JP2004230482A - ホッチキス - Google Patents
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Abstract
【課題】クリンチャガイド１８の前方への移動を規制して、クリンチ形状のバラ付き等の綴じ不良をなくし、均一かつ安定したクリンチ動作を行なわせる。
【解決手段】綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と、綴じ用紙を貫通したステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて折曲させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイド１８と、クリンチャガイド１８を上方位置に支持する前方位置とクリンチャガイド１８を下方位置へ移動可能にする後方位置との間でスライド可能なスライド部材１９との間に付勢手段２９を介在させ、該付勢手段２９によって前記スライド部材１９を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイド１８を後方へ向けて移動付勢させる。
【選択図】 図１
【解決手段】綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と、綴じ用紙を貫通したステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて折曲させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイド１８と、クリンチャガイド１８を上方位置に支持する前方位置とクリンチャガイド１８を下方位置へ移動可能にする後方位置との間でスライド可能なスライド部材１９との間に付勢手段２９を介在させ、該付勢手段２９によって前記スライド部材１９を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイド１８を後方へ向けて移動付勢させる。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マガジン内に装填された先頭のステープルをドライバによってマガジンから綴じ用紙に向けて打ち出し、綴じ用紙を貫通したステープルの脚部を綴じ用紙の裏面に沿って折曲することによって、綴じ用紙を綴じるようにしたホッチキスに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ステープルの脚を綴じ用紙に略貫通させた後に、その脚部をクリンチャと係合させることによって綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げて綴じるようにしたホッチキスが知られている。この種のホッチキスにおいては、多数のステープルを収容したマガジンと該マガジン内のステープルを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバ及び綴じ用紙を貫通したステープル脚を折り曲げるクリンチャアームとが後端部において回動若しくは移動可能に連結されており、前記クリンチャアームには綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してこれを折曲させるクリンチャと、前端部に前記クリンチャを案内させるガイド孔が形成されるとともに前記クリンチャアームに対して移動自在に保持されたクリンチャガイドが設けられている。このクリンチャガイドによってマガジンからドライバによって打ち出されるステープルの脚のほぼ全部が綴じ用紙を貫通し終わるまで綴じ用紙の下面を上方位置に支持させ、ステープル脚のほぼ全部が綴じ用紙を貫通したときに前記クリンチャガイドを下方位置に移動させてステープル脚をクリンチャと係合させることによりステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げるようにしている。
【０００３】
そして、上記クリンチャガイドの先端部を上方位置に保持するとともに所定のタイミングで前記クリンチャガイドを下方位置へ揺動可能にする機構が必要であり、従来の機構は、前記クリンチャガイドをバネによって上方位置へ向かって回動付勢させるとともに、前記クリンチャガイドとクリンチャアームの間にスライド部材を設け、このスライド部材を、クリンチャガイドとクリンチャアームとの間に介在してクリンチャガイドを上方位置に支持する係合位置とクリンチャガイドを前記バネに抗して下方位置への移動を許容する非係合位置との間でスライド可能に設け、このスライド部材を前記係合位置へ向けて付勢バネによって押圧付勢させるとともに、通常時には付勢バネによる付勢力によって前記係合位置に配置されたスライド部材を、前記ハンドル部材のステープル打出し動作に応答して所定のタイミングで前記非係合位置へスライド移動させるようにしている（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
【特許文献１】実公平６−５０１４５号公報
【０００５】
上記従来技術では、前記スライド部材を係合位置から非係合位置へ作動させるために、ドライバに回動自在に枢支したリンク部材を設け、該リンク部材をステープルの綴じ操作に伴うマガジンとドライバ間の相対回動によって回動させて、このリンク部材の下端部によって前記スライド部材を係合位置から非係合位置へ作動させるようにしている。即ち、マガジンがクリンチャガイドの上面に載置された綴じ用紙に向けて回動し、更にドライバが回動してマガジン内のステープルがドライバによって綴じ用紙に向けて打ち出されるステープル綴じ動作の適宜のタイミングで、前記リンク部材がスライド部材を非係合位置へスライド作動させて、クリンチャガイドの下降が許容されることによりマガジン及びドライバと一緒にクリンチャガイドが下方位置に作動してステープル脚のクリンチ動作がなされる構成となっている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来のホッチキスにあっては、マガジンはマガジンとベースの支持板間に介在されたコイルバネによって上方へ回動付勢されており、一方のドライバはマガジンとドライバとの間に介在されている板状バネ片によってマガジンに対して上方へ回動付勢されて設けられている。そして、マガジンが回動される以前にドライバによってマガジン内のステープルがマガジン内から打ち出されてしまうことがないように上記コイルバネによるマガジンの付勢力よりも板状バネ片によるドライバの付勢力の方が強く設定されている。一方前記リンク部材は前記ドライバとマガジンの相対回動に伴って回動作動されるようにしており、ドライバの押下回動操作によって板状バネ片を介してマガジンがクリンチャガイドに当接するまで回動されて停止され、このマガジンに対してドライバが回動作動することによりマガジン内のステープルが打ち出されるとともに前記リンク部材が回動され、ステープルの脚が綴じ用紙を貫通した後にスライド部材を非係合位置へ作動させるようにしている。
