JP4098968B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用空気調和装置に関し、さらに詳細には車両用空気調和装置の空気調和特性を決める演算係数データおよび補正データを含むデータの書き込みを可能にした車両用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用空気調和装置において車室への目標吹き出し空気温度、吹き出し空気量などを、設定車室温度、車室内気温度(以下、内気温度とも記す)、車室外気温度(以下、外気温度とも記す)、日射量、その他に基づいて予め定めた演算式に基づく演算等によって求め、求めた車室への吹き出し温度の空気を、求めた吹き出し空気量だけ吹き出しダクトから吹き出させて、車室内の空気調和を行っている。
【0003】
この際、予め定めた空気調和のために用いられる演算式における演算係数データや補正データは車両用空気調和装置の空気調和特性を決める空気調和用データであって、空気調和のために使用される加熱器の性能、冷却機の性能、ブロワーの性能、空調ダクトの実効断面積、形状および配管経路、空調空気の吹き出しダクトの実効断面積、形状および配管経路、ダンパーの特性などによって定められていて、これらの演算係数データや補正データは、空気調和装置の一部を構成する制御装置であるマイクロコンピュータに設けられたマスクROMに予め格納されている。
【0004】
上記のマスクROMに格納されている演算係数データや補正データが参照されて、参照した演算係数データや補正データ、設定車室温度、検出内気温度、検出外気温度、検出日射量、その他に基づいて予め定めた演算式に基づく演算等によって、車室への吹き出し空気温度、吹き出し空気量などが求められ、求められた目標吹き出し空気温度の空気を求められた吹き出し量だけ吹き出しダクトから吹き出させて、車室内の空気調和を行っている。
【0005】
しかしながら、車種の変更や、車両の設計変更などにより所定の空気調和特性が得られない場合がある。具体的には、車種によって空気調和のための加熱器の特性、冷却機の特性、ブロワーの特性、空調ダクトの実効断面積、形状および配管経路、空調空気の吹き出しダクトの実効断面積、形状および配管経路等が変更され、これらの変更の結果、空気調和後の車室内気温度が乗員にとって高く、または低く感じられたりして、所望の快適感を与えることができない場合がある。
【0006】
このようなときに、開発期間中や、製造工程中において、マスクROMに書き込まれている演算係数データや補正データを含むデータの更新が必要になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、マスクROM製造後にマスクROMに格納されているデータを書き換えるには、半導体メーカにおいても、数週間の期間が必要であって、マスクROMに格納されている演算係数データや補正データを含むデータの更新を車両の量産時期に適合させることが困難な場合が生ずる。
【0008】
本発明は、演算係数データおよび補正データを含むデータの書き込みが容易にできて、かつデータの書き込みのために新たなハードウエアの追加を必要としない車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる車両用空気調和装置は、操作・表示パネルに設けられた操作指示スイッチからの指示信号を受けて車両用空気調和装置本体を制御し車室の空気調和制御を行うためのコンピュータを含む制御装置を備えた車両用空気調和装置において、
空気調和特性を決める演算係数データおよび補正データを含むデータを格納するEEPROMと、
空気調和のための検出信号が予め定めた所定値の信号として、検出車室外気温度が予め定めた温度以上の信号と検出車室内気温度が予め定めた温度以下の信号、または、検出車室外気温度が予め定めた温度以下の信号と検出車室内気温度が予め定めた温度以上の信号で入力されたことを検出する検出手段と、
検出手段により前記予め定めた所定値の信号が入力されたことを検出したとき、操作・表示パネルもしくは制御装置に空気調和制御のために設けられている信号入出力端子中の予め定めた所定の端子をデータ入出力端子と認識する認識手段と、
前記認識手段による認識に続いて、前記データ入出力端子に供給される入力データを前記EEPROMに書き込むデータ書き込み手段と、
を備え、
