を受けている間に、熱収縮部分の嵩高構造が徐々に崩れ、その部分で抜け、へたりが発生してしまう。そして、薄物の人工皮革では、特に抜けやへたりが起きやすい。
【0008】
熱収縮による嵩高構造が繰返し伸長で崩れることを防ぎ、伸縮性能に耐久性を付与する試みが今までもなされてきた。例えば、潜在収縮性織物のセット温度を低くして、織物の熱収縮巾を大きくし、嵩高構造に自由度を与えて、一点に力が集まらないようにする試みでは、収縮巾が大きいだけ、織物に肉厚感、地締まり感が強くなり、風合い、ドレープ性の劣ったものになり易く、表面に発生するシボなど考慮すると、熱収縮させる織物の巾設定にも限界がある。また、織物の巾が必然的に狭巾になり、広巾織物の展開もできないことになる。別法として、太デニールの熱収縮性ポリエステル繊維を用いる方法がある。しかし、太デニール糸を用いるので、織物の硬さ感、ごわ感、張り感が強くなりやはり好ましくない。
【0009】
以上の従来の人工皮革は、いずれの方法もポリエステル繊維を用いるので、繊維伸長回復性が小さいために、繰返し伸長時に起こる抜けやへたりの問題が依然として残されており、また満足なレベルの高耐久性をもった伸長性能が得られるに至っていない。
ポリウレタン樹脂の含浸処理をDMF溶液中で行なう方法は、DMFが弾性繊維織物中のポリウレタン繊維を溶解作用により損傷をさせる。この溶解作用を最小限に抑制するために、例えば予めシートを水で充分飽和させ表層又は裏面のみにポリウレタン樹脂の溶液を塗布したり、予めポリビニルアルコールなどの高分子を含浸するか、あるいは撥油処理してそのマスキング作用により、DMFとポリウレタン繊維との接触を避ける方法が必ず適用されている。しかし、所望のDMFのマスキング効果が得られず、ポリウレタン繊維の損傷や汚染を避けることが困難であった。ポリウレタン樹脂溶液の含浸処理は、発泡を伴う充填構造を形成するため、最低25重量%以上の多量の樹脂を付与する必要がある。この様に樹脂量が多くなってくると、必然的にポリウレタン樹脂のバインダー効果も大きくなり、人工皮革構造内の肝心のポリウレタン繊維の伸縮時の動きを拘束してしまう。そのため、付与する樹脂量を減らすと、高密度充填構造を形成することができず、風合いが布ライクになり、耐摩耗物性の劣化が起こり、人工皮革の商品価値が損なわれ易い。使用樹脂量を減らさないで、ポリウレタン繊維の動きが拘束されない様、使用するポリウレタン繊維の比率を高めたり、太デニールのポリウレタン繊維を使用すると、ゴム感が強くなり、風合いが損なわれるし、コスト高をも招き好ましくない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を克服して、緯方向の繰返し伸長を受けたとき、実質的に抜けやへたりが起こらない高耐久伸縮性能を有する人工皮革を工業的に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、0.5デニール以下の極細繊維交絡体層がその芯部に介在する緯糸構成本数の少なくとも1/4をポリウレタン繊維と非弾性繊維との複合弾性糸とする弾性織物に前記極細繊維交絡体層内の極細繊維と3次元交絡により結合して布帛構造を形成してなり、該布帛構造が水系ポリウレタン樹脂で充填されてなる緯方向の動的繰返し伸縮回復性を有する人工皮革によって達成される。
【0012】
本発明の人工皮革は、極細繊維交絡層と非弾性繊維糸を経糸とし、緯糸本数の少なくとも1/4に被覆ポリウレタン弾性繊維糸を用いた弾性織物とからなる複合積層布帛構造体に水系ウレタン樹脂エマルジョンを充填して構成することで、特に一般外衣料に切望される経方向の伸長回復特性と風合いが維持され、高レベルの緯方向の動的繰返伸縮回復性を安定して有する人工皮革を実現している。
【0013】
そして、本発明のこのように改良された人工皮革は、0.5デニール以下の極細繊維ウエブを緯糸構成本数の少なくとも1/4がポリウレタン繊維と非弾性繊維の複合弾性糸で組織した弾性織物の両面に積層し、極細繊維交絡体層を形成すると共に前記極細繊維の一部も前記弾性織物と交絡して結合して得られるシート状物を、無機塩類を溶解、混合した水系ポリウレタンエマルジョン溶液に含浸させ、加熱、乾燥することらなる方法によって調製することができる。
【0014】
以下、本発明の実施態様について、詳述する。
本発明による人工皮革の表裏面を構成する極細繊維交絡層は、単繊維繊度0. 5デニール以下の極細繊維を主体とした短繊維の乾式もしくは湿式ウエブの三次元交絡層であり、内層において構成繊維の一部が芯部のポリウレタン繊維を含む弾性織物にその組織と交絡による投錨的作用により、しっかりと一体に結合した構造を形成している。交絡繊維層が単繊維繊度0. 5デニールより太い繊維で形成されたものであると、繊維の剛性が大きいので、表面立毛の腰が強いため、人工皮革特有の高級な表面のテクスチャー、手触り感、ライティング効果等をもった品位が損なわれる。
【0015】
極細繊維は、例えば通常の湿式、乾式及び溶融紡糸法により直接紡糸された極細繊維、さらにメルトブロー法、海島型繊維紡糸法、ポリマーブレンド紡糸法、割繊糸法、分割糸法等によって得られる極細繊維が挙げられる。極細繊維の断面形状は特に限定されることはなく、例えば丸、3角、扁平、多葉断面等の任意の極細繊維が用いられる。また、極細繊維を形成する重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー、カチオン可染ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリアクリロニトリル系などの重合体が好適ある。極細繊維を形成する元繊維が複合繊維である場合、芯または、島成分としては上記重合体が好適であり、鞘または海成分としては、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン及びその誘導体の1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
