JP4082251B2 - ステープラーのクリンチャ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は綴じ用紙を貫通させたステープルの脚部をクリンチャと係合させることによって内側に誘導させて綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げ成形させるようにしたステープラーのクリンチャ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般のステープラーにおいては、多数のステープルを収容するとともにコ字状に形成されたステープルをドライバによって綴じ用紙に向けて打ち出すドライバユニットと、このドライバユニットと対向して配置され綴じ用紙を貫通したステープルの脚部の先端を綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げ成形するクリンチャユニットとを備えており、両ユニットの間に配置された綴じ用紙に向けてドライバユニットからステープルを打ち出し、綴じ用紙を貫通したステープル脚の先端をクリンチャユニットのクリンチャ装置と係合させてステープル脚を内側へ向けて屈曲させて綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げるようにしている。
【０００３】
ドライバユニットから打ち出されるステープルの先端がクリンチャユニットのクリンチャ装置に正確に係合するようにドライバユニットとクリンチャユニットとが正確に位置決め配置されることが求められているが、コピー機等に組み込まれているステープラーにおいては、ドライバユニットとクリンチャユニットとが分離して構成されており、コピーされた綴じ用紙の任意の箇所を綴じられるように各々のユニットが独立してスライド方向と回動方向へ移動できるように制御される。このように、両ユニットを移動できるように構成するとドライバユニットから打ち出されるステープルの位置とクリンチャユニットのクリンチャ装置との位置ずれが発生して、ドライバユニットから打ち出されたステープルの脚がクリンチャユニットのクリンチャ装置と係合できなくなって綴じ不良を発生することがあり、両ユニットの位置合わせの調整に時間がかかるという問題があった。
【０００４】
また、従来のステープラーのクリンチャ装置においては、ステープル脚の受け面を広く形成するとともに、ステープルの幅とほぼ同じ幅の折曲げ溝を形成したクリンチャ部材を挟んで固定壁を対向させて形成し、該固定壁に綴じ用紙を貫通したステープル脚の先端を前記クリンチャ部材の折曲げ溝内に向けて案内する傾斜面を形成して、綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記傾斜面によってクリンチャの折曲げ溝内へ誘導させるようにしている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
【特許文献１】
実公平６−７８９３号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図８に示すように、上記従来のクリンチャ装置２０では、受け面を広く形成しているのでクリンチャユニットとドライバユニットの間に少しだけのずれが発生した場合でもステープルＳの脚部Ｓ１がクリンチャ装置２０と係合することができるが、ステープル脚Ｓ１を傾斜面２１によってクリンチャ部材２２の折曲げ溝２３内へ誘導させるようにしているので、綴じ用紙を貫通したステープル１のステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャ部材２２によって内側に向けて屈曲される際に、傾斜面２１によって前後方向に誘導されてステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が前後方向に移動してステープルＳが傾斜して倒れてしまい、図９に示すように両脚部Ｓ１がクラウン部と平行にならず傾斜した状態で綴じられてしまうことが発生する。ステープル脚Ｓ１の長いステープルＳを使用した場合には両脚Ｓ１が交差してしまうことが発生する。
【０００７】
本発明は上記従来技術における問題点を解消して、ステープルを打ち出すドライバユニットとステープル脚を折り曲げ成形するクリンチャユニットの位置がずれた場合でも、ステープルの両脚をクラウン部と平行になるように綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げ成形することのできるステープルクリンチャを提供することを課題とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のステープラーのクリンチャ装置は、多数のステープルを収容するとともに該ステープルを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバを備えたドライバユニットから、前記ドライバによって打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合することによって、該テープル脚を綴じ用紙の裏面側で折り曲げるようにしたステープラーのクリンチャ装置において、前記クリンチャ装置のステープル脚と係合してステープル脚を内側に向けて誘導する面に、ステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【０００９】
また、請求項２の発明は、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させることによってステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動クリンチャ部材とから構成され、前記傾斜面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【００１０】
また、請求項３の発明は、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させることによってステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動クリンチャ部材とから構成され、前記クリンチャ部材の押圧面にステープル脚と係合する凸条を互いに平行に複数形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【００１１】
