JP3715155B2 - 回路保護装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の電気回路を保護するために使用される回路保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の電気回路は、例えば図2にその概略を示すように、バッテリ10、リレー20、回路保護器30及び負荷Lから構成されている。そして、回路保護器30としては、主にヒューズが使用されている。
【0003】
この電気回路においては、図示しないイグニッションスイッチが投入されると、バッテリ10はリレー20に電力を供給する。これにより、リレー20に内蔵されるコイル21に電流が流れ、その接点22が閉成する。その結果、バッテリ10からの電流はリレー20の接点22及び回路保護器30を経由して負荷Lに供給される。これにより、電気回路は運転状態に入る。
【0004】
この運転状態において、電気回路を構成する回路構成要素、例えば回路導体の短絡や部品の故障といった障害が発生すると、回路保護器30に過電流が流れてヒューズが発熱し、その熱によってヒューズのエレメント部が溶融する。これにより、バッテリ10から負荷Lへ流れる電流が遮断され、電気回路が保護されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒューズから構成された回路保護器30が組み込まれた従来の回路保護装置は、回路保護器30より下流側で前記障害が発生した場合にのみ機能し、回路保護器30の上流側、例えばリレー20と回路保護器30との間で障害が発生した場合は機能しない。
【0006】
このため、回路保護器30の上流側での障害時に回路を遮断できなかった。また、過電流以外の要因、例えばエアバッグが作動した場合等は電気回路に流れる電流を遮断することができない。
【0007】
また、ヒューズにより電流を遮断する従来の回路保護装置は、ヒューズが溶断した場合は、そのヒューズを新品に交換しない限り、電気回路を元の状態に復帰させることができない。
【0008】
そこで、このような問題を、例えば特開平6−335159号公報に開示された自動車用配線保護装置」で解決している。図3に従来の自動車用配線保護装置のブロック図を示す。
【0009】
すなわち、この自動車用配線保護装置では、図3に示すように、自動車の車体に配設される回路導体107に直列にPTC(Positive Temperature Coefficient)素子101が挿入され、バッテリからの電力は、このPTC素子101を経由して負荷Lに供給される。PTC素子101は、ある温度で急激に抵抗値が上昇する機能(「トリップ現象」という)を有する。
【0010】
従って、回路導体107に過電流が流れると、PTC素子101が発熱して抵抗値が大きくなり、回路導体107に流れる電流を略遮断する。これにより、電気回路が保護されるようになっている。
【0011】
しかしながら、この自動車用配線保護装置におけるPTC素子101は、上述した従来の回路保護装置におけるヒューズの代替として使用されているだけであるので、PTC素子101より上流側で障害が発生した場合に回路保護装置として機能しないという問題があった。
【0012】
本発明は、電気回路の多くの部位で発生した障害に対応でき、しかも過電流を発生する障害以外の障害にも対応できる回路保護装置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために以下の構成とした。請求項1の発明の回路保護装置は、コイル及び接点を有し且つ前記接点の一端が電源側に接続され前記接点の他端が負荷側に接続されるリレーと、このリレーに有する前記コイルに直列に接続され且つ高温になるに従って抵抗値を増大させる抵抗可変素子と、この抵抗可変素子の近傍に配置された発熱体と、電流を検出する電流センサと、車両の異常時に前記電流センサからの電流検出信号に応答して前記発熱体を駆動する制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、制御回路は、電流センサからの電流検出信号が例えば過電流を示している場合に発熱体を発熱させる。これにより、この発熱体の近傍に配置された抵抗可変素子の抵抗値が高くなり、この抵抗可変素子を流れる電流が遮断されるのでリレーのコイルに流れる電流も遮断される。その結果、リレーの接点が開放されて電源から負荷に供給される電流が遮断される。従って、例えば電源の近傍に電流センサを配置すれば、電気回路の何れかの部位で過電流が流れるような障害が発生した場合に全負荷に供給される電流を遮断することができるので、電気回路の略全体の障害に対応できる回路保護装置を提供できる。