極細繊維層の芯部に配置される弾性織物は、非弾性繊維を経糸とし、緯糸の少なくとも一部にポリウレタン繊維複合糸を用いた織物である。弾性織物の緯糸に非弾性糸が混用される場合、非弾性繊維糸の緯糸とポリウレタン繊維複合弾性糸とが、例えば1本ずつ交互に緯打ちする等により、織物中均一に分散して打ち込まれでいることが必要である。
【0017】
弾性織物の経糸には、全繊度が50〜200デニール程度の合成繊維のマルチフィラメントであり、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維のマルチフィラメントが好ましく用いられる。
複合弾性糸を構成するポリウレタン繊維としては、ポリエーテル系ポリウレタン繊維を用いることが最も好ましい。ポリエステル系ポリウレタン弾性繊維は、耐アルカリ性が劣るので、人工皮革染色の還元洗浄時に加水分解を起こし易い。また、ポリエーテルポリエステルブロック共重合系ポリウレタン繊維は、伸長回復性がポリエーテル系弾性繊維より小さい。
【0018】
複合弾性糸を構成する非弾性繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー、カチオン可染ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系の重合体からなる繊維が挙げられ、単独で使用してもよいし、二成分以上の重合体からなる繊維を用いることもできる。本発品では、従来人工皮革用の織物に使ってきたポリエステル系の捲縮糸、仮織加工糸の代わりにポリウレタン繊維を使用することで、長期にわたって伸長に対し元に戻ろうとする牽引力(キックバック力)を付与し、繰返し伸縮性能の耐久性を高めることができる。
【0019】
ポリウレタン繊維と非弾性繊維との複合糸の形態としては、ポリウレタン繊維の芯糸に非弾性繊維を鞘状に巻き付けてなるコアスパンヤーン、ポリウレタン繊維に非弾性繊維をコイル状に巻き付けてなるシングルカバリングヤーン、及びダブルカバーリングヤーン、ポリウレタン繊維と非弾性繊維を合燃した合撚糸、ポリウレタン弾性に非弾性繊維をエアージェットで交絡させてなる交絡糸などが挙げられる。複合糸の入手の容易さ、複合糸の生産性、コスト等を考慮すると、シングルカバリングヤーンもしくはダブルカバーリングヤーンの使用が好ましい。
【0020】
カバリング糸の場合、ポリウレタン繊維及び非弾性繊維の繊度は、それぞれ、繊度が10〜100好ましくは15〜80デニール、最も好ましくは20〜60デニールおよび全繊度が20〜200デニール好ましくは50〜180デニール、最も好ましくは70〜150デニールがよい。
使用ポリウレタン繊維の繊度が100デニールより太くなると、伸長回復性能は良くなるが、得られる人工皮革のごわごわ感、張り感が強くなり好ましくない。逆に10デニールより細くなると伸長回復性能が低く、十分な繰返し伸長回復性能の改善が得られない。一方、非弾性繊維の全繊度は20デニールより細くなると人工皮革とした場合、充分なレベルの引裂強度が得られず、逆に200デニールを超えると表裏面の極細繊維交絡体層との3次元液流交絡が難しく、剥離強度が低下して耐摩耗物性が劣化するし、また製品の風合いも硬くなる。
【0021】
弾性織物は、平織、綾織、朱子織等任意の織組織で織られていてよいが、織物の厚み、生産コストを考慮すると好ましいのは平織物である。生機状態の織物の織密度は、経が30〜70本/2.54cm、好ましくは40〜60本/2.54cm、緯が40〜75本/2.54cm、好ましくは50〜65本/2.54cmである。仕上げ織物での織密度は、経が35〜75本/2.54cm、好ましくは45〜65本/2.54cm、緯が45〜85本/2.54cm、好ましくは55〜75本/2.54cmである。
【0022】
弾性織物の仕上げ織密度が経で35本/2.54cm未満であると、織物として取り扱う際、目よれが起こり易くなるし、得られる人工皮革の引張、引裂強度が低くなり、商品価値が下がる。逆に、経糸が75本/2.54cmを超えると隣り合う経糸同士の影響で織物の開口面積が小さくなるため、表裏極細繊維交絡体間の絡まりが弱く、凹凸感が大きくなり、表面の平滑感が損なわれて商品価値が下がる。逆に、緯糸が85本/2.54cmを超えると隣り合う緯糸同士の影響で織物の開口面積が小さくなって、表裏極細繊維交絡体は絡まりが弱く、耐摩耗物性が劣ったものとなる。
【0023】
弾性織物の目付は、20〜200g/m2 の範囲にあることが好ましく、最も好ましくは30〜150g/m2 である。目付が20g/m2 未満になると、織物の取り扱いが厄介となり、経糸及び緯糸の目よれが起こり易くなって、表裏面の極細繊維交絡体層との積層が難しくなり、皺が入ったりする。逆に200g/m2 を超えると表裏面と極細繊維交絡体層との3次元液流交絡が妨げられ、剥離強度が低下して耐摩耗物性が劣化する。
【0024】
本発明で用いられる弾性織物の緯糸には、前述したようにポリウレタン繊維と非弾性繊維とを複合した複合弾性糸と、ポリエステルフィラメント糸とを組合せて用いることができる。ポリエステルフィラメント糸の全繊度は、50〜200デニール、好ましくは70〜150デニールである。ポリエステルフィラメント糸の全繊度が50デニール未満であると、風合いの落ち感が悪くなり、いかにも布ライクになる。逆に、全繊度が200デニールを超えると風合いのごわごわ感、張り感が強くなり好ましくない。このように、緯糸を混用する場合、例えば緯糸を構成する本数の少なくとも1/4以上(この場合、複合弾性糸と複合弾性糸の間に3本のポリエステルフィラメント糸がある状態の繰返しで打ち込まれる)にポリウレタン繊維と非弾性繊維を複合した複合弾性糸が打ち込まれている織物でなければならない。好ましくは緯糸を構成する本数の少なくとも1/2以上(この場合、複合弾性糸とポリエステルフィラメント糸が交互にある状態の繰返して打ち込まれる)にポリウレタン繊維と非弾性繊維との複合弾性糸が打ち込まれている織物が用いられる。最も好ましくは、緯糸全てが複合弾性糸の場合である。
【0025】