更に、請求項４の発明は、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルの上面に形成されたステープル脚の先端を内側に向けて誘導させるクリンチャ溝によって構成され、該クリンチャ溝の溝底にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、図１乃至図６に示す本発明の第一の実施例に基づいて本発明の実施の形態を説明する。第１図はステープラーのクリンチャユニットに設けられているクリンチャ装置１を示すもので、この実施例におけるクリンチャ装置１は、綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１に向けてクリンチャ部材２が上方へ作動してステープル脚Ｓ１を折り曲げさせるようにした可動のクリンチャ部材を備えたクリンチャ部材２を備えたクリンチャ装置１である。該クリンチャ装置１は、多数のステープルＳを収容するとともに該ステープルＳを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバを備えているドライバユニットと綴じ用紙を挟んで対向して配置されるクリンチャユニットに形成されている。クリンチャ装置１はドライバユニットのステープル打出部と対向して配置されドライバユニットと協働して綴じ用紙を狭持するテーブル３と、該テーブル３に対してステープルＳの打出方向に沿ってスライド可能に配置されているクリンチャ部材２とによって構成されている。
【００１３】
前記テーブル３の上面は綴じ用紙を受ける平らな受け面４が形成されており、該受け面４の中央部にはドライバユニットから打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１を受け入れる開口５が形成されている。該開口５の両側の内側にはステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合して両方のステープル脚Ｓ１を内側に向けて屈曲させるため開口５の両側から内方に向けて下方に傾斜した傾斜面６が形成されており、綴じ用紙を貫通して開口５内に進入したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がこの傾斜面６と係合することによって、両ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が互いに内側に向かうように誘導されて屈曲されるようにしている。上記傾斜面６は、ドライバユニットとクリンチャユニットの位置が多少ずれた場合であっても、綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ１が前記傾斜面６の何れかの位置に降下するように前後方向の寸法が広く形成されている。
【００１４】
クリンチャ部材２は前記開口５内の傾斜面６の内側部分でステープルＳの打ち込み方向に沿ってスライド移動可能に配置されており、図示しない駆動手段によってステープルＳを綴じ用紙に向けて打ち出す打ち込み手段の作動と連動して、ステープルＳの打ち出し後にクリンチャ部材４を下方位置から上方位置へ作動させるようにしている。上記クリンチャ部材２の上端面には前記傾斜面６によって内側に屈曲されたステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合可能な押圧面７が形成されている。上記クリンチャ部材２は、ステープル脚Ｓ１が綴じ用紙を貫通し終えるまでは押圧面７がステープル脚Ｓ１と係合しないように通常時は下方位置に待機されており、ステープル脚Ｓ１が綴じ用紙を貫通したあとに上方へ向けて駆動されて、押圧面７が前記傾斜面６によって内側に屈曲されたステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合して、ステープル脚Ｓ１が綴じ用紙の裏面に当たるまで押し込んでステープル脚Ｓ１を綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げてステープル綴じを行わせる。
【００１５】
前記テーブル３に形成されている傾斜面６には、傾斜面６の傾斜方向に沿った複数の凸条８が互いに平行となるように形成されている。図４に示すように、凸条８は頂部に尖ったエッジ８ａが連続して形成されるように切削加工や研磨加工等によって高さ寸法が０．１ｍｍ程度から数ミクロン程度となるように形成されており、傾斜面６と係合したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が凸条８の頂部と係合することによって凸条８の尖ったエッジ８ａがステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１が凸条８に沿って誘導される。複数の凸条８の間隔は２つ以上の凸条のエッジ８ａが同時にステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に係合するようにステープル脚Ｓ１の線材の幅寸法に併せて設定することが好ましい。
【００１６】
また、前記クリンチャ部材２の押圧面７にもステープルＳのクラウン部Ｓ３とほぼ平行に延びた複数の凸条９が複数条形成されており、クリンチャ部材２が上方へ作動される際に押圧面７と係合されるステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２を誘導するようにしている。このようにテーブル３の傾斜面６とクリンチャ部材２の押圧面７に凸条８、９を形成することによって、この凸条８、９と係合するステープル脚Ｓ１の前後方向の摩擦係数が縦方向の摩擦係数に比べて極端に大きくなり、ステープル脚Ｓ１が前後方向に移動してしまうことが防止される。従って綴じ用紙を貫通して傾斜面６に係合したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が傾斜面６に形成した凸条８に沿って誘導され、更にこの後ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャ部材２の押圧面７に形成された凸条９と係合して凸条９の方向に沿って誘導されることになり、ステープル脚Ｓ１がステープルＳのクラウン部Ｓ３とほぼ平行な方向に屈曲されることになる。
【００１７】
