JP4054569B2 - レーザエッチング用転写材と多色成形品の製造方法 - Google Patents

レーザエッチング用転写材と多色成形品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、家電製品、音響機器、自動車のインジケータなどの表示パネルなどの樹脂成形品上に任意の多色柄を作成することができるレーザエッチング用転写材と多色成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザエッチングによる加飾法として、複数の着色層を積層した転写材を樹脂成形品上に転写して、レーザエッチングによって任意の着色層を除去することで、多色成形品を得る方法があった。
【0003】
すなわち、転写材として、剥離性を有する基体シート上に、互いに異なった色を有する複数の着色層が少なくとも形成されたものを用いる。次いで、転写材を樹脂成形品の表面に重ねて加熱加圧して基体シートを剥離し、樹脂成形品の表面に複数の着色層を形成する(転写法)。また、転写材を成形金型内に挟み込み、金型内に溶融樹脂を注入し、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面に転写材を接着した後、基体シートを剥離して、樹脂成形品の表面に複数の着色層を形成する(成形同時転写法)。次いで、樹脂成形品の表面にレーザを照射することによって任意の着色層を除去し、異なる色の着色層を露出させることによって多色成形品を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した転写材は、複数積層した着色層同士が干渉し合うため、レーザエッチングにより任意の層を除去した後、表面に露出する着色層の発色は、表面に露出した着色層の色と、その下に積層された着色層の色との混合色になるという問題があった。また、このような混合色となることによって着色層の色の明度が落ち、鮮明な発色を得ることができないという問題があった。
【0005】
したがって、この発明は、上記のような欠点を解消し、複数の着色層を積層しても各着色層の色が混合して見えることがなく、各着色層が鮮明に発色するレーザエッチング用転写材と多色成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のレーザエッチング用転写材と多色成形品の製造方法は、以上の目的を達成するために、つぎのように構成した。
【0007】
すなわち、この発明のレーザエッチング用転写材は、剥離性を有する基体シート上に、隠蔽層と、隠蔽層上に互いに異なった色を有する複数の着色層と、各着色層の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層とが少なくとも形成されるように構成した。
【0008】
また、上記の発明において、発色補助層が白色であるように構成してもよい。
【0009】
また、上記の発明において、CIE(国際照明委員会)1976(JIS Z8729)L表色系における着色層の明度をLとしたとき、着色層が、基体シートに近い位置から基体シートから遠ざかる位置になるにしたがって、明度Lが低い値から高い値へと漸次変化するように構成してもよい。
【0010】
また、この発明の多色成形品の製造方法は、上記したレーザエッチング用転写材を、転写法または成形同時転写法にて樹脂成形品に融着させ、基体シートを剥離して、隠蔽層と、隠蔽層上に互いに異なった色を有する複数の着色層と、各着色層の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層とが表面に少なくとも形成された樹脂成形品を得、次いでレーザエッチングにより隠蔽層および任意の着色層を除去して複数の着色層を露出させるように構成した。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0012】
図1は、この発明のレーザエッチング用転写材の一実施例を示す断面図である。図2は、この発明の多色成形品の製造方法により得た多色成形品の一実施例を模式的に示す断面図である。図3は、この発明の多色成形品の製造方法により得た多色成形品の一実施例を模式的に示す平面図である。図中、10はレーザエッチング用転写材、11は基体シート、12は離型層、13は剥離層、14は隠蔽層、15は接着層、21は第1着色層、22は第1発色補助層、23は第2着色層、24は第2発色補助層、25は第3着色層、26は第3発色補助層、30は多色成形品、31は樹脂成形品、32は露出孔である。
【0013】
この発明のレーザエッチング転写材は、剥離性を有する基体シート11上に、隠蔽層14と、隠蔽層14上に互いに異なった色を有する複数の着色層21、23、25と、各着色層21、23、25の上に着色層21、23、25の発色を鮮明にするための発色補助層22、24、26とが少なくとも形成されたものである(図1参照)。
【0014】
基体シート11としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ビニロン樹脂、アセテート樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などのプラスチックシートを使用することができる。基体シート11の厚さとしては、10〜20μmのものを使用するとよい。また、基体シート11の着色層を形成する面に、ヘアライン形状の微細凹凸を形成したり、粒状の微細凹凸を形成したりすることによって、多色成形品30の表面を種々の艶消し表面とすることができる。基体シート11はそれ自体で剥離性を有するものを用いるとよい。また、より剥離性を安定させるために、離型層12を形成してもよい。離型層12は転写工程後に基体シート11とともに除去される層である。離型層12の材質としては、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を用いるとよい。離型層12の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0015】