さらに、前記検出手段により前記予め定めた所定値の信号が入力されたことを検出した後、予め定められた期間の計時が開始され、前記予め定められた期間、前記認識手段による認識と前記データ書き込み手段による書き込みを継続し、この継続期間中に、前記書き込み手段により書き込んだデータを前記データ入出力端子を利用して読み出し、読み出したデータと前記入力データとを対比する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用空気調和装置によれば、空気調和のための信号を予め定めた所定値で入力することによって操作・表示パネルもしくは制御装置に空気調和制御のために設けられている信号入出力端子中の予め定めた所定の端子がデータ入出力端子と認識されて、引き続いて該データ入出力端子に入力されるデータがEEPROMに書き込まれるために、EEPROMへのデータの書き込みのためのデータ入出力端子を独立して設ける必要はなく、操作・表示パネルもしくは制御装置に空気調和制御のために設けられている信号入出力端子中の予め定めた所定の端子が時分割でデータ入出力端子とされ、EEPROMへのデータ書き込みのために新たなハードウエアの追加を必要としない。
【0011】
さらに、本発明の車両用空気調和装置によれば、データ入出力端子とされた端子に演算係数データや、補正データを含むデータを供給することによって、該データがEEPROMに書き込まれるため、EEPROMへのデータの書き込みおよびEEPROMにおける格納データの書き換えが容易であり、空気調和のための加熱器の特性、冷却機の特性、ブロワーの特性、空調ダクトの実効断面積、形状および配管経路、空調空気の吹き出しダクトの実効断面積、形状および配管経路等の変更を含む車種の変更や車両の設計変更に容易に対応することができる。
【0012】
さらにまた、本発明の車両用空気調和装置によれば、操作・表示パネルもしくは制御装置に空気調和制御のために設けられている信号入出力端子中の予め定めた所定の端子をデータ入出力端子と認識させるために、空気調和のための信号を予め定めた所定値で前記データ入出力端子に入力すれば足り、そのために新たに独立した機器、端子を必要としない。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる車両用空気調和装置を実施の形態によって説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の一形態にかかる車両用空気調和装置の概略構成説明図である。
【0015】
符号1は本発明の実施の一形態にかかる車両用空気調和装置を示し、車両用空気調和装置1は車両用空気調和装置本体2と、マイクロコンピュータを備えて車両用空気調和装置本体2を制御して車室の空気調和制御を行う制御装置5と、制御装置5に指示を出す操作スイッチと共に空調制御の状態表示をする表示器とを有する操作・表示パネル7を備えている。
【0016】
車両用空気調和装置本体2は、既に知られているように、空調ダクト12に上流側から下流側に向かって、回動自在に設けられて取入れ空気を車室内気にするか、車室外気にするか、またはその混合気にするかを選択するインテークダンパ14、インテークダンパ14を介して吸い込んだ空気を車室48へ送風するブロワー16、後記の冷却回路31が動作中、送風空気と熱交換するエバポレータ18を含む冷却機30、エバポレー夕18を通過した空気中、車載内燃機関の冷却水が循環されて通過空気を加熱する加熱器22に分流させる空気量を制御するミックスダンパ20、車室48への空気吹出口を選択するモード切替用ダンパ24を備えている。
【0017】
車室48への空気吹出口は乗員の顔部方向へ空気を吹き出すベント吹出口24−1と、足元から空気を吹き出すフット吹出口24−2と、フロントガラスに沿って吹き出すデフロスト吹出口(図示せず)とで形成してあり、モード切替用ダンパ24によって上記吹出口の1つまたは2つが選択される。
【0018】
制御装置5を構成するマイクロコンピュータは、基本的に、CPU52、CPU52と協働して空気調和を行うためのプログラムが格納されたROM54、空気調和のための作業領域を含み演算データと演算結果データを一時的に格納するRAM56、タイマ60、アナログマルチプレクサ62、アナログマルチプレクサ62の出力をA/D変換するA/D変換器64を備え、CPU52に演算係数データや補正データを含むデータが格納されるEEPROM58が接続してある。
【0019】
制御装置5を構成するマイクロコンピュータは、図2に示す如く、車室の空気調和制御を行うオートエアコン制御回路65と、空気調和のための検出信号が一定期間継続して予め定めた所定値で入力されたことを検出する検出回路66と、予め定めた所定の信号の入力が検出されたとき、操作・表示パネル7に空気調和制御のために設けられている信号入出力端子中の予め定めた所定の端子を予め定めた期間中のみデータ入出力端子と認識する認識回路67と、認識回路67による認識に続いて前記データ入出力端子に供給される入力データをEEPROM58に書き込むデータ書き込み回路68とを機能的に備えている。