上記実施例によるステープルＳの綴じ作動の状態を図２及び図５により説明する。図２に示すように、ドライバユニットのドライバ１０が駆動されてドライバユニットに装填されているステープルＳが綴じ用紙に向けて打ち出されて、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャユニットに形成されているテーブル３の上面に配置された綴じ用紙を貫通してテーブル３の開口５内へ進入して、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がテーブル３の開口５の両側に形成されている傾斜面６と係合する。図５（ａ）に示すようにドライバ１０によりステープルＳの打ち込みが進行するに伴ってステープル脚Ｓ１は傾斜面６に沿って誘導されて互いに内側に向けて屈曲される。このとき傾斜面６に形成されている凸条８のエッジ８ａがステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２を凸条８に沿って誘導するのでステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が前後方向に移動することが無く、ステープルの倒れが発生しない。
【００１８】
図５（ｂ）に示すようにステープル脚Ｓ１の殆どが綴じ用紙を貫通し終えたときステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２は傾斜面８の下端を越えて更に内側まで屈曲されている。この後クリンチャユニットに設けられている駆動機構によってクリンチャ部材２が下方位置から上方位置へ向けて駆動される。図５（ｃ）に示すように、クリンチャ部材２の押圧面７がステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合してステープル脚Ｓ１を綴じ用紙の裏面へ押しつけるように屈曲させる。このとき、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２はクリンチャ部材２の押圧面７に押圧されて、クリンチャ部材２の押圧面７に形成されている凸条９のエッジ９ａがステープル脚１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が前後方向に移動してしまうのを防止してステープル脚Ｓ１がステープルＳのクラウン部Ｓ３と平行となるように誘導させる。
【００１９】
更に図５（ｄ）に示すように、クリンチャ部材２の押圧面７が綴じ用紙の裏面に当たるまで更に上方へ駆動されてステープル脚Ｓ１を綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げてステープル綴じを行わせる。このとき、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が上方位置へ作動されるクリンチャ部材２の押圧面７に形成した凸条９と係合することによって、ステープル脚Ｓ１の横方向への移動が規制されて両脚Ｓ１がステープルＳのクラウン部Ｓ３と平行な状態に屈曲成型される。
【００２０】
上記実施例では、テーブル３の開口５内に形成した傾斜面６とクリンチャ部材２の押圧面７に形成した各々の凸条８、９の方向を、ステープルＳのクラウン部Ｓ３の幅方向と平行になるように形成しているが、各々の凸条８、９の方向をステープルＳのクラウン部Ｓ３の幅方向に対して少し傾けて形成することにより、ステープル脚Ｓ１の長さが長いステープルＳを使用した場合の両方の脚Ｓ１の交差を回避させるバイパスクリンチ形状に屈曲成形させることが可能となる。又上記実施例においては、テーブル３の開口５内に形成した傾斜面６とクリンチャ部材２の押圧面７に各々凸条８、９を形成しているが、テーブル３の傾斜面６か又はクリンチャ部材２の押圧面７の何れかに凸条を形成するようにしても良い。
【００２１】
次に図６に示す本発明の他の実施例について説明する。前述の実施例では綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１に向けてクリンチャ部材２が上方へ作動してステープル脚Ｓ１を折り曲げさせるようにした可動のクリンチャ部材を備えたクリンチャ装置１に本発明を実施したものであるが、本実施例のクリンチャ装置１１は、ドライバユニットと対向して配置されるクリンチャユニットに設けられている綴じ用紙を載置するテーブル１２に、綴じ用紙を貫通して綴じ用紙の裏面側に突出されてくるステープル脚Ｓ１と係合してステープル脚Ｓ１を内側に向けて屈曲させるためのクリンチャ溝１３が形成されているクリンチャ装置に実施したものである。
【００２２】
図６に示すように、クリンチャユニットに設けられているテーブル１２の上面にステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合してステープル脚Ｓ１を内側に向けて誘導して屈曲させるクリンチャ溝１３が形成されている。通常の場合このクリンチャ溝１３は前後方向の幅がステープルＳの線材の幅寸法と同程度に小さく形成されているものであるが、この実施例においてはステープルＳの線材の寸法よりかなり大きく形成されており、これによりクリンチャユニットとドライバユニットの位置間に多少のずれが生じた場合でも、ドライバユニットから打ち出されるステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャ溝１３内に着地できるようにしている。
【００２３】
上記クリンチャ溝１３の溝底部にはクリンチャ溝１３の方向に沿った複数の凸条１４が互いに平行となるように形成されている。凸条１４は前述の実施例と同様に切削や研磨によって頂部に尖ったエッジ１４ａが連続して形成されるように形成されており、凸条１４の尖ったエッジ１４ａがステープル脚Ｓ１と係合することによって凸条１４のエッジ１４ａがステープル脚Ｓ１に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１が凸条１４に沿って誘導されるようにされている。
【００２４】
