JP3449219B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JP3449219B2
JP3449219B2 JP12895598A JP12895598A JP3449219B2 JP 3449219 B2 JP3449219 B2 JP 3449219B2 JP 12895598 A JP12895598 A JP 12895598A JP 12895598 A JP12895598 A JP 12895598A JP 3449219 B2 JP3449219 B2 JP 3449219B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各車輪の制動用
シリンダへの作動流体圧を最適状態に制御して車輪のロ
ックを防止する制動力制御装置に関し、特にエンジンと
モータジェネレータとを併設したパラレルハイブリッド
車両等において、例えば制動時にモータジェネレータを
回生作動させるときに、各車輪の制動用シリンダへの作
動流体圧による制動力を制御するようにした車両に適用
される制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】このようにモータジェネレータから駆動
力を得る車両では、制動時には、一般のエンジン自動車
に採用されているように油圧ブレーキに油圧を印加する
ことにより車輪を制動すると共に、本来電動機としての
モータジェネレータを発電機として使用し、つまり回生
作動させて、制動力の一部をモータジェネレータの回生
トルクで得るようにしている。そして、モータジェネレ
ータで回生された電力をバッテリに充電するようにして
いる。
【0003】ところで、自動車の制動制御を行う装置と
してアンチロックブレーキ制御装置が知られている。こ
のアンチロックブレーキ制御装置は、例えば雪道等の滑
りやすい路面で急ブレーキをかけても車輪がロックしな
いように、制動制御を行う装置である。
【0004】このようなアンチロックブレーキ制御装置
を備えたモータジェネレータ搭載車両としては、例えば
特開平6−219259号公報に記載されたもの等があ
る。この公報に記載のアンチロックブレーキ制御装置で
は、車輪がロックしそうになると、油圧ブレーキによる
制動力及びモータジェネレータの回生トルクによる電気
的制動力の何れか一方、例えば油圧ブレーキによる制動
力に対してアンチロックブレーキ制御を行い、また、モ
ータジェネレータが回生作動している状態では、制動力
過多の状況となるから、アンチロックブレーキ制御装置
が作動流体圧を減圧したときの車輪速度の回復の妨げに
ならないように、モータジェネレータの回生作動量を小
さくして、付与される電気的制動力を小さくするように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなアンチロッ
クブレーキ制御装置に対し、モータジェネレータの回生
作動を司る制御手段では、モータジェネレータが回生作
動する状態は制動力過多の状況であり、また、アンチロ
ックブレーキ制御装置が作動流体圧を減圧したときの車
輪速度の回復の妨げとならないように、例えばモータジ
ェネレータの回生作動を中止し、電気的制動力の付与を
中止するようにしている。そして、モータジェネレータ
を回生作動するときには、所定の車輪の制動用シリンダ
への作動流体圧を回生協調制御している。この回生協調
制御とは、ブレーキペダルの踏み込み量を例えばマスタ
シリンダ圧で検出し、このマスタシリンダ圧に相当する
制動力から前記モータジェネレータの回生トルクによる
制動力を減じた分が、各車輪の制動用シリンダで発揮さ
れるように作動流体圧を減圧制御するものである。
【0006】この回生協調制御を上記従来の公報に記載
のアンチロックブレーキ制御装置に適用した場合、アン
チロックブレーキ制御の開始に伴ってモータジェネレー
タの回生作動による電気的制動力を小さくしてからこれ
に伴って回生協調制御による回生協調減圧の減圧量を小
さくすることになるため、アンチロックブレーキ制御開
始時に算出されたアンチロックブレーキ制御における減
圧量は、回生協調減圧の減圧量を小さくする以前の車輪
速或いはその変化速度等の減圧量を算出するためのパラ
メータに基づいて設定されることになり、つまり、回生
協調減圧の減圧量を小さくすることによりホイールシリ
ンダへの供給圧は増圧されることになるから、結果的に
減圧不足傾向となりアンチロックブレーキ制御の制御性
が低下するという問題がある。
【0007】また、走行条件によっては、急峻な制動力
変化は車両の走行状態に影響を与えるため、アンチロッ
クブレーキ制御が開始された時点で電気的制動力の付与
を中止せずに、例えばある傾きで電気的制動力を減少さ
せる場合等があり、この場合には、アンチロックブレー
キ制御の開始と同時に回生協調減圧を中止するとこれに
伴ってホイールシリンダへの供給圧は増圧されることに
なるから、制動力過多傾向となって上記と同様にアンチ
ロックブレーキ制御の制御性が低下するという問題があ
る。
【0008】そこで、この発明は上記従来の問題点に着
目してなされたものであり、電気的制動力に応じて制動
用シリンダへの作動流体圧を減圧するようにした回生協
調制御を中止する際に、アンチロックブレーキ制御の制
御性の低下を回避することの可能な制動力制御装置を提
供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係る制動力制御装置は、所定の
車輪に対して電気的な制動力を付与する電気的制動手段
と、各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧によって当
該車輪に制動力を付与する流体圧制動手段と、各車輪の
ロック状態に応じて前記各車輪の制動用シリンダへの作
動流体圧を個別に制御するアンチロックブレーキ制御手
段と、前記電気的制動手段の制動力が付与されていると
きに前記制動用シリンダへの作動流体圧前記電気的制
動手段の電気的制動力相当の作動流体圧分低下させる
動流体圧制御手段と、を備え、前記電気的制動手段は、
前記アンチロックブレーキ制御手段が前記制動用シリン
ダへの作動流体圧を制御しているときに前記電気的制動
力の付与を中止又は減少させるようになっている制動力
制御装置であって、前記アンチロックブレーキ制御手段
が前記作動流体圧を減圧制御する時の前記アンチロック
ブレーキ制御手段による減圧量を、前記電気的制動力に
応じて補正する減圧量補正手段を備えることを特徴とし
ている。
【0010】また、請求項2に係る制動力制御装置は、
前記減圧量補正手段は、前記アンチロックブレーキ制御
手段によるアンチロックブレーキ制御開始後最初の減圧
制御時の作動流体圧の減圧量を、アンチロックブレーキ
制御開始時における前記電気的制動力に応じて補正する
ようになっていることを特徴としている。
【0011】さらに、請求項3に係る制動力制御装置
は、前記減圧量補正手段は、前記作動流体圧制御手段に
よる前記作動流体圧の低下量から前記電気的制動力を推
定するようになっていることを特徴としている。
【0012】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る制動力制御装置
は、アンチロックブレーキ制御手段により制動用シリン
ダへの作動流体圧を減圧制御するときに、減圧量補正手
段によってアンチロックブレーキ制御手段による減圧量
を電気的制動力に応じて補正し、この補正した減圧量に
基づき減圧制御を行うから、アンチロックブレーキ制御
手段による減圧制御の開始に伴い、作動流体圧制御手段
が作動流体圧を電気的制動力相当分低下させることを中
止又はその低下量を減少させることに伴って、電気的制
動力相当分の総制動力が増加した場合でも、これに伴う
増圧分は電気的制動力に相当する減圧分として補正する
ことができるから、電気的制動力による制動力過多に伴
うアンチロックブレーキ制御手段の制御性の低下を回避
することができる。
【0013】また、本発明の請求項2に係る制動力制御
装置は、アンチロックブレーキ制御開始後の最初の減圧
制御時の作動流体圧の減圧量をアンチロックブレーキ制
御開始時における電気的制動力に応じて補正するから、