【０００７】
スライド部材が非係合位置へ作動することによって、ドライバの板状バネ片によって押下されているマガジンがクリンチャガイドを下方へ押圧させてクリンチャガイドを下方位置へ移動させる。この際に、板状バネ片によって押圧されているマガジンがドライバより先行して回動されてしまうためマガジンとドライバ間の相対角度が開きリンク部材の下端部がスライド部材と離れてしまう現象が発生する。このため、スライド部材が付勢バネの作用で前方へ戻され、このスライド部材の前方移動に伴ってクリンチャガイドが押圧移動されて前方へ移動してしまうことがある。これによって、クリンチャガイドの上面に載置されている綴じ用紙とともにステープルの脚が前方へ移動されて脚先端がクリンチャの上面に形成されているクリンチャ溝から外れてクリンチャガイドとの間に進入したりして綴じ不良が発生することがある。
【０００８】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消して、スライド部材が前方へ移動されてもクリンチャガイドが前方に移動することが防止でき、クリンチ形状のバラ付き等の綴じ不良をなくし、均一かつ安定したクリンチ動作を行なうことができるホッチキスを提供することを課題とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のホッチキスは、多数のステープルを収容するマガジン部と、該マガジン部に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部及び、前記マガジンから打ち出されたステープルの脚を折曲させるクリンチャ部を備えたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させるとともに、前記クリンチャ部が、綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してステープル脚を折り曲げ成型するクリンチャと、綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記クリンチャに当接させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイドと、前記クリンチャガイドを上方位置に保持する前方位置とクリンチャガイドを下方へ移動可能とする後方位置との間でスライド可能なスライド部材とにより構成され、綴り用紙を貫通したステープルの脚部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるようにしたホッチキスにおいて、前記クリンチャガイドとスライド部材との間に付勢手段を介在させ、該付勢手段によって前記スライド部材を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイドを後方へ向けて移動付勢させるようにしたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例に従って本発明の実施の形態を説明する。図１は本発明のホッチキスの実施例を示すもので、該ホッチキス１は、多数のステープルを収容可能にされているマガジン部２と、前記マガジン部２内に装填されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部３、及び前記マガジン部２から打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるクリンチャ部４を先端側に備えたクリンチャアーム５及び、上記ハンドル部３を操作する操作アーム６によって構成されており、前記マガジン部２とハンドル部３はそれぞれの後端部において前記クリンチャアーム５に支持軸７によって回動自在に支持されている。
【００１１】
マガジン部２は、多数のステープルを収容するため箱状に形成されるとともに前端部にステープルを綴じ用紙に向けて打ち出す打出口８が形成されたマガジン９と、このマガジン９内に装填されたステープルを前記打出口８に向けて押圧付勢するプッシャ１０及び前記マガジン９の開口されている上部を覆うように配置された針カバー１１によって構成されている。マガジン９内に装填されたステープルは前記プッシャ１０によってマガジン９の前方へ押圧供給されて先頭のステープルが前記打出口８に配置されるようにされている。該マガジン９は前記クリンチャアーム５との間に介在されたコイルバネ１２によって先端部が上方へ向かう方向に回動付勢されている。
【００１２】
ハンドル部３には前記マガジン９の打出口８と対向するように配置されたドライバ１３が設けられており、マガジン部２に対してハンドル部３が回動されることによって前記ドライバ１３がマガジン９内の先頭のステープルを打出口８から打ち出すようにされている。該ハンドル部３は前記ドライバ１３の後方に一体に形成されている板状バネ片１４を前記マガジン部２の針カバー１１の上面に当接させることによってマガジン部２に対して先端が上方へ向かう方向に回動付勢されている。このハンドル部３の上方に配置されている操作アーム６を押下操作することによってハンドル部３が回動されこのハンドル部３の回動によって前記板状バネ片１４を介してマガジン部２も回動されるようにされており、ハンドル部３がマガジン部２に対して相対的に回動することによってドライバ１３がマガジン部２のステープルを打ち出すようにされている。
【００１３】
