JP4104335B2 - 微小突起の低減方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面解析における微小突起を低減する方法、該方法を用いて得られる磁気ディスク用基板及び前記方法を用いる基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のメモリーハードディスクドライブには、高容量・小径化が求められ記録密度を上げるために磁気ヘッドの浮上量を低下させたり、単位記録面積を小さくすることが強いられている。それに伴い、磁気ディスク用基板の製造工程においても研磨後に要求される表面品質は年々厳しくなってきており、ヘッドの低浮上に対応して、表面粗さ、微小うねり、ロールオフ、突起の低減や単位記録面積の減少に対応して許容されるスクラッチ、ピットの大きさと深さがますます小さくなってきている。
【0003】
また、半導体分野においても、高集積化、高速化に伴って配線の微細化が進んでいる。半導体デバイスの製造プロセスにおいても、フォトレジストの露光の際、配線の微細化に伴い焦点深度が浅くなるため、パターン形成面のより一層の平滑化が望まれている。
【0004】
特に、メモリーハードディスクドライブの高記録密度化を実現するため、ヘッドとディスク間のスペーシングが年々狭くなってきた結果、これまで問題にされなかった原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面形状解析で検知される微小突起(高さ:1〜30nm、幅:1〜100nm)が問題となってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メモリーハードディスクの仕上げ研磨や半導体素子用の研磨用として、研磨後の被研磨物の表面粗さが小さく、かつ突起や研磨傷等の表面欠陥、特に原子間力顕微鏡を用いた表面形状解析で検知される微小突起を経済的に高速に低減することが可能である被研磨基板の微小突起の低減方法、該方法を用いて得られる磁気ディスク用基板及び前記方法を用いる基板の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕水、研磨材、酸化合物を含有してなり、pHが酸性かつ研磨材の濃度が10重量%未満である研磨液組成物を用いて研磨機により被研磨基板の研磨を行う工程を有する、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面解析により検知される被研磨基板の微小突起を低減する方法であって、該研磨液組成物を被研磨基板1m 2 当たり0.15〜1.5L/分の流量で研磨面に供給し、4.9〜9.8kPaの一定圧力を加えながら、研磨機に備えられた上定盤又は下定盤と被研磨基板との相対速度が定盤中央部で0.3〜1m/秒となるようにして被研磨基板の研磨を行う工程を有する、微小突起を低減する方法
〔2〕前記〔1〕記載の方法を用いて得られる磁気ディスク用基板、並びに
〔3〕前記〔1〕記載の方法を用いて原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面解析により検知される微小突起を低減した磁気ディスク用基板を製造する方法
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、原子間力顕微鏡を用いた表面形状解析で検知される微小突起(以下、単に微小突起ともいう)は、高さ1〜30nm、幅1〜100nmの大きさを有する突起を意味する。ここで、原子間力顕微鏡を用いた表面形状解析方法としては、後述の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0008】
本発明の微小突起の低減方法は、前記のように、水、研磨材、酸化合物を含有してなり、pHが酸性かつ研磨材の濃度が10重量%未満である研磨液組成物を用いて、被研磨基板の研磨を行う工程を有するものである。
【0009】
本発明に使用される研磨材には、研磨用に一般に使用されている研磨材を使用することができる。該研磨材として、金属;金属又は半金属の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物;ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8A族由来のものである。研磨材の具体例として、酸化アルミニウム、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ等が挙げられ、これらを1種以上使用することは研磨速度を向上させる観点から好ましい。中でも、酸化アルミニウム、シリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が、半導体ウェハや半導体素子、磁気記録媒体用基板等の精密部品用基板の研磨に適している。酸化アルミニウムについては、α、θ、γ等種々の結晶系が知られているが、用途に応じ適宜選択、使用することができる。この内、シリカ、特にコロイダルシリカは、より高度な平滑性を必要とする高記録密度メモリー磁気ディスク用基板の最終仕上げ研磨用途や半導体デバイス基板の研磨用途に適している。
【0010】
研磨材の一次粒子の平均粒径は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.001 〜3 μm、より好ましくは0.01〜3 μm、さらに好ましくは0.02〜0.8 μm、特に好ましくは0.05〜0.5 μmである。さらに、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は、同様に研磨速度を向上させる観点及び被研磨物の表面粗さを低減させる観点から、その二次粒子の平均粒径は、好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1 〜1.5 μm、特に好ましくは0.2 〜1.2 μmである。研磨材の一次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡で観察(好適には3000〜30000 倍)して画像解析を行い、2軸平均粒径を測定することにより求めることができる。また、二次粒子の平均粒径はレーザー光回折法を用いて体積平均粒径として測定することができる。