本発明に使用する水系ポリウレタンエマルジョンは、乳化剤、例えば非イオン系乳化剤の存在下で高い機械剪断力で水中により強制乳化して得られる非イオン性エマルジョンであり、そのエマルジョン粒子の平均粒子径が0. 1〜2. 0μmのものである。エマルジョン粒子の平均粒子径が0. 1μm未満では乾燥時のマイグレーションを抑制することができないので、耐摩耗性の良好な製品が得られないし、工業的に、安定に実施することが困難である。逆に、2. 0μmを越えると、エマルジョンの安定性も損なわれ、樹脂の成膜性が劣って、染色時のウレタンの脱落が起こり、耐摩耗性が損なわれる。
【0026】
本発明で使用される水系ポリウレタン樹脂としては、ポリエーテル系の無黄変ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系の無黄変ポリウレタン樹脂が耐熱性、耐熱水性、耐光性の性能から好ましいが特に限定されるものではない。
水系ポリウレタン樹脂を構成するポリウレタンの組成は、ポリオール成分として、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコールなどのポリエステルジオール類;ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングルコールなどのポリエーテルグリコール類;ポリカーボネートジオール類が挙げられ、イソシアネート成分としては、ジフェニルメタンー4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンー4,4’−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。また、鎖伸長剤としては、エチレングリコール等のグリコール類;エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミン類などを挙げることができる。そして、水系ポリウレタンエマルジョンは、上記の例示のポリオールとイソシアネート、鎖伸長剤とを適宜組み合わせて常法によって調製される。
【0027】
本発明において適用される水系ポリウレタン樹脂は、下記する特性を有するものあることが好ましい。
(1)強制乳化された非イオン性エマルジョンで、エマルジョン粒子の平均粒径が0. 1〜2. 0μmであること
(2)水系ポリウレタンエマルジョンを120℃で乾燥して作成した樹脂フィルムのN、N−ジメチルホルムアミドでの溶解率が12%以下であること
(3)樹脂フィルムと不織布シートの一体物で130℃乾燥処理した後、樹脂フィルムと不織布シートの接着強度(以後、接着強度A と略記する)で1. 2g/cm以下であること
本発明では、特性(1)〜(3)を満足する水系ポリウレタン樹脂を用いることで、含浸布帛の130℃液流染色でのポリウレタン脱落率をポリウレタン樹脂換算で10%以下に留めることができ、染色機壁への脱落ポリウレタンの付着が実質的に防止できる。その際、水系ポリウレタンエマルジョンを構成するポリウレタン樹脂の付与量(固形分)は、目的に応じて任意の量が採用される。
【0028】
本発明では、人工皮革を構成するポリウレタン繊維の弾性伸縮作用(伸縮性能)が、皮革中で拘束されないようにするために、三次元交絡布帛構造物の目付に対して極少量の3〜20重量部、好ましくは3〜15重量部、最も好ましくは3〜10重量部とする。ポリウレタン樹脂量が3重量部未満であると極細繊維の交絡点上に有効にポリウレタン樹脂が付着しないので、耐摩耗物性が損なわれる。逆に、20重量部以上になると、肝心のポリウレタン繊維の伸長回復の弾性伸長の動きを拘束してしまうので、好ましくない。
【0029】
水系ポリウレタン樹脂は、前記の(1)〜(3)の特性に加えて、下記の特性(4)及び(5)を有する水系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
(4)水系ポリウレタンエマルジョン原液を風乾後、130℃処理して得られる樹脂フィルムの差動走査熱量計(DCS)による300℃迄の昇温過程で発熱する発熱ピークの発熱量が50mj/mg以下で、且つ該発熱ピークのトップ温度が215℃以上、且つ
(5)水系ポリウレタンエマルジョンを180℃乾燥処理した後の樹脂フィルムとステンレス板との接着強度(以後、接着強度Bと略記する)が700g/cm以下の樹脂特性が組み合わされた水系ポリウレタン樹脂であること
特性(4)〜(5)を有する水系ポリウレタン樹脂を使用すれば、通常の水系ポリウレタン樹脂より耐熱性が優れているので、液流染色時の水系ポリウレタン樹脂の人工皮革からの脱落量が少なく、脱落しても染色機壁に接着したり、脱落ウレタンが生地に再付着し難いので、液流染色機の稼働率と加工収率を高めることができる。また、染色時のポリウレタン樹脂の脱落を抑制することができるので、極々少量(3〜10重量部)のポリウレタン樹脂量で必要な消費性能を製品に付与することができる。その結果、人工皮革内部におけるポリウレタン繊維の動きの拘束を軽減するので、繰返し伸長の際、弾性伸縮性能を最大限に発現することができる。
【0030】
このような水系ポリウレタンエマルジョンは、以下の方法によって調製することができる。
疎水性ポリオール、水中でのエマルジョンの分散性を高めるための親水性を付与する成分およびポリイソシアネートを原料として、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを公知の一段法もしくは多段法式のイソシアネート重付加反応法を適用して、必要に応じて、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロール、1,4−ブタンジオ−ル等の2個以上の活性水素原子を有する低分子鎖伸長剤を添加して、反応温度40〜150℃で合成した末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル)の溶液に非イオン活性の乳化剤を混合し、ホモミキサーもしくはホモジナイザー等を用いて水中に強分散させ、1分子中に2個以上の一級および/または2級アミン基を有するポリアミン化合物を鎖伸長剤として添加して鎖伸長する方法で調製される。
【0031】