前記クリンチャアーム５は金属製の板材を断面がコ字形となるように折り曲げ成型して形成されており、このクリンチャアーム５の両側面と下面とを覆うようにクリンチャアーム５と一体に組み付けられたアームカバー１５を備えている。更に前記クリンチャアーム５の前方上面には、綴じ用紙を貫通したステープルの脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて平坦に折り曲げるクリンチャ部４が形成されている。該クリンチャ部４は、綴じ用紙を貫通したステープルの脚と係合してステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて平坦に折り曲げさせる板状に形成されたクリンチャ１６と、このクリンチャ１６を収容する開口１７が形成されるとともにクリンチャアーム５に対して揺動可能に支持されているクリンチャガイド１８、及び、該クリンチャガイド１８とクリンチャアーム５の間に配置されクリンチャアーム５の前後方向に沿ってスライド可能に支持されているスライド部材１９とによって構成されている。
【００１４】
前記クリンチャ１６は、上端面にステープルの脚部と係合して脚部を綴じ用紙の裏面に沿って互いに内側に向けて折り曲げるように誘導させるクリンチャ溝２０が形成されており、前記アームカバー１５の前端部分の側面に形成された溝に収容されて上下方向に移動できるように配置され、クリンチャ１６とアームカバー１５の底面との間に介在されているバネ２２によって上方へ向けて付勢されている。
【００１５】
クリンチャガイド１８は後端下面側に突出形成された係合爪２３がクリンチャアーム５の底壁に形成された開口２４の前方に向いた縁に係合されてクリンチャアーム５に対して揺動可能に支持されており、該クリンチャガイド１８の先端部には前記クリンチャ１６を収容する開口１７が形成されている。クリンチャガイド１８は後方下端部が揺動支点となって前記開口部１７がクリンチャ１６に沿って上下方向に揺動できるようにされており、このクリンチャガイド１８の下面とクリンチャアーム５の底壁との間に介在されたバネ２５によってクリンチャガイド１８の先端側が上方へ向く方向へ回動付勢されている。該クリンチャガイド１８の両側面に形成された突起２６がクリンチャアーム５の側壁の前端に形成されている突片２７と係合することによって上方への回動位置が規制されており、前記突起２６が突片２７の下方に形成された誘導面２８と当接して下方に誘導されることによってクリンチャガイド１８の開口１７がクリンチャ１６に沿ってほぼ垂直方向に揺動されるようにされている。
【００１６】
前記クリンチャガイド１８の底壁の上面とクリンチャアーム５との間に配置されているスライド部材１９は、下面側に突出形成された爪片２８がクリンチャアーム５の底壁に形成された開口２４の縁部と係合されることによって底壁に沿って前後方向にスライド可能に支持されるとともに、スライド部材１９の後部壁の後面に配置された付勢手段２９によって前方に向けて付勢されている。該スライド部材１９は前記付勢手段２９の弾力によってスライド方向の前方に配置されているときスライド部材１９の前端部に形成された支持部１９ａ（図２参照）がクリンチャガイド１８の下面に進入してクリンチャガイド１８が下方向へ揺動するのを阻止しており、この状態でクリンチャガイド１８はクリンチャアーム５に対して上方位置に保持され綴じ用紙を上方位置で支持するようにしている。クリンチャ１６の上端面のクリンチャ溝２０がクリンチャガイド１８に形成された開口２５の上端縁に臨んだ位置に配置されている。このスライド部材１９が前記付勢手段２９の付勢力に抗してスライド方向の後方側へ移動されると、前記支持部１９ａがクリンチャガイド１８の下面から離れてクリンチャガイド１８の先端部が下方向へ揺動可能な状態になる。
【００１７】
前記ハンドル部３には、Ｌ字状のリンク部材３０の一端部が軸部３１を介して枢支されている。このリンク部材３０はその中央折曲部３０ａが前記マガジン９の上面を覆っている針カバー１１の上面に摺接係合されており、このリンク部材３０の下方に延びた他端部３０ｂが前記スライド部材１９の側面に形成されている係合片１９ｂに係合可能に対応している。このリンク部材３０は、ドライバ１３によりマガジン２内のステープルを打出口８から打ち出すためハンドル部３がマガジン部２に対して相対的に回動することにより、中央折曲部３０ａを支点として回動され、他端部３０ｂがスライド部材１９の係合片１９ｂを後方側へ押圧させてスライド部材１９を付勢手段２９の付勢力に抗して後方へスライド移動させるようになっている。
【００１８】
図３及び図４に示すように、前記スライド部材１９をスライド方向の前方へ向けてスライド付勢させている付勢手段２９は圧縮コイルバネにより構成されており、該付勢手段２９の一端が前記スライド部材１９の後端に形成されている後壁１９ｃの後方側の面に当接されており、該付勢手段２９の他端が前記クリンチャガイド１８の後端に形成された後壁１８ａの前方面に当接されて配置されている。この付勢手段２９によってスライド部材１９が前記クリンチャガイド１８を上方位置に支持する前方位置へ向けてスライド付勢されるとともに、クリンチャガイド１８を後方へ向けて揺動付勢されている。
【００１９】
通常時には前記スライド部材１９は下面に形成されている爪片２８がクリンチャアーム５の底壁に形成されている開口２４の前端縁２４ａと当接して前方のスライド位置が規制されており、この位置で支持面１９ａがクリンチャガイド１８下面に進入してクリンチャガイドを上方位置に支持している。また、クリンチャガイド１８は両側面に形成された突起２６がクリンチャアーム５に形成されている誘導面２８と当接することによって後方への揺動が規制されている。このようにスライド部材１９とクリンチャガイド１８の間に付勢手段２９を介在させて両部材１８、１９を付勢手段２９によって互いに反発する方向に付勢させているので、前方へ向けて付勢されているスライド部材１９が下方へ揺動したクリンチャガイド１８と当接しても付勢手段２９による付勢力が相殺されて、クリンチャガイド１８を前方に移動させる作用が全く発生しないので、クリンチャガイド１８が前方へ移動することがなく、クリンチャガイド１８とともに綴じ用紙及び綴じ用紙を貫通したステープル脚がクリンチャ１６に対して前方へ移動することが防止できる。
【００２０】
