JP4100029B2 - スタータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの始動時に駆動されるスタータに関するもので、特に電流遮断部を備えたにスタータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スタータに電流遮断部を備えた従来装置としては、例えば実開昭57−174760号公報、実開平4−64972号公報、特開平9−273464号公報、WO00/19091号公報などに開示されている。実開昭57−174760号公報および特開平9−273464号公報では、電磁スイッチからモータ部へ繋がる経路上に電流遮断部を備えたスタータが開示されており、実開平4−64972号公報では、ブラシピグテールに熱的溶断するヒューズ的作用を兼ね備えたスタータが開示されている。また、WO00/19091号公報では、電磁スイッチからモータ部へ繋がる経路上やバッテリケーブル中に電流遮断部を備えたスタータが開示されている。これらの発明はいずれも、連続通電等でスタータの電気回路が異常高温になった場合に、所定温度以上になると電流遮断部(ヒューズ)が作用し、スタータに流れ込む電流を遮断して加熱保護を行うものである。
【0003】
図7は、従来のスタータの一例を説明する電気回路図である。図において、1はスタータであって、電磁スイッチ2とモータ3から構成されている。4はバッテリであって、マイナス側はアースされており、プラス側はバッテリケーブル5を介して電磁スイッチ2のバッテリ端子(第1のバッテリ端子)6に接続されている。7はキースイッチであって、バッテリ4のプラス側から電磁スイッチ2のS端子8へ至る回路を開閉する。S端子8には、Pコイル9とHコイル10が接続され、Pコイル9の他端はM端子11に、Hコイル10の他端はアースされている。可動接点12は、S端子8に電圧印加された時に、バッテリ端子6およびM端子11間を接続し、モータ3はバッテリ4と接続される。モータ3は電機子13と、電機子13に給電するプラスブラシ14およびマイナスブラシ15を備え、プラスブラシ14はMリード線16、ヒューズ(電流遮断部)17を介してM端子11に接続され、一方マイナスブラシ15はアースされている。(なお上記において、ヒューズ17は過熱保護のために装着されており、通常のスタータにはヒューズ17は装着されず、Mリード線16とM端子11が接続されている。)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来装置は上記のように構成されており、スタータ1に過大電流が流れたり、長時間使用を行った場合などにヒューズ17が溶断する。ヒューズ17が溶断すると、図7の点線18の様に溶断部がアースして、バッテリ4が短絡されて更に大電流が流れる恐れがあった。電流遮断部の位置を、実開平4−64972号公報のようにブラシピグテールにした場合や、WO00/19091号公報のように電磁スイッチとモータ部を繋ぐリード線又はバッテリケーブルとした場合なども、溶断部が固定されていなかったり、エンジンの振動が加わると、溶断部がアースして大電流が流れたり、溶断部が繋がったり切れたりすることがあった。また、電流遮断部の構成が大掛かりであったり、通常のスタータからの変更個所が多いなどの問題があった。更に、溶断後の修復が大掛かりで、スタータを取り外して修復したり、スタータ本体の交換やバッテリケーブルを交換する必要などがあった。
【0005】
この発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、スタータのバッテリ端子に電流遮断部を備え、構成が簡単で装着しやすく、溶断時の交換も容易で、絶縁性や耐振性が高く、スタータの標準化が図れるなど、安価で性能に優れたスタータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るスタータでは、電磁スイッチの第1のバッテリ端子に接続されるターミナルと、該ターミナルに接続されると共にバッテリケーブルと接続される第2のバッテリ端子と、前記ターミナルの一部をヒューズ機能を成すように切り欠いて構成された電流遮断部とを有する中継端子を備えたスタータであって、前記中継端子は、前記ターミナルと前記第2のバッテリ端子と前記電流遮断部とを樹脂で一体成形して構成されており、前記ターミナルと前記第1のバッテリ端子はネジ締めで接続され、前記第1のバッテリ端子は、前記樹脂で囲われ、更にカバーが装着されて覆われていると共に、前記樹脂によって前記中継端子は前記電磁スイッチと位置決めされて固定されているものである。