【0020】
ここで、検出回路66が検出する信号は、例えば、検出車室外気温度が予め定めた温度以上の信号と検出車室内気温度が予め定めた温度以下の信号である。
【0021】
また、検出回路66が検出する信号は、例えば、検出車室外気温度が予め定めた温度以下の信号と検出車室内気温度が予め定めた温度以上の信号であってもよい。
【0022】
一方、操作・表示パネル7は車両のインスツルメントパネルの下部に設けられている。
【0023】
操作・表示パネル7にはオートエアコン起動指示をするためのAUTO指示スイッチ72、オートエアコン停止指示をするためのOFF指示スイッチ74、設定車室温度の上昇指示をする温度上昇指示スイッチ76、車室設定温度の下降指示をする温度下降指示スイッチ78、表示部80、吹き出しモード切り替えを手動指示する吹き出しモード指示スイッチ92、風量切り替えを手動指示する風量指示スイッチ94、デフロスト指示スイッチ98および内外気切り替え指示スイッチ100を備えており、各指示スイッチの出力は制御装置5に供給されて、制御装置5の制御の下に対応する制御がなされる。
【0024】
すなわち、AUTO指示スイッチ72の指示によりオートエアコンの起動がなされ、OFF指示スイッチ74の指示によりオートエアコンの停止がなされ、設定車室温度の上昇指示をする温度上昇指示スイッチ76の指示により設定車室温度の上昇指示がなされて設定車室温度が指定され、温度下降指示スイッチ78の指示により設定車室温度の下降指示がなされて設定車室温度が指定され、吹き出しモード指示スイッチ92の指示に基づきモード切替用ダンパ24を制御して指示された吹き出し口からの空気送出が選択され、風量指示スイッチ94の指示によりブロワー16への印加電圧を切り替えて風量切り替えがなされ、デフロスト指示スイッチ98の指示によりデフロストがなされ、内外気切り替え指示スイッチ100の指示に基づきインテークダンパ14にて内気循環または外気取り込みが選択される。
【0025】
表示部80には、設定車室温度表示部82、吹き出しモード表示部84、風量表示部86、加熱器22の状態表示部88、時刻表示部90を備え、制御装置5からの指示に基づき、設定車室温度、吹き出しモード、風量、加熱器22の状態、現在時刻のそれぞれの表示がなされる。
【0026】
一方、車室内気温度を検出する内気温度センサ36、車室外気温度を検出する外気温度センサ38、エバボレータ出口空気温度を検出するエバポレータ出口空気温度センサ40、加熱器22の温度を検出する加熱器温度センサ42、日射量を検出する日射量センサ44およびミックスダンパ開度を検出するポテンショメー夕46の各出力A〜Fは制御装置5に供給してある。
【0027】
これらの出力A〜Fを受けた制御装置5において、アナログマルチプレクサ62によって順次アナログマルチプレクサ62への入力の一つを選択し、選択された入力がA/D変換器64にてA/D変換されて、A/D変換出力に基づいて、オートエアコン指示がなされているときは、オートエアコン制御回路65の制御の下に、またオートエアコン停止指示がなされているときは、操作・表示パネル7に設けられた各操作スイッチからの出力に基づき制御装置5の制御の下に、アクチュエータを含む駆動回路26の出力によってインテークダンパ14の位置が、駆動回路28の出力によってブロワー16の回転を制御することにより風量が、冷却回路31を介して冷却機30の駆動時期、駆動周期および停止が、アクチュエータを含む駆動回路32の出力によってミックスダンパ20の位置が、アクチュエータを含む駆動回路34の出力によってモード切替用ダンパ24の位置が、それぞれ制御される。
【0028】
本発明にかかる車両用空気調和装置1の作用につきオートエアコンの場合を例に説明する。
【0029】
プログラムの実行が開始されると初期設定がなされ、各センサ36、38、40、42、44の出力、ボテンショメータ46の出力および温度上昇指示スイッチ76、温度下降指示スイッチ78の設定による設定車室温度が読み込まれ、RAM56に一旦記憶される。続いて操作・表示パネル7における各スイッチの設定状態が読み込まれる。
【0030】
続いて車室48へ吹き出す空気の目標吹き出し空気温度T0が演算のうえ一旦RAM56に記憶される。目標吹き出し空気温度T0を演算するためには検出内気温度Tr、検出外気温度Ta、日射量Tsの検出値、設定車室温度Td等から演算を行い、その演算式には複数の演算計数データK1nおよび補正データK2が必要である。目標吹き出し空気温度T0は設定車室温度Tdと検出内気温度Trとの偏差に関連し、さらに検出外気温度Taおよび日射量Tsにより補正した値に対応している。