以下図５乃至図８に基づいて上記実施例の作動を説明する。図５に示すように、クリンチャガイド１８の上面に綴じ用紙を挿入して操作アーム６を押下操作すると、ハンドル部３が回動されてハンドル部３の板状バネ片１４を介してマガジン部２が押下回動されて、マガジン９の下面とクリンチャガイド１８の間で綴じ用紙を狭持する。この時点ではクリンチャガイド１８の下面側にはスライド部材１９が進入してクリンチャガイド１８を上方位置に保持しているので、綴じ用紙が上方位置で支持されるとともにマガジン部２の回動が停止されてハンドル部３が更に回動されることによってハンドル部３のドライバ１３によってマガジン９内の先頭のステープルが綴じ用紙に向けて打ち出される。
【００２１】
図６に示すように、ドライバ１３によってマガジン９内から打ち出されたステープルの脚が綴じ用紙を貫通してクリンチャ１６と当接しクリンチャ１６をバネ２２に抗して押し下げる。このクリンチャ１６を上方へ付勢させているバネ２２は極めて弱いものでこの時点ではステープル脚を折曲させる作用は行われない。ドライバ１３によりステープルの脚のほぼ全部が綴じ用紙を貫通した位置まで打ち出されたタイミングの時、ハンドル部３とマガジン部２の回動によってリンク部材３０が回動されてリンク部材３０の他端部３０ｂがスライド部材１９の係合片１９ｂと係合してスライド部材１９を付勢手段２９の弾力に抗して後方へスライド移動させる。スライド部材１９の移動によって支持部１９ａがクリンチャガイド１８の下面から後方側へ移動してクリンチャガイド１８の下方向への回動が許容される。
【００２２】
クリンチャガイド１８を上方位置へ支持していたスライド部材１９が後方へ移動した時点で板状バネ片１４を介して下方へ押下付勢されていたマガジン部２が、板状バネ片１４の弾力によりクリンチャガイド１８を下方へ押圧させながら下方へ回動される。このとき図７に示すように、操作アーム６の押下操作によって回動されているハンドル部３の回動がマガジン部２の回動に追従できずマガジン部２とハンドル部３の相対回動角度が開いてリンク部材３０の回動が戻されて、リンク部材３０の他端部３０ｂとスライド部材１９の係合片１９ｂとが離反されてしまうことがある。
【００２３】
この現象によってスライド部材１９はスライド部材１９の後壁１９ｃの後面に作用している付勢手段２９の作用によって前方へ移動してスライド部材１９の前端面がクリンチャガイド１８と当接してクリンチャガイド１８を前方に押圧させようとするが、この付勢手段２９の他端側は前記クリンチャガイド１８の後壁１８ａの前方面に当接されてクリンチャガイド１８を後方へ揺動させるように付勢しており、このクリンチャガイド１８を後方へ向けて付勢している力と前記スライド部材１９を前方へ付勢させている力が相殺されるので、クリンチャガイド１８は前方へは移動されず、従ってクリンチャガイド１８の上面に載置されている綴じ用紙も前方へ移動されることが無く綴じ用紙を貫通したステープルの脚先端がクリンチャ１６のクリンチャ溝２０から逸脱することが防止できる。
【００２４】
この後、図８に示すように操作アーム６の押下操作によってハンドル部３が更に回動されてクリンチャガイドが更に下方へ揺動されて、ドライバ１３によって打ち出されるステープルの先端がクリンチャ１６のクリンチャ溝２０と係合されてステープルの脚を綴じ用紙の裏面に沿って平坦に折り曲げてステープル綴じが完了する。
【００２５】
上記実施例では、スライド部材１９の後壁１９ｃの後面とクリンチャガイド１８の後壁１８ａの前面との間に圧縮コイルバネ状の付勢手段２９を介在させることにより、スライド部材１９とクリンチャガイド１８とを互いに反発させるように構成しているが、付勢手段２９を配置する箇所は必ずしもスライド部材１９の後壁１９ｃとクリンチャガイド１８の後壁１８ａとの間に介装させる必要はなく、更に、付勢手段２９は圧縮コイルバネに限定されるものではなく、クリンチャガイド１８とスライド部材１９との間に両部材を互いに反対方向に向けて付勢させる他の付勢手段を介在させることによって本発明を実施することが可能である。
【００２６】
【発明の効果】
上記本発明によれば、多数のステープルを収容するマガジン部と、該マガジン部に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部及び、前記マガジンから打ち出されたステープルの脚を折曲させるクリンチャ部を備えたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させるとともに、前記クリンチャ部が、綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してステープル脚を折り曲げ成型するクリンチャと、綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記クリンチャに当接させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイドと、前記クリンチャガイドを上方位置に保持する前方位置とクリンチャガイドを下方へ移動可能とする後方位置との間でスライド可能なスライド部材とにより構成され、綴り用紙を貫通したステープルの脚部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるようにしたホッチキスにおいて、前記クリンチャガイドとスライド部材との間に付勢手段を介在させ、該付勢手段によって前記スライド部材を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイドを後方へ向けて移動付勢させるようにしているので、スライド部材が前方へ戻されてクリンチャガイドと当接してもクリンチャガイドを後方へ向けて付勢している力とスライド部材を前方へ付勢させている力が相殺されるので、クリンチャガイドを前方へ移動させる作用力が発生せず、従ってクリンチャガイドは前方へは移動されずこの上面に載置されている綴じ用紙とステープルの脚先端も前方へ移動されることが無く、綴じ用紙を貫通したステープルの脚先端がクリンチャのクリンチャ溝から逸脱することが防止できる。従ってステープルの脚先端がクリンチャのクリンチャ溝から外れたりしてクリンチ不良を発生することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例にかかるホッチキスの縦断側面図
【図２】図１と同じホッチキスのクリンチャガイドとスライド部材の斜視図
【図３】図２と同じクリンチャガイドとスライド部材の下面側を示す斜視図
【図４】図１と同じホッチキスのクリンチャ部を拡大した一部断面図
【図５】マガジン部とクリンチャガイドとの間で綴じ用紙を狭持した状態の作動状態を示す縦断側面図