【0007】
【0008】
【0009】
この発明の請求項2に係るスタータでは、中継端子の第2のバッテリ端子は、第1のバッテリ端子と同方向に導出したものである。
【0010】
この発明の請求項3に係るスタータでは、中継端子の第2のバッテリ端子は、第1のバッテリ端子と異なる方向に導出したものである。
【0011】
【0012】
この発明の請求項4に係るスタータでは、中継端子の電流遮断部と並列に、ドライバーへの異常を警告する手段を備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1は、本発明によるスタータを示す部分断面図であり、図2は中継端子の要部説明図、図3は電気回路図である。なお、図中同一部分または相当部分には同一符号を付して説明する。図1において、スタータ1は電磁スイッチ2とモータ3などを備えており、電磁スイッチ2の第1のバッテリ端子6には、中継端子19がナット20によって固着されている。モータ3の電機子13は回転自在に軸支されており、その回転力がピニオンギヤ21に伝達され、電磁スイッチ2に備えたプランジャ22の移動に伴い、レバー23によって図示しないエンジンのリングギヤと噛合または離脱するように構成されている。
【0014】
図2は中継端子の要部説明図であって、図2(a)において、24は第1のバッテリ端子6にナット20でネジ止めされて接続される銅板等からなるターミナル、25はバッテリケーブル5とネジ締めによって接続される銅ボルト等からなる第2のバッテリ端子、26はターミナル24および第2のバッテリ端子25に接続されヒューズ機能を有する電流遮断部である。これらを図2(b)に示すようにフェノール等の樹脂27で一体成形して、中継端子19が構成されている。図2(c)は、中継端子19を電磁スイッチ2の第1のバッテリ端子6にナット20によって固着した状態を示す要部断面図である。第1のバッテリ端子6からターミナル24、電流遮断部26を経て第2のバッテリ端子25に至る電気回路が構成されている。なお、中継端子19の樹脂27と電磁スイッチ2の樹脂で構成されたキャップ28とは位置決めされて固定され、絶縁材のカバー29を装着してナット20部を覆っている。図3は、その電気回路図であって、通常の電気回路図に対して、中継端子19を構成するターミナル24、電流遮断部26および第2のバッテリ端子25が追加されている。
【0015】
次に、このように構成された実施の形態1の動作について説明する。キースイッチ7が閉じられると、S端子8にバッテリ4から電圧印加されて、Pコイル9およびHコイル10に通電され、プランジャ22が吸引されて、これによって可動接点12が第1のバッテリ端子6とM端子11間を接続する。これに伴って、バッテリ4からバッテリケーブル5、第2のバッテリ端子25、電流遮断部26、ターミナル24、第1のバッテリ端子6に至る回路を経てモータ3に通電され、電機子3が回転する。これと同時に、プランジャ22の移動に伴ってレバー23の下端が図中右方向に移動し、ピニオンギヤ21も右方向に移動し図示しないエンジンのリングギヤと噛合してエンジンを始動付勢する。
【0016】
この時、例えば、エンジンが不調な時や極寒時などで長時間通電しても始動できない場合や、スタータ1にショート等の異常があり大電流が流れたりする場合などに、中継端子19の電流遮断部26が溶断して、電流を遮断する。
【0017】
実施の形態1はこのように構成されているので、中継端子19の電流遮断部26が溶断して電流を遮断するため、スタータ1やバッテリケーブル5の異常加熱による損傷や発煙、また周囲の部品への影響などを、簡単な構成で容易に防止することができる。また、電流遮断部26は樹脂27で一体成形されており、溶断によるショート等の発生が無く絶縁性が高いほか、溶断部の電流の断続がなく耐振性が高く、信頼性の高い装置を得ることができる。
【0018】
