JP4092456B2 - 制動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば走行速度を制御する走行速度制御装置などに用いられる制動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような制動制御装置としては、例えば特開2000−233664号公報に記載されるものがある。この制動制御装置は、例えば走行速度が制限速度以上であると判定されたときに、自動的に制動制御を開始するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の制動制御装置では、実際に制動が必要になった時点で制動手段が作動されるため、制動手段の構造によっては、実際の制動力が発生するまでに応答遅れが発生するという問題がある。
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、実際の制動力が発生するまでの応答遅れを可及的に小さくすることができる制動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のうち請求項1に係る制動制御装置は、自車両前方の物体を検出する自車両前方物体検出手段と、前記自車両前方物体検出手段で検出された自車両前方の物体と自車両との相対位置又は相対速度が所定の関係になるように目標制動力を設定する目標制動力設定手段と、前記目標制動力設定手段で設定された目標制動力に基づき、車輪を制動するための制動手段の作動状態を制御する目標制動力制御手段とを備え、前記目標制動力制御手段は、前記目標制動力に基づく制動手段の作動状態制御前に、当該目標制動力が大きくなり続けるときに当該制動手段を予備作動制御することを特徴とするものである。
【0005】
また、本発明のうち請求項2に係る制動制御装置は、前記請求項1の発明において、前記目標制動力制御手段は、前記目標制動力に基づいて前記制動手段及び車輪を駆動する駆動手段の作動状態を設定すると共に、前記駆動手段で達成可能な最大制動力と実現している制動力との差に基づいて前記制動手段の予備作動制御を行うことを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項3に係る制動制御装置は、前記請求項1又は2の発明において、前記目標制動力制御手段は、前記制動手段の予備作動制御として、制動流体圧源の作動を開始することを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のうち請求項4に係る制動制御装置は、自車両前方の物体を検出する自車両前方物体検出手段と、前記自車両前方物体検出手段で検出された自車両前方の物体と自車両との相対位置又は相対速度が所定の関係になるように目標制動力を設定する目標制動力設定手段と、前記目標制動力設定手段で設定された目標制動力に基づき、車輪を制動するための制動手段の作動状態を制御する目標制動力制御手段とを備え、前記目標制動力制御手段は、前記制動手段の応答特性が所定の応答特性になるように、前記目標制動力に基づく制動手段への制動指令値を補正することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のうち請求項5に係る制動制御装置は、自車両前方の物体を検出する自車両前方物体検出手段と、前記自車両前方物体検出手段で検出された自車両前方の物体と自車両との相対位置又は相対速度が所定の関係になるように目標制動力を設定する目標制動力設定手段と、前記目標制動力設定手段で設定された目標制動力に基づき、車輪を制動するための制動手段の作動状態を制御する目標制動力制御手段とを備え、前記目標制動力制御手段は、前記目標制動力に基づく制動手段の作動状態制御前に、静止摩擦の影響がなくなる周期で当該制動手段が微小動作する制動指令値を出力することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のうち請求項6に係る制動制御装置は、前記請求項5の発明において、前記制動制御手段は、前記目標制動力の大きさに応じて、前記制動指令値により前記制動手段が微小動作する周期を設定することを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項7に係る制動制御装置は、前記請求項5又は6の発明において、前記制動制御手段は、前記目標制動力の大きさに応じて、前記制動指令値により前記制動手段が微小動作する動作量を設定することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のうち請求項8に係る制動制御装置は、前記請求項5乃至7の何れかの発明において、前記制動制御手段は、前記制動手段が微小動作する制動指令値をパルス幅変調信号とし、その信号のデューティを目標制動力の大きさに応じて設定することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る制動制御装置によれば、目標制動力に基づく制動手段の作動状態制御前に、当該目標制動力が大きくなり続けるときに当該制動手段を予備作動制御する構成としたため、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
【0011】
また、本発明のうち請求項2に係る制動制御装置によれば、目標制動力に基づいて制動手段及び駆動手段の作動状態を設定すると共に、当該駆動手段で達成可能な最大制動力と実現している制動力との差に基づいて制動手段の予備作動制御を行う構成としたため、駆動手段の最大制動力と実現している制動力との差が小さいときには、引き続き制動手段による制動が必要になるので、それに合わせて予備制動を行うことにより、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0012】
また、本発明のうち請求項3に係る制動制御装置によれば、制動手段の予備作動制御として、制動流体圧源の作動を開始する構成としたため、制動流体圧による制動の応答遅れを確実に小さくすることができる。
また、本発明のうち請求項4に係る制動制御装置によれば、制動手段の応答特性が所定の応答特性になるように、目標制動力に基づく制動手段への制動指令値を補正する構成としたため、制動手段の実際の応答特性が設定された所定の応答特性になるようにすることで、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
【0013】