電気的制動力による影響は最初の減圧制御によって除去
されることになって、より早い時点で的確なアンチロッ
クブレーキ制御を開始することができる。
【0014】さらに、本発明の請求項3に係る制動力制
御装置は、減圧量補正手段では、作動流体圧制御手段に
よる作動流体圧の低下量から電気的制動力を推定するか
ら、電気的制動力を容易に推定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明による制動力制御
装置を、いわゆるFFタイプのパラレルハイブリッド車
両に適用した一例である。
【0016】EGはガソリンエンジンであり、このエン
ジンEGは電磁パウダークラッチ等のクラッチCLを介
して、無段変速機CVTに接続されているが、その接続
途中に、例えば3相誘導モータ/発電機等で構成される
交流式のモータジェネレータMGが介挿されている。そ
して、無段変速機CVTの出力軸が、駆動輪(前輪)W
FL,WFRに接続されている。したがって、前左右輪
FL,WFRはエンジンEGでも、力行されるモータジェ
ネレータMGでも駆動可能であり、逆にモータジェネレ
ータMGを回生作動すれば、前左右輪WFL,WFRには回
生作動トルク,つまり電気的制動力が作用し、同時にそ
のときモータジェネレータMGで回生される電力は図示
されないバッテリに充電される。また、前記クラッチC
Lは、いわゆる走行クラッチとしての役割以外に、例え
ばエンジンEGのトルクを所要としない場合には、エン
ジンEGを停止し且つクラッチCLを切断して当該エン
ジンEGと駆動系との繋がりを遮断するのにも用いられ
る。
【0017】前記駆動輪WFL,WFR及び非駆動輪WRL
RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイールシ
リンダ1FL〜1RRが取り付けられ、これらホイール
シリンダ1FL〜1RRへの供給圧は、後述のブレーキ
コントロールユニット9により制御されるブレーキアク
チュエータユニット10によって調整されるようになっ
ている。
【0018】前記エンジンEGは、図示しない吸気管路
に、ステップモータをアクチュエータとしてそのステッ
プ数に応じた回転角により、開度が調整される電子制御
スロットルバルブを備えており、この電子制御スロット
ルバルブはエンジンコントロールユニット37によって
制御されるようになっている。このエンジンコントロー
ルユニット37はマイクロンピュータ等を含んで構成さ
れ、後述のモータジェネレータコントロールユニット3
8からのエンジンEGの始動及び停止を指令する指令信
号に応じて、前記エンジンEGを駆動するようになって
いる。
【0019】前記モータジェネレータコントロールユニ
ット38はマイクロコンピュータ等を含んで構成され、
アクセルペダルに設けられた図示しないアクセル操作量
センサからのアクセル操作量信号,エンジンEGに設け
られた図示しない回転数センサからのエンジン回転数,
無段変速機CVTの実変速比,車速等に基づき、前記モ
ータネジェレータMG,クラッチCL及びエンジンEG
の制御を行うようになっている。
【0020】つまり、例えば、予め設定した走行パター
ン制御マップ等を参照し、アクセルペダル操作量信号か
らアクセルペダルが踏み込み状態であると判断した場合
には、現在の車両の走行状態がモータジェネレータMG
のみで走行するモータ走行領域であるか、或いはエンジ
ンEGのみで走行するエンジン走行領域であるか、通常
走行はエンジンEGのみで行い加速時にはモータジェネ
レータMGを使用するハイブリッド走行領域であるかを
判断し、判断された走行領域に応じてエンジンEG,モ
ータジェネレータMG,クラッチCLの制御を行う。
【0021】また、アクセルペダルが開放状態であると
判断した場合には、車速が零であれば、停車中であると
判断してクラッチCLを開放状態とする。また、車速が
零でなければ、前記ブレーキコントロールユニット9で
実行されるアンチロックブレーキ制御処理が作動してい
ない状態であるときには、例えば図示しないエネルギ回
収量算出マップを参照して発電量を検出し、この発電量
に応じてモータジェネレータMGを発電機として作動さ
せていわゆる回生作動状態に制御し、その電気エネルギ
を図示しない蓄電装置に回収する。また、算出した発電
量を発電量情報として、ブレーキコントロールユニット
9に通知する。一方、ブレーキコントロールユニット9
におけるアンチロックブレーキ制御処理が作動している
場合には、モータジェネレータMGの回生作動を中止す
るが、例えば車両の走行状態に応じて所定の減速度で停
止させる。
【0022】また、前記無段変速機CVTは、無段変速
機コントロールユニット39により制御されるようにな
っている。この無段変速機コントロールユニット39は
マイクロコンピュータ等を含んで構成され、例えば車
速,エンジン回転数,アクセルペダル操作量に基づいて
設定される目標変速比と、無段変速機CVTの入力回転
数と出力回転数とに基づいて算出した変速比とが一致す
るように無段変速機CVTの変速制御を行い、前記目標
変速比は、例えば予め設定した変速パターン制御マップ
に基づいて設定し、車速が低下するほど変速比が大きく
なり、また、アクセルペダル操作量が増加するほど変速
比が大きくなり、また、エンジン回転数が増加するほど
変速比が大きくなるように変速比を制御するようになっ
ている。
【0023】図2は、前記ブレーキアクチュエータユニ
ット10の一例を示したものであり、このブレーキアク
チュエータユニット10は、四輪全てへの作動流体圧を
マスタシリンダから切り離して増減圧制御する四輪統括
制御用アクチュエータユニット5,各車輪のロック傾向
を回避して制動距離の確保と舵取効果とを両立するため
のアンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニット
6,及び前輪への作動流体圧のみを主として減圧方向に
制御する前輪制御用アクチュエータユニット7を備えて
構成される。
【0024】図中に示すマスタシリンダ2はブレーキペ
ダル3の踏込み量に応じた同等の作動流体圧を二系統に
出力可能であって、基本的に前左輪のホイールシリンダ
(以下、単に前左ホイールシリンダとも記す)1FLと
後右輪のホイールシリンダ(後右ホイールシリンダ)1
RRとはマスタシリンダ2の一方の系統に接続され、前
右輪のホイールシリンダ(前右ホイールシリンダ)1F
Rと後左輪のホイールシリンダ(後左ホイールシリン
ダ)1RLとがマスタシリンダ2の他方の系統に接続さ
れて、所謂X配管形式を構成している。このX配管形式
の優位性は、周知のように、何れか一方の配管系統に異
常が生じても、残る他方の配管系統によって前輪側と後
輪側,車両左方側と右方側とで制動力をバランスし、も
って車両安定性を確保できる点にある。なお、ブレーキ
ペダル3とマスタシリンダ2との間にはブースター4が
介装されているが、その構造などの詳細については後述
する。
【0025】ここでは、理解を容易にするためにアンチ
ロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6の構造
から各ホイールシリンダ1FL〜1RR側の構成につい
て説明する。このアンチロックブレーキ制御用アクチュ
エータユニット6内の圧力制御バルブ構造は、従来既存
の還流タイプのものと同様であり、例えば前記マスタシ
リンダ2からの一方の系統を二つに分岐すると共に、他
方の系統も二つに分岐し、夫々の分岐先にアンチロック
ブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRを介
して各ホイールシリンダ1FL〜1RRを接続する。こ
れらの増圧制御バルブ51FL〜51RRは、異常時補
償,いわゆるフェールセーフのために常時開の二位置切
換ソレノイドバルブからなる。なお、各増圧制御バルブ
51FL〜51RRには、各ホイールシリンダ1FL〜
1RRからマスタシリンダ2側への作動流体の還流だけ
を許容するチェックバルブ52FL〜52RRをバイパ
ス接続する。
【0026】また、前記アンチロックブレーキ制御用増
圧制御バルブ51FL〜51RRの下流側には、常時閉
の二位置切換ソレノイドバルブからなるアンチロックブ
レーキ制御用減圧制御バルブ53FL〜53RRを接続