【0031】
ブロワー16の駆動制御は、目標吹き出し空気温度T0に基づいて、図3(a)に示す予め設定してあるパターンに基づく電圧V0から電圧V1間の駆動電圧をブロワー16の駆動モータに印加することによって行われる。
【0032】
一方、ミックスダンパ20の開度θ(%)
θ=100(T0−Te)/(Th−Te)
が演算のうえ一旦RAM56に記憶される。
【0033】
ここで、ミックスダンパ20の開度θは、目標吹き出し空気温度T0、エバポレータ出口空気温度Te、加熱器温度Thに対応して概略的に図3(b)に示す如く、フット、デフロスト、フットデフロストの各モードのときは図3(b)の曲線εにしたがって制御され、ベント、バイレベルの各モードのときは図3(b)の曲線ζにしたがって制御される。ミックスダンパ20の開度θの増加により加熱器22を通過させる空気量は増加させられる。加熱器温度Thは加熱器温度センサ42によって検出される。また、エバポレータ出口空気温度Teはエバポレータ出口空気温度センサ40にて検出される。
【0034】
モード切替用ダンパ24の自動切り替えは、図3(c)に示す如く、目標吹き出し空気温度T0に基づいて、ベント吹出口24−1から空気を吹き出すベント吹き出し、フット吹出口24−2から空気を吹き出すフット吹き出し、ベント吹出口24−1およびフット吹出口24−2から空気を吹き出すバイレベル吹き出しに切り替えられる。この切り替えに際してはヒステリシスを持たせている。
【0035】
図3(a)における変化点T1の目標吹き出し空気温度、変化点T2の目標吹き出し空気温度、駆動電圧V0〜V1の範囲、直線γの勾配、直線δの勾配は車種、ブロワー16の特性等によって変わる。図3(c)における吹き出し口切り替えのための変化点T3〜T6の目標吹き出し空気温度は、車種等によって変わる。これらはEEPROM58に格納されていて、車種、ブロワー16、加熱器22、冷却機30を変更する度に対応して更新する必要がある。
【0036】
さらに、上記演算によって求めた開度θは理論値であり、これの補正係数データが車種、ブロワー16の特性、加熱器22の特性、冷却機30の特性によって求められていて、これが補正データとしてテーブルの形でEEPROM58に格納されており、車種、ブロワー16、加熱器22、冷却機30を変更する度に変更に対応してEEPROM58に格納されている補正データを更新する必要が生ずる。通常このデータ量が最も多い。
【0037】
しかるに、目標吹き出し空気温度T0の演算のための複数の演算係数データK1nおよび補正データK2、ブロワー16の風量制御のための目標吹き出し空気温度T1、T2、勾配γ、δおよび駆動電圧の上下限電圧値V0、V1、図3(b)に示すミックスダンパ20の開度θのパターン、モード切替用ダンパ24の切り替えのための目標吹き出し空気温度T3〜T6などは車両用空気調和装置1の空気調和特性を決めるデータであり、これらはEEPROM58に書き込まれる。
【0038】
したがって、演算係数データ、補正データを含むEEPROM58に格納されているデータを、車種、ブロワー16、加熱器22、冷却機30を変更する度に、また空調ダクト12および車室48への空気吹き出しダクトの実効断面積、形状、配管経路を変更する度に、またインテークダンパ14のリンク、ミックスダンパ20のリンク、モード切替用ダンパ24のリンクを変更する度にダンパのリンクの変更に対応して更新する必要が生ずることになる。
【0039】
また、データ未格納のEEPROM58に車両用空気調和装置1の空気調和特性を決めるデータを新たに書き込むことが必要な場合も生ずることになる。
【0040】
次に、演算係数データ、補正データを含むデータをEEPROM58に書き込むことが必要になったときにおけるデータの書き込みルーチンについて、図4に示したフローチャートに基づき説明する。
【0041】
予め定めた入力条件信号が入力されると書き込みルーチンに入る(ステップS1)。ステップS1において入力条件信号が入力されないときは、空気調和動作がなされる(ステップS7)。
【0042】
ここで、ステップS1における入力条件信号が入力されたか否かの判別は検出回路66によってなされる。さらに、具体的には、予め定めた入力条件信号は、例えば、内気温度センサ36からの検出温度が−150℃以下の温度のときの信号であり、かつ外気温度センサ38からの検出温度が150℃以上の温度のときの信号であるとしてある。これは、第三者によってデータ書き込みモードに入られないためと、車両用空気調和装置1における空気調和のために使用される温度センサを利用するためと、このような条件は車両用空気調和装置1において普通では発生しない環境であるためである。