また、本発明のうち請求項5に係る制動制御装置によれば、目標制動力に基づく制動手段の作動状態制御前に、静止摩擦の影響がなくなる周期で当該制動手段が微小動作する制動指令値を出力する構成としたため、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
また、本発明のうち請求項6に係る制動制御装置によれば、目標制動力の大きさに応じて、制動指令値により制動手段が微小動作する周期を設定する構成としたため、目標制動力が大きいほど、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力を大きくすることが可能となり、その分だけ、実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0014】
また、本発明のうち請求項7に係る制動制御装置によれば、目標制動力の大きさに応じて、制動指令値により制動手段が微小動作する動作量を設定する構成としたため、目標制動力が大きいほど、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力を大きくすることが可能となり、その分だけ、実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
また、本発明のうち請求項8に係る制動制御装置によれば、制動手段が微小動作する制動指令値をパルス幅変調信号とし、その信号のデューティを目標制動力の大きさに応じて設定する構成としたため、制動指令値により制動手段が微小動作する動作時間を長くすることができ、これにより目標制動力が大きいほど、目標制動力に基づいて制動手段を作動したときの実際の制動力を大きくすることが可能となり、その分だけ、実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の制動制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の制動制御装置を走行速度制御装置に展開した一実施形態を示す概略構成図である。図中、符号7は駆動源であるエンジン、符号8はエンジンの駆動力を変換する自動変速機である。また、符号1は、レーザや電波等を利用し、自車両前方の物体を検出すると共に、その物体までの距離を検出することが可能な車間距離センサである。また、符号2は、自車両の走行速度を検出する走行速度センサである。また、符号5は、前記車間距離センサ1で検出された車間距離が、例えば自車両の走行速度に応じた目標車間距離になるように、自車両の走行速度、つまり駆動力や制動力を制御する走行速度コントロールユニットである。また、符号3は、前記エンジン7の作動状態を制御するスロットルアクチュエータ、また、符号4は、前記自動変速機8の変速比を制御する変速機アクチュエータ、また、符号6は、ブレーキペダルの踏込みとは個別に各車輪の制動力を制御するブレーキアクチュエータであり、夫々、前記走行速度コントロールユニット5からの指令値(指令信号)に応じて作動状態が制御される。
【0016】
前記ブレーキアクチュエータ6は、例えば図2のように構成されている。図中のマスタシリンダ11は既存のものであり、ブレーキペダル12の踏力をブースタ13で倍力し、リザーバ14内の制動流体を昇圧し、それをマスタシリンダ圧として、前左輪用ホイールシリンダ9FL及び後右輪用ホイールシリンダ9RRの系と、前右輪用ホイールシリンダ9FR及び後左輪用ホイールシリンダ9RLの系の二系統に出力する。なお、符号15はブレーキスイッチである。
【0017】
前記ブレーキアクチュエータ6は、このマスタシリンダ11と、各車輪のホイールシリンダ9FL〜9RRとの間に介装されている。このブレーキアクチュエータ6は、前記マスタシリンダ11と各系統のホイールシリンダ9FL〜9RRとを断続するカットオフバルブ16a、16bと、各系統のホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体をマスタシリンダ11側に戻すリターンバルブ17a、17bと、各系統毎に制動流体を加圧したり、或いは各系統のホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧を減圧したりするためのモータポンプ18a、18bと、各系統毎に制動流体を蓄圧し、制動流体を貯留するアキュームレータ19a、19bと、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧を増加するための増圧バルブ20FL〜20RRと、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧を減少するための減圧バルブ21FL〜21RRとを備えている。
【0018】
このブレーキアクチュエータ6により、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧を、マスタシリンダ圧とは個別に制御するためには、図2に示すように、まず前記カットオフバルブ16a、16bを閉じ、リターンバルブ17a、17bを開いた状態でモータポンプ18a、18bを作動し、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧を増加する場合には増圧バルブ20FL〜20RRを開き、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧を減少する場合には減圧バルブ21FL〜21RRを開く。一方、各ホイールシリンダ9FL〜9RRの制動流体圧をマスタシリンダ圧としたいときには、前記カットオフバルブ16a、16bを開き、リターンバルブ17a、17bを閉じ、各増圧バルブ20FL〜20RRを開き、各減圧バルブ21FL〜21RRを閉じる。なお、各バルブは電流比例弁であり、バルブへの電流値は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)による電圧デューティ信号等によって調整可能である。
【0019】
次に、図3に本実施形態の走行速度制御装置の構成をブロック図として示す。この制御器は、走行速度と車間距離とを入力とし、走行速度を出力としている。前記車間距離センサ1で検出された車間距離は、測距信号処理部22で信号処理されて、自車両から前方物体、より具体的には先行車両までの車間距離が算出される。そして、相対速度算出部23では、前記車間距離の時間変化率から自車両と先行車両との相対速度を算出する。一方、前記走行速度センサ2で検出された走行速度は、走行速度信号処理部24で信号処理されて、自車両の走行速度が算出される。また、目標車間距離設定部25では、前記相対速度算出部23で算出された相対速度及び前記走行速度に基づいて目標車間距離を設定し、後述する車間距離制御部26では、前記目標車間距離及び相対速度及び車間距離から目標走行速度を設定し、それが達成されるように制御信号を出力する。