し、その出力側を各系統毎に共通のリザーバ54P,5
4Sとポンプ55P,55Sとに分岐接続し、ダンパ5
6P,56Sを介して各ポンプ55P,55Sの吐出側
を前記マスタシリンダ2の各系統に接続する。これによ
り、各ホイールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧は
前記減圧制御バルブ53FL〜53RR,ポンプ55
P,55S,ダンパ56P,56Sを介してマスタシリ
ンダ2の各系統に還流される。
【0027】このアンチロックブレーキ制御用アクチュ
エータユニット6は、車輪速度センサからの車輪速度信
号等に基づいてブレーキコントロールユニット9を構成
するABSコントローラ9aによって制御される。すな
わち、図示しない車輪速センサの検出信号、これに基づ
き算出した車輪加速度,目標車輪速度等に基づいて目標
ホイールシリンダ圧を算出し、この目標ホイールシリン
ダ圧と推定した現在のマスタシリンダ圧とが一致するよ
うに制御を行い、これらが一致するときには、前記増圧
制御バルブ51FL〜51RRを閉じて当該車輪のホイ
ールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を保持し、目
標ホイールシリンダ圧よりも推定マスタシリンダ圧の方
が高いときには、各ポンプ55P,55Sを作動させな
がら減圧制御バルブ53FL〜53RRを開いて当該ホ
イールシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧をマスタシ
リンダ2側に還流して減圧し、逆に、目標ホイールシリ
ンダ圧よりも推定マスタシリンダ圧の方が低い場合に
は、減圧制御バルブ53FL〜53RRを閉じてさら
に、増圧制御バルブ51FL〜51RRを開いてホイー
ルシリンダ1FL〜1RRの作動流体圧を増圧する。こ
の一連の動作を繰返して行うことで、制動距離を確保可
能で且つ舵取効果の高い目標車輪速度の近傍で各車輪速
度を確実に減速し、もって制動距離と舵取効果を両立し
ながら車体速度を確実に減速する。
【0028】また、本実施形態では、前記前左右輪アン
チロックブレーキ制御用増圧制御バルブ51FL,51
FRの各下流側と前左右ホイールシリンダ1FL,1F
Rとの間に前輪制御用アクチュエータユニット7を介装
している。この前輪制御用アクチュエータユニット7
は、前記前左右輪アンチロックブレーキ制御用増圧制御
バルブ51FL,51FRの各下流側と前左右ホイール
シリンダ1FL,1FRとの間に介装された常時開の二
位置切換ソレノイドバルブからなる前左右輪減圧制御用
切換バルブ41FL,41FRと、これにバイパス接続
されて前左右ホイールシリンダ1FL,1FRからマス
タシリンダ2側への還流のみを許容するチェックバルブ
42FL,42FRと、さらにこれにバイパス接続され
て実質的に前左右ホイールシリンダ1FL,1FRへの
作動流体圧を減圧可能なプロポーショニングバルブ43
FL,43FRとからなる。ちなみに、前記プロポーシ
ョニングバルブ43FL,43FRの出力圧は、例えば
マスタシリンダ2側の入力圧に対して、それが比較的低
いときには、当該入力圧の増圧勾配よりも小さな増圧勾
配で少しずつ増圧し、当該入力圧が所定値以上になる
と、当該入力圧の増圧勾配と同じ増圧勾配で増圧するよ
うなものが適用される。
【0029】この前輪制御用アクチュエータユニット7
は、主として前記ブレーキコントロールユニット9を構
成する回生制動コントローラ9bによって制御される。
すなわち、モータジェネレータMGを回生作動させると
きには、前記前左右輪減圧制御用切換バルブ41FL,
41FRを閉作動させて、プロポーショニングバルブ4
3FL,43FRによって前左右ホイールシリンダ1F
L,1FRの作動流体圧をマスタシリンダ2側の供給圧
よりも減圧制御する。つまり、本実施形態の車両はFF
タイプであって、エンジンもモータジェネレータも前輪
にしか接続されていない。従って、モータジェネレータ
による回生トルクも前輪にのみ付与されるので、この回
生トルクによる制動力分だけ前左右ホイールシリンダ1
FL,1FRの作動流体圧を減圧する必要がある。逆に
言えば、モータジェネレータによる回生トルクが前輪に
のみ付与される場合に、四輪全てのホイールシリンダの
作動流体圧を減圧してしまったのでは、前輪側の制動力
が後輪側のそれより大きくなって、例えばアンチロック
ブレーキ制御が早期に開始されてしまうなどの問題が発
生する。そこで、本実施形態では回生トルクによる制動
力分だけプロポーショニングバルブ43FL,43FR
によって前左右ホイールシリンダ1FL,1FRの作動
流体圧を減圧するのである。ただし、モータジェネレー
タによる回生トルクは、例えば車速によって変化する。
本実施形態では、例えば中高速時に発生可能な,比較的
安定しているが小さい回生トルク分だけプロポーショニ
ングバルブで減圧できるようにした。
【0030】次に、前記四輪統括制御用アクチュエータ
ユニット5の前に、前記ブースター4及び当該ブースタ
ー4への作動流体圧力源について説明する。本実施形態
のようなハイブリッド車両では、エンジンが停止される
こともあるので、ブースター4への作動流体圧力源とし
て電動ポンプ11を用いる。この電動ポンプ11でメイ
ンリザーバ8内の作動流体を吸入し、チェックバルブ1
2を通過して吐出する。この電動ポンプ11の吐出側に
アキュームレータ13を接続し、更にブースター4の入
力側に接続する。前記アキュームレータ13の上流側と
下流側とには夫々圧力スイッチ14,15を配設してお
き、どちらが低くなっても電動ポンプ11が作動するよ
うにすることで、アキュームレータ13内の作動流体
圧,つまりブースター4への供給流体圧を所定値以上に
維持することができる。
【0031】前記ブースター4の基本的な構造は既存の
ものと同様である。即ち、図3に示す(図はブレーキペ
ダル3を踏込んだ状態)ようにブレーキペダル3の踏込
みがない状態では、インプットシャフト71が図示右方
に後退しており、その結果、スチールボール72はスプ
リング74によってバルブシート73に押付けられるの
で、ピストン75の外周から取入れられている前記アキ
ュームレータ13からの作動流体圧は、当該ピストン7
5内部のシリンダ室76内に流入できず、当該ピストン
75を押圧する力は発生しない。なお、前記シリンダ室
76は、ブースタボディ70の内側にも連通している。
また、ピストン75にはマスタシリンダ2に連結される
ロッド77が延設されている。また、図中の符号78,
79は、ブレーキペダル3の踏込みがない状態で、ピス
トン75及びロッド77を図示右方に後退させるための
リターンスプリングである。
【0032】この状態からブレーキペダル3が踏込まれ
ると、バルブシート73との間に介装されているスプリ
ング80の弾性力に抗してインプットシャフト71が図
示左方に移動され、その先端部がスプリング74の弾性
力に抗してホルダ82ごとスチールボール72を図示左
方に移動し、もってスチールボール72がバルブシート
73から離間する。すると、インプットシャフト71と
バルブシート73との隙間から当該インプットシャフト
71に穿設されたポート81を通って、前記アキューム
レータ13からの作動流体圧がピストン75内のシリン
ダ室76内に流入し、これがバルブシート73ごとピス
トン75を図示左方に押圧するから、ロッド77はマス
タシリンダ2側に移動されて当該マスタシリンダ2内の
作動流体圧が増圧する。勿論、この後、インプットシャ
フト71によってもバルブシート73ごとピストン75
は左方に押圧されることはあるが、必ず作動流体圧によ
るピストン押圧の方が先になされるので、ブレーキペダ
ル3の踏力は小さくても大きな推進力を得ることがで
き、これによってマスタシリンダ2内の作動流体圧は倍
増(ブースト)される。
【0033】次いで、ある程度、ブレーキペダル3を踏
込んだ状態で当該ブレーキペダル3の踏込みを停止する
と、スプリング80の弾性力によってバルブシート73
とインプットシャフト71とが離間し、状態としてはバ
ルブシート73に対してインプットシャフト71が相対
的に図示右方に後退され(但し、インプットシャフト7
1はスチールボール72に当接している)、これによっ