【0011】
また、本発明においては、微小突起、表面粗さ(Ra)を低減させて、表面品質を向上させる観点から、研磨材としてシリカ粒子を用いることがより好ましい。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子、表面修飾したシリカ粒子等が挙げられ、中でも、コロイダルシリカ粒子が好ましい。なお、コロイダルシリカ粒子は、例えば、ケイ酸水溶液から生成させる製法により得ることができる。
【0012】
シリカ粒子の一次粒子の平均粒径は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.001 μm以上、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.02μm以上であり、表面粗さ(Ra)を低減する観点から、好ましくは0.6 μm以下、より好ましくは0.5 μm以下、さらに好ましくは0.3 μm以下、特に好ましくは0.2 μm以下である。該平均粒径は、好ましくは0.001 〜0.6 μm、より好ましくは0.001 〜0.5 μm、さらに好ましくは0.01〜0.3 μm、特に好ましくは0.02〜0.2 μmである。なお、該粒径は走査型電子顕微鏡で観察して(好適には3000倍〜100000倍)画像解析を行い、2軸平均径を測定することにより求めることができる。
【0013】
さらにシリカ粒子は、微小突起の発生を防止する観点から、小粒径側からの積算粒径分布(個数基準)が50%となる粒径(D50) に対する小粒径側からの積算粒径分布(個数基準)が90%となる粒径(D90) の比(D90/D50) が1.0 〜1.5 で、且つD50が10〜200 nmとなる粒径分布を示すことが好ましい。なお、前記粒径分布は、全体的なシリカ粒子の粒径分布を示すものであり、例えば、2種以上のシリカ粒子を併用した場合、それらを混合したシリカ粒子について測定したものである。
【0014】
前記粒径分布において、D90/D50は1.0 〜1.5 が好ましく、より好ましくは1.0 〜1.45、さらに好ましくは1.0 〜1.4 、特に好ましくは1.0 〜1.35である。
【0015】
また、粒径分布において、D50は、10〜200 nmが好ましく、より好ましくは20〜180 nm、さらに好ましくは、30〜150 nm、特に好ましくは50〜100 nmである。該D50は、高い研磨速度を得る観点から、10nm以上が好ましく、また、微小突起等の表面欠陥の発生を防ぎ、良好な表面平滑性を得る観点から、200 nm以下が好ましい。
【0016】
また、本発明に使用されるシリカ粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(以下SEMという)を用いて以下の方法により求めることができる。即ち、シリカ粒子を含有する研磨液組成物をシリカ粒子濃度が0.5 重量%になるようにエタノールで希釈する。この希釈した溶液を約50℃に加温したSEM用の試料台に均一に塗布する。その後、過剰の溶液を濾紙で吸い取り溶液が凝集しないように均一に自然乾燥させる。
【0017】
自然乾燥させたシリカ粒子にPt−Pdを蒸着させて、日立製作所(株)製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM:S−4000型)を用いて、視野中に500個程度のシリカ粒子が観察されるように倍率を3000倍〜10万倍に調節し、一つの試料台について2点観察し写真を撮影する。撮影された写真(10.16 cm×12.7cm)をコピー機等によりA4サイズに拡大して、撮影されたすべてのシリカ粒子の粒径をノギス等により計測し集計する。この操作を数回繰り返して、計測するシリカ粒子の数が2000個以上になるようにする。SEMによる測定点数を増やすことは、正確な粒径分布を求める観点からより好ましい。測定した粒径を集計し、小さい粒径から順にその頻度(%)を加算してその値が50%となる粒径をD50、90%となる粒径をD90として本発明における個数基準の粒径分布を求めることができる。尚、ここでいう粒径分布は一次粒子の粒径分布として求められる。但し、酸化アルミニウム、酸化セリウム、ヒュームドシリカ等の一次粒子が融着した二次粒子が存在している場合においては、その二次粒子の粒径に基づいて、粒径分布を求めることができる。
【0018】
また、シリカ粒子の粒径分布を調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、シリカ粒子がコロイダルシリカの場合、その製造段階における粒子の成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより最終製品に粒径分布を持たせる方法、異なる粒径分布を有する2つ以上のシリカ粒子を混合する方法等で達成することも可能である。
【0019】
これらの研磨材の含有量は、研磨液組成物中において10重量%未満である。かかる濃度範囲に調整することで、AFMを用いた表面解析により検知される被研磨基板の微小突起を著しく低減できる。また、前記研磨材の含有量は、微小突起を低減する観点、及び経済性の観点から、好ましくは9重量%以下、より好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは7重量%以下である。また、該含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.5 重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上、特に好ましくは3重量%以上である。
【0020】