【0015】
また、請求項2の発明は、コイル及び接点を有し且つ前記接点の一端が電源側に接続され前記接点の他端が負荷側に接続されるリレーと、このリレーに有する前記コイルに直列に接続され且つ高温になるに従って抵抗値を増大させる抵抗可変素子と、この抵抗可変素子の近傍に配置された発熱体と、エアバッグが作動したことを検出するエアバッグセンサと、車両の異常時に前記エアバックセンサからのエアバック作動検出信号に応答して前記発熱体を駆動する制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明によれば、制御回路は、エアバッグセンサがエアバッグが作動したことを検出した場合に発熱体を駆動する。これにより、リレーの接点が開放されて電源から負荷に供給される電流が遮断される。従って、回路導体の短絡や部品の故障等に基づいて過電流が流れた場合のみならず、エアバッグの作動といった不測の事態が発生した場合も電気回路に流れる電流を遮断できる回路保護装置を提供できる。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記抵抗可変素子がPTC素子であることを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明によれば、抵抗可変素子がPTC素子であるので、PTC素子の抵抗値がより高くなり、その効果が大となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回路保護装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、従来の技術の欄で説明した構成要素と同一または相当部分には同一符号を付して説明する。
【0022】
本発明の実施の形態に係る回路保護装置が適用された電気回路は、図1に示すように、バッテリ10、リレー20、回路保護器40、電流センサ50、エアバッグセンサ60及び負荷Lから構成されている。
【0023】
バッテリ10は、電気回路全体に電力を供給する。このバッテリ10の第1端子は接地され、バッテリ10の第2端子は電流センサ50を介してリレー20に接続されている。なお、図1では、説明を簡単にするために、1個のリレー20を有する電気回路を示しているが、リレーの個数は複数であっても良い。この場合、バッテリ10の第2端子は各リレーに接続され、また、各リレーの下流側には回路保護器及び負荷が接続される。
【0024】
リレー20は、コイル21及び接点22から構成されている。コイル21の第1端子はバッテリ10の第2端子に接続され、コイル21の第2端子は回路保護器40に接続されている。
【0025】
また、接点22の第1端子はバッテリ10の第2端子に接続され、接点22の第2端子は回路保護器40を介して負荷Lの第1端子に接続されている。リレー20の接点22は、コイル21に電流が流れない状態では開放されており、電流が流れることによって閉成される。
【0026】
負荷Lは、例えば、ヘッドランプ、方向指示器といったランプ類、ワイパーやパワーウインドウを駆動するためのモータ類等から構成されている。この負荷Lの第1端子は、前述したように、回路保護器40を介してリレー20の接点22の第2端子に接続されており、負荷Lの第2端子は接地されている。
【0027】
電流センサ50は、バッテリ10から出力される電流の大きさを検出し、検出結果を表す電流検出信号を回路保護器40に供給する。電流センサ50としては、周知の種々のタイプの電流センサを用いることができる。
【0028】
電流センサ50は、バッテリ10の第2端子の近傍に配置されている。これにより、バッテリ10から出力される総電流を監視できるので、電気回路の何れかの部位で、回路導体の短絡や部品の故障といった過電流が流れるような障害が発生しても、バッテリ10から負荷Lに供給される電流を遮断できるようになっている。
【0029】
エアバッグセンサ60は、図示しないエアバッグが作動したかどうかを検出し、検出結果を表すエアバッグ作動検出信号を回路保護器40に供給する。
【0030】