て前記スチールボール72がスプリング74の弾性力に
よって再びバルブシート73に押付けられるので、両者
の隙間が閉塞されて前記シリンダ室76内の作動流体圧
が封入され、その封入圧によってピストン75及びロッ
ド77をマスタシリンダ2側に移動した状態に維持する
補助力が得られる。
【0034】一方、こうした状態からブレーキペダル3
から足を離すと、フリーになったインプットシャフト7
1が前記スプリング80によって更に図示右方に後退さ
れ、スチールボール72はバルブシート73に当接した
まま、スチールボール72とインプットシャフト71と
が離間する。すると、シリンダ室75内の作動流体圧
は、インプットシャフト71とバルブシート73との隙
間から、当該インプットシャフト71の先端部から穿設
されている流路83,インプットシャフトガイド84に
形成された流路85,86,ブースターボディ70に形
成された流路87を通ってメインリザーバ8に還流す
る。
【0035】このように本実施形態のブースター4で
は、ブレーキペダル3の踏込み開始から常時、前記アキ
ュームレータ13からの作動流体圧がシリンダ室76内
に流入して昇圧する。そこで、本実施形態では、このシ
リンダ室76内の作動流体圧を、ブレーキペダル3の踏
込みと共に昇圧し且つマスタシリンダ2の作動流体圧と
は異なる流体圧源からの作動流体圧として取出すための
流路88をバルブボディ70に形成した。ここから取出
された作動流体圧は、後述する四輪統括制御用アクチュ
エータユニット5に取込まれて、回生時の制動力制御に
利用される。
【0036】次に、前記四輪統括制御用アクチュエータ
ユニット5の全体構成について説明する。まず、前記マ
スタシリンダ2からの二系統の作動流体圧の各系統に、
前記ブースター4から取出した作動流体圧をパイロット
圧とする二位置切換パイロットバルブからなる回生切換
バルブ21P,21Sが介装されている。この二位置切
換パイロットバルブからなる回生切換バルブ21P,2
1SのPポートはマスタシリンダ2の各系統の出力側に
接続され、同じくそのAポートが前記アンチロックブレ
ーキ制御用増圧制御バルブ51FL〜51RRに分岐さ
れ、そのBポートは一種のアキュームレータからなるス
トロークシミュレータ22P,22Sに接続されてい
る。そして、前記回生切換バルブ21P,21Sは、パ
イロット圧のないノーマル状態で、前記PポートとAポ
ートとを連通すると共にチェックバルブ20P,20S
によってBポートからPポート及びAポートへの還流の
みを許容する。また、パイロット圧による切換状態で
は、Aポートを遮断し、PポートとBポートとを連通す
る。ちなみに、前記ストロークシミュレータ22P,2
2Sのリターンスプリングには、前記ブースター4やマ
スタシリンダ2で発生する作動流体圧反力と等価なバネ
定数のものが使用されており、余剰の作動流体はメイン
リザーバ8に還元される。また、各回生切換バルブ21
P,21Sの上流側と下流側とには、夫々圧力センサ2
3P,23S及び圧力センサ24P,24Sが設けられ
ている。
【0037】一方、前記ブースター4の作動流体圧取出
系統は、常時閉の電磁二位置切換バルブからなるフェー
ルセーフバルブ25を介して前記回生切換バルブ21
P,21Sのパイロット圧として分岐供給される。ま
た、このフェールセーフバルブ25には、ブースター4
側への還流のみを許容するチェックバルブ26と、常時
閉の二位置切換パイロットバルブからなるバイパスバル
ブ27とを並列にバイパス接続し、当該バイパスバルブ
27のパイロット圧は前記フェールセーフバルブ25の
下流圧(又はバイパスバルブ27自身の下流圧)とす
る。これにより、原則的にフェールセーフバルブ25を
開状態とすると、その下流圧,即ちバイパスバルブ27
のパイロット圧が増圧するので当該バイパスバルブ27
も開状態となり、ブースター4からの作動流体圧が低い
状態でフェールセーフバルブ25を閉状態とすると、そ
の下流圧,即ちバイパスバルブ27のパイロット圧が減
圧するので当該バイパスバルブ27も閉状態となる。
【0038】また、前記フェールセーフバルブ25と各
回生切換バルブ21P,21Sとの間にはオリフィス2
8を介装し、このオリフィス28に、回生切換バルブ2
1P,21S(のパイロット圧)への流入だけを許容す
るチェックバルブ29をバイパス接続する。なお、これ
らのオリフィス28とチェックバルブ29とは、図面で
は分岐上流側に代表して一つずつ設けているが、分岐下
流側に、夫々一つずつ,つまり各回生切換バルブ21
P,21Sごとに介装するようにしてもよい。
【0039】また、前記フェールセーフバルブ25の下
流側又はバイパスバルブ27の下流側には、常時開の二
位置切換ソレノイドバルブからなる四輪統括制御用増圧
制御バルブ30と、常時閉の二位置切換ソレノイドバル
ブからなる四輪統括制御用減圧制御バルブ31と、四輪
統括制御用リザーバ32とが直列に接続され、さらに当
該リザーバ32のリターン分をメインリザーバ8に還流
する。そして、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30
と四輪統括制御用減圧制御バルブ31との間を圧力制御
シリンダ16の入力ポートに接続する。なお、前記四輪
統括制御用増圧制御バルブ30には、前記圧力制御シリ
ンダ16からの還流のみを許容するチェックバルブ33
と、所定圧力以上で当該増圧制御バルブ30の上流側作
動流体圧をリリーフするリリーフバルブ34とを並列に
バイパス接続する。また、前記四輪統括制御用減圧制御
バルブ31には、前記四輪統括制御用リザーバ32から
の還流のみを許容するチェックバルブ35をバイパス接
続する。また、必要に応じて圧力制御シリンダ16の入
力作動流体圧を検出するための圧力センサ36を取付け
てもよい。
【0040】前記圧力制御用シリンダ16は、同じ形
状,つまり少なくとも入力側の受圧面積も出力側の受圧
面積も等しいピストン17P,17Sを内装するシリン
ダ部18P,18Sを、一つのシリンダボディ内に対向
して配設したものであり、各シリンダ部18P,18S
の出力ポートは、前記回生切換バルブ21P,21Sよ
り下流側で夫々前記マスタシリンダ2からの各系統に接
続されている。もちろん、各シリンダ部18P,18S
のリターンスプリング19P,19Sも、バネ定数を始
めとする同等の仕様のものが用いられている。つまり、
入力される作動流体圧に対して、二つのシリンダ部18
P,18Sから同じ作動流体圧をマスタシリンダ2から
の前記二つの各系統に出力することができる。また、前
記各ピストン17P,17Sの入力側の受圧面積と出力
側の受圧面積との所謂受圧面積比は、マスタシリンダ2
の出力圧と前記ブースター4から取出した作動流体圧と
の比に一致又はほぼ一致してある。
【0041】上記四輪統括制御用アクチュエータユニッ
ト5は、主として前記ブレーキコントロールユニット9
を構成する前述の回生制動コントローラ9bによって制
御される。すなわち、制動力制御装置として何らの異常
も検出されないときには、前記フェールセーフバルブ2
5を開いておき、アンチロックブレーキ制御が行われて
いない状態でブレーキペダル3が踏込まれると、ブース
ター4から取出している作動流体圧が増圧されるので、
前記フェールセーフバルブ25の下流圧をパイロット圧
とするバイパスバルブ27も切換えられて開かれる。ま
た、このフェールセーフバルブ25の下流圧は、チェッ
クバルブ29を通って前記回生切換バルブ21P,21
Sにもパイロット圧として供給されるから、当該回生切
換バルブ21P,21Sは切換状態となり、それより下
流側,つまりホイールシリンダ1FL〜1RR側は遮断
され、マスタシリンダ2の各系統は前記ストロークシミ
ュレータ22P,22Sに接続される。従って、マスタ
シリンダ2の各系統の作動流体圧はストロークシミュレ
ータ22P,22S内のピストンを作動するが、そのリ
ターンスプリングがマスタシリンダ2やブースター4内
の反力と同等の反力を発生するので、運転者はブレーキ
ペダル3の踏込みに違和感を感じない。
【0042】一方で、例えば前述のように車速や変速比
等からモータジェネレータによる回生トルクを求めるこ
とができるから、それによる前左右輪の制動力を算出し
ておき、マスタシリンダ側の圧力センサ23P,23S