すなわち、該含有量は、好ましくは0.5 重量%以上、10重量%未満、より好ましくは1〜9重量%、さらに好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは3〜7重量%である。
【0021】
本発明において酸化合物は、pK1が7以下の酸性を示す化合物である。微小突起を低減する観点から、pK1が3以下の化合物が好ましい。研磨速度向上の観点では、pK1が7以下の化合物で被研磨物表面に含有される金属をキレートする能力を有する化合物が好ましい。具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸等のアミノポリカルボン酸及びその塩や、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、スルホサリチル酸等の有機カルボン酸及びその塩がある。微小スクラッチを低減する観点から、pK1が3以下の化合物が好ましく、より好ましくはpK1が2.5以下、さらに好ましくはpK1が2.0以下、特に好ましくはpK1が1.5以下の化合物であり、pK1が1以下の化合物(即ち、pK1で表せない程の強い酸性を示す化合物)が最も好ましい。具体的には、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、シュウ酸、アミド硫酸、アスパラギン酸、2−アミノエチルホスホン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(以下、HEDPともいう)等が挙げられる。これらの中でも、微小突起の低減の観点から、硝酸、HEDP、硫酸、過塩素酸及び塩酸が好ましく、硝酸、HEDP及び硫酸が特に好ましい。これらの酸は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。ここで、pK1とは有機化合物又は無機化合物の酸解離定数(25℃)の逆数の対数値を通常pKaと表し、そのうちの第一酸解離定数の逆数の対数値をpK1としている。各化合物のpK1は例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp316−325(日本化学会編)等に記載されている。
【0022】
酸化合物の研磨液組成物中における含有量は、充分な研磨速度を発揮する観点及び表面品質を向上させる観点から、0.0001〜20重量%が好ましく、より好ましくは、0.0003〜10重量%であり、さらに好ましくは、0.001 〜5 重量%、特に好ましくは、0.0025〜3 重量%である。
【0023】
研磨液組成物は、研磨速度を向上させる観点から酸化剤を含有することが好ましい。酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、硝酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられる。
【0024】
より具体例には、過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等;過マンガン酸塩としては、過マンガン酸カリウム等;クロム酸塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等;硝酸塩としては、硝酸鉄(III)、硝酸アンモニウム等;ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等;酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等;金属塩類としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。特に、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が好ましい。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0025】
研磨速度を向上させる観点から、研磨液組成物中の酸化剤の含有量は、好ましくは0.002 重量%以上、より好ましくは0.005 重量%以上、さらに好ましくは0.007 重量%以上、特に好ましくは0.01重量%以上であり、表面粗さを低減し、微小突起等の表面欠陥を減少させて表面品質を向上させる観点及び経済性の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5 重量%以下である。該含有量は、好ましくは0.002 〜20重量%、より好ましくは0.005 〜15重量%、さらに好ましくは、0.007 〜10重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%である。
【0026】
研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、その含有量は、被研磨物を効率よく研磨する観点から、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは66重量%以上であり、さらに好ましくは77重量%以上であり、特に好ましくは85重量%以上であり、また、好ましくは99.4979 重量%以下、より好ましくは98.9947 重量%以下、さらに好ましくは96.992重量%以下、特に好ましくは、94.9875 重量%以下である。該含有量は、好ましくは55〜99.4979 重量%、より好ましくは67〜98.9947 重量%、さらに好ましくは75〜96.992重量%、特に好ましくは84〜94.9875 重量%である。
【0027】
尚、前記研磨液組成物中の各成分の濃度は、該組成物製造時の濃度及び使用時の濃度のいずれであってもよい。通常、濃縮液として研磨液組成物は製造され、これを使用時に希釈して用いる場合が多い。
【0028】
また、前記研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。該他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。