【図６】ステープルが綴じ用紙に打ち出された状態の作動状態を示す縦断側面図
【図７】クリンチャガイドが下方に揺動した状態の作動状態を示す縦断側面図
【図８】ステープル綴じが完了した状態の作動状態を示す縦断側面図
【符号の説明】
１ ホッチキス
２ マガジン部
３ ハンドル部
４ クリンチャ部
５ クリンチャアーム
９ マガジン
１４ 板状バネ片
１６ クリンチャ
１８ クリンチャガイド
１８ａ 後壁
１９ スライド部材
１９ｃ 後壁
２９ 付勢手段
３０ リンク部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、マガジン内に装填された先頭のステープルをドライバによってマガジンから綴じ用紙に向けて打ち出し、綴じ用紙を貫通したステープルの脚部を綴じ用紙の裏面に沿って折曲することによって、綴じ用紙を綴じるようにしたホッチキスに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ステープルの脚を綴じ用紙に略貫通させた後に、その脚部をクリンチャと係合させることによって綴じ用紙の裏面に沿わせて折り曲げて綴じるようにしたホッチキスが知られている。この種のホッチキスにおいては、多数のステープルを収容したマガジンと該マガジン内のステープルを綴じ用紙に向けて打ち出すドライバ及び綴じ用紙を貫通したステープル脚を折り曲げるクリンチャアームとが後端部において回動若しくは移動可能に連結されており、前記クリンチャアームには綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してこれを折曲させるクリンチャと、前端部に前記クリンチャを案内させるガイド孔が形成されるとともに前記クリンチャアームに対して移動自在に保持されたクリンチャガイドが設けられている。このクリンチャガイドによってマガジンからドライバによって打ち出されるステープルの脚のほぼ全部が綴じ用紙を貫通し終わるまで綴じ用紙の下面を上方位置に支持させ、ステープル脚のほぼ全部が綴じ用紙を貫通したときに前記クリンチャガイドを下方位置に移動させてステープル脚をクリンチャと係合させることによりステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿って折り曲げるようにしている。
【０００３】
そして、上記クリンチャガイドの先端部を上方位置に保持するとともに所定のタイミングで前記クリンチャガイドを下方位置へ揺動可能にする機構が必要であり、従来の機構は、前記クリンチャガイドをバネによって上方位置へ向かって回動付勢させるとともに、前記クリンチャガイドとクリンチャアームの間にスライド部材を設け、このスライド部材を、クリンチャガイドとクリンチャアームとの間に介在してクリンチャガイドを上方位置に支持する係合位置とクリンチャガイドを前記バネに抗して下方位置への移動を許容する非係合位置との間でスライド可能に設け、このスライド部材を前記係合位置へ向けて付勢バネによって押圧付勢させるとともに、通常時には付勢バネによる付勢力によって前記係合位置に配置されたスライド部材を、前記ハンドル部材のステープル打出し動作に応答して所定のタイミングで前記非係合位置へスライド移動させるようにしている（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
【特許文献１】実公平６−５０１４５号公報
【０００５】
上記従来技術では、前記スライド部材を係合位置から非係合位置へ作動させるために、ドライバに回動自在に枢支したリンク部材を設け、該リンク部材をステープルの綴じ操作に伴うマガジンとドライバ間の相対回動によって回動させて、このリンク部材の下端部によって前記スライド部材を係合位置から非係合位置へ作動させるようにしている。即ち、マガジンがクリンチャガイドの上面に載置された綴じ用紙に向けて回動し、更にドライバが回動してマガジン内のステープルがドライバによって綴じ用紙に向けて打ち出されるステープル綴じ動作の適宜のタイミングで、前記リンク部材がスライド部材を非係合位置へスライド作動させて、クリンチャガイドの下降が許容されることによりマガジン及びドライバと一緒にクリンチャガイドが下方位置に作動してステープル脚のクリンチ動作がなされる構成となっている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来のホッチキスにあっては、マガジンはマガジンとベースの支持板間に介在されたコイルバネによって上方へ回動付勢されており、一方のドライバはマガジンとドライバとの間に介在されている板状バネ片によってマガジンに対して上方へ回動付勢されて設けられている。そして、マガジンが回動される以前にドライバによってマガジン内のステープルがマガジン内から打ち出されてしまうことがないように上記コイルバネによるマガジンの付勢力よりも板状バネ片によるドライバの付勢力の方が強く設定されている。一方前記リンク部材は前記ドライバとマガジンの相対回動に伴って回動作動されるようにしており、ドライバの押下回動操作によって板状バネ片を介してマガジンがクリンチャガイドに当接するまで回動されて停止され、このマガジンに対してドライバが回動作動することによりマガジン内のステープルが打ち出されるとともに前記リンク部材が回動され、ステープルの脚が綴じ用紙を貫通した後にスライド部材を非係合位置へ作動させるようにしている。
【０００７】
スライド部材が非係合位置へ作動することによって、ドライバの板状バネ片によって押下されているマガジンがクリンチャガイドを下方へ押圧させてクリンチャガイドを下方位置へ移動させる。この際に、板状バネ片によって押圧されているマガジンがドライバより先行して回動されてしまうためマガジンとドライバ間の相対角度が開きリンク部材の下端部がスライド部材と離れてしまう現象が発生する。このため、スライド部材が付勢バネの作用で前方へ戻され、このスライド部材の前方移動に伴ってクリンチャガイドが押圧移動されて前方へ移動してしまうことがある。これによって、クリンチャガイドの上面に載置されている綴じ用紙とともにステープルの脚が前方へ移動されて脚先端がクリンチャの上面に形成されているクリンチャ溝から外れてクリンチャガイドとの間に進入したりして綴じ不良が発生することがある。
