JP4110343B2 - ショ糖脂肪酸エステルを含有する分散性組成物 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステルを含有する分散性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料中でのショ糖脂肪酸エステルの沈殿を防止する方法に関する。より詳細には、飲料に抗菌若しくは防腐目的でショ糖脂肪酸エステルを配合するにあたって、該ショ糖脂肪酸エステルを析出ないしは沈殿させることなく安定に可溶化ないしは分散させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ペットボトル入り飲料や紙容器入り飲料の増加に伴い、飲料中でも生育し、飲料内容物に変敗をきたす細菌が問題となっている。すなわち、ペットボトル入り飲料や紙容器入り飲料は、密封容器の材質上の問題から、缶入り飲料や瓶入り飲料のように高温での殺菌を行うことができず、そのため飲料中に細菌が残存し、流通過程若しくは保存中に飲料の内容物が変敗してしまうという問題が生じている。
【0003】
従来から、原料から混入する耐熱芽胞菌の発芽や増殖を抑制して飲料の変敗を防止する目的で、ショ糖脂肪酸エステルが使用されているが、該ショ糖脂肪酸エステルは酸性pH領域での分散性が悪く、沈殿を生じるという欠点を有している。
【0004】
かかる問題を解決するため、例えばコーヒー・茶系飲料などの弱酸性飲料においては、従来から飲料のpHを弱酸性から中性域に調整することが行われており、またショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルと併用することでショ糖脂肪酸エステルの分散性を改善する方法も試みられている(特開平6ー261718号公報、特開平7-289875号公報)。
【0005】
しかしながら、前者のpH調整による方法は飲料本来の風味を損ない、また後者の方法はpH4.5以下、特にpH3.5以下といった高い酸性域にある飲料に対しては十分な分散安定化効果(沈殿防止効果)が得られないという問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、飲料を対象として、抗菌若しくは防腐目的で用いられるショ糖脂肪酸エステルの可溶性及び分散性を高めることによって、該ショ糖脂肪酸エステルの析出ないしは沈殿を防止する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
より詳細には、弱酸性〜酸性、特にpH4.5以下といった高い酸性度を有する飲料に配合してもショ糖脂肪酸エステルを析出ないしは沈殿させることなく、安定に溶解ないしは分散することのできる組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、該組成物を含有することによってショ糖脂肪酸エステルの可溶性及び分散安定性が改善された飲料、とりわけ清澄な酸性飲料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねていたところ、ガム質を抗菌・防腐作用を有するショ糖脂肪酸エステルと併用することによって、飲料、特にpH4.5以下といった高い酸性度の飲料においても、ショ糖脂肪酸エステルを析出ないしは沈殿させることなく安定に溶解ないしは分散させることができることを見いだした。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明はショ糖脂肪酸エステルとガム質を含有する飲料中で可溶化ないしは分散可能な組成物である。より詳細には、本発明は飲料溶液中のショ糖脂肪酸エステルを可溶化ないしは分散可能とする組成物であって、ショ糖脂肪酸エステルとガム質を含有することを特徴とする可溶性・分散性組成物である。当該組成物には、下記の態様のものを含めることができる。
(1)ショ糖脂肪酸エステル、並びにアラビアガム,ペクチン,大豆多糖類,キサンタンガム,カラギーナン及びプルランよりなる群から選択される少なくとも1種のガム質を含有する組成物。
(2)ショ糖脂肪酸エステル、並びにアラビアガム,ペクチン及び大豆多糖類よりなる群から選択される少なくとも1種のガム質を含有する組成物。
(3)ショ糖脂肪酸エステルが、炭素数10〜20の脂肪酸とショ糖とのエステルであってモノエステルの含有率が70%以上のものである組成物。
(4)ショ糖脂肪酸エステル1重量部に対してガム質を1〜100重量部の割合で含有する組成物。
(5)さらにグリセリン脂肪酸エステルを含有する上記いずれかの組成物。