疎水性ポリオール成分としては、末端が水酸基になっていて、分子量が500〜4,000の、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレートアジペート、ポリエチレンイソフタレートアジペート、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジペート等により製造されたポリエステルポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリオールが挙げられる。
【0032】
水系ポリウレタンエマルジョンの水中での分散性を高めるため、親水性を付与する目的で組み込まれるポリオキシエチレン基を与える化合物の例としては、分子量400〜4000のポリオキシエチレングリコ−ル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールおよびポリオキシエチレンテトラメチレングリコール等が挙げられ、ウレタンプレポリマーの製造に用いられる全ポリオール成分中に占めるポリオキシエチレン基の含有量は、5〜30重量%が望ましい。
【0033】
ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族のポリイソシアネートが使用でき、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジン、ピペラジン、ジアミンジフェニルメタン、トリレンジアミン、キシレレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
【0034】
水系ポリウレタン樹脂の特性(1)〜(3)を満足する市販の水系ポリウレタンエマルジョンとして、具体的に例を挙げるとポリエーテル系ウレタン樹脂、エバファノールAP−12(日華化学(株)製、固形分40重量%)があり、後述するキマソーブ944LD(商品名チバガイギー社製酸化剤)を併用することで(4)、(5)の樹脂特性が発揮される。また、(1)〜(5)の樹脂特性を同時に満足する市販の水系ポリウレタンエマルジョンとして具体例を挙げるとポリカーボネート系ウレタン樹脂エバファノールAPC−55(日華化学(株)製、固形分35重量%)がある。
【0035】
前述したように、本発明によれば従来のポリウレタン樹脂溶液を用いるポリウレタン樹脂含浸加工に比べて、ポリウレタン樹脂の使用量を約1/3(10重量%以下)に逓減させながらも実用に耐えうる性能を得ることが可能であり、加えて皮革構造内のポリウレタン繊維の動きの拘束を軽減して、その伸縮性能を最大限に発現させることができる。このように、少ない樹脂量で前記した性能が得られる理由には、水系ポリウレタン樹脂が繊維との交絡点に凝集するように接着樹脂皮膜が形成されているものと推定される。
【0036】
ポリウレタン樹脂エマルジョン中に必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤、顔料等の着色剤、浸透剤などの界面活性剤、防黴剤、増粘剤、ポリビニルアルコール、CMC等の水溶性高分子化合物、ポリビニルメチルエーテル系などの熱感促進剤などを添加することもできる。特に、水系ポリウレタンエマルジョンに耐熱性向上剤として酸化防止剤を併用することは有効である。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系の高分子グレードが特に優れた効果を発揮する。例えば「キマソーブ 944LD」(チバガイギー社製)などがある。酸化防止剤の添加量は、ウレタン樹脂の固形分に対して0.5〜10重量%の範囲であり、好ましくは1〜5重量%である。酸化防止剤の添加量が0.5重量%未満では耐熱性向上効果が不十分で、10重量%を超えて添加しても耐熱性がそれ以上向上せず、逆に泡立ち、風合の低下、コスト高を招くので好ましくない。
【0037】
上述した通り、本発明は芯部に緯糸構成本数の少なくとも1/4をポリウレタン繊維と非弾性繊維との複合弾性糸とする弾性織物を配置した極細繊維交絡布帛構造と含浸、充填ウレタン樹脂としての水系ポリウレタン樹脂の使用とを組み合わせた人工皮革構造によって人工皮革の緯伸縮回復性を高めると共にその動的耐久性を向上させるものである。
【0038】
本発明の人工皮革が奏する緯伸縮回復性とその動的耐久性の向上は、後述する実施例で記載されるように顕著なものがある。本発明に係る人工皮革は、緯20%伸長回復率が85%を超える値を示し、一般に緯20%伸長回復率が80%を有する人工皮革がストレッチ性が優れるとされている値であるから、極めて高レベルのストレッチ性能を有するものといえる。
【0039】
次に、本発明の人工皮革は、後述する人体の肘に相当する動きが可能な動バギング試験装置の測定で動バギング値で表される緯伸縮回復性の動的耐久性を顕著に高めることにより、人工皮革の外衣二次製品において問題となる抜け、へたりの問題を解決するものである。ここに、動バギング試験装置は、人体の肘の屈曲動作を疑似的に再現し、肘の屈曲(10,000回)によって生じる人工皮革の抜け面積を測定、評価すべく、本願人により製作された試験装置である。
【0040】
本発明の人工皮革は、動バギング試験法に従って後述の試験を行い、24時間放置した後の抜け面積(動バギングB)が抜けが注意すれば判るレベルの30cm2 以下、好ましくは20cm2 以下を示す。
本発明の人工皮革では、一度繰返し伸縮で抜けた部分が自然な状態に放置しておくと元の状態まで戻る緯方向の高耐久伸縮性能を示し、婦人、紳士衣料素材として使用しても、従来品よりも型くづれが起こり難く、初期のシルエットを保持できる布帛素材ということができる。
【0041】
以下に、本発明の人工皮革の製造方法について説明する。
ポリエステルマルチフィラント糸を経糸とし、ポリウレタン弾性繊維糸にポリウレタン繊維よりも熱収縮性が小さなポリエステル繊維糸をシングルカバリング等によって調製した複合弾性糸を緯糸に用いてエアージェットルーム、レピア織機と汎用の織機を用いて所定の織密度で打ち込んで弾性織物を製織する。その後この弾性織物の生機を、巻き戻しながら直接乾燥機に通し、ポリウレタン繊維の伸縮特性を低下させない範囲の温度、張力の下で熱セットされる。この熱セットによって、カバリング弾性複合糸中のポリエステル繊維の熱収縮が小さくなり、ポリウレタン繊維の熱収縮も抑制してポリウレタン複合弾性糸の熱収縮が抑制され、結果として、織組織の乱れ、シボの発生が抑制された形状的に安定した弾性織物に仕上げることができる。