で検出した作動流体圧から、当該作動流体圧が各ホイー
ルシリンダ1FL〜1RRに供給されたときの制動力を
算出し、両者の差分値からなる制動力とホイールシリン
ダ側の圧力センサ24P,24Sで検出した作動流体圧
に応じた制動力とが一致するように、前記圧力制御シリ
ンダ16からの出力圧を制御する。ここで、前記圧力制
御シリンダ16は、前記X配管された二つの系統に同等
の作動流体圧を供給することができるから、それらを同
じように増減圧制御するためには、当該圧力制御シリン
ダ16への入力圧を増減圧制御すればよい。このとき、
圧力制御シリンダ16の出力圧と入力圧との比は、前記
二つのシリンダ部18P,18Sのピストン17P,1
7Sの受圧面積比の逆比であるから、要求される作動流
体圧,つまり出力圧の増減圧量に対する入力圧の増減圧
量が設定される。そして、この入力圧の増減圧量に応じ
て、前記四輪統括制御用増圧制御バルブ30と四輪統括
制御用減圧バルブ31とを開閉制御すればよい。なお、
この圧力制御シリンダ16への入力圧の増減圧制御につ
いては、例えば従来既存のデューティ比によるPWM
(Pulse WidthModulation)制御等が適用できるので、
その詳細な説明については省略する。また、前記四輪統
括制御用減圧バルブ31によって減圧された分の作動流
体圧は前記四輪統括制御用リザーバ32に原則的に貯留
される。
【0043】また、例えば前記回生切換バルブがソレノ
イド駆動のものであるときには、ソレノイドを駆動する
ための電気的構造が必要になるし、前述のようなブレー
キペダル3の踏込みによる回生作動時間が長くなると、
例えばそのソレノイドの励磁時間が長くなって発熱量が
大きくなったり、エネルギー損が大きくなったりすると
いう問題が発生するが、本実施形態では、回生切換バル
ブ21P,21Sを駆動するために、ブレーキペダル3
の踏込み中に常時発生するブースター4内の作動流体圧
をパイロット圧として用いているので、構造が簡潔にな
ると共に余分な発熱量やエネルギー損を抑制防止するこ
とができる。
【0044】また、このような回生作動中のブレーキペ
ダル3の踏込み時にあって、当該ブレーキペダル3を少
しだけ戻してブースター4から取出している作動流体圧
が減圧しようとしても、前記回生切換バルブ21P,2
1Sへのパイロット圧は前記オリフィス28を通ってゆ
っくりとしか減圧しないので、当該回生切換バルブ21
P,21Sが誤ってノーマル位置に戻るのを抑制防止
し、回生協調制御を継続することができる。一方、ブレ
ーキペダル3の踏込み時には、ブースター4から取出し
た作動流体圧は、オリフィス28を通らずにチェックバ
ルブ29側から回生切換バルブ21P,21のパイロッ
ト圧として流入するので、必要な応答性を確保すること
ができる。
【0045】また、この状態から、ブレーキペダル3か
ら足を離すと、前述のようにブースター4から取出して
いる作動流体圧も減圧するので、前記回生切換バルブ2
1P,21Sのパイロット圧も前記オリフィス28を通
ってゆっくりと減圧し、当該回生切換バルブ21P,2
1Sはノーマル位置に戻ってマスタシリンダ2が再びホ
イールシリンダ1FL〜1RR側に接続される。また、
前記四輪統括制御用リザーバ32内の作動流体は前記チ
ェックバルブ35を通って、圧力制御シリンダ16内の
作動流体と共にチェックバルブ33,チェックバルブ2
6を通ってブースター4に還流する。
【0046】また、ブレーキペダル3の踏込みのない状
態で異常が検出されると、前記フェールセーフバルブ2
5を閉状態とすれば、次にブレーキペダル3が踏込まれ
てもバイパスバルブ27も閉状態に維持されるのでブー
スター4内の作動流体圧はそれより下流側に供給され
ず、回生切換バルブ21P,21Sはマスタシリンダ2
とホイールシリンダ1FL〜1RRとを連通状態に維持
してフェールセーフ機能が得られる。
【0047】これに対して、ブレーキペダル3が踏込ま
れた状態で異常が検出されると、前記と同様にフェール
セーフバルブ25が即座に閉状態とされる。しかしなが
ら、このときにはフェールセーフバルブ25を閉状態と
しても、当該フェールセーフバルブ25の下流圧,つま
りチェックバルブ26のブースター4側の作動流体圧が
高いので、回生切換バルブ21P,21Sのパイロット
圧が封入されて減圧せず、当該回生切換バルブ21P,
21Sはマスタシリンダ2からの作動流体系統を遮断し
たままになる。しかしながら、このときには封入された
回生切換バルブ21P,21Sのパイロット圧,即ちフ
ェールセーフバルブ25の下流圧が前記バイパスバルブ
27のパイロット圧として作用するので、当該バイパス
バルブ27は開状態に維持される。従って、同様のフェ
ールセーフ対策として、四輪統括用増圧制御バルブ30
は開状態に,四輪統括用減圧制御バルブ31は閉状態に
維持されるから、ブースター4から取出した作動流体圧
は圧力制御シリンダ16を通って前記二つの系統に供給
され続けるので、少なくともブレーキペダル3から足を
離すまでは、当該作動流体圧による制動を維持すること
ができる。そして、前記圧力制御シリンダ16の二つの
シリンダ部18P,18Sのピストン17P,17Sの
受圧面積比を、マスタシリンダ2の出力圧とブースター
4から取出す作動流体圧の比に設定しているので、この
ときに得られる圧力制御シリンダ16からの作動流体圧
はマスタシリンダ2からのそれと同等となり、制動力を
安定させ、違和感が生じることもない。
【0048】また、これ以外にも、前記圧力制御シリン
ダ16の二つのシリンダ部18P,18Sのピストン1
7P,17Sの受圧面積比を、マスタシリンダ2の出力
圧とブースター4から取出す作動流体圧の比に設定する
ことにより、圧力制御シリンダ16からの作動流体圧が
マスタシリンダ2からのそれと同等となることから、ア
ンチロックブレーキ制御用アクチュエータユニットより
下流側の制御態様を、マスタシリンダ2からの作動流体
圧に対するそれと共用化して制御を容易にすることがで
きる。
【0049】前記ブレーキコントロールユニット9は、
目標ホイールシリンダ圧と推定ホイールシリンダ圧との
差に応じて前記アンチロックブレーキ制御用アクチュエ
ータユニット6を制御するABSコントローラ9aと、
このABSコントローラ9aの作動状況及び前記モータ
ジェネレータコントローラ38の作動状況に応じて四輪
統括制御用アクチュエータユニット5及び前輪制御用ア
クチュエータユニット7を制御して、ホイールシリンダ
1FL〜1RRへの作動流体圧を調整するいわゆる回生
協調制御を行う回生制動コントローラ9bとから構成さ
れている。そして、これらABSコントローラ9a及び
回生制動コントローラ9bは、それぞれマイクロコンピ
ュータ等を含んで構成され、また、前記エンジンコント
ロールユニット37,モータジェネレータコントローラ
38,無段変速機コントロールユニット39は相互通信
を行いながら制御を行うようになっている。
【0050】前記ABSコントローラ9aは、前述のよ
うにしてホイールシリンダ1FL〜1RRへの作動流体
圧を制御すると共に、ホイールシリンダ1FL〜1RR
への作動流体圧を減圧状態に制御したときに、該当する
車輪のABS作動フラグASj(j=FL〜RR)を
“1”に設定してモータジェネレータコントロールユニ
ット38及び回生制動コントローラ9bに出力する。前
記ABS作動フラグASjは、アンチロックブレーキ制
御処理によるホイールシリンダ1FL〜1RRへの作動
流体圧の減圧制御が開始されてアンチロック作動状態と
なったことを表すフラグである。また、四輪統括制御用
アクチュエータユニット5及び前輪制御用アクチュエー
タユニット7による減圧制御が行われているか、また、
減圧制御による減圧量等の減圧情報を、後述の回生制動
コントローラ9bから入力する。そして、ABS作動フ
ラグがASj=1となったときに、これらアクチュエー
タユニット5及び7による作動流体圧の減圧制御が行わ
れているときには、減圧制御中のアクチュエータ5及び
7による作動流体圧の減圧量に基づいて、ABS制御処
理開始後最初に作動流体圧を減圧するときの減圧時間T
pを補正する。
【0051】前記回生制動コントローラ9bは、前記モ
ータジェネレータコントロールユニット38から通知さ
れる発電量情報をもとに、この発電量を得るべくモータ