また、通常のスタータ1の第1のバッテリ端子6に、中継端子19をナット20で一回ネジ締めすることで、容易に電流遮断部26を備えたスタータ1を自己完結で得ることができるため、スタータ1の標準化が図れ、生産性が向上する。更に、電流遮断部26が溶断して交換する時も、ナット20を外して中継端子19を交換すれば良く、容易に安価に交換することができる。また、第1のバッテリ端子6を中継端子19の樹脂27で囲い、M端子11との沿面距離を拡大し、更にカバー29を装着したため電気絶縁性が高く、バッテリ4は通常12Vであるが、36V等の高電圧にも適用可能である。
【0019】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2を図に基づいて説明する。図4は中継端子19の要部説明図で、図4(a)は中継端子19の正面図であり、図4(b)は、その中継端子19を第1のバッテリ端子6に装着した状態を示す要部断面図である。実施の形態2は、実施の形態1と基本的に同じ構成であるが、主に第2のバッテリ端子25の導出されている方向が異なる。つまり、実施の形態1では、第1のバッテリ端子6と同方向に導出されているのに対して、実施の形態2では、第1のバッテリ端子6と異なる方向に導出されている。
【0020】
実施の形態2はこのように構成されているので、図2や図4のように第2のバッテリ端子25の導出方向を変更することで、中継端子6を装着した時にもバッテリケーブル5等のレイアウトや作業性に与える影響を少なくすることが可能となったり、また逆にレイアウトや作業性を向上させることが可能となるほか、通常のスタータが流用できスタータの標準化が図れる。
【0021】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3を図に基づいて説明する。図5は、中継端子19の要部説明図であって、ターミナル24、第2のバッテリ端子25および電流遮断部26を示している。この実施の形態3においては、銅板等で構成されたターミナル24の一部を、ヒューズ機能を成すように切り欠いて、電流遮断部26を構成している。
【0022】
実施の形態3はこのように構成されているので、部品点数が減少し、安価に構成できる。
【0023】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を図に基づいて説明する。図6は電気回路図であって、中継端子19の電流遮断部26と並列に、ドライバーへの異常を警告する警告手段30を接続している。この警告手段30の電気抵抗は、電流遮断部26の電気抵抗に対して十分大きいため、通常の状態ではほとんど電流が流れないように設定されている。電流遮断部26が溶断後に始動しようとすると、可動接点12は閉じて、電流はバッテリ4から警告手段30を通り、第1のバッテリ端子6、可動接点12、M端子11を経て、モータ3に流れる。この時、警告手段30に通電されることで警告機能を動作し、ドライバーに異常を知らせる。なお、警告手段30の電気抵抗は十分に大きいため、この部分で電圧降下してモータ3にはわずかな電流しか流れないため、始動はできなくなっている。警告手段30は、ブザーやランプ等で構成している。
【0024】
実施の形態4はこのように構成されているので、警告手段30によって、電流遮断部26が溶断していることをドライバーに警告でき、利便性や安全性が向上する。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1に係るスタータによれば、電磁スイッチの第1のバッテリ端子に接続されるターミナルと、該ターミナルに接続されると共にバッテリケーブルと接続される第2のバッテリ端子と、前記ターミナルの一部をヒューズ機能を成すように切り欠いて構成された電流遮断部とを有する中継端子を備えたスタータであって、前記中継端子は、前記ターミナルと前記第2のバッテリ端子と前記電流遮断部とを樹脂で一体成形して構成されており、前記ターミナルと前記第1のバッテリ端子はネジ締めで接続され、前記第1のバッテリ端子は、前記樹脂で囲われ、更にカバーが装着され覆われていると共に、前記樹脂によって前記中継端子は前記電磁スイッチと位置決めされて固定されているので、構成が簡単で装着しやすく、溶断時の交換も容易で、スタータの標準化が図れるなど安価なスタータを得ることができる。