以下図７により上記実施例により綴じ用紙を綴じ作動させた状態を説明する。図７（ａ）に示すようにドライバユニットのドライバ１０によって打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がテーブル１２に形成されたクリンチャ溝１３に着地し、更にドライバ１０によりステープルＳの打ち込みが続行されることにより、図７（ｂ）に示すように、両ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２はクリンチャ溝１３に誘導されて互いに内側に向けて屈曲される。このとき、凸条１４の頂部に形成されているエッジ１４ａがステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１が前後方向に移動するのが規制されてステープル脚Ｓ１は凸条１４のエッジ１４ａに沿った方向に誘導されてステープルＳのクラウン部Ｓ３とほぼ平行となる状態に折り曲げられる。更にドライバ１０によるステープルＳの打ち込みが進行すると図７（ｃ）に示すように、ドライバ１０と係合しているステープルＳのクラウン部Ｓ３が綴じ用紙の上面に密着するように押圧され、ステープル脚Ｓ１がクリンチャ溝１３によって綴じ用紙の裏面側に密着するように折り曲げられてステープル綴じが完了する。
【００２５】
【発明の効果】
上記の通り本発明のステープラーのクリンチャ装置によれば、ステープルと係合してステープル脚を内側に向けて誘導するクリンチャ装置の面に、ステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端が凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられる。これによって、ドライバユニットとクリンチャユニット間の位置合わせの許容寸法を大きく設定することができ、調整等に要する時間を短縮することが可能となる。
【００２６】
また、請求項２の発明によれば、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させてステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動のクリンチャ部材とから構成され、前記傾斜面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端が傾斜面に形成された凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、ステープル脚が凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられ、ドライバユニットとクリンチャユニット間の位置合わせの許容寸法を大きく設定することができ、調整等に要する時間を短縮することが可能となる。
【００２７】
また、請求項３の発明によれば、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させてステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動のクリンチャ部材とから構成され、前記クリンチャ部材の押圧面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端がクリンチャ部材の押圧面に形成された凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられ、ドライバユニットとクリンチャユニット間の位置合わせの許容寸法を大きく設定することができ、調整等に要する時間を短縮することが可能となる。
【００２８】
更に、請求項４に記載した発明によれば、クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルの上面に形成されたステープル先端を内側に向けて誘導させるクリンチャ溝によって構成され、該クリンチャ溝の溝底にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端がクリンチャ溝の溝底に形成された凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例にかかるクリンチャ装置を示す斜視図
【図２】図１と同じクリンチャ装置の縦断正面図
【図３】図１と同じクリンチャ装置の平面図
【図４】凸条とステープル脚の先端の係合状態を示す断面図
【図５】図１のクリンチャ装置の作動状態を示すもので、（ａ）ステープル脚が綴じ用紙を貫通した直後の状態、（ｂ）ステープル脚が傾斜面によって屈曲された状態、（ｃ）上方へ作動されたクリンチャ部材によって更にステープル脚が折り曲げられている状態及び（ｄ）ステープル綴じが完了した状態を示す
【図６】本発明の他の実施例によるクリンチャ装置を示す斜視図
【図７】図６の実施例による作動状態を示すもので、（ａ）ステープル脚が綴じ用紙を貫通した直後の状態、（ｂ）ステープル脚がクリンチャ溝によって屈曲されている状態、及び（ｃ）ステープル綴じが完了した状態を示す
【図８】従来のクリンチャ装置による作動状態を示す縦断側面図
【図９】従来のクリンチャ装置によって綴じられたステープルの平面図
【符号の説明】
１ クリンチャ装置
２ クリンチャ部材
３ テーブル
４ 受け面
５ 開口
６ 傾斜面
７ 押圧面
８ 凸条
９ 凸条
１０ ドライバ
１１ クリンチャ装置
１２ テーブル
１３ クリンチャ溝
１４ 凸条
【発明の属する技術分野】
本発明は綴じ用紙を貫通させたステープルの脚部をクリンチャと係合させることによって内側に誘導させて綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げ成形させるようにしたステープラーのクリンチャ装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般のステープラーにおいては、多数のステープルを収容するとともにコ字状に形成されたステープルをドライバによって綴じ用紙に向けて打ち出すドライバユニットと、このドライバユニットと対向して配置され綴じ用紙を貫通したステープルの脚部の先端を綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げ成形するクリンチャユニットとを備えており、両ユニットの間に配置された綴じ用紙に向けてドライバユニットからステープルを打ち出し、綴じ用紙を貫通したステープル脚の先端をクリンチャユニットのクリンチャ装置と係合させてステープル脚を内側へ向けて屈曲させて綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げるようにしている。
【０００３】