ジェネレータMGを駆動した際に生じる制動力と同等の
作動流体圧を算出し、当該作動流体圧分を減圧するよう
に、前記四輪統括制御用アクチュエータユニット5及び
前輪制御用アクチュエータユニット7を適宜制御する。
つまり、モータジェネレータMGを発電機として作動さ
せたために車両に付与される電気的制動力分を、ホイー
ルシリンダ1FL〜1RRへの作動流体圧を減圧するこ
とによってこの減圧に伴い制動力減少分によって相殺
し、結果的に、ブレーキペダル3の踏み込み量に応じた
制動力が車両に作用するように、作動流体圧の回生協調
制御を行う。これは、例えば予め設定した制御マップに
したがって、四輪統括制御用アクチュエータユニット5
及び前輪制御用アクチュエータユニット7の何れか一
方、或いは双方を駆動してモータジェネレータMGの回
生作動に伴う制動力に相当する作動流体圧を減圧する。
【0052】また、回生制動コントローラ9bは、前記
ABSコントローラ9aからABS作動フラグASjを
入力すると共に、四輪統括制御用アクチュエータユニッ
ト5及び前輪制御用アクチュエータユニット7の何れに
よって作動流体圧の減圧制御を行っているか等の作動状
況及びその減圧量を表す減圧情報をABSコントローラ
9aに通知する。
【0053】さらに、回生制動コントローラ9bは、A
BS作動フラグの何れかがASj=1であり、アンチロ
ックブレーキ制御処理による作動流体圧の制御が開始さ
れたことを検出したときには、四輪統括制御用アクチュ
エータユニット5及び前輪制御用アクチュエータユニッ
ト7による回生協調減圧を停止する。具体的には、四輪
統括制御用アクチュエータユニット5については、フェ
ールセーフバルブ25を開状態に制御して、これに伴い
バイパスバルブ27を開状態にし、また、四輪統括制御
用増圧制御バルブ30を開状態,さらに四輪統括制御用
減圧制御バルブ31を閉状態に制御する。これにより、
圧力制御シリンダ16への供給圧が増圧されてその出力
圧が増圧され、マスタシリンダ圧とほぼ同等の作動流体
圧が出力されるから、四輪統括制御用アクチュエータユ
ニット5による回生協調減圧が停止される。一方、前輪
制御用アクチュエータユニット7については、前左右輪
減圧制御用切換バルブ41FL,41FRを開状態に制
御しその上流側の作動流体圧を、プロポーショニングバ
ルブ43FL,43FRを介さずに、ホイールシリンダ
1FL,1FRに供給する。
【0054】図4は、ABSコントローラ9aにおける
ABS制御処理の処理手順の一例を示すフローチャート
であり、この処理は、例えば予め設定された所定周期で
実行される。なお、この制御処理は周知であり、例えば
特開平8−150917号公報に記載のアンチロックブ
レーキ制御処理と同等であるので、ここでは簡単に説明
する。
【0055】すなわち、まず、ステップS1で、図示し
ない車輪速センサの検出値とマスタシリンダ側の圧力セ
ンサ23P,23Sの検出値をもとに、マスタシリンダ
圧,各車輪の車輪速度Vw及びその車輪加速度を算出
し、次に、ステップS2に移行して、各車輪速度Vwを
もとに車体速度勾配及び推定車体速度を算出する。
【0056】次に、ステップS3に移行して、ステップ
S1の処理で検出したマスタシリンダ圧と前回処理実行
時のアンチロックブレーキ制御用アチュエータユニッ
ト6への制御信号及び前回のマスタシリンダ圧等をもと
に、各ホイールシリンダ1FL〜1RRの現在のホイー
ルシリンダ圧PFL〜PRRを推定する。次に、ステップS
4に移行し、例えば推定車体速度の8割等として目標車
輪速度Vw* を算出する。そして、ステップS5に移行
し、算出した目標車輪速度Vw* とステップS1で算出
した車輪速度Vwとを比較し、Vw* >Vwであるとき
にはステップS6に移行して目標車輪減速度Vw* ′を
“0”に設定し、Vw* ≦Vwであるときにはステップ
S7に移行し、目標車輪減速度Vw* ′として例えば予
め設定された設定値−Vw0 ′を設定する。
【0057】次いで、ステップS8に移行して、例えば
予め設定した制御マップにしたがって各ホイールシリン
ダ1FL〜1RRに対する目標ホイールシリンダ圧P*
FL〜P* RRを算出する。そして、ステップS9に移行し
て、アクチュエータ制御処理を実行し、目標ホイールシ
リンダ圧P* FL〜P* RRと、ステップS3で算出した推
定ホイールシリンダ圧PFL〜PRRとの偏差に応じたアン
チロックブレーキ制御用アチュエータユニット6への
制御信号を決定し、これを出力する。
【0058】このステップSのアチュエータ制御処
理は、図5に示すように、まず、ステップS11で、ス
テップS8で算出した目標ホイールシリンダ圧P
* I (I=FL〜RR)が、ステップS1の処理で検出
したマスタシリンダ圧と一致するか否かを判定し、両者
が一致しているときには、ステップS12に移行して、
アンチロックブレーキ制御中を表すABS作動フラグA
Sを“0”にリセットし、次いで、ステップS13に移
行して、出力する制御信号の保持時間を表す増減圧時間
Tpを“1”に設定し、次いで、ステップS14に移行
して目標シリンダ圧P* I と実際のシリンダ圧PI との
誤差を監視する周期を表す緩増圧周期mを“1”に設定
してからステップS15に移行する。
【0059】このステップS15では、増減圧時間Tp
が正であるか、“0”であるか、さらには負であるかを
判定し、Tp>0であるときには、ステップS16に移
行して増減圧時間Tpから“1”を減算した値を新たな
増減圧時間Tpとする。次いで、ステップS17に移行
して増圧制御バルブ51I を開状態,減圧制御バルブ5
I を閉状態に制御して、増圧を行う。
【0060】また、ステップS15の判定結果がTp=
0であるときには、ステップS18に移行して、増圧制
御バルブ51I 及び減圧制御バルブ53I を共に閉状態
に制御して、保持を行う。さらに、ステップS15の判
定結果がTp<0であるときには、ステップS19に移
行して、ABS作動フラグASを“1”にセットし、次
いでステップS20に移行して、増減圧時間Tpに
“1”を加算した値を新たな増減圧時間Tpとする。そ
して、ステップS21に移行して、増圧制御バルブ51
I を閉状態,減圧制御バルブ53I を開状態に制御し
て、減圧を行う。
【0061】また、前記ステップS11の判定結果が目
標シリンダP* I とマスタシリンダ圧PI とが不一致で
あるときには、ステップS22に移行し、緩増圧周期m
から“1”を減算した値を新たな緩増圧周期mとした後
ステップS23に移行する。このステップS23では、
変数mが正であるか否かを判定し、m>0であるときに
はステップS15に移行し、m≦0であるときにはステ
ップS24に移行する。
【0062】このステップS24では、目標ホイールシ
リンダ圧P* I と推定ホイールシリンダ圧PI との誤差
ERR (=P* I −PI )を算出してからステップS2
5に移行する。このステップS25では、誤差PERR
零を含む正であるか負であるかを判定し、PERR ≧0で
あるときにはステップS26に移行して、誤差PERR
基準値P0 で除算した値を四捨五入する次式(1)にし
たがって、増減圧時間Tpを算出してからステップS2
7に移行する。
【0063】 Tp=INT(PERR /P0 ) ……(1) また、ステップS25の判定結果がPERR <0であると
きには、ステップS27に移行して、誤差PERR に定数
G を乗じた値を推定ホイールシリンダ圧PIと基準値
0 との和で除算した値を四捨五入する次式(2)にし
たがって、増減圧時間Tpを算出してからステップS2
8に移行する。
【0064】 Tp=INT〔KG ・PERR /(PI +P0 ) ……(2) ステップS28では、増減圧時間Tpが正であるか
“0”であるか、さらには負であるかを判定し、Tp=
0であるときにはステップS29に移行して緩増圧周期
mを“1”に設定した後、ステップS15に移行し、T
p>0であるときにはステップS30に移行して緩増圧
周期mを所定値m0 に設定した後、ステップS31に移
行して、緩増圧状態を表す制御フラグFzを“1”にセ
ットしてからステップS15に移行する。
【0065】そして、ステップS28でTp<0である
ときには、ステップS32に移行して、予め保持してい