(6)ショ糖脂肪酸エステル1重量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1〜10重量部の割合で含有する(5)記載の組成物。
(7)対象とする飲料溶液が弱酸性ないしは酸性溶液である上記組成物。
(8)対象とする飲料溶液がpH6以下の酸性溶液である上記組成物。
(9)対象とする飲料溶液がpH4.5以下の酸性溶液である上記組成物。
【0010】
また本発明は、上記のいずれかの組成物を含有する飲料である。当該本発明の飲料には、下記の態様のものを含めることができる。
(a)ショ糖脂肪酸エステルを1〜1000ppm及びガム質を5〜10000ppmの割合で含む飲料。
(b)更に、グリセリン脂肪酸エステルを0.5〜1000ppmの割合で含む飲料。
(c)飲料が、清涼飲料、果汁飲料、無果汁飲料、炭酸飲料、乳飲料、酸乳飲料及びアルコール飲料よりなる群から選択される飲料である飲料。
(d)弱酸性ないしは酸性溶液である飲料。
(e)pHが6以下である飲料。
(f)pHが4.5以下である飲料。
(g)密封容器入りの飲料。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステルは、特に制限はされないが、炭素数10〜20の脂肪酸とショ糖とのエステルであって、全エステルに占めるモノエステルが70重量%以上であるものが好ましい。
【0012】
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、パルミトン酸、オレイン酸、リノール酸等を挙げることができる。好ましくは炭素数14〜18の脂肪酸であり、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸を挙げることができる。より好ましくはパルミチン酸である。
【0013】
本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステルは、上記いずれか1種の脂肪酸を有するものであっても、2種以上の脂肪酸を有するものであってもよい。またショ糖脂肪酸エステルは、各種のショ糖脂肪酸エステルからなる混合物であってもよい。この場合、脂肪酸として天然の油脂(例えば、カカオ脂、ヤシ油、大豆油、パーム油等)から得られる脂肪酸をそのまま使用することができる。ショ糖脂肪酸エステルのエステル置換度は、溶解性及び分散性の観点から好ましくは低いエステル置換度を有するものであり、より好ましくはモノエステルである。特に本発明においては、モノエステルの含量が70重量%以上であるショ糖脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
【0014】
本発明が対象とするガム質は、一般にアラビアガム、トラガントガム及びカラヤガム等の植物樹脂に由来するもの;ペクチン;グアガム、タラガム、ローカストビーンガム、大豆多糖類、タマリンドガムなどの種子に由来するもの;キサンタンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン及びプルラン等の微生物に由来するもの;カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、寒天、ファーセレランなどの海藻に由来するものに分類でき、本発明においては、特にアラビアガム、ペクチン、大豆多糖類、キサンタンガム、カラギーナン及びプルランを用いることができる。特に好ましくはアラビアガム、ペクチン及び大豆多糖類であり、その中でも特にアラビアガムを好適なガム質として挙げることができる。なお、これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。これらのガム質は、いずれも食品添加物として用いられ得るものであり、本発明においては商業的に入手できるものを広く用いることができる。
【0015】
本発明で用いられる大豆多糖類は、マメ科ダイズの種子から得られる多糖類であり、ダイズヘミセルロースを主成分として含有するものである。
【0016】
これらのショ糖脂肪酸エステル及びガム質の配合割合は、特に制限されないが、ショ糖脂肪酸エステル1重量部に対するガム質の割合として通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜25重量部の範囲を挙げることができる。
【0017】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度4以上のポリグリセリンと炭素数10〜20の脂肪酸とから形成されるエステルである。ポリグリセリンの平均重合度の好ましい範囲は6〜12、より好ましくは8〜11である。