【０００８】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消して、スライド部材が前方へ移動されてもクリンチャガイドが前方に移動することが防止でき、クリンチ形状のバラ付き等の綴じ不良をなくし、均一かつ安定したクリンチ動作を行なうことができるホッチキスを提供することを課題とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のホッチキスは、多数のステープルを収容するマガジン部と、該マガジン部に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部及び、前記マガジンから打ち出されたステープルの脚を折曲させるクリンチャ部を備えたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させるとともに、前記クリンチャ部が、綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してステープル脚を折り曲げ成型するクリンチャと、綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記クリンチャに当接させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイドと、前記クリンチャガイドを上方位置に保持する前方位置とクリンチャガイドを下方へ移動可能とする後方位置との間でスライド可能なスライド部材とにより構成され、綴り用紙を貫通したステープルの脚部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるようにしたホッチキスにおいて、前記クリンチャガイドとスライド部材との間に付勢手段を介在させ、該付勢手段によって前記スライド部材を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイドを後方へ向けて移動付勢させるようにしたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例に従って本発明の実施の形態を説明する。図１は本発明のホッチキスの実施例を示すもので、該ホッチキス１は、多数のステープルを収容可能にされているマガジン部２と、前記マガジン部２内に装填されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部３、及び前記マガジン部２から打ち出されて綴り用紙を貫通したステープルの脚部先端部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるクリンチャ部４を先端側に備えたクリンチャアーム５及び、上記ハンドル部３を操作する操作アーム６によって構成されており、前記マガジン部２とハンドル部３はそれぞれの後端部において前記クリンチャアーム５に支持軸７によって回動自在に支持されている。
【００１１】
マガジン部２は、多数のステープルを収容するため箱状に形成されるとともに前端部にステープルを綴じ用紙に向けて打ち出す打出口８が形成されたマガジン９と、このマガジン９内に装填されたステープルを前記打出口８に向けて押圧付勢するプッシャ１０及び前記マガジン９の開口されている上部を覆うように配置された針カバー１１によって構成されている。マガジン９内に装填されたステープルは前記プッシャ１０によってマガジン９の前方へ押圧供給されて先頭のステープルが前記打出口８に配置されるようにされている。該マガジン９は前記クリンチャアーム５との間に介在されたコイルバネ１２によって先端部が上方へ向かう方向に回動付勢されている。
【００１２】
ハンドル部３には前記マガジン９の打出口８と対向するように配置されたドライバ１３が設けられており、マガジン部２に対してハンドル部３が回動されることによって前記ドライバ１３がマガジン９内の先頭のステープルを打出口８から打ち出すようにされている。該ハンドル部３は前記ドライバ１３の後方に一体に形成されている板状バネ片１４を前記マガジン部２の針カバー１１の上面に当接させることによってマガジン部２に対して先端が上方へ向かう方向に回動付勢されている。このハンドル部３の上方に配置されている操作アーム６を押下操作することによってハンドル部３が回動されこのハンドル部３の回動によって前記板状バネ片１４を介してマガジン部２も回動されるようにされており、ハンドル部３がマガジン部２に対して相対的に回動することによってドライバ１３がマガジン部２のステープルを打ち出すようにされている。
【００１３】
前記クリンチャアーム５は金属製の板材を断面がコ字形となるように折り曲げ成型して形成されており、このクリンチャアーム５の両側面と下面とを覆うようにクリンチャアーム５と一体に組み付けられたアームカバー１５を備えている。更に前記クリンチャアーム５の前方上面には、綴じ用紙を貫通したステープルの脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて平坦に折り曲げるクリンチャ部４が形成されている。該クリンチャ部４は、綴じ用紙を貫通したステープルの脚と係合してステープル脚を綴じ用紙の裏面に沿わせて平坦に折り曲げさせる板状に形成されたクリンチャ１６と、このクリンチャ１６を収容する開口１７が形成されるとともにクリンチャアーム５に対して揺動可能に支持されているクリンチャガイド１８、及び、該クリンチャガイド１８とクリンチャアーム５の間に配置されクリンチャアーム５の前後方向に沿ってスライド可能に支持されているスライド部材１９とによって構成されている。
【００１４】
前記クリンチャ１６は、上端面にステープルの脚部と係合して脚部を綴じ用紙の裏面に沿って互いに内側に向けて折り曲げるように誘導させるクリンチャ溝２０が形成されており、前記アームカバー１５の前端部分の側面に形成された溝に収容されて上下方向に移動できるように配置され、クリンチャ１６とアームカバー１５の底面との間に介在されているバネ２２によって上方へ向けて付勢されている。
【００１５】