【0020】
そして、後述する走行速度制御部27では、前記目標走行速度と実際の走行速度とに基づいて目標駆動力(目標制動力を含む)を算出し、駆動力分配制御部28では、当該目標駆動力を駆動力と制動力とに分け、それらをスロットル制御部29とブレーキ制御部30とに出力する。スロットル制御部29では、与えられた駆動力(或いはエンジンブレーキによる制動力)が達成されるように前記スロットルアクチュエータ3に駆動信号を出力する。また、前記ブレーキ制御部30は、与えられた制動力が達成されるように前記ブレーキアクチュエータ6への駆動を指令する制御信号をブレーキコントローラ31に出力し、当該ブレーキコントローラ31は、その制御信号に応じた駆動信号をブレーキアクチュエータ6に出力する。
【0021】
次に、車間距離制御系について説明する。例えば、車間距離と相対速度の二つを状態変数とする状態フィードバック(レギュレータ)を用いた制御系全体の構成は図4のように表すことができる。このシステムの状態変数x1 、x2 を下記1式、2式で定義する。
【0022】
【数1】
Figure 0004092456
【0023】
但し、VT :先行車両の走行速度、VS :自車両の走行速度、LT :先行車両との車間距離、LT * :目標車間距離を示す。
従って、システムの状態方程式は下記3式で表すことができる。
【0024】
【数2】
Figure 0004092456
【0025】
但し、ΔV* は目標相対速度を示す。
制御入力を下記4式で与える。
【0026】
【数3】
Figure 0004092456
【0027】
状態フィードバックが施された全体システムの状態方程式は下記5式、6式で表すことができる。
【0028】
【数4】
Figure 0004092456
【0029】
従って、全体システムの特性方程式は下記7式で表すことができる。
【0030】
【数5】
Figure 0004092456
【0031】
前述した走行速度サーボ系の伝達特性に基づき、下記8式に従って、現在の車間距離LT を目標車間距離LT * に、相対速度ΔVを“0”に収束する特性が所定の特性となるようにゲインfv 、fd を設定すると、それらは夫々下記9式及び10式で表すことができる。
【0032】
【数6】
Figure 0004092456
【0033】
次に、走行速度制御系について説明する。前記目標走行速度Vspr に実際の走行速度Vspを一致させるために、公知の線形制御手法であるモデルマッチング手法と近似ゼロイング手法とを用いて駆動力指令値を算出する補償器を構成すると図5に示すような構成となる。z-1は前記遅延演算子であり、z-1を乗じると1サンプリング周期前の値となる。図中のC1(z-1) 、C2(z-1) は近似ゼロイング手法による外乱推定器であり、外乱やモデル化誤差による影響を抑制する。また、C3(z-1) はモデルマッチング手法による補償器であり、制御対象の応答特性を規範モデルH(z-1) の特性に一致させる。このとき、前記外乱推定器C1(z-1) 、C2(z-1) は下記11式、12式で表すことができる。
【0034】
【数7】
Figure 0004092456
【0035】
また、ΔTはサンプリング周期、Mは平均車両質量を示す。
また、制御対象の無駄時間を無視して、規範モデルを時定数Taの一次のローパスフィルタとすると、モデルマッチング補償器部のゲインC3 は下記13式の定数Kとなる。
【0036】
【数8】
Figure 0004092456
【0037】
従って、前記モデルマッチング補償器部で算出される目標駆動力の今回値y4(k)は、前記目標走行速度の今回値Vspr(k)及び走行速度の今回値Vsp(k) を用いて下記14式で表すことができる。
【0038】
【数9】
Figure 0004092456
【0039】
一方、前記外乱推定器C2(z-1) により下記15式に従って出力の今回値y3(k)を得る。
【0040】
【数10】
Figure 0004092456
【0041】
次に、前記目標駆動力の今回値y4(k)を下記16式で補正して最終目標駆動力の今回値y1(k)を得る。
【0042】
【数11】
Figure 0004092456
【0043】
次に、前記外乱推定器C1(z-1) により下記17式に従って出力の今回値y2(k)を得る。
【0044】
【数12】
Figure 0004092456
【0045】
次に、下記18式に従って、前記最終目標駆動力y1(k)からエンジントルク指令値Terを算出する。
【0046】
【数13】
Figure 0004092456
【0047】
但し、Gm は自動変速機の変速比、Gf は最終減速機の減速比、Rはタイヤ転がり動半径である。
次に、前記駆動力分配制御部28について説明する。まず、先行車両に追従するようにして走行しているときには目標走行速度に走行速度を一致するのに必要な目標駆動力が走行速度制御部27で算出される。そして、図6に示すようなエンジン回転速度とエンジントルクとに応じたスロットル開度制御マップから、前記走行速度制御系で算出されたエンジントルク指令値Terとエンジン回転数Ne とに応じた目標スロットル開度TVOr を算出し、その目標スロットル開度TVOr を前記スロットル制御部29に出力し、当該スロットル制御部29からの駆動信号でスロットルアクチュエータ3を駆動してスロットル開度TVOを目標スロットル開度TVOr に一致させる。
【0048】
そして、前記算出された目標スロットル開度TVOr が“0”であり且つそのときのエンジントルク指令値Terがスロットル開度TVO“0”のときのエンジントルクTe0より小さいときにブレーキ制御の領域であると判定し、前記ブレーキ制御部30に前記最終目標駆動力y1(k)を出力する。図7は、本実施形態のブレーキ制御部30の構成図である。同図に示す減速度算出器41では、前記最終目標駆動力y1(k)の負値を前記平均車両質量Mで除して、目標制動力としての減速度指令値VddCOM を算出する。そして、前記ブレーキコントローラ31では、車両で発生している減速度Vddが前記減速度指令値VddCOM 以下であるときに、ブレーキアクチュエータ6を作動して制動を行う。
【0049】