【0042】
弾性織物の生機は、緯糸を組織しているポリウレタン繊維の回復力が大きいため、フリーテンション状態では直ちに収縮して、目よれが起こってしまうので、生機弾性織物を振り落しせずに、製織後の巻形態の状態からテンションを掛けて拡布しながら生機セット工程に送ることが肝要である。前記の熱セットは、140〜190℃の乾燥機内を10〜20秒間通して行われ、その後、40〜100℃の範囲で1〜5分間、特に低温から温度を変化させた2段又は3段以上の多段リラックス法による熱水リラックス加工を行った後、拡布しながら160〜190℃の乾燥機中を10〜30秒間通して乾燥する方法を採用して,極細繊維ウエブとの積層に先立って弾性織物を調製することが望ましい。前記の、乾燥セット工程における弾性織物に加わる張力は乾燥時のピン外れ、ポリウレタン繊維のセット性の甘さが原因のシボ、目よれ、弾性織物緯方向の幅不同となり、逆にセットが強すぎるとポリウレタン繊維の伸縮性自体が無くなるなど問題が起こる。弾性織物において、緯糸の1/2以上が複合弾性糸で占められている弾性織物を用いる場合、熱水リラックス加工時の熱収縮が大きくなり、以下の工程が不安定となるので、生機セットしてポリウレタン複合弾性糸の熱収縮を減じることが必要である。
【0043】
以上の如くセットされた弾性織物を挟んでその両面に、0. 5デニール以下の極細繊維から、カード、クロスレイヤー、ランダムウェッパー等の乾式法、湿式抄造法等により調製された0. 5デニール以下の極細繊維からウエブを重ね積層が調製され、液流(水流)交絡処理して3次元交絡させることで一体化して得られる。
【0044】
ここでいう液流(水流)交絡処理とは、前述した弾性織物の両面に極細繊維ウエを積層し、50〜150メッシュの網状支持体上に載置して、表裏面を少なくとも一回以上水流交絡処理することである。その際、積層物中の弾性織物、極細繊維ウエブの目付を考慮し,ノズルの口径、間隔、配列,ノズルの揺動幅、揺動速度,積層物の走行速度,処理水圧などを適宜選択すればよい。通常、ノズルの口径は0.08〜0.8mm程度、水圧は10〜150kg/cm2 が選ばれる。水圧が10kg/cm2 以下であると極細繊維ウエブと弾性織物の間で充分な交絡強度が得られず、耐磨耗物性が悪化する。逆に、150kg/cm2 以上の高圧での処理は、交絡のノズル軌跡が表裏面に深く刻み込まれ、表面の凹凸が激しく、製品品位が著しくそこなわれるため好ましくない。本発明の水流交絡では、表裏面の極細繊維ウエブと弾性織物を交絡させる際、ノズル軌跡跡が著しく目立つような高圧水流で処理せずに、例えば、ノズルの口径0.04mm以下の細径ノズルで順次低圧から水圧を上げ,複数回表裏両面を水流処理して、交絡構造を強固にしていくことが好ましい。
【0045】
三次元交絡処理をニードルパンチ法で行うことは、針打ちで複合弾性糸を傷つける可能性があるため好ましくない。湿式抄造法によるウエブを積層し、これに液流交絡法を適用して不織布シート状物を製造する方法が機械的物性低下の原因となるポリウレタン複合弾性糸が損傷を受けることがないので好ましい。
本発明では上述した3次元交絡体に特定の樹脂特性を有する水系ポリウレタン樹脂を含浸法により付与して人工皮革原反が調製される。使用される水系ポリウレタン樹脂は、強制乳化した非イオン性エマルジョンの形で得られ、平均粒子径が0. 1〜2. 0μmのエマルジョンである。この様な水系ポリウレタンエマルジョンを基布内部に均一に固定するには、乾燥時に起こるマイグレーションを防止することが必要である。本発明ではマイグレーション防止のため、アルカリ金属又はアルカリ土類金属から選ばれる1価又は2価の金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの無機塩類、例えば、NaCl、Na2 SO4 、NaNO3 、CaSO4 、CaCl2 、MgCl2 などが用いられるが、工程管理、原料の入手し易さ、経済性、公害等の見地から総合的に判断するとNa2 SO4 が好ましい。例えば、予め水系ポリウレタンエマルジョン中にNa2 SO4 を溶解、混合して、60〜80℃の温度で水系ポリウレタンエマルジョンが感熱ゲルを起こす様に調整し、樹脂成分が表層までマイグレーションを妨げるように工夫することが大切である。
水系ポリウレタンエマルジョンのマイグレーションの防止作用を得るために用いれれる無機塩類の添加濃度は、塩の種類によってゲル化性が異なるので、一概にいえないが、エマルジョンの固形分に対して1〜10重量%が望ましい。水系ポリウレタンエマルジョンは、加熱されても、樹脂濃度が20%未満では感熱凝固しないが、無機塩類を添加することで80℃以下の温度で加熱した時に感熱ゲル化を生じる様に調整することができ、水系ポリウレタンをシートの内部にまで均一に付与することが可能になる。多量の無機塩類の添加はエマルジョンが室温でゲル化を起すことがあるので避けるべきである。
【0046】
無機塩類を添加した水系ポリウレタンエマルジョンを極細繊維と弾性織物の交絡布帛構造物に付与する方法は、含浸法、スプレー法、コーティング法等任意の方法を適用して実施できる。
付与する水系ポリウレタンエマルジョンの量は、三次元交絡布帛構造物の目付に対して3〜20重量部,好ましくは3〜15重量部、最も好ましくは3〜10重量部である。この範囲になるように水系ポリウレタンエマルジョン液の固形分濃度、ピックアップ率等を調整すればよい。含浸斑を減ずるには水系ポリウレタンエマルジョン液の固形分濃度が3〜20重量%であることが好ましい。濃度が20重量%以上になると,水系ポリウレタンエマルジョン液の粘度が高くなりすぎて、均一に含浸できないとがある。逆に,3重量%未満になると次の乾燥処理時に除去する水の量が増えて、非効率になる。また、上述の濃度範囲内の水系ポリウレタンエマルジョン溶液を目的の水系ポリウレタン付与量が達成されるようピックアップすればよいが、余り低濃度の溶液でピックアップ率が高くなると,次の乾燥処理時に除去する水の量が増えて,非効率になる。通常はピックアップ率が50〜200%になるように水系ポリウレタン樹脂の濃度を調整することが好ましい。