回路保護器40は、PTC素子41、発熱体42及び制御回路43から構成されている。PCT素子41は、上述したように、ある温度で急激に抵抗値が上昇し、このPCT素子41に流れる電流を略遮断する機能を有する。このPTC素子41の第1端子は、上述したコイル21の第2端子に接続され、PTC素子41の第2端子は接地されている。
【0031】
また、発熱体42は、PTC素子41の近傍に配置され、制御回路43からの駆動信号が供給されることによって発熱する。PTC素子41の温度は、この発熱体42の発熱によって制御される。すなわち、PTC素子41は、発熱体42の発熱に応じて導通または遮断される。
【0032】
制御回路43は、電流センサ50からの電流検出信号及びエアバッグセンサ60からのエアバッグ作動検出信号に応答して発熱体42に駆動信号を供給する。すなわち、制御回路43は、電流センサ50からの電流検出信号に基づく電流値が、所定電流値以上である場合に、駆動信号を発熱体42に供給する。
【0033】
また、制御回路43は、エアバッグセンサ60からのエアバッグ作動検出信号に基づく検出値が、所定値以上である場合に、駆動信号を発熱体42に供給する。なお、図1では、制御回路43への電源の供給路は図示を省略してある。
【0034】
次に、このように構成された本発明の実施の形態に係る回路保護装置が適用された電気回路の動作を説明する。
【0035】
まず、図示しないイグニッションスイッチが投入されると、バッテリ10はリレー20に電力を供給する。これにより、リレー20に内蔵されるコイル21及びPTC素子41を介して電流が流れて接点22が閉成する。その結果、バッテリ10からの電流はリレー20及び回路保護器40を介して負荷Lに供給される。これにより、電気回路は運転状態に入る。
【0036】
この運転状態において、電流センサ50からの電流検出信号及びエアバッグセンサ60からのエアバッグ作動検出信号が回路保護器40の制御回路43に供給される。
【0037】
次に、負荷Lに短絡故障が発生したとすると、バッテリ10からの電流はリレー20及び回路保護器40を介してグランドに直接流れる。これにより、電流センサ50から制御回路43へ供給される電流検出信号は、過電流が流れた旨を表すように変化する。制御回路43は、この電流検出信号が所定値以上の電流、つまり過電流が流れた旨を表していることを判断すると、駆動信号を発熱体42に供給する。
【0038】
これにより、発熱体42が発熱し、PTC素子41が加熱される。この加熱によりPTC素子41の温度が所定温度まで上昇するとPTC素子41がトリップする。その結果、PTC素子41を流れる電流が略遮断されるので、リレー20のコイル21に流れる電流も遮断されて接点22が開放される。これにより、電気回路が過電流による焼損等から保護される。
【0039】
その後、負荷Lの故障を修理して発熱体42への駆動信号の供給を停止すると、発熱体42の温度は下降し、これに伴ってPTC素子41の温度も下降する。そして、PTC素子41の温度が所定値まで下降すると、PTC素子41に再び電流が流れ始める。
【0040】
その結果、リレー20のコイル21にも電流が流れて接点22が閉成される。これにより、電気回路が元の正常な状態に復帰する。なお、発熱体42への駆動信号の供給停止は、例えば制御回路43と発熱体42との間に手動の開閉スイッチを設けることにより行うことができる。
【0041】
エアバッグセンサ60からのエアバッグ作動検出信号が制御回路43に供給された場合も、上記と全く同様にして電気回路の遮断及び復帰が行われる。
【0042】
このように、実施の形態に係る回路遮断装置によれば、回路保護器40の下流側で障害が発生した場合はもちろん、回路保護器40の上流側で障害が発生した場合であっても、電気回路に流れる電流を遮断することができる。
【0043】
また、PTC素子41は、特開平6−335159号公報に開示された自動車用配線保護装置のように、大電流が流れる回路導体に直列に挿入されるのではなく、リレー20のコイル21に直列に接続されるので、大電流に耐え得る特性を有する必要はなく、低電流対応品で済む。
【0044】
従って、安価且つ小型のPTC素子を使用できるので、回路保護装置の低価格化及び小型化が可能である。また、同じ性能のPTC素子であれば、前述した自動車用配線保護装置より大きな電流を遮断する回路保護装置を構成することができる。
【0045】