しかしながら、前述したブレーキアクチュエータ6は、例えば前記モータポンプ18a、18bによる制動流体圧の昇圧やカットオフバルブ16a、16b、リターンバルブ17a、17bの動作遅れといった遅れ要素があり、前記減速度指令値VddCOM が算出されてからブレーキアクチュエータ6を作動したのでは、応答性に劣るという問題がある。そこで、前記駆動力分配制御部28では、下記19式に示す評価関数fb からブレーキ制御の領域を推定し、評価関数fb が所定値BON以上であるときにブレーキを予備作動制御するものとする。
【0050】
【数14】
Figure 0004092456
【0051】
但し、α:減速度指令値VddCOM の変化率に係る係数、β:スロットル開度“0”時のエンジントルクTe0とエンジントルク指令値Terとの差分値ΔTe に係る係数、δ:減速度指令値VddCOM に係る係数であり、前記所定値BON、係数α、β、δはブレーキアクチュエータの動特性からブレーキ制動開始遅れを補償できる値とする。
そして、本実施形態のブレーキ制御部30では、前記減速度算出器41の出側にリミッタ補償器42を備え、前記駆動力分配制御部28で前記19式によってブレーキ予備作動制御を行う指令が出力されたら、前記リミッタ補償器42で、下記20式に従って最小減速度指令値VddCOMLTDを算出し、当該最小減速度指令値VddCOMLTDをブレーキコントローラ31に向けて出力する。その結果、ブレーキコントローラ31からは最小減速度指令値VddCOMLTDに応じた駆動信号が出力され、ブレーキアクチュエータ6が予備制動状態になる。なお、この最小減速度指令値VddCOMLTDは、実際に車輪に制動力が付与される直前の制動状態、つまり予備制動の状態に相当する値とする。
【0052】
【数15】
Figure 0004092456
【0053】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図8に示す。このタイミングチャートは、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでは、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20以前に、時刻t10で前記評価関数fb が前記所定値BON 以上となったため、前記最小減速度指令値VddCOMLTDによるブレーキ予備制動制御が開始され、前記時刻t20で前記最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM が出力されると、即座に制動力が作用して車両が減速され、その結果、車両の実際の減速度Vddは減速度指令値VddCOM によく一致している。
【0054】
これに対し、図19は、前記リミッタ補償器のない、従来のブレーキ制御部を示す。この従来のブレーキ制御部では、前記スロットル開度“0”で且つスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0がエンジントルク指令値Terより大きい判定で前記減速度指令値VddCOM を出力するだけの構成になっている。この従来のブレーキ制御部によるブレーキ制御のタイミングチャートを図20に示す。同図から明らかなように、予備制動を行わずに、減速度指令値VddCOM だけを出力する従来のブレーキ制御部では、制動力の立上りが遅く、その結果、減速度指令値VddCOM に対して実際の車両の減速度Vddの応答性に劣る。
【0055】
このように、減速度指令値VddCOM の変化率、つまり目標制動力の変化量に基づく評価関数fb が所定値BON 以上となったときに、最小減速度指令値VddCOMLTDによる予備制動を行う本実施形態では、目標制動力の変化の状態から当該目標制動力が大きくなり続けるときに予め予備制動制御を行うことができ、目標制動力、即ち減速度指令値VddCOM に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
【0056】
また、エンジントルク指令値Terとスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0との差、つまりエンジンで達成可能な最大制動力と実現している制動力との差に基づく評価関数fb が所定値BON 以上となったときに、最小減速度指令値VddCOMLTDによる予備制動を行う本実施形態では、エンジンの最大制動力と実現している制動力との差が小さいときには、引き続きブレーキアクチュエータ6による制動が必要になるので、それに合わせて予備制動を行うことにより、目標制動力、即ち減速度指令値VddCOM に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0057】
次に、本発明の制動制御装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成、ブレーキアクチュエータの構成、走行速度制御装置の構成、車間距離制御系の構成、走行速度制御系の構成は何れも、前記第1実施形態の図1〜図6のものと同等であり、ブレーキ制御部30の構成のみが、前記第1実施形態の図7のものから図9のものに変更されている。
この図9のブレーキ制御部30では、前記第1実施形態のリミッタ補償器42に代えて、前記減速度算出器41と並列にブレーキ準備信号発生器43が設けられている。このブレーキ準備信号発生器43では、前記駆動力分配制御部28で前記評価関数fb が前記所定値BON 以上であると判定され、その判定結果が出力されたときに、図10に示す演算処理に従ってブレーキ準備信号BPRを出力するものである。この図10の演算処理では、まずステップS1で前記ブレーキアクチュエータ内のリターンバルブ開指令を出力し、次いでステップS2で前記カットオフバルブ開指令を出力し、次いでステップS3でモータポンプ始動指令を出力する。これによりモータポンプが始動してブレーキアクチュエータが予備制動状態に移行する。なお、この予備制動状態では、モータポンプで昇圧された制動流体圧はカットオフバルブを介してマスタシリンダ側に戻されるので、原則として各ホイールシリンダに制動流体圧は発生しない。但し、カットオフバルブの流量以上にモータポンプを回転させると各ホイールシリンダに流体圧が発生するので、予備制動状態におけるモータポンプの回転状態はカットオフバルブの流量によって決定される。