【0047】
付与後の乾燥は、熱風乾燥、赤外線乾燥、高周波加熱等任意の加熱手段を適宜適用することができるが、ピンテンターやクリップテンターなどの熱風乾燥機を用いるのが一般的である。乾燥温度は感熱性を付与した水系ポリウレタンエマルジョンのゲル化温度以上であることが必要である。この温度は、一般的には、60〜80℃とするのが好ましい。ゲル化した樹脂の性能を充分に発揮させるためには、乾燥温度は最低でも110℃とすることが必要で、望ましくは120℃以上である。しかし、ポリウレタン繊維の熱劣化を考慮する必要から、190℃以上の乾燥温度は避けるべきである。例えば、複数の乾燥室を有するピンテンター乾燥機を用いる場合、乾燥機中前半で比較的低温(80〜140℃)で徐々に水系ポリウレタンエマルジョンを含浸させた三次元交絡布帛構造物中の水分を除去し、その後乾燥機後半で水系ポリウレタン樹脂を熱セットすることで水系ポリウレタン樹脂の布帛構造物の表面へのマイグレーションを抑制、防止しつつ加工する方法を採用することが望ましい。
【0048】
このように調製された人工皮革原反は、染色することができる。染色には、染色操作中に揉布効果で起毛のなびきがよく、比較的低張力の下で染色できる液流染色機を用いると、ポリウレタン繊維の伸長性を損なわず染色ができるので好適である。液流染色方法として、例えば特開平07−229071に記載される液流染色方法を適用することもできる。但しあまりノズル圧が高圧であったり、強い張力がかかる条件下の染色は、ポリウレタン繊維の構成ポリマーが「フロー」、「脆化」して、ポリウレタン繊維の「パワーダウン」、「伸びきり」欠点を誘発し、伸縮性能が損なわれるおそれや、生地の損傷を起こして商品価値を損ねる。液流染 色の適正なノズル圧力の範囲は0.5〜3.0Kg/cm2 である。適正なノズル圧の範囲内で染色を実施すれば、ポリウレタン樹脂の脱落がほとんど無く、脱落ポリウレタン樹脂による汚染、物性低下も起こらない。
【0049】
実施例及び比較例おいて参照する各測定値は、下記する測定方法によるものである。
(1)平均粒子径の測定:
堀場製作所製の自動粒径測定装置を用いて、分散媒を水とした光透過法遠心沈殿法によりディスク回転速度3,000rpmで測定したものである。平均粒子径は、容積基準のメジアン径で示す。
【0050】
(2)DMF溶解率の測定:
水系ポリウレタン樹脂エマルジョンの原液(固形分:30〜40重量)を0.25mmのアプリケータでガラス板上にコートし、25℃の室温下20時間乾燥し、フィルムを作成した。前記フィルムをガラス板ごと120℃の熱風乾燥機内に入れ20分間熱処理した後、ガラス板よりポリウレタンフィルムを剥がし、10cm平方のサイズにカットした試料の重量(W1)を測定した。次いで、DMF原液中(25℃)に6時間浸漬した後、60℃の乾燥機内で乾燥して重量(W2)を測定する。ポリウレタン樹脂中の界面活性剤を除いた重量減より溶解率を求めた。
【0051】
(3)粘着性の測定:
上記(2)の要領で熱処理した熱処理フィルムを調製した。このポリウレタンフィルムを染色工程を想定し130℃の熱水中で30分間処理した後、カセイソーダ、二酸化チオ尿素、各2g/Lの溶液中で、80℃、15分間の処理を行い、60℃の乾燥機内で乾燥した。このフィルムの上に、0.5d/f以下の極細繊維ポリエステルを素材とした不織布シートを重ねて、ガラス板でサンドイッチ状に挟み、130℃で30分間熱風乾燥機内で処理した。このとき、フィルムにかかるガラス板の加重は15g/cm2 で一定とした。フィルムと不織布シートの一体物を取り出し2.5cm巾にカットして、引張強伸度測定機で接着面の強度を測定した。
【0052】
(4)発熱量、発熱ピークのトップ温度の測定:
差動走査熱量計(DSC、例えば、SEIKO I&E社製 DSC200/TG/DTA200)を用い、サンプル重量5〜10mg、昇温速度10℃/分、空気フローで300℃までの昇温を行い、発現ピークの解析を行った。
測定試料であるウレタン樹脂フィルムは、エマルジョンの原液(固形分:35〜40重量%)を0.75mmのアプリケータでガラス板上にコートし、25℃の室温下で20時間乾燥してフィルムを作成する。次いで130℃の熱風乾燥機内に上記フィルムをガラス板ごと入れ、20分間熱処理したのち、ガラス板よりポリウレタンフィルムを剥がし、130℃の 熱水中で20分間処理した後、80℃で15分間の処理を行い水洗後、風乾して得た試料を用いた。
【0053】
(5)接着強度の測定:
上述の方法で処理したフィルムを0.05mm厚のステンレス板(SUS304)上に置き、熱風乾燥機で180℃、20分処理した後、ステンレス板ごと2cm巾にカットして引張強伸度測定機で接着面の強度を測定した。なお、この際剥離するウレタンフィルムにテープなどを貼りフィルムの伸びを止めることで測定精度が向上する。
【0054】
(6)500g荷重伸びの測定:
JISーLー1096伸長率(定速伸長法)4.90{0.5Kgf}荷重時の伸長率を求めた。
(7)伸長回復率の測定:
JISーLー1096繰返し定速定伸長法(20%定伸長)にしたがって、3回繰返し測定した。結果は3回目の測定値で示す。
【0055】
(8)動的繰返し伸張特性の評価(動バギング試験):
▲1▼ 動バギング試験装置
デマッチャー試験機(JIS−L−1061)を参考にして考案した動バギング試験装置を用いて、動的繰返し伸張特性を評価した。図1及び図2は、動バギング試験装置の構造、作動の模式的説明図である。動バギング試験装置は、人工皮革の試料片に肘曲げ動作を模した屈曲運動を繰り返し与える装置で、後述の疑似肘(10)に装着した試料を、試料(S)の下部チャック(2)と上部チャック(1)との間に、把持距離Cを置いて上下端を位置決めて固定してセットし、疑似肘を下部チャック2を上部チャックに向けて上下動させて所定回数疑似肘を屈曲させるように設計されている(図2の作動説明図参照)。下部チャック(2)、上部チャック(1)は、天板(3)を上端部に固定したロッド(5)、(5’)上にスライド可能に支承され、天板(3)は下端が上部チャック(1)に回転可能に固定され、上端がハンドル(4)に固定されているネジロッド(4a)に回転可能に支承して、ハンドル(4)の回転によって上部チャック(1)との距離Aを設定することにより、疑似肘の屈曲角、すなわちサンプル片の機台上下に沿った屈曲角を所定値に設定できるように設計されている。そして、下部チャック(2)の上下動は、ホイール(6)の回転によるクランク(7)上下動により駆動される。