クリンチャガイド１８は後端下面側に突出形成された係合爪２３がクリンチャアーム５の底壁に形成された開口２４の前方に向いた縁に係合されてクリンチャアーム５に対して揺動可能に支持されており、該クリンチャガイド１８の先端部には前記クリンチャ１６を収容する開口１７が形成されている。クリンチャガイド１８は後方下端部が揺動支点となって前記開口部１７がクリンチャ１６に沿って上下方向に揺動できるようにされており、このクリンチャガイド１８の下面とクリンチャアーム５の底壁との間に介在されたバネ２５によってクリンチャガイド１８の先端側が上方へ向く方向へ回動付勢されている。該クリンチャガイド１８の両側面に形成された突起２６がクリンチャアーム５の側壁の前端に形成されている突片２７と係合することによって上方への回動位置が規制されており、前記突起２６が突片２７の下方に形成された誘導面２８と当接して下方に誘導されることによってクリンチャガイド１８の開口１７がクリンチャ１６に沿ってほぼ垂直方向に揺動されるようにされている。
【００１６】
前記クリンチャガイド１８の底壁の上面とクリンチャアーム５との間に配置されているスライド部材１９は、下面側に突出形成された爪片２８がクリンチャアーム５の底壁に形成された開口２４の縁部と係合されることによって底壁に沿って前後方向にスライド可能に支持されるとともに、スライド部材１９の後部壁の後面に配置された付勢手段２９によって前方に向けて付勢されている。該スライド部材１９は前記付勢手段２９の弾力によってスライド方向の前方に配置されているときスライド部材１９の前端部に形成された支持部１９ａ（図２参照）がクリンチャガイド１８の下面に進入してクリンチャガイド１８が下方向へ揺動するのを阻止しており、この状態でクリンチャガイド１８はクリンチャアーム５に対して上方位置に保持され綴じ用紙を上方位置で支持するようにしている。クリンチャ１６の上端面のクリンチャ溝２０がクリンチャガイド１８に形成された開口２５の上端縁に臨んだ位置に配置されている。このスライド部材１９が前記付勢手段２９の付勢力に抗してスライド方向の後方側へ移動されると、前記支持部１９ａがクリンチャガイド１８の下面から離れてクリンチャガイド１８の先端部が下方向へ揺動可能な状態になる。
【００１７】
前記ハンドル部３には、Ｌ字状のリンク部材３０の一端部が軸部３１を介して枢支されている。このリンク部材３０はその中央折曲部３０ａが前記マガジン９の上面を覆っている針カバー１１の上面に摺接係合されており、このリンク部材３０の下方に延びた他端部３０ｂが前記スライド部材１９の側面に形成されている係合片１９ｂに係合可能に対応している。このリンク部材３０は、ドライバ１３によりマガジン２内のステープルを打出口８から打ち出すためハンドル部３がマガジン部２に対して相対的に回動することにより、中央折曲部３０ａを支点として回動され、他端部３０ｂがスライド部材１９の係合片１９ｂを後方側へ押圧させてスライド部材１９を付勢手段２９の付勢力に抗して後方へスライド移動させるようになっている。
【００１８】
図３及び図４に示すように、前記スライド部材１９をスライド方向の前方へ向けてスライド付勢させている付勢手段２９は圧縮コイルバネにより構成されており、該付勢手段２９の一端が前記スライド部材１９の後端に形成されている後壁１９ｃの後方側の面に当接されており、該付勢手段２９の他端が前記クリンチャガイド１８の後端に形成された後壁１８ａの前方面に当接されて配置されている。この付勢手段２９によってスライド部材１９が前記クリンチャガイド１８を上方位置に支持する前方位置へ向けてスライド付勢されるとともに、クリンチャガイド１８を後方へ向けて揺動付勢されている。
【００１９】
通常時には前記スライド部材１９は下面に形成されている爪片２８がクリンチャアーム５の底壁に形成されている開口２４の前端縁２４ａと当接して前方のスライド位置が規制されており、この位置で支持面１９ａがクリンチャガイド１８下面に進入してクリンチャガイドを上方位置に支持している。また、クリンチャガイド１８は両側面に形成された突起２６がクリンチャアーム５に形成されている誘導面２８と当接することによって後方への揺動が規制されている。このようにスライド部材１９とクリンチャガイド１８の間に付勢手段２９を介在させて両部材１８、１９を付勢手段２９によって互いに反発する方向に付勢させているので、前方へ向けて付勢されているスライド部材１９が下方へ揺動したクリンチャガイド１８と当接しても付勢手段２９による付勢力が相殺されて、クリンチャガイド１８を前方に移動させる作用が全く発生しないので、クリンチャガイド１８が前方へ移動することがなく、クリンチャガイド１８とともに綴じ用紙及び綴じ用紙を貫通したステープル脚がクリンチャ１６に対して前方へ移動することが防止できる。
【００２０】
以下図５乃至図８に基づいて上記実施例の作動を説明する。図５に示すように、クリンチャガイド１８の上面に綴じ用紙を挿入して操作アーム６を押下操作すると、ハンドル部３が回動されてハンドル部３の板状バネ片１４を介してマガジン部２が押下回動されて、マガジン９の下面とクリンチャガイド１８の間で綴じ用紙を狭持する。この時点ではクリンチャガイド１８の下面側にはスライド部材１９が進入してクリンチャガイド１８を上方位置に保持しているので、綴じ用紙が上方位置で支持されるとともにマガジン部２の回動が停止されてハンドル部３が更に回動されることによってハンドル部３のドライバ１３によってマガジン９内の先頭のステープルが綴じ用紙に向けて打ち出される。
【００２１】
図６に示すように、ドライバ１３によってマガジン９内から打ち出されたステープルの脚が綴じ用紙を貫通してクリンチャ１６と当接しクリンチャ１６をバネ２２に抗して押し下げる。このクリンチャ１６を上方へ付勢させているバネ２２は極めて弱いものでこの時点ではステープル脚を折曲させる作用は行われない。ドライバ１３によりステープルの脚のほぼ全部が綴じ用紙を貫通した位置まで打ち出されたタイミングの時、ハンドル部３とマガジン部２の回動によってリンク部材３０が回動されてリンク部材３０の他端部３０ｂがスライド部材１９の係合片１９ｂと係合してスライド部材１９を付勢手段２９の弾力に抗して後方へスライド移動させる。スライド部材１９の移動によって支持部１９ａがクリンチャガイド１８の下面から後方側へ移動してクリンチャガイド１８の下方向への回動が許容される。
【００２２】
クリンチャガイド１８を上方位置へ支持していたスライド部材１９が後方へ移動した時点で板状バネ片１４を介して下方へ押下付勢されていたマガジン部２が、板状バネ片１４の弾力によりクリンチャガイド１８を下方へ押圧させながら下方へ回動される。このとき図７に示すように、操作アーム６の押下操作によって回動されているハンドル部３の回動がマガジン部２の回動に追従できずマガジン部２とハンドル部３の相対回動角度が開いてリンク部材３０の回動が戻されて、リンク部材３０の他端部３０ｂとスライド部材１９の係合片１９ｂとが離反されてしまうことがある。