【0058】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図11に示す。このタイミングチャートも、前記第1実施形態の図8と同様に、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでも、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20以前に、時刻t10で前記評価関数fb が前記所定値BON 以上となったため、前記ブレーキ準備信号発生器43からブレーキ準備信号BPRが出力されてブレーキ予備制動制御が開始され、前記時刻t20で前記最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM が出力されると、即座に制動力が作用して車両が減速され、その結果、車両の実際の減速度Vddは減速度指令値VddCOM によく一致している。
【0059】
このように、減速度指令値VddCOM の変化率、つまり目標制動力の変化量に基づく評価関数fb が所定値BON 以上となったときに、ブレーキ準備信号BPRによる予備制動を行う本実施形態では、目標制動力の変化の状態から当該目標制動力が大きくなり続けるときに予め予備制動制御を行うことができ、目標制動力、即ち減速度指令値VddCOM に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
【0060】
また、エンジントルク指令値Terとスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0との差、つまりエンジンで達成可能な最大制動力と実現している制動力との差に基づく評価関数fb が所定値BON 以上となったときに、ブレーキ準備信号BPRによる予備制動を行う本実施形態では、エンジンの最大制動力と実現している制動力との差が小さいときには、引き続きブレーキアクチュエータ6による制動が必要になるので、それに合わせて予備制動を行うことにより、目標制動力、即ち減速度指令値VddCOM に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0061】
また、ブレーキアクチュエータ6の予備作動制御として、モータポンプの作動を開始する構成としたため、制動流体圧による制動の応答遅れを確実に小さくすることができる。
次に、本発明の制動制御装置の第3実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成、ブレーキアクチュエータの構成、走行速度制御装置の構成、車間距離制御系の構成、走行速度制御系の構成は何れも、前記第1実施形態の図1〜図6のものと同等であり、ブレーキ制御部30の構成のみが、前記第1実施形態の図7のものから図12のものに変更されている。
【0062】
この図12のブレーキ制御部30では、前記第1実施形態のリミッタ補償器42に代えて前置補償器44が設けられている。この前置補償器44では、前記減速度算出器41から出力される減速度指令値VddCOM に対して、ブレーキの応答遅れを補償して補償済減速度指令値VddCOMHを出力するものである。この前置補償器44では、初期設定された所定のブレーキ応答伝達特性をGd(s) 、実際のブレーキアクチュエータの伝達特性の逆系をGb(s) -1としたとき、下記21式で表れる演算によって補償済減速度指令値VddCOMHを算出して前記ブレーキコントローラ31に出力する。
【0063】
【数16】
Figure 0004092456
【0064】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図13に示す。このタイミングチャートも、前記第1実施形態の図8と同様に、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでは、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20で、前記最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM が出力されるが、それは前記前置補償器44で補償済減速度指令値VddCOMHに変換されている。その結果、補償済減速度指令値VddCOMHは、ブレーキ制御開始直後に、前記最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM より大きく立ち上がり、これによって制動の遅れ時間を短くしている。
【0065】
このように、本実施形態によれば、ブレーキアクチュエータ6の応答特性が初期設定された所定の応答特性になるように、減速度指令値VddCOM 、つまり目標制動力に基づくブレーキアクチュエータ6の指令値を補償して補償済減速度指令値VddCOMHを出力するようにしたことにより、ブレーキアクチュエータ6の応答特性を初期設定された応答特性に近づけ、もって実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
【0066】
次に、本発明の制動制御装置の第4実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成、ブレーキアクチュエータの構成、走行速度制御装置の構成、車間距離制御系の構成、走行速度制御系の構成は何れも、前記第1実施形態の図1〜図6のものと同等であり、ブレーキ制御部30の構成のみが、前記第1実施形態の図7のものから図14のものに変更されている。
この図14のブレーキ制御部30では、前記第1実施形態のリミッタ補償器42に代えて、前記減速度算出器41と並列にブレーキ励起信号発生器45が設けられ、それらの出側にスイッチ46が介装されている。前記ブレーキ励起信号発生器45は、前記減速度指令値VddCOM が“0”以上となった時点からブレーキアクチュエータ6に向けてブレーキ励起信号BFFを出力するものであり、前記スイッチ46は、前記スロットル開度“0”で且つスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0がエンジントルク指令値Terより大きくなると切り替えられ、それ以前は前記ブレーキ励起信号発生器45とブレーキコントローラ31とを接続し、その後は前記減速度算出器41とブレーキコントローラ31とを接続する。つまり、前記減速度指令値VddCOM が“0”以上となってからスロットル開度“0”で且つスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0がエンジントルク指令値Ter以下であるときには前記ブレーキ励起信号発生器45で発生されるブレーキ励起信号BFFが最終減速度指令値VddCOMFとしてブレーキコントローラ31に出力され、スロットル開度“0”で且つスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0がエンジントルク指令値Terより大きくなってからは前記減速度算出器41で算出された減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとしてブレーキコントローラ31に出力される。