また、この実施の形態に係る回路遮断装置では、PTC素子を使用しているので、回路遮断と回路復帰とが可能であり、反復して使用することができ、保守のためのコストを低減できると共に、保守作業が簡単になるという利点がある。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、回路遮断装置を作動させる要因として電気回路に過電流が流れた場合及びエアバッグが作動した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。電気回路を遮断すべき要因を表す信号を回路保護器40内の制御回路43に供給するように構成すれば、種々の要因に応答して電気回路に流れる電流を遮断するように構成することができる。
【0047】
また、上述した実施の形態では、電気回路に流れる電流を遮断する素子としてPTC素子を使用したが、PTC素子の代わりに例えば電界効果トランジスタ(FET)を使用して回路遮断装置を構成することもできる。この場合、コイル21の第2端子にFETのドレインを接続すると共にソースを接地し、制御回路43からの駆動信号をゲートに接続する。そして、制御回路43からの駆動信号によりFETをオン/オフさせるように構成すれば、上述した実施の形態と同様の動作を行わせることができる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、制御回路は、電流センサからの電流検出信号が例えば過電流を示している場合に発熱体を発熱させる。これにより、この発熱体の近傍に配置された抵抗可変素子の抵抗値が高くなり、この抵抗可変素子を流れる電流が遮断されるのでリレーのコイルに流れる電流も遮断される。その結果、リレーの接点が開放されて電源から負荷に供給される電流が遮断される。従って、例えば電源の近傍に電流センサを配置すれば、電気回路の何れかの部位で過電流が流れるような障害が発生した場合に全負荷に供給される電流を遮断することができるので、電気回路の略全体の障害に対応できる回路保護装置を提供できる。
【0049】
請求項2の発明によれば、制御回路は、エアバッグセンサがエアバッグが作動したことを検出した場合に発熱体を駆動する。これにより、リレーの接点が開放されて電源から負荷に供給される電流が遮断される。従って、回路導体の短絡や部品の故障等に基づいて過電流が流れた場合のみならず、エアバッグの作動といった不測の事態が発生した場合も電気回路に流れる電流を遮断できる回路保護装置を提供できる。
【0050】
請求項3の発明によれば、抵抗可変素子がPTC素子であるので、PTC素子の抵抗値がより高くなり、その効果が大となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る回路保護装置が適用された電気回路の構成を示すブロック図である。
【図2】従来の回路保護装置が適用された電気回路の構成を示すブロック図である。
【図3】従来の自動車用配線保護装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 バッテリ
20 リレー
21 コイル
22 接点
40 回路保護器
41 PTC素子
42 発熱体
43 制御回路
50 電流センサ
60 エアバッグセンサ
L 負荷
Claims (3)
- コイル及び接点を有し且つ前記接点の一端が電源側に接続され前記接点の他端が負荷側に接続されるリレーと、
このリレーに有する前記コイルに直列に接続され且つ高温になるに従って抵抗値を増大させる抵抗可変素子と、
この抵抗可変素子の近傍に配置された発熱体と、
電流を検出する電流センサと、
車両の異常時に前記電流センサからの電流検出信号に応答して前記発熱体を駆動する制御回路と、
を備えたことを特徴とする回路保護装置。 - コイル及び接点を有し且つ前記接点の一端が電源側に接続され前記接点の他端が負荷側に接続されるリレーと、
このリレーに有する前記コイルに直列に接続され且つ高温になるに従って抵抗値を増大させる抵抗可変素子と、
この抵抗可変素子の近傍に配置された発熱体と、
エアバッグが作動したことを検出するエアバッグセンサと、
車両の異常時に前記エアバックセンサからのエアバック作動検出信号に応答して前記発熱体を駆動する制御回路と、
を備えたことを特徴とする回路保護装置。 - 前記抵抗可変素子は、PTC素子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の回路保護装置。
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