また、基体シート11あるいは離型層12の剥離をより確実にするために、必要に応じて剥離層13を形成してもよい。剥離層13は、転写後または成形同時転写後に基体シート11を剥離した際に、基体シート11または離型層12から剥離して被転写物の最外面となる層である。剥離層13の材質としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。剥離層13に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離層13の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。剥離層13はレーザエッチングにより隠蔽層14とともに除去される。
【0016】
隠蔽層14は、多色成形品30において、着色層21、23、25の色が直接見えないようにするために設ける層である。隠蔽層14の存在により着色層21、23、25の色が完全に隠れるようにすることが好ましい。こうすることで、隠蔽層14は、レーザエッチングによりその一部を除去することによって着色層21、23、25の色を認識できるようになる。隠蔽層14はレーザエッチングにより除去可能な層である。レーザで除去可能とするためには、その厚さは薄い方が好ましいが、隠蔽性を得るためには厚い方が好ましい。したがって、隠蔽層14の材質としては、カーボンブラックなどの黒色または黒色に近い顔料を混合した樹脂を用いるのが好ましい。また、隠蔽層14は、黒色以外の層であってもよい。あるいは、着色層21、23、25が隠蔽されるのであれば、パターン化された形状であってもよい。また、隠蔽層14の厚さは、1〜3μmが好ましい。
【0017】
着色層21、23、25は、互いに異なる色の複数の着色層が積層されるように形成する。着色層21、23、25は、多色成形品30においてその表面側の隠蔽層14や着色層21、23、25がレーザエッチングによって除去されて露出することによりその色を表現する層であるので、着色層21、23、25の積層数が多いほど、多彩な色の表現をすることができる。各着色層21、23、25は、全面的に形成されるように構成することができる。また、各着色層21、23、25は、部分的に形成されるように構成することもできる。さらに、各着色層21、23、25は、全面的な着色層と部分的な着色層とが混合して形成されるように構成することもできる。着色層21、23、25の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。着色層21、23、25の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。各着色層21、23、25の厚さとしては、1〜30μmが好ましい。各着色層21、23、25は、任意の色によって構成することができる。また、各着色層を、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の4色で構成すると、写真階調の画像を表現することができる。
【0018】
各着色層21、23、25の明度は、CIE(国際照明委員会)1976(JIS Z8729)のL表色系における着色層の明度をLとしたとき、着色層21、23、25が、基体シート11に近い位置から基体シート11から遠ざかる位置になるにしたがって、明度Lが低い値から高い値へと漸次変化するように構成してもよい。すなわち、レーザは明度がより低い着色層に吸収されやすい傾向がある。したがって、明度Lが低い着色層を基体シート11に近い位置に配置することにより、レーザエッチングされやすい着色層がより多色成形品30の表面側に配置されることになるため、必要とする着色層が誤ってレーザエッチングされてしまうことを防止することができる。
【0019】
発色補助層22、24、26は、各着色層21、23、25の色が、隣り合う他の着色層と混ざり合って発色するのを防ぐために、多色成形品30において着色層21、23、25の背後に位置するように重ねて設ける層である。
【0020】
発色補助層22、24、26の色としては白が好ましい。その理由は、着色層21、23、25の明度を落とすことなく、隣り合う着色層同士の色が混ざり合って見えることを防止できるからである。また、インキ中にアルミペーストを混ぜた金属光沢色や、黒色などの無彩色にしてもよい。発色補助層22、24、26は、着色層21、23、25と同様の手段によって形成することができる。発色補助層22、24、26の厚さとしては、1〜30μmが好ましい。
【0021】
また、接着層15を必要に応じて形成してもよい。接着層15は、転写法または成形同時転写法により転写材を樹脂成形品31に接着させるために発色補助層26の上に設ける層である。樹脂成形品31の材質がポリアクリル系樹脂の場合は、接着層15の材質としてポリアクリル系樹脂を用いるとよい。また、樹脂成形品31の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを、接着層15の材質として使用すればよい。接着層15の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコーティングや、グラビア印刷、スクリーン印刷法などの印刷がある。接着層15の乾燥膜厚は、1〜5μmとするのが一般的である。
【0022】
なお、転写材を構成する各層に使用するインキ中には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、アルミナなどの無機質の微粉末よりなる充填剤、およびアクリルビーズ、ウレタンビーズなどの有機質充填剤を含ませてもよい。また、印刷工程内での外観不良を防止する目的や、各層の耐性を向上させる目的、その他の目的で、レベリング剤、耐摩耗性強化剤、帯電防止剤、抗菌剤などの添加剤をインキ中に添加してもよい。