【0067】
前記ブレーキ励起信号発生器45で発生されるブレーキ励起信号BFFは、振幅一定、周期一定、デューティ比一定のパルス信号であり、振幅AV は前記最小減速度指令値VddCOMLTD、周期TV 、デューティ比DV は、前記ブレーキアクチュエータ6のモータポンプ18a、18bや各バルブの静止摩擦の影響がなくなる時間とする。つまり、このブレーキ励起信号BFFがブレーキアクチュエータ6に入力されると、各アクチュエータが微小動作し、これにより静止摩擦の影響がなくなってブレーキアクチュエータの動作応答遅れが改善される。
【0068】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図13に示す。このタイミングチャートも、前記第1実施形態の図8と同様に、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでは、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20以前に、時刻t00で前記減速度指令値VddCOM が“0”以上となったときから前記ブレーキ励起信号BFFが最終減速度指令値VddCOMFとして出力され、前記時刻t20以後は減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されている。従って、時刻t20以後、最終目標駆動力y1(k)に基づく減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されると、ブレーキアクチュエータ6内の静止摩擦の影響がない分だけ、制動の遅れ時間が短くなっている。
【0069】
このように本実施形態によれば、最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力に基づくブレーキアクチュエータ6の作動状態制御前に、静止摩擦の影響がなくなる周期で当該ブレーキアクチュエータ6が微小動作するブレーキ励起信号BFFを制動指令値として出力することにより、目標制動力、即ち減速度指令値VddCOM に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力発生までの応答遅れを小さくすることができる。
【0070】
次に、本発明の制動制御装置の第5実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成、ブレーキアクチュエータの構成、走行速度制御装置の構成、車間距離制御系の構成、走行速度制御系の構成は何れも、前記第1実施形態の図1〜図6のものと同等であり、ブレーキ制御部30の構成は前記第4実施形態の図14のものと同等である。
本実施形態では、前記ブレーキ励起信号発生器45で発生されるブレーキ励起信号BFFが変更されている。本実施形態のブレーキ励起信号は、振幅やデューティ比は一定であるものの、周期が変化する。振幅AV は前記最小減速度指令値VddCOMLTDである。これに対して、周期TV は、前記ブレーキアクチュエータ6のモータポンプ18a、18bや各バルブの静止摩擦の影響がなくなる時間を考慮しながら、下記22式で与えられる。
【0071】
【数17】
Figure 0004092456
【0072】
但し、α1 :減速度指令値VddCOM の変化率に係る係数、β1 :スロットル開度“0”時のエンジントルクTe0とエンジントルク指令値Terとの差分値ΔTe に係る係数、δ1 :減速度指令値VddCOM に係る係数であり、各係数α1 、β1 、δ1 はブレーキアクチュエータの動特性からブレーキ制動開始遅れを補償できる値とし、結果的に、減速度指令値VddCOM の変化率が大きくなったり、エンジントルク差分値ΔTe の絶対値が大きくなったり、減速度指令値VddCOM 自体が大きくなったりしたときに周期TV が小さくなるように設定する。
【0073】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図16に示す。このタイミングチャートも、前記第1実施形態の図8と同様に、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでは、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20以前に、時刻t00で前記減速度指令値VddCOM が“0”以上となったときから前記ブレーキ励起信号BFFが最終減速度指令値VddCOMFとして出力され、前記時刻t20以後は減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されている。従って、時刻t20以後、最終目標駆動力y1(k)に基づく減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されると、前記ブレーキ励起信号BFFによりブレーキアクチュエータの制動開始遅れが補償され、車両の実際の減速度Vddは減速度指令値VddCOM によく一致している。
【0074】
このように本実施形態によれば、最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力に基づくブレーキアクチュエータ6の作動状態制御前に、当該減速度指令値VddCOM の大きさやその変化率に応じて、ブレーキ励起信号BFFの周期TV 、つまりブレーキアクチュエータ6が微小動作する周期を設定することにより、減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力が大きいほど、当該目標制動力に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力を大きくすることが可能となり、その分だけ、実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0075】