ドライバユニットから打ち出されるステープルの先端がクリンチャユニットのクリンチャ装置に正確に係合するようにドライバユニットとクリンチャユニットとが正確に位置決め配置されることが求められているが、コピー機等に組み込まれているステープラーにおいては、ドライバユニットとクリンチャユニットとが分離して構成されており、コピーされた綴じ用紙の任意の箇所を綴じられるように各々のユニットが独立してスライド方向と回動方向へ移動できるように制御される。このように、両ユニットを移動できるように構成するとドライバユニットから打ち出されるステープルの位置とクリンチャユニットのクリンチャ装置との位置ずれが発生して、ドライバユニットから打ち出されたステープルの脚がクリンチャユニットのクリンチャ装置と係合できなくなって綴じ不良を発生することがあり、両ユニットの位置合わせの調整に時間がかかるという問題があった。
【０００４】
また、従来のステープラーのクリンチャ装置においては、ステープル脚の受け面を広く形成するとともに、ステープルの幅とほぼ同じ幅の折曲げ溝を形成したクリンチャ部材を挟んで固定壁を対向させて形成し、該固定壁に綴じ用紙を貫通したステープル脚の先端を前記クリンチャ部材の折曲げ溝内に向けて案内する傾斜面を形成して、綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記傾斜面によってクリンチャの折曲げ溝内へ誘導させるようにしている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
【特許文献１】
実公平６−７８９３号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図８に示すように、上記従来のクリンチャ装置２０では、受け面を広く形成しているのでクリンチャユニットとドライバユニットの間に少しだけのずれが発生した場合でもステープルＳの脚部Ｓ１がクリンチャ装置２０と係合することができるが、ステープル脚Ｓ１を傾斜面２１によってクリンチャ部材２２の折曲げ溝２３内へ誘導させるようにしているので、綴じ用紙を貫通したステープル１のステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャ部材２２によって内側に向けて屈曲される際に、傾斜面２１によって前後方向に誘導されてステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が前後方向に移動してステープルＳが傾斜して倒れてしまい、図９に示すように両脚部Ｓ１がクラウン部と平行にならず傾斜した状態で綴じられてしまうことが発生する。ステープル脚Ｓ１の長いステープルＳを使用した場合には両脚Ｓ１が交差してしまうことが発生する。
【０００７】
本発明は上記従来技術における問題点を解消して、ステープルを打ち出すドライバユニットとステープル脚を折り曲げ成形するクリンチャユニットの位置がずれた場合でも、ステープルの両脚をクラウン部と平行になるように綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げ成形することのできるステープルクリンチャを提供することを課題とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のステープラーのクリンチャ装置は、多数のステープルを収容するとともに該ステープルを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバを備えたドライバユニットから、前記ドライバによって打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合することによって、該テープル脚を綴じ用紙の裏面側で折り曲げるようにしたステープラーのクリンチャ装置において、前記クリンチャ装置のステープル脚と係合してステープル脚を内側に向けて誘導する面に、ステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【０００９】
また、請求項２の発明は、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させることによってステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動クリンチャ部材とから構成され、前記傾斜面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【００１０】
また、請求項３の発明は、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させることによってステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動クリンチャ部材とから構成され、前記クリンチャ部材の押圧面にステープル脚と係合する凸条を互いに平行に複数形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【００１１】
更に、請求項４の発明は、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルの上面に形成されたステープル脚の先端を内側に向けて誘導させるクリンチャ溝によって構成され、該クリンチャ溝の溝底にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、図１乃至図６に示す本発明の第一の実施例に基づいて本発明の実施の形態を説明する。第１図はステープラーのクリンチャユニットに設けられているクリンチャ装置１を示すもので、この実施例におけるクリンチャ装置１は、綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１に向けてクリンチャ部材２が上方へ作動してステープル脚Ｓ１を折り曲げさせるようにした可動のクリンチャ部材を備えたクリンチャ部材２を備えたクリンチャ装置１である。該クリンチャ装置１は、多数のステープルＳを収容するとともに該ステープルＳを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバを備えているドライバユニットと綴じ用紙を挟んで対向して配置されるクリンチャユニットに形成されている。クリンチャ装置１はドライバユニットのステープル打出部と対向して配置されドライバユニットと協働して綴じ用紙を狭持するテーブル３と、該テーブル３に対してステープルＳの打出方向に沿ってスライド可能に配置されているクリンチャ部材２とによって構成されている。