【0018】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、通常はカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。好ましくは炭素数16〜18の脂肪酸であり、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸を挙げることができる。より好ましくは、オレイン酸である。
【0019】
本発明で用いられるポリグリセリン糖脂肪酸エステルは、上記いずれか1種の脂肪酸を有するものであっても、2種以上の脂肪酸を有するものであってもよい。またポリグリセリン脂肪酸エステルは、各種のポリグリセリン脂肪酸エステルからなる混合物であってもよい。この場合、脂肪酸として天然の油脂(例えば、カカオ脂、ヤシ油、大豆油、パーム油等)から得られる脂肪酸をそのまま使用することができる。
【0020】
ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル置換度も、前述するショ糖脂肪酸エステルと同様に特に制限されるものではないが、溶解性及び分散性の観点から好ましくは低いエステル置換度を有するものであり、より好ましくはモノエステルである。
【0021】
本発明の組成物において、ポリグリセリン脂肪酸エステルはガム質配合量の約1/10倍量の割合で用いることができる。より具体的には、組成物中に配合される各成分の配合割合としてはショ糖脂肪酸エステル1重量部に対して、ガム質1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜25重量部の範囲;ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは1〜2.5重量部の範囲を挙げることができる。
【0022】
本発明のショ糖脂肪酸エステル含有組成物によれば、抗菌又は防腐の目的で用いられるショ糖脂肪酸エステルを、弱酸性飲料、特にpH6以下の酸性飲料、さらにはpH4.5以下の酸性度の高い飲料に対しても、有意に可溶化ないしは分散させることができ、飲料保存中における該エステルの析出ないしは沈殿を効果的に防止することができる。もちろん、本発明の組成物は中性〜アルカリ性の飲料溶液に対しても同様にショ糖脂肪酸エステルを析出ないしは沈殿させることなく安定に溶解ないしは分散させることができるが、弱酸性〜酸性と飲料のpHが低くくなるほどショ糖脂肪酸エステルの溶解性が低下するという事情に鑑みれば、本発明の効果は弱酸性〜酸性域、特に酸性域の飲料に対して有用である。
【0023】
従って本発明の組成物が対象とする飲料としては、特に制限されないが、pH6以下、具体的にはpH4.5〜6の飲料;並びにpH4.5以下、具体的にはpH2.5〜4.5の比較的酸性度の高い飲料を例示することができる。好ましくはpH2.5〜4.5、より好ましくはpH2.5〜4、さらに好ましくはpH2.5〜3.4の範囲にある飲料である。
【0024】
かかる飲料の例としては、例えば清涼飲料、果汁飲料、無果汁飲料、果実飲料、炭酸飲料、乳飲料、酸乳飲料、並びにリキュール類,スピリッツ類及び果実酒を含むアルコール飲料、茶、紅茶・コーヒー飲料を挙げることができる。ショ糖脂肪酸エステルの析出ないしは沈殿を防止して可溶性ないしは分散性を高めるという本発明の効果に鑑みれば、本発明は、上記各種飲料の中でも特に清澄な酸性飲料の調製に有用である。
【0025】
これらの飲料には、上記本発明の組成物を、ショ糖脂肪酸エステルが1〜1000ppm、及びガム質が5〜10000ppmの割合で含まれるように添加することができる。好ましくはショ糖脂肪酸エステルを10〜100ppmの割合で、またガム質を100〜2500ppmの割合で配合することができる。またさらにポリグリセリン脂肪酸エステルを配合する場合は、該ポリグリセリン脂肪酸エステルは飲料中に含まれるガム質の約1/10倍量の割合で添加することが好ましく、飲料あたり0.5〜1000ppm、好ましくは10〜250ppmの割合を挙げることができる。
【0026】