次に、本発明の制動制御装置の第6実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成、ブレーキアクチュエータの構成、走行速度制御装置の構成、車間距離制御系の構成、走行速度制御系の構成は何れも、前記第1実施形態の図1〜図6のものと同等であり、ブレーキ制御部30の構成は前記第4実施形態の図14のものと同等である。
本実施形態では、前記ブレーキ励起信号発生器45で発生されるブレーキ励起信号BFFが変更されている。本実施形態のブレーキ励起信号は、周期やデューティ比は一定であるものの、振幅が変化する。周期TV やデューティ比は、前記ブレーキアクチュエータ6のモータポンプ18a、18bや各バルブの静止摩擦の影響がなくなる時間とし、振幅AV は下記23式で与えられる。
【0076】
【数18】
Figure 0004092456
【0077】
但し、α2 :減速度指令値VddCOM の変化率に係る係数、β2 :スロットル開度“0”時のエンジントルクTe0とエンジントルク指令値Terとの差分値ΔTe に係る係数、δ2 :減速度指令値VddCOM に係る係数であり、各係数α2 、β2 、δ2 はブレーキアクチュエータの動特性からブレーキ制動開始遅れを補償できる値とし、結果的に、減速度指令値VddCOM の変化率が大きくなったり、エンジントルク差分値ΔTe の絶対値が大きくなったり、減速度指令値VddCOM 自体が大きくなったりしたときに振幅AV が大きくなるように設定する。
【0078】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図17に示す。このタイミングチャートも、前記第1実施形態の図8と同様に、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでは、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20以前に、時刻t00で前記減速度指令値VddCOM が“0”以上となったときから前記ブレーキ励起信号BFFが最終減速度指令値VddCOMFとして出力され、前記時刻t20以後は減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されている。従って、時刻t20以後、最終目標駆動力y1(k)に基づく減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されると、前記ブレーキ励起信号BFFによりブレーキアクチュエータの制動開始遅れが補償され、車両の実際の減速度Vddは減速度指令値VddCOM によく一致している。
【0079】
このように本実施形態によれば、最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力に基づくブレーキアクチュエータ6の作動状態制御前に、当該減速度指令値VddCOM の大きさやその変化率に応じて、ブレーキ励起信号BFFの振幅AV 、つまりブレーキアクチュエータ6が微小動作する動作量を設定することにより、減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力が大きいほど、当該目標制動力に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力を大きくすることが可能となり、その分だけ、実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【0080】
次に、本発明の制動制御装置の第7実施形態について説明する。この実施形態の車両概略構成、ブレーキアクチュエータの構成、走行速度制御装置の構成、車間距離制御系の構成、走行速度制御系の構成は何れも、前記第1実施形態の図1〜図6のものと同等であり、ブレーキ制御部30の構成は前記第4実施形態の図14のものと同等である。
本実施形態では、前記ブレーキ励起信号発生器45で発生されるブレーキ励起信号BFFが変更されている。本実施形態のブレーキ励起信号は、振幅や周期は一定であるものの、デューティ比が変化する。振幅AV は前記最小減速度指令値VddCOMLTDT とし、周期TV は、前記ブレーキアクチュエータ6のモータポンプ18a、18bや各バルブの静止摩擦の影響がなくなる時間とし、デューティ比DV は下記24式で与えられる。
【0081】
【数19】
Figure 0004092456
【0082】
但し、α3 :減速度指令値VddCOM の変化率に係る係数、β3 :スロットル開度“0”時のエンジントルクTe0とエンジントルク指令値Terとの差分値ΔTe に係る係数、δ3 :減速度指令値VddCOM に係る係数であり、各係数α3 、β3 、δ3 はブレーキアクチュエータの動特性からブレーキ制動開始遅れを補償できる値とし、結果的に、減速度指令値VddCOM の変化率が大きくなったり、エンジントルク差分値ΔTe の絶対値が大きくなったり、減速度指令値VddCOM 自体が大きくなったりしたときにデューティ比DV が大きくなるように設定する。
【0083】
本実施形態によるブレーキ制御のタイミングチャートを図18に示す。このタイミングチャートも、前記第1実施形態の図8と同様に、例えば先行車両に追従走行しているとき、先行車両がブレーキ等で大きく減速し、徐々に目標駆動力が小さくなり、最終的にブレーキ制御を開始する状態をシミュレートしている。このタイミングチャートでは、スロットル開度が“0”となり、エンジントルク指令値Terがスロットル開度“0”時のエンジントルクTe0より小さくなる時刻t20以前に、時刻t00で前記減速度指令値VddCOM が“0”以上となったときから前記ブレーキ励起信号BFFが最終減速度指令値VddCOMFとして出力され、前記時刻t20以後は減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されている。従って、時刻t20以後、最終目標駆動力y1(k)に基づく減速度指令値VddCOM が最終減速度指令値VddCOMFとして出力されると、前記ブレーキ励起信号BFFによりブレーキアクチュエータの制動開始遅れが補償され、車両の実際の減速度Vddは減速度指令値VddCOM によく一致している。
【0084】