る前回処理実行時のABS作動フラグAS(n−1)が
“0”であるか否かを判定し、AS(n−1)=0でな
いときにはそのままステップS33に移行して、減圧周
期mを所定値m0 に設定した後、ステップS34に移行
して、緩増圧状態を表す制御フラグFzを“0”にリセ
ットしてからステップS15に移行する。
【0066】一方、前記ステップS32でAS(n−
1)=0であるときには、ステップS35に移行して、
回生制動コントローラ9bからの減圧情報をもとに、ア
ンチロックブレーキ制御が行われている該当輪に対して
回生協調減圧が行われているか否かを判定し、回生協調
減圧が行われていない場合には、そのままステップS3
3に移行する。そして、ステップS35でアンチロック
ブレーキ制御の該当輪に対して回生協調減圧が行われて
いる場合には、ステップS36に移行して、回生制動コ
ントローラ9bからの減圧情報をもとに、アンチロック
ブレーキ制御の該当輪に対して行われている回生協調減
圧の減圧量に例えば予め設定した定数Kを乗算すること
等によって、減圧量に相当する減圧補正時間Tα(=K
・VL )を算出し、この減圧補正時間Tαを、減圧時間
Tpに加算して、これを新たな減圧時間Tpとする。
【0067】次いでステップS37に移行して、所定値
0 と、前記減圧補正時間Tαに応じた周期補正量mα
とを加算し、これを減圧周期mとした後、ステップS3
4に移行する。この周期補正量mαは、ステップS36
で設定した減圧時間Tpの間、減圧を行うのに十分な周
期である。
【0068】次に、上記実施の形態の動作を、図6のタ
イミングチャートに基づいて説明する。今、車両が走行
状態であるとすると、モータジェネレータコントローラ
38では、アクセルペダル操作量,車速に基づき、図示
しない走行パターン制御マップを参照して、走行状態
が、モータジェネレータ4のみで走行するモータ走行領
域であるか、エンジン1のみで走行するエンジン走行領
域であるか、通常走行はエンジン1のみで行い加速時に
はモータジェネレータ4を使用するハイブリッド走行領
域であるか、を判断し、各走行領域に応じてエンジン
1,モータジェネレータ4,クラッチ2を制御する。こ
れにより、車両の走行状態に応じてモータジェネレータ
4及びエンジン1の何れか一方、或いは双方が駆動さ
れ、これらからの走行駆動力により車両が走行する。
【0069】この状態から、ドライバがアクセルペダル
を開放状態として、時点t1 でブレーキペダル3を踏み
込んで制動状態となると、モータジェレータコントロー
ラ38では、エネルギ回収量算出マップ等を算出して発
電量を算出し、この発電量に応じてモータジェネレータ
4を発電機として作動させていわゆる回生作動状態に制
御し、この電気エネルギを蓄電装置等に回収する。
【0070】これに応じて回生制動コントローラ9bで
は、モータジェネレータコントローラ38からの発電量
情報に基づいて、回生作動状態に制御されたモータジェ
ネレータMGが車両に付与する制動力に相当する作動流
体圧を算出し、この作動流体圧分をホイールシリンダ1
FL〜1RRへの作動流体圧から減圧するように、例え
ば車両の減速度に基づいて四輪統括制御用アクチュエー
タユニット5及び前輪制御用アクチュエータユニット7
を制御する。これにより、回生作動状態のモータジェネ
レータMGにより車両に付与される制動力分が、作動流
体圧の減圧分に相当する制動力の減少分によって相殺さ
れることになって、車両には、ブレーキペダル3の踏み
込み量に応じた制動力が作用することになる。
【0071】そして、ABSコントローラ9aでは、時
点t1 でドライバがブレーキペダル3を踏み込んで制動
状態となり、例えば前左輪WFLがロックしそうになる
と、前記増圧制御バルブ51FLを閉じてこの車輪のホ
イールシリンダ1FLの作動流体圧を保持する。そし
て、車輪WFLのロック傾向が回復しないときには、時点
2 で、ポンプ55Sを作動させながら減圧制御バルブ
53FLを目標ホイールシリンダ圧と推定ホイールシリ
ンダ圧との差に基づいて算出した所定の減圧時間だけ開
くと共に、ABS作動フラグASFLをASFL=1に設定
して、モータジェネレータコントローラ38及び回生制
動コントローラ9bに通知する。これにより、ホイール
シリンダ1FLへの作動流体圧がマスタシリンダ2側へ
還流されて減圧される。そして、この減圧により車輪速
度が回復してきたら、一旦減圧制御バルブ53FLを閉
じて該当輪のホイールシリンダ1FLの作動流体圧を保
持し、所定時間だけ増圧制御バルブ51FLを開いて該
当するホイールシリンダ1FLの作動流体圧を緩増圧す
る。そして、以後、この動作を繰り返し行い、時点
5,時点t6 ,時点t7 ……でそれぞれ所定時間減圧
を行う。
【0072】一方、ASFL=1のABS作動フラグが通
知された回生制動コントローラ9bでは、回生協調制御
を中止し、四輪統括制御用アクチュエータユニット5に
ついては、フェールセーフバルブ25を開状態,四輪統
括制御用増圧制御バルブ30を開状態,四輪統括制御用
減圧制御バルブ31を閉状態に制御し、前輪制御用アク
チュエータユニット7については、前左右輪減圧制御用
切換バルブ41FLを開状態に制御しその上流側の作動
流体圧を、プロポーショニングバルブ43FLを介さず
に、ホイールシリンダ1FLに供給する。これにより、
前輪制御用アクチュエータユニット7による減圧制御が
停止され、また、圧力制御シリンダ16への作動流体圧
が増圧され、マスタシリンダ圧とほぼ同等の作動流体圧
が出力されて、四輪統括制御用アクチュエータユニット
5による回生協調制御が中止される。
【0073】また、前記モータジェネレータコントロー
ラ38では、ABSコントローラ9aからABS作動フ
ラグASFL=1として通知されると、モータジェネレー
タMGの回生作動により付与される電気的制動力が、図
6に示すように、予め設定した傾きで減少するようにモ
ータジェネレータMGを駆動しやがてモータジェネレー
タMGの回生作動を停止する。
【0074】ここで、前記ABSコントローラ9aで
は、減圧制御バルブ53FLを開状態に制御する減圧時
間Tpを、目標ホイールシリンダP* I 圧と推定ホイー
ルシリンダ圧PI との差に応じて設定しているが、アン
チロックブレーキ制御開始後の最初の減圧、つまり、時
点t2 における減圧時間Tpは、次のようにして設定す
る。つまり、図5のフローチャートにおいて、ステップ
S28の処理で減圧時間Tpが負の値であるときには、
ステップS28からステップS32に移行し、このと
き、時点t2 で初めて作動流体圧の減圧を行うから、前
回のABS作動フラグAS(n−1)FL=0であるの
で、ステップS32からステップS35に移行する。そ
して、四輪統括制御用アクチュエータユニット5或いは
前輪制御用アクチュエータユニット7による回生協調減
圧中であるから、次にステップS36に移行し、回生制
動コントローラ9bから通知された減圧情報から、四輪
統括制御用アクチュエータユニット5及び前輪制御用ア
クチュエータユニット7による前左輪WFLに対する減圧
量VL に相当する減圧補正時間Tα(=K・VL )が算
出される。そして、この減圧補正時間Tαが減圧時間T
pに加算されてこれが新たな減圧時間Tpとして設定さ
れ(ステップS36)、さらにこの減圧補正時間Tαに
相当する補正減圧量mαが算出されて減圧周期mが設定
される(ステップS37)。
【0075】したがって、アンチロックブレーキ制御が
開始された後の最初の減圧,つまり、時点t2 の減圧で
は、アンチロックブレーキ制御処理において前左輪WFL
がロック傾向となることを回避するための減圧と、モー
タジェネレータMGによる電気的制動力を打ち消すため
の減圧とが行われることになる。ABS作動フラグAS
FLが“1”となってアンチロックブレーキ制御が開始さ
れた時点t2 で、回生制動コンートローラ9bでは、四
輪統括制御用アクチュエータユニット5或いは前輪制御
用アクチュエータユニット7による回生協調減圧を中止
するから、時点t2 以後は、モータジェネレータMGに
よる電気的制動力が、回生協調減圧による減圧相当分の
制動力減少分によって相殺されないために前左輪WFL
作用する総制動力は、ホイールシリンダ1FLに作用す
る作動流体圧に相当する制動力よりも大きくなる。した