【００２３】
この現象によってスライド部材１９はスライド部材１９の後壁１９ｃの後面に作用している付勢手段２９の作用によって前方へ移動してスライド部材１９の前端面がクリンチャガイド１８と当接してクリンチャガイド１８を前方に押圧させようとするが、この付勢手段２９の他端側は前記クリンチャガイド１８の後壁１８ａの前方面に当接されてクリンチャガイド１８を後方へ揺動させるように付勢しており、このクリンチャガイド１８を後方へ向けて付勢している力と前記スライド部材１９を前方へ付勢させている力が相殺されるので、クリンチャガイド１８は前方へは移動されず、従ってクリンチャガイド１８の上面に載置されている綴じ用紙も前方へ移動されることが無く綴じ用紙を貫通したステープルの脚先端がクリンチャ１６のクリンチャ溝２０から逸脱することが防止できる。
【００２４】
この後、図８に示すように操作アーム６の押下操作によってハンドル部３が更に回動されてクリンチャガイドが更に下方へ揺動されて、ドライバ１３によって打ち出されるステープルの先端がクリンチャ１６のクリンチャ溝２０と係合されてステープルの脚を綴じ用紙の裏面に沿って平坦に折り曲げてステープル綴じが完了する。
【００２５】
上記実施例では、スライド部材１９の後壁１９ｃの後面とクリンチャガイド１８の後壁１８ａの前面との間に圧縮コイルバネ状の付勢手段２９を介在させることにより、スライド部材１９とクリンチャガイド１８とを互いに反発させるように構成しているが、付勢手段２９を配置する箇所は必ずしもスライド部材１９の後壁１９ｃとクリンチャガイド１８の後壁１８ａとの間に介装させる必要はなく、更に、付勢手段２９は圧縮コイルバネに限定されるものではなく、クリンチャガイド１８とスライド部材１９との間に両部材を互いに反対方向に向けて付勢させる他の付勢手段を介在させることによって本発明を実施することが可能である。
【００２６】
【発明の効果】
上記本発明によれば、多数のステープルを収容するマガジン部と、該マガジン部に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部及び、前記マガジンから打ち出されたステープルの脚を折曲させるクリンチャ部を備えたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させるとともに、前記クリンチャ部が、綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してステープル脚を折り曲げ成型するクリンチャと、綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記クリンチャに当接させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイドと、前記クリンチャガイドを上方位置に保持する前方位置とクリンチャガイドを下方へ移動可能とする後方位置との間でスライド可能なスライド部材とにより構成され、綴り用紙を貫通したステープルの脚部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるようにしたホッチキスにおいて、前記クリンチャガイドとスライド部材との間に付勢手段を介在させ、該付勢手段によって前記スライド部材を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイドを後方へ向けて移動付勢させるようにしているので、スライド部材が前方へ戻されてクリンチャガイドと当接してもクリンチャガイドを後方へ向けて付勢している力とスライド部材を前方へ付勢させている力が相殺されるので、クリンチャガイドを前方へ移動させる作用力が発生せず、従ってクリンチャガイドは前方へは移動されずこの上面に載置されている綴じ用紙とステープルの脚先端も前方へ移動されることが無く、綴じ用紙を貫通したステープルの脚先端がクリンチャのクリンチャ溝から逸脱することが防止できる。従ってステープルの脚先端がクリンチャのクリンチャ溝から外れたりしてクリンチ不良を発生することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例にかかるホッチキスの縦断側面図
【図２】図１と同じホッチキスのクリンチャガイドとスライド部材の斜視図
【図３】図２と同じクリンチャガイドとスライド部材の下面側を示す斜視図
【図４】図１と同じホッチキスのクリンチャ部を拡大した一部断面図
【図５】マガジン部とクリンチャガイドとの間で綴じ用紙を狭持した状態の作動状態を示す縦断側面図
【図６】ステープルが綴じ用紙に打ち出された状態の作動状態を示す縦断側面図
【図７】クリンチャガイドが下方に揺動した状態の作動状態を示す縦断側面図
【図８】ステープル綴じが完了した状態の作動状態を示す縦断側面図
【符号の説明】
１ ホッチキス
２ マガジン部
３ ハンドル部
４ クリンチャ部
５ クリンチャアーム
９ マガジン
１４ 板状バネ片
１６ クリンチャ
１８ クリンチャガイド
１８ａ 後壁
１９ スライド部材
１９ｃ 後壁
２９ 付勢手段
３０ リンク部材
Claims (1)
- 多数のステープルを収容するマガジン部と、該マガジン部に収容されたステープルを綴り用紙に向けて打ち出すハンドル部及び、前記マガジンから打ち出されたステープルの脚を折曲させるクリンチャ部を備えたクリンチャアームとを各々の後端部において回動自在に支持させるとともに、前記クリンチャ部が、綴じ用紙を貫通したステープル脚と係合してステープル脚を折り曲げ成型するクリンチャと、綴じ用紙を上方位置に支持する上方位置と綴じ用紙を貫通したステープル脚を前記クリンチャに当接させる下方位置との間で移動可能なクリンチャガイドと、前記クリンチャガイドを上方位置に保持する前方位置とクリンチャガイドを下方へ移動可能とする後方位置との間でスライド可能なスライド部材とにより構成され、綴り用紙を貫通したステープルの脚部を綴り用紙の裏面に沿って折曲させるようにしたホッチキスにおいて、前記クリンチャガイドとスライド部材との間に付勢手段を介在させ、該付勢手段によって前記スライド部材を前方へスライド付勢させるとともに、前記クリンチャガイドを後方へ向けて移動付勢させるようにしたことを特徴とするホッチキス。
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