【0029】
研磨液組成物は、研磨材、酸化合物、水、必要であれば酸化剤、他の成分等を公知の方法で混合することにより調製することができる。
【0030】
研磨液組成物のpHは酸性であるが、具体的なpHの値は、被加工物の種類や要求性能に応じて適宜決定することが好ましい。被研磨物の材質により一概に限定はできないが、一般に金属材料では研磨速度を向上させる観点からpHは、7.0 未満が好ましく、より好ましくは6.0 以下、さらに好ましくは5.0 以下、特に好ましくは4.0 以下である。また、人体への影響や機械の腐食性の観点から、pHは1.0 以上であることが好ましく、より好ましくは1.2 以上、さらに好ましくは1.4 以上特に好ましくは1.6 以上である。特にニッケル−リン(Ni−P)メッキされたアルミニウム合金基板等の金属を主対象とした精密部品基板においては、pHは、研磨速度を向上させる観点から、4.5 以下が好ましく、より好ましくは4.0 以下、さらに好ましくは3.5 以下、特に好ましくは3.0 以下である。従って、重視する目的に合わせてpHを設定すればよいが、特にNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板等の金属を対象とした精密部品基板においては、前記観点を総合して、pHは1.0 〜4.5 が好ましく、より好ましくは1.2 〜4.0 、さらに好ましくは1.4 〜3.5 、特に好ましくは1.6 〜3.0 である。pHは硝酸、硫酸等の無機酸やシュウ酸等の有機酸、アンモニウム塩、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することにより調整することができる。
【0031】
本発明の微小突起の低減方法は、例えば、前記のような研磨液組成物を用いて、あるいは前記研磨液組成物の組成となるように各成分を混合して研磨液を調製して被研磨基板を研磨する工程を有しており、特に精密部品用基板を好適に製造することができる。その具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等、好ましくはポリウレタン系研磨布を貼り付けた研磨盤で基板を挟み込み、研磨液組成物を流量として被研磨基板1m2 当たり0.076〜3.8L/分、好ましくは0.15〜1.5L/分で研磨面に供給し、荷重として2.9〜19.6kPa、好ましくは4.9〜9.8kPaの一定圧力を加えながら、上定盤又は下定盤と被研磨基板との相対速度が定盤中央部で0.1〜2m/秒、好ましくは0.3〜1m/秒となるように研磨盤や基板を動かすことにより研磨する方法が挙げられる。
【0032】
このように本発明の微小突起の低減方法を用いることにより、微小突起を効率よく除去するだけでなく、研磨速度を向上させ、微小スクラッチやピット等の表面欠陥の発生が抑制され、表面粗さ(Ra)等の表面平滑性を向上させることができるという効果が発現される。
【0033】
本発明の微小突起の低減方法が対象とする被研磨基板としては、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属又は半金属及びこれらの合金、並びにガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等を材質とする基板が挙げられる。これらの中では、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金が被研磨物であるか、又は、半導体素子等の半導体基板のような、それらが金属を含んだ被研磨物であるのが好ましく、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板がより好ましく、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が特に好ましい。
【0034】
被研磨基板の形状には特に制限がなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が本発明の対象となる。その中でも、ディスク状の被研磨基板の研磨に特に優れている。
【0035】
本発明の微小突起の低減方法は、精密部品基板の研磨に好適に用いられる。例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板等の精密部品基板の研磨に適している。半導体基板の研磨は、シリコンウェハ(ベアウェハ)のポリッシング工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において行われる。本発明の微小突起の低減方法は、特に、磁気ディスク用基板の研磨に適している。さらに、表面粗さ(Ra)0.3nm以下の磁気ディスク用基板を得るのに適している。
【0036】
本明細書では、表面粗さ(Ra)は、一般に言われる中心線粗さとして求められ、80μm以下の波長成分を持つ粗さ曲線から得られる中心線平均粗さをRaと表す。このRaは、以下のように測定することができる。
【0037】
中心線平均粗さ:Ra
ランク・テーラーホブソン社製タリーステップ(「タリデータ2000」)(以下、かぎ括弧内の用語は商品名を示す)を用いて、以下の条件で測定する。
触針先端サイズ :2.5μm×2.5μm
ハイパスフィルター :80μm
測定長さ :0.64mm
【0038】
本発明の磁気ディスク用基板の製造方法は、本発明の微小突起の低減方法を用いた研磨工程を有し、該研磨工程は、複数の研磨工程の中でも2工程目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程に行われるのが特に好ましい。例えば、1工程又は2工程の研磨工程によって表面粗さ(Ra)0.5nm〜1.5nmにしたNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板を、本発明の微小突起の低減方法を用いた研磨工程によって研磨して、表面粗さ(Ra)0.3nm以下の磁気ディスク用基板を、好ましくは表面粗さ(Ra)0.25nm以下の磁気ディスク用基板を製造することができる。特に、本発明の微小突起の低減方法は、2工程の研磨で表面粗さ(Ra)0.3nm以下の磁気ディスク用基板を、好ましくは表面粗さ(Ra)0.25nm以下の磁気ディスク用基板を製造する際の2工程目に用いられるのに適している。