【0043】
このような入力条件信号とすることによって、データ書き込みモードに入るために、内気温度センサ36の出力信号を−150℃以下の温度のときの信号とし、かつ外気温度センサ38の出力信号を150℃以上の温度のときの信号として、制御装置5へ供給すれば足り、書き込みルーチンに入るために車両用空気調和装置1で使用されているもの以外に、温度センサおよび信号入出力端子も含めて新たな独立した装置を設ける必要がないためであり、さらに通常の環境では生じない信号であるため、空気調和時に発生することがないためでもある。
【0044】
ステップS1において入力条件信号が入力されたと判別されたときは、該入力条件信号が予め定めた一定期間継続しているか否かがチェックされる(ステップS2)。ステップS2において入力条件信号が一定期間継続して入力されたと判別されないときは、空気調和動作がなされる(ステップS7)。ステップS2において入力条件信号が一定期間継続して入力されたと判別されたときは、データ書き込みモードに入ってステップS2に続いてタイマ60による計時が開始されて(ステップS3)、続いてステップS4が実行される。
【0045】
ステップS4の実行に入ると、操作・表示パネル7の入出力端子中の予め定めた端子が、EEPROM58へデータ書き込みのためのデータ入出力端子であると認識回路67で認識される(ステップS4)。この認識に続いて、前記データ入出力端子に入力されるデータがEEPROM58へ書き込まれるデータであるとして、CPU52を介してEEPROM58に供給されて、CPU52の制御の下にEEPROM58に書き込まれる(ステップS5)。
【0046】
したがって、ステップS5において、前記データ入出力端子から引き続いて入力されるデータがEEPROM58に書き込まれ、また、前記データ入出力端子から引き続いて入力されるデータをEEPROM58に既に格納されているデータ上に重ね書きさせることによって、EEPROM58に格納されているデータの更新がなされる。
【0047】
ここで、ステップS5におけるEEPROM58へのデータの書き込み、EEPROM58に格納されているデータの更新はデータ書き込み回路68によって行われる。
【0048】
上記のように、操作・表示パネル7の入出力端子中の予め定めた端子をデータ書き込みのためのデータ入出力端子とするのは、EEPROM58へのデータ書き込みおよびEEPROM58に格納されているデータの更新のために新たに独立した端子を設けなくて済むためである。
【0049】
さらに、操作・表示パネル7の入出力端子の数は、温度上昇指示スイッチ76、温度下降指示スイッチ78、吹き出しモード指示スイッチ92、風量指示スイッチ94、デフロスト指示スイッチ98、内外気切り替え指示スイッチ100、設定車室温度表示部82、吹き出しモード表示部84、風量表示部86、加熱器22の状態表示部88および時刻表示部90の入出力端子とその端子数は多く、EEPROM58に格納されているデータの更新のためのデータ入出力端子として選択が容易であるためであって、入力される更新のためのデータおよびアドレスデータのビット数が多くても十分に対応することができるためである。
【0050】
この結果、操作・表示パネル7の入出力端子中における予め定めた端子をデータ入出力端子とし、該データ入出力端子に外部からEEPROM58へ書き込むためのデータ、またはEEPROM58に格納されているデータ更新のためのデータを順次入力することによって、CPU52を介してEEPROM58にデータの書き込み、またはEEPROM58に格納されているデータの更新がなされることになって、車種の変更や車両の設計変更に容易に対応することができる。
【0051】
ステップS5に続いて、予め定められた期間経過したか否かがチェックされ、予め定められた期間経過していないと判別されたときはステップS4から繰り返して実行される(ステップS6)。
【0052】
ステップS6において、予め定められた期間経過したと判別されたときはステップS7が実行されて、空気調和動作が行われる。
【0053】
したがって、EEPROM58に格納されているデータの書き込み期間および更新期間はステップS6の実行によって期間的に制限されることになって、この期間の経過によって更新ルーチンから自動的に抜け出ることになる。また、この期間内にEEPROM58へのデータの書き込み、またはEEPROM58に格納されているデータの更新が終了しないときは、再びステップS1から実行して書き込み、更新を行えばよい。