【0023】
転写層の構成は、上記した態様に限定されるものではない。たとえば、あらかじめ決められたパターンを表現するために、任意のパターンの図柄層を別途形成するようにしてもよい。
【0024】
上記したレーザエッチング用転写材10を用い、転写法または成形同時転写法によって、隠蔽層14と、隠蔽層14上に互いに異なった色を有する複数の着色層21、23、25と、各着色層21、23、25の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層22、24、26とを樹脂成形品31上に積層する。
【0025】
樹脂成形品31としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。さらに、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂も使用できる。
【0026】
転写法による転写工程は次のようにして行う。まず、樹脂成形品31の表面に、転写材の接着層15側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して転写材の基体シート11側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層15が樹脂成形品31表面に接着する。最後に、冷却後に基体シート11を剥がすと、基体シート11と剥離層13との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。また、基体シート11上に離型層12を設けた場合は、基体シート11を剥がすと、離型層12と剥離層13との境界面で剥離が起こり、転写工程が完了する。
【0027】
成形同時転写法による転写工程は次のようにして行う。まず、可動型と固定型とからなる成形用金型内に転写材を送り込む。その際、枚葉の転写材を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の転写材の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写材を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写材と成形用金型との見当が一致するようにするとよい。また、転写材を間欠的に送り込む際に、転写材の位置をセンサーで検出した後に転写材を可動型と固定型とで固定するようにしてもよい。成形用金型を閉じた後、ゲートから溶融樹脂を金型内に射出充満させ、樹脂成形品31を形成するのと同時にその面に転写材を接着させる。樹脂成形品31を冷却した後、成形用金型を開いて樹脂成形品31を取り出す。最後に、基体シート11を剥がすことにより、転写工程が完了する。
【0028】
次いで、レーザエッチングにより樹脂成形品31の表面にある隠蔽層14および任意の着色層21、23、25を除去して複数の着色層21、23、25を露出させる。
【0029】
レーザエッチングは、二酸化炭素、YAG、ルビー、あるいはYVOなどのレーザ装置を用いる。、レーザの焦点と隠蔽層14や着色層21、23、25の相対位置、レーザの出力、レーザ照射の反復回数などを調整することにより、樹脂成形品31の表面を任意の深さまでエッチングすることができる。
【0030】
樹脂成形品31の表面を任意のパターンと深さでレーザエッチングすることにより、さまざまな色を表現することができる。次に、着色層と発色補助層を各々3層ずつ形成し、第1着色層21、第1発色補助層22、第2着色層23、第2発色補助層24、第3着色層25、第3発色補助層26が構成された場合を例にして説明する(図2〜3参照)。
【0031】
たとえば、各着色層21、23、25そのものの色である単色を表現するには、第1着色層21、第2着色層23、第3着色層25のいずれか1層のみが露出するように、隠蔽層14底部の深さまでレーザエッチングを行い第1着色層21を露出させるか、第1発色補助層22底部の深さまでレーザエッチングを行い第2着色層23を露出させるか、第2発色補助層24底部の深さまでレーザエッチングを行い第3着色層25を露出させる。たとえば図2における色Aは、レーザエッチングにより多数の露出孔32が形成され、第2着色層23のみが露出した例を示す。1つの露出孔32の最大内径は0.1〜2.0mmとするとよい。0.1mmに満たないとレーザの出力調整が困難となる。また、2.0mmを越えるとレーザエッチングで得られる絵柄に繊細さが欠けることとなる。また、露出孔32の数は10〜10000個/cm2とするとよい。この範囲にすることにより、繊細な絵柄を得ることができる。色Aを均一に表現するには、各露出孔32を形成するレーザエッチングの条件を同一とし、すべての露出孔32を同一形状に形成するとよい。
【0032】
また、各着色層21、23、25の色が混合した色を表現するには、異なる色の複数の着色層21、23、25が露出するように、複数の露出孔32を隣接して形成するとよい。たとえば、図2における色Bは、第2着色層23が見える露出孔32と第3着色層25が見える露出孔32とにより表現された例を示す。各着色層23、25の露出孔32の面積比や露出孔32数を変化させることによって、色Bの色相を変化させることができる。露出孔32の底面積や深さの異なる第2着色層23および第3着色層25を露出させるので、レーザエッチング条件は、第2着色層23を露出させる露出孔32を形成させる場合と、第3着色層25を露出させる露出孔32を形成させる場合とでは異なることになる。
【0033】
また、図2における色Cは、第1着色層21と第2着色層23とが連続した1つの露出孔32により露出して、各着色層21、23の色が混合した色を表現する例を示す。第1着色層21と第2着色層23の面積比を変化させることによって、色Cの色相を変化させることができる。この場合、露出孔32の最大内径は0.2〜8.0mm程度とすることができる。