がって、ホイールシリンダ1FLの推定マスタシリンダ
圧に基づいてアンチロックブレーキ制御を行っても、実
際にはそれ以上の制動力が付与されているから、制動力
過多となって的確なアンチロックブレーキ制御を行うこ
とができない。しかしながら、時点t2 における回生協
調減圧による制動力相当分を、時点t2 での一回目の減
圧時の制動力減少分によって相殺する、つまり、図6の
タイミングチャートにおいて、時点t2 以後のモータジ
ェネレータMGの電気的制動力相当分を、時点t3 〜t
4 間の減圧による制動力の減少分によって相殺するよう
にしている。よって、電気的制動力が付与されることに
より、アンチロックブレーキ制御処理の制御性能が低下
することを回避することができる。
【0076】そして、時点t5 で再度アンチロックブレ
ーキ制御処理によって減圧が行われるときには、図5の
フローチャートにおいて、ステップS28からステップ
S32に移行するが、このとき、前回のABS作動フラ
グAS(n−1)FL=1であり、すでに一度減圧が行わ
れているから、ステップS32からステップS33に移
行して、減圧時間Tp及び減圧周期mの補正は行わな
い。
【0077】よって、図6に示すように、以後の時点t
5 ,t6 ,t7 ……で行われる減圧の減圧時間は補正さ
れずに、アンチロックブレーキ制御処理のみに依存する
減圧時間となる。
【0078】したがって、アンチロックブレーキ制御処
理における減圧と共に、回生協調減圧中止後のモータジ
ェネレータMGの電気的制動力相当分を作動流体圧から
減圧するようにしたから、電気的制動力の影響によりア
ンチロックブレーキ制御処理の制御性能が低下すること
を回避することができる。特に、アンチロックブレーキ
制御処理開始後の最初の減圧時に、電気的制動力相当分
を相殺するようにしているから、より早い時点で電気的
制動力による影響を除去することができ、より的確に制
御性能の低下を回避することができる。
【0079】また、アンチロックブレーキ制御処理にお
いては、減圧時間Tpを算出した後、ABS作動フラグ
ASjを“1”として回生制動コントローラ9bに通知
するようにしているため、アンチロックブレーキ制御処
理開始に伴う回生協調減圧の停止によってホイールシリ
ンダ1FL〜1RRへの作動流体圧が増圧されている状
態でアンチロックブレーキ制御処理開始時点の車輪速或
いはその減速度に基づく作動流体圧に応じて算出された
減圧量に応じて作動流体圧が減圧されることになって、
制動力過多傾向となるが、回生協調減圧の停止に伴う電
気的制動力に相当する作動流体圧の増圧分、つまり、電
気的制動力相当の減圧をアンチロックブレーキ制御処理
における減圧制御に含めて実行することになるから、ア
ンチロックブレーキ制御処理の開始と、これに伴う回生
協調減圧の停止による作動流体圧の回復との時間差に伴
うアンチロックブレーキ制御処理の制御性の低下を回避
することができる。
【0080】なお、上記実施の形態においては、前左輪
FLに対してアンチロック作動状態となった場合につい
て説明したが、前右輪WFRに対してアンチロック作動状
態となった場合でも同様である。
【0081】また、上記実施の形態においては、回生制
動コントローラ9bから通知された該当輪に対する減圧
量VL から減圧補正時間Tαを算出するようにした場合
について説明したが、例えば、モータジェネレータMG
の発電量に基づいて減圧補正時間Tαを算出するように
してもよい。
【0082】また、上記実施の形態においては、アンチ
ロックブレーキ制御処理において、減圧補正時間Tαを
算出するようにした場合について説明したが、例えば、
回生制動コントローラ9bにおいて減圧補正時間Tαを
算出し、これをアンチロック制御処理に通知するように
してもよい。
【0083】ここで、上記実施の形態において、モータ
ジェネレータMG及びモータジェネレータコントロール
ユニット38が電気的制動手段に対応し、ホイールシリ
ンダ1FL〜1RRが流体圧制動手段に対応し、アンチ
ロックブレーキ制御用アクチュエータユニット6及びA
BSコントローラ9aがアンチロックブレーキ制御手段
に対応し、四輪統括制御用アクチュエータユニット5及
び前輪制御用アクチュエータユニット7が作動流体圧制
御手段に対応し、図5のステップS32及びステップS
35〜S37の処理が減圧量補正手段に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制動力制御装置を適用したハイブリッ
ド車両の概略構成図である。
【図2】図1のブレーキアクチュエータユニットの一例
を示す流体圧回路図である。
【図3】図2のブースターの説明図である。
【図4】ABSコントローラでのアンチロックブレーキ
制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートであ
る。
【図5】図4のアンチロックブレーキ制御処理における
アクチュエータ制御処理の処理手順の一例を示すフロー
チャートである。
【図6】本発明の動作説明に供するタイミングチャート
である。
【符号の説明】
EG エンジン CL クラッチ MG モータジェネレータ CVT 無段変速機 WFL〜WRR 車輪 1FL〜1RR ホイールシリンダ 3 ブレーキペダル 4 ブースター 5 四輪統括制御用アクチュエータユニット 6 アンチロックブレーキ制御用アチュエータユニット 7 前輪制御用アクチュエータユニット 9 ブレーキコントロールユニット 9a ABSコントローラ 9b 回生制動コントローラ 10 ブレーキアクチュエータユニット 30 四輪統括制御用増圧制御バルブ 31 四輪統括制御用減圧制御バルブ 37 エンジンコントロールユニット 38 モータジェネレータコントロールユニット 39 無段変速機コントロールユニット 41FL,41FR 前左右輪減圧制御用切換バルブ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 6/02 - 6/06 B60T 7/12 - 7/22 B60T 8/00 B60T 8/32 - 8/96 B60L 1/00 - 3/12 B60L 7/00 - 13/00 B60L 15/00 - 15/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の車輪に対して電気的な制動力を付
    与する電気的制動手段と、 各車輪の制動用シリンダへの作動流体圧によって当該車
    輪に制動力を付与する流体圧制動手段と、 各車輪のロック状態に応じて前記各車輪の制動用シリン
    ダへの作動流体圧を個別に制御するアンチロックブレー
    キ制御手段と、 前記電気的制動手段の制動力が付与されているときに前
    記制動用シリンダへの作動流体圧前記電気的制動手段
    の電気的制動力相当の作動流体圧分低下させる作動流体
    圧制御手段と、を備え、 前記電気的制動手段は、前記アンチロックブレーキ制御
    手段が前記制動用シリンダへの作動流体圧を制御してい
    るときに前記電気的制動力の付与を中止又は減少させる
    ようになっている制動力制御装置であって、 前記アンチロックブレーキ制御手段が前記作動流体圧を
    減圧制御する時の前記アンチロックブレーキ制御手段に
    よる減圧量を、前記電気的制動力に応じて補正する減圧
    量補正手段を備えることを特徴とする制動力制御装置。
  2. 【請求項2】 前記減圧量補正手段は、前記アンチロッ
    クブレーキ制御手段によるアンチロックブレーキ制御開
    始後最初の減圧制御時の作動流体圧の減圧量を、アンチ
    ロックブレーキ制御開始時における前記電気的制動力に
    応じて補正するようになっていることを特徴とする請求
    項1記載の制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 前記減圧量補正手段は、前記作動流体圧
    制御手段による前記作動流体圧の低下量から前記電気的
    制動力を推定するようになっていることを特徴とする請
    求項1又は2記載の制動力制御装置。
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