【００１３】
前記テーブル３の上面は綴じ用紙を受ける平らな受け面４が形成されており、該受け面４の中央部にはドライバユニットから打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１を受け入れる開口５が形成されている。該開口５の両側の内側にはステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合して両方のステープル脚Ｓ１を内側に向けて屈曲させるため開口５の両側から内方に向けて下方に傾斜した傾斜面６が形成されており、綴じ用紙を貫通して開口５内に進入したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がこの傾斜面６と係合することによって、両ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が互いに内側に向かうように誘導されて屈曲されるようにしている。上記傾斜面６は、ドライバユニットとクリンチャユニットの位置が多少ずれた場合であっても、綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ１が前記傾斜面６の何れかの位置に降下するように前後方向の寸法が広く形成されている。
【００１４】
クリンチャ部材２は前記開口５内の傾斜面６の内側部分でステープルＳの打ち込み方向に沿ってスライド移動可能に配置されており、図示しない駆動手段によってステープルＳを綴じ用紙に向けて打ち出す打ち込み手段の作動と連動して、ステープルＳの打ち出し後にクリンチャ部材４を下方位置から上方位置へ作動させるようにしている。上記クリンチャ部材２の上端面には前記傾斜面６によって内側に屈曲されたステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合可能な押圧面７が形成されている。上記クリンチャ部材２は、ステープル脚Ｓ１が綴じ用紙を貫通し終えるまでは押圧面７がステープル脚Ｓ１と係合しないように通常時は下方位置に待機されており、ステープル脚Ｓ１が綴じ用紙を貫通したあとに上方へ向けて駆動されて、押圧面７が前記傾斜面６によって内側に屈曲されたステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合して、ステープル脚Ｓ１が綴じ用紙の裏面に当たるまで押し込んでステープル脚Ｓ１を綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げてステープル綴じを行わせる。
【００１５】
前記テーブル３に形成されている傾斜面６には、傾斜面６の傾斜方向に沿った複数の凸条８が互いに平行となるように形成されている。図４に示すように、凸条８は頂部に尖ったエッジ８ａが連続して形成されるように切削加工や研磨加工等によって高さ寸法が０．１ｍｍ程度から数ミクロン程度となるように形成されており、傾斜面６と係合したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が凸条８の頂部と係合することによって凸条８の尖ったエッジ８ａがステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１が凸条８に沿って誘導される。複数の凸条８の間隔は２つ以上の凸条のエッジ８ａが同時にステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に係合するようにステープル脚Ｓ１の線材の幅寸法に併せて設定することが好ましい。
【００１６】
また、前記クリンチャ部材２の押圧面７にもステープルＳのクラウン部Ｓ３とほぼ平行に延びた複数の凸条９が複数条形成されており、クリンチャ部材２が上方へ作動される際に押圧面７と係合されるステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２を誘導するようにしている。このようにテーブル３の傾斜面６とクリンチャ部材２の押圧面７に凸条８、９を形成することによって、この凸条８、９と係合するステープル脚Ｓ１の前後方向の摩擦係数が縦方向の摩擦係数に比べて極端に大きくなり、ステープル脚Ｓ１が前後方向に移動してしまうことが防止される。従って綴じ用紙を貫通して傾斜面６に係合したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が傾斜面６に形成した凸条８に沿って誘導され、更にこの後ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャ部材２の押圧面７に形成された凸条９と係合して凸条９の方向に沿って誘導されることになり、ステープル脚Ｓ１がステープルＳのクラウン部Ｓ３とほぼ平行な方向に屈曲されることになる。
【００１７】
上記実施例によるステープルＳの綴じ作動の状態を図２及び図５により説明する。図２に示すように、ドライバユニットのドライバ１０が駆動されてドライバユニットに装填されているステープルＳが綴じ用紙に向けて打ち出されて、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャユニットに形成されているテーブル３の上面に配置された綴じ用紙を貫通してテーブル３の開口５内へ進入して、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がテーブル３の開口５の両側に形成されている傾斜面６と係合する。図５（ａ）に示すようにドライバ１０によりステープルＳの打ち込みが進行するに伴ってステープル脚Ｓ１は傾斜面６に沿って誘導されて互いに内側に向けて屈曲される。このとき傾斜面６に形成されている凸条８のエッジ８ａがステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２を凸条８に沿って誘導するのでステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が前後方向に移動することが無く、ステープルの倒れが発生しない。
【００１８】