中継端子は、ターミナルと第2のバッテリ端子と電流遮断部とを樹脂で一体成形したので、絶縁性や耐振性が高く、また高電圧にも適合できるなど、信頼性の高いスタータを簡単な構成で得ることができる。
第1のバッテリ端子は、前記樹脂で囲われ、更にカバーが装着されて覆われているので、沿面距離が拡大し、電気絶縁性の高いスタータを得ることができる。
中継端子のターミナルと第1のバッテリ端子の接続は、ネジ締めとしたので、構成が簡単で装着しやすく、強固に取付けられ、溶断時の交換も容易で、通常のスタータに容易に装着できスタータの標準化が図れるなど、安価なスタータを得ることができるとともに、ターミナルの一部を、ヒューズ機能を成すように切り欠いて、電流遮断部を構成しているので、部品点数が減少し、安価に構成できて、更に、中継端子は前記電磁スイッチと位置決めされて固定されているので、中継端子が装着しやすく、絶縁性や耐振性が高い装置を得ることができる。
【0026】
【0027】
【0028】
また、この発明の請求項2に係るスタータによれば、中継端子の第2のバッテリ端子は、第1のバッテリ端子と同方向に導出したので、バッテリケーブル等のレイアウトや作業性に与える影響が少なくでき、また通常のスタータが流用できスタータの標準化を図ることができる。
【0029】
また、この発明の請求項3に係るスタータによれば、中継端子の第2のバッテリ端子は、第1のバッテリ端子と異なる方向に導出したので、バッテリケーブル等のレイアウトや作業性に与える影響を少なくすることが可能となったり、また逆にレイアウトや作業性を向上させることが可能となるほか、通常のスタータが流用できスタータの標準化が図れる。
【0030】
【0031】
また、この発明の請求項4に係るスタータによれば、中継端子の電流遮断部と並列に、ドライバーへの異常を警告する手段を備えたので、電流遮断部が溶断していることをドライバーに警告でき、利便性や安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるスタータを示す部分断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による中継端子の要部説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による電気回路図である。
【図4】 この発明の実施の形態2による中継端子の要部説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態3による中継端子の要部説明図である。
【図6】 この発明の実施の形態4による電気回路図である。
【図7】 従来のスタータの一例を説明する電気回路図である。
【符号の説明】
1 スタータ、 2 電磁スイッチ、 3 モータ、 4 バッテリ、 5 バッテリケーブル、 6 第1のバッテリ端子、 17 ヒューズ、 19 中継端子、 20 ナット、 24 ターミナル、 25 第2のバッテリ端子、 26 ヒューズ(電流遮断部)、 27 樹脂、 29 カバー、 30 警告手段。
Claims (4)
- 電磁スイッチの第1のバッテリ端子に接続されるターミナルと、該ターミナルに接続されると共にバッテリケーブルと接続される第2のバッテリ端子と、前記ターミナルの一部をヒューズ機能を成すように切り欠いて構成された電流遮断部とを有する中継端子を備えたスタータであって、前記中継端子は、前記ターミナルと前記第2のバッテリ端子と前記電流遮断部とを樹脂で一体成形して構成されており、前記ターミナルと前記第1のバッテリ端子はネジ締めで接続され、前記第1のバッテリ端子は、前記樹脂で囲われ、更にカバーが装着されて覆われていると共に、前記樹脂によって前記中継端子は前記電磁スイッチと位置決めされて固定されていることを特徴とするスタータ。
- 中継端子の第2のバッテリ端子は、第1のバッテリ端子と同方向に導出したことを特徴とする請求項1記載のスタータ。
- 中継端子の第2のバッテリ端子は、第1のバッテリ端子と異なる方向に導出したことを特徴とする請求項1記載のスタータ。
- 中継端子の電流遮断部と並列に、ドライバーへの異常を警告する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタータ。
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