【0056】
疑似肘(10)は、図3で示されるように2片のそれぞれ厚み1mm、長さ140mm、幅18mmのステンレス板(11a)と(11c)とをそれぞれの一端でピン(11b)の周りに回転可能に連結して長さ270mmのフレーム(11)を形成し、このフレームを芯に木綿布枠内に20mm角のポリエステル繊維のトリコットを詰めた直径68mmの木綿型枠筒状体その中央部で前記の連結ピンを支点として屈曲する構造のものである。測定試料は、筒状に縫製して疑似肘に挿入され、フレームの両端を下部チャック(2)、上部チャック(1)に固定して(具定具は図示せず)セットされる。
【0057】
▲2▼ 試料の調製:
人工皮革をタテ300mm×ヨコ235mmの長方形(0.5mm間隔の方眼目盛りを試料上に付けておく)に裁断して採取し、試料片の長辺を重ねて内側10mmに沿って筒状に縫付けて調製される。長さ方向(300mm)が人工皮革の経/緯方向に相当する試料を各1枚採取した。
【0058】
▲3▼ 試験方法:
試料を図3に示す疑似肘に挿通して、疑似肘に装着した。次いで、試料を装着した疑似肘を下部チャック(2)と上部チャック(1)の間隔が275mmになる様に真直ぐセットした。試料を装着した疑似肘が「く」の字(最屈曲時で試料固定部の間隔175mm、肘まげ角度は最大120度、内角60度)になるまで屈曲させまた元の状態まで戻す動作を1サイクルとして、屈曲速度100rpmで10,000回繰り返した。
【0059】
▲6▼ 動バギング測定結果:
動バギング試験終了直後、試験試料の抜けにより平面から盛り上がった部分の面積を求めてこれを動バギングA値とした。その24時間放置後、抜けにより平面から盛り上がった部分の面積を求めこれを動バギングB値とした。測定値と目視で評価結果の対応は以下の通りである。
【0060】
抜け部面積 目視観測結果 判定
(動バギングB値)
40cm2 以上 抜けた部分が目立つ。 ××
30〜40cm2 抜けた部分が判る。 ×
20〜30cm2 抜けた部分が注意すれば判る △
20cm2 以下 抜けた部分が判らない。 ○
【0061】
【実施例】
実施例1
経糸に100d/ 48fポリエステルフィラメント、緯糸にポリウレタン弾性複合糸を用いて平織物を織り弾性織物を調製した。使用したポリウレタン弾性複合糸は、ポリエーテルウレタン繊維20d/1f(旭化成工業(株)製ポリウレタン弾性糸、製品名ロイカ)に75d/36fのポリエステルフィラメントをシングルカバーしたポリウレタン弾性複合糸を用いた。生機織物を170℃で20秒間生機セットし、続いて60、80、100℃の3段リラックスを行った後、拡布しながら180℃、30秒乾燥機を通して、目付量61g/ m2の仕上げ弾性平織物(織密度、経:49本/2.54cm2 、緯:54本/2.54cm2 )を得た。
【0062】
一方、直接紡糸法によって得られた単繊維繊度0. 1デニールのポリエチレンテレフタレート極細繊維( PET極細繊維と以下略記) を長さ5mmにロータリーカッターで切断した、極細短繊維を水中に分散せしめ抄造用スラリーとした。このスラリーを抄造し、目付50g/m2 の不織布シートを製造した。弾性平織物の両面に上記不織布シートを積層し、高速水流の噴射により3次元的に交絡一体化させた。高速水流は揺動する孔径0. 2mmノズルから30Kg/ cm2 の圧力で噴射した。積層シートは下面に吸引装置を有する80メッシュの金網に載せ、ノズルから30mmの位置で高圧水流に衝突させた。積層シートの表裏面からこの操作を表裏各4回繰返し、目付160g/ m2、厚み0. 55mmの不織布シート状物を製造した。
【0063】
この不織布シート状物を#400のエメリーペーパーを用いてペーパー速度1000m/ 分で表面をバフィングした。次いで、日華化学(株)製、水性ポリウレタン「AP−12」(強制乳化型非イオン系、固形分40(%))、平均粒子径0. 6μmのポリエーテル系水性ポリウレタンエマルジョンで、ポリウレタンエマルジョン溶液中の樹脂分が9重量%で、感熱剤としてNa2 SO4 4重量%、キマソーブ944LD(商品名、チバガイギー社製酸化防止剤)、1.0重量%を加えた調合液を含浸し、マングルでピックアップ率120(%)になるように絞り、その後130℃のピンテンター乾燥機で3分間加熱した。用いた水性ウレタン樹脂フィルム性能は、DMF溶解率7%、接着強度A1.0(g/cm)、発熱量39mj/mg、ピーク温度228℃、接着強度B600(g/cm)であった。
【0064】
かくして得られた人工皮革の原反を70リットルの浴で浴比1:30になるように設定した液流染色機で、ノズル圧1.3g/cmでブルー系の分散染料10%owf%の濃度で、130(℃)、20分間染色した。その後、二酸化チオ尿素、苛性ソーダ各2g/lで80(℃)、15分間還元洗浄し、水洗、乾燥して仕上げた。液流染色機は、染色後そのストレーナー(#20)に殆ど付着物がなく、水洗で容易に掃除することができた。 染色仕上げ後の人工皮革の試験、評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例2
実施例1の緯糸の50%が実施例1のポリウレタン弾性複合糸、残り50%を100d/48fポリエステルマルチフィラメントとして、実施例1と同様に仕上げ処理して目付量57g/ m2 の仕上げ平織弾性織物(密度、経:48本/2.54cm、緯:56本/2.54cm)を準備した。この平織弾性織物を以下実施例1と同様の方法、条件、操作を経て、人工皮革の表1に掲げる試験、評価結果を示す染色仕上げ人工皮革を得た。
【0066】
実施例3
実施例1の緯糸の25(%)が実施例1のポリウレタン弾性複合糸、残り75%が100d/48fポリエステルマルチフィラメントを緯糸として、実施例1と同様の仕上げ方法を適用して、仕上げ目付量が58g/ m2 の平織物(密度、経:48本/2.54cm、緯:57本/2.54cm)を準備し、以下実施例1と同様と同様の方法、条件、操作を経て、人工皮革の表1に掲げる試験、評価結果を示す染色仕上げ人工皮革を得た。