図５（ｂ）に示すようにステープル脚Ｓ１の殆どが綴じ用紙を貫通し終えたときステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２は傾斜面８の下端を越えて更に内側まで屈曲されている。この後クリンチャユニットに設けられている駆動機構によってクリンチャ部材２が下方位置から上方位置へ向けて駆動される。図５（ｃ）に示すように、クリンチャ部材２の押圧面７がステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合してステープル脚Ｓ１を綴じ用紙の裏面へ押しつけるように屈曲させる。このとき、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２はクリンチャ部材２の押圧面７に押圧されて、クリンチャ部材２の押圧面７に形成されている凸条９のエッジ９ａがステープル脚１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が前後方向に移動してしまうのを防止してステープル脚Ｓ１がステープルＳのクラウン部Ｓ３と平行となるように誘導させる。
【００１９】
更に図５（ｄ）に示すように、クリンチャ部材２の押圧面７が綴じ用紙の裏面に当たるまで更に上方へ駆動されてステープル脚Ｓ１を綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げてステープル綴じを行わせる。このとき、ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２が上方位置へ作動されるクリンチャ部材２の押圧面７に形成した凸条９と係合することによって、ステープル脚Ｓ１の横方向への移動が規制されて両脚Ｓ１がステープルＳのクラウン部Ｓ３と平行な状態に屈曲成型される。
【００２０】
上記実施例では、テーブル３の開口５内に形成した傾斜面６とクリンチャ部材２の押圧面７に形成した各々の凸条８、９の方向を、ステープルＳのクラウン部Ｓ３の幅方向と平行になるように形成しているが、各々の凸条８、９の方向をステープルＳのクラウン部Ｓ３の幅方向に対して少し傾けて形成することにより、ステープル脚Ｓ１の長さが長いステープルＳを使用した場合の両方の脚Ｓ１の交差を回避させるバイパスクリンチ形状に屈曲成形させることが可能となる。又上記実施例においては、テーブル３の開口５内に形成した傾斜面６とクリンチャ部材２の押圧面７に各々凸条８、９を形成しているが、テーブル３の傾斜面６か又はクリンチャ部材２の押圧面７の何れかに凸条を形成するようにしても良い。
【００２１】
次に図６に示す本発明の他の実施例について説明する。前述の実施例では綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１に向けてクリンチャ部材２が上方へ作動してステープル脚Ｓ１を折り曲げさせるようにした可動のクリンチャ部材を備えたクリンチャ装置１に本発明を実施したものであるが、本実施例のクリンチャ装置１１は、ドライバユニットと対向して配置されるクリンチャユニットに設けられている綴じ用紙を載置するテーブル１２に、綴じ用紙を貫通して綴じ用紙の裏面側に突出されてくるステープル脚Ｓ１と係合してステープル脚Ｓ１を内側に向けて屈曲させるためのクリンチャ溝１３が形成されているクリンチャ装置に実施したものである。
【００２２】
図６に示すように、クリンチャユニットに設けられているテーブル１２の上面にステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２と係合してステープル脚Ｓ１を内側に向けて誘導して屈曲させるクリンチャ溝１３が形成されている。通常の場合このクリンチャ溝１３は前後方向の幅がステープルＳの線材の幅寸法と同程度に小さく形成されているものであるが、この実施例においてはステープルＳの線材の寸法よりかなり大きく形成されており、これによりクリンチャユニットとドライバユニットの位置間に多少のずれが生じた場合でも、ドライバユニットから打ち出されるステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がクリンチャ溝１３内に着地できるようにしている。
【００２３】
上記クリンチャ溝１３の溝底部にはクリンチャ溝１３の方向に沿った複数の凸条１４が互いに平行となるように形成されている。凸条１４は前述の実施例と同様に切削や研磨によって頂部に尖ったエッジ１４ａが連続して形成されるように形成されており、凸条１４の尖ったエッジ１４ａがステープル脚Ｓ１と係合することによって凸条１４のエッジ１４ａがステープル脚Ｓ１に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１が凸条１４に沿って誘導されるようにされている。
【００２４】
以下図７により上記実施例により綴じ用紙を綴じ作動させた状態を説明する。図７（ａ）に示すようにドライバユニットのドライバ１０によって打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２がテーブル１２に形成されたクリンチャ溝１３に着地し、更にドライバ１０によりステープルＳの打ち込みが続行されることにより、図７（ｂ）に示すように、両ステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２はクリンチャ溝１３に誘導されて互いに内側に向けて屈曲される。このとき、凸条１４の頂部に形成されているエッジ１４ａがステープル脚Ｓ１の先端Ｓ２に食い込むように作用してステープル脚Ｓ１が前後方向に移動するのが規制されてステープル脚Ｓ１は凸条１４のエッジ１４ａに沿った方向に誘導されてステープルＳのクラウン部Ｓ３とほぼ平行となる状態に折り曲げられる。更にドライバ１０によるステープルＳの打ち込みが進行すると図７（ｃ）に示すように、ドライバ１０と係合しているステープルＳのクラウン部Ｓ３が綴じ用紙の上面に密着するように押圧され、ステープル脚Ｓ１がクリンチャ溝１３によって綴じ用紙の裏面側に密着するように折り曲げられてステープル綴じが完了する。
【００２５】
【発明の効果】
上記の通り本発明のステープラーのクリンチャ装置によれば、ステープルと係合してステープル脚を内側に向けて誘導するクリンチャ装置の面に、ステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端が凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられる。これによって、ドライバユニットとクリンチャユニット間の位置合わせの許容寸法を大きく設定することができ、調整等に要する時間を短縮することが可能となる。
【００２６】