【0034】
また、多色成形品30の表面には、露出孔32を覆うように、透明保護層(図示せず)を形成するようにしてもよい。透明保護層としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いて形成するとよい。
【0035】
また、樹脂成形品31の材質として透明性を有するものを用いた場合は、多色成形品30の裏面に光源を配置し、隠蔽層14の存在しない箇所から光を透過させて、文字や記号などのパターンが発光する照光性部品として用いることができる。
【0036】
【実施例】
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基体シートとし、次いで、剥離層、隠蔽層、青色の第1着色層、白色の第1発色補助層、赤色の第2着色層、白色の第2発色補助層、黄色の第3着色層、白色の第3発色補助層、接着層を順次グラビアコート法により形成して、レーザエッチング用転写材を得た。剥離層、隠蔽層、各着色層、各発色補助層は、それぞれアクリル系樹脂からなるインキを用いて形成した。また、接着層は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂からなるインキを用いて形成した。
【0037】
次いで、このようにして得たレーザエッチング用転写材を、成形用金型の間に配置し、型締めした後、溶融樹脂を射出して一体化し、型開き後、転写材の基体シートを剥離して成形品を得た。
【0038】
次いで、YVOレーザ装置を用いて、第1着色層、第2着色層、第3着色層がそれぞれ露出するように多数の露出孔をレーザエッチングして形成し、多色成形品を得た。
【0039】
このようにして得た多色成形品は、各着色層の色が混合することなく鮮明に発色するものであった。
【0040】
(比較例) 比較例として、各発色補助層が形成されていないこと以外は実施例と同様にしてレーザエッチング用転写材を得た。
【0041】
次いで、実施例1と同様にして転写加工を行って成形品を得、実施例1と同様にレーザエッチングを行って多色成形品を得た。
【0042】
このようにして得た多色成形品は、各着色層の色が他の着色層の色の影響を受けて混合した発色となり、所望の発色を得ることができないものであった。
【0043】
【発明の効果】
この発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【0044】
この発明のレーザエッチング用転写材は、剥離性を有する基体シート上に、隠蔽層と、隠蔽層上に互いに異なった色を有する複数の着色層と、各着色層の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層とが少なくとも形成されるように構成したので、複数の着色層を積層しても各着色層の色が混合して見えることがなく、各着色層が鮮明に発色する多色成形品を得るのに好適なものである。
【0045】
また、この発明の多色成形品の製造方法は、この発明のレーザエッチング用転写材を、転写法または成形同時転写法にて樹脂成形品に融着させ、基体シートを剥離して、隠蔽層と、隠蔽層上に互いに異なった色を有する複数の着色層と、各着色層の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層とが表面に少なくとも形成された樹脂成形品を得、次いでレーザエッチングにより隠蔽層および任意の着色層を除去して複数の着色層を露出させるように構成したので、複数の着色層を積層しても各着色層の色が混合して見えることがなく、各着色層が鮮明に発色する多色成形品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のレーザエッチング用転写材の一実施例を示す断面図である。
【図2】この発明の多色成形品の製造方法により得た多色成形品の一実施例を模式的に示す断面図である。
【図3】この発明の多色成形品の製造方法により得た多色成形品の一実施例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
10 レーザエッチング用転写材
11 基体シート
12 離型層
13 剥離層
14 隠蔽層
15 接着層
21 第1着色層
22 第1発色補助層
23 第2着色層
24 第2発色補助層
25 第3着色層
26 第3発色補助層
30 多色成形品
31 樹脂成形品
32 露出孔

Claims (4)

  1. 剥離性を有する基体シート上に、隠蔽層と、隠蔽層上に互いに異なった色を有する複数の着色層と、各着色層の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層とが少なくとも形成されたことを特徴とするレーザエッチング用転写材。
  2. 発色補助層が白色である請求項1記載のレーザエッチング用転写材。
  3. CIE(国際照明委員会)1976(JIS Z8729)L表色系における着色層の明度をLとしたとき、着色層が、基体シートに近い位置から基体シートから遠ざかる位置になるにしたがって、明度Lが低い値から高い値へと漸次変化する請求項1〜2のいずれかに記載のレーザエッチング用転写材。
  4. 請求項1〜3に記載のレーザエッチング用転写材を、転写法または成形同時転写法にて樹脂成形品に融着させ、基体シートを剥離して、隠蔽層と、隠蔽層上に互いに異なった色を有する複数の着色層と、各着色層の上に着色層の発色を鮮明にするための発色補助層とが表面に少なくとも形成された樹脂成形品を得、次いでレーザエッチングにより隠蔽層および任意の着色層を除去して複数の着色層を露出させることを特徴とする多色成形品。
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