【0039】
製造された磁気ディスク用基板は、微小突起が極めて少なく、表面平滑性に優れたものである。その表面平滑性として、表面粗さ(Ra)0.3nm以下、好ましくは0.25nm以下が望ましい。
【0040】
以上のように、本発明の微小突起の低減方法を用いることで、微小突起を効率良く除去することができ、さらに研磨速度を向上させると共に、スクラッチ、ピット等の表面欠陥が少なく、表面粗さ(Ra)及びうねり(Wa)等の平滑性が向上した、表面性状に優れた高品質の磁気ディスク用基板を生産効率よく製造することができる。
【0041】
なお、本発明の微小突起の低減方法は、ボリッシング工程において特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。
【0042】
【実施例】
(被研磨物)
被研磨基板として、Ni−Pメッキされた基板をアルミナ研磨材を含有する研磨液であらかじめ粗研磨し、基板表面粗さ1nmとした、厚さ0.8 mmの95mmφのアルミニウム合金基板を用いて研磨評価を行った。
【0043】
実施例1〜7、比較例1〜3
表1に示すような一次粒子の平均粒径を有するコロイダルシリカ、35% 過酸化水素(旭電化製)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP、ソルーシア・ジャパン(株)製、pK1は1以下)又はエチレンジアミン四酢酸鉄塩(EDTA−Fe)を所定量と、残りを水として合計100 重量% となるように調製した。混合する順番は、まずHEDP又はEDTA−Feを水で希釈した水溶液に過酸化水素を混合し、最後にコロイダルシリカスラリーをゲル化しないように撹拌しながらすばやく加え、pHを所定値に調整して、研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物を用いて、以下の研磨条件にて被研磨物を研磨し、研磨速度、表面粗さ(Ra)及び微小突起の個数を以下の方法に基づいて測定・評価した。得られた結果を表1に示す。
【0044】
(研磨条件)
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:鐘紡製「Belatrix N0058」
定盤回転数:35r/min
スラリー供給量:40ml/min
研磨時間:4分
研磨荷重:7.8kPa
投入した基板の枚数:10枚
【0045】
(研磨速度)
研磨試験前後の基板の重量差(g)に比重(8.4g/cm3)をかけ、さらにディスクの表面積(65.97cm2)と研磨時間で割ることにより、単位時間当たりの両面研磨量を算出している。
【0046】
(表面粗さ(Ra))
被研磨基板の裏表の120°おきに各3点で計6点を原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメント社製「Nanoscope III 」)を用いて、ScanRateを1.0Hz で2 μm×2 μmの範囲を測定したときの平均値をとった。なお、Raは中心線平均粗さを示す。
【0047】
(微小突起の個数)
被研磨基板の裏表の120°おきに各3点で計6点を原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメント社製「Nanoscope III 」)を用いて、ScanRateを1.0Hz で2 μm×2 μmの範囲に含まれる微小突起(高さ1〜30nm、幅1〜100nmの突起)の一基板当たりの平均値を求めた。
【0048】
【表1】
Figure 0004104335
【0049】
表1の結果より、実施例1〜7では、比較例1〜3に比べ、いずれも微小突起がなく、且つ表面粗さが低い基板を高速で得ることができることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明の微小突起の低減方法により、高速研磨と高精度な表面品質、特に原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面形状解析における微小突起の発生を防止する基板を製造できるという効果が奏される。

Claims (3)

  1. 水、コロイダルシリカ、酸化剤、並びに1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及び硫酸からなる群より選ばれる酸化合物のみからなる研磨液組成物であって、pHが1.0〜3.0、かつコロイダルシリカの濃度が10重量%未満である研磨液組成物を用いて研磨機によりNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板からなる被研磨基板の研磨を行う工程を有する、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面解析により検知される被研磨基板の微小突起を低減する方法であって、該研磨液組成物を被研磨基板1m当たり0.15〜1.5L/分の流量で研磨面に供給し、4.9〜9.8kPaの一定圧力を加えながら、研磨機に備えられた上定盤又は下定盤と被研磨基板との相対速度が定盤中央部で0.3〜1m/秒となるようにして被研磨基板の研磨を行う工程を有する、微小突起を低減する方法。
  2. 酸化剤が過酸化水素である請求項記載の方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法を用いて原子間力顕微鏡(AFM)を用いた表面解析により検知される微小突起を低減した磁気ディスク用基板を製造する方法。
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