また、請求項２の発明によれば、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させてステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動のクリンチャ部材とから構成され、前記傾斜面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端が傾斜面に形成された凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、ステープル脚が凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられ、ドライバユニットとクリンチャユニット間の位置合わせの許容寸法を大きく設定することができ、調整等に要する時間を短縮することが可能となる。
【００２７】
また、請求項３の発明によれば、前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させてステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動のクリンチャ部材とから構成され、前記クリンチャ部材の押圧面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端がクリンチャ部材の押圧面に形成された凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられ、ドライバユニットとクリンチャユニット間の位置合わせの許容寸法を大きく設定することができ、調整等に要する時間を短縮することが可能となる。
【００２８】
更に、請求項４に記載した発明によれば、クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルの上面に形成されたステープル先端を内側に向けて誘導させるクリンチャ溝によって構成され、該クリンチャ溝の溝底にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成しているので、ステープル脚の先端がクリンチャ溝の溝底に形成された凸条と係合することによって前後方向の摩擦抵抗が大きくなって前後方向へ移動することが規制され、凸条の方向に沿って誘導されて折り曲げられるようになる。従って、クリンチャ装置の前後方向の寸法を大きく形成してもステープルの倒れ等が発生することが無くステープル脚がクラウン部とほぼ平行な状態に綴じられる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例にかかるクリンチャ装置を示す斜視図
【図２】図１と同じクリンチャ装置の縦断正面図
【図３】図１と同じクリンチャ装置の平面図
【図４】凸条とステープル脚の先端の係合状態を示す断面図
【図５】図１のクリンチャ装置の作動状態を示すもので、（ａ）ステープル脚が綴じ用紙を貫通した直後の状態、（ｂ）ステープル脚が傾斜面によって屈曲された状態、（ｃ）上方へ作動されたクリンチャ部材によって更にステープル脚が折り曲げられている状態及び（ｄ）ステープル綴じが完了した状態を示す
【図６】本発明の他の実施例によるクリンチャ装置を示す斜視図
【図７】図６の実施例による作動状態を示すもので、（ａ）ステープル脚が綴じ用紙を貫通した直後の状態、（ｂ）ステープル脚がクリンチャ溝によって屈曲されている状態、及び（ｃ）ステープル綴じが完了した状態を示す
【図８】従来のクリンチャ装置による作動状態を示す縦断側面図
【図９】従来のクリンチャ装置によって綴じられたステープルの平面図
【符号の説明】
１ クリンチャ装置
２ クリンチャ部材
３ テーブル
４ 受け面
５ 開口
６ 傾斜面
７ 押圧面
８ 凸条
９ 凸条
１０ ドライバ
１１ クリンチャ装置
１２ テーブル
１３ クリンチャ溝
１４ 凸条
Claims (4)
- 多数のステープルを収容するとともに該ステープルを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバを備えたドライバユニットから、前記ドライバによって打ち出されて綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合することによって、該ステープル脚を綴じ用紙の裏面側で折り曲げるようにしたステープラーのクリンチャ装置において、前記クリンチャ装置のステープル脚と係合してステープル脚を内側に向けて誘導する面に、ステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とするステープラーのクリンチャ装置。
- 前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させることによってステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動クリンチャ部材とから構成され、前記傾斜面にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする請求項１に記載のステープラーのクリンチャ装置。
- 前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルにステープル脚と係合してステープル脚を内側に屈曲させる傾斜面を備えるとともに、下方位置から上方位置へ作動することによって前記傾斜面によって屈曲されたステープル脚と押圧面を係合させることによってステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って屈曲させる可動クリンチャ部材とから構成され、前記クリンチャ部材の押圧面にステープル脚と係合する凸条を互いに平行に複数形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする請求項１に記載のステープラーのクリンチャ装置。
- 前記クリンチャ装置が、綴じ用紙を支持するテーブルの上面に形成されたステープル脚の先端を内側に向けて誘導させるクリンチャ溝によって構成され、該クリンチャ溝の溝底にステープル脚と係合する複数の凸条を互いに平行に形成し、該凸条によってステープル脚を内側へ誘導させるようにしたことを特徴とする請求項１に記載のステープラーのクリンチャ装置。
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