【0054】
また、ステップS5におけるデータの書き込みの後、データ書き込みに使用された入出力端子を介して、書き込まれたEEPROM58のデータおよび更新されたEEPROM58のデータを読み出してもよい。
【0055】
またさらに、書き込まれたEEPROM58のデータおよび更新されたEEPROM58のデータは、ステップS6においてEEPROM58から読み出して、読み出したデータと入力したデータとを対比することによってデータ書き込みの途中でデータが化けていないかをチェックするようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両用空気調和装置によれば、マスクROMに代わってEEPROMを用いたため、車種、冷却機、ブロワー、加熱器、空調ダクトの形状および配管経路、空気吹き出し口のダクトの形状および配管経路、各ダンパのリンクの変更に対応してEEPROMへ容易にデータを書き込むことができ、EEPROMに格納されているデータを車種、冷却機、ブロワー、加熱器、空調ダクトの形状および配管経路、空気吹き出し口のダクトの形状および配管経路、各ダンパのリンクの変更に対応して容易に更新することができる。
【0057】
さらに、本発明の車両用空気調和装置によれば、EEPROMへのデータ書き込みのために独立して新たな装置を設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる車両用空気調和装置の概略構成説明図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる車両用空気調和装置における制御装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の一形態にかかる車両用空気調和装置における空気調和動作の説明に供する模式説明図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかる車両用空気調和装置の作用の説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
1…車両用空気調和装置 2…車両用空気調和装置本体
5…制御装置 7…操作・表示パネル
36…内気温度センサ 38…外気温度センサ
58…EEPROM 66…検出回路
67…認識回路 68…データ書き込み回路
Claims (3)
- 操作・表示パネルに設けられた操作指示スイッチからの指示信号を受けて車両用空気調和装置本体を制御し車室の空気調和制御を行うためのコンピュータを含む制御装置を備えた車両用空気調和装置において、
空気調和特性を決める演算係数データおよび補正データを含むデータを格納するEEPROMと、
空気調和のための検出信号が予め定めた所定値の信号として、検出車室外気温度が予め定めた温度以上の信号と検出車室内気温度が予め定めた温度以下の信号、または、検出車室外気温度が予め定めた温度以下の信号と検出車室内気温度が予め定めた温度以上の信号で入力されたことを検出する検出手段と、
検出手段により前記予め定めた所定値の信号が入力されたことを検出したとき、操作・表示パネルもしくは制御装置に空気調和制御のために設けられている信号入出力端子中の予め定めた所定の端子をデータ入出力端子と認識する認識手段と、
前記認識手段による認識に続いて、前記データ入出力端子に供給される入力データを前記EEPROMに書き込むデータ書き込み手段と、
を備え、
さらに、前記検出手段により前記予め定めた所定値の信号が入力されたことを検出した後、予め定められた期間の計時が開始され、前記予め定められた期間、前記認識手段による認識と前記データ書き込み手段による書き込みを継続し、この継続期間中に、前記書き込み手段により書き込んだデータを前記データ入出力端子を利用して読み出し、読み出したデータと前記入力データとを対比する
ことを特徴とする車両用空気調和装置。 - 請求項1記載の車両用空気調和装置において、前記検出手段は予め定めた一定期間継続して前記予め定めた所定値の信号の入力を検出することを特徴とする車両用空気調和装置。
- 請求項1記載の車両用空気調和装置において、前記認識手段は前記信号入出力端子中の予め定めた所定の端子を一定期間中のみ、前記EEPROMにデータ書き込みのための前記データ入出力端子と認識することを特徴とする車両用空気調和装置。
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