本発明が対象とする飲料としては、密封容器に充填されて市場に常温流通されるものを挙げることができ、用いられる密封容器としては、缶、瓶、ポリエチレンテレフタレート、スチレン・アクリロニトリル樹脂及び塩化ビニル樹脂などのプラスチック容器、プラスチックフィルムやアルミ箔等で防水処理された紙等の容器を挙げることができる。本発明の目的及び効果に鑑みれば、本発明は、材質上高度な殺菌処理を施せないプラスチック製又は紙製の密封容器入り飲料として有用であり、特に透明なペットボトルなどのプラスチック製の密封容器入り飲料として有用である。また、原料の風味や品質を損なわないためにレトルト殺菌など高度な殺菌処理を施さないで調製される缶又は瓶入り飲料にも有用に用いられる。
【0027】
本発明の飲料は、その製法を特に制限するものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、ペットボトル入り飲料の場合、飲料の諸原料並びに本発明のショ糖脂肪酸エステル含有組成物を所定の割合で所定量の水に溶解し、これを低温殺菌(62〜65℃、30分)若しくはHTST殺菌(72〜75℃、15秒)するか又は紫外線殺菌し、別個殺菌処理したペットボトルに加熱充填または無菌充填することによって製造することができる。
【0028】
なお、本発明の態様には、下記のものが含まれる。
1.ショ糖脂肪酸エステル含有溶液中、ガム質を共存させることを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの沈殿防止方法。
2.ショ糖脂肪酸エステル含有溶液中、アラビアガム,ペクチン,大豆多糖類,キサンタンガム,カラギーナン及びプルランよりなる群から選択される少なくとも1種のガム質を共存させることを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの沈殿防止方法。
3.ショ糖脂肪酸エステル含有溶液中、アラビアガム,ペクチン及び大豆多糖類よりなる群から選択される少なくとも1種のガム質を共存させることを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの沈殿防止方法。
4.ショ糖脂肪酸エステル含有溶液中、アラビアガム,ペクチン,大豆多糖類,キサンタンガム,カラギーナン及びプルランよりなる群から選択される少なくとも1種のガム質及びグリセリン脂肪酸エステルを共存させることを特徴とする、ショ糖脂肪酸エステルの沈殿防止方法。
5.溶液が、pH2.5〜6.0の飲料である上記ショ糖脂肪酸エステルの沈殿防止方法。
6.溶液が、pH2.5〜4.5の飲料である上記ショ糖脂肪酸エステルの沈殿防止方法。
7.ショ糖脂肪酸エステル及びガム質を含有する組成物を配合し、得られる飲料を殺菌処置後、容器に充填することを特徴とする、密封容器入り飲料の製造方法。
8.ショ糖脂肪酸エステル、ガム質及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する組成物を配合し、得られる飲料を殺菌処置後、容器に充填することを特徴とする、密封容器入り飲料の製造方法。
9.飲料の液性がpH2.5〜6.0である上記密封容器入り飲料の製造方法。10.飲料の液性がpH2.5〜4.5である上記密封容器入り飲料の製造方法。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記に記載する処方の単位は特に言及しない限りgを意味するものとする。
実施例1〜6 清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖107g、及びクエン酸2gを水に溶解し、これにショ糖脂肪酸エステル0.1g(100ppm)と各種ガム質(アラビアガム[ビストップD-2041]、ペクチン[SM-478]、大豆多糖類[SM-700]、キサンタンガム[サンエースC]、カラギーナン[CSL-1]、プルラン[ビストップD-2081]:いずれも三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を表1に示す割合で混合した組成物を添加配合して、全量を1Lに調整してpH2.6の清涼飲料を調製した。これを5℃で14日間保存して、保存後の飲料の液性状を観察した。また、比較例として、飲料に配合する組成物として、ショ糖脂肪酸エステル0.1g(100ppm)だけ(比較例1)、ショ糖脂肪酸エステルとポリデキストロースからなる組成物(比較例2)、ショ糖脂肪酸エステルとデキストリンからなる組成物(比較例3)、及びショ糖脂肪酸エステルと各種ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる組成物(比較例4〜8)を用いて、同様に飲料(pH2.6)を調製し、保存後の液性状を観察した。さらにまた対照例として、実施例1〜6で使用する組成物からショ糖脂肪酸エステルを除いた、即ちガム質単独を用いた系で(ショ糖脂肪酸エステル無添加の系、対照例1〜6)、同様に酸性飲料(pH2.6)を調製し、保存後の液性状を観察した。なお、ショ糖脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸を構成脂肪酸とし、モノエステル含有率が70%以上のものを使用した。結果を表1に合わせて示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004110343