【0067】
比較例1
経、緯に100d/ 48fポリエステルフィラメント糸からなる目付量57g/ m2 の平織物(密度、経:47本/2.54cm、緯:60本/2.54cm)を準備し、生機セットを行わない以外は、実施例1と同様の方法、条件、操作を経て、人工皮革の表1に掲げる試験、評価結果を示す染色仕上げ人工皮革を得た。
【0068】
比較例2
水系ポリウレタンエマルジョンの代わりにクリスボン 1836ーP(商品名、大日本インキ化学工業(株)製溶液タイプポリウレタン樹脂、樹脂固形分:35重量%)を用いた以外は、実施例1に準じて人工皮革を調製した。
比較例3
実施例1の水系ポリウレタンエマルジョンの代わりに、スーパーフレックス(商品名、第一工業製薬(株)製のポリエーテル系水系ポリウレタンエマルジョン、固形分40重量%)を9重量%を用いる以外は、実施例1と同様にして、人工皮革を調製した。使用した水系ポリウレタン樹脂は、DMF溶解率が16%、接着強度Aが3.5g/cm、発熱量が80mj/mg、ピーク温度が190℃、接着強度Bが847g/cmのものであった。
【0069】
この人工皮革は、染色の際、ポリウレタン樹脂の脱落が著しく、人工皮革原反に付着した樹脂量の約40重量%が脱落し、染色反はその表面に多量の脱落ポリウレタン屑が付着した製品価値の全くないものであった。また、液流染色機のストレーナー(#20)には、粘着性を帯びた茶褐色の付着物が多量に付着して、ワイヤーブラシで強く擦らないとその付着物を除去することができいなかった。
【0070】
【表1】
Figure 0004146546
【0071】
表1中、緯20%伸長率及びバギング値B(緯方向の動バギング試験24時間放置後の平面から盛り上がった部分の面積cm2 )は、人工皮革の緯方向におけるストレッチ性能及び動的繰返し伸縮回復性の耐久性をそれぞれ示す測定値である。表1に、緯20%回復率及びバギング値Bについて、本発明の実施例(緯糸を構成する本数の少なくとも1/4にポリウレタン複合弾性糸を使用した弾性織物を芯部に有する本発明の人工皮革)と比較例1(緯糸の全てを非弾性糸とした織物を芯部に有する人工皮革)とを対比すると、実施例では緯20(%)伸長回復率が92〜87%、バギングB値が3〜15cm2 であるのに対して、比較例1のそれらは82%、34cm2 である。本発明の実施例人工皮革のストレッチ性及び動的繰返し伸縮回復性の耐久性は、顕著に改良されており、本発明の人工皮革が緯方向の繰返伸長を受けたとき、抜けやへたりが実質的に起さない製品であることが明瞭である。
【0072】
【発明の効果】
本発明の人工皮革は、外観、柔軟性、風合いなどの感性面の品質が良好で、かつ繰返し伸縮性能が良好であるため、長期にわって着用時のシルエットを美しく保つことができる婦人、紳士用の外衣料を得ることが可能な布帛素材である。本発明で供される繰り返し伸縮性能が優れた人工比較は、これで作られた婦人外衣は一日着衣した後、一晩ハンガーに掛けておけば、抜けやへたりが起った部位が容易に着用前の形状に復元するという、イージーケア性に優れ、製作時のシルエットを長期間維持することができる。また、本発明は、従来品のように幅入れさせることがなくとも、同等以上のストレッチ性を有しているので、より広幅設計の設計が可能で、裁断時の型取り効率が良くなるなど、ファッションの要請に応える外衣生地として商品価値の高い人工皮革の提供を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】人工皮革の動的繰返し伸縮回復性試験するための動バギング試験装置の説明図。
【図2】図1で示す動バギング試験装置の説明図の屈曲作動説明図。
【図3】疑似肘の構造及び屈曲作用説明図。
【符号の説明】
100…動バギング試験装置
10…疑似肘
S…試料
2…下部チャック
1…上部チャック
A…天板/上部チャック間距離
B…距離変化目盛(最小位置)
C…試料把持距離(初期試料長)
D…最屈曲試料長
3…天板
5,5’…ロッド
4…ハンドル
6…ホイール
7…クランク
8…架台
11a,11a’…ステンレス板
11b…連結ピン

Claims (7)

  1. 0.5デニール以下の極細繊維交絡体層とその芯部に介在する弾性織物とが結合して布帛構造を形成してなる人工皮革であって、前記弾性織物は緯糸構成本数の少なくとも1/4がポリウレタン繊維と非弾性繊維との複合弾性糸からなり、前記極細繊維交絡体層内の極細繊維が前記弾性織物と3次元交絡しており、該布帛構造が水系ポリウレタン樹脂で充填されてなる緯方向の動的繰返し伸縮回復性を有する人工皮革。
  2. ポリウレタン繊維がポリエーテル系ポリウレタン繊維である請求項1記載の人工皮革。
  3. 複合弾性糸を構成するポリウレタン繊維と非弾性繊維の繊度がそれぞれ10〜100デニール及び20〜200デニールである請求項1記載の人工皮革。
  4. 芯部に介在する弾性織物が仕上げ織密度が経35〜75本/2.54cmで緯45〜85本/2.54cmある請求項1記載の人工皮革。
  5. 動的繰返し伸縮回復性で、緯方向の動バギングB値が30(cm2 )以下を示す請求項1記載の人口皮革。
  6. 緯糸構成本数の少なくとも1/4がポリウレタン繊維と非弾性繊維の複合弾性糸で組織された弾性織物の両面に、0.5デニール以下の極細繊維ウエブを積層し、極細繊維交絡体層を形成すると共に前記極細繊維の一部を前記弾性織物に交絡して結合して得られるシート状物を、無機塩類を溶解、混合した水系ポリウレタンエマルジョン溶液に含浸させ、加熱、乾燥することからなる動的繰返し伸縮回復性を有する人工皮革の製造方法。
  7. 無機塩類がアルカリ金属又はアルカリ土類金属からなる中性塩であって、1価又は2価の硫酸塩、硝酸塩、塩化物の群から選択される少なくとも1種の無機塩である請求項6記載の動的繰返し伸縮回復性を有する人工皮革の製造方法。
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