このように本実施形態によれば、最終目標駆動力y1(k)に応じた減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力に基づくブレーキアクチュエータ6の作動状態制御前に、当該減速度指令値VddCOM の大きさやその変化率に応じて、ブレーキ励起信号BFFのデューティ比DV 、つまりブレーキアクチュエータ6が微小動作する動作時間を設定することにより、減速度指令値VddCOM 、即ち目標制動力が大きいほど、当該目標制動力に基づいてブレーキアクチュエータ6を作動したときの実際の制動力を大きくすることが可能となり、その分だけ、実際の制動力発生までの応答遅れをより一層小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動制御装置を用いた走行速度制御装置の一例を示す車両概略構成図である。
【図2】図1のブレーキアクチュエータの構成を示す説明図である。
【図3】図1の走行速度制御装置を示すブロック図である。
【図4】図3の走行速度制御装置のうちの車間距離制御系のブロック図である。
【図5】図3の走行速度制御装置のうちの走行速度制御系のブロック図である。
【図6】図3の駆動力分配制御部で用いられる制御マップである。
【図7】本発明の制動制御装置の第1実施形態を示すブレーキ制御部のブロック図である。
【図8】図7のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の制動制御装置の第2実施形態を示すブレーキ制御部のブロック図である。
【図10】図9のブレーキ準備信号発生器で行われる演算処理を示すフローチャートである。
【図11】図9のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の制動制御装置の第3実施形態を示すブレーキ制御部のブロック図である。
【図13】図12のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の制動制御装置の第4実施形態を示すブレーキ制御部のブロック図である。
【図15】図14のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の制動制御装置の第5実施形態のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図17】本発明の制動制御装置の第6実施形態のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図18】本発明の制動制御装置の第7実施形態のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図19】従来の制動制御装置のブレーキ制御部のブロック図である。
【図20】図19のブレーキ制御部による減速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1は車間距離センサ
2は走行速度センサ
3はスロットルアクチュエータ
4は変速機アクチュエータ
5は走行速度コントロールユニット
6はブレーキアクチュエータ
7はエンジン
8は自動変速機
9FL〜9RRはホイールシリンダ
16a、16bはカットオフバルブ
17a、17bはリターンバルブ
18a、18bはモータポンプ
20FL〜20RRは増圧バルブ
21FL〜21RRは減圧バルブ
28は駆動力分配制御部
30はブレーキ制御部
41は減速度算出器
42はリミッタ補償器
43はブレーキ準備信号発生器
44は前置補償器
45はブレーキ励起信号発生器

Claims (8)

  1. 自車両前方の物体を検出する自車両前方物体検出手段と、前記自車両前方物体検出手段で検出された自車両前方の物体と自車両との相対位置又は相対速度が所定の関係になるように目標制動力を設定する目標制動力設定手段と、前記目標制動力設定手段で設定された目標制動力に基づき、車輪を制動するための制動手段の作動状態を制御する目標制動力制御手段とを備え、前記目標制動力制御手段は、前記目標制動力に基づく制動手段の作動状態制御前に、当該目標制動力が大きくなり続けるときに当該制動手段を予備作動制御することを特徴とする制動制御装置。
  2. 前記目標制動力制御手段は、前記目標制動力に基づいて前記制動手段及び車輪を駆動する駆動手段の作動状態を設定すると共に、前記駆動手段で達成可能な最大制動力と実現している制動力との差に基づいて前記制動手段の予備作動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制動制御装置。
  3. 前記目標制動力制御手段は、前記制動手段の予備作動制御として、制動流体圧源の作動を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の制動制御装置。
  4. 自車両前方の物体を検出する自車両前方物体検出手段と、前記自車両前方物体検出手段で検出された自車両前方の物体と自車両との相対位置又は相対速度が所定の関係になるように目標制動力を設定する目標制動力設定手段と、前記目標制動力設定手段で設定された目標制動力に基づき、車輪を制動するための制動手段の作動状態を制御する目標制動力制御手段とを備え、前記目標制動力制御手段は、前記制動手段の応答特性が所定の応答特性になるように、前記目標制動力に基づく制動手段への制動指令値を補正することを特徴とする制動制御装置。
  5. 自車両前方の物体を検出する自車両前方物体検出手段と、前記自車両前方物体検出手段で検出された自車両前方の物体と自車両との相対位置又は相対速度が所定の関係になるように目標制動力を設定する目標制動力設定手段と、前記目標制動力設定手段で設定された目標制動力に基づき、車輪を制動するための制動手段の作動状態を制御する目標制動力制御手段とを備え、前記目標制動力制御手段は、前記目標制動力に基づく制動手段の作動状態制御前に、静止摩擦の影響がなくなる周期で当該制動手段が微小動作する制動指令値を出力することを特徴とする制動制御装置。
  6. 前記制動制御手段は、前記目標制動力の大きさに応じて、前記制動指令値により前記制動手段が微小動作する周期を設定することを特徴とする請求項5に記載の制動制御装置。
  7. 前記制動制御手段は、前記目標制動力の大きさに応じて、前記制動指令値により前記制動手段が微小動作する動作量を設定することを特徴とする請求項5又は6に記載の制動制御装置。
  8. 前記制動制御手段は、前記制動手段が微小動作する制動指令値をパルス幅変調信号とし、その信号のデューティを目標制動力の大きさに応じて設定することを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の制動制御装置。
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