【0031】
表1からわかるように、当該飲料中でショ糖脂肪酸エステルは溶解せず、多量のエステルが析出して沈殿した(比較例1)。また、それに各種ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合してもほとんど可溶化ないしは沈殿防止効果が得られなかった(比較例2〜8)。それに対して各種ガム質を配合すると、実施例4〜6において若干の沈殿が見られたものの、比較例で見られたショ糖脂肪酸エステルの析出並びに沈殿現象を有意に防止できることが判明した。特にショ糖脂肪酸エステルの可溶化ないしは分散化効果は、アラビアガム、ペプチン及び大豆多糖類で顕著であり(実施例1〜3)、特にアラビアガムの使用により、液が濁ることなくきわめて清澄な酸性飲料が調製できることがわかった。
【0032】
実施例7〜12 酸乳飲料(Brix11°、pH4.0)
果糖ブドウ糖液糖105g、及びクエン酸0.5gを水に溶解し、これにショ糖脂肪酸エステル0.1g(100ppm)と各種ガム質(アラビアガム、ペクチン、大豆多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、プルラン)を表2に示す割合で混合した組成物を添加配合して、全量を1Lに調整してジュース瓶に充填し85℃、30分殺菌して、pH4.0の酸乳飲料を調製した。これを5℃で14日間保存して、保存後の飲料の液性状を観察した。また、比較例として、飲料に配合する組成物として、ショ糖脂肪酸エステル0.1g(100ppm)だけ(比較例1)、ショ糖脂肪酸エステルとポリデキストロースからなる組成物(比較例9)及びショ糖脂肪酸エステルとデキストリンからなる組成物(比較例10)を用いて、同様に飲料(pH4.0)を調製し、保存後の液性状を観察した。なお、ショ糖脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸を構成脂肪酸とし、モノエステル含有率が70%以上のものを使用した。結果を表2に合わせて示す。
【0033】
【表2】
Figure 0004110343
【0034】
実施例13〜18 炭酸飲料(Brix14°、pH3.2)
果糖ブドウ糖液糖133g、クエン酸1g、及びクエン酸ナトリウム0.5gを水に溶解し、これにショ糖脂肪酸エステル0.01g(10ppm)と各種ガム質(アラビアガム、ペクチン、大豆多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、プルラン)を表3に示す割合で混合し、全量を250gに調整したシロップを85℃、20分殺菌し、容器充填・密封後、炭酸水750gを添加してpH3.2の炭酸飲料を調製した。これを5℃で14日間保存して、保存後の飲料の液性状を観察した。また、比較例として、飲料に配合する組成物として、ショ糖脂肪酸エステル0.01g(10ppm)だけ(比較例11)、ショ糖脂肪酸エステルとポリデキストロースからなる組成物(比較例12)及びショ糖脂肪酸エステルとデキストリンからなる組成物(比較例13)を用いて、同様に飲料(pH3.2)を調製し、保存後の液性状を観察した。なお、ショ糖脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸を構成脂肪酸とし、モノエステル含有率が70%以上のものを使用した。結果を表3に合わせて示す。
【0035】
【表3】
Figure 0004110343
【0036】
表3の結果から明らかなように、ガム質の併用により、炭酸飲料中におけるショ糖脂肪酸エステルの溶解性が顕著に向上して、清澄な炭酸飲料を安定して調製することができる。
【0037】
実施例19〜21 清涼飲料(Brix11°、pH2.6)
果糖ブドウ糖液糖107g、及びクエン酸2gを水に溶解し、これにショ糖脂肪酸エステル0.1g(100ppm)とアラビアガム(100〜10000ppm)を表4に示す割合で配合した組成物を添加して、全量を1Lに調製して、pH2.6の清涼飲料を作成した。これを5℃で14日間保存して、保存後の飲料の液性状を観察した。なお、ショ糖脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸を構成脂肪酸とし、モノエステル含有率が70%以上のものを使用した。 結果を表4に合わせて示す。
【0038】
【表4】
Figure 0004110343
【0039】
表4より、飲料中に含まれるショ糖脂肪酸エステルの量に対し、等量以上のアラビアガムを併用配合することによってショ糖脂肪酸エステルの析出による沈殿が有意に抑制され、特に10倍以上配合することによって、白濁することなく清澄な飲料が調製できることがわかった。
【0040】
実施例22〜24 果汁入り清涼飲料(Brix10°、pH3.5)
果糖ブドウ糖液糖133g、クエン酸1g、クエン酸ナトリウム0.5g、ビタミンC0.5gを水に溶解し、これに5倍濃縮柑橘混合透明果汁60g、ショ糖脂肪酸エステル0.5g(500ppm)、アラビアガム0.5〜1g(500〜1000ppm)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノオレイン酸エステル)0.05〜0.1g(50〜100ppm)を表5に示す割合で配合した組成物を添加して、全量を1Lに調製して、ジュース瓶に充填し85℃、30分殺菌して、pH3.5の果汁入り清涼飲料を調製した。これを5℃で14日間保存して、保存後の飲料の液性状を観察した。なお、ショ糖脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸を構成脂肪酸とし、モノエステル含有率が70%以上のものを使用した。 結果を表5に合わせて示す。
【0041】
【表5】
Figure 0004110343
【0042】
表5より、アラビアガムの添加により、清涼飲料中におけるショ糖脂肪酸エステルの溶解性が向上したが、加えてポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することにより、沈殿のない飲料を調製することができた。特にショ糖脂肪酸エステルに対して、アラビアガムを等量、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1/10量の割合で配合することによって、白濁することなく清澄な飲料が調製できることがわかった。
【0043】
Figure 0004110343
上記処方の通り添加配合して、全量を100部に調整して缶に充填し120℃、20分レトルト殺菌して、pH6.8のコーヒー飲料を調製した。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、従来、析出による沈殿発生のため酸性溶液には適用不可能とされていたショ糖脂肪酸エステルを、飲料(密封容器入り飲料)、特にpH6以下、とりわけpH4.5以下の飲料に沈殿させるこなく添加配合することができ、その結果飲料の保存性を向上させることができる。

Claims (7)

  1. ショ糖脂肪酸エステルとガム質とポリグリセリン脂肪酸エステルとを、ショ糖脂肪酸エステル1重量部に対して、ガム質を1〜25重量部及びポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜2.5重量部の割合で含有する、pH4.0以下の酸性飲料溶液中で可溶化ないしは分散可能な組成物。
  2. ガム質が、アラビアガム,ペクチン,大豆多糖類,キサンタンガム,カラギーナン及びプルランよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の飲料溶液中で可溶化ないしは分散可能な組成物。
  3. ショ糖脂肪酸エステルが、炭素数10〜20の脂肪酸とショ糖とのエステルであってモノエステルの含有率が70%以上のものである請求項1または2に記載の組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの組成物を含有するpH4.0以下の酸性飲料。
  5. ショ糖脂肪酸エステルを10〜500ppm、ガム質を100〜2500ppm及びポリグリセリン脂肪酸エステルを10〜250ppmの割合で含む請求項4記載の酸性飲料。
  6. 清涼飲料、果汁飲料、無果汁飲料、炭酸飲料、乳飲料、酸乳飲料及びアルコール飲料よりなる群から選択される飲料である請求項4または5に記載の飲料。
  7. 茶、紅茶及びコーヒー飲料よりなる群から選択される飲料である請求項4または5に記載の飲料。
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